(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の半導体用基板の表面処理方法は、以下説明する水溶性プリフラックスを用いて、半導体用基板の電極パッド上に保護被膜を形成する水溶性プリフラックス処理工程と、前記基板をフラックス洗浄剤にて洗浄するフラックス洗浄工程と、を備える方法である。
また、本発明の半導体パッケージの製造方法は、以下説明する水溶性プリフラックスを用いて、半導体用基板の電極パッド上に保護被膜を形成する水溶性プリフラックス処理工程と、前記基板の一方の面の電極パッド上にソルダペーストを塗布し、リフロー処理を行ってはんだバンプを形成するはんだバンプ形成工程と、はんだバンプ上にチップを配置し、リフロー処理を行って前記チップを前記基板に接着するチップ接着工程と、前記基板をフラックス洗浄剤にて洗浄するフラックス洗浄工程と、を備える方法である。
【0015】
[水溶性プリフラックス]
まず、本発明の半導体用基板の表面処理方法または半導体パッケージの製造方法に用いる本発明の水溶性プリフラックスについて説明する。
本発明の水溶性プリフラックスは、下記一般式(1)で表される化合物を含有するものである。
【0017】
前記一般式(1)において、XおよびYは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜7の直鎖または分岐鎖のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、シアノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルバモイル基、ホルミル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基およびニトロ基からなる群から選択される少なくとも一つを表す。また、nは0〜4の整数を表し、mは0〜10の整数を表し、pは0〜4の整数を表す。
そして、本発明においては、XおよびYのうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であり、このハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であることが必要である。XおよびYのうちにこれらのハロゲン原子が存在しない場合には、保護被膜のフラックス洗浄液に対する耐性が不十分となり、電極パッドの表面の酸化を抑制できない。また、電極パッドのはんだぬれ性の観点から、ハロゲン原子は、塩素原子であることがより好ましい。
【0018】
前記一般式(1)において、XおよびYのうちの1つまたは2つは、ハロゲン原子であることが好ましい。XおよびYのうちの3つ以上がハロゲン原子である場合には、化合物の溶解性が低下する傾向にあり、水溶性プリフラックスの安定性が低下する傾向にある。
また、前記一般式(1)において、Yのうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であることが好ましい。前記一般式(1)におけるYの方に、ハロゲン原子が存在する方が、電極パッドのはんだぬれ性が向上する傾向にある。
【0019】
前記一般式(1)で表される化合物としては、2−(3−クロロ)ベンジルベンズイミダゾール、2−(3,4−ジクロロ)ベンジルベンズイミダゾール、4−クロロ−2−(3−フェニルプロピル)ベンズイミダゾール、6−クロロ−2−{(2−ニトロフェニル)エチル}ベンズイミダゾール、および6−カルボエトキシ−2−(3−ブロモベンジル)ベンズイミダゾールなどが挙げられる。これらの中でも、電極パッドの表面の酸化抑制の観点から、2−(3−クロロ)ベンジルベンズイミダゾール、2−(3,4−ジクロロ)ベンジルベンズイミダゾール、4−クロロ−2−(3−フェニルプロピル)ベンズイミダゾールがより好ましい。
【0020】
前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、前記水溶性プリフラックス100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。含有量が前記下限以上とすることによって、防錆膜などの塗膜を形成しやすくなる。また、含有量が前記上限を超えると、不溶解分が多くなり易くなる傾向にあり、経済的にも好ましくない。
【0021】
前記水溶性プリフラックスでは、前記一般式(1)で表される化合物が中性の水に対しては難溶性であるため、有機酸や水溶性の有機溶剤を用いて水溶化させることが好ましい。前記有機酸および前記有機溶剤は、それぞれ単独で用いてもよいが、併用してもよい。なお、前記水溶性プリフラックスにおいて、前記一般式(1)で表される化合物や、以下説明する他の成分以外の残部は水である。
【0022】
前記有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ブロモ酢酸、およびメトキシ酢酸などが挙げられる。これらの中でも、ギ酸、酢酸を用いることが好ましい。また、これらの有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記有機酸の含有量は、前記水溶性プリフラックス100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、およびアセトンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記有機溶剤の含有量は、前記水溶性プリフラックス100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
【0023】
前記水溶性プリフラックスは、さらに、銅との錯体被膜形成助剤を含有してもよい。ただし、銅との錯体被膜形成助剤を添加すると条件によっては、基板の金めっき上にも被膜を形成し、金めっきの変色が発生することがあるので注意が必要である。
前記錯体被膜形成助剤としては、ギ酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、シュウ酸銅、酢酸銅、水酸化銅、炭酸銅、リン酸銅、硫酸銅、ギ酸マンガン、塩化マンガン、シュウ酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸バリウム、水素化亜鉛、塩化第一鉄、塩化第二鉄、酸化第一鉄、酸化第二鉄、ヨウ化銅、臭化第一銅、および臭化第二銅などの金属化合物が挙げられる。これらの錯体被膜形成助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記錯体被膜形成助剤の含有量は、前記水溶性プリフラックス100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
前記水溶性プリフラックスには、さらに、前記金属化合物から分離する金属イオンに対する塩基を含有する緩衝液を併用してもよい。
前記緩衝液中の塩基としては、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、イソプロピルエタノールアミン、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0025】
前記水溶性プリフラックスは、はんだ付特性を向上させるという観点から、さらに、ハロゲン化合物を含有してもよい。
前記ハロゲン化合物としては、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、よう化亜鉛、臭化亜鉛、臭化プロピオン酸、およびヨードプロピオン酸などが挙げられる。これらのハロゲン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ハロゲン化合物の含有量は、前記水溶性プリフラックス100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
[半導体用基板の表面処理方法および半導体パッケージの製造方法]
次に、本発明の半導体用基板の表面処理方法および半導体パッケージの製造方法について説明する。
本発明の半導体用基板の表面処理方法は、水溶性プリフラックス処理工程と、フラックス洗浄工程と、を備える方法である。
本発明の半導体パッケージの製造方法は、水溶性プリフラックス処理工程と、はんだバンプ形成工程と、チップ接着工程と、フラックス洗浄工程と、を備える方法である。
なお、ここでは、本発明の半導体パッケージの製造方法の一つの実施形態を例に挙げて、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の半導体パッケージの製造方法を説明するための図である。なお、以下説明するのは、半導体パッケージの製造方法の一つの実施形態であって、本発明の半導体用基板の表面処理方法や、本発明の半導体パッケージの製造方法がこれに限定されるわけではない。
前記実施形態は、(i)水溶性プリフラックス処理工程と、(ii)はんだバンプ形成工程と、(iii)第一フラックス洗浄工程と、(iv)チップ接着工程と、(v)第二フラックス洗浄工程と、(vi)アンダーフィル工程と、(vii)モールド工程と、(viii)はんだボール形成工程とをこの順で行う方法である。
【0027】
前記(i)水溶性プリフラックス処理工程においては、
図1(A)に示すように、半導体用基板1の電極パッド11A,11B上に保護被膜を形成する。
保護被膜の形成方法としては、例えば、処理対象の半導体用基板1の電極パッド11A,11Bの表面を脱脂、化学研磨(ソフトエッチング)、酸洗、水洗する前処理工程を施した後、前記水溶性プリフラックスに、10〜60℃で1秒間〜100分間(好ましくは20〜50℃で、5秒間〜60分間、より好ましくは20〜50℃で、10秒間〜10分間)半導体用基板1を浸漬する方法を採用できる。このようにして前記一般式(1)で表される化合物は電極パッドの表面に付着するが、その付着量は処理温度を高く、処理時間を長くする程多くなる。このときに、超音波を利用するとより好ましい。なお、他の塗布手段、例えば噴霧法、刷毛塗り、ローラー塗りなどで保護被膜を形成してもよい。このようにして得られた保護被膜により、電極パッドの表面が高温加熱されて劣化することを抑制できる。そのため、電極パッドの表面が高温に曝されても、十分なはんだぬれ性を維持できる。
【0028】
前記(ii)はんだバンプ形成工程においては、
図1(B)に示すように、保護被膜を形成後の基板1の一方の面の電極パッド11A上にソルダペーストを塗布し、リフロー処理を行ってはんだバンプ2を形成する。
ソルダペーストの塗布方法としては、メタルマスク印刷機を用いた方法など、適宜公知の方法を採用できる。
リフロー処理の条件としては、はんだバンプ2のはんだ合金組成に応じて、適宜設定することができる。例えばスズ、銀および銅を含有する鉛フリーはんだ合金(SAC系)のソルダペーストを用いる場合には、特に限定されないが、プリヒート温度150〜180℃を90秒間とし、ピーク温度を240℃とし、200℃以上のキープ時間を60秒間とすればよい。
【0029】
前記(iii)第一フラックス洗浄工程においては、半導体用基板1をフラックス洗浄剤にて洗浄する。半導体用基板1では、はんだバンプ2を形成した際に生じたフラックス残さをフラックス洗浄剤により除去しなければならない。そのために、この第一フラックス洗浄工程が必要になる。
フラックス洗浄剤としては、公知のフラックス洗浄剤(好ましくは、水系のフラックス洗浄剤)を用いることができる。このフラックス洗浄剤としては、花王製のクリンスルー750HS、クリンスルー750K、荒川化学工業社製のパインアルファST−100Sなどが挙げられる。
半導体用基板を洗浄する際の洗浄条件は特に限定されない。例えば、洗浄剤温度30〜50℃で、1〜5分間(好ましくは40℃で3分間)半導体用基板を洗浄すればよい。
【0030】
前記(iv)チップ接着工程においては、
図1(C)に示すように、はんだバンプ2を形成後の基板1のはんだバンプ2上にチップ3を配置し、リフロー処理を行ってチップ3を基板1に接着する。
リフロー処理の条件としては、はんだバンプ2のはんだ合金組成に応じて、適宜設定することができる。
【0031】
前記(v)第二フラックス洗浄工程においては、チップ3を接着後の基板1をフラックス洗浄剤にて再度洗浄する。
フラックス洗浄剤や洗浄条件としては、前記第一フラックス洗浄剤と同様のものや同様の洗浄条件を採用できる。
【0032】
前記(vi)アンダーフィル工程においては、
図1(D)に示すように、フラックス洗浄後の基板1における基板1とチップ3との隙間にアンダーフィル4を充填する。
アンダーフィル4としては、適宜公知のアンダーフィル材料を用いることができる。
アンダーフィル4の硬化条件としては、アンダーフィル材料の種類に応じて、適宜設定することができる。例えば、温度120〜180℃で1〜3時間加熱すればよい。
なお、アンダーフィル4が充填される前には、温度100〜150℃で1〜3時間の予備加熱処理が施されることが好ましい。
【0033】
前記(vii)モールド工程においては、
図1(E)に示すように、アンダーフィル4を充填後の基板1におけるチップ3をモールド5で封止する。
モールド5としては、適宜公知のモールド材料を用いることができる。
モールド5の硬化条件としては、モールド材料の種類に応じて、適宜設定することができる。例えば、温度150〜200℃で2〜6時間(好ましくは、170〜180℃で3〜5時間)加熱すればよい。
【0034】
前記(viii)はんだボール形成工程においては、
図1(F)に示すように、モールド5で封止後の基板1における電極パッド11B上にはんだボールを配置し、リフロー処理を行ってはんだボール6を形成する。
はんだボールの配置方法としては、適宜公知のはんだボールの搭載方法を採用できる。また、ソルダペーストを用いてはんだボールを形成してもよい。この場合、ソルダペーストの塗布方法としては、メタルマスク印刷機を用いた方法など、適宜公知の方法を採用できる。
リフロー処理の条件としては、はんだボール6のはんだ合金組成に応じて、適宜設定することができる。
【0035】
本発明の半導体パッケージの製造方法においては、以上にように、前記水溶性プリフラックス処理工程の後で、前記第一および第二のフラックス洗浄工程を行うことから、基板1の電極パッド11B上の保護被膜がフラックス洗浄剤で洗浄されてしまう。また、前記フラックス洗浄工程から前記はんだボール形成工程の前までに、前記モールド工程などの加熱を行うことから、電極パッド11Bの表面が高温長時間に曝されることになる。このように、電極パッド11Bの表面が劣化しやすい状況においても、本発明によれば、電極パッドの表面の酸化を十分に抑制できる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
イミダゾール系化合物A:2−(3−クロロ)ベンジルベンズイミダゾール
イミダゾール系化合物B:2−(3,4−ジクロロ)ベンジルベンズイミダゾール
イミダゾール系化合物C:4−クロロ−2−(3−フェニルプロピル)ベンズイミダゾール
イミダゾール系化合物D:6−クロロ−2−{(2−ニトロフェニル)エチル}ベンズイミダゾール
イミダゾール系化合物E:6−カルボエトキシ−2−(3−ブロモベンジル)ベンズイミダゾール
イミダゾール系化合物F:4−メチル−2−ウンデシルイミダゾール、
イミダゾール系化合物G:4,5−ジエチル−2−ヘキシルベンズイミダゾール
イミダゾール系化合物H:2−オクチルベンズイミダゾール
有機酸A:酢酸
有機酸B:酒石酸
有機酸C:ギ酸
有機溶剤:エタノール
錯体被膜形成助剤A:塩化亜鉛
錯体被膜形成助剤B:酢酸亜鉛
錯体被膜形成助剤C:酢酸ニッケル
錯体被膜形成助剤D:酢酸バリウム
錯体被膜形成助剤E:ギ酸マンガン
水:純水
【0037】
[実施例1]
水99.3質量%に対し、イミダゾール系化合物A0.1質量%、有機酸A0.1質量%および錯体被膜形成助剤A0.5質量%を溶解させて、水溶性プリフラックスを得た。なお、得られた水溶性プリフラックスは、緩衝液として25質量%アンモニア水でpH調整し、被膜を形成可能な処理液とした。
【0038】
[実施例2〜11]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして水溶性プリフラックスを得た。
[実施例12〜16]
表2に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして水溶性プリフラックスを得た。
[比較例1〜6]
表3に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして水溶性プリフラックスを得た。
【0039】
<水溶性プリフラックスによる保護被膜の評価>
水溶性プリフラックスによる保護被膜の性能(洗浄後の被膜残留率、はんだボールの接合強度、はんだぬれ時間、はんだ広がり率)を以下のような方法で評価または測定した。得られた結果を表1〜表3に示す。
(1)洗浄後の被膜残留率
両面銅張積層板(大きさ:50mm×50mm、厚み:1.6mm、FR−4基材)を脱脂し、ソフトエッチングし、水洗して表面を清浄にした。その後、得られた水溶性プリフラックスに40℃で2分間浸漬して、銅箔表面に被膜形成して、水洗し、温風乾燥して試験基板を得た。
得られた試験基板に下記リフロー条件で2回リフロー処理を行い、その後、フラックス洗浄剤(花王社製の「クリンスルー750HS」)を用いて下記フラックス洗浄条件にて洗浄処理を行い、洗浄処理後の試験基板を得た。
洗浄処理前後の試験基板について、表面積25cm
2の試験基板上の被膜を0.5%塩酸50mLに抽出した後、抽出液中の被膜有効成分に起因する極大吸光度を測定した。そして、洗浄処理後の試験基板の吸光度(A
1)の洗浄処理前の試験基板の吸光度(A
0)に対する比率(A
1/A
0×100)を算出し、洗浄後の被膜残留率(単位:%)とした。
(リフロー条件)
酸素濃度:2000ppm以下
プリヒート:150〜180℃にて80秒間
ピーク温度:240℃(200℃以上の時間60秒間)
(フラックス洗浄条件)
洗浄液温度:40℃
洗浄時間:3分間
その他:浸漬揺動および超音波有り
【0040】
(2)はんだボールの接合強度
両面銅張積層板(大きさ:30mm×30mm、厚み:1.6mm、FR−4基材)を用いた以外は(1)洗浄後の被膜残留率の試験基板と同様にして、洗浄処理後の試験基板を得た。得られた洗浄処理後の試験基板に170℃にて5時間の加熱処理を行って、加熱処理後の試験基板を得た。
得られた加熱処理後の試験基板にポストフラックス(WWロジン25質量%含有)を塗布した後、はんだボール(大きさ:650μmφ、合金組成:Sn/3.0Ag/0.5Cu)を搭載する。その後、エアーリフローにてはんだボールを溶融し、試験基板とはんだボールを接合して、はんだボール接合後の試験基板を得た。
はんだボール接合後の試験基板について、プル強度試験機(Dage社製の「Dage4000」)を用いて、プル強度(接合強度、単位:mN)を測定した。
(3)はんだぬれ時間
銅板(大きさ:30mm×7.5mm、厚み:0.3mm)を用いた以外は(1)洗浄後の被膜残留率の試験基板と同様にして、洗浄処理後の試験基板を得た。得られた洗浄処理後の試験基板に空気循環式オーブンを用い200℃で20分間の加熱処理を行って、加熱処理後の試験基板を得た。
得られた加熱処理後の試験基板にポストフラックス(WWロジン25質量%含有)を塗布した後、JIS Z 3197のはんだ濡れ試験方法(メニスコグラフ法)の記載に準拠して、はんだぬれ時間(単位:秒)を測定した。
(4)はんだ広がり率
銅板(大きさ:50mm×50mm、厚み:0.5mm)を用いた以外は(1)洗浄後の被膜残留率の試験基板と同様にして、洗浄処理後の試験基板を得た。得られた洗浄処理後の試験基板に空気循環式オーブンを用い200℃で20分間の加熱処理を行って、加熱処理後の試験基板を得た。
JIS Z 3197のはんだ広がり試験の記載に準拠して、はんだ広がり率(単位:%)を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
表1〜表3に示す結果からも明らかなように、本発明の水溶性プリフラックスを用いて半導体用基板に保護被膜を形成した場合(実施例1〜16)には、洗浄後の被膜残留率、はんだボールの接合強度、はんだぬれ時間およびはんだ広がり率の全てにおいて十分な結果が得られた。そのため、本発明によれば、保護被膜の形成後にフラックス洗浄剤により半導体用基板を洗浄する場合においても、電極パッドの表面の酸化を十分に抑制できることが確認された。
一方で、前記一般式(1)で表される化合物以外のイミダゾール系化合物を用いた水溶性プリフラックスを用いて半導体用基板に保護被膜を形成した場合(比較例1〜6)には、特に被膜残留率が低くなり、電極パッドの表面の酸化を十分に抑制できないことが分かった。
【課題】保護被膜の形成後にフラックス洗浄剤により半導体用基板を洗浄する場合においても、電極パッドの表面の酸化を十分に抑制できる半導体用基板の表面処理方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を含有する水溶性プリフラックスを用いて、半導体用基板の電極パッド上に保護被膜を形成する水溶性プリフラックス処理工程と、フラックス洗浄工程と、を備えることを特徴とする方法である。
(一般式(1)中、XおよびYは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜7の直鎖または分岐鎖のアルキル基、ハロゲン原子などを表し、nは0〜4の整数を表し、mは0〜10の整数を表し、pは0〜4の整数を表し、かつ、XおよびYのうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であり、該ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)