(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658047
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】壁面体
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20141225BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20141225BHJP
A47B 96/06 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
E04B2/74 541A
A47B96/02 C
A47B96/06 C
E04B2/74 501V
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-11114(P2011-11114)
(22)【出願日】2011年1月21日
(65)【公開番号】特開2012-154026(P2012-154026A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】飴谷 浩
【審査官】
湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−146531(JP,A)
【文献】
特開2005−169035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47B 96/02
A47B 96/06
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面本体と、横材と、棚とを備え、横材は、壁面本体の前側に突出しており、棚は、係合部と、上側当接部と、取付補助材と、固定手段とを有しており、係合部は、壁面本体又は横材に設けた被係合部に係合するものであり、上側当接部は、棚の係合部より前側の下面に位置していて、横材の上面に当接し、取付補助材は、棚の上側当接部より前側の下面に予め取り付けてあって、横材の下面に当接する下側当接部を有しており、固定手段は、上側当接部と下側当接部とで横材を挟み込んだ状態で取付補助材を固定するものであることを特徴とする壁面体。
【請求項2】
上側当接部と下側当接部が略対向して横材を挟み込むことを特徴とする請求項1記載の壁面体。
【請求項3】
取付補助材は、棚の下面に回動自在に取り付けてあり、棚の上側当接部と取付補助材の間の下面に、固定部が設けてあり、取付補助材を回動させて下側当接部を横材の下面に当接させて、ネジからなる固定手段で取付補助材を固定部にネジ止めするものであることを特徴とする請求項1又は2記載の壁面体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の敷地境界などに設置されるフェンスなどの壁面体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の敷地境界などに設置されるフェンスなどの壁面体は、外部からの視線を遮断し、かつ外部からの侵入者を防ぐためのものであるが、一方で、こうした壁面体に植木鉢などを飾ったり、種々の道具を置いたりしたいという要望があった。そこで、壁面体に棚を設けることが考えられるが、この棚は、生活スタイルや趣味嗜好の変化に合わせて自在に着脱できるものであることが望ましい。従来、壁面に着脱自在な棚を設けるものとしては、たとえば特許文献1,2の発明があり、何れも棚の後側(壁面側)の端部に形成した係合部を壁面の溝に係合させ、かつ係合部の下部に形成した当接部を壁面に当接させて、この二点で棚を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−89656号公報
【特許文献2】特開2002−364103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの発明においては、棚は壁面に対して上側の一点で係合し、下側の一点で当接しているだけなので、棚に下側から力が加わると、容易に外れてしまう。特にフェンスなどの壁面体の場合、その近傍を通る人が棚にぶつかって下側から衝撃を受けることがあり、また、一般に屋外に設置されるものであるから、風によって下側からあおられることもあるので、このような取付構造では不十分である。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、着脱容易であって、取り付けた際には下側から力が加わっても外れることがない棚を備える壁面体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、壁面本体と、横材と、棚とを備え、横材は、壁面本体の前側に突出しており、棚は、係合部と、上側当接部と、取付補助材と、固定手段とを有しており、係合部は、壁面本体又は横材に設けた被係合部に係合するものであり、上側当接部は、棚の係合部より前側の下面に位置していて、横材の上面に当接し、取付補助材は、棚の上側当接部より前側の下面に
予め取り付けてあって、横材の下面に当接する下側当接部を有しており、固定手段は、上側当接部と下側当接部とで横材を挟み込んだ状態で取付補助材を固定するものであることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、上側当接部と下側当接部が略対向して横材を挟み込むことを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、取付補助材は、棚の下面に回動自在に取り付けてあり、棚の上側当接部と取付補助材の間の下面に、固定部が設けてあり、取付補助材を回動させて下側当接部を横材の下面に当接させて、ネジからなる固定手段で取付補助材を固定部にネジ止めするものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1の発明によれば、棚の係合部を被係合部に係合させ、取付補助材の下側当接部を横材に当接させて固定手段により固定するだけで、容易に棚を取り付けることができ、また、逆の手順により容易に取り外すことができる。そして棚は、上側当接部が横材の上面に当接し、下側当接部が横材の下面に当接しているので、横材に対して上下方向に規制され、下側から力が加わっても外れることがない。
【0010】
本発明のうち請求項2の発明によれば、上側当接部と下側当接部が対向して上下から横材を挟み込んでいるので、棚が横材に対してより確実に固定される。
【0011】
本発明のうち請求項3の発明によれば、取付補助材を回動させて下側当接部を横材に当接させ、ネジ止めするだけで、容易に棚を取り付けることができ、また、逆の手順により容易に取り外すことができる。そして、取付補助材は棚の固定部にネジ止めするものであって、横材に直接取り付けるものではないので、横材にはネジ孔加工などが不要であり、棚を外した状態の意匠性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】棚の取付部分の縦断面図を示し、(a)は取付状態、(b)は中間状態、(c)は取外状態である。
【
図8】第五実施形態の棚の取付部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下において上下左右とは、
図2における上下左右を示し、
図2の手前側を前側、奥側を後側とする。この壁面体の第一実施形態は、
図2〜
図4に示すように、左右の柱材101と、上端部の桁材102とを門形に組んで、その内周側に壁面本体1及び横材2を納めたものである。
【0014】
壁面本体1は、左右に延びる板材11を上下に連設したものであって、各板材11の上端面には凸部11aが形成してあり、下端面には凹部11bが形成してあって、下側の板材11の凸部11aが上側の板材11の凹部11bに嵌まっている。そして板材11三枚ごとに、左右に延びる横材2を挟んである。横材2は、
図1に示すように、上側部材2aと下側部材2bとを組み合わせたものであって、板材11よりも前側に突出しており、後側面は板材11の後側面と略面一である。上面(上側部材2a)の後側端には上側に向けて開口する溝部21が形成してあり、溝部21にはセッティングブロック22を挿入してあって、セッティングブロック22の上側部分が板材11の凹部11bに嵌まっている。そして突出部分の上面は略平面で前側下方に傾斜しており、突出部分の後側端(溝部21の前側)には、後側に向けて開口する溝状の被係合部8を形成してある。また、下面(下側部材2b)は前後方向中央から前後両側に向けて下方に傾斜している。さらに、横材2の下側には、スペーサ23を挟んで補助横材24を連結してある。補助横材24の上面は、前後方向中央から前後両側に向けて下方に傾斜しており、横材2の下面と補助横材24の上面との間には前後方向に貫通するへの字形の貫通路25が形成されている。この貫通路25により、視線を通すことなく通風を確保できる。そして補助横材24の下面の後側端には、下側に向けて開口する溝部26が形成してあり、板材11の凸部11aが溝部26に嵌まっている。
【0015】
なお、最も上側の板材11の上側には補助横材24が接続してあり、さらに補助横材24の上側にはスペーサ23を挟んで横材2が接続してある。ただし、この横材2は下側部材2bの上側にカバー材2cを組み合わせたものであり、カバー材2cは被係合部を有していない。一方、最も下側の板材11の下側には横材2が接続してある。ただし、この横材2は上側部材2aの下側に断面略矩形の補強材2dを組み合わせたものである。
【0016】
また、壁面本体1、横材2及び補助横材24の左右両端には、それぞれ上下に延びる縦材103が当接しており、縦材103側から壁面本体1、横材2及び補助横材24をネジ止めしてあって、壁面本体1、横材2、補助横材24及び縦材103が一体となっている。そして縦材103は、柱材101にネジ止めしてある。
【0017】
さらに、壁面体の右側から略1/4の位置には、上下に延びる中骨104を取り付けてある。中骨104は、壁面本体1の前側に当接し、横材2の上面と補助横材24の下面にネジ止めしてある。
【0018】
そして、この壁面体には、棚3を自在に着脱できる。棚3は、左右に延びる基礎部材31と、同じく左右に延びる二本のパイプ材32a,32bとを備え、基礎部材31は後側端に、二本のパイプ材32a,32bは前後方向略中央及び前側端に位置している。そして、基礎部材31及びパイプ材32a,32bの左右両端には側面板33がネジ止めしてあり、基礎部材31、パイプ材32a,32b及び側面板33は一体となっている。基礎部材31は、
図1に示すように、前後に延びる載置部34を有する。載置部34の後側端は下側に折れ曲がり、さらにその下端が前側に折れ曲がって係合部4を形成している。また、載置部34の係合部4より前側の下面には、上側当接部5を設けてある。上側当接部5は、下側に向けて開口する取付溝51を有し、取付溝51にタイト材52を取り付けてある。さらに、載置部34の前側端は下方に湾曲し、先端には下側に向けて開口する断面円形の溝が形成されていて、後述の取付補助材6を回動自在に取り付ける軸受部35となっている。そして軸受部35の後側からは、後側下方に向けて固定部10が延出しており、固定部10には所定箇所にネジ孔71を設けてある。また、中央のパイプ材32aは、断面円形であり、前側端のパイプ材32bは、断面略長円形であって、前側端上部に突起部36を有する。この棚3は、基礎部材31の上面に物品を置いたり、基礎部材31とパイプ材32a,32bに跨って物品を置いたりすることができ、基礎部材31とパイプ材32a,32bに跨って物品を置く際には、突起部36により物品が前側に落下することを防ぐ。また、パイプ材32a,32bにフックなどを掛けて使用することもできる。
【0019】
さらに、基礎部材31には棚3を横材2に固定するための取付補助材6が取り付けてある。取付補助材6は、上端に断面円形の軸部61を有し、軸部61を基礎部材31の軸受部35の端部から挿入することで、基礎部材31に対して回動自在となる。軸部61の下側には、固定部10のネジ孔71に対向して挿入孔62を設けてあり(左右二箇所)、さらにその下側から腕部63が延出している。そして、腕部63の先端には下側当接部9を設けてある。下側当接部9は、上側に向けて開口する取付溝91を有し、取付溝91にタイト材92を取り付けてある。さらに、固定部10のネジ孔71には取付補助材6の挿入孔62を通してネジ(固定手段)7が取り付けてある。ネジ7を緩めた状態では、
図1(b)に示すように、取付補助材6は基礎部材31に対して回動自在となり、ネジ7を締め付けた状態では、
図1(a)に示すように、取付補助材6は固定部10に密接して基礎部材31に対して固定される。そして固定した状態において、上側当接部5と下側当接部9は対向している。
【0020】
このように構成した棚3を壁面体に取り付けるには、ネジ7を緩めた状態で、棚3の係合部4を横材2の被係合部8に係合させ、上側当接部5を横材2の上面に当接させる(
図1(c)〜(b))。そして、取付補助材6を時計回りに回動させて下側当接部9を横材2の下面に当接させ、ネジ7を締め付けて取付補助材6を固定させる(
図1(b)〜(a))。固定した状態では、上側当接部5と下側当接部9により棚3の上下方向の動きが規制される。また、係合部4が被係合部8に係合しているので、棚3の前方への動きが規制され、さらに取付補助材6の腕部63が横材2の前側面に当接するので、棚3の後方への動きが規制される。一方、取り外しは逆の手順になり、ネジ7を緩め、取付補助材6を反時計回りに回動させて下側当接部9を横材2の下面から離し(
図1(a)〜(b))、係合部4を被係合部8から外せばよい(
図1(b)〜(c))。棚3は、一番上の横材2以外のどの横材2にも取り付けることができ、また横材2に対する左右方向位置も自在である。
図2に示す例では、上から四番目の横材2に、四つの棚3を取り付けてある。
【0021】
このように、本発明の壁面体においては、容易に棚3の取り付け及び取り外しをすることができる。そして棚3は、上側当接部5が横材2の上面に当接し、下側当接部9が横材2の下面に当接しており、特に上側当接部5と下側当接部9が対向しているから、横材2に対して上下方向に規制され、下側から力が加わっても外れることがなく確実に固定される。さらに、取付補助材6は棚3の固定部10にネジ止めするものであって、横材2に直接取り付けるものではないので、横材2にはネジ孔加工などが不要であり、棚3を外した状態の意匠性が良好である。また、横材2の前側からネジ止めを行うことができるので、作業性も良好である。
【0022】
なお、壁面本体1や横材2は上述の構成に限られるものでなく、以下に他の実施形態を示す。
図5に示すのは第二実施形態であり、壁面本体1として採光パネル12を取り付けてある。採光パネル12は、下側の横材2の溝部21と、上側の補助横材24の溝部26と、左右の縦材103に形成した溝部にそれぞれビード材13を取り付けて嵌め込んであり、透明なものでもよいし、半透明なものでもよい。
【0023】
図6に示すのは第三実施形態であり、壁面本体1として格子材14を取り付けてある。格子材14は、板状であるが第一実施形態の板材よりも上下方向に短く、複数枚の格子材14を、互いに離間させて上下に並べてある。よって、壁面本体1により通風が確保されるので補助横材は不要であり、横材2は、上側部材2aに格子用下側部材2eを組み合わせてある(ただし、最も上側の横材2はカバー材2cに格子用下側部材2eを組み合わせてあり、最も下側の横材2は上側部材2aに補強材2dを組み合わせてある)。格子用下側部材2eは、下面の後側端に格子材14と略同形状の格子部27を形成してあり、格子材14と格子部27を並べることで、後側からの外観が統一的で好ましいものとなる。なお、横材2の上面の溝部21は、キャップ15を嵌めて塞いである。
【0024】
図7に示すのは第四実施形態であり、壁面本体1としてルーバーパネル16を取り付けてある。横材2同士の間には、ルーバーパネル16を傾斜させて支持するための中桟17が二本ずつ配置してあり、それぞれの中桟17がルーバーパネル16を前後から挟み込んで支持している。第三実施形態と同様、壁面本体1により通風が確保されるので補助横材は不要であり、横材2は、上側部材2aにルーバー用下側部材2fを組み合わせてある(ただし、最も上側の横材2はカバー材2cにルーバー用下側部材2fを組み合わせてあり、最も下側の横材2は上側部材2aに補強材2dを組み合わせてある)。ルーバー用下側部材2fは、下面にルーバーパネル16の支持部28を有しており、上側のルーバーパネル16の上端を支持している。一方、下側のルーバーパネル16の下端は、横材2の上面の溝部21に挿入し、ビード材18により固定してある。
【0025】
また、取付補助材6を固定する固定手段については、上述のようなネジに限られるものではない。
図8に示すのは第五実施形態であり、取付補助材6に係合突起7aを形成して固定手段としてある。係合突起7aは取付補助材6の上面から上方に向けて突出しており、取付補助材6を時計回りに回動させて下側当接部9を横材2の下面に当接させると、係合突起7aが固定部10の先端に係合して、取付補助材6が基礎部材31に対して固定される。さらに、取付補助材をバネにより時計回りに付勢して固定するものであってもよい。
【0026】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、被係合部は棚の係合部と係合して棚の前方への動きを規制するものであればよく、壁面本体に形成してあってもよい。棚は一枚の板状のものや網状のものなど、一般に棚として用いられるものであればどのような形状であってもよい。また、棚の左右方向長さも自在であり、異なる長さのものを複数種類取り付けてもよい。さらに、横材が上側部材と下側部材を組み合わせたものではなく、一体に形成されたものであってもよいし、補助横材はなくてもよい。また、一つの壁面体において、複数種類の壁面本体を上下に組み合わせてもよい。さらに、壁面体の左右方向幅が狭い場合には、中骨を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 壁面本体
2 横材
3 棚
4 係合部
5 上側当接部
6 取付補助材
7 ネジ(固定手段)
8 被係合部
9 下側当接部
10 固定部