特許第5657816号(P5657816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5657816モジュール、モジュール組合体及びモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5657816
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】モジュール、モジュール組合体及びモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20141225BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20141225BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20141225BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L23/36 Z
   H02M7/48 Z
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-558261(P2013-558261)
(86)(22)【出願日】2013年2月28日
(86)【国際出願番号】JP2013055443
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】池田 康亮
【審査官】 金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−134990(JP,A)
【文献】 特開2009−177038(JP,A)
【文献】 特開2013−41939(JP,A)
【文献】 特開2006−186170(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157069(WO,A1)
【文献】 特開2013−21318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/229143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34−23/473
H01L 25/00−25/18
H02M 7/42− 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一絶縁性基板と、前記第一絶縁性基板の上方に設けられた第一導体層と、前記第一導体層の上方に設けられた第一電子素子と、を有する第一絶縁性基板側部材と、
第二絶縁性基板と、前記第二絶縁性基板の下方に設けられた第二導体層と、前記第二導体層の下方に設けられた第二電子素子と、を有する第二絶縁性基板側部材と、
前記第一絶縁性基板と前記第二絶縁性基板との間に設けられた封止材と、
を備え、
前記第一電子素子と前記第二電子素子とが対向して配置され、
前記第一電子素子と前記第二電子素子とが導電性を有する素子接続導体柱で接続され、
前記第一電子素子は、第一スイッチ素子と第一整流素子とを有し、
前記第二電子素子は、第二スイッチ素子と第二整流素子とを有し、
前記素子接続導体柱は複数の素子接続導体柱ユニットを有し、
前記素子接続導体柱ユニットのうちの一つが、前記第一スイッチ素子と前記第二整流素子とを接続し、
前記素子接続導体柱ユニットのうちの別の一つが、前記第二スイッチ素子と前記第一整流素子とを接続し、
前記第一導体層は複数の第一導体層ユニットを有し、
前記第二導体層は複数の第二導体層ユニットを有し、
前記第一導体層ユニットのうちの一つの上に前記第一スイッチ素子が設けられ、
前記第一導体層ユニットのうちの別の一つの上に前記第一整流素子が設けられ、
前記第二導体層ユニットのうちの一つの上に前記第二スイッチ素子が設けられ、
前記第二導体層ユニットのうちの別の一つの上に前記第二整流素子が設けられ、
導電性を有し、前記第一導体層ユニットと前記第二導体層ユニットとを接続する層接続導体柱が設けられ、
前記層接続導体柱は複数の層接続導体柱ユニットを有し、
前記層接続導体柱ユニットのうちの一つが、前記第一スイッチ素子が設けられた前記第一導体層ユニットと前記第二整流素子が設けられた前記第二導体層ユニットとを接続し、
前記層接続導体柱ユニットのうちの別の一つが、前記第二スイッチ素子が設けられた前記第二導体層ユニットと前記第一整流素子が設けられた前記第一導体層ユニットとを接続することを特徴とするモジュール。
【請求項5】
前記第一スイッチ素子と前記第一整流素子とが導電性を有する導体箔で接続される、又は、前記第二スイッチ素子と前記第二整流素子とが導電性を有する導体箔で接続されることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記第一スイッチ素子に接続された第一制御端子と、
前記第二スイッチ素子に接続された第二制御端子と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は5のいずれかに記載のモジュール。
【請求項7】
前記第一スイッチ素子、前記第一整流素子、前記第二スイッチ素子又は前記第二整流素子に接続された外部端子をさらに備えたことを特徴とする請求項1、5又は6のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項8】
前記第一スイッチ素子及び前記第二スイッチ素子の各々がバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1及び5乃至7のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項9】
前記第一整流素子及び前記第二整流素子の各々がダイオードであることを特徴とする請求項1及び5乃至8のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項10】
前記第一絶縁性基板の下方に設けられた第一放熱部材と、
前記第二絶縁性基板の上方に設けられた第二放熱部材と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1及び5乃至9のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項11】
前記第一放熱部材及び前記第二放熱部材の各々は、熱伝導性を有する放熱箔であることを特徴とする請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
電力を制御するパワーモジュールと、
前記パワーモジュールを制御する制御モジュールと、
を備え、
前記パワーモジュールは請求項1及び5乃至11のいずれか1項に記載のモジュールであり、
前記パワーモジュールの前記第一絶縁性基板の下方又は前記第二絶縁性基板の上方に設けられることを特徴とするモジュール組合体。
【請求項13】
第一絶縁性基板と、前記第一絶縁性基板の上方に設けられた第一導体層と、前記第一導体層の上方に設けられた第一電子素子と、を有する第一絶縁性基板側部材を準備する工程と、
第二絶縁性基板と、前記第二絶縁性基板の上方に設けられた第二導体層と、前記第二導体層の上方に設けられた第二電子素子と、を有する第二絶縁性基板側部材を準備する工程と、
前記第二絶縁性基板の上下を反転させたうえで、前記第一電子素子と前記第二電子素子とを対向して配置し、前記第一電子素子と前記第二電子素子とを導電性を有する素子接続導体柱で接続する工程と、
前記第一絶縁性基板と前記第二絶縁性基板との間に封止材を注入して配置する工程と、
を備え、
前記第一電子素子は、第一スイッチ素子と第一整流素子とを有し、
前記第二電子素子は、第二スイッチ素子と第二整流素子とを有し、
前記素子接続導体柱は複数の素子接続導体柱ユニットを有し、
前記素子接続導体柱ユニットのうちの一つが、前記第一スイッチ素子と前記第二整流素子とを接続し、
前記素子接続導体柱ユニットのうちの別の一つが、前記第二スイッチ素子と前記第一整流素子とを接続し、
前記第一導体層は複数の第一導体層ユニットを有し、
前記第二導体層は複数の第二導体層ユニットを有し、
前記第一導体層ユニットのうちの一つの上に前記第一スイッチ素子が設けられ、
前記第一導体層ユニットのうちの別の一つの上に前記第一整流素子が設けられ、
前記第二導体層ユニットのうちの一つの上に前記第二スイッチ素子が設けられ、
前記第二導体層ユニットのうちの別の一つの上に前記第二整流素子が設けられ、
導電性を有し、前記第一導体層ユニットと前記第二導体層ユニットとを接続する層接続導体柱が設けられ、
前記層接続導体柱は複数の層接続導体柱ユニットを有し、
前記層接続導体柱ユニットのうちの一つが、前記第一スイッチ素子が設けられた前記第一導体層ユニットと前記第二整流素子が設けられた前記第二導体層ユニットとを接続し、
前記層接続導体柱ユニットのうちの別の一つが、前記第二スイッチ素子が設けられた前記第二導体層ユニットと前記第一整流素子が設けられた前記第一導体層ユニットとを接続することを特徴とするモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電子素子を備えたモジュール、モジュール組合体及びモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一つの平面にトランジスタやダイオード等の電子素子を配置し、これらの電子素子の両面を電極で挟んだモジュールが知られている(例えば特許文献1参照)。このようなモジュールにおいて高出力を得るために、電子素子110のサイズを大きくしたり電子素子110の数を多くしたりすることが試みられている(2in1、4in1、6in1等)(図7参照)。
【0003】
しかしながら、他方ではモジュールの小型化が求められており、上述したように大きなサイズの電子素子110を用いたり多くの電子素子110を用いたりしつつもモジュールの大きさを小型化しようとすると、放熱性が低下してしまい、モジュールが熱暴走する可能性がある。
【0004】
また、多くの電子素子110を用いた際に、ワイヤ120等で電子素子110の間を接続した場合には(図7参照)、ワイヤ120の長さが長くなってしまう箇所があり、寄生インダクタンスや配線抵抗が大きくなってしまう。ちなみに、図7では、6つの電子素子110が設けられている「6in1」の態様が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−73342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような点に鑑み、本発明は、多くの電子素子を配置した場合であっても、大きさを小さくし、かつ、放熱性を維持することができ、さらには、寄生インダクタンスや配線抵抗が小さくすることができるモジュール及びモジュール組合体と、このようなモジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモジュールは、
第一絶縁性基板と、前記第一絶縁性基板の上方に設けられた第一導体層と、前記第一導体層の上方に設けられた第一電子素子と、を有する第一絶縁性基板側部材と、
第二絶縁性基板と、前記第二絶縁性基板の下方に設けられた第二導体層と、前記第二導体層の下方に設けられた第二電子素子と、を有する第二絶縁性基板側部材と、
前記第一絶縁性基板と前記第二絶縁性基板との間に設けられた封止材と、
を備え、
前記第一電子素子と前記第二電子素子とが対向して配置され、
前記第一電子素子と前記第二電子素子とが導電性を有する素子接続導体柱で接続されている。
【0008】
本発明のモジュールにおいて、
前記第一電子素子は、第一スイッチ素子と第一整流素子とを有し、
前記第二電子素子は、第二スイッチ素子と第二整流素子とを有し、
前記素子接続導体柱は複数の素子接続導体柱ユニットを有し、
前記素子接続導体柱ユニットのうちの一つが、前記第一スイッチ素子と前記第二整流素子とを接続し、
前記素子接続導体柱ユニットのうちの別の一つが、前記第二スイッチ素子と前記第一整流素子とを接続してもよい。
【0009】
本発明のモジュールにおいて、
前記第一導体層は複数の第一導体層ユニットを有し、
前記第二導体層は複数の第二導体層ユニットを有し、
前記第一導体層ユニットのうちの一つの上に前記第一スイッチ素子が設けられ、
前記第一導体層ユニットのうちの別の一つの上に前記第一整流素子が設けられ、
前記第二導体層ユニットのうちの一つの上に前記第二スイッチ素子が設けられ、
前記第二導体層ユニットのうちの別の一つの上に前記第二整流素子が設けられてもよい。
【0010】
本発明のモジュールは、
導電性を有し、前記第一導体層ユニットと前記第二導体層ユニットとを接続する層接続導体柱をさらに備え、
前記層接続導体柱は複数の層接続導体柱ユニットを有し、
前記層接続導体柱ユニットのうちの一つが、前記第一スイッチ素子が設けられた前記第一導体層ユニットと前記第二整流素子が設けられた前記第二導体層ユニットとを接続し、
前記層接続導体柱ユニットのうちの別の一つが、前記第二スイッチ素子が設けられた前記第二導体層ユニットと前記第一整流素子が設けられた前記第一導体層ユニットとを接続してもよい。
【0011】
本発明のモジュールにおいて、
前記第一スイッチ素子と前記第一整流素子とが導電性を有する導体箔で接続される、又は、前記第二スイッチ素子と前記第二整流素子とが導電性を有する導体箔で接続されてもよい。
【0012】
本発明のモジュールは、
前記第一スイッチ素子に接続された第一制御端子と、
前記第二スイッチ素子に接続された第二制御端子と、
をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明のモジュールは、
前記第一スイッチ素子、前記第一整流素子、前記第二スイッチ素子又は前記第二整流素子に接続された外部端子をさらに備えてもよい。
【0014】
本発明のモジュールにおいて、
前記第一スイッチ素子及び前記第二スイッチ素子の各々がバイポーラトランジスタであってもよい。
【0015】
本発明のモジュールにおいて、
前記第一整流素子及び前記第二整流素子の各々がダイオードであってもよい。
【0016】
本発明のモジュールは、
前記第一絶縁性基板の下方に設けられた第一放熱部材と、
前記第二絶縁性基板の上方に設けられた第二放熱部材と、
をさらに備えてもよい。
【0017】
本発明のモジュールにおいて、
前記第一放熱部材及び前記第二放熱部材の各々は、熱伝導性を有する放熱箔であってもよい。
【0018】
本発明のモジュール組合体は、
電力を制御するパワーモジュールと、
前記パワーモジュールを制御する制御モジュールと、
を備え、
前記パワーモジュールは上述した本発明によるモジュールであり、
前記パワーモジュールの前記第一絶縁性基板の下方又は前記第二絶縁性基板の上方に設けられることを特徴とするモジュール組合体。
【0019】
本発明のモジュールの製造方法は、
第一絶縁性基板と、前記第一絶縁性基板の上方に設けられた第一導体層と、前記第一導体層の上方に設けられた第一電子素子と、を有する第一絶縁性基板側部材を準備する工程と、
第二絶縁性基板と、前記第二絶縁性基板の上方に設けられた第二導体層と、前記第二導体層の上方に設けられた第二電子素子と、を有する第二絶縁性基板側部材を準備する工程と、
前記第二絶縁性基板の上下を反転させたうえで、前記第一電子素子と前記第二電子素子とを対向して配置し、前記第一電子素子と前記第二電子素子とを導電性を有する素子接続導体柱で接続する工程と、
前記第一絶縁性基板と前記第二絶縁性基板との間に封止材を注入して配置する工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第一絶縁性基板と、第一絶縁性基板に設けられた第一導体層と、第一導体層に設けられた第一電子素子と、を有する第一絶縁性基板側部材と、第二絶縁性基板と、第二絶縁性基板に設けられた第二導体層と、第二導体層に設けられた第二電子素子と、を有する第二絶縁性基板側部材と、が設けられている。このため、第一絶縁性基板側部材と第二絶縁性基板側部材の両方に電子素子を配置することができ、小さなスペースで多くの電子素子を配置することができる。
【0021】
また、第一電子素子の熱を主として第一絶縁性基板側から放熱し、第二電子素子の熱を主として第二絶縁性基板側から放熱することができるので、高い放熱性を実現することができる。
【0022】
また、第一電子素子と第二電子素子とが対向して配置され、第一電子素子と第二電子素子とが導電性を有する素子接続導体柱で接続されている。このため、第一電子素子と第二電子素子とを近い距離に位置づけることができ、かつ、ワイヤと比べ電気抵抗の低い素子接続導体柱で第一電子素子と第二電子素子とを接続することができるので、寄生インダクタンスや配線抵抗が小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態によるモジュールを示した概略斜視図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態によるモジュールにおいて制御モジュールを搭載していない状態を示した概略斜視図である。
図3図3は、図2に示したモジュールに封止材を設けた態様を側方から見た概略側方図である。
図4図4(a)は、本発明の第1の実施の形態によるモジュールにおいて、第一絶縁性基板側部材を示した概略斜視図であり、図4(b)は、第二絶縁性基板側部材を示した概略斜視図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態によるモジュールで用いられている回路を示した図である。
図6図6(a)は、本発明の第2の実施の形態によるモジュールにおいて、第一絶縁性基板側部材を示した概略斜視図であり、図6(b)は、第二絶縁性基板側部材を示した概略斜視図である。
図7図7は、従来のモジュールを示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明に係るモジュール、モジュール組合体及びモジュールの製造方法の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図5は本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態のモジュール組合体100は、電力を制御するパワーモジュール1と、パワーモジュール1を制御する制御モジュール90と、を備えている。なお、本実施の形態のモジュール組合体100は例えばインバータモジュールである。
【0026】
本実施の形態では、図1に示すように、パワーモジュール1の第二絶縁性基板61(後述する)の上面(上方)に制御モジュール90が設けられている。図1では、このような態様となっているが、これに限られることはなく、パワーモジュール1の第一絶縁性基板11(後述する)の下面(下方)に制御モジュール90が設けられてもよい。
【0027】
本実施の形態では、以下、4つの電子素子31a,31b,32a,32bが設けられている「4in1」の態様を用いて説明する。
【0028】
本実施の形態のパワーモジュール1は、図4(a)に示すように、第一絶縁性基板11と、第一絶縁性基板11の上方に設けられた第一導体層12と、第一導体層12の上方に設けられた第一電子素子31a,32aと、を有する第一絶縁性基板側部材10を備えている。また、パワーモジュール1は、図4(b)に示すように、第二絶縁性基板61と、第二絶縁性基板61の上方に設けられた第二導体層62と、第二導体層62の上方に設けられた第二電子素子31b,32bと、を有する第二絶縁性基板側部材60を備えている。
【0029】
なお、図4(b)では、第二絶縁性基板側部材60が第一絶縁性基板側部材10に貼り合わされる前であることから(図2及び図3参照)、最終的なパワーモジュール1における構成とは上下方向が逆転して示されている。すなわち、最終的なパワーモジュール1では、第二絶縁性基板61の下方に第二導体層62が設けられ、第二導体層62の下方に第二電子素子31b,32bが設けられることとなる(図2及び図3参照)。
【0030】
ちなみに、本実施の形態のパワーモジュール1では、図4(a)(b)に示されるように、左右対称(図4(a)の直線A−A及び図4(b)の直線A−Aに対して対称)の配置構造となっている。
【0031】
第一絶縁性基板11及び第二絶縁性基板61の材料としては例えばセラミックを挙げることができる。また、第一導体層12及び第二導体層62の材料としては例えば銅を挙げることができる。
【0032】
そして、図3に示すように、第一絶縁性基板11と第二絶縁性基板61との間には樹脂材料等からなる封止材80が設けられている。なお、図3では「点線」で封止材80が示されている。
【0033】
第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとは対向して配置されることとなる。そして、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとが、導電性を有し直線状で上下方向に延びた素子接続導体柱51で接続されることとなる。なお、素子接続導体柱51の材料としては例えば銅を挙げることができる。そして、後述する導体箔54a,54bと比較して厚みの厚い銅箔で素子接続導体柱51を形成することができる。
【0034】
図4(a)に示すように、第一電子素子31a,32aは、第一スイッチ素子31aと第一整流素子32aとを有している。また、図4(b)に示すように、第二電子素子31b,32bは、第二スイッチ素子31bと第二整流素子32bとを有している。そして、パワーモジュール1では、第一スイッチ素子31aと第二整流素子32bとが対向され、かつ、第二スイッチ素子31bと第一整流素子32aとが対向されて配置される。また、素子接続導体柱51は複数の素子接続導体柱ユニット51a,51bを有している。そして、素子接続導体柱ユニット51a,51bのうちの一つである素子接続導体柱ユニット51aが第一スイッチ素子31aと第二整流素子32bとを接続し、素子接続導体柱ユニット51a,51bのうちの別の一つである素子接続導体柱ユニット51bが第二スイッチ素子31bと第一整流素子32aとを接続している。
【0035】
本実施の形態で用いられるスイッチ素子31a,31b、つまり第一スイッチ素子31a及び第二スイッチ素子31bの各々は例えばバイポーラトランジスタからなっている。また、本実施の形態で用いられる整流素子32a,32b、つまり第一整流素子32a及び第二整流素子32bの各々は例えばダイオードからなっている。
【0036】
図4(a)に示すように、第一導体層12は複数の第一導体層ユニット12a−12dを有している。また、図4(b)に示すように、第二導体層62も複数の第二導体層ユニット62a−62cを有している。そして、図4(a)に示すように、第一導体層ユニット12a−12dのうちの一つである第一導体層ユニット12bの上に第一スイッチ素子31aが設けられ、第一導体層ユニット12a−12dのうちの別の一つである第一導体層ユニット12aの上に第一整流素子32aが設けられている。また、図4(b)に示すように、第二導体層ユニット62a−62cのうちの一つである第二導体層ユニット62bの上に第二スイッチ素子31bが設けられ、第二導体層ユニット62a−62cのうちの別の一つである第二導体層ユニット62aの上に第二整流素子32bが設けられている。
【0037】
本実施の形態のパワーモジュール1は、第一導体層ユニット12a,12bと第二導体層ユニット62a,62bとを接続する層接続導体柱52もさらに備えている。なお、層接続導体柱52は導電性を有しており、その材料としては例えば銅を挙げることができる。そして、例えば素子接続導体柱51とほぼ同じ厚みからなる銅箔で層接続導体柱52を形成することができる。
【0038】
層接続導体柱52は複数の層接続導体柱ユニット52a,52bを有している。図4(b)に示すように、層接続導体柱ユニット52a,52bのうちの一つである層接続導体柱ユニット52bが第二導体層ユニット62aに設けられ、当該第二導体層ユニット62aと第一導体層ユニット12bとを接続している。また、図4(a)に示すように、層接続導体柱ユニット52a,52bのうちの別の一つである層接続導体柱ユニット52aが第一導体層ユニット12aに設けられ、当該第一導体層ユニット12aと第二導体層ユニット62bとを接続している。
【0039】
図4(b)に示すように、本実施の形態では、第二スイッチ素子31bと第二整流素子32bとが導体箔53及び第二導体層ユニット62aを介して接続されている。この導体箔53は、導電性を有する例えば銅箔等から形成されている。ちなみに、本実施の形態の導体箔53は、素子接続導体柱ユニット51bと一体となり、素子接続導体柱ユニット51bの側壁から側方に延びて、第二導体層ユニット62aに接続されている。
【0040】
図4(a)に示すように、第一スイッチ素子31aには導体箔54a及び第一導体層ユニット12dを介して第一制御端子56aが接続され、図4(b)に示すように、第二スイッチ素子31bには第二導体層ユニット62b、導体箔54b及び導体層ユニット62cを介して第二制御端子56bが接続されている。
【0041】
また、図4(a)(b)に示すように、第一スイッチ素子31a、第一整流素子32a、第二スイッチ素子31b及び第二整流素子32bの各々には外部端子81−83が接続されている。より具体的には、第一整流素子32aには第一導体層ユニット12aを介して外部端子81が接続されている。第二整流素子32bには第二導体層ユニット62aを介して外部端子82が接続されている。第一スイッチ素子31aには素子接続導体柱ユニット51a、導体箔55及び第一導体層ユニット12cを介して外部端子83が接続されている。ちなみに、本実施の形態の導体箔55は、素子接続導体柱ユニット51aと一体となり、素子接続導体柱ユニット51aの側壁から側方に延びて、第一導体層ユニット12cに接続されている。
【0042】
本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第一絶縁性基板11の下方に、熱伝導性を有する平面状の第一放熱部材71が設けられている。また、第二絶縁性基板61の上方に、熱伝導性を有する平面状の第二放熱部材72が設けられている。なお、第一放熱部材71及び第二放熱部材72の材料としては例えば銅を挙げることができる。また、第一放熱部材71及び第二放熱部材72の各々を放熱箔とすることもでき、例えば銅箔とすることができる。なお、本実施の形態では、上述したように、銅箔等からなる第二放熱部材72の上面に制御モジュール90が設けられている。
【0043】
《製造方法》
次に、本実施の形態によるパワーモジュール1の製造方法について、簡単に説明する。
【0044】
まず、第一絶縁性基板側部材10及び第二絶縁性基板側部材60を準備する。
【0045】
なお、本実施の形態では、図4(a)に示すように、第一絶縁性基板側部材10が、第一絶縁性基板11と、第一絶縁性基板11の上方に設けられた第一導体層ユニット12a−12dと、第一導体層ユニット12a−12dのうちの一つである第一導体層ユニット12bの上方に設けられた第一スイッチ素子31aと、第一導体層ユニット12a−12dのうちの別の一つである第一導体層ユニット12aの上方に設けられた第一整流素子32aと、第一スイッチ素子31aの上方に設けられた素子接続導体柱ユニット51aと、第一導体層ユニット12aの上方に設けられた層接続導体柱ユニット52aと、第一絶縁性基板11の下方に設けられた第一放熱部材71と、を有している。また、図4(b)に示すように、第二絶縁性基板側部材60が、第二絶縁性基板61と、第二絶縁性基板61の上方に設けられた第二導体層ユニット62a−62cと、第二導体層ユニット62a−62cのうちの一つである第二導体層ユニット62bの上方に設けられた第二スイッチ素子31bと、第二導体層ユニット62a−62cのうちの別の一つである第二導体層ユニット62aの上方に設けられた第二整流素子32bと、第二スイッチ素子31bの上方に設けられた素子接続導体柱ユニット51bと、第二導体層ユニット62aの上方に設けられた層接続導体柱ユニット52bと、第二絶縁性基板61の下方に設けられた第二放熱部材72と、を有している。
【0046】
次に、第二絶縁性基板側部材60の上下を反転させたうえで、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを対向して配置する(図2及び図3参照)。より具体的には、第一スイッチ素子31aに第二整流素子32bが対向し、かつ、第一整流素子32aに第二スイッチ素子31bが対向するように配置する。そして、第一スイッチ素子31aと第二整流素子32bとを第一スイッチ素子31aに設けられた素子接続導体柱ユニット51aで接続し、第一整流素子32aに第二スイッチ素子31bを第二スイッチ素子31bに設けられた素子接続導体柱ユニット51bで接続する。この際、第一導体層ユニット12bと第二導体層ユニット62aとを当該第二導体層ユニット62aに設けられた層接続導体柱ユニット52bで接続し、第一導体層ユニット12aと第二導体層ユニット62bとを第一導体層ユニット12aに設けられた層接続導体柱ユニット52aで接続する。
【0047】
以上の工程を経たうえで、第一絶縁性基板11と前第二絶縁性基板61との間に封止材80を注入して配置する(図3参照)。
【0048】
以上のようにして、本実施の形態によるパワーモジュール1が製造される。
【0049】
そして、図1に示すような態様で、パワーモジュール1の第二放熱部材72の上面(上方)に制御モジュール90を設けることで、モジュール組合体100を製造することができる。
【0050】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果について説明する。
【0051】
本実施の形態によれば、第一絶縁性基板11と、第一絶縁性基板11に設けられた第一導体層12と、第一導体層12に設けられた第一電子素子31a,32aと、を有する第一絶縁性基板側部材10と、第二絶縁性基板61と、第二絶縁性基板61に設けられた第二導体層62と、第二導体層62に設けられた第二電子素子31b,32bと、を有する第二絶縁性基板側部材60と、を備えている(図4(a)(b)参照)。このため、第一絶縁性基板側部材10と第二絶縁性基板側部材60の両方に電子素子31a,31b,32a,32bを配置することができ、小さなスペースで多くの電子素子31a,31b,32a,32bを配置することができる。
【0052】
つまり、従来であれば、電子素子110の数を多くするとモジュールの平面方向の大きさが大きくなってしまっていた(図7参照)。また、封止材を設ける空間が必要となるので、モジュールの厚みを劇的に薄くすることは難しかった。これに対して、本実施の形態よれば、第一絶縁性基板側部材10と第二絶縁性基板側部材60の両方に電子素子31a,31b,32a,32bを配置し、これら電子素子31a,31b,32a,32bを覆うようにして封止材80を設けることから、小さなスペースで、かつ、厚みもそれほど厚くせずに、多くの電子素子31a,31b,32a,32bを配置することができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、第一電子素子31a,32aの熱を主として第一絶縁性基板11側から放熱し、第二電子素子31b,32bの熱を主として第二絶縁性基板61側から放熱することができるので、高い放熱性を実現することができる。
【0054】
つまり、従来であれば、平面状に設けられた電子素子110の熱を主に裏面等の一方の面からしか放出させることができず(図7参照)、放熱性が十分なものではなかった。これに対して、本実施の形態によれば、第一絶縁性基板11側に設けられた第一電子素子31a,32aからの熱を主に第一絶縁性基板11側から放熱し、第二絶縁性基板61側に設けられた第二電子素子31b,32bからの熱を主に第二絶縁性基板61側から放熱するので、高い放熱性を実現することができる。なお、本実施の形態によれば、当然、第一電子素子31a,32aからの熱を素子接続導体柱51を介して第二絶縁性基板61側から放熱し、第二電子素子31b,32bからの熱を素子接続導体柱51及び層接続導体柱52を介して第一絶縁性基板11側から放熱することもできる。
【0055】
また、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとが対向して配置され、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとが導電性を有する素子接続導体柱51で接続されている(図2及び図3参照)。このため、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを近い距離に位置づけることができ、かつ、ワイヤと比べ電気抵抗の低い素子接続導体柱51で第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを接続することができるので、寄生インダクタンスや配線抵抗が小さくすることができる。
【0056】
つまり、従来であれば、電子素子110が平面方向で設けられるので、各電子素子110の距離が遠くなっていた(図7参照)。また、従来では、電子素子110がワイヤ120で接続されていることから電気抵抗が高くなっていた。これに対して、本実施の形態によれば、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとが対向して配置され、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを近い距離に位置づけ、かつ、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとをワイヤではなく素子接続導体柱51で接続することができる。このため、従来のものと比較して、寄生インダクタンスや配線抵抗が小さくすることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、第一スイッチ素子31aと第二整流素子32bとを対向させ、かつ、第二スイッチ素子31bと第一整流素子32aとを対向させる(図2図4(a)(b)参照)。そして、素子接続導体柱ユニット51aが第一スイッチ素子31aと第二整流素子32bとを接続し、素子接続導体柱ユニット51bが第二スイッチ素子31bと第一整流素子32aとを接続する。
【0058】
一般に、バイポーラトランジスタ等のスイッチ素子からの発熱は、ダイオード等の整流素子からの発熱と比較して大きくなっている。この点、本実施の形態によれば、発熱の比較的大きい第一スイッチ素子31aと発熱の比較的小さい第二整流素子32bとを上下方向で近接させ、かつ、発熱の比較的大きい第二スイッチ素子31bと発熱の比較的小さい第一整流素子32aとを上下方向で近接させることとなる。このため、発熱の大きいスイッチ素子31a,31b同士が上下方向で近接することを避けることができ、高い放熱性を実現することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを接続する素子接続導体柱ユニット51a,51bの太さが、面内で第一スイッチ素子31aと第一整流素子32a及び第二スイッチ素子31bと第二整流素子32bとを接続する導体箔53よりも太くなっている。このため、素子接続導体柱ユニット51a,51bの熱伝導性を導体箔53による熱伝導性よりも高くすることができる。このような状況において、発熱の比較的大きい第一スイッチ素子31aと発熱の比較的小さい第二整流素子32bとを対向させ、かつ、発熱の比較的大きい第二スイッチ素子31bと発熱の比較的小さい第一整流素子32aとを対向させることには、重要な意義がある。
【0060】
また、図4(a)(b)に示すように、本実施の形態では、左右対称(図4(a)の直線A−A及び図4(b)の直線A−Aに対して対称)の配置構造となっていることから、左右対称でバランスよく放熱することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、第一導体層ユニット12bの上に第一スイッチ素子31aが設けられ、第一導体層ユニット12aの上に第一整流素子32aが設けられている。また、第二導体層ユニット62bの上に第二スイッチ素子31bが設けられ、第二導体層ユニット62aの上に第二整流素子32bが設けられている。そして、層接続導体柱ユニット52bが第一導体層ユニット12bと第二導体層ユニット62aとを接続し、層接続導体柱ユニット52aが第二導体層ユニット62bと第一導体層ユニット12aとを接続している。このため、図5で示すように、第一スイッチ素子31a(図5ではバイポーラトランジスタ)と第二整流素子32b(図5ではダイオード)とを並列で配置し、第二スイッチ素子31b(図5ではバイポーラトランジスタ)と第一整流素子32a(図5ではダイオード)とを並列で配置することができる。なお、図5では、左側がU相となり、右側がV相となっている。
【0062】
なお、図5に示した態様では、第一スイッチ素子31a及び第二スイッチ素子31bの各々がNPNバイポーラトランジスタであり、このNPNバイポーラトランジスタのコレクタ側の端子がダイオードのカソード側の端子に接続され、エミッタ側の端子がダイオードのアノード側の端子に接続されている。
【0063】
また、本実施の形態では、第一スイッチ素子31aと第一整流素子32aとがワイヤではなく導体箔53で接続され、第二スイッチ素子31bと第二整流素子32bとがワイヤではなく導体箔53で接続されている。このため、配線抵抗や寄生インダクタンスを小さくすることができ、ひいては、発熱を抑えることができる。また、このように配線抵抗や寄生インダクタンスを小さくすることによって、スイッチング動作時におけるノイズの影響を受け難くすることもできる。
【0064】
また、本実施の形態では、第一スイッチ素子31aには第一制御端子56aが接続され、第二スイッチ素子31bには第二制御端子56bが接続されている。このため、これら第一制御端子56a及び第二制御端子56bを、図5に示すように、スイッチ素子(バイポーラトランジスタ)31a,31bのベースとして機能させることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、第一整流素子32aに外部端子81が接続され、第二整流素子32bに外部端子82が接続され、第一スイッチ素子31aに外部端子83が接続されている。そして、図5に示すように、外部端子81をコレクタとして機能させ、外部端子83をエミッタとして機能させることができる。なお、外部端子82は中間端子として機能させることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、第一制御端子56a、第二制御端子56b及び外部端子81−83の各々を介して放熱することができ、第一絶縁性基板11及び第二絶縁性基板61の面の法線方向からだけではなく、これらの面の延在する方向(以下「面内方向」と言う。)でも放熱することができる。この点、本実施の形態では導体箔53が用いられることから、面内方向における熱伝導性も高くなっている。このため、このように第一制御端子56a、第二制御端子56b及び外部端子81−83の各々からも放熱することができることは、非常に有益である。
【0067】
なお、第一絶縁性基板11及び第二絶縁性基板61の面の法線方向への放熱は当該法線方向から45度以下の範囲で主に行われると考えられている。この点、本実施の形態による面内方向における放熱は当該45度の範囲以外の範囲で主に行われることから、放熱効率の高いものとなっている。
【0068】
また、本実施の形態では、第一絶縁性基板11の下側に第一放熱部材71が設けられ、かつ、第二絶縁性基板61の上側に第二放熱部材72が設けられている。このため、第一絶縁性基板11の面の法線方向における放熱性及び第二絶縁性基板61の面の法線方向における放熱性の両方をさらに高めることができる。
【0069】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0070】
上述した第1の実施の形態では、4つの電子素子が設けられている「4in1」を用いた態様であったが、これに限られることはなく、2つの電子素子が設けられている「2in1」、6つの電子素子が設けられている「6in1」等、n個の電子素子が設けられている「「n」in1」の態様を用いることができる。
【0071】
このようないずれの態様でも、上述した実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0072】
第2の実施の形態としては、一例として、2つの電子素子が設けられている「2in1」の態様を用いて説明する。なお、達成される効果については第1の実施の形態で詳細に説明したことから、第2の実施の形態で達成される効果については適宜省略しつつ簡単に説明する。
【0073】
まず、第一絶縁性基板側部材10と第二絶縁性基板側部材60の両方に電子素子31a,31b,32a,32bを配置することができ、小さなスペースで多くの電子素子31a,31b,32a,32bを配置することができる。
【0074】
また、第一電子素子31a,32aの熱を主として第一絶縁性基板11側から放熱し、第二電子素子31b,32bの熱を主として第二絶縁性基板61側から放熱することができるので、高い放熱性を実現することができる。
【0075】
また、第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを近い距離に位置づけることができ、かつ、ワイヤと比べ電気抵抗の低い素子接続導体柱51で第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとを接続することができるので、寄生インダクタンスや配線抵抗が小さくすることができる。
【0076】
また、発熱の比較的大きい第一スイッチ素子31aと発熱の比較的小さい第二整流素子32bとを対向させ、かつ、発熱の比較的大きい第二スイッチ素子31bと発熱の比較的小さい第一整流素子32aとを対向させるので、発熱の大きいスイッチ素子31a,31b同士が上下方向で近接することを避けることができる。このため、高い放熱性を実現することができる。
【0077】
また、第一スイッチ素子31aと第一整流素子32aとを導体箔53で接続し、第二スイッチ素子31bと第二整流素子32bと導体箔53で接続するので、配線抵抗や寄生インダクタンスを小さくすることができ、ひいては、発熱を抑えることができる。また、このように配線抵抗や寄生インダクタンスを小さくすることによって、スイッチング動作時におけるノイズの影響を受け難くすることもできる。
【0078】
また、第一制御端子56a、第二制御端子56b及び外部端子81−83の各々を介して放熱することができる。このため、第一絶縁性基板11及び第二絶縁性基板61の面の法線方向からだけではなく、第一絶縁性基板11及び第二絶縁性基板61の面内方向からも放熱することができる。
【0079】
なお、第1の実施の形態と同様に、第一放熱部材71及び第二放熱部材72を設けた場合には、第一絶縁性基板11の面の法線方向における放熱性及び第二絶縁性基板61の面の法線方向における放熱性の両方をさらに高めることができる。
【0080】
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0081】
1 パワーモジュール
10 第一絶縁性基板側部材
11 第一絶縁性基板
12 第一導体層
12a−12d 第一導体層ユニット
31a 第一スイッチ素子(第一電子素子)
32a 第一整流素子(第一電子素子)
31b 第二スイッチ素子(第二電子素子)
32b 第二整流素子(第二電子素子)
60 第二絶縁性基板側部材
61 第二絶縁性基板
62 第二導体層
62a−62c 第二導体層ユニット
51 素子接続導体柱
51a,51b 素子接続導体柱ユニット

52 層接続導体柱
52a,52b 層接続導体柱ユニット
53 導体箔
56a 第一制御端子
56b 第二制御端子
71 第一放熱部材
72 第二放熱部材
80 封止材
81 外部端子
82 外部端子
83 外部端子
90 制御モジュール
100 モジュール組合体
【要約】
モジュールは、第一絶縁性基板11と、第一絶縁性基板11の上方に設けられた第一導体層12と、第一導体層12の上方に設けられた第一電子素子31a,32aと、を有する第一絶縁性基板側部材10と、第二絶縁性基板61と、第二絶縁性基板61の下方に設けられた第二導体層62と、前記第二導体層62の下方に設けられた第二電子素子31b,32bと、を有する第二絶縁性基板側部材60と、前記第一絶縁性基板11と前記第二絶縁性基板61との間に設けられた封止材80と、を備えている。第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとは対向して配置されている。第一電子素子31a,32aと第二電子素子31b,32bとは導電性を有する素子接続導体柱51で接続されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7