特許第5658139号(P5658139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658139
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】BACE阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/10 20060101AFI20141225BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C07D417/10CSP
   A61K31/541
   A61P25/28
   A61P43/00 111
【請求項の数】4
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2011-507529(P2011-507529)
(86)(22)【出願日】2009年4月15日
(65)【公表番号】特表2011-519854(P2011-519854A)
(43)【公表日】2011年7月14日
(86)【国際出願番号】US2009040589
(87)【国際公開番号】WO2009134617
(87)【国際公開日】20091105
【審査請求日】2012年4月13日
(31)【優先権主張番号】61/049,881
(32)【優先日】2008年5月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・エドマンド・オーディア
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン・ジェイムズ・マーゴット
(72)【発明者】
【氏名】スコット・マーティン・シーハン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・モーガン・ワトソン
【審査官】 爾見 武志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/049532(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/133273(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/151098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 417/10
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式化合物、4−(2,4−ジフルオロ−5−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン
【化1】
またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
下式、(S)−4−(2,4−ジフルオロ−5−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン
【化2】
で表される、請求項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
請求項1〜のいずれかに記載の化合物あるいはその薬理学的に許容される塩を、薬理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と併せて含む医薬製剤。
【請求項4】
アルツハイマー病の治療剤を製造するための請求項1〜のいずれかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病ならびにアミロイド前駆体タンパク質(APP)の神経毒かつ高い凝集ペプチドセグメントである、アミロイドβ(Aβ)ペプチドに関連する他の疾患および障害を治療する分野である。具体的には、β−セクレターゼまたはβ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(BACE)の強力な阻害剤を提供する。BACEの完全または部分的阻害は、マウスモデルにおいてプラーク関連およびプラーク依存性病変に対して顕著な効果を有することが示されており、Aβレベルの低い減少でさえ、プラーク断面積およびシナプス欠損において長期間の顕著な減少を生じる場合があることが示唆されており、従って顕著な治療有効性を与える。
【背景技術】
【0002】
現在記載されているBACE阻害剤はペプチド模倣剤の遷移状態類似体であり、典型的にヒドロキシエチル部分を含む。これらの化合物の多くは、BACEの強力な阻害剤であるが、それらの高分子量および低い膜透過性により、それらは不十分な薬物候補となっている。種々のヒドロキシエチルアミン骨格および複素環を含む骨格などのペプチド模倣剤の高分子から低分子への進行が存在する。例えば、非特許文献1を参照のこと。特定のアミノチアジン化合物は、特許文献1においてBACE阻害剤として記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/049532号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】DurhamおよびShepherd,Current Opinion in Drug Discovery & Development,2006年,9(6),p.776−791
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強力かつより有効なBACE阻害剤は、アルツハイマー病などのAβペプチドにより媒介される疾患についての治療を与えるために必要である。本発明は新規の強力かつ有効なBACEの阻害剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式Iの化合物
【化1】
(式中、
nは、0、1、または2であり、
は、ピリミジニル、クロロもしくはフルオロで必要に応じて置換されたピラジニル、またはクロロ、フルオロ、およびC−Cアルコキシから各々独立して選択される1つもしくは2つの置換基で必要に応じて置換されたピリジニルであり、
は、各々の場合においてクロロおよびフルオロから独立して選択され、
は、水素またはヒドロキシで必要に応じて置換されたC−Cアルキルであり、
は、水素またはC−Cアルキルである)
あるいはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0007】
本発明はまた、患者におけるアルツハイマー病を治療する方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0008】
本発明はさらに、患者における軽度認識障害のアルツハイマー病への進行を予防する方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0009】
本発明はさらに、アルツハイマー病を進行する危険性のある患者における進行を予防する方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0010】
本発明はまた、患者におけるBACEを阻害する方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0011】
本発明はまた、アミロイド前駆体タンパク質のβ−セクレターゼにより媒介される切断を阻害する方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0012】
本発明はさらに、Aβペプチドの産生を阻害するための方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0013】
本発明はまた、式Iの化合物を、薬理学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と併せて含む医薬製剤を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、治療、特にアルツハイマー病の治療または軽度認識障害のアルツハイマー病への進行の予防に使用するための式Iの化合物を提供する。本発明はまた、アルツハイマー病を治療するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。本発明はさらに、軽度認識障害のアルツハイマー病への進行を予防するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。本発明はまた、BACEを阻害するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。本発明はさらに、Aβペプチドの産生を阻害するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、アルツハイマー病の治療に適した医薬製剤を提供する。さらに、本発明は、軽度認識障害のアルツハイマー病への進行の予防に適した医薬製剤を提供する。本発明はまた、BACEの阻害に適した医薬製剤を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、アミロイド前駆体タンパク質のβ−セクレターゼにより媒介される切断の阻害に適した医薬製剤を提供する。本発明はまた、過剰レベルのAβペプチドから生じる状態の治療に適した医薬製剤を提供し、それは、式Iの化合物またはその薬理学的に許容可能な塩と、1つ以上の薬理学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを併せて含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記の式に使用される一般的化学用語は、それらの通常の意味を有する。例えば、用語「C−Cアルキル」とは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルを指す。用語「C−Cアルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル部分を指す。
【0018】
「ヒドロキシで必要に応じて置換されたC−Cアルキル」は、水素原子の1つがヒドロキシ部分で置換されるC−Cアルキル基である。
【0019】
用語「C−Cアルコキシ」は、酸素原子に結合されるC−Cアルキル基であり、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソ−プロポキシを指す。
【0020】
用語「窒素保護基」は、計画された反応条件に安定であり、さらに、試薬および再生成されるアミンと適合される反応条件により選択的に除去できる部分を意味するととられる。そのような基は当業者により周知であり、文献に記載される。例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,第7章,John Wiley and Sons Inc.,(1999)を参照のこと。
【0021】
用語「Aβペプチドの産生の阻害」とは、過剰な場合、正常または必要とされる場合、正常以下まで患者におけるAβペプチドのインビボでのレベルを減少させることを意味するととられる。
【0022】
用語「有効量の式Iの化合物」とは、正常または正常以下のレベルまで患者におけるAβペプチドのインビボでのレベルを減少させるのに十分なBACEを阻害するのに必要とされる式Iの化合物の用量(複数も含む)を意味するととられる。
【0023】
用語「治療」とは、患者における疾患の進行を遅延させるかまたは停止させることを含むととられる。
【0024】
軽度認知障害は、臨床所見および軽度認知障害を示す患者の経時的なアルツハイマー型認知症への進行に基づいたアルツハイマー疾患に関連する認知症の潜在的な前駆期と定義される(Morrisら,Arch.Neurol.,58,397−405(2001);Petersenら,Arch.Neurol.,56,303−308(1999))。用語「軽度認知障害のアルツハイマー病への進行の予防」とは、患者における軽度認知障害のアルツハイマー病への進行を遅延、停止、または反転させることを含む。
【0025】
当業者は、図(1)に描かれるように式Iの化合物が互変異性型で存在できることを理解するだろう。本出願において、式Iの化合物の特定の互変異性体の1つに対する任意の参照が与えられる場合、互変異性型およびそれらの全ての混合物の両方を含むことが理解される。
【化2】
【0026】
当業者は、式Iの化合物が少なくとも1つのキラル中心を含むコアから構成されることを理解するだろう。
【化3】
【0027】
本発明は、全ての個々の鏡像異性体、およびラセミ体を含む、前記化合物の鏡像異性体の混合物を意図するが、図(2)に例示される原子標識された1位で絶対配置を有する化合物が好ましい式Iの化合物である。
【0028】
【化4】
さらに、適切に置換された場合、図(3)に例示される原子標識された2位の絶対配置を有する化合物が好ましい式Iの化合物である。
【0029】
さらに、当業者は、さらなるキラル中心が、特定の可変物の選択により本発明の化合物において作製され得ることを理解するだろう。本発明は、全ての個々の鏡像異性体またはジアステレオマーならびにラセミ体を含む、前記化合物の鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物を意図する。
【0030】
当業者はまた、全てのキラル中心についてのカーン・インゴルド・プレローグ(R)または(S)規則が、特定の化合物の置換パターンに依存して変化することを理解するだろう。単一の鏡像異性体またはジアステレオマーは、キラル試薬と開始することで、または立体選択的もしくは立体特異的合成技術によって調製され得る。あるいは、単一の鏡像異性体またはジアステレオマーは、本発明の化合物の合成における任意の都合の良い点での標準的なキラルクロマトグラフまたは結晶化技術により混合物から単離され得る。本発明の化合物の単一の鏡像異性体およびジアステレオマーは、本発明の好ましい実施形態である。
【0031】
本発明の化合物はアミンであり、従って、任意の数の無機酸および有機酸と反応して、薬理学的に許容可能な酸付加塩を形成する。薬理学的に許容可能な塩およびそれらを調製するための一般的な方法は、当該分野において周知である。例えば、P.Stahlら,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,(VCHA/Wiley−VCH,2002);S.M.Bergeら,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,1977年1月を参照のこと。好ましい薬理学的に許容可能な塩は、塩酸で形成されたものである。
【0032】
式Iの化合物の全ては有用なBACEの阻害剤であるが、特定のクラスの化合物が好ましい。以下の項はそのような好ましいクラスを記載する。
a)Rはピリミジニルであり、
b)Rはフルオロで必要に応じて置換されたピラジニルであり、
c)Rはクロロ、フルオロ、またはメトキシから独立して選択される各々場合において1回または2回必要に応じて置換されたピリジニルであり、
d)Rはフルオロまたはメトキシで必要に応じて置換されたピリジニルであり、
e)Rはフルオロで必要に応じて置換されたピリジニルであり、
f)Rはフルオロであり、
g)Rはクロロであり、
h)nは0であり、
i)nは1であり、
j)nは2であり、
k)Rは水素であり、
l)Rはヒドロキシで置換されたメチルであり、
m)Rはメチルであり、
n)Rはヒドロキシで置換されたイソプロピルであり、
o)Rは水素であり、
p)Rはメチルであり、
q)式Iの化合物は、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心に(S)の絶対配置を有し
r)式Iの化合物は遊離塩基であり、
s)式Iの化合物は薬理学的に許容可能な塩であり、
t)式Iの化合物は塩酸塩であり、
u)式Iの化合物は二塩酸塩である。
【0033】
本発明の好ましい化合物は式Iの化合物(式中、Rはピリミジニル、クロロ、フルオロ、もしくはメトキシから独立して選択される各々の場合において1回または2回必要に応じて置換されたピリジニル、またはフルオロで必要に応じて置換されたピラジニルであり、Rはクロロまたはフルオロであり、Rは水素、メチル、ヒドロキシで置換されたメチル、またはヒドロキシで置換されたイソプロピルであり、Rは水素またはメチルであり、nは0、1または2である)あるいはその薬理学的に許容可能な塩に関する。前記実施形態において、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心の絶対配置が(S)である化合物またはその薬理学的に許容可能な塩が好ましい。
【0034】
本発明の別の好ましい実施形態は、式Iの化合物(式中、Rはピリミジニル、クロロ、フルオロ、またはメトキシから独立して選択される各々の場合において1回または2回必要に応じて置換されたピリジニル、フルオロで必要に応じて置換されたピラジニルであり、Rはクロロまたはフルオロであり、Rは水素、メチル、ヒドロキシで置換されたメチル、またはヒドロキシで置換されたイソプロピルであり、Rは水素であり、nは0、1または2である)あるいはその薬理学的に許容可能な塩に関する。前記実施形態において、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心の絶対配置が(S)である化合物またはその薬理学的に許容可能な塩が好ましい。
【0035】
本発明のより好ましい実施形態は、式Iの化合物(式中、Rはピリミジニル、クロロまたはフルオロから独立して選択される各々の場合において1回または2回必要に応じて置換されたピリジニル、またはフルオロで必要に応じて置換されたピラジニルであり、Rはクロロまたはフルオロであり、Rは水素、メチルであり、Rは水素であり、nは0、1または2である)あるいはその薬理学的に許容可能な塩に関する。前記実施形態において、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心の絶対配置が(S)である化合物またはその薬理学的に許容可能な塩が好ましい。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、式Iの化合物(式中、Rはピリミジニル、フルオロもしくはメトキシで必要に応じて置換されたピリジニル、またはフルオロで必要に応じて置換されたピラジニルであり、Rはフルオロであり、Rは水素またはメチルであり、Rは水素であり、nは1または2である)あるいはその薬理学的に許容可能な塩に関する。前記実施形態において、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心の絶対配置が(S)である化合物またはその薬理学的に許容可能な塩が好ましい。
【0037】
本発明の最も好ましい実施形態は、式Iの化合物(式中、Rはピリミジニル、フルオロで必要に応じて置換されたピリジニル、またはフルオロで必要に応じて置換されたピラジニルであり、Rはフルオロであり、Rは水素またはメチルであり、Rは水素であり、nは1または2である)またはその薬理学的に許容可能な塩に関する。前記実施形態において、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心の絶対配置が(S)である化合物またはその薬理学的に許容可能な塩が好ましい。
【0038】
本発明の特に好ましい実施形態は、式Iの化合物(式中、Rはピリミジニルであり、Rはフルオロであり、Rは水素であり、Rは水素であり、nは2である)またはその薬理学的に許容可能な塩に関する。前記実施形態において、アミノチアジン環の窒素に隣接するキラル中心の絶対配置が(S)である化合物またはその薬理学的に許容可能な塩が好ましい。
【0039】
式Iの化合物に関する本発明のさらに特に好ましい実施形態は
【化5】
またはその薬理学的に許容可能な塩である。
【0040】
式Iの化合物に関する本発明の別の特に好ましい実施形態は
【化6】
またはその薬理学的に許容可能な塩である。
【0041】
式Iの化合物はBACEの阻害剤である。従って、本発明はまた、患者におけるBACEを阻害する方法を提供し、そのような治療を必要とする患者に、BACEを阻害する量の式Iの化合物を投与することを含む。式Iの化合物の投与により治療される患者はヒトであることが好ましい。
【0042】
BACEの阻害剤として、本発明の化合物は、Aβペプチドの産生を抑制するのに有用であり、従って、Aβペプチドの過剰産生および/または低下したクリアランスに起因する過剰なAβペプチドレベルから生じる障害の治療に有用である。本発明のさらなる実施形態は、BACEの阻害によって改善または予防できる疾患または状態を治療するための医薬を製造するための式Iの化合物の使用である。従って、式Iの化合物は、アルツハイマー病、軽度認識障害、ダウン症候群、Dutch型アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症、混合型の血管および進行性起源の認知症などの他の変性認知症、パーキンソン病に伴う認知症、進行性核上麻痺に伴う認知症、大脳皮質基底核変性症に伴う認知症、およびアルツハイマー病のびまん性Lewy小体型の治療または予防に有用であると考えられる。
【0043】
本発明の化合物は当該分野において公知の種々の手順によって調製され得、そのうちのいくつかは以下のスキームに例示される。以下のスキームにおける個々の工程は、式Iの化合物を与えるために変更されてもよいことは、当業者により認識されるだろう。式Iの化合物を生成するために必要とされる工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物、および置換部分の相対的不安定性に依存する。以下のスキームにおける各々の工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、および結晶化を含む、従来の方法によって回収することができる。
【0044】
明確さの目的のために以下のスキームにおいて、特定の立体化学的中心は指定されないままであり、特定の置換基は除去されており、スキームの教示を限定することを決して意図するものではない。さらに、個々の異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーは、キラルクロマトグラフィーなどの方法によって式Iの化合物の合成における任意の都合の良い点で分離されてもよい。
【0045】
さらに、以下のスキームに記載される中間体は、多くの窒素保護基を含む。可変の保護基は、実施される特定の反応条件および特定の変換に依存する各々の発生において同じであってもよいか、または異なっていてもよい。保護および脱保護条件は当業者に周知であり、文献に記載されている。例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,前出を参照のこと。
【0046】
以下のスキームにおいて、他に示されない限り、全ての置換基は以前に定義されている。理解されるように、式(1a)〜(1e)、(2)および(3)の化合物は、本明細書に記載されるものと同様の方法および手順を含む、当該分野において周知かつ確立された方法によって容易に調製され得る。必要な出発物質は、商業的に利用可能であるか、または当業者に周知の方法によって商業的に利用可能な物質から調製され得るかのいずれかである。
【0047】
【化7】
スキーム1は、式(1a)〜(1e)のいずれかの適切な化合物(式中、Rは、アセチル、ベンゾイル、またはt−ブトキシカルボニルなどの窒素保護基である)と、式(2)または式(3)の適切な化合物との反応を示し、中間体(4)の脱保護の後に式Iの化合物を得る。
【0048】
式(1a)〜(1e)のいずれかの化合物は、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、または炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下において、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、PdCl、または酢酸パラジウム(II)などの適切なパラジウム試薬を用いて、Suzukiカップリング反応において式(2)の化合物と反応する。そのような反応は、1,2−ジメトキシエタン、水、エタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、またはジオキサン、あるいはそれらの混合物などの適切な溶媒中で実施される。
【0049】
あるいは、式(1a)〜(1e)のいずれかの化合物は、塩化リチウムまたはフッ化セシウムなどの適切な添加剤の存在下において、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、PdCl、またはパラジウムテトラキスフェニルホスフィンなどの適切なパラジウム試薬を用いて、Stilleカップリング反応において式(3)の化合物と反応される。そのような反応は、トルエンまたはDMF、あるいはそれらの混合物などの適切な溶媒中で実施される。
【0050】
任意の工程において、式Iの化合物の薬理学的に許容可能な塩が、標準的な条件下で適切な溶媒において、式Iの適切な遊離塩基と、適切な薬理学的に許容可能な酸との反応によって形成されてもよい。さらに、そのような塩の形成は、窒素保護基の脱保護時に同時に生じ得る。そのような塩の形成は周知であり、当該分野において理解される。
【0051】
式(1a)の化合物は2つの変形体によって調製できる。スキームIIおよびIIIは、式(i)の適切な化合物で出発する合成工程を示し、式(1a)の化合物を得る(式中、Rはメチルまたはエチルであり、Rは、アセチル、ベンゾイル、またはt−ブトキシカルボニルなどの適切な窒素保護基である)。
【0052】
【化8】
スキームIIにおいて、式(i)の化合物は、THFなどの適切な溶媒中でTi(OEt)の存在下において2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸アミドと反応されて、式(ii)の化合物を得る。式(iii)の化合物は、THFなどの適切な溶媒中でn−BuLiをジイソプロピルアミンに加えることによって調製される。適切な酢酸化合物が加えられ、続いて、過剰なクロロチタニウムトリイソプロポキシドが加えられる。式(ii)の化合物は式(iii)の化合物の溶液に加えられて、式(iv)の化合物を得る。アミンの脱保護は当該分野において公知の方法によって実施され、続いて、例えば、水素化アルミニウムリチウムまたは水素化ホウ素リチウムの使用による、当該分野において周知の方法によってアルコールまでエステルの還元が実施される。アルコール(v)にイソチオシアン酸ベンゾイルを加える。中間化合物は、チアゼン形成およびベンゾイル基の除去の両方を促進するためにHClと処理され、次いで、適切な窒素保護基が加えられて、式(1a)の化合物を得る。
【0053】
【化9】
スキームIIIにおいて、過剰なビニルマグネシウムブロミドが、THFなどの適切な溶媒中で式(i)の化合物に加えられて、式(vi)の化合物を得る。アルコール(vi)は、ヘキサンまたはエタノールなどの適切な溶媒中で塩化チオニルまたはPBrで処理され、続いてチオ尿素を加えることによって、式(vii)の化合物を得る。式(vii)の化合物は、高温で酸で処理されて、ラセミ体のアミノチアジンを生じ、それは適切な窒素保護基で保護され、キラルクロマトグラフィーまたは結晶化などの精製条件に供されて、式(1a)の化合物を得る。
【0054】
【化10】
スキームIVは、式(ii)の適切な化合物で出発して、式(1b)の化合物を得る合成工程を示す。過剰な2−メチルアリルマグネシウムクロリドが、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で式(ii)の化合物の溶液に加えられる。得られる中間体は、ジオキサンなどの適切な溶媒中でHCl溶液で処理されて、式(viii)の化合物を得る。アミン(viii)はTHFなどの適切な溶媒中でイソチオシアン酸ベンゾイルと反応されて、式(ix)の化合物を得る。ジクロロメタンなどの適切な溶媒中での式(ix)の化合物と過剰なヨウ素との処理により、式(x)の化合物を得る。最終的に、トルエンなどの適切な溶媒中に水素化トリブチル錫およびAIBNを加えることにより、式(1b)の化合物を得る。
【0055】
【化11】
スキームVは、式(iv)の適切な化合物で開始して式(1c)の化合物を得るための合成工程を示す。Xはブロモまたはクロロである。Rは適切な窒素保護基である。Rはメチルまたはエチルである。化合物(xi)は、THFなどの適切な溶媒中でN,O−ジメチルヒドロキシルアミンと過剰なブチルリチウムとを反応することによって調製される。式(iv)の化合物が化合物(xi)の溶液に加えられて、式(xii)の化合物を得る。過剰な適切なハロゲン化マグネシウム(xiii)は、THFなどの適切な溶媒中で式(xii)の化合物の溶液に加えられる。得られるケトン(xiv)は、当該分野において周知かつ適切な条件によって、例えばメタノールなどの適切な溶媒中の水素化ホウ素ナトリウムによって、アルコール(xv)まで還元される。アルコール(xv)にイソチオシアン酸ベンゾイルを加える。中間化合物をHClで処理し、次いで適切な窒素保護基を加えて、式(1c)の化合物を得る。
【0056】
【化12】
スキームVIは、適切な式(xvi)の化合物で開始する、式(1d)の化合物および式(1e)の化合物を得るための合成工程を示し、式中、Rは適切な窒素保護基である。
【0057】
式(xvii)の化合物はまず、THFなどの適切な溶媒中で(メチル)トリフェニルホスホニウムブロミドとn−ブチルリチウムとを反応させることによって調製される。この溶液に、式(xvi)の化合物を、例えば添加漏斗またはシリンジポンプによってゆっくりと加える。式(xviii)の化合物は、アセトニトリルなどの適切な溶媒中の式(xvii)の化合物にグリオキシル酸エチルおよびトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウムを加えることによって調製される。
【0058】
式(xix)の化合物は3つの工程プロセスによって調製される:まず、式(xviii)の化合物のアルコールが、例えば、塩化メチレンなどの適切な溶媒中で2,6−ルチジンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの適切なアミン塩基の存在下においてトリフルオロメタンスルホン酸無水物との反応により離脱基に変換される。過剰なチオ尿素を加え、次いで得られる中間体を過剰な硫酸に加える。式(xix)の化合物の得られるアミノ基を、当該分野において周知かつ記載される方法によって適切な窒素保護基で保護して、式(xx)の化合物を得る。式(xx)の化合物の反応を、2つの変形体で実施して、式(1d)の化合物または式(1e)の化合物のいずれかを得ることができる。
【0059】
(1d)の化合物は、当該分野において周知または記載される方法、例えばTHFなどの適切な溶媒中の過剰な水素化ホウ素リチウムによって化合物(xx)のエステルの還元によって調製できる。
【0060】
(1e)の化合物は、THFなどの適切な溶媒中で式(xx)の化合物と過剰な塩化メチルマグネシウムとを反応させることによって調製できる。
【0061】
調製物および実施例
以下の調製物および実施例は、本発明を更に示す。
【0062】
本発明の化合物に関する名称は、ChemDraw(登録商標)Ultra,バージョン10.0により提供される。
【0063】
本明細書において用いられる略語は、Aldrichimica Acta,第17巻,第1号,1984年に従って定義される。その他の略語は、以下にように定義される。「SCX」は、強カチオン交換;「ca.」は、約またはおよそ;「EtOAc」は、酢酸エチル;「MeOH」は、メタノール;「DCM」は、ジクロロメタン;「THF」は、 テトラヒドロフラン;「EtO」は、ジエチルエーテル;「(OEt)」は、エトキシド;「equiv」は、当量;「FRET」は、蛍光共鳴エネルギー移動;「RFU」は、相対蛍光単位;「DMEM」は、ダルベッコ改変イーグル培地;「F12」は、ハムF12倍地;「FBS」は、ウシ胎児血清を示す。
【0064】
質量分析データは、特に指定されない限り、LC/MS(Xbridge C18(2.1×50μm×3.5μm)カラム、50℃+/−10℃の温度にて1mL/分間のフローレート)を介して得られる。溶離系は、5〜100重量%のACN/10mMの重炭酸アンモニウム(pH10)で7.0分間、その後、100%のACNで1.0分間保持し、エレクトロスプレーイオン化で結合させる(100〜800の原子質量単位(amu)スキャンレンジ;0.2の原子質量単位ステップ;80vのフラグメンター(Fragmentor);1.0ゲイン(gain);80の閾値)。
【0065】
特定の化合物は、HPLCを介して精製される。方法A:Xterra(登録商標)RP18(30×300mm)カラム、周囲温度にて40mL/分間のフローレート。溶離系は、1〜5分間における0:100(アセトニトリル:(0.1%のHCl入りのHO))のアイソクラチックグラジェントで構成され、その後、20分間にわたる0:100(アセトニトリル:(0.1%のHCl入りのHO))から50:50(アセトニトリル:(0.1%のHCl入りのHO))までのリニアグラジェントが続く。その他にもあらゆるHPLC条件が考えられ、特に限定されない。
【0066】
調製物1
(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸[1−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−エチリデン]−アミド
【化13】
1−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−エタノン(19g,64.7mmol,1当量)および(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸アミド(10.2g,84.1mmol,0.76当量)入りのTHF(0.3M,215mL)の溶液に、Ti(OEt)(29.5g,129mmol,2.0当量)を1度で周囲温度にて加える。反応物を70℃まで加熱し、18時間、攪拌する。反応物を周囲温度まで冷却し、水の中に注ぐ。得られた懸濁液を珪藻土のパッドを介して濾過し、酢酸エチルで洗浄する。濾過物を収集し、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で残留物を得るまで濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、20分間にわたってヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(3:1)までのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(81%の収率)を得る。MS(m/z):338,340(M+1)。
【0067】
以下の表1中の化合物を、(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸[1−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−エチリデン]−アミドの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0068】
【表1】
【0069】
調製物2
(S)−3−((R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−3−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−酪酸メチルエステル
【化14】
n−ブチルリチウム(41.9mL,105mmol,2当量)(ヘキサン中に2.5M)を、ジイソプロピルアミン(10.6g,105mmol,2当量)入りのTHF(262mL)の−78℃の溶液に加える。15分後、酢酸メチル(7.7g,105mmol,2当量)を液滴にて加え、反応物を30分間攪拌する。反応物を液滴にてクロロチタニウムトリイソプロポキシド(31.6g,115mmol,2.2当量)入りのTHF(50mL)の溶液に加える。60分間、−78℃にて攪拌した後、2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸[1−(3−ブロモ−フェニル)−エチリデン]−アミド(12.2g,40.4mmol,1当量)入りのTHF(50mL)の溶液を液滴にて加える。反応物を3時間、−78℃にて攪拌する。反応物を塩化アンモニウム(100mL)の飽和溶液で急冷し、周囲温度まで温め、水(100mL)で希釈する。得られた懸濁液を珪藻土のパッドを介して濾過し、酢酸エチルで洗浄する。濾過物を収集し、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、そして、減圧下で濃縮して残留物を得る。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、20分間にわたってヘキサン:酢酸エチル(5:1)からヘキサン:酢酸エチル(10:7)までのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(72%の収率)を得る。MS(m/z):412,414(M+1)。
【0070】
以下の表2中の化合物を、(S)−3−((R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−3−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−酪酸メチルエステルの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0071】
【表2】
【0072】
調製物3
(S)−メチル3−アミノ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−ブタノエート塩酸塩
【化15】
(S)−3−((R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−3−フェニル−酪酸メチルエステル(15.5g;37.6mmol;1当量)およびメタノール(100mL)の溶液に、塩化水素(ジオキサン中に4M)(100mL,400mmol,11当量)を1度に加える。反応物を室温にて1時間、攪拌する。溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物(95%を超える収率)を得て、それを更に精製せずに用いる:MS(m/z):306,308(M+1)。
【0073】
以下の表3中の化合物を、(S)−メチル3−アミノ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−ブタノエート塩酸塩の調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0074】
【表3】
【0075】
調製物4
(S)−3−アミノ−3−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)ブタン−1−オール
【化16】
(S)−エチル−3−アミノ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−ブタノエート塩酸塩(40.2g,90.5mmol,1当量)入りのTHF(180mL)の0℃の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(THF中に1M)(118mL,118mmol)を、内部の反応物の温度を15℃以下に維持しながら、45分間にわたって加える。反応混合物を、周囲温度まで温め、1.5時間、攪拌する。反応物を0℃まで冷却し、水(4.5mL)、2Mの水酸化ナトリウム(4.5mL)および水(13.6mL)を液滴にて加えることにより、急冷する。得られた固体を濾過により除去し、酢酸エチルでリンスする。濾過物をMgSOを介して乾燥させ、濾過する。溶媒を減圧下で除去して、更に精製せずに用いられる標題の化合物(71%の収率、LCMSにより決定された73%の純度)を得る。MS(m/z):280,282。
【0076】
調製物5
(S)−3−アミノ−3−(3−ブロモ−フェニル)−ブタン−1−オール
【化17】
(S)−メチル3−アミノ−3−(4−フルオロフェニル)−ブタノエート塩酸塩(14g,38.6mmol,1当量)入りのTHF(200mL)の0℃の溶液に、水素化ホウ素リチウム(1.67g,77.1mmol,2当量)を注意して加える。5分後、反応混合物を50℃まで加熱し、攪拌する。完了次第、反応物を氷槽内で冷却し、水の液滴を加えることにより急冷する。反応物を1NのHCl(100mL)で酸性化する。1時間攪拌後、溶液を5NのNaOHで塩基性にし、ジクロロメタンで抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(94%の収率)を得る。MS(m/z):244.0および246.0(M+1)。
【0077】
以下の表4中の化合物を、(S)−3−アミノ−3−(3−ブロモ−フェニル)−ブタン−1−オールの調製物に従って基本的に調製する。
【0078】
【表4】
【0079】
調製物6
(S)−1−ベンゾイル−3−[1−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル]−チオ尿素
【化18】
(S)−3−アミノ−3−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−ブタン−1−オール(9.5g,34mmol,1当量)入りのTHF(50mL)の溶液に、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(8.7g,34mmol,1当量)を加える。2時間後、イソチオシアン酸ベンゾイル(5.5g,34mmol,1当量)を液滴にて加える。反応物を18時間、攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を、1NのHClおよびNaCl飽和水溶液で抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(95%を超える収率、LCMSにより決定された90%の純度)を得る。MS(m/z):443,445(M+1)。
【0080】
以下の表5中の化合物を、(S)−1−ベンゾイル−3−[1−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル]−チオ尿素の調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0081】
【表5】
【0082】
調製物7
(S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン
【化19】
(S)−1−ベンゾイル−3−[1−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル]−チオ尿素(41g,68mmol)入りの1,4−ジオキサン(20mL)の溶液に、HCl(5N,407mL,2.0mol,30当量)の水溶液を加える。得られた懸濁液を100℃まで温める。20時間攪拌後、反応物を減圧下で濃縮する。得られた混合物を、HCl(5N,407mL,2.0mol)の水溶液で処理し、100℃にて18時間、攪拌する。懸濁液を10℃まで冷却し、pHをpH10まで50%のNaOH水溶液で調整する。得られた水溶液を酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン:アセトン(4:1)からヘキサン:アセトン(3:1)までのステップグラジェントで溶離して、標題の化合物(57%の収率、LCMSにより決定された85%の純度)を得る。MS(m/z):321,323(M+1)。
【0083】
以下の表6中の化合物を、(S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミンの調製物に従って基本的に調製する。
【0084】
【表6】
【0085】
調製物8
(S)−[4−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
(S)−1−ベンゾイル−3−[1−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−プロピル]−チオ尿素(0.79g,1.8mmol)および含水HCl(5N,25mL,71mmol)の溶液を100℃まで温める。6時間攪拌後、反応物を周囲温度まで冷却し、一晩置く。反応物を減圧下で濃縮して、粗(S)−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン塩酸塩を得る。MS(m/z):303,305(M+1)。
【0086】
(S)−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン塩酸塩入りのTHF(30mL)および飽和炭酸水素ナトリウム(15mL)水溶液に、ジ−t−二炭酸ブチル(0.77g,3.5mmol)を加える。4時間後、反応物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(3:1)までのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(69%の収率)を得る。MS(m/z):403,405(M+1)。
【0087】
調製物9
(S)−tert−ブチル4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化20】
(S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン(14.3g,39mmol,1当量)入りの1,4−ジオキサン(190mL)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(190mL)の飽和水溶液および水(30mL)を周囲温度にて加える。懸濁液を5分間攪拌し、その後、ジ−tert−二炭酸ブチル(17g,78mmol,2当量)を追加する。1時間後、反応物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、ヘキサン:酢酸エチル(4:1)で溶離して、標題の化合物(78%の収率)を得る。MS(m/z):421,423(M+1)。
【0088】
以下の表7中の化合物を、(S)−tert−ブチル4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメートの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0089】
【表7】
【0090】
調製物10
2−ブロモ−3−イル−ブト−3−エン−2−オール
【化21】
3−ブロモアセトフェノン(50g,250mmol;1当量)入りのMTBE(375mL)の溶液に、10℃にて、ビニルマグネシウムブロミド(THF中に0.7M,250mmol;360mL,1当量)を液滴にて加える。反応物を加熱し、16時間還流させる。反応物を冷却し、塩化アンモニウムの飽和水溶液で急冷する。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)からヘキサン:酢酸エチル(4:1)までのステップグラジェントで溶離して、標題の化合物(40g,42%の収率)を得る。HNMR(400MHz,CDCl):1.64(s,3H),5.18(d,J=14Hz,1H),5.30(d,J=23Hz,1H),6.13(dd,J=14,23Hz,1H),7.21(t,J=11Hz,1H),7.36−7.40(m,2H),7.63(s,1H)。
【0091】
調製物11
2−[3−(3−ブロモ−フェニル)−ブト−2−エニル]−イソチオ尿素塩酸塩
【化22】
2−ブロモ−3−イル−ブト−3−エン−2−オール(11g,29mmol,1当量)およびヘキサン(20mL)の0℃の溶液に、塩化チオニル(6.9g,58mmol,2当量)を加える。反応物を周囲温度にて、ガスが活発に発生する時点まで温める。反応物を周囲温度にてガスの発生が終わるまで攪拌し、溶媒を減圧下で除去する。得られた残留物をアセトニトリル(100mL)中に溶解する。チオ尿素(2.2g,29mmol,1当量)を加え、反応物を50℃まで加熱する。2時間後、反応物を周囲温度まで冷却する。得られた沈殿物を濾過により収集し、アセトニトリルで洗浄して、標題の化合物(90%の収率)を得る。MS(m/z):285.0,287.0(M+1)。
【0092】
調製物12
4−(3−ブロモ−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン
【化23】
2−[3−(3−ブロモ−フェニル)−ブト−2−エニル]−イソチオ尿素塩酸塩(17g,52mmol)入りの12MのHCl(53mL,640mmol,12当量)の懸濁液を100℃まで加熱する。24時間後、溶液を周囲温度まで冷却する。溶液のpHを2NのNaOHの水溶液を用いてpH10に調整し、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(70%の収率)を得る。MS(m/z):285.0,287.0(M+1)。
【0093】
調製物13
N−(4−(3−ブロモフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)アセトアミド
【化24】
4−(3−ブロモ−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン(10g,35mmol,1当量)およびトリエチルアミン(4.3g,42mmol,1.2当量)入りのジクロロメタン(70mL)の0℃の溶液に、塩化アセチル(2.8g,35mmol,1当量)を5分間にわたって、液滴にて加える。反応物を周囲温度まで温める。1時間後、反応物をジクロロメタンで希釈し、水で抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)で溶離して、標題の化合物(87%の収率)を得る。MS(m/z):327,329(M+1)。
【0094】
調製物14
(S)−N−[4−(3−ブロモ−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−アセトアミド
4−(3−ブロモ−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン(20g,61mmol)を、HPLCキラル分離[カラム:8×32cm chiralpak AD;溶離液:60:40:0.2(イソプロピルアルコール:ヘプタン:ジメチルエチルアミン);フロー:350mL/分間にてUV260nm]により精製する。第2の溶離異性体を単離して、鏡像異性的に濃縮された標題の化合物(35%の収率)を得る。MS(m/z):327,329(M+1)。
【0095】
調製物15
(S)−[4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化25】
(S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン(12.6g,29.9mmol,1当量)入りの1,2−ジメトキシエタン:水:エタノール(15:7:5,300mL)の100℃の溶液に、ピリミジン−5−ボロン酸(25g,203mmol,6.8当量)を加え、その後、炭酸セシウム(58g,180mmol,6当量)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(4.2g,6.0mol,0.2当量)を加える。40分後、反応物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、ヘキサン:酢酸エチル(7:3)からヘキサン:酢酸エチル(1:1)までのステップグラジェントで溶離して、標題の化合物(67%の収率)を得る。MS(m/z):421(M+1)。
【0096】
以下の表8中の化合物を、(S)−[4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0097】
【表8】
【0098】
調製物16
(S)−4−(3−(2−フルオロピリジン−3−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン
【化26】
(S)−N−(4−(3−(2−フルオロピリジン−3−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)アセトアミド(450mg,1.3mmol)入りのメタノール(40mL)の溶液に、KCO(210mg,1.5mmol)入りのメタノール:水(2:1,15mL)の溶液を加える。反応物を室温にて6時間、攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解する。酢酸エチル層を水およびNaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得る。残留物をSCXカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、標題の化合物(65%の収率)を得る。MS(m/z):302(M+1)。
【0099】
調製物17
(S)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン
【化27】
(S)−tert−ブチル4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート(1.1g,2.7mmol)およびメタノール(10mL)の溶液に、トリフルオロ酢酸(10mL)を加える。反応混合物を60℃まで温める。15時間後、溶媒を減圧下で除去する。水を得られた残留物に加え、混合物を飽和炭酸水素ナトリウムで塩基性にする。塩基性の水層をジクロロメタンで抽出する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物(62%の収率)を得る。MS(m/z):303,305(M+1)。
【0100】
調製物18
(S)−N−(4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)アセトアミド
(S)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン(550mg,1.8mmol,1.0当量)入りのテトラヒドロフラン(20mL)の溶液に、ピリジン(720mg,9.0mmol,5当量)および無水酢酸(220mg,2.2mmol,1.2当量)を加える。10分後、反応物を水に注ぎ、水性混合物をジクロロメタンで抽出する。有機層を分離し、1NのHClおよびNaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(83%の収率)を得る。MS(m/z)345,347(M+1)。
【0101】
調製物19
(S)−tert−ブチル4−(4−フルオロ−3−(ピラジン−2−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化28】
(S)−[4−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100mg,250μmol,1当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(14mg,12.40μmol,0.05当量)、および2−トリブチルスタンニルピラジン(96mg,250μmol,1当量)入りのジオキサン(3mL)の溶液に、130℃の温度まで、研究室級の電子レンジ内で放射線照射を受けさせ、20分間保持する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、ヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(1:4)勾配(ramp)までのリニアグラジェントで20分間溶離して、標題の化合物(14%の収率,LCMSにより決定された90%の純度)を得る。MS(m/z):403(M+1)。
【0102】
調製物20
(S)−N−(4−(4−フルオロ−3−(3−フルオロピラジン−2−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)アセトアミド
(S)−N−(4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)アセトアミド(500mg,1.5mmol,1当量)、2−フルオロ−3−(トリブチルスタンニル)ピラジン(1.7g,4.3mmol,3.0当量)入りのトルエン(15mL)の溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(51mg,72μmol,0.05当量)および塩化リチウム(92mg,2.2mmol,1.5当量)を加える。反応物に、130℃の温度まで、研究室級の電子レンジ内で放射線照射を受けさせ、3時間保持する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、ヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(1:1)勾配(ramp)までのリニアグラジェントで20分間溶離して、標題の化合物(31%の収率)を得る。MS(m/z):363(M+1)。
【0103】
以下の表9中の化合物を、(S)−N−(4−(4−フルオロ−3−(3−フルオロピラジン−2−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)アセトアミドの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0104】
【表9】
【0105】
調製物21
(R)−N−((S)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタ−4−エン−2−イル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
【化29】
(R,Z)−N−(1−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)エチリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(10g,31mmol,1.0当量)入りのジクロロメタン(100mL)の0℃の溶液に、2−メチルアリルマグネシウムクロリド(THF中に0.5M,250mL,125.92mmol,4当量)をゆっくりと加える。2時間後、反応物を飽和塩化アンモニウムで急冷し、酢酸エチルで抽出する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタンから10%のジクロロメタン:酢酸エチルまでのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(35%の収率)を得る。MS(m/z):376,378(M+1)。
【0106】
調製物22
(S)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタ−4−エン−2−アミン
【化30】
(R)−N−((S)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタ−4−エン−2−イル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.8g,5.1mmol,1当量)入りの1,4−ジオキサン(6mL)の溶液に、塩化水素(1,4−ジオキサン中に4.0M、15mL)を加える。反応物を5分間、攪拌し、溶媒を減圧下で除去する。残留物に炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(97%の収率)を得る。HNMR(CDCl,400MHz)δ7.66(dd,1H,J=6.40,J=2.80Hz),7.37−7.33(m,1H),7.02(t,1H,J=8.40Hz),4.83(s,1H),4.62(s,1H),2.47(d,1H,J=13.2Hz),2.35(d,1H,J=13.2Hz),1.44(s,3H),1.36(s,3H)。
【0107】
調製物23
(S)−N−(2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタ−4−エン−2−イルカルバモチオイル)ベンズアミド
【化31】
(S)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタ−4−エン−2−アミン(1.3g,4.6mmol,1.0当量)入りのTHF(5mL)の溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(0.63mL,4.6mmol,1当量)を加える。反応物を室温にて3時間、攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、20%のジクロロメタン:ヘキサンから50%のジクロロメタン:ヘキサンまでのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(84%の収率)を得る。MS(m/z):457,459(M+23)。
【0108】
調製物24
N−((4S)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−6−(ヨードメチル)−4,6−ジメチル5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化32】
(S)−N−(2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタ−4−エン−2−イルカルバモチオイル)ベンズアミド(1.3g,3.0mmol,1.0当量)入りのジクロロメタン(40mL)の0℃の溶液に、ヨウ素(1.5g,5.9mmol,2.0当量)を加える。反応物を0℃にて1時間攪拌し、徐々に室温まで温める。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液で急冷する。水層をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(82%の収率)を得る。MS(m/z):561,563(M+1)。
【0109】
調製物25
(S)−N−(4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6,6−トリメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化33】
N−((4S)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−6−(ヨードメチル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミド(0.13g,0.23mmol,1.0当量)入りのトルエン(1.5mL)の溶液に、2−2’−アゾ−ビス−イソブチロニトリル(0.006g,0.03mmol,0.15当量)および水素化トリブチル錫を加える。反応混合物を室温にて3時間攪拌し、減圧下で濃縮する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、5%の酢酸エチル:ヘキサンから20%の酢酸エチル:ヘキサンまでのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(25%の収率)を得る。MS(m/z):435,437(M+1)。
【0110】
調製物26
(S)−N−(4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4,6,6−トリメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミド
【化34】
(S)−N−(4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6,6−トリメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミド(0.067g,0.15mmol,1.0当量)入りの1,2−ジメトキシエタン(1.5mL)、エタノール(0.7mL)、および、水(1.0mL)の97℃の溶液に、ピリミジン−5−ボロン酸(0.095g,0.77mmol,5.0当量)、炭酸セシウム(0.301g,0.92mmol,6.1当量)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.022g,0.03mmol,0.2当量)を加える。反応混合物を97℃にて20分間、攪拌する。室温まで冷却した後、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタンから15%の酢酸エチル:ジクロロメタンまでのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(46%の収率)を得る。MS(m/z):435(M+1)。
【0111】
調製物27
(S)−3−(3−ブロモ−フェニル)−N−メトキシ−N−メチル−3−(R)−(2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−ブチルアミド
【化35】
N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(12g,130mmol,5.0当量)入りのTHF(200mL)の−78℃の溶液に、n−ブチルリチウム(100mL,250mmol,10当量)(ヘキサン中に2.5M)をカニューレを介して加える。反応物を15分間攪拌し、(S)−3−((R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−3−フェニル−酪酸メチルエステル(9.5g,25mmol,1.0当量)入りのTHF(50mL)の溶液を液滴にて加える。反応物を−60℃まで温め、その温度にて1時間保持する。反応物を、塩化アンモニウム飽和水溶液で急冷し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を水およびNaCl飽和水溶液で抽出し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(60%の収率)を得る。MS(m/z):405,407(M+1)。
【0112】
以下の表10中の化合物を、(S)−3−(3−ブロモ−フェニル)−N−メトキシ−N−メチル−3−(R)−(2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−ブチルアミドの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0113】
【表10】
【0114】
調製物28
(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸 [(S)−1−(3−ブロモ−フェニル)−1−メチル−3−オキソ−ブチル]−アミド
【化36】
(S)−3−(3−ブロモ−フェニル)−N−メトキシ−N−メチル−3−(R)−(2−メチル−プロパン−2−スルフィニルアミノ)−ブチルアミド(1.5g,3.7mmol;1.0当量)入りのTHF(53mL)の−78℃の溶液に、メチルマグネシウムブロリド(6.2mL,18.5mmol,5.0当量)を加え、反応物を周囲温度まで温める。1時間後、反応物を−78℃まで冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液で急冷する。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物(95%を超える収率)を得る。MS(m/z)360,362(M+1)。
【0115】
以下の表11中の化合物を、(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸[(S)−1−(3−ブロモ−フェニル)−1−メチル−3−オキソ−ブチル]−アミドの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0116】
【表11】
【0117】
調製物29
(R)−N−((2S)−2−(3−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシペンタン−2−イル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
【化37】
(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸[(S)−1−(3−ブロモ−フェニル)−1−メチル−3−オキソ−ブチル]−アミド(1.34g,3.5mmol,1.0当量)入りのメタノール(20mL)の溶液に、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(1.4g,35mmol,10.0当量)を加える。反応物を周囲温度にて一晩、攪拌する。反応物を水で注意して急冷し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、混合物にジアステレオマーを与える。ジアステレオマーを、シリカゲル(120g)上のクロマトグラフィーにより分離し、(50:50)酢酸エチル:ヘキサンから(100:0)酢酸エチル:ヘキサンまでのグラジェントで溶離する。第2の溶離異性体を分離し、溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物(45%の収率)を単一のジアステレオマーとして得る。MS(m/z):362,364(M+1)。
【0118】
以下の表12中の化合物を、(R)−N−((2S)−2−(3−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシペンタン−2−イル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0119】
【表12】
【0120】
調製物30
(S)−4−アミノ−4−(3−ブロモ−フェニル)−ペンタン−2−オール
【化38】
塩化水素(5mL;13当量;20mmol)(ジオキサン中に4M)および単一ジアステレオマーとしての(R)−2−メチル−プロパン−2−スルフィン酸[(S)−1−(3−ブロモ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−ブチル]−アミド(570mg,1.6mmol,1.0当量)の溶液を、5分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で塩基性にする。水層をジクロロメタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題の化合物を得る。MS(m/z):358,360(M+1)。
【0121】
以下の表13中の化合物を、(S)−4−アミノ−4−(3−ブロモ−フェニル)−ペンタン−2−オールの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0122】
【表13】
【0123】
調製物31
Tert−ブチル(4S,6R)−4−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化39】
単一ジアステレオマーとしての(S)−4−アミノ−4−(3−ブロモ−フェニル)−ペンタン−2−オール(410mg,794μmol)の入りのTHF(10mL)の溶液に、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(204mg,0.79mmol)を加える。1時間後、イソチオシアン酸ベンゾイル(259mg,1.7mmol)を液滴にて加える。反応物を1時間攪拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。得られた残留物に、5Nの塩化水素(25mL,125mmol)を加え、反応物を100℃まで加熱する。48時間後、溶媒を減圧下で除去し、残留物をTHF(20mL)と飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)の間で分ける。混合物にジ−tert−二炭酸ブチル(347mg,1.6mmol)を加え、反応物を48時間攪拌する。反応物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。生成物をシリカゲルにより精製し、20分間にわたってヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(5:2)までのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(52%の収率,LCMSにより決定された70%の純度)を得る。MS(m/z):399,401(M+1)。
【0124】
調製物32
Tert−ブチル−(4S,6R)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
ジアステレオマーの1:5の混合物としての(R)−N−((2S)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシペンタン−2−イル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(2g,1.0当量)入りのジオキサンの溶液(5mL)に、4Nの塩化水素入りのジオキサン(20mL,80mmol)の溶液を0℃において液滴にて加える。反応物を室温まで温め、5分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で塩基性にする。水層をジクロロメタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。
【0125】
得られた残留物をTHF(50mL)中に溶解し、0℃まで冷却する。イソチオシアン酸ベンゾイル(1.7g,10.5mmol)を液滴にて加える。反応物を1時間攪拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。残留物をジオキサン(5mL)中に溶解し、壁の厚いガラス反応管に移動させる。溶液に5Nの塩化水素(75mL,375mmol)を加える。反応管を覆って、100℃まで加熱する。24時間後、溶媒を減圧下で除去し、残留物をTHF(20mL)および炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)の間で分ける。混合物に、ジ−tert−二炭酸ブチル(1.7g,7.9mmol)を加え、反応物を2時間攪拌する。反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲル(340g)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、25分間にわたって(0:100)酢酸エチル:ヘキサンから(50:50)酢酸エチル:ヘキサンまでのグラジェントで溶離する。第2の溶離ジアステレオマーを収集し、溶媒を減圧下で除去して、以下に示す595mgの混合物を得る。
調製物32:標題の化合物,tert−ブチル−(4S,6R)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート:MS(m/z):417,419(M+1);および
調製物32a:N−((4S,6R)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミド:MS(m/z)421,423(M+1)。
【0126】
調製物33
(4S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン
【化40】
ジアステレオマーの混合物としての(4S)−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)ペンタン−2−オール(1.3g,4.4mmol)入りのTHF(50mL)の0℃の溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(1.4g,1.2mmol)を液滴にて加え、反応物を1時間攪拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。残留物をジオキサン(5mL)中に溶解し、壁の厚いガラス反応管に移動させる。混合物に5Nの塩化水素(75mL,375mmol)を加え、反応物を100℃まで加熱する。36時間後、溶媒を減圧下で除去し、残留物を水中に溶解する。水混合物を酢酸エチルで抽出する。水層を5NのNaOHで塩基性にし、3:1のクロロホルム:IPAで抽出する。クロロホルム:IPA層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物を得る。
【0127】
酢酸エチル抽出物を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。得られた残留物をMeOH−平衡化SCXカラムに通し、メタノールで洗浄し、その後、2NのNH入りのMeOH(50mL)で溶離する。2NのNH入りのMeOHの洗浄物(wash)を収集し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をクロロホルム:IPA抽出物からの標題の化合物と合わせ、標題の化合物を、(6Rおよび6S)(4S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン(64%の収率,LCMSにより決定された80%の純度)の混合物として得る。MS(m/z):335,337(M+1)。
【0128】
調製物34
tert−ブチル(4S,6R)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化41】
(6Rおよび6S)(4S)−4−(5−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン入りのTHF(20mL)および炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)の混合物に、ジ−tert−二炭酸ブチル(900mg,4.1mmol)を加える。2時間後、反応物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。生成物をシリカゲルにより精製して、5分間にわたってヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(4:1)までのリニアグラジェントで溶離する。第2のジアステレオマーを収集し、溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物(43%の収率)を得る。MS(m/z):435,437(M+1)。
【0129】
調製物35
[(4S,6R)−4,6−ジメチル−4−(3−ピリミジン−5−イル−フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化42】
tert−ブチル(4S,6R)−4−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート入りの1,2−ジメトキシエタン:水:エタノール[(3:1.5:1),12mL]の100℃の溶液に、ピリミジン−5−ボロン酸(128mg,5.9mmol,2.5当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(29mg,41μmol,0.1当量)、および炭酸セシウム(1.24g,1.24mmol,3当量)を一度に加える。20分後、反応物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、20分間にわたってヘキサンからヘキサン:酢酸エチル(5:2)までのリニアグラジェントで溶離して、標題の化合物(39%の収率)を得る。MS(m/z):399(M+1)。
【0130】
以下の表14中の化合物を、[(4S,6R)−4,6−ジメチル−4−(3−ピリミジン−5−イル−フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製物において基本的に記載されたように調製する。
【0131】
【表14】
【0132】
調製物36
1−ブロモ−3−(プロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン
【化43】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(35.7g,97.9mmol,1.3当量)をテトラヒドロフラン(100mL)中に懸濁し、0℃まで冷却する。N−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M,27.0g,97.7mmol,39.2mL,1.3当量)を混合物に添加漏斗を介してゆっくりと加える。得られた溶液を1時間0℃にて攪拌する。3−ブロモアセトフェノン(15.0g,75.3mmol,10.0mL,1.0当量)入りのテトラヒドロフラン(50mL)の溶液を、添加漏斗を介してゆっくりと加える。得られた混合物を室温まで温め、3時間攪拌する。反応物を0℃まで冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液で急冷する。層を分液漏斗内で分け、水層をヘキサンで抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾過し、一晩室温にて置く。有機層を沈殿物から静かに注ぎ、減圧下で濃縮する。得られた固体をヘキサンで希釈し、濾過する。沈殿物をヘキサンで洗浄する。濾過物を濃縮し、得られた混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製して、標題の化合物(83%の収率)を得る。HNMR(CDCl,400MHz)δ7.59(t,1H,J=1.72Hz),7.40−7.36(m,2H),7.18(t,1H,J=8Hz),5.36(s,1H),5.12−5.10(m,1H),2.13−3.11(m,3H)。
【0133】
表15における以下の化合物を、1−ブロモ−3−(プロパ−1−エン−2−イル)ベンゼンの調製に従って本質的に調製する。
【0134】
【表15】
【0135】
調製物37
エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシペント−4−エノエート
【化44】
2−ブロモ−1−フルオロ−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン(12.3g,62.2mmol,1.0当量)入りのアセトニトリル(124mL,0.5M)の溶液に、グリオキシル酸エチル(38.1g,37mL,187mmol,3当量)およびトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム、水和物(7.72g,12.4mmol,0.2当量)を加える。混合物を室温で一晩攪拌する。混合物を減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルで希釈する。得られた溶液を水で2回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物を、0〜100%の酢酸エチル/へキサンのグラジェントを用いて2つのバッチ中でシリカゲル(330g)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物(87%収率)を得る:H NMR(CDCl,400MHz):δ7.53(t,1H,J=1.9Hz),7.41−7.37(dt,1H),7.33−7.30(dt,1H),7.18(t,1H,J=7.6Hz),5.37(s,1H),5.22(s,1H),4.26−4.21(m,1H),4.17−3.99(m,2H),2.99(dd,J=14.8,4.8Hz),2.83−2.72(m,2H),1.23(t,3H,J=7.6Hz)。
【0136】
表16における以下の化合物を、エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシペント−4−エノエートの調製に従って本質的に調製する。
【0137】
【表16】
【0138】
調製物38
エチル2−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート
【化45】
エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシペント−4−エノエート(5.1g,17mmol)入りのアセトニトリル(68mL)の溶液に、2,6−ルチジン(2.19g,20.4mmol,1.2当量)を加える。反応物を0℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(3.30mL,19.6mmol,1.15当量)を約5分にわたって液滴にて加える。混合物を0℃で20分間攪拌する。チオ尿素(2.59g,34.0mmol,2当量)を加え、反応物を室温まで温める。45分後、混合物を減圧下で濃縮する。次いで、得られた粘性の橙色の油を、大きなピペットによって室温で攪拌している硫酸(17.8M,8mL)に加える。20分後、混合物を、激しく攪拌している、50mLのHO中のKCO(約50g)の0℃の溶液に液滴にて加える。急冷している間、固体の形成時に攪拌できるようにさらなる水を加える。黄褐色/橙色の固体を濾過により回収する。固体を、1時間、空気ストリームによって濾紙上で乾燥して、ジアステレオマーの混合物として標題の化合物を得て、それをさらに精製せずに用いる:MS(m/z):357,359(M+1)。
【0139】
表17における以下の化合物を、エチル2−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレートの調製に記載されるように本質的に調製する。
【0140】
【表17】
【0141】
調製物39
エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート
【化46】
エチル2−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート(6.1g,17mmol)入りの1,4−ジオキサン(35mL)、水(18mL)、および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(18mL)の懸濁液に、ジ−t−ブチルジカルボネート(7.42g,34.0mmol,2当量)を加える。混合物を約60時間攪拌する。反応物を水で希釈し、CHClで3回抽出する。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、茶色の油を得る。その油を、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサンのグラジェントで溶離するシリカゲル(150g)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジアステレオマーの混合物として標題の化合物(64%収率)を得る:MS(m/z):457,459(M+1)。
【0142】
表18における以下の化合物を、エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレートの調製に従って本質的に調製する。
【0143】
【表18】
【0144】
調製物40
(4S,6S)−エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート
【化47】
エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート(3.5g,7.7mmol)を、2段階においてキラルHPLCによって精製する:(カラム:Chiralcel OJ8×32cm;溶離液:1:3(3A アルコール:ヘプタン);フロー:UV240nmで400mL/分)、3つのうちのピーク1および2を含むカット1を得て、次いでピーク1および2を、さらなるキラルクロマトグラフィー(カラム:Chiralcel OD8×32cm;溶離液1:9(イソプロピルアルコール:ヘプタン);フロー:UV240nmで400mL/分)によってさらに精製する。第2の溶離異性体の分離により、減圧下で画分の濃縮後に標題の化合物(14%収率)を得る。
【0145】
調製物41
(+/−)Tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化48】
エチル4−(3−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート(2.0g,4.4mmol)入りのテトラヒドロフラン(87mL)およびエタノール(25mL)の0℃の溶液に、水素化ホウ素チリウム(289mg,13.1mmol,3当量)を加える。反応物を室温まで温め、4時間攪拌する。反応混合物を飽和NHClで急冷する。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥する。混合物を濾過し、濃縮して、淡い黄色の油を得る。その油を、0〜100%の酢酸エチル/へキサンのグラジェントを用いるシリカゲル(120g)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物(29%収率)を得る:MS(m/z):415,417(M+1)。
【0146】
調製物42
Tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
(+/−)Tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート(870mg,2.1mmol)を、HPLCキラル分離:(カラム:Chiralpak AD8×36cm×20μm;溶離液:100% 3A エチルアルコール;フロー:UV250nmで400mL/分)により精製する。第2の溶離異性体を分離して、鏡像異性的に濃縮された標題の化合物(38.5%収率)を得る:MS(m/z):415,417(M+1)。
【0147】
調製物43
(+/−)Tert−ブチル(4S,6S)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−4−(3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化49】
(+/−)tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート(150mg,0.36mmol)入りの1,2−ジメトキシエタン(4.5mL)、エタノール(1.5mL)、および水(2.3mL)の110℃の溶液に、ピリミジン−5−ボロン酸(112mg,0.90mmol,2.5当量)、炭酸セシウム(353mg,1.08mmol,3当量)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(25mg,0.036mmol,0.1当量)を加える。反応物を110℃で攪拌する。20分後、反応混合物をEtOAcおよびHOで希釈する。層を分離し、水層をEtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。粗残留物を、シリカゲル(5% MeOH/DCM)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物(29%収率)を得る:MS(m/z):415(M+1)。
【0148】
表19における以下の化合物を、(+/−)tert−ブチル(4S,6S)−6−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−4−(3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメートの調製に従って本質的に調製する。
【0149】
【表19】
【0150】
調製物44
(+/−)Tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモフェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化50】
エチル2−アミノ−4−(3−ブロモフェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−カルボキシレート(250mg,0.55mmol)入りのテトラヒドロフラン(5.5mL)の0℃の溶液に、塩化メチルマグネシウム(0.58mL,1.75mmol,3.2当量)を加える。15分後、追加の塩化メチルマグネシウム(0.38mL,1.2mmol,2当量)を加える。30分後、反応混合物を飽和NHCl水溶液で急冷し、酢酸エチルで希釈する。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。粗残留物を、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサンのグラジェントで溶離するシリカゲル(80g)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物(26%収率)を得る:MS(m/z):443,445(M+1)。
【0151】
表20における以下の化合物を、(+/−)tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモフェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメートの調製に従って本質的に調製する。
【0152】
【表20】
【0153】
調製物45
(+/−)Tert−ブチル(4S,6S)−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート
【化51】
tert−ブチル(4S,6S)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート(1.11g,2.41mmol,1.0当量)入りの1,2−ジメトキシエタン(22mL)および水(7mL)の100℃の溶液に、ピリミジン−5−ボロン酸(1.2g,9.6mmol,4当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(508mg,0.723mmol,0.3当量)、および炭酸セシウム(2.36g,7.2mmol,3当量)を加える。25分後、混合物を室温まで冷す。反応混合物をEtOAcで希釈し、EtOAcと水との間に分ける。水層をEtOAcで3回抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得る。粗残留物を、EtOAcで溶離するシリカゲル(80g)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して以下を得る:
調製物45:標題の化合物(460mg,41%収率):MS(m/z):461(M+1);および
調製物45a:(+/−)2−((4S,6S)−2−アミノ−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−イル)プロパン−2−オール、(145mg):MS(m/z):361(M+1)。
【0154】
表21における以下の化合物を、(+/−)tert−ブチル(4S,6S)−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメートの調製に従って本質的に調製する。
【0155】
【表21】
【0156】
調製物46
Tert−ブチル(4S,6S)−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバミメート
【化52】
(+/−)Tert−ブチル(4S,6S)−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート(455mg,0.99mmol)を、HPLCキラル分離(カラム:Chiralpak AD−H 2.1×25cm×5μm;溶離液:20% EtOH/CO;フロー:UV225nmにて70mL/分)により精製する。第2の溶離異性体を分離して、鏡像異性的に濃縮された標題の化合物(29%)を得る:MS(m/z):461(M+1)。
【実施例】
【0157】
実施例1
(S)−4−(3−(2−フルオロピリジン−3−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン二塩酸塩
【化53】
THF(4mL)中の(S)−4−(3−(2−フルオロピリジン−3−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン(160mg,0.531mmol)の溶液に、0℃でジオキサン(2mL)中のHClの飽和溶液を加える。反応混合物を4時間室温で攪拌する。溶媒を減圧下で除去する。得られる固体を無水エーテルで繰り返し洗浄し、減圧下で乾燥して、標題の化合物(87%収率)を得る:MS(m/z):302(M+1)。
【0158】
実施例2
(S)−4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン二塩酸塩
【化54】
トリフルオロ酢酸(50mL)およびメタノール(50mL)中の(S)−N−{4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル}−アセトアミド(430mg,1.1mmol)の溶液を、60℃で8時間攪拌する。溶媒を減圧下で除去する。残留物を水に溶解し、飽和炭酸水素塩で中和し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得る。その残留物を酢酸エチルで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。得られたアミンをジクロロメタンに溶解し、HClガスを30秒間溶液に通して泡立てる。溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物(52%)を得る:MS(m/z):336(M+1)。
【0159】
表22の以下の化合物を、(S)−4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン二塩酸の調製に記載されるように本質的に調製する。
【0160】
【表22】
【0161】
実施例5
(S)−4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン
【化55】
周囲温度にて、ジクロロメタン(15mL)中の(S)−[4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(263mg,625μmol)の溶液を、1分間HClガスで泡立てる。反応物をセプタムで密閉し、18時間攪拌する。溶媒を減圧下で除去して、標題の化合物(95%より多い収率)を得る:MS(m/z):321(M+1)。
【0162】
表23の以下の化合物を、(S)−4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミンの調製に従って本質的に調製する。
【0163】
【表23-1】
【表23-2】
【0164】
実施例18
(S)−4−メチル−4−(3−ピリミジン−5−イル−フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン二塩酸塩
100℃にて、(S)−N−[4−メチル−4−(3−ピリミジン−5−イル−フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イル]−アセトアミド(2.7g,8.3mmol,1.0当量)の溶液を、5Nの塩化水素(50mL,250mmol,30当量)中で2時間攪拌する。反応物を冷却し、揮発性物質を減圧下で除去する。得られた残留物を水に溶解し、酢酸エチルで抽出する。水層を飽和炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得る。その残留物をシリカゲルプラグで濾過し、酢酸エチルで洗浄する。シリカゲルプラグをさらに、酢酸エチルおよび10%のイソプロピルアミンを含む酢酸エチルで洗浄する。酢酸エチル洗浄液中の10%のイソプロピルアミンを回収し、減圧下で溶媒を除去する。得られた遊離アミンを、14mLの1N HClを含む100mLの水溶液に溶解する。得られた溶液を凍結乾燥して、標題の化合物(81%収率)を得る:MS(m/z):285(M+1)。
【0165】
表24の以下の化合物を、(S)−4−メチル−4−(3−ピリミジン−5−イル−フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミン二塩酸塩の調製に記載されるように本質的に調製する。
【0166】
【表24】
【0167】
実施例22
(4S,6R)−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−アミン二塩酸塩
周囲温度にて、ジクロロメタン(10mL)中のtert−ブチル(4S,6R)−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバミン酸塩とN−((4S,6R)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミドの1:1混合物(360mg)を、1分間HClガスで泡立てる。反応物をセプタムで密閉し、18時間攪拌する。溶媒を減圧下で除去する。得られた残留物を水に溶解し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物としてN−((4S,6R)−4−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−4,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イル)ベンズアミドを得る。得られた残留物に5N HCl(5mL)を加え、反応物を2時間100℃まで加熱する。溶媒を減圧下で除去して、粗標題の化合物を得る。
【0168】
最初の酢酸エチル洗浄液からの水層を飽和炭酸水素ナトリウムで中和し、(3:1)CHCl:イソプロピルアルコールで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。この物質を粗生成物と合わせ、周囲温度および40mL/分のフローにて分取HPLC:Xterra(登録商標)RP18(30×300mm)カラムにより精製する。溶離系は、1〜5分間、0:100(アセトニトリル:(HO中の0.1% HCl))のアイソクラチックグラジェント、続いて、20分にわたって10:90(アセトニトリル:(HO中の0.1% HCl))から30:70(アセトニトリル:(HO中の0.1% HCl))までのリニアグラジェントからなる。画分を合わせ、減圧下で濃縮して、標題の化合物(50%収率)を得る:MS(m/z):317(M+1)。
【0169】
実施例23
(+/−)2−((4S,6S)−2−アミノ−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−イル)プロパン−2−オール
塩化水素ガスを、ジクロロメタン(5mL)中の(+/−)tert−ブチル(4S,6S)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−(3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバメート(33mg,0.075mmol)の溶液に通して泡立て、得られた混合物を密閉し、室温にて16時間攪拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、MeOH中の7N NHで溶離する、MeOHにより平衡化したSCXカラムを通過させることにより精製する。得られた遊離塩基をMeOHに溶解し、EtO中の1N HCl(約5当量)を加える。混合物を濃縮し、EtOとともに2回共蒸発させて、標題の化合物(87%収率)を得る:MS(m/z):343(M+1)。
【0170】
実施例24
2−((4S,6S)−2−アミノ−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−イル)プロパン−2−オール
【化56】
トリフルオロ酢酸(2mL)中のtert−ブチル(4S,6S)−6−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−メチル−4−(3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−2−イルカルバミメート(221mg,0.50mmol)の溶液を、80分間室温で攪拌する。混合物をMeOHにより平衡化したSCXカラムに直接加える。カラムをMeOH(100mL)で洗浄し、生成物をMeOH(100mL)中の7N NHで溶離する。溶液を減圧下で濃縮する。残留物をCHClで希釈し、HCl(g)を5分間通して泡立てる。反応混合物を濃縮して、標題の化合物(67.5%収率)を得る:MS(m/z):343(M+1)。
【0171】
表25の以下の化合物を、2−((4S,6S)−2−アミノ−4−(4−フルオロ−3−(ピリミジン−5−イル)フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン−6−イル)プロパン−2−オールの調製に記載されるように本質的に調製する。
【0172】
【表25】
【0173】
インビトロでのアッセイ手順
インビトロでの酵素および細胞アッセイのために、試験化合物をDMSO中で調製して、10mMのストック溶液を作製する。そのストック溶液をDMSO中で連続希釈して、96ウェル丸底プレート中で最終化合物濃度が10mM〜1pMの範囲である10点の希釈曲線を得て、その後、インビトロでの酵素および全細胞アッセイを実施する。
【0174】
インビトロでのプロテアーゼ阻害アッセイ
BACE FRETアッセイ
試験化合物の連続希釈を上記のように調製する。化合物をさらにKHPO緩衝液中で20倍に希釈する。各希釈液の10μLを、反応混合物(25μLの50mM KHPO、pH4.6、1mM TRITON(登録商標)X−100、1mg/mL ウシ血清アルブミン、および15μMのFRET基質)(Yangら,J.Neurochemistry,91(6)1249−59(2004)を参照のこと)を含む対応する低タンパク質結合ブラックプレートの列A〜Hで各ウェルに加える。内容物を10分間プレートシェーカーでウェル中で混合する。KHPO緩衝液中の15μLの200pMのヒトBACE(1〜460):Fc(Vasserら,Science,286,735−741(1999))を、基質および試験化合物を含むそのプレートに加えて、反応を開始する。プレートシェーカーで簡単に混合した後、0時の混合物のRFUを355nmの励起波長および460nmの発光波長で記録する。反応プレートをアルミニウム箔で覆い、室温で16〜24時間、暗所の加湿オーブン中に維持する。インキュベーションの終わりにRFUを、同じ励起および発光の設定で記録する。インキュベーションの0時と終了時でのRFUの差は、化合物処理下でのBACEの活性を表す。RFUの差を阻害濃度に対してプロットし、曲線を4−パラメーターロジスティック式にフィットさせて、EC50およびIC50値を得る(Sinhaら,Nature,402,537−540(2000)を参照のこと)。
【0175】
本明細書に例示した化合物を上記のように本質的に試験すると、1μM未満のBACEについてのIC50値を示した。以下の例示した化合物を上記のように本質的に試験すると、BACEについて以下の活性を示した。
【0176】
【表26】
【0177】
これらのデータは、表26の化合物が、インビトロにおいて精製された組み換えBACE酵素活性を阻害することを示す。
【0178】
ヒトBACEの発現
ヒト(受託番号:AF190725)を、室温PCRによって全脳cDNAからクローニングする。アミノ酸配列#1〜460に対応するヌクレオチド配列を、ヒトIgG(Fc)ポリペプチド(Vassarら,1999)をコードするcDNAに挿入する。huBACE:Fcと名付けたBACE(1〜460)およびヒトFcのこの融合タンパク質をpJB02ベクター中に構築する。ヒトBACE(1〜460):Fc(huBACE:Fc)を、HEK293細胞において一過性に発現する。各構築物の250μgのcDNAをFugene6と混合し、1リットルのHEK293細胞に加える。トランスフェクションの4日後、馴化培地を精製のために収集する。
【0179】
huBACE:Fcの精製
huBACE:FcをプロテインAクロマトグラフィーにより精製する。酵素を少ないアリコートで−80℃にて保存する。
【0180】
β−セクレターゼ活性の阻害を測定するための全細胞アッセイ
HEK293Swe 全細胞アッセイ
β−セクレターゼ活性の阻害を測定するための慣例の全細胞アッセイは、一般にSwedish変異(HEK293/APP751swと記される)と呼ばれ、Abetaを過剰産生することが示されている(Citronら,Nature,360,672−674(1992))、天然の二重変異Lys651Met652からAsn651Leu652を含むヒトAPP751 cDNAを安定に発現するヒト胎児腎臓細胞株HEK293p(ATCC受託番号CRL−1573)を利用する。インビトロでのAβ減少アッセイは文献に記載されている(Doveyら,Journal of Neurochemistry,76,173−181(2001);Seubertら,Nature,361,260(1993);およびJohnson−Woodら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,1550−1555(1997)を参照のこと)。
【0181】
細胞(200μLの培地(10%FBSを含むDMEM)を含む、3.5×10細胞/ウェルでのHEK293/APP751sw)を、所望の濃度で阻害剤(DMSOで希釈した)の存在/非存在下において4〜24時間37℃でインキュベートする。インキュベーションの終わりに、馴化培地を、例えばAbetaペプチドの解析によって、β−セクレターゼ活性を証明するために解析する。全Abetaペプチド(Abeta 1〜x)を、捕捉抗体としてモノクローナル266および報告している抗体としてビオチン化3D6を用いてサンドイッチELISAによって測定する。あるいは、Abeta 1〜40およびAbeta 1〜42ペプチドを、Abeta 1〜40についての捕捉抗体としてモノクローナル2G3、およびAbeta 1〜42についての捕捉抗体としてモノクローナル21F21を用いてサンドイッチELISAによって測定する。Abeta 1〜40およびAbeta 1〜42 ELISAの両方は、報告している抗体としてビオチン化3D6を使用する。化合物の処理後に馴化培地に放出されるAbetaの濃度は、このような条件下でBACEの活性に対応する。10点の阻害曲線をプロットし、4−パラメーターロジスティック式にフィットさせ、Abetaにより低下した効果についてEC50およびIC50値を得る。以下の例示した化合物を上記のように本質的に試験すると、Abetaにより低下した効果について以下の活性を示した。
【0182】
【表27】
【0183】
これらのデータは、表27の化合物がインビトロで細胞において生来の内因性ヒトBACEを阻害することを示す。
【0184】
PDAPP初代ニューロンアッセイ
確認全細胞アッセイもまた、PDAPPトランスジェニック胎仔マウスから生成した初代ニューロン培地中で実施する。初代皮質ニューロンを、16日の胎仔のPDAPP胚から調製し、96ウェルプレート(DMEM/F12(1:1)および10% FBS中に15×10細胞/ウェル)で培養する。インビトロで4〜6日後、培地を、B27補足物を含む無血清DMEM/F12(1:1)と取替え、ニューロンを、所望の濃度で阻害剤(DMSO中で希釈する)の存在/非存在下において24時間37℃でインキュベートする。インキュベーションの終わりに、馴化培地を、例えばAbetaペプチドの解析によって、β−セクレターゼ活性の証明のために解析する。全Abetaペプチド(Abeta 1〜X)を、捕捉抗体としてモノクローナル266および報告している抗体としてビオチン化3D6を用いてサンドイッチELISAによって測定する。あるいは、Abeta 1〜40およびAbeta 1〜42ペプチドを、Abeta 1〜40についての捕捉抗体としてモノクローナル2G3、およびAbeta 1〜42についての捕捉抗体としてモノクローナル21F12を用いてサンドイッチELISAによって測定する。Abeta 1〜40およびAbeta 1〜42 ELISAの両方は、報告している抗体としてビオチン化3D6を使用する。化合物処理後に馴化培地に放出されるAbetaの濃度は、このような条件下でBACEの活性に対応する。10点の阻害曲線をプロットし、4−パラメーターロジスティック式にフィットさせて、Abetaにより低下した効果についてEC50およびIC50値を得る。以下の例示した化合物を上記のように本質的に試験すると、Abetaにより低下した効果について以下の活性を示した。
【0185】
【表28】
【0186】
これらのデータは、表28の化合物がインビトロで細胞において生来の内因性マウスBACEを阻害することを示す。
【0187】
β−セクレターゼのインビボでの阻害
マウス、モルモット、イヌおよびサルを含む、いくつかの動物モデルを、化合物処理後のインビボでのβ−セクレターゼ活性の阻害をスクリーニングするために使用できる。本発明に使用する動物は、野生型、トランスジェニック、または遺伝子ノックアウト動物であってもよい。例えば、Gamesら,Nature 373,523−527(1995)に記載されるように調製されるPDAPPマウスモデル、および他の非トランスジェニックまたは遺伝子ノックアウト動物は、阻害化合物の存在下においてAbetaのインビボでの阻害およびsAPPbeta産生を解析するのに有用である。一般に、2〜12ヶ月齢のPDAPPマウス、遺伝子ノックアウトマウス、または非トランスジェニック動物に、コーンオイル、シクロデキストラン、リン酸緩衝液、PHARMASOLVE(登録商標)などのビヒクル、または他の適切なビヒクルで処方される化合物を投与する。化合物の投与の1〜24時間後、動物を屠殺し、脳ならびに脳脊髄液および血漿を、Abeta、C99およびsAPPフラグメントの解析のために除去する(Doveyら,Journal of Neurochemistry,76,173−181(2001);およびJohnson−Woodら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,1550−1555(1997)を参照のこと)。
【0188】
標準的な有効性研究のために、動物に種々の濃度の化合物を投与し、同じ時間に投与したビヒクル処置したコントロール群と比較する。いくらかの経時変化研究のために、脳組織、血漿または脳脊髄液を選択した動物から得て、0時で開始し、ベースラインを確立する。化合物を他の群に投与し、投与後、種々の時間で屠殺する。脳組織、血漿または脳脊髄液を選択した動物から得て、例えば特異的サンドイッチELISAアッセイによって、Abetaペプチド、sAPPbetaおよび他のAPPフラグメントを含む、APP切断産物の存在について解析する。試験期間の終わりに、動物を屠殺し、脳組織、血漿または脳脊髄液を、Abetaペプチド、C99およびsAPPbetaの存在について解析する。APPトランスジェニック動物の脳組織もまた、化合物の処置後のβ−アミロイドプラークの量について解析する。
【0189】
阻害化合物を投与した動物(PDAPPまたは他のAPPトランスジェニックまたは非トランスジェニックマウス)は、ビヒクル処置したコントロールまたは0時のコントロールと比較した場合、脳組織、血漿または脳脊髄液におけるAbetaまたはsAPPbetaの減少および脳組織におけるβアミロイドプラークの低下を示し得る。例えば、若い雄性PDAPPマウスに対する実施例19の化合物の100mg/kgの皮下投与の3時間後、Abeta 1〜xペプチド、C99およびsAPPbレベルは、ビヒクル処置したマウスと比較して、それぞれ、大脳皮質において約30%、50%および20%低下する。同様に、若い雄性PDAPPマウスに対する実施例5の化合物の30mg/kgの皮下投与の3時間後、Abeta 1〜Xペプチド、C99およびsAPPbレベルは、ビヒクル処置したマウスと比較して、それぞれ、約50%、45%および30%低下する。実施例5の化合物の10mg/kg用量の経口投与の3時間後、脳Abeta、C99およびsAPPbの変化と一致して、血漿およびCSF Abeta 1〜xレベルは、それぞれ、約50%および60%減少する。
【0190】
国際公開第2007/049532号に例示される化合物およびその鏡像異性体を上記のアッセイに本質的に記載されるように試験すると、以下の活性を示した。
【0191】
【表29】
【0192】
本発明の化合物は好ましくは、種々の経路によって投与される医薬組成物として処方される。最も好ましくは、このような化合物は経口投与用である。このような医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは、当該分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A.Gennaroら,eds.,第19版,Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。
【0193】
式Iの化合物は、通常、広い用量範囲にわたって有効である。例えば、1日あたりの用量は、通常、体重1kgあたり約0.01〜約30mgの範囲内である。一部の例において、前述の範囲の下限より低い用量レベルがより適切であってもよく、一方、他の場合において、さらに多い用量が、いかなる有害な副作用も引き起こさずに利用されてもよく、従って、上記の用量範囲は、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。実際に投与される化合物の量は、治療される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物(複数も含む)、年齢、体重、および個々の患者の反応、ならびに患者の症状の重症度を含む、関連する状況を考慮して医師によって決定されることは理解されるだろう。