特許第5658045号(P5658045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658045
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ヨークとシャフトの接合構造
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/26 20060101AFI20141225BHJP
   B21D 39/04 20060101ALI20141225BHJP
   B21D 53/88 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   F16D3/26 X
   B21D39/04 B
   B21D53/88 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-8180(P2011-8180)
(22)【出願日】2011年1月18日
(65)【公開番号】特開2012-149693(P2012-149693A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2013年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】関口 暢
(72)【発明者】
【氏名】眞庭 高広
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−013042(JP,A)
【文献】 特開昭58−193922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/08
F16C 3/00− 9/06
B21D 39/00−41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二股状部と円筒状管部とからなるヨークと、該ヨークの円筒状管部に金属接合される軸端部を有するシャフトと、前記ヨークの円筒状管部と前記シャフトの軸端部との接合部を跨ぐように装着されるカラー材とからなり、前記ヨークの円筒状管部には外周に沿って複数の窪み部が形成され、前記シャフトの軸端部には外周に沿って複数の窪み部が形成され、前記カラー材は、前記円筒状管部及び前記軸端部との接合部の外周側に配置されると共に前記円筒状管部と前記軸端部に形成された窪み部箇所に係止される変形部が前記カラー材にカシメにより形成され、前記カラー材は、前記ヨークの円筒状管部及び前記シャフトの軸端部に対して周方向に回転不能に固定されてなることを特徴とするヨークとシャフトの接合構造。
【請求項2】
二股状部と円筒状管部とからなるヨークと、該ヨークの円筒状管部に摩擦接合される軸端部を有する中空のシャフトと、前記ヨークの円筒状管部と前記シャフトの軸端部との接合部を跨ぐように装着されるカラー材とからなり、前記ヨークの前記二股状部は二つの腕状片から構成され、該腕状片には肉厚基部が形成され、前記円筒状管部には軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記円筒状管部の内周で且つ肉厚基部箇所と、前記シャフトの軸端部の内周には、前記接合部に亘って軸方向に沿う被嵌合溝部が設けられ、前記カラー材の外周には、軸方向に沿って前記被嵌合溝部に嵌合する嵌合突起条が形成され、該カラー材の嵌合突起条が前記被嵌合溝部に嵌合されてなることを特徴とするヨークとシャフトの接合構造。
【請求項3】
二股状部と円筒状管部とからなるヨークと、該ヨークの円筒状管部に摩擦接合される軸端部を有する中空のシャフトと、前記ヨークの円筒状管部と前記シャフトの軸端部との接合部を跨ぐように装着されるカラー材とからなり、前記ヨークの前記二股状部は二つの腕状片から構成され、該腕状片には肉厚基部が形成され、前記円筒状管部には軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記円筒状管部及び前記軸端部の内周は軸方向に直交する断面形状が前記肉厚基部箇所を長辺とする楕円形状に形成され、前記カラー材の外周は軸方向に直交する断面形状が楕円形状に形成され、前記カラー材の外周が、前記ヨークの円筒状管部及び前記シャフトの軸端部の内周に嵌合されてなることを特徴とするヨークとシャフトの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング装置を構成するヨークとシャフトとを金属接合したものを極めて簡易な構造で、且つ極めて小形の状態で良好な接合強度を得ることができるヨークとシャフトの接合構造
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトとヨークとを溶接等の金属接合によって接合する構造が開示されている。従来技術である特許文献1(特開2003−65351)では、出力軸13と出力軸ヨーク14とを摩擦溶接によって接合している〔特許文献1の図6参照〕。出力軸13は、中空円筒状の均一径の本体の内周面に、セレーション19が形成され、前記本体の一端部13aに拡径部30が一体に設けられている〔特許文献1の図(5)参照〕。拡径部30は、本体よりも肉厚に形成されている。
【0003】
この拡径部30は、円筒状に形成され、外周面30aが略平坦な円形面に形成されている。出力軸13と出力軸ヨーク14は、回転を伝達する軸及び該軸同士を連結する自在継手であり、回転トルクを確実に伝達するため、出力軸13に本体よりも肉厚な拡径部30を形成し、出力軸ヨーク14の基端部20に対する溶接面積を大きくすることで接合強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−65351
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の出力軸13を拡径すると、出力軸ヨーク14の基端部20も、拡開部30に合わせて径を大きく形成する必要があり、出力軸13及び出力軸ヨーク14のサイズが増大し、重量が増え、ステアリング装置全体が大型化してしまう。シャフトとヨークが大型化すると、他の部品との干渉を避ける構造とする為の考慮が必要になる等、設計の自由度が少なくなる。本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、摩擦接合された部材同士の接合箇所における曲げ荷重及び回転方向の強度を高め、しかも接合箇所の小径化を実現し、ひいてはコンパクトで大きなトルク伝達を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、二股状部と円筒状管部とからなるヨークと、該ヨークの円筒状管部に金属接合される軸端部を有するシャフトと、前記ヨークの円筒状管部と前記シャフトの軸端部との接合部を跨ぐように装着されるカラー材とからなり、前記ヨークの円筒状管部には外周に沿って複数の窪み部が形成され、前記シャフトの軸端部には外周に沿って複数の窪み部が形成され、前記カラー材は、前記円筒状管部及び前記軸端部との接合部の外周側に配置されると共に前記円筒状管部と前記軸端部に形成された窪み部箇所に係止される変形部が前記カラー材にカシメにより形成され、前記カラー材は、前記ヨークの円筒状管部及び前記シャフトの軸端部に対して周方向に回転不能に固定されてなるヨークとシャフトの接合構造としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0007】
請求項2の発明を、二股状部と円筒状管部とからなるヨークと、該ヨークの円筒状管部に摩擦接合される軸端部を有する中空のシャフトと、前記ヨークの円筒状管部と前記シャフトの軸端部との接合部を跨ぐように装着されるカラー材とからなり、前記ヨークの前記二股状部は二つの腕状片から構成され、該腕状片には肉厚基部が形成され、前記円筒状管部には軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記円筒状管部の内周で且つ肉厚基部箇所と、前記シャフトの軸端部の内周には、前記接合部に亘って軸方向に沿う被嵌合溝部が設けられ、前記カラー材の外周には、軸方向に沿って前記被嵌合溝部に嵌合する嵌合突起条が形成され、該カラー材の嵌合突起条が前記被嵌合溝部に嵌合されてなるヨークとシャフトの接合構造としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0008】
請求項3の発明を、二股状部と円筒状管部とからなるヨークと、該ヨークの円筒状管部に摩擦接合される軸端部を有する中空のシャフトと、前記ヨークの円筒状管部と前記シャフトの軸端部との接合部を跨ぐように装着されるカラー材とからなり、前記ヨークの前記二股状部は二つの腕状片から構成され、該腕状片には肉厚基部が形成され、前記円筒状管部には軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記円筒状管部及び前記軸端部の内周は軸方向に直交する断面形状が前記肉厚基部箇所を長辺とする楕円形状に形成され、前記カラー材の外周は軸方向に直交する断面形状が楕円形状に形成され、前記カラー材の外周が、前記ヨークの円筒状管部及び前記シャフトの軸端部の内周に嵌合されてなるヨークとシャフトの接合構造としたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、ヨークの円筒状管部とシャフトの軸端部とが金属接合され、カラー材は前記円筒状管部及び軸端部の軸方向に沿って接合部を跨ぐように装着され、前記円筒状管部と前記軸端部に対してカラー材が周方向に回転不能に固定されているので、シャフトとヨークとの接合部における曲げ荷重に対する強度が高められ、剛性を向上させることができる。
【0011】
また、前記カラー材が、接合部を跨ぐように装着されるので、シャフトとヨークとの接合部における回転方向に対する強度が高められ、シャフト及びヨークを大径化または肉厚化することなく、回転トルクを確実に伝達することができる。また、ヨークとシャフトに、カラー材のみを加えることにより、部品点数1点のみの追加で済み、安価にシャフトとヨークの接合部の強度を高めることができる。さらに、カラー材をヨークの円筒状管部と、シャフトとの金属接合による接合部を外周側より覆うようにして配置し、円筒状管部とシャフトの軸端部にそれぞれ形成された窪み部に係止する、変形突起をカシメにより形成することで、極めて簡単に接合部の強度を向上させることができる。
【0012】
請求項2の発明では、前記円筒状管部及び前記軸端部の内周には、接合部を亘って軸方向に沿う被嵌合溝部が形成され、カラー材の外周には前記被嵌合溝部に嵌合する嵌合突起条が形成されているので、シャフトとヨークとの接合部を周方向に係止することができ、接合部における回転方向の強度が高められる。またカラー材は、シャフト及びヨークの円筒状管部のそれぞれの内周側に装着されるので、接合箇所における小径化が容易にでき、コンパクトで大きなトルク伝達が可能となる。
【0013】
請求項3の発明では、前記円筒状管部及び前記シャフトの軸端部の内周面及び前記カラー材の外周面の断面は楕円形状としているので、カラー材の外周面に突起等の加工を何ら形成することなく、極めて簡単な形状のカラー材にてシャフトとヨークの接合部を周方向に係止することができ、ヨークとシャフトとの周方向における接合を強固にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は本発明の第1実施形態の縦断側面図、(B)は(A)のY1−Y1矢視断面図、(C)は第1実施形態の一部切除した要部斜視図、(D)は(C)の分解斜視図、(E)は(D)のY2−Y2矢視断面図、(F)は(D)のY3−Y3矢視断面図である。
図2】(A)乃至(C)は第1実施形態の組付工程を示す一部断面にした側面図である。
図3】(A)は本発明の第2実施形態の一部切除した要部の分解斜視図、(B)本発明の第2実施形態の縦断側面図、(C)は(B)のY4−Y4矢視断面図、(D)は(B)のY5−Y5矢視断面図である。
図4】(A)は本発明の第3実施形態の一部断面にした側面図、(B)は(A)のY6−Y6矢視拡大端面図、(C),(D)は第3実施形態の組付工程を示す一部断面にした側面図、(E)は(C)のY7−Y7矢視拡大端面図、(F),(G)は金属接合部の窪み部にカラー材をカシメにより固定する工程を示す一部拡大断面図、(H)は第3実施形態のカラー材を除いた要部斜視図、(J)は第3実施形態の接合完了した要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明におけるヨークとシャフトは、自動車のステアリング装置を構成するものであって、ステアリングコラムに装着され、ステアリングホィールによる回転を伝達する中間軸部材である。本発明の構成は、図1に示すように、ヨークAと、シャフト3と、カラー材5である。
【0016】
本発明には、複数の実施形態が存在し、まず第1実施形態から説明する。ヨークAは、二股状部1と、円筒状管部2とから構成される。二股状部1は2本の腕状片11,11とから構成されたものであり、両腕状片11,11にはそれぞれ連結用貫通孔111が形成されている。円筒状管部2は、短管形状に形成され〔図1(A),(D),(C),図2(A)等参照〕、軸方向に沿って貫通孔21が形成されている。両腕状片11,11は、円筒状管部2の軸方向一端側の外周側面より直径方向両側の外方側に向かって一旦突出するようにして肉厚基部11a,11aが形成され〔図1(D)参照〕、さらに円筒状管部2の軸方向に沿って延在するように形成されている。二股状部1と円筒状管部2とは、一体成形される。
【0017】
前記シャフト3は、中空管であり、軸方向に沿って、接合側より軸端部3jと軸本体部3oとから構成されている。シャフト3は、軸方向全体に亘って、直交する断面は全て円形状である。シャフト3の軸方向に沿って貫通孔31が形成されている。前記軸本体部3oの貫通孔31の内周側にはセレーション33が形成されている。軸端部3jの内周面には前記セレーション33は形成されない(図2参照)。
【0018】
ヨークAの円筒状管部2の管端面と、シャフト3の軸端部3jの端面同士が金属接合によって接合されている。金属接合とは、例えば溶接、摩擦接合などである。さらに、溶接では、例えば突合せ溶接、レーザー溶接などが挙げられる。本発明では、後者の摩擦接合によってシャフトの端部とヨークの軸部とを金属接合した例を挙げる。
【0019】
なお、摩擦接合は、摩擦溶接のことであり、以下摩擦溶接と称する。ヨークAの円筒状管部2の管端面と、シャフト3の軸端部3jの端面同士が接触されて、加圧しながら相対的に回転させる。その時の摩擦によって生じた発熱によって、端部同士が溶解融合して接合される。この摩擦溶接による接合部を摩擦溶接部Jと称する。
【0020】
前記円筒状管部2とシャフト3の軸端部3jの内周面、外周面共にカール状のバリが発生するものであり、接合後、ヨークAの円筒状管部2の貫通孔21と、シャフト3の貫通孔31との内周面に切削加工が施され、内周面に発生したバリが除去される。そしてヨークAの円筒状管部2の貫通孔21と、シャフト3の軸端部3jの貫通孔31の内径が等しく形成される。その後、摩擦溶接部Jの外周面に発生したバリは切削加工されて除去される。
【0021】
前記ヨークAとシャフト3との摩擦溶接部Jには、カラー材5が装着され、摩擦溶接部Jの強度を向上させている。すなわち、カラー材5は、前記ヨークAの円筒状管部2と、前記シャフト3の軸端部3jに対して周方向に回転不能に固定され、これによって、ヨークAとシャフト3の接合部の周方向及び曲げ方向に対する強度を強固なものにする。このカラー材5による摩擦溶接部Jの補強構造には、複数の実施形態が存在する。
【0022】
ここで、第1実施形態における貫通孔21及び31は、その軸方向に直交する断面形状が円形であるが、さらに、円形に近い僅かに楕円として形成されたものも含まれる。そして、ヨークAの円筒状管部2の貫通孔21と、シャフト3の貫通孔31の内周面は、摩擦溶接部Jによって、段差が生じることなく、同一内径で摩擦溶接部Jを軸方向に沿って同一平面となっている〔図2(B)参照〕。
【0023】
そして、摩擦溶接によって接合された円筒状管部2の貫通孔21と、シャフト3の軸端部3jの貫通孔31におけるそれぞれの内周面には被嵌合溝部4が形成される〔図1(A),(D),(E)参照〕。被嵌合溝部4は、円筒状管部2の内周面における水平直径方向の両側面に形成される。被嵌合溝部4は、円筒状管部2とシャフト3との摩擦溶接部Jを亘って、円筒状管部2と、シャフト3の両方に形成される。
【0024】
被嵌合溝部4は、摩擦溶接部Jの箇所においても、ズレがなく一直線に形成されている。ヨークAの円筒状管部2の内周面において、前述したように二股状部1を構成する腕状片11,11のそれぞれの肉厚基部11a,11aは、肉厚部として形成されているので、この肉厚箇所に被嵌合溝部4が形成されることが強度上、最も好ましいものである〔図1(D)参照〕。
【0025】
カラー材5は、円筒形状に形成されたもので、金属製で、例えば鋼鉄製、軽金属製などである。そして、カラー材5の外周面には、幅方向両側に軸方向全長に亘って、嵌合突起条51が形成されている〔図1(D),(F)参照〕。カラー材5は、前記ヨークAの貫通孔21及びシャフト3の貫通孔31に圧入される。カラー材5の外径は、前記ヨークAの貫通孔21及びシャフト3の貫通孔31の内径よりも僅かに大きく形成されている。すなわち、カラー材4と貫通孔21(31)とはしまり嵌めとなる関係にある。
【0026】
前記カラー材5は、摩擦溶接されたヨークAの円筒状管部2内周面及びシャフト3の軸端部3jの内周面に亘って圧入される〔図1(A)参照〕。この時、カラー材5の外周面に形成された嵌合突起条51が、円筒状管部2及びシャフト3の内周面に形成された被嵌合溝部4に嵌合される。カラー材5の軸方向長さは、ヨークAの円筒状管部2の軸方向長さとシャフト3の軸端部3jの軸方向長さを合わせた長さと、略同等である〔図1(A)参照〕。
【0027】
カラー材5の嵌合突起条51と、ヨークAとシャフト3に形成された被嵌合溝部4とが嵌合することにより、シャフト3とヨークAとが周方向に嵌合され、曲げ荷重に対する強度が高められる。また、カラー材5によって、シャフト3とヨークAの内周面が周方向に係止されることにより、シャフト3とヨークAの回転方向の強度が高められ、シャフト3及びヨークAを大径化または肉厚化することなく、回転トルクを確実に伝達することができる。
【0028】
また、カラー材5により摩擦溶接部Jの強度が高められ、シャフト3とヨークAとが相対的に回転することを防止することができる。カラー材5が補強材の役目をなすことで、ヨークAの円筒状管部2及びシャフト3の軸端部3jの小径化が容易にでき、また摩擦溶接部Jの長さを短縮でき、コンパクトで大きなトルク伝達が可能となる。また、前記被嵌合溝部4は直径方向において対称位置となるように2個形成され、且つカラー材5には、前記被嵌合溝部4に対応する位置となるように嵌合突起条51が2個形成される構成とすることにより、2個の嵌合突起条51とこの2個の嵌合突起条51に対応する被嵌合溝部4によって、ヨークAとシャフト3との回転方向における接合力をより一層強固な構造にすることができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態では、ヨークAの円筒状管部2の貫通孔21及びシャフト3の軸端部3jの貫通孔31の内周面の軸方向に直交する断面は、幅方向両側が長辺となる楕円形状に加工形成される〔図3(C)参照〕。前記幅方向両側とは、二股状部1の腕状片11,11が配置されている位置に対応する位置である。ヨークAの円筒状管部2の内周面において、両腕状片11,11の肉厚基部11a,11aが形成されている位置は肉厚部として形成されているので、この肉厚箇所を長辺となる楕円形状に加工することが強度上、最も好ましい。
【0030】
カラー材5は外周面が断面楕円形状に形成され、内周面は断面円形状に形成されている〔図3(A),(D)参照〕。具体的には、前記貫通孔21及び貫通孔31の内周面に対応する幅方向両側が長辺となる断面楕円形状に形成される。これにより、カラー材5の幅方向両側は肉厚部となり、カラー材5の強度が向上する。カラー材5は、前記摩擦溶接部Jを跨るようにしてヨークAの円筒状管部2の内周面及びシャフト3の軸端部3jの内周面に亘って圧入される。
【0031】
前記貫通孔21及び貫通孔31が断面楕円形状とした内周面に外周面が断面楕円形状のカラー材5が嵌合することにより、シャフト3とヨークAは周方向に係止され、曲げ荷重に対する強度が高められる。また、カラー材5の内周面は、前記貫通孔21及び貫通孔31の内周面に対応する幅方向両側が肉厚になれば、断面楕円形状でも良い。なお、第1実施形態及び第2実施形態においては、前記摩擦溶接部Jの強度を高めるため、外周側に発生したバリを少し残しておいてもよい。
【0032】
本発明の第3実施形態では、ヨークAの円筒状管部2の外周面には周方向に沿って複数の窪み部22,22,…が等間隔に形成されている。また、シャフト3の軸端部3jの外周面には、周方向に沿って複数の窪み部32,32,…が形成されている〔図4(C)乃至(D)参照〕。また、第3実施形態において、円筒状管部2とシャフト3の外径は等しく形成されている。窪み部22,22,…及び窪み部32,32,…は、それぞれ4個以上形成されることが好ましい。
【0033】
ヨークAの円筒状管部2と、シャフト3の軸端部3jとは、第1及び第2実施形態と同様に摩擦溶接によって接合され、その接合部を摩擦溶接部Jとしている〔図4(H)参照〕。カラー材5は、円筒形状に形成されており、その内径はシャフト3の外径よりも大きく形成されている。カラー材5は、シャフト3の外周に対して挿入することができる程度の内径を有しているが、その挿入状態は、カラー材5の内周面がシャフト3の外周面に近接していることが好ましい。
【0034】
カラー材5の軸方向長さは、前記ヨークAの円筒状管部2の外周面に形成された窪み部22,22,…と、シャフト3の軸端部3jの外周面に形成された窪み部32,32,…との両方を覆うことができる程度の長さである。カラー材5は、シャフト3の軸方端部から挿入されて、ヨークAの円筒状管部2までそのまま移動させ〔図4(D),(F)参照〕、円筒状管部2側の窪み部32,32,…と、シャフト3側の窪み部32,32,…に向かって、カラー材5の外周側を押圧して、変形部52,52,…をカシメにより形成し、該変形部52,52,…を窪み部22,22,…及び窪み部32,32,…に係止させる〔図4(G)参照〕。これによって、カラー材5を円筒状管部2及びシャフト3の外周側に固着することができる〔図4(I)参照〕。
【0035】
前記ヨークAの円筒状管部2の外周面に形成された窪み部22,22,…と、シャフト3の軸端部3jの外周面に形成された窪み部32,32,…に、カラー材5がカシメられることにより、ヨークAとシャフト3が周方向に係止され、回転方向及び曲げ荷重に対する強度が高められる。
【符号の説明】
【0036】
A…ヨーク、1…二股状部、2…円筒状管部、3…シャフト、22,32…窪み部、
3j…軸端部、4…被嵌合溝部、5…カラー材、51…嵌合突起条、52…変形部。
図1
図2
図3
図4