(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性および透光性を有する合成樹脂からなり、前記第1シートおよび補強体間に介在される第3シートをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁カバー体。
前記第2シートの少なくとも一方で対を成す各側部には、相互に合着可能な面状のファスナシートが設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の絶縁カバー体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、絶縁カバーは、網目状の合成樹脂クロスを用いて構成されるので、透光性を有しない。このことから、電気工事用絶縁カバーで通電部を覆うと、外側から通電部を視認して確認することができない。近年、様々な機種や型式の通電部が存在し、経験の少ない作業者が電気工事用絶縁カバーで覆われた通電部の機種および型式などを確認するためには、電気工事用絶縁カバーを取り外さなければならず、作業効率が悪い、という問題がある。
【0005】
また従来技術では、絶縁カバーは、網目状の合成樹脂クロスと透明な合成樹脂シートとによって構成されるので、たとえば電気工事の作業エリアが狭い場合などに、作業者が作業中に工具を合成樹脂シートの上から通電部に当接させて、絶縁カバーおよび通電部を損傷するおそれがある、という問題がある。
【0006】
本発明の目的は、作業効率がよく、かつ、充分な強度を有する絶縁カバー体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、可撓性および透光性を有する合成樹脂からなる第1シートと、
可撓性および透光性を有する合成樹脂からなり、第1シートに積重される第2シートと、
透光性を有しかつ第1および第2シートよりも硬質の合成樹脂からなり、第1および第2シート間に介在される板状の補強体と、
補強体の第1シートまたは第2シートに臨む表面部に貼付される、文字が印刷されたシールとを含み、
第1シートまたは第2シートを通してシールに印刷された文字を視認可能であり、かつ第1シート、補強体および第2シートを通して取付け対象物を視認可能であることを特徴とする絶縁カバー体である。
【0008】
また本発明は、前記第1および第2シートは、少なくとも周縁部が相互に接合されることによって、展開状態で矩形状に形成され、
前記補強体は、矩形状に形成される複数の補強板からなり、
各補強板は、第1または第2シートの互いに平行な二対の側部のうち、一方で対を成す各側部間に、他方で対を成す各側部が延びる方向に互いに間隔をあけて並列に配置されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、可撓性および透光性を有する合成樹脂からなり、前記第1シートおよび補強体間に介在される第3シートをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第2シートの少なくとも一方で対を成す各側部には、相互に合着可能な面状のファスナシートが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、絶縁カバー体は、可撓性および透光性を有する合成樹脂からなる第1シートと、可撓性および透光性を有する第2シートと、第1および第2シート間に介在され、透光性を有しかつ第1および第2シートよりも硬質の合成樹脂からなる板状の補強体と
、補強体の第1シートまたは第2シートに臨む表面部に貼付される、文字が印刷されたシールとを含み、第1シートまたは第2シートを通してシールに印刷された文字を視認可能であり、かつ第1シート、補強体および第2シートを通して取付け対象物を視認可能である。
【0012】
これによって、絶縁カバー体を通電部に取付けても、作業者は通電部を視認することができ、通電部の形式や種類などを確認するに当たって、絶縁カバー体を取り外す必要はない。したがって、電気工事の作業効率を向上することができる。
また、補強板の表面部に貼付されたシールの文字によって、作業者に、注意を喚起するメッセージを表示することができる。
【0013】
また絶縁カバー体は、第1および第2シートよりも硬質の合成樹脂からなる板状の補強体を有するので、工具が接触しても、該工具が補強体を超えて通電部に接触することはない。したがって、絶縁カバー体の強度を十分確保することができるとともに、工具などとの接触による通電部の損傷を防ぐことができる。
【0014】
また本発明によれば、補強体は矩形状に形成される複数の補強板からなり、各補強板は、第1および第2シートの互いに平行な各一対の側部のうち、一方で対を成す各側部間に、他方で対を成す各側部が延びる方向に互いに間隔をあけて並列に配置される。
【0015】
これによって、絶縁カバー体を各補強板間で折り曲げることができる。したがって、取付け部分が矩形状や湾曲面状などであっても、絶縁カバー体を折り曲げて、取付けることができる。
【0016】
また本発明によれば、絶縁カバー体は、第1シートおよび補強体間に介在され、可撓性および透光性を有する合成樹脂からなる第3シート含んで構成される。これによって、絶縁カバー体の電気絶縁性を向上することができる。
【0017】
また本発明によれば、第2シートの少なくとも他方で対を成す各側部には、相互に合着可能な面状のファスナシートが設けられる。これによって、各ファスナシートを相互に合着させて、絶縁カバー体を筒状にすることができる。したがって、たとえば通電部が円柱状である場合であっても、その全周を絶縁カバー体によって覆うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る絶縁カバー体1を示す正面図であり、
図2は、
図1の切断面線II−IIから見た拡大断面図であり、
図3は、
図1の切断面線III−IIIから見た拡大断面図である。以下、図面を用いて絶縁カバー体1を説明する。
【0020】
絶縁カバー体1は、第1シートと10、第1シート10に積重される第2シート11と、第1および第2シート10,11間に介在される板状の補強体12と、第1シート10および補強体12間に介在される第3シート13とを含んで構成される。
【0021】
第1シート10は、可撓性および透光性を有する無色透明の合成樹脂からなり、本実施形態では、ポリエチレン樹脂(Polyethylene:略称「PE」)からなる樹脂シートと、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(ethylene vinyl acetate:略称「EVA」)からなる樹脂シートとが複数積層されて構成される多層構造の樹脂シートによって実現される。第1シート10は、矩形状に形成される。本実施形態では、第1シート10は、
図1の正面視において、縦方向Yおよび横方向Xの各寸法A,Bがそれぞれ900mmの正方形に形成され、その厚み方向の寸法は、1mm〜1.2mmである。ただし第1シート10の形状は、これに限定されるものではなく、たとえば長方形、三角形などであってもよく、1.2mm以上の厚みを有していてもよい。
【0022】
第1シート10には、第2シート11が積重される。第2シート11は、可撓性および透光性を有する無色透明の合成樹脂からなり、本実施形態では、PEとEVAとPEとが、この順で積層される3層構造の樹脂シートによって実現される。第2シート11は、展開した状態で、矩形状に形成される。本実施形態では、第2シート11は、縦方向Yの寸法が840mmに、横方向Xの寸法が756mmにそれぞれ選ばれ、厚み方向の寸法は、0.30mm〜0.34mmに選ばれる。だたし、第2シート11の形状は、これに限定されるものではない。
【0023】
第1シート10と第2シート11との間には、補強体12が設けられる。補強体12は、透光性を有し、かつ、第1および第2シート10,11よりも硬質で無色透明の合成樹脂によって形成される。補強体12は、矩形状に形成される複数(本実施形態では8)の補強板12a,12b,…,12hから構成される。各補強板12a〜12hは、並列に設けられ、第1シート10と第2シート11との間に介在される。本実施形態では、補強板12a〜12hは、ポリカーボネート製の板状体から成り、縦方向Yの寸法が810mmに選ばれ、横方向Xの寸法が80mmに選ばれ、厚み方向の寸法は2mmに選ばれる。
【0024】
第1シート10と補強体12との間には、第3シート13が設けられる。第3シート13は、可撓性および透光性を有する無色透明の合成樹脂からなり、本実施形態では、第2シート11と同様の3層構造の樹脂シートによって実現される。第3シート13は、展開した状態で、矩形状に形成される。第3シート13は、第1シート10と同一の縦方向Yの寸法および横方向Xの寸法を有する。
【0025】
第1シート10と第3シート13とは、たとえば超音波加熱溶接装置を用いたウエルダ溶着などによって互いに溶着される。具体的には、第1シート10と第3シート13とは、周縁部において5mm幅で、全周にわたってウエルダ溶着によって、互いに溶着される。
【0026】
各補強板12a〜12hは、第1または第3シート10,13の互いに平行な二対の側部のうち、一方で対を成す各側部間に、他方で対を成す各側部が延びる方向に互いに間隔をあけて並列に配置される。
図1に示すように、本実施形態では、各補強板12a〜12hは、長手方向一端部が第3シート13の縦方向Y一端部よりに設けられる。そして、各補強板12a〜12hは、絶縁カバー体1の中心線L1に関して、横方向Xに等間隔を空けて、それぞれ並列に配置される。
【0027】
各補強板12a〜12hの第2シート11に臨む表面部に、作業者の注意を喚起する文字が印刷されたシール20を貼付してもよい。本実施形態では、補強板12b〜12gの中央部分にシール20が貼付されており、これによって「送電中危険!!」とのメッセージが表示されている。
【0028】
第2シート11は、補強体12の第3シート13が設けられる一表面とは反対側の他表面側に設けられる。第2シート11は、補強体13の表面積よりも僅かに大きい表面積を有し、補強体12の他表面全域を覆うように設けられる。第2シート11は、周縁部において4mm幅で、全周にわたって、第3シート13にウエルダ溶着によって、第3シート13と溶着される。また第2シート11は、各補強板12a〜12h間において、第3シート13とウエルダ溶着によって、溶着される。したがって、第3シート13と第2シート11とは、各補強板12a〜12hを外囲するように互いに溶着される。これによって、各補強板12a〜12hの移動が阻止され、各補強板12a〜12hを常に並列した状態で維持することができる。
【0029】
以上のようにして、第1シート10と第3シート13とを溶着し、第2シート11と第3シート13とを溶着すると、絶縁カバー体1には、3辺を構成する、正面視凹状の周縁部21が形成される。この周縁部21の4つの角部、および各角部間の中間部には、正面視略円環状のリベット部材22が取付けられ、その中心部には貫通孔23が形成される。
【0030】
リベット部材22の第3シート13上に露出する本体部は、一対の台シート24a,24bによって挟まれる。台シート24a,24bは、EVA製の合成繊維布からなり、各台シート24a,24bは、第3シート13にそれぞれウエルダ溶着される。これによって、絶縁カバー体1のリベット部材22部分における電気絶縁性が確保される。
【0031】
本実施形態によれば、絶縁カバー体1は、可撓性および透光性を有する合成樹脂からなる第1シート10と、可撓性および透光性を有する第2シート11と、第1および第2シート10,11間に介在され、透光性を有しかつ第1および第2シート10,11よりも硬質の合成樹脂からなる板状の補強体12と、第1シート10および補強体12間に介在され、可撓性および透光性を有する合成樹脂からなる第3シート13とによって構成されるので、透光性を有する。
【0032】
これによって、絶縁カバー体1を通電部などの取付け対象物に取付けても、作業者は取付け対象物を外方から視認することができ、取付け対象物の形式や種類などを確認することができる。したがって、電気工事などの作業効率を向上することができる。
【0033】
また絶縁カバー体1は、第1〜第3シート10,11,13よりも硬質の合成樹脂からなる板状の補強体12を有するので、工具など絶縁カバー体1が接触しても、該工具が補強体12を超えて取付け対象物に接触することはない。したがって、絶縁カバー体1の強度を十分確保することができるとともに、工具などとの接触による通電部の損傷を防ぐことができる。
【0034】
また本実施形態によれば、補強体12は矩形状に形成される複数の補強板12a〜12hからなり、各補強板12a〜12hは、第1および第2シート10,11の互いに平行な各一対の側部のうち、一方で対を成す各側部間に、他方で対を成す各側部が延びる方向に互いに間隔をあけて並列に配置される。
【0035】
これによって、絶縁カバー体1を各補強板12a〜12h間で折り曲げることができる。したがって、取付け対象物が矩形状や湾曲面状などであっても、絶縁カバー体1を折り曲げて、取付けることができる。
【0036】
また本実施形態によれば、絶縁カバー体1は、第3シート13含んで構成される。これによって、絶縁カバー体1の電気絶縁性をさらに向上することができる。
【0037】
なお、以上の説明では、絶縁カバー体1が3つのシートによって構成される場合について説明したが、第3シート13を設けずに、第2シート11と第1シート10とを溶着する構成であってもよい。この場合、第1シート10は、第3シート13の役割も兼ねる。
【0038】
次に本発明の第2実施形態に係る絶縁カバー体30について説明する。
図4は、第2実施形態に係る絶縁カバー体30の正面図であり、
図5は、
図4の切断面線V−Vから見た拡大断面図である。
【0039】
絶縁カバー体30は、絶縁カバー体1と類似の構成を有する。絶縁カバー体30は、正面視、長方形に形成される。絶縁カバー体30は、絶縁カバー体1と同様に、第1〜第3シート31,32,34と、補強体33とを含んで構成される。第1〜第3シート31,32,34は、その表面形状が長方形に形成されること以外は、第1実施形態の第1〜第3シートと同一に形成されるので説明は省略する。また補強体33は、第1実施形態の補強体12と、長手方向の寸法が異なる以外は同一に形成されるので説明は省略する。
【0040】
第2シート34の縦方向Yの寸法Pは、補強体12の縦方向Yの寸法よりも、僅かに大きい値に選ばれ、横方向Xの寸法Qは、補強体12の横方向Xの寸法よりも、僅かに大きい値に選ばれる。
【0041】
本実施形態では、補強体33は、第3シート34の中央部に設けられる。第2シート32は、補強体33の周縁部全周にわたって第3シート34と溶着される。また第2シート32は、各補強板33a〜33h間で、各補強板33a〜33hの長辺にそって、第3シート34と溶着される。したがって、絶縁カバー体30には、補強体33の外囲する四角形の周縁部35が形成される。周縁部35の4つの角部には、絶縁カバー体1と同様のリベット部材22が設けられる。
【0042】
周縁部35には、相互に合着可能な面状のファスナシート36が中心線L2に関して軸対象に設けられる。具体的に説明すると、絶縁カバー体30の一方の短辺に沿う周縁部35a1(
図4において左方)、および、長辺に沿う周縁部35b1,35b2のうち、中心線L2で2等分したときに、前記一方(左方)側に配置される一対の周縁部35b1L,35b2Lには、メス型のファスナシート36aが設けられる。また他方の短辺に沿う周縁部35a2(
図4において右方)、および長辺に沿う周縁部35b1,35b2のうち、中心線L2で2等分したときに、他方側に配置される一対の周縁部35b1R,35b2Rには、オス型のファスナシート36bが設けられる。
【0043】
各ファスナシート36a,36bは、合成繊維布製の台シート37に縫い付けられて固定される。各ファスナシート36a,36bは、台シート37を第3シート34に溶着することによって、第3シート34に取付けられる。このような構成を採用することによって、絶縁カバー体30は、各ファスナシート36a,36bを相互に合着させて、筒状になることができる。したがって、たとえば通電部が円柱状である場合であっても、絶縁カバー体30によって、その全周を覆うことができる。
【0044】
なお、以上の説明では、絶縁カバー体30が3つのシート31,32,34によって構成される場合について説明したが、第3シート34を設けずに、第2シート32と第1シート31を溶着する構成であってもよい。この場合、第1シート31は、第3シート34の役割も兼ねる。
【0045】
図6は、絶縁カバー体1の取付け状態を示す図である。
図6に示すように、絶縁カバー体1は、図示しない通電部の近傍に設けられる支柱5などに、紐などの索条6をリベット部材22に挿通して取付けられる。また絶縁カバー体1を通電部に立てかけて取付けてもよい。またリベット部材22にフック部材を取付け、フック部材を支柱5などに取付けて絶縁カバー体1を設置してもよい。
【0046】
このように、通電部に絶縁カバー体1を取付けることによって、通電部は絶縁カバー体1に覆われ、作業者が通電部に接触することが防がれる。また作業用の工具など接触することによって、通電部が破損することが防がれる。