(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657905
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】シールド
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
H05K9/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-73603(P2010-73603)
(22)【出願日】2010年3月26日
(65)【公開番号】特開2011-205043(P2011-205043A)
(43)【公開日】2011年10月13日
【審査請求日】2013年2月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 聖和
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−154699(JP,U)
【文献】
実開平01−120378(JP,U)
【文献】
特開2008−034731(JP,A)
【文献】
特開2004−349356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体で構成され、
両面が開口しており、
開口に垂直な側面で囲まれた実装用シールドと、
弾性のある導電体で構成され、
天面の対向面は開口しており、
前記天面に対する4側面のうち、少なくとも2面は前記天面に垂直で、
前記天面に対する4側面のうち、前記天面に垂直な2側面に対向する2側面は前記天面に対して弾性のある内曲げとなる構造を有する組込用カバーシールドと、を備え
前記実装用シールドに前記組込用カバーシールドを嵌め込む場合、前記組込用カバーシールドの前記内曲げとなる内曲2側面に対抗する対抗2側面と、前記対抗2側面が接触する前記実装用シールドの前記側面との間に生じる寸法公差を、前記内曲げの弾性で前記寸法公差分の隙間を埋める
ことを特徴とするシールド構造。
【請求項2】
前記組込用カバーシールドは、前記内曲げとなっている側面が隣接する側面との間に切込みを有することを特徴とする請求項1に記載のシールド構造。
【請求項3】
前記組込用カバーシールドは、隣接する2つの前記側面の延長面の交わる稜線が面取りされており、
前記実装用シールドは、隣接する2つの前記側面の延長面の交わる稜線のうち、前記組込用カバーシールドの面取りされている部分に対応する稜線が面取りされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド構造。
【請求項4】
前記組込用カバーシールドは、前記天面の前記開口側の少なくとも一部に絶縁体を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシールド構造。
【請求項5】
弾性のある導電体で構成され、天面の対向面は開口しており、前記天面に対する4側面のうち、少なくとも2面は前記天面に垂直で、前記天面に対する4側面のうち、前記天面に垂直な2側面に対向する2側面は前記天面に対して弾性のある内曲げとなる構造を有する組込用カバーシールドを、
導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面で囲まれた実装用シールドに嵌め込む際に、
前記組込用カバーシールドの前記内曲げとなっている側面の内側が、前記実装用シールドの前記側面の外側に接触するように押し当てて、
前記組込用カバーシールドを接触した側面と反対方向に移動させた後、前記実装用シールドに嵌合するように前記組込用カバーシールドを、前記内曲げとなる内曲2側面に対抗する対抗2側面と、前記対抗2側面が接触する前記実装用シールドの前記側面との間に生じる寸法公差を、前記内曲げの弾性で前記寸法公差分の隙間を埋めて嵌め込む組込用カバーシールドの実装方法。
【請求項6】
弾性のある導電体で構成され、天面の対向面は開口しており、前記天面に対する4側面のうち、少なくとも2面は前記天面に垂直で、前記天面に対する4側面のうち、前記天面に垂直な2側面に対向する2側面は前記天面に対して弾性のある内曲げとなる構造を有し、隣接する2つの前記側面の延長面の交わる稜線が面取りされている組込用カバーシールドを、
導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面で囲まれ、隣接する2つの前記側面の延長面の交わる稜線のうち、前記組込用カバーシールドの面取りされている部分に対応する稜線が面取りされている実装用シールドに、嵌め込む際に、
前記実装用シールドの前記面取りされている部分と前記組込用カバーシールドの前記面取りされている部分とが対応するように、前記組込用カバーシールドを配置し、
前記組込用カバーシールドの前記内曲げとなっている側面の内側が、前記実装用シールドの前記側面の外側に接触するように押し当てて、
前記組込用カバーシールドを接触した側面と反対方向に移動させた後、前記実装用シールドに嵌合するように前記組込用カバーシールドを、前記内曲げとなる内曲2側面に対抗する対抗2側面と、前記対抗2側面が接触する前記実装用シールドの前記側面との間に生じる寸法公差を、前記内曲げの弾性で前記寸法公差分の隙間を埋めて嵌め込む組込用カバーシールドの実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波ノイズの輻射を抑える組込用カバーシールド、シールド構造及び組込用カバーシールドの実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば携帯電話機のCPU(Central Processing Unit)の動作速度の向上に伴い、高周波数の電磁波ノイズが、輻射によって携帯電話機内の各アンテナを経由して受信帯域へ回り込む、又は受信信号と干渉するおそれが生じるようになった。この電磁波ノイズの輻射を抑えるために、CPUの周囲をシールドする実装用シールドと、実装用シールドを覆う組込用カバーシールドとを組み合わせてシールドとして組み込む。しかし、実装用シールドは、CPUの破壊防止の樹脂塗布を行うために開口しており、加えて、実装用シールドと組込用カバーシールドとのそれぞれに設計上の公差が存在するため、電磁波ノイズの輻射を確実に抑えることができない。そして、導通を確実にするために公差をゼロに設定にしてしまうと組込性の問題が発生する。以下に例を示す。
【0003】
図22から
図26を参照して、実装用シールドと組込用カバーシールドとの実装方法について説明する。
図22は、電子素子、例えばCPU100を搭載した基板を示している。
図23は、CPU100を搭載した基板上の実装用シールド101を示している。
図24は、実装用シールドに、組込用カバーシールド102−1を被せた状態を示している。
図25は、
図24のC−C直線における破断面を示す図であり、CPU及び基板を省略している。
図26は、寸法公差を設けていない場合の組込用カバーシールド102−2の破断面を示す図である。
【0004】
まず、
図22に示すように、CPU100を基板上に搭載し、
図23に示すように、実装用シールド101が半田付けで実装され、実装用シールド101とCPU100との間に破壊防止の樹脂塗布が成される。そして、
図24に示すように、実装用シールド101に、組込用カバーシールド102−1が組み込まれるが、
図25に示すように、両シールドの間には隙間xがある。
図25におけるxは寸法公差であり、実装用シールド101に、組込用カバーシールド102−1を実装する際には必須の寸法である。この寸法公差があるため、組込用カバーシールド102−1と、実装用シールド101との間で確実に導電できない。しかし、
図26に示すように、寸法公差を無くした場合には、実装用シールド101に組込用カバーシールド102−2を組み込むことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−093471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示した発明では、実装用シールドに組込用カバーシールドを組み合わせる構成としているが、バネ性を持つ側板部は、内側に膨出する膨出部を加工する必要がある。また、基板に実装される部品を交換するために、実装用シールドを部品のサイズに合わせて設けてあり、組込用カバーシールドと組み合わせても確実なシールドができないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明では、容易かつ確実に電磁波ノイズの輻射を抑え、かつ組込性を向上させることができる組込用カバーシールド、シールド構造及び組込用カバーシールドの実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の組込用カバーシールドは、弾性のある導電体で構成され、天面の対向面は開口されており、前記天面に対する
4側面のうち、少なくとも
2面は前記天面に垂直で、前記天面に対する
4側面のうち、前記天面に垂直な
2側面に対向する
2側面は前記天面に対して、隣接する2面が内曲げとなる構造を有する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のシールド構造は、導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面で囲まれた実装用シールドと、弾性のある導電体で構成され、天面の対向面は開口しており、前記天面に対する4側面のうち、少なくとも2面は前記天面に垂直で、前記天面に対する4側面のうち、前記天面に垂直な2側面に対向する2側面は前記天面に対して
弾性のある内曲げとなる構造を有する組込用カバーシールドとを備え
前記実装用シールドに前記組込用カバーシールドを嵌め込む場合、前記組込用カバーシールドの前記内曲げとなる内曲2側面に対抗する対抗2側面と、前記対抗2側面が接触する前記実装用シールドの前記側面との間に生じる寸法公差を、前記内曲げの弾性で前記寸法公差分の隙間を埋めることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の組込用カバーシールドの実装方法は、弾性のある導電体で構成され、天面の対向面は開口しており、前記天面に対する4側面のうち、少なくとも2面は前記天面に垂直で、前記天面に対する4側面のうち、前記天面に垂直な2側面に対向する2側面は前記天面に対して
弾性のある内曲げとなる構造を有する組込用カバーシールドを、導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面で囲まれた実装用シールドに嵌め込む際に、前記組込用カバーシールドの前記内曲げとなっている側面の内側が、前記実装用シールドの前記側面の外側に接触するように押し当てて、前記組込用カバーシールドを接触した側面と反対方向に移動させた後、前記実装用シールドに嵌合するように前記組込用カバーシールドを
、前記内曲げとなる内曲2側面に対抗する対抗2側面と、前記対抗2側面が接触する前記実装用シールドの前記側面との間に生じる寸法公差を、前記内曲げの弾性で前記寸法公差分の隙間を埋めて嵌め込む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易かつ確実に電磁波ノイズの輻射を抑え、かつ組込性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明のシールド構造の破断面を示す図である。
【
図4】本発明の組込用カバーシールドの実装方法を示す破断面を示す図である。
【
図5】本発明の組込用カバーシールドの実装方法を示す破断面を示す図である。
【
図6】本発明の組込用カバーシールドの実装方法を示す破断面を示す図である。
【
図7】本発明の組込用カバーシールドの実装方法を示す破断面を示す図である。
【
図8】本発明のシールド構造の実施形態の斜視図である。
【
図9】本発明のシールド構造の実施形態の透視図である。
【
図10】本発明の組込用カバーシールドの実装方法の実施形態を示す断面図である。
【
図11】本発明の組込用カバーシールドの実装方法の実施形態を示す断面図である。
【
図12】本発明の組込用カバーシールドの実装方法の実施形態を示す断面図である。
【
図13】本発明の組込用カバーシールドの実装方法の実施形態を示す断面図である。
【
図14】本発明のシールド構造の実施形態の斜視図である。
【
図15】本発明のシールド構造の実施形態の透視図である。
【
図16】本発明のシールド構造の実施形態の斜視図である。
【
図17】本発明のシールド構造の実施形態の透視図である。
【
図18】本発明の組込用カバーシールドの概略図である。
【
図19】本発明の組込用カバーシールドの実施形態を示す概略図である。
【
図20】本発明の組込用カバーシールドの実施形態を示す概略図である。
【
図21】本発明の組込用カバーシールドの実施形態を示す概略図である。
【
図22】CPUを搭載した基板を示す概略図である。
【
図23】基板上の実装用シールドを示す概略図である。
【
図24】実装用シールドに従来の組込用カバーシールドを組み込んだシールド構造を示す概略図である。
【
図25】組込用カバーシールドと実装用シールドとの間の寸法公差を示す破断面を示す図である。
【
図26】組込用カバーシールドと実装用シールドとの間の寸法公差を無しとした破断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施の例に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
まず、
図1、
図2及び
図3を参照して、本発明のシールド構造の構成を説明する。
図1は、本発明のシールド構造の構成の概略図であり、組込用カバーシールドの天面と対向する開口側から見た図である。
図2は、
図1のA−A線における破断面を示す図であり、天面を上方として示している。
図3は、本発明のシールド構造の構成の概略図であり、組込用カバーシールドの天面から見た透視図である。
図1において、本発明のシールド構造は、導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面16−1で囲まれた実装用シールドと、弾性のある導電体で構成され、天面10−1の対向面は開口しており、天面10−1に対する側面11−1のうち、少なくとも1面は天面10−1に垂直で、天面10−1に対する側面11−1のうち、天面10−1に垂直な側面11−1に対向する側面12−1は天面10−1に対して内曲げとなる構造を有する組込用カバーシールドとを備える。
【0015】
組込用カバーシールドの天面10−1及び側面11−1は、導電体で構成された平面である。側面11−1は、隣接する面で、それぞれ天面10−1に対して垂直な面である。内曲げした側面12−1は、隣接する2面で、それぞれ天面に対して内曲げの面である。実装用シールドの開口に垂直な側面16−1は、基板上に半田付けされて実装され、基板上の素子、例えばCPUを囲い、発生する電磁波ノイズの輻射の影響を抑える。
図2に示すように、組込用カバーシールドが実装用シールドを覆うことで、実装用シールドの側面16−1と、組込用カバーシールドの内曲げされた側面12−1とが導通する。さらに、側面11−1は、内曲げされた側面12−1の弾性力によって、実装用シールドの側面16−1に押し付けられて導通する。
図3に示すように、隣接する2面を垂直、隣接する2面を内曲げとしているため、実装用シールドの側面16−1と、組込用カバーシールドの側面11−1とを、内曲げされた側面12−1の弾性を利用して導通させることができる。なお、実装用シールドの形状は、
図1、
図2及び
図3に示した形状に限られず、例えば、天面を塞いだ形状であってもよい。
【0016】
以上のように構成することで、本発明のシールド構造は、容易かつ確実に電磁波ノイズの輻射を抑え、かつ組込性を向上させることができる。
【0017】
また、
図1に示すように、内曲げとなっている側面12−1が隣接する側面11−1との間に切込み13−1を有してもよい。隣接する側面11−1との間に切込み13−1によって、内曲げされた側面12−1及び隣接する側面11−1が独立する。よって、内曲げされた側面12−1の弾性力が有効に働き、実装用シールドの側面16−1と組込用カバーシールドの側面11−1との導通及び実装用シールドの側面16−1と組込用カバーシールドの内曲げされた側面12−1と導通を確実にでき、かつ組込性を向上させることができる。
【0018】
次に、
図4から
図7を参照して、本発明の組込用カバーシールドの実装方法を説明する。
図4から
図7は、本発明の組込用カバーシールドの実装方法の手順を示す概略図である。なお、
図1におけるA−A直線における破断面を示す図を
図7とし、
図4から順に、組込用カバーシールドを実装用シールドに組み込む手順を追って示している。まず、
図4に示すように、組込用カバーシールドは、弾性のある導電体で構成され、天面10−2の対向面は開口しており、天面10−2に対する側面11−2のうち、少なくとも1面は天面10−2に垂直で、天面10−2に対する側面11−2のうち、天面10−2に垂直な側面11−2に対向する側面12−2は天面10−2に対して内曲げとなる構造を有する。実装用シールドは、導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面16−2に囲まれている。そして、組込用カバーシールドを実装用シールドに嵌め込む際に、
図5に示すように、組込用カバーシールドの内曲げとなっている側面12−2の内側が、実装用シールドの側面16−2の外側に接触するように押し当てる。内曲げになっている側面12−2を、組み込む際に外側に広げながら、実装用シールドに被せる。この時点では、
図6に示すように、実装用シールドの側面16−2と、組込用カバーシールドの側面11−2との間には、寸法公差分の隙間がある。さらに、
図7に示すように、組込用カバーシールドを接触した側面16−2と反対方向に移動させた後、実装用シールドに嵌合するように組込用カバーシールドを嵌め込む。内曲げとなっている組込用カバーシールドの側面12−2が、弾性変形することで、実装用シールドの側面16−2の外側に、組込用カバーシールドの側面11−2が押し当てられる。これにより、寸法公差分の隙間が埋まり、組込用カバーシールドと、実装用シールドとが導通する。
【0019】
以上の手順を実行することで、本発明の組込用カバーシールドを、容易かつ確実に組み込むことができ、電磁波ノイズの輻射を抑えることができる。
【0020】
また、
図1、
図3、
図8及び
図9を参照して、本発明のシールド構造の実施形態を示す。
図8は、本発明のシールド構造の実施形態を示す概略図である。
図9は、本発明のシールド構造の実施形態を示す平面図であり、天面から見た透視図である。
図1に示す隣接する2つの側面11−1の延長面に交わる稜線14−1に、
図8に示す面取り15−1が設けられてもよい。また、実装用シールドは、
図1に示す隣接する2つの側面16−1の延長面の交わる稜線17−1のうち、
図8に示す組込用カバーシールドの面取り15−1されている部分に対応する、
図1に示す稜線17−1に、
図8に示す面取り18−1が設けられてもよい。
図1に示す稜線14−1は、側面11−1が隣接している場合、延長面が交わった際にできる直線である。同様に、稜線17−1は、側面16−1が隣接している場合、延長面が交わった際にできる直線である。
図8における面取り15−1又は面取り18−1とは、
図1に示す稜線14−1及び稜線17−1を、ある角度で切断した形状とすることである。角度は例えば、45度である。組込用カバーシールドの面取り15−1を実装用シールドの面取り18−1の向きに配置すれば、組込用カバーシールドを、向きを違えることなく組み込むことができ、組込性を向上させることができる。
【0021】
次に、
図10から
図13を参照して、本発明の組込用カバーシールドの実装方法の実施形態を説明する。
図10から
図13は、本発明の組込用カバーシールドの実装方法の手順を示した概略図である。なお、
図8のB−B直線における断面図を
図13とし、
図10から順に、組込用カバーシールドを実装用シールドに組み込む手順を追って示している。まず、
図10において、組込用カバーシールドは、弾性のある導電体で構成され、天面10−3の対向面は開口しており、天面10−3に対する側面11−3のうち、少なくとも1面は天面10−3に垂直で、天面10−3に対する側面11−3のうち、天面10−3に垂直な側面11−3に対向する側面12−3は天面に対して内曲げとなる構造を有し、隣接する2つの側面11−3の延長面に交わる稜線が面取り15−1されている。そして、実装用シールドは、導電体で構成され、両面が開口しており、開口に垂直な側面16―3で囲まれ、隣接する2つの側面16−3の延長面の交わる稜線のうち、組込用カバーシールドの面取り15−1が設けられている部分に対応する稜線が面取り18−1されている。組込用カバーシールドを実装用シールドに嵌め込む際に、実装用シールドの面取り18−1されている部分と組込用カバーシールドの面取り15−1を設けている部分とが対応するように、組込用カバーシールドを配置する。次に、
図11において、組込用カバーシールドの内曲げとなっている側面12−3の内側が、実装用シールドの側面16−3の外側に接触するように押し当てながら、最初に実装用シールドの面取り18−1と、組込用カバーシールドの面取り15−1とを嵌合させる。
【0022】
そして、
図12に示すように、内曲げになっている側面12−3を、組み込む際に外側に広げたまま、実装用シールドに被せる。この時点では、実装用シールドの側面16−3と、組込用カバーシールドの側面11−3との間には、寸法公差分の隙間がある。さらに、
図13に示すように、組込用カバーシールドを接触した側面16−3と反対方向に移動させた後、実装用シールドに嵌合するように組込用カバーシールドを嵌め込む。移動は組込用カバーシールドの側面12−3の弾性を利用してもよい。内曲げとなっている組込用カバーシールドの側面12−3の、弾性変形が元に戻ることで、実装用シールドの側面16−3の外側に、組込用カバーシールドの側面11−3が押し当てられる。これにより、寸法公差分の隙間が埋まり、組込用カバーシールドと、実装用シールドとが導通する。以上の手順を実行することで、実装用シールドの面取り18−1及び組込用カバーシールドの面取り15−1を、組み込み時のガイドとして使用し、組込用カバーシールドの面取り15−1を、実装用シールドの面取り18−1の向きに配置すれば、向きを違えることなく組み込むことができ、組込性を向上させることができる。
【0023】
次に、
図14から
図17を参照して、本発明の組込用カバーシールドの実施形態の構成を説明する。
図14及び
図17は、本発明の組込用カバーシールドの実施形態の構成の概略図である。なお、
図15及び
図17は、組込用カバーシールドの天面側から見た透視図である。
図14に示すように、天面10−4の開口側の少なくとも一部に絶縁体19−1を有してもよい。絶縁体19−1は、例えば、組込用カバーシールドに貼付された絶縁テープである。具体的には、
図15に示すように、絶縁体19−1は、組込用カバーシールドの開口部側に存在する電子素子23−1、例えばCPUを、組込用カバーシールドに直接接触しないようにすることで、短絡を防ぐことができる。また、
図16に示すように、実装用シールドの面取り18−2と、組込用カバーシールドの面取り15−2とを、組み込み時のガイドとして使用してもよい。
図17に示すように、組込用カバーシールドの面取り15−2を、実装用シールドの面取り18−2の向きに配置すれば、向きを違えることなく組み込むことができ、組込性を向上させつつ、絶縁体19−2を確実に機能させることができる。
【0024】
次に、
図18を参照して、本発明の組込用カバーシールドの構成を説明する。
図18は、本発明の組込用カバーシールドの構成の概略図であり、天面と対向する開口側から見た図である。
図18において、本発明の組込用カバーシールドは、弾性のある導電体で構成され、天面10−6の対向面は開口されている。天面10−6に対する側面11−6のうち、少なくとも1面は天面10−6に垂直で、天面10−6に対する側面11−6のうち、天面10−6に垂直な側面11−6に対向する側面12−6は天面10−6に対して内曲げとなる。組込用カバーシールドの天面10−6及び側面11−6は、導電体で構成された平面である。側面11−6は、隣接する面で、それぞれ天面10−6に対して垂直な面である。内曲げした側面12−6は、隣接する2面で、それぞれ天面に対して内曲げの面である。隣接する2面を垂直、隣接する2面を内曲げとしているため、内曲げされた側面12−6は、実装用シールドの側面に接触することで、弾性を利用して側面11−6を実装用シールドの側面に接触させて導通させる。側面11−6と実装用シールドとの間には寸法公差の隙間があるが、内曲げされた側面12−6の弾性力により、寸法公差の隙間を埋めることができる。なお、実装用シールドの形状は、例えば、天面を塞いだ形状であってもよい。組込用カバーシールドが実装用シールドを覆うことで、実装用シールドの側面と、組込用カバーシールドの内曲げされた側面12−6とが導通する。さらに、側面11−6は、内曲げされた側面12−6の弾性力によって、実装用シールドの側面に押し付けられて導通する。
【0025】
以上のように構成することで、本発明のシールド構造は、容易かつ確実に電磁波ノイズの輻射を抑え、かつ組込性を向上させることができる。
【0026】
次に、
図18及び
図19を参照して、本発明の組込用カバーシールドの実施形態の構成を説明する。
図19は、本発明の組込用カバーシールドの実施形態の構成の概略図であり、天面と対向する開口側から見た図である。ここで、内曲げとなっている側面12−7が隣接する側面11−7との間に切込み13−6を有してもよい。本発明の組込用カバーシールドの弾性力が有効に働き、実装用シールドの側面と組込用カバーシールドの側面11−7との導通及び実装用シールドの側面と組込用カバーシールドの側面12−7と導通を確実にでき、組込性を向上させることができる。ここで、
図18に示す隣接する2つの側面11−7の延長面に交わる稜線14−3に、
図19に示すように面取り15−3を設けてもよい。
図18に示す稜線14−3は、側面11−6が隣接している場合、延長面が交わった際にできる直線である。
図19に示す面取り15−3とは、
図18に示す稜線14−3を、ある角度で切断した形状とすることである。角度は例えば45度である。
【0027】
以上説明したように、本発明の組込用カバーシールドについて、面取り15−1を基準の向きに配置すれば、向きを違えることなく組み込むことができ、組込性を向上させることができる。
【0028】
次に、
図20及び
図21を参照して、本発明の組込用カバーシールドの実施形態の構成を説明する。
図20及び
図21は、本発明の組込用カバーシールドの実施形態の構成の概略図であり、天面と対向する開口側から見た図である。
図20に示すように、天面の開口側の少なくとも一部に絶縁体19−3を有してもよい。絶縁体19−3は、例えば、組込用カバーシールドに貼付された絶縁テープである。組込用カバーシールドが覆う基板上の素子、例えばCPUが組込用カバーシールドに接触して短絡しないようにできる。また、
図21に示すように、組込用カバーシールドの面取り15−4を、組み込み時のガイドとして使用してもよい。実装用シールドの面取りを組込用カバーシールドの面取り15−4の向きに配置すれば、向きを違えることなく組み込むことができ、組込性を向上させつつ、絶縁体19−4を確実に機能させることができる。
【符号の説明】
【0029】
10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6,10−7,10−8,10−9:天面
11−1,11−2,11−3,11−4,11−5,11−6,11−7,11−8,11−9:側面
12−1,12−2,12−3,12−4,12−5,12−6,12−7,12−8,12−9:内曲げした側面
13−1,13−2,13−3,13−4,13−5,13−6,13−7,13−8:切込み
14−1,14−2,14−3,14−4,14−5,14−6:稜線
15−1,15−2,15−3,15−4:面取り
16−1,16−2,16−3,16−4,16−5:実装用シールドの側面
17−1,17−2:実装用シールドの稜線
18−1,18−2:実装用シールドの面取り
19−1,19−2,19−3,19−4:絶縁体
23−1,23−2:電子素子
100:CPU
101:実装用シールド
102−1,102−2:組込用カバーシールド