(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の中心軸を画定する開口部を有する固定部材と、レンズを保持すると共に前記固定部材に対して可動な可動部材と、前記可動部材をレンズの光軸に垂直な平面内で移動自在に支持する支持機構と、前記可動部材を前記平面内で駆動する駆動手段と、前記可動部材を所定の休止位置に位置決めして保持する保持手段を備えた像振れ補正装置であって、
前記保持手段は、前記可動部材を像振れ補正前の待機位置から前記光軸回りに回転させる回転駆動機構と、前記可動部材を所定の回転位置において前記固定部材の一部に係合させて停止させる係合停止機構を含み、
前記係合停止機構は、前記可動部材が前記回転位置に位置する状態で、前記固定部材及び可動部材の一方に固定された永久磁石と磁気的吸引力を及ぼすと共に前記一方と当接して相対的な回転移動を規制するべく前記固定部材及び可動部材の他方に固定された磁性部材を含む、
ことを特徴とする像振れ補正装置。
前記回転駆動機構は、前記光軸又は前記中心軸を中心として点対称となる位置において前記固定部材及び可動部材の一方に配置された一対の永久磁石と、前記光軸方向において前記一対の永久磁石と対向するように前記固定部材及び可動部材の他方に配置された一対のコイルを含み、前記一対のコイルの一方に正通電及び他方に逆通電を行うことにより前記可動部材を前記回転位置に回転させる回転駆動力を発生し、前記一対のコイルの一方に逆通電及び他方に正通電を行うことにより前記可動部材を前記回転位置から逆向きに回転させて係合状態を解除するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の像振れ補正装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、装置の小型化、部品点数の削減、消費電力の低減等を図りつつ、像振れ補正を行わない休止状態においてレンズを保持する可動部材を所定の休止位置に確実に位置決めして保持することができる像振れ補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の像振れ補正装置は、所定の中心軸を画定する開口部を有する固定部材と、レンズを保持すると共に固定部材に対して可動な可動部材と、可動部材をレンズの光軸に垂直な平面内で移動自在に支持する支持機構と、可動部材を上記平面内で駆動する駆動手段と、可動部材を所定の休止位置に位置決めして保持する保持手段とを備えた像振れ補正装置であって、上記保持手段は、可動部材を像振れ補正前の待機位置から光軸回りに回転させる回転駆動機構と、可動部材を所定の回転位置において固定部材の一部に係合させて停止させる係合停止機構を含
み、係合停止機構は、可動部材が回転位置に位置する状態で、固定部材及び可動部材の一方に固定された永久磁石と磁気的吸引力を及ぼすと共に一方と当接して相対的な回転移動を規制するべく固定部材及び可動部材の他方に固定された磁性部材を含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、可動部材は、支持機構により移動自在に支持された状態で、駆動手段の駆動力により、固定部材に対して待機位置(開口部の中心軸とレンズの光軸が一致しかつ可動部材がフリーな状態)から光軸に垂直な平面内で二次元的に移動させられ、手振れ等による像振れを高精度に補正することができる。
また、像振れ補正を行わない休止状態においては、回転駆動機構により可動部材を待機位置から光軸回りに回転させて所定の回転位置まで回転させ、係合停止機構により可動部材を固定部材の一部に係合させて停止させることにより、外部から衝撃等を受けてもガタツキを生じることなく可動部材を休止位置(回転位置)に確実に保持することができる。
特に、保持手段として、可動部材を回転させて係合及び停止させる(ロックする)回転駆動機構及び係合停止機構を採用したことにより、構造の簡素化、装置の小型化、消費電力の低減等を達成することができる。
ここでは、係合停止機構が、可動部材が回転位置に位置する状態で、固定部材及び可動部材の一方に固定された永久磁石と磁気的吸引力を及ぼすと共に一方と当接して相対的な回転移動を規制するべく固定部材及び可動部材の他方に固定された磁性部材を含むため、可動部材が待機位置から回転位置(休止位置)に達した状態で、永久磁石と磁性部材との間に磁気的吸引力が生じつつ磁性部材が一方と直接当接して相対的な回転が規制されるため、可動部材を回転位置(休止位置)により確実に保持することができる。
【0007】
上記構成において、駆動手段は回転駆動機構を兼ねる、構成を採用することができる。
この構成によれば、像振れ補正を行う際に可動部材を駆動する駆動手段を、回転駆動機構として兼用することにより、構造の簡素化、部品点数の削減、装置の小型化、低コスト化等を達成することができる。
【0008】
上記構成において、可動部材は、レンズを保持して開口部内に配置される筒部と、筒部から上記平面と平行な方向に伸長する平板部を含み、係合停止機構は、筒部の外周に設けられた係合部と、固定部材において開口部の領域に設けられ可動部材が回転位置に至る際に係合部が係合する被係合部を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、回転駆動機構により、可動部材が待機位置から光軸回りに回転させられると、可動部材の筒部に形成された係合部が、固定部材の開口部に形成された被係合部と係合して、可動部材は所定の休止位置(回転位置)に停止した状態で保持される。
このように、係合停止機構として、可動部材のレンズを保持する筒部と固定部材の開口部の領域とに係合部及び被係合部を設けたことにより、可動部材の中で質量が集中する中心領域を係合させて保持するため、可動部材をより確実に休止位置(回転位置)に保持することができる。
【0009】
上記構成において、可動部材は、レンズを保持すると共に開口部に対向して配置される筒部と、筒部から上記平面と平行な方向に伸長する平板部を含み、係合停止機構は、平板部の一部に設けられた係合部と、固定部材において開口部から外れた外側領域に設けられ可動部材が回転位置に至る際に係合部が係合する被係合部とを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、回転駆動機構により、可動部材が待機位置から光軸回りに回転させられると、可動部材の筒部から離れた平板部に形成された係合部が、固定部材の開口部から離れた外側領域に形成された被係合部と係合して、可動部材は所定の休止位置(回転位置)に停止した状態で保持される。
このように、係合停止機構として、可動部材の平板部と固定部材の開口部から離れた外側領域とに係合部及び被係合部を設けたことにより、可動部材の筒部が開口部内に入り込まないような構成あるいは可動部材の筒部が平板部と一体的な平板状をなしその一部においてレンズを保持するような構成において、可動部材をより確実に休止位置(回転位置)に保持することができる。
【0011】
上記構成において、回転駆動機構は、中心軸又は光軸を中心として点対称となる位置において固定部材及び可動部材の一方に配置された一対の永久磁石と、光軸方向において一対の永久磁石と対向するように固定部材及び可動部材の他方に配置された一対のコイルを含み、一対のコイルの一方に正通電及び他方に逆通電を行うことにより可動部材を回転位置に回転させる回転駆動力を発生し、一対のコイルの一方に逆通電及び他方に正通電を行うことにより可動部材を回転位置から逆向きに回転させて係合状態を解除するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、一対のコイルの一方に正通電及び他方に逆通電を行うことにより、可動部材を光軸回りの一方向に回転させる磁気的な回転駆動力が発生して、可動部材は待機位置から所定の回転位置(休止位置)まで回転させられ係合停止機構によりロック状態に保持され、一方、一対のコイルの一方に逆通電及び他方に正通電を行うことにより、可動部材を光軸回りの逆方向に回転させる磁気的な回転駆動力が発生して、可動部材は所定の回転位置(休止位置)から待機位置まで逆向きに回転させられてロック状態が解除され、像振れ補正を行える状態となる。このように、コイルへの通電を切り替えるという簡単な制御により、可動部材のロック及びロックの解除を行うことができる。
【0012】
上記構成において、駆動手段は、可動部材を上記平面内の第1方向に駆動する第1駆動機構と、可動部材を上記平面内の第2方向に駆動する第2駆動機構を含み、第1駆動機構は、固定部材及び可動部材の一方に固定された第1永久磁石と、光軸方向において第1永久磁石に対向する位置において固定部材及び可動部材の他方に固定された第1コイルを含み、第2駆動機構は、固定部材及び可動部材の一方に固定された第2永久磁石と、光軸方向において第2永久磁石に対向する位置において固定部材及び可動部材の他方に固定された第2コイルを含み、第1永久磁石及び第2永久磁石は、それぞれ、中心軸又は光軸を中心として点対称となる位置に配置された一対の永久磁石からなり、第1コイル及び第2コイルは、それぞれ、光軸方向において一対の永久磁石と対向するように配置された一対のコイルからなり、第1駆動機構及び第2駆動機構の少なくとも一方は、回転駆動機構を兼ねる、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1駆動機構(第1永久磁石、第1コイル)と第2駆動機構(第2永久磁石、第2コイル)により、可動部材を待機位置から光軸に垂直な平面内で移動させて、像振れ補正を行うことができ、又、第1永久磁石及び第2永久磁石と第1コイル及び第2コイルとがそれぞれ点対称に配置された一対の永久磁石及び一対のコイルからなるため、固定部材に対する可動部材のバランスを均等に(平行度を)維持しつつ、可動部材をより円滑に駆動して素早く像振れ補正を行うことができ、さらに、第1駆動機構及び第2駆動機構の少なくとも一方が回転駆動機構を兼ねるため、別々に機構を設ける場合に比べて、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成することができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成をなす像振れ補正装置によれば、構造の簡素化、装置の小型化、部品点数の削減、消費電力の低減等を達成しつつ、像振れ補正を行わない休止状態においてレンズを保持する可動部材を所定の休止位置に確実に位置決めして保持することができる像振れ補正装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この像振れ補正装置Mを組み込んだカメラユニットUは、
図1に示すように、撮像素子等を配置するカメラ本体1、カメラ本体1に連結された撮像レンズユニットとしてのレンズ鏡筒2等を備えている。そして、レンズ鏡筒2には、光軸方向に往復動する複数のレンズ群うちの一つとして像触れ補正装置Mが組み込まれている。
【0016】
像振れ補正装置Mは、
図2に示すように、固定部材としてのベース10、支持機構としての3つの球体20、レンズGを保持する可動部材30、固定部材としてのカバー部材40、可動部材30を駆動する駆動手段としての第1駆動機構50(第1永久磁石51(一対の永久磁石51a,51b)、第1コイル52(一対のコイル52a,52b))及び第2駆動機構60(第2永久磁石61(一対の永久磁石61a,61b)、第2コイル62(一対のコイル62a,62b))、可動部材30を所定の休止位置に位置決めして保持する保持手段としての回転駆動機構MR及び係合停止機構MS、可動部材30を所定の回転位置(休止位置)に保持するべく一対の永久磁石61a,61bとの間で磁気的吸引力を及ぼす磁性部材としての一対のヨーク70、可動部材30をセンタリングする(待機位置に位置付ける)際に作用するヨーク80、可動部材30の位置を検出する位置センサ90(第1位置センサ91,第2位置センサ92)、カバー部材40に設けられた配線用のフレキシブル配線板100等を備えている。
【0017】
ベース10は、
図2ないし
図3に示すように、光軸L方向に略扁平の円板状に形成され、中心軸Sを画定する略円形の開口部10a、開口部10aの内壁に形成され後述する可動部材30の係合部32が離脱可能に係合する被係合部10b、中心軸Sを通るY軸(第1方向)及びY軸に直交するX軸(第2方向)により4等分される領域にそれぞれ設けられたコイル固定部11、コイル固定部11に対向する裏面側に設けられてヨーク80を固定する4つのヨーク固定部12、Y軸上及びY軸に線対称となる位置に設けられて球体20を収容する3つの凹部13、ヨーク70を固定する2つのヨーク固定部14、カバー部材40をネジにより締結するための4つのネジ穴15等を備えている。
【0018】
開口部10aは、
図6、
図8、
図9に示すように、Y軸及びX軸の交点において中心軸Sを画定するように略円形に形成されると共に、可動部材30が像触れ補正のために駆動される範囲内において、可動部材30の筒部31が非接触にて移動し得るよう内径寸法に形成されている。
被係合部10bは、可動部材30が像触れ補正のために駆動される範囲内においては可動部材30と非接触となるように形成されると共に、可動部材30が待機位置から所定角度だけ回転した回転位置(休止位置)に至る際に可動部材30の係合部32と係合するように形成されている。
【0019】
支持機構としての3つの球体20は、ベース10の3つの凹部13に対して、一部が光軸L方向に突出した状態で転動自在に挿入されており、又、
図4に示すように、Y軸に対して線対称な二等辺三角形の3つの頂点に位置するように配置されている。
そして、3つの球体20は、可動部材30に設けられた3つの当接部34にそれぞれ当接して、可動部材30を光軸Lに垂直な平面内で移動自在に支持するようになっている。
【0020】
可動部材30は、
図2、
図3、
図5に示すように、Y´軸方向に幅狭でかつX´軸方向に長尺な略矩形状に形成されており、光軸LをもつレンズGを保持する筒部31、筒部31の外周に設けられた4つの係合部32、筒部31を挟んでX´軸方向に伸長する2つの平板部33、各々の平板部33の外縁部及び筒部31の外縁部から突出して形成され球体20に当接する3つの当接部34、第1駆動機構50の第1永久磁石51(一対の永久磁石51a,51b)及び第2駆動機構60の第2永久磁石61(一対の永久磁石61a,61b)を嵌合して固定する4つの固定部35等を備えている。
【0021】
筒部31は、その内部において、光軸LをもつレンズGを保持するように筒状に形成されている。
4つの係合部32は、筒部31の外周から径方向に突出すると共に周方向に所定の長さをなすようにかつベース10の被係合部10bと対向する側に傾斜面32aを画定するように形成されている。
そして、4つの係合部32は、可動部材30が像触れ補正のために駆動される範囲内においてはベース10の開口部10a及び被係合部10bと非接触となり、可動部材30が待機位置から所定角度だけ回転した回転位置(休止位置)に至る際にベース10の被係合部10bに係合するようになっている。
2つの平板部33は、光軸Lに垂直な平面と平行な方向に伸長しかつ光軸L方向において扁平となるように形成されている。
【0022】
3つの当接部34は、
図6に示すように、レンズGの光軸Lがベース10の開口部100aの中心軸Sと一致する状態で、光軸L方向において凹部13に挿入された3つの球体20と対向するように形成され、可動部材30が光軸Lに垂直な平面(Y軸及びX軸を含む平面)内において二次元的に移動する範囲において、凹部13に挿入された球体20に接触した状態から逸脱しない所定の接触領域Aを画定する平面状に形成されている。
このように、3つの当接部34が3つの球体20に当接するように形成されているため、少ない個数の球体20を用いつつ、球体20に加わる負荷をバランス良く配置することができ、可動部材30は、光軸Lに垂直な平面内において円滑に移動するように支持される。
4つの固定部35は、第1永久磁石51(一対の永久磁石51a,51b)及び第2永久磁石61(一対の永久磁石61a,61b)を、光軸L方向においてそれらの両端面を露出させると共にそれらの側面を嵌合させて保持する嵌合孔として形成されている。
【0023】
カバー部材40は、
図2及び
図3に示すように、光軸L方向に略扁平の円板状に形成され、開口部10aの中心軸Sと一致する中心をもつ略円形の開口部40a、位置センサ90(第1位置センサ91,第2位置センサ92)を嵌合して固定するセンサ固定部41、ネジBによりベース10に対して締結固定するための4つのネジ孔42等を備えている。
【0024】
第1駆動機構50は、
図2ないし
図6に示すように、可動部材30を光軸Lに垂直な平面内のY軸方向(第1方向)に駆動するものであり、可動部材30に固定された第1永久磁石51、ベース10に固定された第1コイル52を含むボイスコイルモータとして形成されている。
第1永久磁石51は、光軸Lを中心として点対称となる位置において、可動部材30の固定部35に固定された一対の永久磁石51a,51bにより形成されている。
第1コイル52は、光軸L方向において一対の永久磁石51a,51bと対向する位置において、ベース10のコイル固定部11に固定された一対のコイル52a,52bにより形成されている。
第1永久磁石51(一対の永久磁石51a,51b)は、
図5に示すように、X´軸と平行な面を境にN極とS極とに着磁されかつ光軸L方向においてもN極とS極に着磁された矩形形状に形成されている。
第1コイル52(一対のコイル52a,52b)は、
図2、
図4、
図6に示すように、光軸L方向から視て、X軸方向に長軸及びY軸方向に短軸をもつ長円環状をなすように形成されている。
そして、第1駆動機構50は、第1コイル52(一対のコイル52a,52b)に対する通電をオン/オフすることにより、光軸Lに垂直な第1方向すなわちY軸方向に電磁駆動力を発生するようになっている。
【0025】
第2駆動機構60は、
図2ないし
図6に示すように、可動部材30を光軸Lに垂直な平面内のX軸方向(第2方向)に駆動するものであり、可動部材30に固定された第2永久磁石61、ベース10に固定された第2コイル62を含むボイスコイルモータとして形成されている。
第2永久磁石61は、光軸Lを中心として点対称となる位置において、可動部材30の固定部35に固定された一対の永久磁石61a,61bにより形成されている。
第2コイル62は、光軸L方向において一対の永久磁石61a,61bと対向する位置において、ベース10のコイル固定部11に固定された一対のコイル62a,62bにより形成されている。
第2永久磁石61(一対の永久磁石61a,61b)は、
図5に示すように、Y´軸と平行な面を境にN極とS極とに着磁されかつ光軸L方向においてもN極とS極に着磁された矩形形状に形成されている。
第2コイル62(一対のコイル62a,62b)は、
図2、
図4、
図6に示すように、光軸L方向から視て、Y軸方向に長軸及びX軸方向に短軸をもつ長円環状をなすように形成されている。
そして、第2駆動機構60は、第2コイル62(一対のコイル62a,62b)に対する通電をオン/オフすることにより、光軸Lに垂直な第2方向すなわちX軸方向に電磁駆動力を発生するようになっている。
【0026】
すなわち、第1駆動機構50(第1永久磁石51、第1コイル52)と第2駆動機構60(第2永久磁石61、第2コイル62)により、可動部材30を待機位置から光軸Lに垂直な平面内で移動させて像振れ補正を行うことができ、又、第1永久磁石51及び第2永久磁石62と第1コイル52及び第2コイル62とが、それぞれ点対称に配置された一対の永久磁石51a,51b、61a,61b及び一対のコイル52a,52b、62a,62bからなるため、ベース10に対する可動部材30のバランスを均等に(平行度を)維持しつつ、可動部材30をより円滑に駆動して素早く像振れ補正を行うことができる。
【0027】
回転駆動機構MRは、可動部材30を、像触れ補正前の待機位置(
図6に示すように、光軸Lと中心軸Sとが一致したフリーの状態)から光軸L回りに所定角度だけ回転させて休止位置(
図7に示す回転位置)に位置付け、又、休止位置から逆向きに回転させて待機位置に位置付けるための回転駆動力を発生するものであり、光軸Lを中心として点対称となる位置において可動部材30に配置された一対の永久磁石51a,51bと、光軸L方向において一対の永久磁石51a,51bと対向するようにベース10に配置された一対のコイル52a,52bとにより形成されている。すなわち、ここでは、回転駆動機構MSとして第1駆動機構50が兼用されるように形成されている。
【0028】
そして、一対のコイル52a,52bの一方のコイル52aに正通電及び他方のコイル52bに逆通電を行うことにより、可動部材30を光軸L回りの一方向(
図6中の時計回り)に回転させる磁気的な回転駆動力が発生して、可動部材30は
図6に示す待機位置から
図7に示す所定の回転位置(休止位置)まで回転させられ、係合停止機構MSにより位置決めして保持(ロック)され、一方、一対のコイル52a,52bの一方のコイル52aに逆通電及び他方のコイル52bに正通電を行うことにより、可動部材30を光軸L回りの逆方向(
図7中の反時計回り)に回転させる磁気的な回転駆動力が発生して、可動部材30は
図7に示す所定の回転位置(休止位置)から
図6に示す待機位置まで逆向きに回転させられて、係合停止機構MSによるロック状態が解除され、像振れ補正を行えるフリーの状態となる。
【0029】
このように、一対のコイル52a,52bへの通電を切り替えるという簡単な制御により、可動部材30の休止位置におけるロック及びロックの解除を行うことができる。
また、像振れ補正を行う際に可動部材30を駆動する駆動手段としての第1駆動機構50を、回転駆動機構MRとして兼用しているため、構造の簡素化、部品点数の削減、装置の小型化、低コスト化等を達成することができる。
【0030】
係合停止機構MSは、可動部材30を所定の回転位置(休止位置)において、ベース10の一部に係合させて停止させるものであり、可動部材30の筒部31の外周に設けられた4つの係合部32と、ベース10において開口部10aの領域に設けられ可動部材30が回転位置に至る際に係合部32が係合する被係合部10bと、可動部材30が回転位置(休止位置)に位置する状態で一対の永久磁石61a,61bとそれぞれ磁気的吸引力を及ぼし合うべくベース10に固定された一対のヨーク70等により形成されている。
ここで、係合部32と被係合部10bとの係合関係は、可動部材30が所定の休止位置(回転位置)まで回転したとき、互いに密接してガタツキを生じない状態に形成されている。
一対のヨーク70は、ベース10のヨーク固定部14に固定されており、
図7に示すように可動部材30が休止位置(回転位置)まで回転させられたとき可動部材30の外縁部に当接し、一対の永久磁石61a,61bとそれぞれ磁気的吸引力を及ぼすように配置され、かつ、待機位置から像触れ補正が行われる場合は、可動部材30と非接触となるように配置されている。
【0031】
すなわち、回転駆動機構MRにより、可動部材30が
図6に示す待機位置から光軸L回りの一方向(
図6中の時計回り)に回転させられると、可動部材30の筒部31に形成された係合部32が、ベース10の開口部10aに形成された被係合部10bと係合し、又、可動部材30の外縁部がヨーク70に当接して、可動部材30は
図7に示すように所定の休止位置(回転位置)に停止し、一対のヨーク70と一対の永久磁石61a,61bとの間に生じる磁気的吸引力によりその回転位置(休止位置)に位置決めして保持される。
一方、回転駆動機構MRにより、可動部材30が休止位置から光軸L回りの逆方向(
図7中の反時計回り)に回転させられると、係合部32が被係合部10bから離脱しつつ可動部材30は待機位置に至り、係合停止機構MSによるロック状態(係合状態)が解除される。
【0032】
このように、係合停止機構MSとして、可動部材30のレンズGを保持する筒部31に設けた係合部32及びベース10の開口部10aの領域に設けた被係合部10bを採用したことにより、可動部材30の中で質量が集中する中心領域を係合させて保持するため、可動部材30をより確実に休止位置(回転位置)に保持することができる。
尚、係合部32と被係合部10bとの係合関係を、互いに食い付き合うように若干固めに嵌合し合う状態に設定することも可能である。
この場合、ヨーク70を設けなくても、可動部材30を休止位置(回転位置)に確実に保持することができる。
【0033】
4つのヨーク80は、ベース10の裏面側(第1コイル52及び第2コイル62が配置された側と反対側)のヨーク固定部12にそれぞれ固定されている。
そして、4つのヨーク80は、
図3及び
図6に示すように、可動部材30が
図6に示す待機位置(光軸Lと中心軸Sとが一致する位置)において、それぞれ光軸L方向において、永久磁石51a及びコイル52aと重なる位置、永久磁石51b及びコイル52bと重なる位置、永久磁石61a及びコイル62aと重なる位置、永久磁石61b及びコイル62bと重なる位置に配置されており、球体20を挟み込んだ状態で可動部材30がベース10から離れないような磁気的吸引力を及ぼすと共に可動部材30が待機位置からずれた際に待機位置に復帰させる磁気的復帰力を生じるようなっている。
【0034】
位置センサ90は、光軸L方向において第1コイル52の一方のコイル52bに対向する位置に配置された第1位置センサ91、光軸L方向において第2コイル62の一方のコイル62aに対向する位置に配置された第2位置センサ92により構成されている。
第1位置センサ91及び第2位置センサ92は、例えば磁束密度の変化を検出して電気信号として出力するホール素子等であり、
図2に示すように、カバー部材40のセンサ固定部41にそれぞれ嵌合されて固定されている。
【0035】
そして、第1位置センサ91は、可動部材30に固定された第1永久磁石51(永久磁石51b)との間で磁気回路を形成し、可動部材30がベース10及びカバー部材40に対して相対的に移動することによって生じる磁束密度の変化を検出することで、可動部材30の位置を検出するようになっている。
また、第2位置センサ92は、可動部材30に固定された第2永久磁石61(永久磁石61a)との間で磁気回路を形成し、可動部材30がベース10及びカバー部材40に対して相対的に移動することによって生じる磁束密度の変化を検出することで、可動部材30の位置を検出するようになっている。
【0036】
フレキシブル配線板100は、
図2に示すように、第1位置センサ91に接続される接続部、第2位置センサ92に接続される接続部、第1駆動機構50の第1コイル52(一対のコイル52a,52b)に接続される接続部、第2駆動機構60の第2コイル62(一対のコイル62a,62b)に接続される接続部を有するように形成され、
図2に示すように、カバー部材40の前面に固定されている。
このように、フレキシブル配線板100は、光軸Lに垂直な平面方向に移動しないカバー部材40(固定部材)に固定されているため、光軸Lに垂直な平面方向に移動させる必要がなく、すなわち撓ませて配置する必要がなく、それ故に、フレキシブル配線板100の配置スペースを狭くでき、装置を小型化でき、耐久性を向上させることができる。
【0037】
次に、上記像振れ補正装置Mの動作について、
図6〜
図9を参照しつつ説明する。
先ず、休止状態において、可動部材30は、
図7に示すように、回転駆動機構MR及び係合停止機構MSにより休止位置(回転位置)に位置決めされて保持されている。
この休止状態から、回転駆動機構MRの一対のコイル52a,52bの一方のコイル52aに逆通電及び他方のコイル52bに正通電を行うことにより、可動部材30は、
図7に示す休止位置から光軸L回りの逆方向(
図7中の反時計回り)に回転させられて
図6に示す待機位置に至ると共に係合停止機構MS(係合部32及び被係合部10b)による係合状態(ロック状態)が解除されて、像振れ補正を行えるフリーの状態となる。
【0038】
そして、
図6に示す待機状態(待機位置に位置する状態)から、一例として可動部材30(レンズG)をX軸方向(第2方向)の右側にシフトさせる像触れ補正を行う場合は、第2駆動機構60の第2コイル62(一対のコイル62a,62b)に対して正通電を行うことにより、右向きの電磁駆動力を発生させる。これにより、可動部材30は、
図8に示すように、X軸方向の右向きに移動させられる。一方、第2コイル(一対のコイル62a,62b)への通電を断つ(又は逆通電を行う)と、可動部材30は待機位置に戻る。
【0039】
また、
図6に示す待機状態から、一例として可動部材30(レンズG)をY軸方向(第1方向)の上側にシフトさせる像触れ補正を行う場合は、第1駆動機構50の第1コイル52(一対のコイル52a,52b)に対して正通電を行うことにより、上向きの電磁駆動力を発生させる。これにより、可動部材30は、
図9に示すように、Y軸方向の上向きに移動させられる。一方、第1コイル(一対のコイル52a,52b)への通電を断つ(又は逆通電を行う)と、可動部材30は待機位置に戻る。
【0040】
さらに、
図6に示す待機状態から、可動部材30を休止位置に移動させる場合は、一対のコイル52a,52bの一方のコイル52aに正通電及び他方のコイル52bに逆通電を行うことにより、可動部材30は、
図6に示す待機位置から光軸L回りの一方向(
図6中の時計回り)に回転させられて
図7に示す所定の回転位置(休止位置)に至ると共に、係合停止機構MS(係合部32及び被係合部10b)による位置決め及び一対のヨーク70と一対の永久磁石61a,61bとの間に生じる磁気的吸引力により、この回転位置(休止位置)に堅固に保持される。
【0041】
このように、像振れ補正を行わない休止状態においては、回転駆動機構MRにより可動部材30を待機位置から光軸L回りに回転させて所定の回転位置まで回転させ、係合停止機構MSにより可動部材30をベース10の一部(被係合部10b)に係合させて停止させることにより、外部から衝撃等を受けてもガタツキを生じることなく可動部材30を休止位置(回転位置)に確実に保持することができる。
特に、保持手段として、可動部材30を回転させて係合及び停止させる(ロックする)回転駆動機構MR(一対の永久磁石51a,51b、一対のコイル52a,52b)及び係合停止機構MS(係合部32、被係合部10b)を採用したことにより、構造の簡素化、装置の小型化、消費電力の低減等を達成することができる。
【0042】
図10及び
図11は、本発明に係る像触れ補正装置の他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態に対して、係合停止機構MSを構成する係合部及び被係合部の配置場所を変更したものである。したがって、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、この実施形態において、係合停止機構MSは、可動部材30´の平板部33の一部に設けられた係合部32´と、ベース10´において開口部10aから外れた外側領域に設けられ被係合部16´とを含む構成となっている。
そして、回転駆動機構MRにより、可動部材30が
図10に示す待機位置から光軸L回りに回転させられると、可動部材30´の筒部31から離れた平板部33に形成された係合部32´が、ベース10´の開口部10aから離れた外側領域に形成された被係合部16´と係合して、可動部材30´は
図11に示す所定の休止位置(回転位置)に停止した状態で保持される。
【0043】
このように、係合停止機構MSとして、可動部材30´の平板部33とベース10´の開口部10aから離れた外側領域とに係合部32´及び被係合部16´を設けたことにより、可動部材30´の筒部31が開口部10a内に入り込まないような構成あるいは可動部材30´の筒部31が平板部と一体的な平板状をなしその一部においてレンズGを保持するような構成において、可動部材30´をより確実に休止位置(回転位置)に保持することができる。
【0044】
上記実施形態においては、第1駆動機構50(一対の永久磁石51a,51b、一対のコイル52a,52b)が回転駆動機構MRを兼ねる構成を示したが、これに限定されるものではなく、専用の回転駆動機構を設けてもよい。
上記実施形態においては、可動部材30,30´に永久磁石51a,51b,61a,61bを固定し、ベース10,10´にコイル52,52b,62a,62bを固定した場合を示したが、これに限定されるものではなく、逆に、ベースに永久磁石51a,51b,61a,61bを固定し、可動部材にコイル52,52b,62a,62bを固定した構成を採用してもよい。
上記実施形態においては、位置センサとして、第1永久磁石51の一方の永久磁石51bとの間で作用する第1位置センサ91及び第2永久磁石61の一方の永久磁石61aとの間で作用する第2位置センサ92を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、4つの永久磁石51a,51b,61a,61bとの間で作用する4つの位置センサを採用してもよい。
【0045】
上記実施形態においては、可動部材30を支持する支持機構として、ベース10の凹部13に挿入されると共に可動部材30,30´の当接部34に当接する3つの球体20を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、逆に、球体20を配置する凹部を可動部材に設け、ベースに球体20を当接させる当接部を設ける構成を採用してもよい。また、複数の凹部、複数の球体、複数の当接部として、3つの凹部13、3つの球体20、3つの当接部34を示したが、これに限定されるものではなく、4つ以上の凹部及び球体並びに当接面を採用してもよい。
【0046】
上記実施形態においては、カメラユニットUのレンズ鏡筒2に適用される像振れ補正装置Mについて示したが、撮像用の複数のレンズを含むその他の撮像レンズユニットにおいて、上記構成をなす像振れ補正装置を含む構成を採用してもよい。
これによれば、撮像用の複数のレンズが光軸方向に配置された構成において、上記の像振れ補正装置を含むことで、可動部材に保持される補正用のレンズGが適宜駆動されて、手振れ等による像振れを円滑にかつ高精度に補正することができる。すなわち、撮像用の複数のレンズに加えて、上記の像振れ補正機能を追加した撮像レンズユニットを提供することができる。