特許第5657807号(P5657807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5657807改良されたケーブルマネージャを備える通信プラグ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657807
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】改良されたケーブルマネージャを備える通信プラグ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20141225BHJP
   H01R 13/58 20060101ALI20141225BHJP
   H01R 13/506 20060101ALI20141225BHJP
   H01R 24/62 20110101ALN20141225BHJP
【FI】
   H01R13/56
   H01R13/58
   H01R13/506
   !H01R24/62
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-534975(P2013-534975)
(86)(22)【出願日】2011年10月14日
(65)【公表番号】特表2013-543646(P2013-543646A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】US2011056395
(87)【国際公開番号】WO2012054341
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年6月13日
(31)【優先権主張番号】13/272,649
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/454,043
(32)【優先日】2011年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/393,982
(32)【優先日】2010年10月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キース・エス・マラント
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・アイ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・イー・フランセン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジー・ドラジシク・ジュニア
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07484993(US,B1)
【文献】 特開2004−031130(JP,A)
【文献】 特開2003−045513(JP,A)
【文献】 特開昭60−216477(JP,A)
【文献】 米国特許第06932641(US,B1)
【文献】 実開昭60−115466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56
H01R 13/58
H01R 13/506
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信プラグにおいて、
複数の導線を有する通信ケーブルと、
長手方向の長さを有するプラグハウジングと、
少なくとも部分的に前記プラグハウジング内に収容されたケーブルマネージャと、を備えた通信プラグであって、
前記ケーブルマネージャが、複数の細長い孔を有するロードバーと、第1のヒンジ部分を介して前記ロードバーに接続された第1のケーブル管理セクションと、第2のヒンジ部分を介して前記ロードバーに接続された第2のケーブル管理セクションと、を有し、前記ケーブルマネージャが前記プラグハウジング内に挿入される前に、前記第1および第2のケーブル管理セクションが折り畳み合わされて、少なくとも部分的に前記ケーブルを収容するように構成されており、
前記複数の細長い孔は前記プラグハウジングの長手方向の長さに全体的に平行に配置されており、前記複数の導線は前記複数の孔内に受け入れられ、
前記ケーブルマネージャは外向きに広がった振れ傾斜部分をさらに具備し、前記ケーブルマネージャが前記プラグハウジング内に挿入された場合、前記プラグハウジングと相互作用して、前記第1および第2のケーブル管理セクションを共に押圧し、且つ前記ケーブルに圧力を負荷する、通信プラグ。
【請求項2】
前記第1および第2のケーブル管理セクションがケーブルトラフを有し、前記ケーブルが少なくとも部分的に前記第1および第2の管理セクションの前記ケーブルトラフ内に収容されている、請求項1に記載の通信プラグ。
【請求項3】
前記ケーブルマネージャが、前記ケーブルマネージャを前記プラグハウジング内に挿入した後、プラグハウジング周縁部に係合して、前記ケーブルマネージャが前記プラグハウジングから後退して出てしまうことを防ぐように構成されたケーブルマネージャラッチを有する、請求項1に記載の通信プラグ。
【請求項4】
前記第1のケーブル管理セクションが、前記第1および第2のケーブル管理セクションを折り畳み合わせた際に、前記第2のケーブル管理セクションの一部分に係合するように構成された少なくとも1つのラッチを有する、請求項1に記載の通信プラグ。
【請求項5】
前記ケーブルトラフが少なくとも1つのリブ部分を含んでいる、請求項2に記載の通信プラグ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリブ部分が、前記第1および第2のケーブル管理セクションを前記ケーブルの周囲に折り畳み合わせた際に、前記ケーブルと概して同心円状となっている、請求項5に記載の通信プラグ。
【請求項7】
前記ケーブルトラフが角錐台形の返し部分のアレイを含んでいる、請求項2に記載の通信プラグ。
【請求項8】
前記角錐台形の返し部分のアレイが、前記第1および第2のケーブル管理セクションを前記ケーブルの周囲に折り畳み合わせた際に、前記ケーブルと同心円状となっている、請求項7に記載の通信プラグ。
【請求項9】
前記トラフが放射状の返し部分を互い違いに配置したアレイを含んでいる、請求項2に記載の通信プラグ
【請求項10】
前記第1のケーブル管理セクションが、前記第1および第2のケーブル管理セクションを折り畳み合わせた際に、前記第2のケーブル管理セクション上に配置された位置合わせガイドと相互作用するように構成された位置合わせピンを含んでいる、請求項1に記載の通信プラグ。
【請求項11】
前記第1および第2のケーブル管理セクションが、前記第1および第2のケーブル管理セクションを折り畳み合わせた際に、互いに係合するように構成された連動する位置合わせ機構を有する、請求項1に記載の通信プラグ。
【請求項12】
前記ロードバーの前記複数の孔がテーパ状である、請求項1に記載の通信プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、費用節減のため、外観を良くするため、ケーブルの柔軟性を高めるため、および、貴重な原料資源を節約するために、通信ケーブルの直径を小さくすることが求められている。
【背景技術】
【0002】
より小さい直径の導線を使用すれば、具体的には例えば26、28および30AWGの導線では、ケーブルの直径を減らすことができるが、より緊密な導線管理を行って、プラグ絶縁被覆貫通型端子(IPC)と通信コード/ケーブルの導線との間の導通状態継続性を確実にすることが望まれるようになる。より緊密な導線管理の要請に加えて、プラグアセンブリ内のケーブル外被の機械的保定をより高めることも有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,811,445号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような保定の維持は、ケーブル直径が小さくなるほど困難になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その1つの実施形態において、プラグハウジングを有する通信プラグと、少なくとも部分的にプラグハウジング内にあるケーブルマネージャと、を備える。ケーブルマネージャは、複数の貫通孔を有するロードバーを有する。ケーブルマネージャは、第1のヒンジ部分を介してロードバーに接続される第1のケーブル管理セクションと、第2のヒンジ部分を介してロードバーに接続される第2のケーブル管理セクションとをさらに含む。
【0006】
本発明は、その別の実施形態において、通信機器の一品目と、通信機器に接続される通信プラグと、を含む通信システムを備える。通信プラグは、プラグハウジングと、少なくとも部分的にプラグハウジングを持つケーブルマネージャとを含む。ケーブルマネージャは、複数の貫通孔を有するロードバーを有する。ケーブルマネージャは、第1のヒンジ部分を介してロードバーに接続される第1のケーブル管理セクションと、第2のヒンジ部分を介してロードバーに接続される第2のケーブル管理セクションとをさらに含む。
【0007】
本発明は、そのさらに別の実施形態において、ツイストペアの通信ケーブルと、少なくとも1つの通信プラグと、を含む通信コードの製造方法を含む。方法は、通信ケーブルを通信プラグのケーブルマネージャ内に挿入するステップと、ケーブルマネージャの第1のケーブル管理セクションをケーブルマネージャの第2のケーブル管理セクションに連結するステップと、通信プラグのハウジング内のケーブルマネージャを圧縮するステップと、を含む。
【0008】
本発明は、そのさらに別の実施形態において、プラグハウジングを有する通信プラグと、少なくとも部分的にプラグハウジング内にあるケーブルマネージャと、を備える。ケーブルマネージャは、第1のケーブル管理セクションおよび/又は第2のケーブル管理セクションの両方、またはいずれか一方にヒンジ接続されるブリッジ部分を含む。第1のケーブル管理セクションおよび/もしくは第2のケーブル管理セクションの両方、またはいずれか一方は、ケーブル軸のあるケーブルトラフを有する。第1のケーブル管理セクションは、少なくとも1つの第1の保定リブ部分を有し、第2のケーブル管理セクションは、第1の保定リブ部分の反対側にある少なくとも1つの第2の保定リブ部分を有する。
【0009】
本発明は、そのさらに別の実施形態において、ツイストペアの通信ケーブルと、少なくとも1つの通信プラグと、を有する通信コードの製造方法を含む。方法は、通信プラグのケーブルマネージャを開位置として成形するステップと、通信ケーブルの端部を中心にケーブルマネージャを折り畳むステップと、ケーブルマネージャおよび通信ケーブルを通信プラグのハウジング内に挿入するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信システムの斜視図である。
図2】本発明の通信プラグの第1の実施形態の部分分解斜視図である。
図3図2の通信プラグにおいて、ケーブルおよびケーブルマネージャが部分的にハウジング内に挿入された状態の通信プラグの斜視図である。
図4図2の通信プラグにおいて、第1および第2のケーブル管理セクションを互いから離すように折り畳んだ状態のケーブルマネージャの斜視図である。
図5a図2の通信プラグにおいて、ケーブルの導線をロードバー内に挿入し、第1および第2のケーブル管理セクションを互いから離すように折り畳んだ状態のケーブルマネージャの斜視図である。
図5b図2の通信プラグにおいて、ケーブルの導線をロードバー内に挿入し、第1および第2のケーブル管理セクションを互いから離すように折り畳んだ状態のケーブルマネージャの斜視図である。
図6a図2の通信プラグの底面図である。
図6b図2の通信プラグにおける図6aの線A−Aの断面図である。
図7】別のケーブルマネージャを有する本発明の通信プラグの第2の実施形態の部分分解斜視図である。
図8a図7の通信プラグのケーブルマネージャの斜視図である。
図8b図7の通信プラグのケーブルマネージャの斜視図である。
図9図7の通信プラグにおける線9−9の断面図である。
図10】本発明の通信プラグの第3の実施形態の斜視図である。
図11図10の通信プラグにおける線11−11の断面図である。
図12図10の通信プラグにおいて、第1および第2のケーブル管理セクションを互いから離すように折り畳んだ状態のケーブルマネージャ/歪み緩和カラー部分の斜視図である。
図13図12の通信プラグにおいて、第1および第2のケーブル管理セクションを互いに向けて折り畳み、ケーブルを収容した状態のケーブルマネージャ/歪み緩和カラー部分の斜視図である。
図14】本発明の通信プラグの第4の実施形態の斜視図である。
図15】ケーブルの導線をロードバー内に挿入した状態の図14のケーブルマネージャの斜視図である。
図16図14のケーブルマネージャを用いる通信プラグの斜視図である。
図17図16の通信プラグにおける線17−17の断面図である。
図18】ケーブルの導線をケーブルマネージャのロードバーに挿入した状態の本発明の通信プラグの第5の実施形態のケーブルおよびケーブルマネージャの斜視図である。
図19】第1および第2のケーブル管理セクションを互いから離すように折り畳んだ状態の図18のケーブルマネージャの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、通信ケーブル内のツイストペア導線が26−30米国ワイヤゲージ規格(AWG)である通信ケーブルとともに使用するのに適するプラグである。本発明は、CAT5Eアプリケーションにおいて具体的に示されているが、CAT6、CAT6A、およびその他のアプリケーションにも適合できる。本発明は、より大きい、および、より小さい導線ワイヤゲージにも適合できる。
【0012】
本発明は、図1に示すような通信システム20において使用されてもよい。通信システム20は、機器22に接続される少なくとも1つの通信コード21を含むことができる。機器22は図1においてパッチパネルとして図示されているが、機器は、パッシブ機器であってもアクティブ機器であってもよい。パッシブ機器の例は、限定されるものではないが、モジュラー型パッチパネル、パンチダウン型パッチパネル、カプラ型パッチパネル、壁の差込み口などであってもよい。アクティブ機器の例は、限定されるものではないが、データセンター/電気通信室でみられるようなイーサネット(登録商標)スイッチ、ルータ、サーバ、物理層管理システム、およびイーサネット(登録商標)ケーブルを介して電力を供給するPoE機器であってもよいし、セキュリティ装置(カメラおよびその他のセンサなど)およびドアアクセス機器であってもよいし、仕事場でみられるような電話、コンピュータ、FAX機器、プリンタおよびその他の周辺機器であってもよい。通信システム20は、キャビネット、ラック、ケーブル管理および頭上配線システム、およびその他の同様の機器をさらに含んでもよい。
【0013】
通信コード21は、シールドなしツイストペア(UTP)ケーブル23を含んでもよく、より具体的には、このアプリケーションにはCAT5Eケーブルを含んでもよい。しかしながら、本発明は、シールドの有無を問わず、あらゆるCAT5E、CAT6、CAT6A、CAT7、CAT7Aおよびその他のツイストペアイーサネット(登録商標)ケーブルに、またその他の種類のケーブルにも、様々な通信ケーブルに適用および実装の両方、またはいずれか一方をなされてもよい。コード21は、同様の機器22内に直接終端処理されるその他方の端部(図示略)を有していてもよいし、もう1つの方法として、RJ45規格、ジャックモジュールカセット、およびその他多数のコネクタタイプ、またはそれらの組み合わせなどの様々なプラグ26またはジャック部24として終端処理されてもよい。さらに、コード21は、ワイヤーハーネス、すなわちケーブルの束に加工されてもよいし、さらに、予め終端処理されたワイヤーハーネスに加工されてもよい。
【0014】
コード21は、パッチコード、ゾーンコード、幹線配線、および水平配線を含む様々な構内配線アプリケーションにおいて使用されてもよいが、本発明は、そうしたアプリケーションに限定されるものではない。概して、本発明は、軍用、産業用、通信用、コンピュータ用、データ通信用、海中用およびその他のケーブル配線用途に使用されてもよい。
【0015】
ここで図2および図3図3は、図2について180度回転されている)を参照すると、プラグアセンブリ26は、一体化されたロードバー30を有するケーブルマネージャ28と、プラグハウジング50と、を含む。ケーブルマネージャ28にはケーブル保定機構が含まれている。一体化されたロードバー30は、ケーブル23の26−30AWG絶縁被覆導線44(図5Aおよび図5Bに示す)を収容できる直径を有する導線用の孔46(図4図5A参照)を有する。
【0016】
ケーブルマネージャ28は、分離した歪み緩和カラーおよびケーブルブーツを要することなく、ケーブル導線44の配置を容易にし、ケーブル保定を向上するという効果がある特徴を含む。ケーブルマネージャ28は、好ましくは成形されたケーブルマネージャであり、また、好ましくは「開いた」構成(図4)で形成されて、図5aおよび図5bに示す8つの小さい導線44をその適切なロードバー孔46内に簡便に装着できるようにする。ロードバーまたはブリッジ部分30へのこのような直接アクセスは、ケーブルマネージャ28をヒンジ部分34とともに成形して、図2に示すように、ケーブルマネージャ28の2つのケーブル管理セクション10および11をケーブル23上に折り畳んで、モジュラープラグハウジング50内に最終的に挿入できるように提供することにより達成される。プラグハウジング50およびプラグ接点(プラグハウジング50の櫛状部分内)は、特許文献1に記述されたものと同じまたは同様のものである。
【0017】
ケーブル保定は、ケーブルの外被とケーブルマネージャ28との間の相互作用により達成される。好ましくは、ケーブルマネージャは、ケーブルの外被を圧縮して強固な締まり嵌めを形成し、ケーブルの外被を反対側のリブ部分との間に捉えるリブ部分を含む。リブ部分は、ケーブルマネージャのケーブル軸と、少なくとも近似的に、同心の中心を有するアレイ状に配置される。1つの実施形態において、図4に示すように、ケーブルマネージャ28の両方のケーブル管理セクション上に設けられたリブ部分36A−36Cは、ケーブルマネージャ28のセクションがヒンジ部分34に沿って折り畳まれ覆う際に、ケーブル23の外被に係合する。一時的に、ラッチ38は図2および図3に示すように係合して、プラグアセンブリ26の組み立て中に、ケーブル23がケーブルマネージャ28から後退して出てしまうことを防ぐ。1つの実施形態において、図示されたように、リブ部分36Aは、ケーブルマネージャ28の第1のケーブル管理セクション10上に設けられ、また、リブ部分/返し部分36Bおよび36Cは、ケーブルマネージャ28の第2のケーブル管理セクション11上に設けられる。好ましくは、リブ部分は、ケーブルマネージャ28のケーブル管理セクション10および11をケーブル23の周りに折り畳む際に、リブ部分の中心線がケーブル23の周りにほぼ円周方向に配置されるように構成される。同心円状のリブ部分により、ケーブルの断面をほぼ円形に維持している間にケーブルを締め付けることが可能になり、ケーブル内の導体の相対的な位置もまた維持する。リブ部分36A−36Cは、ケーブル23の外被内へしっかりと押圧するが、ケーブルの相対的な真円度は、導線対構成の相対的な対称性に沿って、概して維持される。
【0018】
ケーブル23の外被とケーブルマネージャ28との間の最終的な圧縮は、ケーブルマネージャ28がプラグハウジング50内に挿入される際に達成される。図3は、ケーブルマネージャ28およびケーブル23をプラグハウジング50内に部分的に挿入した様子を示す。ケーブルマネージャ28は、振れ傾斜部分58を含む。成形されたケーブルマネージャ28およびケーブル23がプラグハウジング50に挿入されると、振れ傾斜部分58は、プラグハウジング50の壁53に係合する。この相互作用は、ケーブルマネージャ28をさらに閉鎖させ、ケーブル23を圧縮およびわずかに変形させて、ケーブル23がリブ部分36A−Cの間に十分に保定されるようにする。リブ部分の高さは、ケーブルの外被の厚さの深さまで押圧するように設計されるが、同時に、ケーブル内のツイストペア線の撚りおよび間隔を大幅に乱すこともまた防ぐように設計される。リブ部分の高さは、例えば、ケーブル全体の直径、外被の材料、外被の厚さなど、またはこれらの組み合わせに依存してもよい。ケーブルマネージャ28は、追加的なリブ機構37を含むことができるが、リブ機構37は、同心円状のリブ部分36A−36Cと同程度の効果はない傾向がある。
【0019】
図6aは、本発明の1つの実施形態によるプラグの底面図であり、図6bは、図6aの線A−Aに沿った断面図である。図6bを参照すると、ケーブル23およびケーブルマネージャ28がプラグハウジング50から後退して出てしまうことを防ぐために、ケーブルマネージャ28がプラグハウジング50内に完全に着座される際に、ケーブルマネージャラッチ32は、プラグハウジング50に周縁部56において係合する。
【0020】
図7図9の実施形態において、プラグ60は、少なくとも部分的にプラグハウジング50内にあるケーブルマネージャ62とともに、プラグハウジング50を含む。プラグ26のケーブルマネージャ28と同様に、ケーブルマネージャ62は、第1のケーブル管理セクション66および第2のケーブル管理セクション68にヒンジ接続されるロードバー/ブリッジ部分64(一体化されたロードバー30は、ケーブルマネージャ28内にブリッジ部分/ロードバーを備える)を含む。さらにケーブルマネージャ28と同様に、第1のケーブル管理セクション66および第2のケーブル管理セクション68は、ケーブル軸72を有するケーブルトラフ70A、70Bを含み、第1のケーブル管理セクション66は、少なくとも1つの第1の保定リブ部分74を有し、第2のケーブル管理セクション68は、リブ部分74の反対側にある少なくとも1つの第2の保定リブ部分76を有する。リブ部分/返し部分74、76は、ケーブルマネージャ62上にアレイ状に配置され、より具体的には、リブ部分からなるアレイは、ケーブルトラフ70A、70B上の少なくとも一部分に存在し、そのアレイ(ケーブルトラフ70A、70Bにおけるリブ部分74、76の一群)は、ケーブルマネージャ62のケーブル軸72とほぼ同心の中心78(図9)を有する。
【0021】
リブ部分74、76は、対応するケーブルトラフ70Aまたは70Bにおいて矩形の土台を有する角錐台形である。概して閉位置で成形され、歪み緩和カラーを介してケーブルを引く必要がある特許文献1に記述された歪み緩和カラーとは異なり、ケーブルマネージャ28、62は、開位置で成形された後、ケーブル23の周囲に折り畳まれる。ケーブルマネージャのそのような成形および折り畳みは、ケーブルマネージャを介してリブ部分に対してケーブルを引く必要がないため、リブ部分を設計する際により高い自由度を提供する。その結果として、効果的なリブ部分は、本発明によってより様々な方法で設計されてもよく、ケーブルマネージャの成形のための引き通しダイを依然として使用しながら、リブ部分の長手方向の領域における切れ目を含む、より様々な形状で、ケーブルトラフに配置されてもよい。引き通しダイは、プラグを成形するために必要な主要な費用を低減する。本発明のプラグアセンブリ/コードの製造効率および比較的低いコストを同時に維持しながら、プラグアセンブリ/コードの引っ張り試験における十分な歪み緩和が、特に直径の小さいケーブルにおいて得られる。本発明によるプラグは、電気的性能が著しく低下するような仕方でケーブル内のより線を乱すことなく、小さい直径のケーブルを十分に保定できる。ケーブルマネージャ62は、位置合わせピン75および位置合わせガイド部分77を、それぞれ対応するセクション66および68に含んでもよい。
【0022】
別の実施形態において、本発明によれば、プラグアセンブリ80(図10図13)は、ケーブル28に接続されるケーブルマネージャ/歪み緩和カラー82と、ブーツ84と、導線仕分け部分86と、ロードバー88と、プラグハウジング50とを含む。ブーツ84と、導線仕分け部分86と、ロードバー88と、およびプラグハウジング50は、特許文献1に記述されたものと同じまたは同様のものであってもよい。
【0023】
ケーブルマネージャ/歪み緩和カラー82は、第1のケーブル管理セクション92および第2のケーブル管理セクション94にヒンジ接続されるブリッジ部分90を含む。第1のケーブル管理セクション92および第2のケーブル管理セクション94は、ケーブル軸98のあるケーブルトラフ96A、96Bをそれぞれ有する。第1のケーブル管理セクション92は、少なくとも1つの第1の保定リブ部分100を有し、第2のケーブル管理セクション94は、少なくとも1つの第2の保定リブ部分102を有する。リブ部分100、102は、ケーブルマネージャ82上にアレイ状に配置され、より具体的には、リブ部分からなるアレイは、ケーブルトラフ96A、96B上の少なくとも一部分に存在し、そのアレイ(ケーブルトラフ96A、96Bにおけるリブ部分100、102の一群)は、ケーブルマネージャ82のケーブル軸98とほぼ一致する中心104(図11)を有する。
【0024】
緩和スロット106は、ラッチ108の上方に配置されて、プラグハウジング50への組み立て中にラッチ108が反ることができるようにする。緩和スロット106により設けられた隙間によって、材料の応力が許容範囲内に保たれ、歪み緩和カラー82とプラグハウジング50との間に、頑強で、繰り返し可能なインタフェースがもたらされて、繰り返し荷重または振動荷重がかかる間、係合状態が保たれるようにする。
【0025】
歪み緩和カラー82は、射出成型プロセスを用いるポリマーで構成されてもよい。図12は、成形されたままの、開状態の歪み緩和カラー82を示す。図13は、ケーブルマネージャ82が部分的に組み立てられた状態で示す。ケーブルマネージャ28および62と同様に、図示のように歪み用カラー82を方向づけることにより、歪み緩和返し部分/リブ部分100、102および緩和スロット106を、成形品の引かれる方向に対して平行に位置合わせできる。これにより、歪み緩和カラー82は、引き通し型を用いて成形されることができ、これは、型の製造において、複雑な側面の可動部または型持たせを組み込むよりも大幅に廉価である。プラスチック製のヒンジ部分110により、歪み緩和カラー82が、プラグアセンブリ80に求められるように、折り畳み可能になる。歪み緩和カラー82は、クランプラッチ112をポケット部114に係合させると、閉じられて固定される。歪み緩和カラー82をケーブル23上に組み立てた後、プラグハウジング50およびブーツ84はスライドして係合し、歪み緩和カラー82を圧縮する。プラグ接点は圧着されてケーブル導線を貫通し、プラグアセンブリ80を完成する。
【0026】
歪み緩和カラー82は、ケーブル28を包み込み、ケーブル上にスライドしないため、リブ部分/返し部分100、102は、締め代深さにおいて比較的高くすることができる。ケーブルマネージャ82を開位置で成形することにより可能となった、より高い返し部分100、102、および複数の返し100、102は、ケーブル23への係合を最大化し、ケーブル23にかかる引っ張り力に起因して、ケーブル23が歪み緩和カラー82から自由にスライドする危険性を効果的に和らげる。
【0027】
プラグ26、60、及び/又は82のいずれかは、通信システム20で使用されてもよい。
【0028】
本発明による別の実施形態において(図14図17)、プラグ156は、一体化されたロードバー168を有するケーブルマネージャ160と、ハウジング161と、8つの絶縁被覆貫通型接点171と、を含む。一体化されたロードバー168は、導線用の孔163を有して、28AWGケーブル128のより小さい直径の導線129を収容する。ケーブル保定機構、すなわち放射状の返し部分162Aおよび162Bは、放射状のケーブルポケット部またはトラフ181Aおよび181Bから突出し、ヒンジ部分166および167の周囲で折り畳まれた際に(ヒンジ部分は、ケーブルマネージャの両面にある)、ケーブルマネージャ160がケーブル128を堅く把持できるようにする。放射状の返し部分162Aおよび162Bを、放射状のケーブルポケット部181Aおよび181Bに沿って互い違いに配置することにより、図17に示すように、ケーブルの外被131を、放射状の返し部分162Aおよび162Bの周囲に移動させる。ケーブル128は、圧縮されて、ケーブル保定を向上し、ケーブル128がプラグ156から引き抜かれるのを防ぐ。
【0029】
最終組み立て後、ヒンジ部分166または167の破砕が発生した場合におけるプラグの機能的な不具合を除去するため、連動する位置合わせ機構164および174を使用して、位置合わせし、また、2つの半分部分165Aおよび165Bの間の動きを最小化する。ポケット機構172が含まれて、成形中に形成されるひけマークを最小化し、また、追加的な位置合わせ機構170のための対になるポケット部を兼ねる。テーパ状の孔機構165により、導線129のロードバー孔163内への位置合わせが容易になる。陥凹ポケット部172、178および180は、部品全体にわたってより均等な壁厚を確保することにより、成形品ひけの問題を低減する。ケーブルマネージャ160は、成形された識別記号176を含んで、ケーブルマネージャ160の対応するゲージのケーブルとの適切な使用を確実にする。
【0030】
本発明による別の実施形態において、30AWGバージョンのケーブルマネージャ190を図18および19に示す。ケーブルマネージャ190は、ロードバー192内にある小さい導線用の孔194、ならびに、より小さいケーブル締め付け直径200Aおよび200Bを除き、ケーブルマネージャ160と本質的に同等に機能する。ケーブルマネージャ190は、成形された識別記号198を含んで、正しいケーブルマネージャの対応する30のゲージのケーブルとの顧客による適切な使用を確実にする。上述の特徴部分の変更により、より小さい30AWGのケーブル196および導線197が適用可能になる。
【0031】
プラグ26、60、82、156のいずれか、またはこれらの組み合わせは、通信システム20で使用されてもよい。
【0032】
本発明を、好ましい設計を有するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の精神と範囲内においてさらに改良してもよい。したがって本出願は、本発明の一般原則を使用する本発明のあらゆる変形、用途、または適合を包含することを意図している。さらに、本出願は、本発明が属する分野および添付する請求項の範囲内において公知の、または慣例的実施の範囲内に入るような本開示からの逸脱を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0033】
10,66,90 ・・・第1のケーブル管理セクション
11,68,94 ・・・第2のケーブル管理セクション
20 ・・・通信システム
21 ・・・通信コード
23,128,196 ・・・ケーブル
24 ・・・ジャック部
26,60,82,156 ・・・プラグ
28,62,160,190 ・・・ケーブルマネージャ
30,88,168,192 ・・・ロードバー
34 ・・・ヒンジ部
37 ・・・追加的なリブ機構
44 ・・・ケーブル導線
50 ・・・プラグハウジング
64 ・・・ロードバー/ブリッジ部分
72,98 ・・・ケーブル軸
74,100 ・・・第1の保定リブ部分
76,102 ・・・第2の保定リブ部分
82 ・・・ケーブルマネージャ/歪み緩和カラー
84 ・・・ブーツ
86 ・・・導線仕分け部分
106 ・・・緩和スロット
108 ・・・ラッチ
110,166,167 ・・・ヒンジ部分
161 ・・・ハウジング
164,174 ・・・位置合わせ機構
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
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図19