特許第5657990号(P5657990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657990
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ラミネート用接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20141225BHJP
   C09J 175/12 20060101ALI20141225BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C09J175/04
   C09J175/12
   C09J175/06
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2010-230424(P2010-230424)
(22)【出願日】2010年10月13日
(65)【公開番号】特開2011-102387(P2011-102387A)
(43)【公開日】2011年5月26日
【審査請求日】2013年8月30日
(31)【優先権主張番号】特願2009-237474(P2009-237474)
(32)【優先日】2009年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】川那部 恒
(72)【発明者】
【氏名】大嵜 武
【審査官】 松波 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/177171(WO,A1)
【文献】 特開2005−089734(JP,A)
【文献】 特開2011−074333(JP,A)
【文献】 特開2009−280735(JP,A)
【文献】 特開2010−031105(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/074831(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/107354(WO,A1)
【文献】 特開平11−080699(JP,A)
【文献】 特開2000−290631(JP,A)
【文献】 特開2001−213927(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/072431(WO,A1)
【文献】 特開2004−195385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/04
C09J 175/06
C09J 175/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含有するラミネート用接着剤であって、
前記ポリイソシアネート成分が、炭素数が4以上のモノオールとポリイソシアネートとから得られるアロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、および/または、前記ポリオール成分が、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートとポリオールとから得られるアロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、
前記ポリオール成分および/または前記ポリオールが、酸成分としてナフタレンジカルボン酸および/またはそのアルキルエステルを含有するナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有し、
前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールが、酸成分としてダイマー酸をさらに含有していることを特徴とする、ラミネート用接着剤。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、
前記ポリオール成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、
前記ポリオールが、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることを特徴とする、請求項1に記載のラミネート用接着剤。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、
前記ポリオール成分が、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有せず、必須成分として、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることを特徴とする、請求項1に記載のラミネート用接着剤。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート成分が、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有せず、
前記ポリオール成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、
前記ポリオールが、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることを特徴とする、請求項1に記載のラミネート用接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート用接着剤、詳しくは、複合フィルムのラミネート加工に用いられるラミネート用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種フィルムを接着剤によって貼り合わせて得られる複合フィルムは、各種溶液を収容する包装袋として用いられることが広く知られている。
【0003】
例えば、アロファネート基含有ポリイソシアネートおよび活性水素化合物を反応させることにより得られるウレタンプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含有するポリウレタン樹脂組成物を接着剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1では、上記した接着剤によって、ナイロンフィルムおよびポリエチレンフィルムを接着して得られたフィルムからなるパウチは、強アルカリ性洗剤に対する耐性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−177171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、農薬の溶媒や2次電池の電解液など、種々の高極性溶媒に対する優れた耐性が必要とされている。
【0007】
しかるに、特許文献1のパウチを含む従来の包装袋では、そのような高極性溶媒に対する耐性が不十分であり、かかる高極性溶媒に対しても、優れた耐性を有することが要求されている。
【0008】
本発明の目的は、高極性溶媒に対する耐性に優れ、接着強度の低下を有効に抑制することができ、優れたヒートシール強度、および、フィルムおよび接着剤層間における優れた接着強度を有するラミネート用接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のラミネート用接着剤は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含有するラミネート用接着剤であって、前記ポリイソシアネート成分が、炭素数が4以上のモノオールとポリイソシアネートとから得られるアロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、および/または、前記ポリオール成分が、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートとポリオールとから得られるアロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、前記ポリオール成分および/または前記ポリオールが、ナフタレン環を含有していることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリオール成分および/または前記ポリオールが、酸成分としてナフタレンジカルボン酸および/またはそのアルキルエステルを含有するナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることが好適である。
【0011】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリイソシアネート成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、前記ポリオール成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、前記ポリオールが、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることが好適である。
【0012】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリイソシアネート成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、前記ポリオール成分が、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有せず、必須成分として、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることが好適である。
【0013】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリイソシアネート成分が、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有せず、前記ポリオール成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、前記ポリオールが、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有していることが好適である。
【0014】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールが、酸成分としてダイマー酸をさらに含有していることが好適である。
【0015】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリオール成分および/または前記ポリオールが、イソシアネート成分としてナフタレンジイソシアネートを含有するナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有していることが好適である。
【0016】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリイソシアネート成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、前記ポリオール成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートおよび前記ナフタレンジイソシアネートと、前記ポリオールとから得られる前記ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有することが好適である。
【0017】
また、本発明のラミネート用接着剤では、前記ポリイソシアネート成分が、必須成分として、前記アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、前記ポリオール成分が、前記アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有せず、必須成分として、前記ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有していることが好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のラミネート用接着剤を用いて各フィルム間を接着して得られる複合フィルムは、種々の高極性溶媒との接触による接着強度の低下を有効に抑制することができる。そのため、優れた信頼性を有する複合フィルムを得ることができる。
【0019】
また、本発明のラミネート用接着剤は、優れたヒートシール強度、および、フィルムおよび接着剤層間における優れた接着強度を有するので、ヒートシール加工による確実な接着を図ることができる。そのため、信頼性に優れる包装袋を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のラミネート用接着剤は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含有している。以下、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分における必須成分の相違に基づいて、本発明のラミネート用接着剤を各実施形態毎に説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分は、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有している。
【0021】
アロファネート基含有ポリイソシアネートは、モノオールとポリイソシアネートとを反応させるとともに、アロファネート化させることにより得ることができる。
【0022】
モノオールとしては、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール(ラウリルアルコール)、トリデシルアルコール、テトラデシルアルール(ミリスチルアルコール)、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール(セチルアルコール)、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール(ステアリルアルコール、オクタデカノール)、ノナデシルアルコール、およびそれらの異性体(2−メチル−1−プロパノール(iso−ブタノール)を含む)、さらには、その他のアルカノール(C20〜50アルコール)や、例えば、オレイルアルコールなどのアルケニルアルコール、例えば、オクタジエノールなどのアルカジエノール、例えば、ポリエチレンブチレンモノオールなどの脂肪族モノオールが挙げられる。また、モノオールとして、例えば、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールなどの脂環族モノオール、例えば、ベンジルアルコールなどの芳香脂肪族モノオールなども挙げられる。
【0023】
モノオールの炭素数は、4以上、好ましくは、5以上、さらに好ましくは、6以上、通常、50以下である。
【0024】
モノオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0025】
これらモノオールのうち、好ましくは、炭素数4以上の脂肪族モノオールが挙げられる。
【0026】
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0027】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0028】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(H12MDI)、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添キシリレンジイソシアネート、HXDI)、2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンもしくはその混合物(NBDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−または1,3−シクロヘキサンジイソシアネートもしくはその混合物、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0029】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンもしくはその混合物(キシリレンジイソシアネート、XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0030】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジイソシアネートもしくはその混合物(NDI)、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0031】
ポリイソシアネートは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0032】
これらポリイソシアネートのうち、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0033】
そして、アロファネート基含有ポリイソシアネートを得るには、まず、モノオールとポリイソシアネートとを、モノオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、2〜100、好ましくは、5〜50となる割合で、それらを配合して、反応させる。
【0034】
モノオールとポリイソシアネートとは、公知の反応条件で反応させることができる。
【0035】
具体的には、反応温度が、例えば、40〜100℃で、反応時間が、0.5〜100時間の反応条件で、ウレタン化反応させる。
【0036】
続いて、反応温度が、例えば、0〜160℃、好ましくは、20〜120℃で、反応時間が、0.5〜20時間の反応条件で、アロファネート化反応させる。
【0037】
上記したウレタン化反応では、必要により、公知のウレタン化触媒を添加することができ、また、上記したアロファネート化反応では、必要により、公知のアロファネート化触媒を添加することができ、さらに、上記した各反応において、必要により、公知の有機溶媒を添加することができる。
【0038】
ウレタン化触媒としては、例えば、錫系触媒、鉛系触媒、アミン系触媒などが挙げられる。
【0039】
アロファネート化触媒としては、例えば、オクチル酸ビスマスなどの有機カルボン酸ビスマス塩、例えば、オクチル酸鉛などの有機カルボン酸鉛塩などが挙げられる。
【0040】
また、上記したアロファネート反応の前に、反応系に、有機亜リン酸エステル(例えば、トリス(トリデシル)ホスファイトなど)などの助触媒を予め添加することにより、アロファネート化触媒および助触媒の共存下で、アロファネート化反応させることもできる。
【0041】
さらに、アロファネート化反応を終了させるときには、反応系に、公知のアロファネート化反応停止剤を添加することにより、アロファネート化触媒を失活させる。アロファネート化反応停止剤としては、例えば、リン酸、モノクロル酢酸、塩化ベンゾイル、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、オルトトルエンスルホンアミドなどが挙げられる。
【0042】
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
【0043】
反応後の反応系における未反応のモノオールやポリイソシアネートの濃度(以下、「残存モノマー濃度」という場合がある。)が高い場合には、好ましくは、反応系から未反応のそれらを除去し、残存モノマー濃度を低減する。
【0044】
未反応のモノオールやポリイソシアネートを除去する方法としては、例えば、薄膜蒸留法などの蒸留法や、例えば、液−液抽出法などの抽出法などが挙げられる。好ましくは、薄膜蒸留法が挙げられる。
【0045】
薄膜蒸留法では、例えば、真空度0.02〜0.2kPa、100〜200℃の温度条件に調整される。
【0046】
これにより、アロファネート基含有ポリイソシアネートを得ることができる。
【0047】
アロファネート基含有ポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上である。
【0048】
また、ポリイソシアネート成分は、任意成分として、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネート以外の他のポリイソシアネートを含有することができる。
【0049】
すなわち、他のポリイソシアネートは、アロファネート基含有ポリイソシアネートと併用され、上記したポリイソシアネート(例えば、上記した脂肪族ポリイソシアネート、上記した脂環族ポリイソシアネート、上記した芳香脂肪族ポリイソシアネート、および、上記した芳香族ポリイソシアネートなど)が挙げられる。
【0050】
また、他のポリイソシアネートには、上記したポリイソシアネートの変性体(上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートを除く)が含まれる。
【0051】
変性体としては、例えば、多量体、ビウレット変性体、アロファネート変性体(上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートを除く)、オキサジアジントリオン変性体、ポリオール変性体などが挙げられる。
【0052】
多量体としては、例えば、二量体(ウレットジオン基含有ポリイソシアネート、ダイマー変性体)、三量体(イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、トリマー変性体)、五量体、七量体などが挙げられる。ポリイソシアネートの多量体として、好ましくは、ポリイソシアネートの三量体が挙げられる。
【0053】
三量体は、上記したポリイソシアネートを公知のイソシアヌレート化触媒の存在下において反応させ、三量化することにより得ることができる。
【0054】
ビウレット変性体は、上記したポリイソシアネートと、例えば、水、第三級アルコール(例えば、t−ブチルアルコールなど)、第二級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)などとを反応させた後、公知のビウレット化触媒の存在下でさらに反応させることにより得ることができる。
【0055】
アロファネート変性体は、上記したポリイソシアネートと、炭素数が3以下のモノアルコール(1価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)とを、公知のウレタン化触媒の存在下でウレタン化反応させた後、さらに、公知のアロファネート化触媒の存在下で、アロファネート化反応させることにより得ることができる。
【0056】
オキサジアジントリオン変性体は、ポリイソシアネートと二酸化炭素との反応により得ることができる。
【0057】
ポリオール変性体は、上記したポリイソシアネートと、低分子量ポリオールとの反応により得ることができる。
【0058】
低分子量ポリオールは、ヒドロキシル基を2つ以上有する数平均分子量40以上400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(NPG)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、アルカン(炭素数7〜22)ジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、1,5−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、テトラオキシエチレングリコール、ペンタオキシエチレングリコール、ヘキサオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコール、テトラオキシプロピレングリコール、ペンタオキシプロピレングリコール、ヘキサオキシプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン(TMP)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールおよびその他の脂肪族トリオール(炭素数8〜24)などの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
【0059】
低分子量ポリオールのうち、好ましくは、3価アルコールが挙げられる。
【0060】
変性体のうち、好ましくは、ポリオール変性体、さらに好ましくは、芳香族ポリイソシアネートのポリオール変性体が挙げられる。
【0061】
これら他のポリイソシアネートは、単独または2種以上併用することができる。
【0062】
これら他のポリイソシアネートとして、好ましくは、変性体が挙げられる。
【0063】
第1実施形態のラミネート用接着剤では、ポリオール成分は、必須成分として、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有している。
【0064】
アロファネート基含有ポリウレタンポリオールは、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートとポリオールとをウレタン化反応させることにより得ることができる。
【0065】
ポリオールは、必須成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有している。
【0066】
ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールは、ナフタレンジカルボン酸(および/またはそのアルキルエステル)を含有する酸成分と、多価アルコールとのエステル化反応(あるいはエステル交換反応)より得ることができる。
【0067】
ナフタレンジカルボン酸としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
【0068】
ナフタレンジカルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば、ナフタレンジカルボン酸のジメチルエステルなどが挙げられる。
【0069】
また、酸成分は、ナフタレンジカルボン酸および/またはそのアルキルエステルを必須成分として含有し、さらに、ダイマー酸や、それら以外の他の多塩基酸を併用することができる。
【0070】
好ましくは、ダイマー酸が、ナフタレンジカルボン酸および/またはそのアルキルエステルと併有される。
【0071】
ダイマー酸は、通常、工業用原料として入手し得る、主成分が炭素数18の不飽和脂肪酸の2量体からなるものであって、その他に、モノマー酸およびトリマー酸を含んでいる。
【0072】
ダイマー酸の配合割合は、ナフタレンジカルボン酸および/またはそのアルキルエステル100質量部に対して、例えば、5〜400質量部、好ましくは、10〜300質量部である。
【0073】
他の多塩基酸は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ヘット酸などのカルボン酸、および、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0074】
他の多塩基酸の配合割合は、ナフタレンカルボン酸および/またはそのアルキルエステル100質量部に対して、例えば、5〜100質量部、好ましくは、10〜50質量部である。
【0075】
多価アルコールとしては、上記した低分子量ポリオール、好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
【0076】
ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを得るには、例えば、まず、ナフタレンジカルボン酸のアルキルエステルを含有する酸成分と、多価アルコールとをエステル交換反応させてポリエステルオリゴマーを合成し、次いで、必要により配合されるダイマー酸をさらに添加してエステル化反応させた後に、縮合反応させる。
【0077】
あるいは、まず、ナフタレンジカルボン酸を含有する酸成分と、多価アルコールとをエステル化反応させてポリエステルオリゴマーを合成し、次いで、必要により配合されるダイマー酸をさらに添加してエステル化反応させた後に、縮合反応させる。
【0078】
これにより、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを得ることができる。
【0079】
このようにして得られるナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールの数平均分子量は、例えば、300〜20000、好ましくは、500〜15000である。
【0080】
ポリオールは、任意成分として、上記したナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール以外の他のポリオールを含有することができる。
【0081】
すなわち、他のポリオールは、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールと併用され、例えば、上記した低分子量ポリオールやマクロポリオールが挙げられる。
【0082】
他のポリオールとして、好ましくは、マクロポリオールが挙げられる。
【0083】
マクロポリオールとしては、例えば、上記したナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール以外の他のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオールなどのマクロポリオールが挙げられる。
【0084】
好ましくは、他のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオールが挙げられる。
【0085】
他のポリエステルポリオールは、例えば、ナフタレンジカルボン酸(および/またはそのアルキルエステル)以外の上記した多塩基酸と、上記した多価アルコールとのエステル化反応(あるいはエステル交換反応)より得られる。
【0086】
また、他のポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0087】
さらに、他のポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0088】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0089】
ポリプロピレングリコールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む)が挙げられる。
【0090】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0091】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、触媒の存在下または不在下に、ホスゲン、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート、アルキレンカーボネートなどを反応させることにより、得ることができる。
【0092】
ポリウレタンポリオールとしては、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記したポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
【0093】
このようにして得られるマクロポリオールの数平均分子量は、例えば、400〜20000、好ましくは、600〜15000である。
【0094】
他のポリオールの配合割合は、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
【0095】
アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを得るには、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートとポリオールとを、アロファネート基含有ポリイソシアネートのイソシアネート基に対するポリオールの水酸基の当量比(水酸基/イソシアネート基)が、例えば、1を超過する割合、好ましくは、2〜100となる割合で、それらを配合して、ウレタン化反応させる。
【0096】
アロファネート基含有ポリイソシアネートとポリオールとは、公知の反応条件で反応させることができ、具体的には、反応温度が、例えば、40〜100℃で、反応時間が、0.5〜100時間の反応条件で、ウレタン化反応させる。
【0097】
上記したウレタン化反応では、必要により、公知のウレタン化触媒を添加することができ、また、必要により、上記した有機溶媒を添加することができる。
【0098】
これにより、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを得ることができる。
【0099】
このようにして得られるアロファネート基含有ポリウレタンポリオールの数平均分子量は、例えば、350〜45000、好ましくは、450〜35000である。
【0100】
アロファネート基含有ポリウレタンポリオールの配合割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上である。
【0101】
また、ポリオール成分は、任意的に、上記したアロファネート基含有ポリウレタンポリオール以外の他のポリオールを含有することができる。
【0102】
他のポリオールとしては、上記した低分子量ポリオールやマクロポリオール(ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含む)が挙げられる。好ましくは、マクロポリオールが挙げられる。
【0103】
但し、ポリオール成分は、必須成分として、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有していれば、任意成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有せずに調製することができる。
【0104】
そして、上記したポリイソシアネート成分とポリイソシアネート成分とをそれぞれ調製することにより、第1実施形態のラミネート用接着剤を調製する。
<第2実施形態>
第2実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分が、必須成分として、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートを含有している。
【0105】
また、ポリオール成分が、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有せず、必須成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有している。
【0106】
具体的には、第2実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分が、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、任意成分として、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネート以外の他のポリイソシアネートを併用することができる。
【0107】
ポリイソシアネート成分におけるアロファネート基含有ポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上である。
【0108】
また、ポリオール成分は、必須成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有し、任意成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール以外の他のポリオール(例えば、低分子量ポリオールやマクロポリオール。)を併用することができる。
【0109】
つまり、第2実施形態のラミネート用接着剤では、ポリオール成分は、必須成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有し、任意成分として、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有せずに調製する。
【0110】
また、ポリオール成分におけるナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールの配合割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、30質量部以上である。
<第3実施形態>
第3実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分は、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有せず、ポリオール成分が、必須成分として、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有している。
【0111】
具体的には、第3実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分は、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有せず、必須成分として、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネート以外の他のポリイソシアネートを含有している。
【0112】
また、ポリオール成分が、必須成分として、上記したアロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有し、任意成分として、上記したアロファネート基含有ポリウレタンポリオール以外の他のポリオール(例えば、低分子量ポリオールやマクロポリオール(ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含む))を併用することができる。
【0113】
また、ポリオール成分におけるアロファネート基含有ポリウレタンポリオールの配合割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上である。
【0114】
但し、ポリオール成分は、必須成分として、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有していれば、任意成分として、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有せずに調製することができる。
【0115】
そして、上記した第1実施形態〜第3実施形態のラミネート用接着剤では、ポリオール成分および/またはポリオールが、ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオールを含有している。しかし、本発明のラミネート用接着剤では、ポリオール成分および/またはポリオールが、ナフタレン環を含有していればよく、イソシアネート成分としてナフタレンジイソシアネートを含有するナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有させることもできる。
【0116】
次に、第4実施形態および第5実施形態において、ポリオール成分および/またはポリオールが、ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有するラミネート用接着剤について説明する。
<第4実施形態>
第4実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分が、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有している。
【0117】
具体的には、第4実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分が、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、任意成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネート以外の他のポリイソシアネートを併用することができる。
【0118】
ポリイソシアネート成分におけるアロファネート基含有ポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上である。
【0119】
ポリオール成分は、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートと、上記した他のポリオールとから得られるナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有している。
【0120】
ナフタレンジイソシアネートとしては、例えば、上記した1,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジイソシアネートもしくはその混合物(NDI)などが挙げられ、好ましくは、1,5−ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
【0121】
他のポリオールとしては、好ましくは、上記した低分子量ポリオール(1,4−ブチレングリコールなど)および/または上記した他のポリエステルポリオールが挙げられる。他のポリエステルポリオールは、例えば、上記した多塩基酸(例えば、イソフタル酸、セバチン酸など)と、上記した多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの低分子量ポリオールなど)とのエステル化反応(あるいはエステル交換反応)により得られる。
【0122】
ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールは、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートと、上記した他のポリオールとをウレタン化反応させることにより得ることができる。
【0123】
具体的には、ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールは、上記したアロファネート基含有ポリイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートと、他のポリオールとを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、反応させることによって、得ることができる。反応条件は、特に限定されず、例えば、反応温度が、例えば、40〜100℃、反応時間が、例えば、0.5〜100時間である。
【0124】
ナフタレンジイソシアネートの配合割合は、アロファネート基含有ポリイソシアネート100質量部に対して、例えば、10〜100質量部、好ましくは、25〜50質量部である。
【0125】
また、第4実施形態のラミネート用接着剤では、ポリオール成分が、必須成分として、上記したナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有し、任意成分として、上記したナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオール以外の他のポリオール(例えば、低分子量ポリオール(1,4−ブチレングリコールなど)を併用することができる。
【0126】
ポリオール成分におけるナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールの配合割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、30質量部以上である。
<第5実施形態>
第5実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分が、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有している。
【0127】
具体的には、第5実施形態のラミネート用接着剤では、ポリイソシアネート成分が、必須成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有し、任意成分として、アロファネート基含有ポリイソシアネート以外の他のポリイソシアネートを併用することができる。
【0128】
ポリイソシアネート成分におけるアロファネート基含有ポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上である。
【0129】
また、ポリオール成分は、アロファネート基含有ポリウレタンポリオールを含有せず、必須成分として、ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有している。
【0130】
第5実施形態において、ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールは、アロファネート基含有ポリイソシアネートを含有せず、ナフタレンジイソシアネートを含有するイソシアネート成分と、上記した他のポリオールとから得られる。
【0131】
他のポリオールとしては、好ましくは、上記した低分子量ポリオール(1,4−ブチレングリコールなど)および/または上記した他のポリエステルポリオールが挙げられる。他のポリエステルポリオールは、例えば、上記した多塩基酸(例えば、イソフタル酸、セバチン酸など)と、上記した多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの低分子量ポリオールなど)とのエステル化反応(あるいはエステル交換反応)により得られる。
【0132】
具体的には、第5実施形態において、ナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールは、上記したナフタレンジイソシアネートと他のポリオールとを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、反応させることによって、得ることができる。反応条件は、特に限定されず、例えば、反応温度が、例えば、40〜100℃、反応時間が、例えば、0.5〜100時間である。
【0133】
ポリオール成分は、必須成分として、上記したナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールを含有し、任意成分として、上記したナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオール以外の他のポリオール(例えば、低分子量ポリオール(1,4−ブチレングリコールなど)を併用することができる。
【0134】
ポリオール成分におけるナフタレンジイソシアネート含有ポリウレタンポリオールの配合割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上である。
<ラミネート用接着剤によるラミネート加工>
本発明のラミネート用接着剤は、上記した各実施形態において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、後述するラミネート加工時に配合し、混合撹拌して用いる。
【0135】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合割合は、ポリオール成分の水酸基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、0.4〜10.0、好ましくは、0.5〜5.0となる割合に調整される。
【0136】
また、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とには、必要に応じて、そのいずれか一方またはその両方に、例えば、エポキシ樹脂、硬化触媒、塗工改良剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合割合は、その目的および用途により適宜決定される。
【0137】
そして、このラミネート用接着剤は、複合フィルムのラミネート加工、具体的には、複合フィルムの各フィルム間の接着に用いられる。
【0138】
すなわち、ラミネート加工では、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を公知の有機溶剤で希釈して配合し、ラミネート用接着剤を調製した後、溶剤型ラミネータによって、この接着剤を各フィルム表面に塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面を貼り合わせ、その後、常温または加温下において養生して硬化させる方法や、あるいは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合粘度が、常温〜100℃で、約100〜10000mPa・s、好ましくは、約100〜5000mPa・sの場合には、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分をそのまま配合し、ラミネート用接着剤を調製した後、無溶剤型ラミネータによって、この接着剤を各フィルム表面に塗布し、塗布面を貼り合わせ、その後、常温または加温下において養生して硬化させる方法などが採用される。
【0139】
通常、塗布量は、例えば、溶剤型の場合、溶剤揮散後の坪量(固形分)で、約2.0〜5.0g/m、無溶剤型の揚合、約1.0〜3.0g/mである。
【0140】
接着されるフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、未延伸ポリプロピレンや延伸ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニルなどからなるプラスチックフィルム、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、鉛などからなる金属箔などが挙げられる。また、上記したフィルムの表面には、必要により、コロナ処理、UV処理、プラズマ処理などの公知の活性化処理を施すこともできる。
【0141】
各フィルムの厚みは、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。
【0142】
また、ラミネート用接着剤が各フィルム間の接着に用いられた複合フィルムは、メタノールに、50℃で、168時間、浸漬後の接着強度が、例えば、1.0N/15mm以上、好ましくは、1.5N/15mm以上、さらに好ましくは、2.0N/15mm以上であり、通常、10.0N/15mm以下である。
【0143】
また、ラミネート用接着剤が各フィルム間の接着に用いられた複合フィルムは、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを1/1/1の質量比で含有する混合溶媒に、85℃で、168時間、浸漬後の接着強度が、例えば、1.0N/15mm以上、好ましくは、1.5N/15mm以上、さらに好ましくは、2.0N/15mm以上であり、通常、10.0N/15mm以下である。
【0144】
なお、浸漬前、つまり、ラミネート加工直後における複合フィルムの接着強度は、例えば、3.0N/15mm以上、好ましくは、4.0N/15mm以上、さらに好ましくは、5.0N/15mm以上であり、通常、20.0N/15mm以下である。
【0145】
なお、上記した複合フィルムの接着強度の測定方法は後の実施例にて詳述する。
【0146】
そして、上記した複合フィルムは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコールなどのプロトン性溶媒、さらには、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートから選択されるカーボネート系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒などの高極性溶媒に対する耐性に優れている。
【0147】
そのため、上記した複合フィルムは、上記した高極性溶媒を封入する、各種の産業分野において使用される包装袋として用いられ、具体的には、食品、飲料、農薬、医薬品および医薬部外品などの包装袋、あるいは、電子部品の外装袋など、さらには、2次電池の外装袋として用いられる。
【0148】
そして、本発明のラミネート用接着剤を用いて各フィルム間を接着して得られる複合フィルムは、種々の高極性溶媒との接触による接着強度の低下を有効に抑制することができる。そのため、優れた信頼性を有する複合フィルムを得ることができる。
【0149】
また、このラミネート用接着剤は、優れたヒートシール強度、および、フィルムおよび接着剤層間における優れた接着強度を有するので、ヒートシール加工による確実な接着を図ることができる。そのため、信頼性に優れる包装袋を得ることができる。
【実施例】
【0150】
次に、本発明を、合成例、調製例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、それらによって限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
【0151】
<ポリイソシアネートa〜cの合成>
合成例1
(ポリイソシアネートaの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)860g、オクタデカノール139.5g、および、トリス(トリデシル)ホスファイト0.5gを仕込み、80℃で2時間、ウレタン化反応させた。次に、反応液にオクチル酸ビスマス(Bi含有量:18質量%)を0.05g添加し、100℃で10時間、アロファネート化反応させ、ウレタン結合のアロファネート結合への変換がほぼ完了したことを確認し、オルトトルエンスルホンアミド0.03gを添加してアロファネート化反応を停止させた。
【0152】
得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度:0.05kPa、温度150℃)を用いて未反応のオクタデカノールおよびヘキサメチレンジイソシアネートを除去し、アロファネート基含有ポリイソシアネート(HDI/C18OHアロファネート変性体)からなるポリイソシアネートaを得た。ポリイソシアネートaのイソシアネート基含有率(NCO%)は13.1%であった。
【0153】
なお、NCO%は、JIS K7301に記載のイソシアネート基含有率試験により測定した。
【0154】
合成例2
(ポリイソシアネートbの合成)
コスモネートT−80(2,4−異性体/2,6−異性体比=80/20のトリレンジイソシアネート、三井化学社製)596.0gを70℃に加熱し、トリメチロールプロパン153.1gを徐々に加えて、2時間反応させることにより、ポリイソシアネートのポリオール変性体(TDI/TMPポリオール変性体)からなるポリイソシアネートbを得た。
【0155】
合成例3
(ポリイソシアネートcの合成)
イソホロンジイソシアネート333.8g、および、タケネート500(キシリレンジイソシアネート、三井化学社製)282.2gを70℃に加熱し、トリメチロールプロパン134.0gを徐々に加え、3時間、反応させることにより、ポリイソシアネートのポリオール変性体(IPDI/XDI/TMPポリオール変性体)からなるポリイソシアネートcを得た。
【0156】
合成例4
(ポリイソシアネートdの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)957.3g、2−メチル−1−プロパノール42.2g、および、トリス(トリデシル)ホスファイト0.5gを仕込み、80℃で2時間、ウレタン化反応させた。次に、反応液にオクチル酸ビスマス(Bi含有量:18質量%)を0.05g添加し、100℃で10時間、アロファネート化反応させ、ウレタン結合のアロファネート結合への変換がほぼ完了したことを確認し、オルトトルエンスルホンアミド0.03gを添加してアロファネート化反応を停止させた。
【0157】
得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度:0.05kPa、温度150℃)を用いて未反応の2−メチル−1−プロパノールおよびヘキサメチレンジイソシアネートを除去し、アロファネート基含有ポリイソシアネート(HDI/C4OHアロファネート変性体)からなるポリイソシアネートdを得た。ポリイソシアネートdのイソシアネート基含有率(NCO%)は19.0%であった。
<ポリオールa〜jの合成>
合成例5
(ポリオールaの合成)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル390.7g、プロピレングリコール67.3g、ネオペンチルグリコール137.5g、および、チタンテトラブトキシド0.1gをそれぞれ添加し、窒素気流下180〜220℃で、エステル交換反応させた。所定量のメタノールを留出後、系内を徐々に減圧し、13.3Pa以下、220℃で、縮合反応させて、数平均分子量が約5000のナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール(NDCM//PG/NPG)からなるポリオールaを得た。
【0158】
合成例6
(ポリオールbの合成)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル124.5g、プロピレングリコール60.7g、ネオペンチルグリコール82.3g、および、チタンテトラブトキシド0.1gをそれぞれ添加し、窒素気流下180〜220℃で、エステル交換反応させた。所定量のメタノールを留出後、ダイマー酸288.2gを加え、180〜220℃で、エステル化反応させ、所定量の水を留出後、系内を徐々に減圧し、13.3Pa以下、220℃で、縮合反応させて、数平均分子量が約5000のナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール(NDCM/DA//PG/NPG)からなるポリオールbを得た。
【0159】
合成例7
(ポリオールcの合成)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル188.0g、プロピレングリコール60.7g、ネオペンチルグリコール82.3g、および、チタンテトラブトキシド0.1gをそれぞれ添加し、窒素気流下180〜220℃で、エステル交換反応させた。所定量のメタノールを留出後、ダイマー酸135.6gを加え、180〜220℃で、エステル化反応させ、所定量の水を留出後、系内を徐々に減圧し、13.3Pa以下、220℃で、縮合反応させて、数平均分子量が約5000のナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール(NDCM/DA//PG/NPG)からなるポリオールcを得た。
【0160】
合成例8
(ポリオールdの合成)
イソフタル酸141.2g、1,6−ヘキサンジオール218.7g、および、酢酸亜鉛0.1gをそれぞれ添加し、窒素気流下180〜220℃で、エステル化反応させた。所定量の水を留出後、ダイマー酸243.0gを加え、180〜220℃で、さらにエステル化反応させ、所定量の水を留出後、系内を徐々に減圧し、13.3Pa以下、220℃で縮合反応させて、数平均分子量が5000のポリエステルポリオール(IPA/DA//HD)からなるポリオールdを得た。
【0161】
合成例9
(ポリオールeの合成)
イソフタル酸322.2g、1,6−ヘキサンジオール124.1g、3−メチル−1,5−ペンタンジオール182.0g、および、酢酸亜鉛0.1gをそれぞれ添加し、窒素気流下180〜220℃で、エステル化反応させた。所定量の水を留出後、ダイマー酸243.0gを加え、180〜220℃で、エステル化反応させ、所定量の水を留出後、系内を徐々に減圧し、13.3Pa以下、220℃で、縮合反応させて、数平均分子量が5000のポリエステルポリオール(IPA/DA//HD/MPD)からなるポリオールeを得た。
【0162】
合成例10
(ポリオールfの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、合成例6のポリオールb 500gと、合成例1のポリイソシアネートa 10gとを、窒素雰囲気下にて、80℃で攪拌混合し、ウレタン化反応させ、数平均分子量が5100の、アロファネート基含有ポリウレタンポリオール((HDI/C18OHアロファネート変性体)//NDCM/DA//PG/NPG)からなるポリオールfを合成した。
【0163】
なお、得られたポリオールfは、アロファネート基含有ポリウレタンポリオール((HDI/C18OHアロファネート変性体//NDCM/DA//PG/NPG)、ポリオールfに対して32.5質量%)と、未反応のポリオールb(ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール、NDCM/DA//PG/NPG、ポリオールfに対して67.5質量%)とを含んでいる。
【0164】
合成例11
(ポリオールgの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、合成例6のポリオールb 500gと、合成例4のポリイソシアネートd 5gとを、窒素雰囲気下にて、80℃で攪拌混合し、ウレタン化反応させ、数平均分子量が5700の、アロファネート基含有ポリウレタンポリオール((HDI/C4OHアロファネート変性体//NDCM/DA//PG/NPG))からなるポリオールgを合成した。
【0165】
なお、得られたポリオールgは、アロファネート基含有ポリウレタンポリオール((HDI/C4OHアロファネート変性体)//NDCM/DA//PG/NPG、ポリオールgに対して23.4質量%)と、未反応のポリオールd(ナフタレンジカルボン酸含有ポリエステルポリオール、NDCM/DA//PG/NPG、ポリオールgに対して76.6質量%)とを含んでいる。
【0166】
合成例12
(ポリオールiの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、D−1000(商品名「Diol−1000」、数平均分子量1000のポリオキシプロピレングリコール、三井化学社製)474.5g、ジプロピレングリコール(DPG)63.6g、および、合成例1のポリイソシアネートa 334.3gを仕込み、窒素気流下、反応温度70℃で1時間、ウレタン化反応させて、アロファネート基含有ポリエーテルウレタンポリオール((HDI/C18OHアロファネート変性体)//D−1000/DPG)からなるポリオールを得た。
【0167】
次に、ポリオールの反応液に、コスモネートT−80(2,4−異性体/2,6−異性体比=80/20のトリレンジイソシアネート、三井化学社製)90.8gおよびオクチル酸錫0.1gを添加し、反応温度80℃で2時間、さらにウレタン化させた。イソシアネート基含有率(NCO%)が0.8%に達したところで、1,4−ブタンジオール36.6gおよびオクチル酸錫0.2gを添加した。FT−IRによりイソシアネート基のピークが完全に消失したことを確認するまで反応させて、ポリエーテルウレタンポリオール((HDI/C18OHアロファネート変性体)/TDI//D−1000//DPG/1,4−BD)からなるポリオールiを得た。
【0168】
合成例13
(ポリオールjの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、イソフタル酸221.5gおよびネオペンチルグリコール243.0gを仕込み、窒素気流下180〜220℃で、エステル化反応させた。所定量の水を留出後、エチレングリコール62.1g、セバチン酸404.5gおよびジオクチル錫0.1gをそれぞれ加え、180〜220℃で、さらにエステル化反応させ、所定量の水を留出後、系内を徐々に減圧し、13.3Pa以下、220℃で、縮合反応させて、数平均分子量が2500のポリエステルポリオール(IPA/SeA//EG/NPG)からなるポリオールjを得た。
【0169】
<ポリイソシアネート成分の調製>
調製例1
(ポリイソシアネート成分Aの調製)
合成例2のポリイソシアネートb 750gに、トルエン250.0g加え、均一に混合することにより、固形分75%、イソシアネート基含有量14.2%のポリイソシアネート成分Aを調製した。
【0170】
調製例2
(ポリイソシアネート成分Bの調製)
タケネートD−170N(ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソシアネート基含量20.7%、三井化学社製)700gとトルエン300gとを、冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコに装入し、40℃で30分間攪拌することにより、固形分70%、イソシアネート含有率14.5%のポリイソシアネート成分Bを調製した。
【0171】
調製例3
(ポリイソシアネート成分Cの調製)
合成例1のポリイソシアネートa 300gと、合成例2のポリイソシアネートbのトルエン溶液(合成例2のポリイソシアネートbを固形分75%となるようにトルエンで希釈したもの)400gと、トルエン300gとを、冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコに装入し、40℃で30分間攪拌することにより、固形分60%、イソシアネート含有率9.6%のポリイソシアネート成分Cを調製した。
【0172】
調製例4
(ポリイソシアネート成分Dの調製)
合成例3のポリイソシアネートc 750.0gに、トルエン250.0gを加えて均一混合することにより、固形分75%、イソシアネート基含有量12.6%のポリイソシアネート成分Dを調製した。
【0173】
調製例5
(ポリイソシアネート成分Eの調製)
合成例4のポリイソシアネートd 300gと、合成例2のポリイソシアネートbのトルエン溶液(合成例2のポリイソシアネートbを固形分75%となるようにトルエンで希釈したもの)400gと、トルエン300gとを、冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコに装入し、40℃で30分間攪拌することにより、固形分60%、イソシアネート含有率11.4%のポリイソシアネート成分Eを調製した。
【0174】
<ポリオール成分の調製>
調製例6〜12
(ポリオール成分A〜Gの調製)
合成例5〜11のポリオールa〜gを、それらと同質量のトルエンで希釈して、固形分50%にそれぞれ調整することにより、調製例6〜12のポリオール成分A〜Gをそれぞれ調製した。
【0175】
調製例13
(ポリオール成分Hの調製)
R−15HT(商品名「Poly BD R−15HT」、ポリブタジエンポリオール、水酸基価102mgKOH/g、出光社製)を、調製例13のポリオールHとして供した。
【0176】
調製例14
(ポリオール成分Iの調製)
合成例12のポリオールi 600gを、トルエン400gで希釈して、固形分60%に希釈することにより、調製例14のポリオール成分Iを調製した。
【0177】
調製例15
(ポリオール成分Jの調製)
合成例13のポリオールj 474.3g、1,4−ブタンジオール0.9g、コスモネートND(1,5−ナフタレンジイソシアネート、三井化学社製)24.8g、および、トルエン500.0gを、窒素雰囲気下にて、80℃で攪拌混合し、ウレタン化反応させた。FT−IRによりイソシアネート基のピークが完全に消失したことを確認するまで反応させることにより、ナフタレンジイソシアネート基含有ポリウレタンポリオール(NDI//1,4−BD/(IPA/SeA//EG/NPG))からなるポリオールJを得た。
【0178】
調製例16
(ポリオール成分Kの調製)
合成例13のポリオールj 449.2g、1,4−ブタンジオール1.1g、コスモネートND(1,5−ナフタレンジイソシアネート、三井化学社製)12.3g、合成例1のポリイソシアネートa 37.6g、および、トルエン500.0gを、窒素雰囲気下にて、80℃で攪拌混合し、ウレタン化反応させた。FT−IRによりイソシアネート基のピークが完全に消失したことを確認するまで反応させて、アロファネート基含有ポリウレタンポリオール((HDI/C18OHアロファネート変性体)/NDI//1,4−BD/(IPA/SeA//EG/NPG))からなるポリオールKを得た。
【0179】
実施例、参考例および比較例
表1および表2に従って、各調製例のポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、当量比(NCO/OH)=1.3となるように混合して、ラミネート用接着剤を調製した。
【0180】
その直後に、ラミネート用接着剤を、常温下において厚さ40μmのアルミニウム箔(表面未処理)の上に、バーコーターを用いて、坪量4g/m(固形分)となるように塗布し、有機溶剤(トルエン)を揮散させた。その後、アルミニウム箔におけるラミネート用接着剤の塗布面と、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(片面コロナ処理品)におけるコロナ処理面とを貼り合わせ、40℃で7日間養生することにより、ラミネート用接着剤を硬化させて、アルミニウム箔および未延伸ポリプロピレンフィルム間を接着させて、複合フィルムを得た。
【0181】
(評価)
(接着強度)
複合フィルムを、長さ150mm、幅15mmの大きさに切り出し、万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度300mm/分にてT型剥離試験を実施して、複合フィルムの接着強度を測定した。その結果を、表1および表2に示す。
【0182】
(ヒートシール強度)
複合フィルムを、長さ150mm、幅100mmの大きさに切り出してサンプル(2枚)を用意し、それらを、未延伸ポリプロピレンフィルム同士が隣接するように配置して状態で、ヒートシール装置(テスター産業社製、ヒートシール条件:上段190℃、下段40℃、印加圧力0.3MPa×3秒間)にて、ヒートシール加工した。
【0183】
次いで、ヒートシール部分を、万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度300mm/分にて、T型剥離試験を実施して、ヒートシール部分の接着強度を測定した。
【0184】
また、接着強度の測定とともに、剥離状態を観察した。なお、剥離状態は、ヒートシール部分の面積における未延伸ポリプロピレンフィルム同士が凝集剥離している部分の面積の割合(%)として評価した。
【0185】
これによってヒートシール強度を評価した。その結果を、表1および表2に示す。
【0186】
(耐性試験)
複合フィルムを、所定の高極性溶媒に、所定の温度で、168時間、浸漬した。浸漬後、複合フィルムを取り出し、高極性溶媒を拭き取った。
【0187】
高極性溶媒としては、メタノールと、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを1/1/1の質量比で含有する混合溶媒を、それぞれ用いた。
【0188】
また、高極性溶媒としてメタノールを用いた場合には、浸漬温度を50℃に設定し、高極性溶媒として混合溶媒を用いた場合には、浸漬温度を85℃に設定した。
【0189】
その後、直ちに万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度300mm/分にてT型剥離試験を実施して、浸漬後の複合フィルムの接着強度を測定した。
【0190】
また、剥離強度0(N/15mm)は、既にアルミニウム箔および未延伸ポリプロピレンフィルム間で剥離が生じている状態を示す。
【0191】
これによって、耐性を評価した。その結果を、表1および表2に示す。
【0192】
【表1】
【0193】
【表2】