(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態を
図1ないし
図2に基づいて説明する。なお、本発明と関係の薄い部分および自明な部分の説明に関しては、記載を簡略化又は省略する。以下、送信範囲等を指定して送信されたメールを範囲指定メールと記する。また、以下の説明では、メールの発信者はメッセージの宛先として、特定のメールアドレスを指定することなく、送信範囲(
図1の「斜線エリア」,
図2の「メール送信希望場所」参照)と、その他の条件(年齢、性別など)を宛先として指定することによって、当該範囲内であり且つ条件に一致した携帯端末に対して、範囲指定メールを通知する例を示す。
また、移動体通信システムとして、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の携帯電話システムを用いて説明する。尚、コアネットワークに属する交換機やゲートウェイ等の通信処理については、説明を省略する。また、同報配信メッセージであるCBSメッセージを移動体通信ネットワーク(SGSNやRNC等)に送信させる処理も説明を省略する。
【0018】
図1は、第1の実施形態の範囲指定メール送受信システムを概略的に示す説明図である。
図2は、範囲指定メールの範囲指定を概略的に示す説明図である。
図1に示される所定エリアに範囲指定メールを送信する携帯端末(送信端末)10は、送信先となる範囲(斜線エリア)を指定すると共に、範囲指定メールであることを識別可能な電子メールを作成して送信する範囲指定メール送信部を有する。範囲指定メール送信部は、一般的な携帯電話にメーラーとして実装され、予め定められたフォーマットに沿って範囲指定メールを作成し、移動体通信ネットワークの基地局40を介してメールサーバ30に範囲指定メールを送信する。
【0019】
移動体通信システムに備えられたメールサーバ30は、範囲指定メール通知部を有する。範囲指定メール通知部は、受信した範囲指定メールを識別し、識別した範囲指定メールの示す所定エリアをカバーする基地局40(
図1では基地局C)を検出する。その後、範囲指定メール通知部は、検出した基地局40から、指定された範囲を示す範囲情報を含む範囲指定メールの到達を示すCBSメッセージを移動体通信ネットワークに送信させる。
【0020】
メールサーバ30は、移動体通信ネットワーク内に設けてあるメールサーバでもよいし、他のネットワークの有するメールサーバでも可能である。ただし、本実施形態では、CBSメッセージを送信する為、CBC(Cell Broadcast Center)の機能を有するものとする。尚、既存のCBCを使用するようにしても良い。尚、他のネットワークにメールサーバを設ける場合には、移動体通信ネットワーク内に設けられるCBCとの連携を行なう。
【0021】
識別した範囲指定メールの示す所定エリアが、1つの基地局の範囲(cell)を超える場合や、1つの基地局で指定できない場合には基地局群を指定する。基地局群の指定は、ページングに使用するエリアリストに準じてもよいし、独自のテーブル情報としてもよい。なお、WCDMAの携帯電話システムの場合、通常、幾つかの基地局の集合単位(RoutingArea)毎に属する携帯電話を割り出してページングを行なっている。RoutingAreaについては、3GPP TS23.003に記載されている。他の通信方式でページング可能なエリアは、ページングエリア、ロケーションエリア、トラッキングエリアなどとも呼ばれ、使用されている。
【0022】
送信されるCBSメッセージの本文には、範囲情報と、範囲指定メールを受信する携帯端末20を絞るために付す属性情報とが記録され送信される。範囲情報は、緯度経度情報などで規定する。属性情報には、必要に応じて、送信端末の持ち主のパーソナル情報(年齢、性別、嗜好など)や使用履歴、受信端末の持ち主のパーソナル情報(年齢、性別、嗜好など)や使用履歴などを設定する。また、移動体通信システムの管理者側が設定することとしてもよい。尚、上記属性は、範囲指定メールの送信者が範囲指定メールを受信させたい対象を絞ることに利用してもよい。また、上記属性は、範囲指定メールの受信者が範囲指定メールを許容する対象を絞ることに利用してもよい。
【0023】
範囲指定メールの送信先となる範囲に在圏する携帯端末20(
図1では携帯端末H)は、範囲指定メール受信部を有する。範囲指定メール受信部は、範囲指定メールの到達を示すCBSメッセージの受信に伴い、内蔵する測位手段を用いて現在位置を測位し、測位した位置情報と前記同報配信メッセージに含まれる指定された範囲情報とを比較し、一致した場合に、メールサーバ30から範囲指定メールの受信動作を実行する。その後、携帯端末20は、使用者に対してメールの受信を報知する。尚、携帯端末20のCBSメッセージの受信に伴う動作は、予めプログラムされたアプリケーションに基づき動作することとしてもよいし、CBSメッセージ内に動作を指示する命令を記載して、その命令に従うようにしてもよい。
【0024】
ここで、上記携帯端末20の動作を詳細に説明する。
携帯端末20は、CBSメッセージの受信に伴い、以下の手順により、範囲指定メールを受信するか否かの判断を行なう。
(1)携帯端末20のユーザのパーソナル情報や各種条件が、CBSメッセージで通知された属性情報の条件に合致するか否かを判別処理する。条件に一致しなければ、範囲指定メールを受け取らない処理を行う。
(2)(1)の条件の次に、携帯端末20は、GPS等の測位手段を用いて、通信を伴わない測位を実施し、その結果とCBSメッセージに含まれる範囲情報とを比較することで、指定された場所の近傍にいる否かを判別処理する。これは、大まかに現在位置と指定された範囲が一致しているかを確認する処理である。条件に一致しなければ、範囲指定メールを受け取らない処理を行う。なお、日本のGPSを用いる移動体通信システムの測位では、携帯端末がネットワークから位置測位のために通信を介してアシスト情報を取得し、これを元により正確な位置を特定する方法(UE Based測位)が行なわれている。しかし、ここでは省電力と無線リソースの削減目的から、ネットワークとの通信は行なわず、携帯端末単独で現在位置を測位する方法(StandAlone測位)を用いる。GPS信号のみを使用した単独の測位では、通常誤差が大きいため、ここではCBSで指定されたエリア+事前に設定した一定誤差(例えば±50m)に含まれたエリアに居れば、条件を満たしたと判断する。
(3)(2)の条件の次に、携帯端末20は、ネットワークと通信を行って位置測位のためのアシスト情報を入手し、GPS信号とアシスト信号に基づき正確な現在位置を測位する。測位された位置情報とCBSメッセージに含まれる範囲情報とを再度比較し、条件に合致しているか否かを判別処理する。条件に一致しなければ、携帯端末20は、範囲指定メールを受け取らない処理を行う。
(4)(3)の条件の次に、携帯端末20は、移動体通信ネットワークを介してメールサーバ30と接続し、範囲指定メールをダウンロードする。その後、携帯端末20の使用者に範囲指定メールを受信したことを通知する。なお、上記条件に一致しなかった場合には、メール受信動作は行わず、携帯端末20の使用者には何も通知しない。
尚、測位手段は、どのような方式を用いてもよい。また、測位手段が十分な精度であれば、通信を伴わない測位である(2)のみでもよい。例えば、指定範囲が広く誤差範囲が小さい場合や、精度の良い測位手段を用いる場合である。他方、上記の様に、ネットワークとの通信を用いない測位とネットワークとの通信を用いる測位とを組み合わせて用いることによって、無線リソースの低減を図れる。尚、測位手段の一例は、3GPP TS25.305に記載してある。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の範囲指定メールの送受信システムは、所定エリアに範囲指定メールの送信を所望する携帯端末から、送信先となる範囲を指定した範囲指定メールを送信し、メールを管理するサーバが、受信した電子メール中から範囲指定メールを抽出し、抽出した範囲指定メールから指定範囲を識別し、識別した指定範囲をカバーする基地局又は基地局群を特定して、特定した基地局又は基地局群から、受信対象となる携帯端末の候補に範囲指定メールの受信通知を送信し、範囲指定メールの受信通知を受けた前記受信対象の候補である個々の携帯端末が、測位手段を用いて現在位置を測位し、測位した現在位置と、範囲指定メールの受信通知に含まれる指定範囲とを比較し、一致した場合に、範囲指定メールを受信して使用者に対して現時位置に範囲指定メールが受信したことを通知する。
【0026】
このように構成して動作させることによって、送信端末である携帯端末が相手の電子メールアドレスを知らなくても、場所およびその他条件を指定することで、不特定多数の携帯端末にメールを送信することが可能となる。
【0027】
また、本範囲指定メールの送受信システムでは、ネットワーク側は指定された場所をカバーする基地局(基地局群)にのみCBSメッセージを送信する。同様にCBSメッセージを受信した携帯端末側では、GPS等を用いて測位した現在位置と、CBSメッセージに格納されているメールの宛先となっている範囲とを比較するため(上記判断条件(2)、(3))、特許文献1のように、携帯端末側から事前に受信したい場所の位置情報を所定のサーバに通知しておく必要がない。また、携帯端末の場所が移動した場合でも、同様の理由からサーバに対して場所の更新を通知する必要がない。また、本範囲指定メールの送受信システムでは、事前にCBSメッセージを送信し、条件に該当した携帯端末のみが実際にメールを受信するため、条件に該当しない携帯端末が不要にメールの受信動作を行うことがない。換言すれば、本発明では、移動体通信ネットワークとして、特許文献1に記載された方法に対して、常時位置登録を行う通信リソースが不要となり、加えて測位に伴い発生する通信リソースを減少させる有利な効果を有する。
【0028】
尚、範囲指定メール受信部は、範囲指定メールで指定された範囲内に位置しない場合に、受信した同報配信メッセージに含まれる指定範囲を記憶保持して、所定時間等を条件に加え、適時測位して自端末が位置移動して保存されている指定範囲に入った場合に、その指定範囲に対して送信された範囲指定メールを受信するようにしても良い。所定時間は、送信側、受信側、ネットワーク側の何れかが指定することとすればよい。
【0029】
ここで、第1の実施形態を具現化した一例を示す。説明には、
図1ないし7を用いる。
【0030】
[携帯端末の構成]
図3は、範囲指定メールの送受信システムにおける携帯端末の概略的な構成図である。
携帯端末は、アンテナを含む無線部100、携帯端末の演算処理や制御を司る制御部200、測位手段としてのGPS測位部300、タッチパットやテンキーなどの本体操作部400、LCDなどで構成される本体表示部500、RAM、ROM等で構成される本体記憶部600を有する。
【0031】
本体記憶部600には、制御部200を範囲指定メール送信部および範囲指定メール受信部として動作させる範囲指定メール送受信用プログラムが記録されている。
【0032】
また、範囲指定メール送受信用プログラムは、範囲指定メール作成部と、指定範囲一致検出部、範囲指定メール取得部として、制御部200を動作させる。
範囲指定メール作成部は、範囲指定メールの送信時に、範囲等の入力を受け、所定のフォーマット形式に調える。
指定範囲一致検出部は、範囲指定メールの到達を示す同報配信メッセージの受信に伴い、測位手段を用いて現在位置を測位すると共に、測位した位置情報と同報配信メッセージに含まれる指定された範囲情報とを比較する。
範囲指定メール取得部は、範囲が一致した場合に、メールサーバから範囲指定メールの受信動作を実行する。
【0033】
[メール送信側の携帯端末の動作]
以下に手順を示す。なお、特に分岐や判定条件もないため、本手順のフローチャートは省略する。
1. 発信者は、携帯端末の操作部400を操作して、表示部500に表示された地図等を参照しながら、範囲指定メールを送信したい場所(指定範囲)を入力する。例えば、
図2の「メール送信希望場所」を2点で指定する。場所は、地図上の1点を指定しても良いし、
図2のように範囲で指定しても良い。また、店名や住所などで指定しても良い。
2.制御部200は、範囲指定メール作成部として動作し、入力された地図上の座標または店名、住所などを、緯度経度に変換する。変換は、携帯端末内の情報を用いても良い。また、ネットワークへ問い合わせすることで実施してもよいし、ネットワーク側で変換してもよい。
例:
1点の場合:北緯34度59分06秒、東経137度00分20秒(指定点周囲所定範囲を送信先となる範囲として指定する)
範囲の場合:北緯34度59分06秒、東経137度00分20秒〜北緯34度59分10秒、東経137度00分30秒(範囲の対角の座標を送信先となる範囲として指定する)
店名の場合:指定された店の名称とユニーク番号を通知(指定された店の敷地を送信先となる範囲として指定する)尚、敷地の指定は、ネットワーク上に予め登録されている複数座標による多角形で表現された範囲を引用する。
3.発信者は、操作部400を操作して、範囲指定メールを送信したい相手のパーソナル情報(年齢、性別、職業等々)を入力する。
4.発信者は、操作部400を操作してメールの本文を入力する。
5.発信者は、通常の電子メールと同様に操作部400を操作して範囲指定メールを送信する操作を行う。
6.制御部200は、範囲指定メール作成部として動作後、該電子メールが特定の位置を宛先とした範囲指定メールであることを示すために、事前にシステム間で定められたメールアドレス(例:AreaMail@aaa.bb)をメールの宛先部分に設定し、無線部100から移動体通信ネットワークのメールサーバ30へ該電子メールを送信する。範囲指定メールのフォーマットは、例えば、上記2で得られた緯度経度および、上記3で得られたその他条件をメール本文に含めたフォーマットが考えられる(
図4(a)参照)。なお、範囲指定メールのフォーマットを限定するものではない。別の例では、アドレスのローカル部に所定のルールに従って範囲等を記載するようにしてもよい。また、別の例では、メール本文にタグ等を用いて所定のルールに従って範囲等を記載するようにしてもよい。
【0034】
[メールサーバの構成]
メールサーバ30は、既存のメールサーバと同様な構成とする。即ち、制御部、ROM、RAM、入出力部、ネットワークインタフェース、補助記憶装置等を有し、メールサーバ用プログラムに基づき動作する。補助記憶装置には、オペレーティングシステム、メールサーバプログラムを始め、制御部を各種手段として機能させる様々なプログラムやデータが格納され、必要に応じて使用される。
メールサーバ用プログラムは、制御部を、範囲指定メール識別部、送信エリア特定部、範囲指定メール通知送信部および範囲指定メール保持部として、動作させる。
範囲指定メール識別部は、受信した電子メールの中から、所定エリアに対して送信を希望して送信された範囲指定メールを抽出して識別する。
送信エリア特定部は、識別した範囲指定メールの示す所定エリアをカバーする基地局又は基地局群を検出する。
範囲指定メール通知送信部は、移動体通信ネットワークに、検出した基地局又は基地局群から、メールIDを付した指定された範囲を示す範囲情報を含む範囲指定メールの到達を示すCBSメッセージを送信させる通知を送信する。 尚、範囲指定メール通知送信部から送信される範囲指定メールは、予め定められたフォーマットとして、AreaMail@aaa.bbのメールアドレスで送信され、メールのヘッダー部分に、メールID、送信先場所(指定範囲)、その他条件、を記載するものとする(
図4(b)参照)。当該フォーマットは、送信端末から送信されてきた範囲指定メールがアドレス変換され、メールID等の付加情報を追加される。
範囲指定メール保持部は、メールIDを付した範囲指定メールを、受信端末からの取得要求に応じられるように保持する。また、範囲指定メールへの返信に対応し、範囲指定メールの送信元端末の電子メールアドレスを当該メールIDに対応させて記憶する。
【0035】
[ネットワーク側の動作]
図5のフローチャートを用いてメールサーバ30を含む移動体通信ネットワークの動作を説明する。なお、説明の番号はフローチャート上の番号を表す。
1.メールサーバ30の制御部は、範囲指定メール識別部を用いて、電子メールの受信毎に、アドレスが予め定められた範囲指定メールのフォーマットであるかを識別し、範囲指定メールを抽出する。一例では、送信端末から宛先部分がAreaMail@aaa.bbとなっている電子メールが送信された場合、メールサーバ30の制御部は、該電子メールのアドレスを識別して、範囲指定メールであると認識する。宛先部分がAreaMail@aaa.bb以外である場合は、通常の電子メールとして処理する。
2.範囲指定メールであった場合、メールサーバ30の制御部は、送信エリア特定部を用いて、メールに含まれているメールを送信したい緯度経度情報を抽出し、その場所をカバーする基地局(群)を割り出す。当該処理は、例えば基地局毎にカバーするエリア(緯度経度)をテーブル情報(
図6参照)として予め保持し、指定された範囲を基地局毎のカバー範囲から検索することで行う。なお、メールの宛先となっている場所情報をカバーする基地局は1つとは限らず複数存在しても良い。
例:メールを送信したい緯度経度情報(宛先)が「北緯34度50分07秒、東経137度02分55秒」の場合、基地局番号は、テーブル情報(
図6)を参照して3を抽出する。
3.メールサーバ30の制御部は、受信した範囲指定メールから、場所情報(緯度経度)およびパーソナル情報(年齢、性別など)などを抽出し、範囲情報と属性情報としてCBSメッセージの本文に格納する。当該処理は、CBCの処理動作と同様に行えばよい。
4.作成した範囲指定メールを一意に特定できるメールIDを割り当てて、そのメールIDもCBSメッセージ本文に設定する。なお、メールサーバ30は、割り当てたメールIDとメールの送信元のメールアドレスを対応させて記憶しておく。本メールIDはメールを受信したユーザが、メールに返信する際に使用する。
5.メールサーバ30は、範囲指定メール送信部から、移動体通信ネットワークにCBSメッセージを送信させる指示通知を送信する。当該指示通知を受けた移動体通信ネットワークは、上記2の処理で求めた基地局から、上記3および4の処理で設定したCBSメッセージを送信する。上記2で求めた基地局が複数あった場合も同様に、複数の基地局からCBSメッセージを送信する。
【0036】
[メール受信側の携帯端末の動作]
図7のフローチャートを用いて受信側携帯端末の動作を説明する。なお、説明の番号はフローチャート上の番号を表す。
1.携帯端末の制御部200は、待ち受け状態から、無線部100を介してCBSメッセージを受信する。当該動作は既存の携帯端末と同様の動作である。尚、上記CBSメッセージは、移動体通信システムから、範囲指定メールの範囲を含む全ての基地局から送信されたCBSメッセージである。
2.制御部200は、受信したCBSメッセージの本文から、該CBSメッセージが範囲指定メールの送信通知であるか判別処理する。例えば、CBSの本文に前記「ネットワーク側の動作」の処理3で設定した、範囲情報や属性情報が含まれているかどうかで判断しても良い。また、事前に範囲指定メールシステムとして範囲指定メールの到達を示すCBSメッセージを、特別なCBSメッセージのIDを定義して、該メッセージIDを付与されたCBSメッセージを受信したかどうかで判断しても良い。判断の結果、範囲指定メールと異なるCBSメッセージ(緊急地震速報など)であれば、通常のCBS受信動作を行なう。本発明のCBSメッセージと判断した場合には、手順3へ進む。
3.制御部200は、受信したCBSメッセージに含まれている、属性情報と、事前に本体記憶部600に記憶されている携帯端末の保持する使用者の情報とを比較し、条件に一致するか判別処理する。
4.3の条件に一致した場合は、続けて携帯端末の制御部200は、GPS部300を用いて携帯端末の現在位置(緯度経度)を測定する。この場合、ネットワークからの測位のためのアシスト情報は利用せずGPS信号単独で測位を行なう(StandAlone測位)。
5.携帯端末の制御部200は、4で求めた現在位置(緯度経度)と、受信したCBSメッセージに含まれている緯度経度情報を比較し、現在位置が範囲指定メールの宛先に指定されている位置(範囲情報内)に該当するか判別処理する。その際、4で求めた現在位置には誤差が含まれるため、例えば、メールの宛先となっている緯度経度から、現在位置が±50m程度離れていても、該当したと判断する。
6.5の条件に一致した場合、携帯電話の制御部200は、無線部100を使用して通信ネットワークと通信して測位のためのアシスト情報を取得し、GPS部300からのGPS信号とアシスト情報とを用いて正確な端末の現在位置(緯度経度)を測定する(UE Based測位)。
7.携帯電話の制御部200は、6で求めた現在位置(緯度経度)と、受信したCBSメッセージに含まれているメールを送信したい緯度経度情報を比較し、現在位置がメールの宛先として指定されている範囲に該当するか判別処理する。
8.7の条件に一致した場合、携帯端末の制御部200は移動体通信ネットワーク(メールサーバ)と通信し、宛先がAreaMail@aaa.bbでなおかつメールIDが受信したCBSメッセージに含まれる範囲指定メールを受信する(「ネットワーク側の動作」の手順4参照)。
9.制御部200は範囲指定メールを受信したことをユーザに通知する。本動作は、通常のメール受信動作と同様である。例えば、携帯端末の本体記憶部600にメールを保存後、着信音やバイブレータを鳴らすと共に、表示部500に受信したメールの情報を表示する。
10.上記3、5、7において条件に一致しなかった場合、携帯端末の制御部200は本メールを受信する動作を行なわない。尚、使用者に対してCBSメッセージを受信したことも通知しない。
【0037】
[メール受信者が該メールに返信する際の動作]
1.メールの受信者が受信したメールに返信する際、携帯端末は、宛先や件名を所定のルール(例えばAreaMail@aaa.bb,タイトル[re:メールID]など)に設定し、受信したメールのメールIDを記載し、返信メールを送信する(「ネットワーク側の動作」の手順4参照)。
2.サーバでは、返信された返信メールの宛先が所定のルールであった場合、メールIDの有無を参照し、メールIDから記憶されている範囲指定メールの送信者のメールアドレスを選択し、返信メールとして送信者へと送付する。
【0038】
以上により、範囲指定メール送信システムは、メールの送信者に、返信者の送信した返信メールの内容を伝達できる。また、メールの送信者、返信者の実際のメールアドレスは、お互いに知ることなくメールのやり取りを可能とできる。尚、返信メールの送信の仕方は、移動体通信ネットワーク側で、範囲指定メールの送信元電子メールアドレスを既知としているので、返信メールがどの範囲指定メールへの返信であるか認識し、認識結果に基づいて送信元電子メールアドレスにアドレス変換して送信すれば他の方法でも可能である。
【0039】
上記動作を、
図1を用いて説明すれば、メールサーバ30は、基地局Bを介して携帯端末Aから範囲指定メールを受信(
図1の(1))し、範囲指定メールに含まれている範囲情報を参照して基地局CにCBSメッセージを同報配信(2)させる。この時点で、範囲情報を含まないセルに在圏する携帯端末B〜Dは、候補から場外されたこととなる。
基地局C40から範囲指定メールの到達を示すCBSメッセージが同報配信されると、CBSメッセージを受信した携帯端末E〜Hは、CBSメッセージ範囲指定メールの送信通知であることを識別し、属性情報の確認およびStandAlone測位を用いて現在位置の確認を行う。この時点で、現在位置が指定範囲外である携帯端末EおよびFは、候補から場外されたこととなる。尚、携帯端末Gについては、StandAlone測位の誤差を勘案して、現在位置が指定範囲近傍であることとして除外されない。
携帯端末GおよびHは、UE Based測位を実行し、正確に指定範囲内であるか現在位置の確認を行う。この時点で、現在位置が指定範囲外である携帯端末携帯端末Gは、候補から場外されたこととなる。
その後、携帯端末Hは、基地局Cを介してメールサーバ30と接続し、該当範囲指定メールをダウンロードし、使用者に範囲指定メールの到達を報知する。使用者が返信した場合には、メールサーバ30がどの範囲指定メールへの返信であるか識別し、アドレス変換して範囲指定メールの送信者に送信する。
このように動作することによって、携帯端末GおよびH以外は、共通チャネルのみで、範囲指定メールの到達の有無を検出できる。また、携帯端末H以外は、範囲指定メールの本文データを使用してダウンロードすることなく、範囲指定メールの到達の有無を検出できる。換言すれば、指定範囲内に在圏している携帯端末のみが個別チャネルを使用して範囲指定メールをダウンロードする。これは、携帯端末の省電力に有効である。また、無線リソースの有効利用にもなる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、相手の電子メールアドレスを知らなくても、場所およびその他条件を指定することで、不特定多数の人にメールを送信することが可能となる。
【0041】
ネットワーク側は宛先に指定された場所をカバーしている基地局に対してCBSメッセージを送信し、さらにCBSメッセージを受信した端末側で現在地と宛先に指定された位置が一致するかどうかを判断するため、特許文献1のように事前に受信したい場所の位置情報をサーバに通知しておく必要がない。
同様に事前にCBSメッセージを送信し、携帯端末側で範囲指定メールを受信するかどうかを判断するため、不要なメール受信動作を事前に削減することができる。
【0042】
次に第2の実施形態を
図2に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分、および関係の薄い部分、自明な部分の説明に関しては、記載を簡略化又は省略する。また、移動体通信システムとして、第1の実施形態と同様に、WCDMA方式の携帯電話システムを用いて説明する。
【0043】
所定エリアに範囲指定メールを送信する携帯端末は、第1の実施形態と同様に、送信先となる範囲を指定して範囲指定メールを送信する範囲指定メール送信部を有する。
【0044】
メールサーバは、受信した範囲指定メールを識別し、識別した範囲指定メールの示す所定エリアをカバーする基地局又は基地局群を検出し、識別した基地局又は基地局群に在圏する携帯端末を識別し、識別した携帯端末の電子メールアドレスに対して範囲指定メールを送信する範囲指定メール同報配信部を有する。ここで、第2の実施形態では、識別した基地局又は基地局群を、RoutingArea(WCDMAシステムの場合)に設定することである。尚、
図2で説明すれば、基地局C、基地局Dが該当する。アドレスを調査されて範囲指定メールが配信される携帯端末は、携帯端末Cおよび携帯端末Dとなる。
【0045】
範囲指定メールの送信先となった個々の携帯端末は、メールサーバから送信された範囲指定メールを受信し、測位手段を用いて現在位置を測位し、測位した位置情報と範囲指定メールに含まれる指定された範囲情報とを比較し、一致しない場合に、範囲指定メールを破棄する範囲指定メール受信部を有する。
図2で説明すれば、範囲指定メールを受信した携帯電話Cおよび携帯電話Dは、それぞれ属性および現在位置を確認し、携帯電話Cは範囲外であるので範囲指定メールを破棄し、携帯電話Dは範内であるので範囲指定メールの受信を使用者に通知する。
【0046】
本実施形態では、ネットワーク側は指定された場所をカバーする基地局又は基地局群に在圏している携帯端末に範囲指定メールを配信する。さらに範囲指定メールを受信した携帯端末側では、メール受信に伴い測位した現在位置と、メールの宛先となっている範囲とを比較するため、特許文献1のように事前に受信したい場所の位置情報をサーバに通知しておく必要がない。また、携帯端末の場所が移動した場合でも、同様の理由からサーバに対して場所の更新をする必要がない。
【0047】
尚、RoutingAreaについては、3GPP TS23.003に記載されている。通常、複数の基地局(セル)を束ねたエリアを表す。移動体通信ネットワーク(コアネットワーク)は、各携帯端末がどのRoutingAreaに在圏しているかを各種メモリに記憶しており、ある携帯端末に着信があった場合、その端末が在圏しているRoutingAreaに属する全てのセルに対し、該携帯端末を呼び出すPagingを送信している。各携帯端末は、RoutingAreaを跨いだセルの移動が発生したときのみ、ネットワークに対して位置登録処理(レジストレーション)を行うことで、在圏エリアが変わったことを通知する。
【0048】
次に、第2の実施形態を具現化した一例を示す。説明には、
図2および
図8〜
図10を用いて、第1の実施形態の説明との差分を記載する。
【0049】
[携帯端末の構成]
第2の実施形態に係る範囲指定メール送受信用プログラムは、範囲指定メール作成部と、指定範囲一致検出部として、制御部200を動作させる。
【0050】
指定範囲一致検出部は、範囲指定メールの受信に伴い、測位手段を用いて現在位置を測位すると共に、測位した位置情報と範囲指定メールに含まれる範囲情報とを比較し、一致しない場合に受信した範囲指定メールを破棄する。
【0051】
メール送信側の携帯端末の動作は、上記CBSを用いた場合と同様である為、記載を省略する。
【0052】
[メールサーバの構成]
メールサーバ30は、既存のメールサーバと同様な構成とする。メールサーバ用プログラムは、制御部を、範囲指定メール識別部、送信エリア特定部、範囲指定メール配信部および範囲指定メール保持部として、動作させる。
送信エリア特定部は、範囲指定メールに含まれていた指定範囲から当該範囲を含むセルを構築する基地局(群)を抽出し、各RoutingAreaとそれに属する基地局との対比をネットワークが保持するテーブル情報(
図8参照)から抽出した基地局(群)を含むRoutingArea検索して抽出する。
範囲指定メール配信部は、検出した基地局又は基地局群に在圏する携帯端末をコアネットワークと通信して識別し、識別した携帯端末の電子メールアドレスを各種メモリから取得し、取得したメールアドレスに対してメールIDを付した範囲指定メールを送信する。
【0053】
[ネットワーク側の動作]
図9のフローチャートを用いてメールサーバ30を含む移動体通信ネットワークの動作を説明する。
1.メールサーバ30の制御部は、範囲指定メール識別部を用いて、電子メールの受信毎に、アドレスが予め定められた範囲指定メールのフォーマットであるかを識別し、範囲指定メールを抽出する。宛先部分がAreaMail@aaa.bb以外である場合は、通常の電子メールとして処理する。
2.範囲指定メールであった場合、メールサーバ30の制御部は、送信エリア特定部を用いて、メールに含まれているメールを送信したい緯度経度情報を抽出し、その場所をカバーする基地局(群)を割り出す。
3.メールサーバ30の制御部は、基地局(群)が属するRoutingAreaを割り出して選択する。例:基地局番号が3となった場合、RoutingAreaは2となる。
4.メールサーバ30は、選択したRoutingAreaに現在在圏している携帯端末の使用者の情報を、コアネットワークと通信して識別する。
5.メールサーバは、識別した各携帯端末の使用者の情報を宛先として、範囲指定メールを個別送信する。その際、事前にシステムで決めておいたメールアドレス(例:AreaMail@aaa.bb)をメールの発信者部分に設定する。
また、範囲指定メールを一意に特定できるメールIDを割り当てて、そのメールIDも範囲指定メール内に設定し、送信する。
【0054】
[メール受信側の携帯端末の動作]
図10のフローチャートを用いて受信側携帯端末の動作を説明する。
1.携帯端末の制御部200は、待ち受け状態から、無線部100を介して電子メールを受信する。当該動作は既存の携帯端末と同様の動作である。
2.制御部200は、受信した電子メールを解析し、範囲指定メールであるか判別処理する。判断の結果、範囲指定メールと異なる電子メール(通常の電子メール)であれば、通常の受信動作を行なう。
3.制御部200は、受信した範囲指定メールに含まれている、属性情報と、事前に本体記憶部600に記憶されている携帯端末の保持する使用者の情報とを比較し、条件に一致するか判別処理する。
4.3の条件に一致した場合は、続けて携帯端末の制御部200は、GPS部300を用いてStandAlone測位を実施する。
5.携帯端末の制御部200は、4で求めた現在位置(緯度経度)と、受信した範囲指定メールに含まれている緯度経度情報を比較し、現在位置が誤差を含めて指定範囲内に該当するか判別処理する。
6.5の条件に一致した場合、携帯電話の制御部200は、GPS部300および無線部100を用いてUE Based測位を実施する。
7.携帯電話の制御部200は、6で求めた現在位置(緯度経度)と受信した範囲指定メールに含まれている指定範囲とを比較し、現在位置がメールの宛先として指定されている範囲に該当するか判別処理する。
8.制御部200は範囲指定メールを受信したことをユーザに通知する。
9.上記3、5、7において条件に一致しなかった場合、携帯端末の制御部200は受信した範囲指定メールを破棄する。このとき、使用者に対して範囲指定メールを受信したことも通知しない。
尚、上記説明では、5、7の条件に一致しない場合は受信した範囲指定メールを破棄としたが、破棄せずに一旦本体記憶部600にメールを保存しておき、その後、携帯電話の現在位置が移動して、メールの宛先である範囲に入った場合、本体記憶部600に保存してあった該メールを使用者に提示するようにしてもよい。
【0055】
[メール受信者が該メールに返信する際の動作]
1.メールの受信者が受信したメールに返信する際、携帯端末は、宛先や件名を所定のルールに従って設定し、受信した範囲指定メールのメールIDを含む、返信メールを送信する。
2.サーバでは、返信された返信メールの宛先が所定のルールであった場合、メールIDの有無を参照し、メールIDから記憶されている範囲指定メールの送信者のメールアドレスを選択し、範囲指定メールへの返信メールとして送信者へと送付する。
以上により、範囲指定メール送信システムは、メールの送信者に、返信者の送信した返信メールの内容を伝達できる。また、メールの送信者、返信者の実際のメールアドレスは、お互いに知ることなくメールのやり取りを可能とできる。
【0056】
また、ネットワーク側は宛先に指定された場所をカバーしている基地局(WCDMAの場合は基地局群:RoutingArea)に在圏している端末にのみメールを送信し、さらにメールを受信した端末側で現在地と宛先に指定された位置が一致するかどうかを判断するため、特許文献1のように事前に受信したい場所の位置情報をサーバに通知しておく必要がない。
【0057】
同様に、端末の場所が移動した場合でも、新たにサーバへの通知などは不要である。WCDMAの場合は、在圏するRoutingAreaを移動した場合は、ネットワークに対し位置登録を行うことが必要であるが、これは従来通りの動作である。ネットワークは常にメールの宛先として指定された位置をカバーしている基地局(群)に在圏している携帯端末にのみ範囲指定メールを送信し、範囲指定メールを識別した端末側では、現在地と宛先に指定された位置が一致するかどうかで、メールを保存するか、しないか判断すればよい。
【0058】
以上説明したように、本発明によれば、任意の場所に在圏する自ら受信範囲を登録していない不特定多数の相手に、範囲指定メールを送信できる範囲指定メールの送受信システムを提供できる。
【0059】
また、自ら受信範囲を登録せずとも、任意の場所にいる不特定多数に向けて送信されたメールを受信できる範囲指定メールの送受信システムを提供できる。
【0060】
尚、第1の実施形態においては、メールを管理するサーバから、同報配信メッセージを送信するタイミングを、範囲指定メールの識別の度に行うこととして記載したが、所定期間ごとの上述の動作を行なう様にしてもよい。このようにサーバを動作させれば、1つの同報配信メッセージに、複数の範囲指定メールの到達通知を入れることが可能となる。即ち、メールを管理するサーバは、受信した範囲指定メールを順次識別し、識別した複数の範囲指定メールの示す所定エリアをそれぞれカバーする基地局を検出し、所定時間の経過後に、移動体通信システムに、検出したそれぞれの基地局から、それぞれ、範囲情報、属性、メールIDを含む複数の範囲指定メールの到達を示す同報配信メッセージを送信させる。このように動作させれば、範囲指定メールの送信に伴う無線リソースの更なる低減を図れる。
【0061】
また、第2の実施形態において、範囲指定メールを検出した移動体通信網は、送信端末から送信された範囲指定メールを解析し、識別した所望エリアを管理する基地局群から在圏する移動端末に対して、範囲指定メールを通常の電子メールと同様に送信しているが、CBSメッセージで送信しても良い。
【0062】
また、上記実施形態では、所望エリアに電子メールを送信する情報処理端末を携帯端末としたが、所定のフォーマットで電子メールを送信可能であれば、例えばパーソナルコンピュータなどでも範囲指定メールを送信することは可能である。
【0063】
また、メールサーバは、範囲指定メールを管理するサーバとして、既存のメールサーバに付加的に設けてもよい。また、メールサーバ用のプログラムや携帯端末用のプログラムは、記憶媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。
【0064】
また、同報配信の方法は、CBSメッセージに限定されるものではない。例えば、3GPP2で規定されているBSMS(Broadcast Short Message Service)を用いてもよい。また、新たにCBSやBSMSと同様の同報配信方式を規定してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、範囲指定メールを受信する携帯端末は、CBSメッセージ(到達通知)又は範囲指定メールの何れかの受信に伴い測位を開始するように説明したが、CBSメッセージおよび範囲指定メールの両方に対応してもよい。即ち、携帯端末は、範囲指定メール又は範囲指定メールの到達通知の受信時に、受信した範囲指定メール又は範囲指定メールの到達通知の内容を解析を開始することとすれば良い。
【0066】
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【0067】
例えば、上記実施形態はWCDMAの携帯電話システムにおける手順を記載しているが、特にWCDMAに限定するものではない。例えば、他の3GシステムやLTEシステムにも適用できる。
【0068】
また、上記説明では、受信側携帯端末で属性情報を用いて範囲指定メールを使用者に通知するが否かを判別するとしたが、当該処理は、ネットワーク側で行なってもよい。例えば、範囲指定メールを提供するオペレータが範囲指定メールサービスの設定を記憶するメモリを準備し、当該メモリに使用者から受信希望条件等を入力させて、範囲指定メールの配信に伴う処理に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、様々な移動体通信ネットワークに適用できる。また、既存の移動体通信ネットワークに付加的に設けることも可能である。
【0070】
本発明を用いることで、任意の場所に居る不特定多数の人にメッセージ(メール)を届けることができるようになり、例えば、新宿駅前に居る人に駅の混雑度を教えてもらう、また、イベント会場に居る人にその場の動画を取って送ってもらうなどのユーザ間のコミュニケーションが取れるようになる。
【0071】
(付記1)所望エリアに電子メールを送信したい送信端末は、移動体通信網に、前記所望エリアを示す地理的情報を付して範囲指定メールである電子メールを送信し、移動体通信網は、前記送信端末から送信された電子メールを解析して前記所望エリアを識別し、識別した所望エリアを管理する基地局又は基地局群を検出し、検出した基地局又は基地局群から、該基地局又は基地局群に在圏する移動端末に対して、前記所望エリアに対して送信された前記電子メール又は前記電子メールの到達通知を送信し、前記基地局又は前記基地局群に在圏する移動端末の各々は、受信した前記電子メール又は前記電子メールの到達通知を解析して前記所望エリアを示す地理的情報を取得し、取得した地理的情報と測位して取得した現在位置とを比較して、現在位置が前記地理的情報内であれば、前記電子メールを使用者に対して範囲指定メールとして提供することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0072】
(付記2)所定エリアに範囲指定メールを送信する携帯端末は、送信先となる範囲を指定して範囲指定メールを送信する範囲指定メール送信部を備え、メールを管理するサーバは、受信した範囲指定メールを識別し、識別した範囲指定メールの示す所定エリアをカバーする基地局又は基地局群を検出し、検出した基地局又は基地局群から、少なくとも指定された範囲を示す範囲情報を含む範囲指定メールの到達を示す同報配信メッセージを送信させる範囲指定メール通知部を備え、前記範囲指定メールの送信先となる前記基地局又は基地局群に在圏する携帯端末は、前記範囲指定メールの到達を示す前記同報配信メッセージの受信に伴い、測位手段を用いて現在位置を測位し、測位した位置情報と前記同報配信メッセージに含まれる指定された範囲情報とを比較し、一致した場合に、前記サーバから前記範囲指定メールの受信動作を実行する範囲指定メール受信部を備えることを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0073】
(付記3)所定エリアに範囲指定メールを送信する携帯端末は、送信先となる範囲を指定して範囲指定メールを送信する範囲指定メール送信部を備え、メールを管理するサーバは、受信した範囲指定メールを識別し、識別した範囲指定メールの示す所定エリアをカバーする基地局又は基地局群を検出し、検出した基地局又は基地局群に在圏する携帯端末を識別し、識別した携帯端末の電子メールアドレスに対して範囲指定メールを送信する範囲指定メール同報部を備え、範囲指定メールの送信先となる前記基地局又は基地局群に在圏する携帯端末は、前記範囲指定メールを受信し、測位手段を用いて現在位置を測位し、測位した位置情報と前記範囲指定メールに含まれる指定された範囲情報とを比較し、一致しない場合に、前記範囲指定メールを破棄する範囲指定メール受信部を備えることを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0074】
(付記4)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記範囲指定メール受信部は、受信した前記同報配信メッセージ又は範囲指定メールに含まれる受信条件を定めた属性情報を識別し、当該属性情報と自端末の有する属性とを比較して、前記範囲指定メールを有効とするか無効とするか判別処理することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0075】
(付記5)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記範囲指定メール同報部は、受信した前記同報配信メッセージ又は範囲指定メールに含まれる受信条件を定めた属性情報を識別し、当該属性情報と前記識別した携帯端末に対して予め登録されている属性とを比較し、前記範囲指定メールを携帯端末の電子メールアドレスに対して送信するか否かを判別処理することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0076】
(付記6)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記範囲指定メール受信部は、現在位置の測位を行うときに、測位手段としてGPSを用いて、GPS信号のみを用いた測位に基づく位置情報と前記範囲情報とを比較し、所定の範囲内であれば、通信ネットワークを介してアシスト情報を取得して、GPS信号とアシスト情報とを用いて測位することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0077】
(付記7)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記同報配信は、3GPPの規定するCBS(Cell Broadcast Service)を用いることを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0078】
(付記8)上記付記に記載の範囲指定メールの送受信システムであって、前記同報配信は、3GPP2の規定するBSMS(Broadcast Short Message Service)を用いることを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0079】
(付記9)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記範囲指定メール受信部は、前記範囲指定メール送信部が指定した範囲内に位置する場合に使用者に対して範囲指定メールを受信したことを通知し、範囲内に位置しない場合に使用者に対して範囲指定メールを受信したこと通知しないことを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0080】
(付記10)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記メールを管理するサーバは、前記範囲指定メール受信部を有する携帯端末からの範囲指定メールへの返信メールを、該当範囲指定メールの受信時に記録した前記範囲指定メールを送信した携帯端末の電子メールアドレスに対して、範囲指定メールの返信として電子メールを送信することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0081】
(付記11)上記付記に記載の範囲指定メール送受信システムであって、前記範囲指定メール受信部は、前記範囲指定メール送信部が指定した範囲内に位置しない場合に、受信した前記範囲指定メール又は前記同報配信メッセージに含まれる指定範囲を記憶保持し、自端末の位置が保存してある指定範囲に一致した場合に、前記範囲指定メールを未受信であれば、前記範囲指定メールを受信し、前記範囲指定メールを使用者に対して提供することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。
【0082】
(付記12)範囲指定メールを送信する携帯電話は、移動体通信網に属するメールサーバに、送信エリアを記載した範囲指定メールを送信し、前記メールサーバは、前記携帯電話から送信されてきた範囲指定メールに含まれる前記送信エリアを識別し、前記送信エリアをカバーする基地局をカバーエリアの対応表から取得し、その結果の基地局から前記範囲指定メールの到達通知である同報配信メッセージを送信させる情報を移動体通信網に送信し、移動体通信網は、前記メールサーバからの情報に基づき、指定された基地局から前記同報配信メッセージを送信し、前記同報配信メッセージを受信した携帯電話は、前記送信エリアを識別すると共に自端末の現在位置を取得し、現在位置が前記送信エリア内であれば、前記範囲指定メールをダウンロードして使用者に対して提供することを特徴とする範囲指定メール送受信システム。