特許第5657926号(P5657926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中日産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000002
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000003
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000004
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000005
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000006
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000007
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000008
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000009
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000010
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000011
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000012
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000013
  • 特許5657926-運搬車のブレーキ装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657926
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】運搬車のブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/04 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   B62B5/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-139590(P2010-139590)
(22)【出願日】2010年6月18日
(65)【公開番号】特開2012-1157(P2012-1157A)
(43)【公開日】2012年1月5日
【審査請求日】2013年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213138
【氏名又は名称】中日産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100150935
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】新美 剛
【審査官】 芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−334602(JP,A)
【文献】 特開平09−207786(JP,A)
【文献】 特開2006−321412(JP,A)
【文献】 実開昭63−148576(JP,U)
【文献】 特開2003−104208(JP,A)
【文献】 特開平10−157631(JP,A)
【文献】 特開2002−104195(JP,A)
【文献】 特開2003−182587(JP,A)
【文献】 特開2007−083966(JP,A)
【文献】 特開2011−183933(JP,A)
【文献】 実開昭59−058680(JP,U)
【文献】 実開昭59−163559(JP,U)
【文献】 実開昭62−040070(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/04
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車の台車フレームの両側端部に棚枠が立設され、該台車フレームの両側端底部に2対の自在キャスターが設けられると共に、該台車フレームの底部略中央に1対の固定キャスターが設けられ、該1対の固定キャスターにブレーキをかける運搬車のブレーキ装置において、
該1対の固定キャスターの車輪に、円周上に多数の嵌合孔を設けたブレーキディスクが該車輪と同軸上に固定され、
該1対の固定キャスターの支持フレームに、各々ブレーキ部材が傾動可能に支持され、
該ブレーキ部材には、該ブレーキディスクの嵌合孔に嵌合可能な突起が突設され、
前記1対の固定キャスターを取り付けた台車フレームに、連結板が回動可能に軸支され、該連結板と前記1対のブレーキ部材間が各々リンク部材を介して連結される一方、前記ブレーキワイヤの端部が該連結板に連結され、
手動操作されるブレーキレバーが運搬車の棚枠に枢支され、該ブレーキレバーをブレーキ解除状態でロックするロック部材が枢軸を介して回動可能に軸支され、該ブレーキレバーと該ブレーキ部材がブレーキワイヤを介して連結され、
該連結板には該ブレーキ部材を制動側に付勢するばね部材が設けられ、
該ばね部材により該連結板を介して該ブレーキ部材が制動側に動作し、該突起が該嵌合孔に嵌合して該固定キャスターにブレーキがかかり、該ブレーキレバーを操作したとき、該ばね部材の付勢力に抗して該連結板が回動して、該ブレーキ部材が傾動し、該ブレーキ部材の突起が該ブレーキディスクの嵌合孔から外れて、ブレーキが解除され、該ブレーキ解除の状態は、該ロック部材により該ブレーキレバーをロックして保持されることを特徴とする運搬車のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量販店、スーパーマーケット等の店舗で使用され、商品を載置して運搬し、そのまま店舗内での商品の陳列に使用することができるキャリーカートのブレーキなどとして好適な運搬車のブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット、量販店等の大型店舗で使用される手動式の運搬車として、4個または6個のキャスターを設けた板状の台車の両側に、梯子状の縦枠を立設した構造のキャリーカートが知られている。この種のキャリーカートは、台車の上に例えば箱形の商品を積み重ねたり、長尺の商品を立てて並べたりして載置し、それを店舗内にそのまま運搬して、商品の陳列に使用される。このような商品の陳列にキャリーカートつまり運搬車が使用されるため、運搬車には確実なブレーキ装置が必要とされる。
【0003】
従来のこの種の運搬車のブレーキ装置として、台車の底部に取り付けたキャスタータイヤをブレーキシューにより直接押圧して、ブレーキをかける構造のブレーキ装置が使用されている。キャスターのブレーキ装置は、一般に、各キャスターの車輪支持用のホーク部に押圧レバーが設けられ、その押圧レバーによってブレーキシューをタイヤに押し付け、ブレーキをかける構造である。
【0004】
このため、各キャスターについてブレーキ操作を行う必要があり、また台車の中央底部に位置するキャスターは、ブレーキ装置が付属していても、操作レバーが底部内側に位置するため、操作がしにくいという問題があった。
【0005】
そこで、従来、前後に2対の自在キャスターを設けると共に中央底部に1対の固定キャスターを設けた運搬車において、底部中央の1対の固定キャスターに対し、足踏み式のブレーキペダルの操作によりブレーキシューを押し付けてブレーキをかけるブレーキ装置が、下記特許文献1などで提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−175401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このブレーキ装置は、ブレーキペダルを足で踏みこむことにより、操作力をブレーキワイヤ或いはリンク部材を介してブレーキシューに伝える構造のため、使用者によっては、ブレーキペダルが過度に踏み込まれる場合があり、これにより、ワイヤの伸びやリンクの緩みが発生しやすく、使用に伴い、ブレーキ力を正確に伝達できなくなる虞があった。
【0008】
また、足踏み式のブレーキペダルは、台車フレームの下側に設けられているので、台車上の物品を見ながら搬送作業などを行う作業者にとって、下を向かずにブレーキを操作しようとするため、ブレーキ操作時にブレーキペダルを正しく踏めない場合があり、足踏み式のブレーキ装置は、場合によってはブレーキ操作がやりにくい不具合があった。
【0009】
本発明は、上記の点にかんがみなされたもので、使用者が手の操作で簡単にブレーキ操作を行なうことができる運搬車のブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る請求項1の運搬車のブレーキ装置は、
運搬車の台車フレームの両側端部に棚枠が立設され、該台車フレームの両側端底部に2対の自在キャスターが設けられると共に、該台車フレームの底部略中央に1対の固定キャスターが設けられ、該1対の固定キャスターにブレーキをかける運搬車のブレーキ装置において、
該1対の固定キャスターの車輪に、円周上に多数の嵌合孔を設けたブレーキディスクが該車輪と同軸上に固定され、
該1対の固定キャスターの支持フレームに、各々ブレーキ部材が傾動可能に支持され、
該ブレーキ部材には、該ブレーキディスクの嵌合孔に嵌合可能な突起が突設され、
前記1対の固定キャスターを取り付けた台車フレームに、連結板が回動可能に軸支され、該連結板と前記1対のブレーキ部材間が各々リンク部材を介して連結される一方、前記ブレーキワイヤの端部が該連結板に連結され、
手動操作されるブレーキレバーが運搬車の棚枠に枢支され、該ブレーキレバーをブレーキ解除状態でロックするロック部材が枢軸を介して回動可能に軸支され、該ブレーキレバーと該ブレーキ部材がブレーキワイヤを介して連結され、
該連結板には該ブレーキ部材を制動側に付勢するばね部材が設けられ、
該ばね部材により該連結板を介して該ブレーキ部材が制動側に動作し、該突起が該嵌合孔に嵌合して該固定キャスターにブレーキがかかり、該ブレーキレバーを操作したとき、該ばね部材の付勢力に抗して該連結板が回動して、該ブレーキ部材が傾動し、該ブレーキ部材の突起が該ブレーキディスクの嵌合孔から外れて、ブレーキが解除され、該ブレーキ解除の状態は、該ロック部材により該ブレーキレバーをロックして保持されることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、通常時、ブレーキ部材がばね部材により付勢され、その突起をブレーキディスクの嵌合孔に嵌合させるので、固定キャスターにブレーキがかかり、簡単にブレーキ操作を行なうことができる。また、棚枠に設けたブレーキレバーを操作してブレーキ解除すると、ブレーキ部材が傾動し、ブレーキディスクの嵌合孔からブレーキ部材の突起が外れ、ブレーキが解除されるので、作業者は棚枠に設けたブレーキレバーを操作してブレーキの解除を簡単に行なうことができる。また、ブレーキ解除状態のブレーキレバーはロック部材によりロックすることができるので、運搬車を動かす間、ブレーキ解除を容易に継続することができる。
【0013】
さらに、1対の固定キャスターを取り付けた台車フレームに、連結板が回動可能に軸支され、該連結板と前記1対のブレーキ部材間が各々リンク部材を介して連結され、前記ブレーキワイヤを介してブレーキレバーが該連結板に連結される簡単な機構を用いて、1本のブレーキレバーの手動操作により、連結板を回動させ、両ブレーキを解除することができる。また、そのブレーキの解錠の状態は、ロック部材を簡単に操作してブレーキレバーをロックし、保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の運搬車のブレーキ装置によれば、使用者が棚枠に設けたブレーキレバーを手で操作して簡単にブレーキ操作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る運搬車の斜視図である。
図2】同運搬車の側面図である。
図3】同運搬車の自在キャスター昇降機構を示す部分断面図である。
図4】台車第1フレームとそこに固定された固定キャスターの斜視図である。
図5】台車第1フレームとそこに固定された固定キャスターの斜め下からの斜視図である。
図6】台車第1フレームと固定キャスターに設けられブレーキ装置のブレーキ解除状態を示す側面図である。
図7】同ブレーキ装置のブレーキがかかった状態の側面図である。
図8】(a)(b)は台車第1フレームを外した状態の固定キャスターとそのブレーキ装置の斜視図である。
図9】(a)は固定キャスターの斜視図、(b)はブレーキ部材の斜視図である。
図10】(a)は固定キャスターのブレーキディスクの正面図、(b)は車輪の正面図、(c)はその側面図である。
図11】ブレーキレバー取付部の正面図である。
図12】ブレーキレバー取付部の斜視図である。
図13】(a)はブレーキをかけた状態のブレーキレバー取付部の正面図、(b)はブレーキを解除操作した状態の同正面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は運搬車であるキャリーカートの斜視図を示し、図2はその側面図を示している。このキャリーカートは、台車フレーム1の底部の前部と後部に2対の自在キャスター6、6を設け、中央底部に1対の固定キャスター5、5を設け、台車フレーム1上の両側に棚枠7,7を立設して構成される。
【0017】
台車フレーム1は、短尺で断面コ字状の台車第1フレーム2と、台車第1フレーム上に固定された長尺で角筒状の台車第2フレーム3とから構成され、台車第2フレーム3と台車第1フレーム2は直交するように縦横に配置され、平面視を略王字型とした形状に形成されている。また、台車第2フレーム3の両側端部上には、梯子状の棚枠7、7が縦に固定されている。棚枠7,7はパイプフレーム構造であり、後述のブレーキワイヤ18が棚枠7内を通過可能な構造となっている。
【0018】
台車第2フレーム3の両側端部の下側及び中央部の下側に、3本の台車第1フレーム2が台車第2フレーム3と直交して固定されているが、その中央の台車第1フレーム2、つまり台車フレーム1の前後方向のほぼ中央部における1本の台車第1フレーム2の両側底部に、1対の固定キャスター5、5が台車フレーム1の長手方向に走行自在に取り付けられている。さらに、台車フレーム1の前後端部における2本の台車第1フレーム2の両側底部には、それぞれ1対の自在キャスター6、6が取り付けられている。
【0019】
台車フレーム1の前後の台車第1フレーム2は、下方へ開口した長方形箱型に形成され、図3に示すように、台車第1フレーム2の内側には自在キャスター6,6を固定した自在キャスター保持部材34が昇降可能に配設されている。また、図1,3のように、この前後の台車第1フレーム2の上面中央には矩形筒形の棚枠保持部4が垂直に固着されており、この棚枠保持部4の内部に上方から棚枠7、7の基部8が挿入され、ねじによって固定されている。
【0020】
棚枠保持部4には、台車第1フレーム2の上面から離れて台車フレーム1の台車第2フレーム3の端部が水平方向から突き合わされ固着されている。台車第2フレーム3の中央部は、中央の台車第1フレーム2の上面側に固着されている。このように台車フレーム1は、台車第1フレーム2の上方に台車第2フレーム3が位置する構成であり、台車フレーム1上の台板30を上方に開いて起伏状態とした場合、台車フレーム1の横方向(左右方向)から他のキャリーカートの台車フレーム1を隣接して合わせるように重ね合わせ、ネスティングが可能な構成となっている。
【0021】
図1,2に示すように、台板30は、台車フレーム1上で前後方向に2分割され、観音開き式にその中央部を上方に開くように構成され、台板30の端部は、枢支部31を介して中央部を上方に開くように回動可能に保持され、起伏可能とされる。各台板30の底面には凹部が形成されており、倒伏時、この凹部に台車第2フレーム3が入り、各台板30の左右端部が台車第1フレーム2の上面に載置される。また、台板30の底部の凹部内には、台車第2フレーム3を挟持するための挟持部が設けられ、台板30を倒伏状態としたとき、挟持部が台車第2フレーム3を挟持して、カートの使用時における台板30のがたつきを防止している。
【0022】
さらに、図3に示すように、各台板30を枢支する枢支部31には、台板30の起伏動作(回動動作)に応じて自在キャスター6、6を昇降させる自在キャスター昇降機構33が設けられている。自在キャスター昇降機構33は、台車フレーム1と棚枠7の下部に固定された鉛直筒状の基部8を有している。基部8の内部には、基部8の内壁面に案内されながら上下方向にのみ移動する昇降部36が上下摺動可能に収容されている。この昇降部36は、断面略コ字状に筒形に形成され、昇降可能である。昇降部36の下端は、上方へ開口した長方形箱型の自在キャスター保持部材34の上面に、溶接等により固着されている。
【0023】
自在キャスター保持部材34は、図3に示すように、下方へ開口した長方形箱型の台車第1フレーム2の内部に、下方から部分的に挿入されており、自在キャスター保持部材34は、台車第1フレーム2に対して上下動可能である。さらに、昇降部36の上側壁部には水平昇降軸部35が貫通して装着されている。つまり、水平昇降軸部35は、昇降部36の左右側壁部に形成された貫通穴に挿通され、止め金で固定されて装着される。
【0024】
また、図3のように、基部8の左右側壁部には、上下方向の長孔38が形成されており、この長孔38に水平昇降軸部35が挿通されている。さらに、基部8の左右側壁部には、長孔38の近傍上方位置に水平固定軸部37が取り付けられている。この水平固定軸部37は、基部8の左右側壁部に形成された貫通穴に挿通され、止め金により固定されている。水平昇降軸部35と台板30の枢支部31との間に、回動アーム40が設けられている。
【0025】
回動アーム40は、その基部に、水平昇降軸部35に回転自在に外嵌された回転軸部を有し、水平昇降軸部35を軸に回動可能である。回動アーム40の回転軸部は、円筒部材により形成され、回転軸部の上端には、クランク形に湾曲した湾曲プレート部の一端が溶接等により固着されて構成される。
【0026】
回動アーム40はクランク形に形成され、この回動アーム40が上方に回動されたとき、その湾曲部が上昇して水平固定軸部37に当接するようになっている。このような構造により、回動アーム40を介して台板30を上側に開くように回動すると、水平昇降軸部35が相対的に下方への押下力を受けて下降し、昇降部36、自在キャスター保持部材34及び自在キャスター6が下降する。これにより、両端の2対の自在キャスター6,6が下方に押し出され、中央の固定キャスター5,5を浮かせた状態として、台車フレーム1全体が2対の自在キャスター6,6により支持される構造となっている。
【0027】
台車フレーム1の中央の台車第1フレーム2の底部に取り付けられた1対の固定キャスター5、5には、ブレーキ装置が設けられ、ブレーキ装置は、1対の固定キャスター5、5のブレーキディスク13,13に係合してブレーキをかける1対のブレーキ部材14、14と、棚枠7に取り付けられ、ブレーキを解除するブレーキレバー25と、を備えて構成される。
【0028】
このブレーキ装置は、図6図12に示す如く、固定キャスター5,5の車輪11の側部に固定されたブレーキディスク13に、ブレーキ部材14を作用させて、ブレーキディスク13にブレーキをかけ、1対の固定キャスター5,5に制動をかける構造である。固定キャスター5は、図9に示すように、基本的には、コ字状の支持フレーム10の先端部に車軸12を取り付け、その車軸12上で回転可能に車輪11を支持させる構造となっている。車輪11の内側の側部にブレーキディスク13が、車軸12と同軸上に取り付けられ、一方、支持フレーム10の内側側壁に、ブレーキ部材14が傾動可能に枢支され、ブレーキ部材14の先端に突設された突起16をブレーキディスク13に対向させている。
【0029】
ブレーキディスク13は、図10に示す如く、円板の円周上に、多数の嵌合孔13a(略長方形)を所定の間隔で環状に設けて形成され、これらの嵌合孔13aの何れかにブレーキ部材14の先端の突起16が嵌合され、ブレーキをかけるようになっている。ブレーキ部材14は、図9に示すように、板状本体の中間部に軸受部14aを設け、板状本体の先端部に突起16を突設し、板状本体の末端部に連結部17を設けて構成され、突起16は、上記ブレーキディスク13の嵌合孔13aに嵌合可能となっている。なお、図9に示すブレーキ部材14の突起16は、2個、突設されているが、勿論1個でもよく、ブレーキディスク13の嵌合孔13aに嵌合可能な形状であればよい。
【0030】
このようなブレーキ部材14は、図6、9に示すように、固定キャスター5,5の支持フレーム10の内側側壁の内側に、軸受部14a及び枢軸15を介して傾動(回動)可能に軸支され、枢軸15を軸に、先端部の突起16をブレーキディスク13に対し係合・離隔するように揺動可能となっている。
【0031】
さらに、1対の固定キャスター5,5の支持フレーム10の内側側壁内側に取り付けられた1対のブレーキ部材14には、その末端部の連結部17に、図6〜8に示す如く、リンク部材22,22が連結され、1対のリンク部材22,22の先端は連結板20に連結され、1対のブレーキ部材14はリンク部材22,22を介して連結板20に連結される。
【0032】
連結板20は、図6〜8に示すように、台車第1フレーム2内に、軸21によって回転可能に軸支され、その連結板20の周縁部に上記リンク部材22,22の先端が連結され、さらに、連結板20の周縁部には、ブレーキワイヤ18が連結され、且つ図6,7に示すように、ばね部材19がブレーキをかける側(図7の反時計方向)に連結板20を付勢するように、連結板20に掛けられている。
【0033】
ここで、このばね部材19はコイルばねであり、連結板20とワイヤガイド24間に掛けられているが、ブレーキをかける側に付勢するばね部材であれば、取り付ける位置やばねの種類は、何れのものでもよい。また、連結板20は図では略円板状であるが、略三角形などの形状であってもよい。図7に示すように、通常時、連結板20は、図7の反時計方向に付勢され、1対の固定キャスター5,5のブレーキ部材14,14は、リンク部材22,22を介してその先端の突起16を、ブレーキディスク13の嵌合孔13aに嵌合させ、ブレーキをかけた状態となる。
【0034】
図6〜8に示すように、連結板20に連結されたブレーキワイヤ18は、ワイヤガイド23,24を通して、その方向を変え、台車第1フレーム2からその上方の台車第2フレーム3に導出される。ワイヤガイド24は1対のローラからなり、連結板20からのブレーキワイヤ18を上方のワイヤガイド23に向けてガイドするようになっている。また、ワイヤガイド23は、1個のプーリを回転自在に支持して構成され、ワイヤガイド24からのブレーキワイヤ18を、台車第2フレーム3の長手方向に向けてガイドするようになっている。
【0035】
さらに、台車第2フレーム3内のブレーキワイヤ18は、図1に示すように、棚枠保持部4から棚枠7の基部8に入り、棚枠7のパイプフレーム内を通過し、棚枠7に取り付けたブレーキレバー25にブレーキワイヤ18の末端を連結するように配設される。これにより、ブレーキレバー25を操作してブレーキワイヤ18を引くと、ブレーキ部材14,14が図6のように傾動し、ブレーキを解除する構造となっている。なお、ワイヤガイド23からブレーキレバー25までのブレーキワイヤ18は、図示は省略されているが、アウタケーブルの内部を通り、棚枠7のパイプフレーム内などに配設されている。
【0036】
ブレーキレバー25は、図11、12に示すように、板状のブレーキレバー取付部26内に、枢軸27を軸に回動可能に取り付けられる。ブレーキレバー取付部26は、棚枠7の内側に配設されるように板状に形成され、その中央部左寄りに開口部26aが形成され、ブレーキレバー25の元部は、その開口部26aの右側部分に、枢軸27により回動可能に軸支され、ブレーキレバー25の把持部はその開口部26a内に露出し、手動操作を可能としている。図11,12は、ブレーキレバー25を押し下げてブレーキを解除したときの状態を示している。
【0037】
さらに、ブレーキレバー取付部26には、図13(b)に示すように、ブレーキレバー25を押し下げて、ブレーキを解除したとき、その解除状態を保持するために、ブレーキレバー25の回動をロックするロック部材28が、枢軸28aを軸に回動可能に軸支される。通常時(ブレーキ作動時)、ブレーキレバー25は、図13)のように、上側に位置しており、この状態からブレーキレバー25を図13)のように押し下げると、ブレーキが解除された状態となり、その状態で、ロック部材28を回すと、ロック部材28の一部がブレーキレバー25の先端に係止され、ブレーキレバー25を図13)のようにブレーキ解除状態に保持するようになっている。
【0038】
次に、上記構成のキャリーカート(運搬車)のブレーキ装置の動作を説明すると、ブレーキレバー25が、図13(a)に示すように、開口部26a内の上側に位置する場合、1対の固定キャスター5,5のブレーキ部材14,14は、図7に示すように、ばね部材19のばね力により、連結板20が反時計方向に回動端まで回動して制動状態、つまり、ブレーキ部材14の先端の突起16、ブレーキディスク13の嵌合孔13aに嵌合させた状態にあり、ブレーキがかかった状態である。
【0039】
したがって、キャリーカートは、通常、大型の量販店などで、商品を台板30上に載置して商品を保管し或いは販売用に展示するために、使用されるが、通常時は、ブレーキ部材14,14によって、固定キャスター5,5にブレーキがかかり、不用意に移動することはない。
【0040】
一方、キャリーカートを移動させるために、ブレーキを解除する場合、ブレーキレバー25を図13(b)のように押し下げ回動させる。これにより、ブレーキワイヤ18がブレーキレバー25側に引かれ、図6に示す如く、連結板20がばね部材19の付勢力に抗して、図6の時計方向に回動する。このとき、1対の固定キャスター5,5の各ブレーキ部材14、14は、リンク部材22,22を介して、図6のようにブレーキ解除方向に傾動(回動)し、その先端の突起16,16が固定キャスター5,5の車輪11,11のブレーキディスク13の嵌合孔13aから外れ、ブレーキが解除される。このブレーキ解除の状態は、図13(b)のように、ロック部材28を回して、ブレーキレバー25の先端にロック部材28を係止させることにより、保持されるので、ブレーキを解除した状態で、キャリーカートを押すなどして、任意の位置まで移動することができる。
【0041】
このように、通常時、ブレーキ部材14がばね部材19により付勢され、その突起16をブレーキディスク13の嵌合孔13aに嵌合させるので、1対の固定キャスター5,5にブレーキがかかり、簡単にブレーキ操作を行なうことができる。また、棚枠7に設けたブレーキレバー25を操作してブレーキ解除すると、ブレーキ部材14が傾動し、ブレーキディスク13の嵌合孔13aからブレーキ部材14の突起16が外れ、ブレーキが解除されるので、作業者は棚枠7に設けたブレーキレバー25を操作して、ブレーキの解除を簡単に行なうことができる。また、ブレーキ解除状態のブレーキレバー25は、ロック部材28によりロックすることができるので、キャリーカートを動かす間、ブレーキ解除を容易に継続することができる。
【0042】
また、各ブレーキ部材14,14を、連結板20にリンク部材22,22を介して連結させ、その連結板20にブレーキワイヤ18を連結させる簡単な機構により、1対の固定キャスター5,5における各々のブレーキ部材14,14を傾動させ、1対の固定キャスター5,5にブレーキをかけることができ、また、1本のブレーキレバー25の操作によりブレーキを簡単に解除することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 台車フレーム
2 台車第1フレーム
3 台車第2フレーム
4 棚枠保持部
5 固定キャスター
6 自在キャスター
7 棚枠
8 基部
10 支持フレーム
11 車輪
12 車軸
13 ブレーキディスク
13a 嵌合孔
14 ブレーキ部材
14a 軸受部
15 枢軸
16 突起
17 連結部
18 ブレーキワイヤ
19 ばね部材
20 連結板
21 軸
22 リンク部材
23 ワイヤガイド
24 ワイヤガイド
25 ブレーキレバー
26 ブレーキレバー取付部
26a 開口部
27 枢軸
28 ロック部材
28a 枢軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13