(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抵抗測定回路に対して、前記スクイブと択一的に並列に接続可能な、所定の抵抗値を有する基準抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ作動回路。
前記スクイブに直列に接続され、前記抵抗測定回路に対して前記スクイブが並列に接続される場合に該スクイブとともに前記抵抗測定回路に対して並列に接続される抵抗素子をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ作動回路。
前記抵抗測定回路の上流および下流にそれぞれ直列に接続され、所定の電圧を超過する電圧が印加されるのを防止し、安定した電圧を供給する定電圧制御回路、および所定の電流値を流す定電流源をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエアバッグ作動回路。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される安全装置として、衝突時の衝撃から乗員を保護するエアバッグが普及している。エアバッグには、車両への設置場所や機能に応じて様々な種類がある。例えば運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグは、車両のヘッドライトの後部等に備えられた衝突センサが衝突を検出すると、同センサから作動信号が発信される。作動信号を受けたエアバッグ作動回路は、車両のステアリングやインストルメントパネルに搭載された運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグを膨張させて乗員を保護する。
【0003】
スクイブは典型的には抵抗素子であり、エアバッグにガスを供給するインフレータ内に備えられている。エアバッグ作動回路がスクイブに大電流を流すとスクイブが発熱し、隣接する起爆剤に点火する。その爆発熱を使った化学物質反応によって瞬時にエアバッグ内にチッソガスを大量発生させてエアバッグが膨張する。
【0004】
エアバッグは、衝突事故などの必要時には必ず作動し、必要のないときには作動してはならないものである。エアバッグを必要時に確実に作動させるには、スクイブが常に通電可能な状態になっていることが必要である。これを検査するため、定期的にスクイブの抵抗値を測定する方法がある。断線等によりスクイブが通電不能になっていては、必要時に大電流を流すことができないからである。
【0005】
特許文献1にはスクイブ検査回路が開示されている。同回路は、スクイブ抵抗値測定のための基準電位を与える基準電位供給回路、スクイブにその抵抗値を測定するための所定の試験電流を流す試験電流供給回路、スクイブを過大な試験電流などから保護するための電流制限回路を備えている。特許文献1によれば、上記回路により、バッテリ電源の変動、ブリーダ抵抗値のバラツキに影響されず、測定時に発生する中点電位の変動も抑止して正確なスクイブの抵抗測定が可能となるとしている。
【0006】
また、特許文献1のスクイブ検査回路には電流制限回路が設けられ、スクイブの抵抗測定時がスクイブに流れる電流が異常電流(過剰に高い電流)になることによってエアバッグシステムが誤動作するのを防止するとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のスクイブ検査回路は、あくまで正確なスクイブの抵抗測定を目的とするものであり、スクイブの誤爆防止に主眼をおいたものではない。特許文献1に記載の電流制限回路によれば、スクイブの誤爆によるエアバッグの誤動作が防止可能なのは、スクイブに流れる電流が過剰になったという程度の場合にすぎない。エアバッグを作動させるときには、電源電流から、回路破壊を起こすほどの大電流がスクイブに流れることとなるが、かかる大電流が誤って流れた場合、特許文献1に記載の電流制限回路はひとたまりもなく、エアバッグの誤動作を防止できるものではない。しかもこのような大電流がスクイブに誤って流れることは、エアバッグの電源電圧がショートするなどの原因で十分に起こりうるリスクである。
【0009】
特許文献1の電流制限回路を用いれば、上述のように、スクイブの抵抗測定時に、過剰に高い異常電流がスクイブに流れてしまうのを防止する程度のことは可能と考えられる。しかし、かかる過電流防止という機能に対して、回路ショート等の不測の事態に対しても、より信頼性の高いものにする必要がある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、エアバッグ作動時に匹敵する大電流が誤ってスクイブに流れるのを防止可能であり、さらに、スクイブの抵抗測定時に過電流がスクイブに流れることも高い信頼性で防止可能なエアバッグ作動回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかるエアバッグ作動回路の代表的な構成は、電源と定常的に電気的に接続されているバイアス電圧供給用抵抗と、バイアス電圧供給用抵抗の下流に直列に接続され所定の値を超過する電流が流れるのを防止する過電流保護回路と、スイッチを介してバイアス電圧供給用抵抗に並列に接続可能な過電流保護抵抗と、過電流保護回路の下流に直列に接続されるスクイブと、並列に接続された測定対象の抵抗値を測定する抵抗測定回路であって、スイッチを介して少なくともスクイブと並列に接続可能な抵抗測定回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、スクイブ周辺の過電流保護回路等の回路状態をチェックする場合など、特に大きな電流を必要としないときには、バイアス電圧供給用抵抗にのみ、弱いバイアス電流を通電することが可能である。バイアス電流は、エアバッグを作動させる場合に大電流を流すのと同じ経路でスクイブに流すことが可能である。これにより、スクイブ周辺の回路状態をチェック可能である。
【0013】
また上記の構成によれば、スクイブの抵抗を測定する場合に、過電流保護抵抗をバイアス電圧供給用抵抗に並列に接続可能である。スクイブの抵抗を測定する場合には、回路状態のチェック時のバイアス電流より大きなスクイブチェック電流をスクイブに流す必要がある。このときは、過電流保護抵抗(第1段)と、その下流の過電流保護回路(第2段)という直列接続された2段過電流保護回路が構成されるため、スクイブ保護の冗長性が増し、過電流防止措置の信頼性が向上する。
【0014】
2段過電流保護回路の下流では、スクイブに電流が流れ、スクイブに並列接続された抵抗測定回路が、スクイブの抵抗を測定する。2段過電流保護回路によってスクイブチェック電流は低電流化されている。したがって抵抗測定回路は、スクイブの劣化が防止された状態でスクイブの抵抗を測定可能である。これによりスクイブの寿命を延長する効果も得られる。
【0015】
さらに上記の構成によれば、2段過電流保護回路の第1段である過電流保護抵抗には、常にバイアス電圧供給用抵抗が並列に接続されている。したがって、スクイブ周辺の過電流保護回路等の回路状態をチェックする場合も、スクイブの抵抗を測定する場合も、大電流が誤ってスクイブに流れてスクイブが誤爆するのを防止可能である。
【0016】
当該エアバッグ作動回路は、抵抗測定回路に対して、スクイブと択一的に並列に接続可能な、所定の抵抗値を有する基準抵抗をさらに備えるとよい。
【0017】
上記の構成によれば、2段過電流保護回路の下流では、基準抵抗に電流を流し、基準抵抗に並列接続された抵抗測定回路が、基準抵抗の抵抗を測定することも可能となる。基準抵抗の既知の抵抗値と、抵抗測定回路が測定した基準抵抗の測定抵抗値とに差がある場合には、その差が解消されるよう抵抗測定回路を調整可能である。これにより、抵抗測定回路がスクイブの抵抗を測定する際の測定精度を向上させることが可能である。
【0018】
さらに、基準抵抗の測定抵抗値と、既知の抵抗値の差が、通常考えられないほどの差になっていないかを診断することで、各機能が、正常に動作しているか否かを確認することができる。正常に動作していない場合(回路に異常があると疑われる場合)は、スクイブに電流を流すことを中止することによりスクイブの不要な誤爆や劣化を防ぐことができ、冗長性を増すことが可能である。
【0019】
当該エアバッグ作動回路は、スクイブに直列に接続され、抵抗測定回路に対してスクイブが並列に接続される場合にスクイブとともに抵抗測定回路に対して並列に接続される抵抗素子をさらに備えてもよい。
【0020】
当該エアバッグ作動回路は、抵抗測定回路の上流および下流にそれぞれ直列に接続され、所定の電圧を超過する電圧が印加されるのを防止し、安定した電圧を供給する定電圧制御回路、および所定の電流値を流す定電流源をさらに備えてもよい。
【0021】
定電圧制御回路(定電圧源)、および定電流源の組み合わせによって、事前に基準抵抗の抵抗値を測定することにより、各機能が、正常に動作しているか否かを確認することができる。正常に動作していない場合は、スクイブに電流を流すことを中止することによりスクイブの不要な誤爆や劣化を防ぐことができ、冗長性を増すことが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、エアバッグ作動時に匹敵する大電流が誤ってスクイブに流れるのを防止可能であり、さらに、スクイブの抵抗測定時に過電流がスクイブに流れることも高い信頼性で防止可能なエアバッグ作動回路を提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
(運転席用エアバッグ装置)
図1は、本発明によるエアバッグ作動回路の実施形態を適用可能な運転席用エアバッグ装置を例示するステアリングホイールの正面図である。運転席用エアバッグ装置100は、ステアリングホイール110に組み込まれている。
【0026】
ステアリングホイール110の中央部のカバー150は、後述するエアバッグ140が膨張展開する時に開裂して、エアバッグ140を車室内へ導く。カバー150の中央にはエンブレム設置部160があり、エンブレム設置部160に近接して、テアライン(開裂線とも称される)170が設けられている。テアライン170は、エアバッグ140の膨張展開初期にカバー150が開裂し易いように、断面が略三角形の連続した溝部を成形して、略三角形の一つの頂点の角部を表面側にして薄肉化したものである。
【0027】
図2は、
図1のA−A断面図であり、運転席用エアバッグ装置100が膨張展開する前の、通常状態を例示するものである。エアバッグ140内に収容されたリテーナリング250は、組付用ボルト260の圧入・かしめまたはそれらの組み合わせによって、エアバッグ140のガス吹込口をハウジング220に固定している。
【0028】
ハウジング220は、ディスク型インフレータ230の径より大きな径を有する貫通孔を中央に備えている。ハウジング220の一方側(車内側)では、上述のようにリテーナリング250を用いて、ハウジング220の貫通孔にエアバッグ140のガス吹込口が接続されている。他方側(車外側)からはハウジング220の貫通孔に、ディスク型インフレータ230が進入している。
【0029】
ハウジング220は、エアバッグ140を収納する一部の側壁部と、上部にエアバッグを収納する一部の側壁部を成形したカバー150とを構成する。ハウジング220を経由した組付用ボルト260に、組付用ナット280を締込むことにより、エアバッグ140をハウジング220に固定する。
【0030】
図2に例示するように、ディスク型インフレータ230にはスクイブ290が内蔵されている。スクイブ290はクロックスプリング(回転接続回路体)292に電気的に接続され、さらにハーネス294を介してエアバッグ作動回路300に接続されている。クロックスプリング292の構造の詳細は省略するが、ステアリングホイール110を回転させてもハーネス294が切れることなく通電状態を保てる構造を有する。
【0031】
(エアバッグ作動回路)
図3は
図2のエアバッグ作動回路300の一例を示す回路図である。以下、本発明の実施形態に直接関係する要素のみ説明する。エアバッグ作動回路300は、起爆用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)310とそれ以外の部分とに大別される。エアバッグ作動回路300は制御部328によって制御され、とりわけエアバッグ作動回路300に含まれる半導体スイッチやセレクタなどのスイッチ類は、制御部328によって操作される。
【0032】
エアバッグ作動回路300は、電源ASIC302と定常的に電気的に接続されているバイアス電圧供給用抵抗R1を備える。バイアス電圧供給用抵抗R1の抵抗値は、本実施形態では620Ωであるが、かかる値に限定されるものではない。
【0033】
エアバッグ作動回路300は、バイアス電圧供給用抵抗R1の下流に直列に接続され所定の値を超過する電流が流れるのを防止する電流制限回路A03を備え、これは、過電流保護回路として機能する。
【0034】
エアバッグ作動回路300は、半導体スイッチA02を介してバイアス電圧供給用抵抗R1に並列に接続可能な過電流保護抵抗R4を備える。過電流保護抵抗R4の抵抗値は、本実施形態では200Ωであるが、かかる値に限定されるものではない。
【0035】
(エアバッグ作動時の挙動)
エアバッグ作動回路300は、電流制限回路A03の下流に直列に接続されるスクイブ290を備える。
図2の衝突センサ329が衝突を検知し、同センサ329からエアバッグ作動回路300に作動信号が発信されると、制御部328は半導体スイッチS01をON、起爆用FET(Field Effect Transistor)312、314をONにする。その結果、電源ASIC302から起爆用ASIC310まで、ほとんど抵抗を介さない経路を大電流330が流れる。スクイブ290は、この大電流を受けて発熱し、起爆剤(図示省略)に点火してエアバッグ140を膨張させる。
【0036】
エアバッグ作動回路300は、並列に接続された測定対象の抵抗値を測定する抵抗測定回路320を備える。抵抗測定回路320は、スイッチを介して少なくともスクイブと並列に接続可能である。
【0037】
エアバッグ作動回路300は、起爆用ASIC310内に、定電圧制御回路318および定電流源322を備えている。定電圧制御回路318および定電流源322は、抵抗測定回路320の上流および下流にそれぞれ直列に接続されている。定電圧制御回路318は、所定の電圧を超過する電圧が印加されるのを防止し、安定した電圧を供給する。定電流源322は所定の電流値を流す電流源であり、半導体スイッチS04を介して抵抗測定回路320に接続されている。
【0038】
定電圧制御回路(定電圧源)318および定電流源322の組み合わせによって、事前に基準抵抗324の抵抗値を測定することにより、各機能が、正常に動作しているか否かを確認することができる。正常に動作していない場合は、スクイブ290に電流を流すことを中止することによりスクイブ290の不要な誤爆や劣化を防ぐことができ、冗長性を増すことが可能である。
【0039】
また定電流源322は、電流を制限することにより、それ単体でも、スクイブ290の誤爆や劣化を防止する作用がある。
【0040】
定電圧制御回路318および定電流源322の組み合わせによって、安定した電圧と電流をスクイブ290に供給し、スクイブ抵抗の測定精度を向上させる効果も得られる。また、外付けの基準抵抗324と組み合わせることで、更なる精度向上を達成することも可能である。
【0041】
(起爆用ASICの異常チェック時の挙動)
エアバッグ作動回路300によれば、スクイブ290を起爆させる起爆用ASIC310の回路状態をチェックする場合など、特に大きな電流を必要としないときには、バイアス電圧供給用抵抗R1にのみ、弱いバイアス電流340を通電することが可能である。
【0042】
つまり制御部328は、過電流保護抵抗R4につながる半導体スイッチA02をOFF、起爆用FET312、314を両方ともON、スイッチS02、S03をOFF(選択なし)にする。バイアス電流340は、次の経路を流れる。すなわち、電源ASIC302→抵抗R3→バイアス電圧供給用抵抗R1→電流制限回路A03→起爆用FET312→スクイブ290→起爆用FET314→電流制限回路316→GNDという経路である。
【0043】
以上のように、バイアス電流340は、エアバッグ140を作動させる場合に大電流を流すのと同じ経路でスクイブ290に流すことが可能である。これにより、ASIC310の回路状態をチェック可能である。
【0044】
(スクイブの抵抗測定時の挙動)
エアバッグ作動回路300によれば、スクイブ290の抵抗を測定する場合に、過電流保護抵抗R4をバイアス電圧供給用抵抗に並列に接続する。スクイブ290の抵抗を測定する場合には、ASIC310の回路状態のチェック時のバイアス電流340より大きなスクイブチェック電流350をスクイブ290に流す必要がある。
【0045】
そこで制御部328は、過電流保護抵抗R4につながる半導体スイッチA02をON、起爆用FET(Field Effect Transistor)312、314を両方ともOFF、スイッチS02、S03にそれぞれ端子315、319を選択させ、スイッチS04をONにする。スクイブチェック電流350は、次の経路を流れる。すなわち、電源ASIC302→抵抗R3→並列に接続されたバイアス電圧供給用抵抗R1・過電流保護抵抗R4→電流制限回路A03→定電圧制御回路318→並列に接続されたスクイブ290・抵抗測定回路320→定電流源322→GNDという経路である。
【0046】
このように、スクイブの抵抗測定時に、過電流保護抵抗R4(第1段)と、その下流の電流制限回路A03(第2段)という、直列接続された2段電流制限回路が構成される。2段電流制限回路によってスクイブ290保護の冗長性が増し、過電流防止措置の信頼性が向上する。
【0047】
2段電流制限回路A03の下流では、スクイブ290に電流が流れ、スクイブ290に並列接続された抵抗測定回路320が、スクイブ290の抵抗を測定する。2段電流制限回路R4、A03によって、スクイブ290に流れる電流は、当初のスクイブチェック電流350から低電流化されている。したがって抵抗測定回路320は、スクイブ290の劣化が防止された状態でスクイブ290の抵抗を測定可能である。これによりスクイブ290の寿命を延長する効果も得られる。
【0048】
エアバッグ作動回路300は、
図2に例示したハーネス294およびクロックスプリング292を備えている。ハーネス294およびクロックスプリング292は、スクイブ290に直列に接続された抵抗素子と見なすことができる。スイッチS02、S03によって抵抗測定回路320に対してスクイブ290が並列に接続されると、ハーネス294およびクロックスプリング292は、スクイブ290とともに抵抗測定回路320に対して並列に接続される。
【0049】
したがって、抵抗測定回路320が測定する抵抗値は、スクイブ290だけの抵抗値ではなく、ハーネス294およびクロックスプリング292といった周辺の抵抗素子も含めた抵抗値である。
【0050】
本実施形態では運転席用エアバッグ装置100を用いているため、ハーネス294およびクロックスプリング292といった部品が抵抗素子となる。ただし本発明を例えば助手席用エアバッグ装置に適用した場合、助手席にはステアリングホイール110がないため、クロックスプリング292のような抵抗素子は存在しない。代わりにハーネスやコネクタなどの抵抗素子が存在することとなる。その他、各種エアバッグに本発明を適用した場合、抵抗素子となる部品は様々に異なる。
【0051】
(大電流によるスクイブ誤爆の防止)
エアバッグ作動回路300によれば、2段電流制限回路の第1段である過電流保護抵抗R4には、常にバイアス電圧供給用抵抗R1が並列に接続されている。したがって、上述の、起爆用ASIC310の異常チェックを行う場合も、スクイブ290の抵抗を測定する場合も、スクイブ290の誤爆が防止される。例えば電源ASIC302がショートするなどして、大電流330に匹敵する電流がスクイブ290に流れようとしても、バイアス電圧供給用抵抗R1によって電流値が抑制されるからである。
【0052】
(基準抵抗の抵抗測定時の挙動)
エアバッグ作動回路300は、所定の抵抗値を有する基準抵抗324をさらに備えている。基準抵抗324は、スイッチS02、S03によって、抵抗測定回路320に対して、スクイブ290と択一的に並列に接続可能である。
【0053】
上記の構成によれば、スイッチS02、S03にそれぞれ端子317、321を選択させ、その他のスイッチの状態はスクイブ290の抵抗測定時と同様にすることで、抵抗測定回路320が基準抵抗324の抵抗を測定することも可能となる。すなわち、2段過電流保護回路R4、A03の下流では、基準抵抗324に電流を流し、基準抵抗324に並列接続された抵抗測定回路320が、基準抵抗324の抵抗を測定する。
【0054】
そして、基準抵抗324の既知の抵抗値と、抵抗測定回路320が測定した基準抵抗324の測定抵抗値とに差がある場合には、その差が解消されるよう抵抗測定回路320を調整可能である。これにより、抵抗測定回路320がスクイブ290の抵抗を測定する際の測定精度を向上させることが可能である。
【0055】
なお、抵抗測定回路320で差が解消されるよう調整せずに、抵抗測定回路320からデータを受け取った側で調整してもよい。
【0056】
さらに、基準抵抗324の測定抵抗値と、既知の抵抗値との差が、通常考えられないほどの差になっていないかを、抵抗測定回路320または抵抗測定回路320からデータを受け取った側で診断することで、各回路A03、318、S02、324、320、S03、S04、322が、正常に動作しているか否かを確認することができる。正常に動作していない場合(回路に異常があると疑われる場合)は、スクイブ290に電流を流すことを中止することにより、スクイブ290の不要な誤爆や劣化を防ぐことができ、冗長性を増すことが可能である。
【0057】
(比較例)
図4および
図5はそれぞれ、
図3の本発明の実施形態との比較例を例示する図であり、特許文献1に開示されている従来のスクイブ検査回路である。
図4のスクイブ検査回路10では、衝突が検知されると、スイッチ14、24が閉じられ、電源電圧+Bからスクイブ20に大電流が流れることで、エアバッグが展開する。
【0058】
図4のスクイブ検査回路10の要素16は、
図3の過電流保護抵抗R4に相当するが、
図3の電流制限回路A03に相当するものは比較例には存在しない。すなわち、スクイブ20を検査する場合に、
図3の2段過電流保護回路R4、A03のような構成とはなっていず、スクイブ保護の冗長性の点で劣るものといわざるを得ない。
【0059】
また、
図4は、
図3の基準抵抗324、スイッチS02、S03に相当する部分がなく、スクイブ20を測定する前に動作確認できないため、半導体スイッチQ0を有効にして、スクイブ20の測定を実施する。そのため、回路の異常でスクイブ20に過電流が流れた場合、スクイブ20の不要な誤爆や劣化を防止することができない。この点においても、スクイブ保護の冗長性が劣るものといわざるを得ない。
【0060】
また、
図4の比較例では、何らかの原因で抵抗Rs(スクイブ20)が電源ショートしても、
図3のスイッチS04に相当する要素がなく、スクイブ20には常に電流が流れる構成となっている。これはスクイブの寿命を縮めてしまうものであり、この点でもスクイブ保護の冗長性が劣るものといわざるを得ない。
【0061】
さらに、
図4の比較例には、
図3の定電圧制御回路(定電圧源)318、および定電流源322の組み合わせに類する構成がない。そのため、事前に回路異常を検出できず、回路異常がある場合であっても、スクイブ20の測定を実施するため、過電流が流れた場合、スクイブ20の不要な誤爆や劣化を防止することができない。
【0062】
結局、
図4のスクイブ検査回路10は、スクイブ20の抵抗を精度よく測定することを目的としているものであり、誤爆保護に介しては対策が十分になされているとは言いがたい。
【0063】
図5のスクイブ検査回路では、要素41、42、43、44がそれぞれ、
図3の半導体スイッチS01、A02、過電流保護抵抗R4、バイアス電圧供給用抵抗R1に相当する。すなわち、スクイブ45の点火時にはスイッチ41が閉じられて大電流がスクイブ45に流れる。スクイブ45のチェック時にはスイッチ42が閉じられ、抵抗43を介することでスクイブ45に過電流が流れるのを防止している。
【0064】
しかし
図5の比較例では、過電流防止は抵抗43の1段だけであり、
図3の電流制限回路A03に相当する要素はなく、
図3の2段過電流保護回路R4、A03のような構成は有していない。
【0065】
図5の比較例では、例えば、外部の要因によって、要素44(抵抗R3)と要素45(抵抗Rs)との間が電源ショートした場合、常に電流が流れる。一方、
図3の本発明の実施形態の場合、上記要素と同様の位置にあるクロックスプリング292が電源ショートした場合、スイッチS04により電流が遮断されるため、スクイブ290の寿命を延ばすことが可能である。
【0066】
さらに、
図3では、バイアス電圧供給用抵抗R1、過電流保護抵抗R4を追加している。したがって、起爆用FET312等をOFFにしても、バイアス電流340・スクイブチェック電流350の経路を経由して電流が流れてしまう。これを防ぐため、スイッチS04が追加されている。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0068】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
本発明の実施形態を運転席用エアバッグを用いて説明したが、その他のあらゆる種類のエアバッグに本発明を適用してよい。例えば助手席用エアバッグ、サイドエアバッグ、インフレータブルカーテンエアバッグまたはニーエアバッグのいずれに本発明を適用してもよい。