特許第5658156号(P5658156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5658156プレイ・リストの動的変更方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658156
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】プレイ・リストの動的変更方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20141225BHJP
   H04N 7/173 20110101ALI20141225BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20141225BHJP
【FI】
   G06F3/048 654B
   H04N7/173 630
   G06F3/048 651C
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-526030(P2011-526030)
(86)(22)【出願日】2009年7月31日
(65)【公表番号】特表2012-502351(P2012-502351A)
(43)【公表日】2012年1月26日
(86)【国際出願番号】US2009004416
(87)【国際公開番号】WO2010027397
(87)【国際公開日】20100311
【審査請求日】2012年7月25日
(31)【優先権主張番号】61/191,051
(32)【優先日】2008年9月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーレイン,グレゴリー チヤールズ
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−282048(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/114412(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/145679(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0482
G06F 3/048
H04N 7/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンテーションの少なくとも一部の動的変更を提供する方法であって、
前記プレゼンテーションは、複数のプレイ・シート・エレメントを含み、少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントはイメージ・エレメント、ビデオ・エレメントおよびオーディオ・エレメントのうちの少なくとも1つからなる群より選択され、
前記方法は、
前記プレイ・シート・エレメントを記憶し、前記プレイ・シート・エレメントの拡張されたマシン言語をドキュメント・オブジェクト・モデル・データ構造でパースするステップと、
変更を要求する前記プレゼンテーションにおいて位置を識別する非同期で受信された制御メッセージに応答して、変更を要求するそれぞれのプレイ・シート・エレメントを識別するステップであって、前記変更は、削除、挿入および置換からなる操作群より選択される少なくとも1つの操作を含む、前記プレイ・シート・エレメントを識別するステップと、
前記変更が、前記プレゼンテーションの前記識別された位置のスケジュールされたプレゼンテーション時間において有効になるように、前記識別された位置における前記少なくとも1つの操作に従って、前記識別されたプレイ・シート・エレメントのそれぞれのドキュメント・オブジェクトへの変更を行うステップと、
を有する、前記方法。
【請求項2】
前記プレゼンテーションは、同期化マルチメディア統合言語を用いて記述される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プレイ・シート・エレメントは、識別子、メディア・ソース、継続時間および開始時間のうちの少なくとも1つを含む属性情報を用いて識別される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
サーバが、必要な場合に、前記識別された位置、前記変更ならびに変更されるプレイ・シート・エレメントおよびそれぞれのドキュメント・オブジェクトを識別する情報を含む制御メッセージを生成
前記制御メッセージをプレゼンテーション装置へ非同期で送信する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記プレゼンテーション装置は、セット・トップ・ボックスおよびソフトウェア・プレーヤからなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記送信は、前記制御メッセージを、複数のプレゼンテーション装置から選択される少なくとも1つの装置群へ伝送するステップであって、前記少なくとも1つの装置群は、少なくとも1つのプレゼンテーション装置を含む、前記伝送するステップを有する、請求項4記載の方法。
【請求項7】
プレゼンテーションの少なくとも一部の動的変更を提供するシステムであって、
前記プレゼンテーションは、複数のプレイ・シート・エレメントを含み、各プレイ・シート・エレメントは、イメージ・エレメント、ビデオ・エレメントおよびオーディオ・エレメントからなる群より選択され、前記システムは、
少なくとも1つのプレゼンテーション装置と、
通信ネットワークを介して前記少なくとも1つのプレゼンテーション装置に接続されたノードと、
を有し、
前記ノードは、
前記複数のプレイ・シート・エレメントのうちの少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントへの変更を要求する前記プレゼンテーションにおいて位置を識別する手段であって、前記変更は、削除、挿入および置換からなる操作群より選択される少なくとも1つの操作を含む、前記位置を識別する手段と、
前記プレゼンテーション装置に、変更を要求する前記プレゼンテーションの前記位置を識別する非同期の制御メッセージを伝達する手段と、
を有し、
前記少なくとも1つのプレゼンテーション装置は、前記プレイ・シート・エレメントを記憶し、前記プレイ・シート・エレメントの拡張されたマシン言語をドキュメント・オブジェクト・モデル・データ構造でパースする手段と、変更を要求する前記プレゼンテーションにおいて位置を識別する非同期で受信された制御メッセージに応答して、変更を要求するそれぞれのプレイ・シート・エレメントを識別する手段であって、前記変更は、削除、挿入および置換からなる操作群より選択される少なくとも1つの操作を含む、前記プレイ・シート・エレメントを識別する手段と、前記変更が、前記プレゼンテーションの前記識別された位置のスケジュールされたプレゼンテーション時間において有効になるように、前記識別された位置における前記少なくとも1つの操作に従って、前記識別されたプレイ・シート・エレメントのそれぞれのドキュメント・オブジェクトへの変更を行う手段と、を有する、前記システム。
【請求項8】
前記プレゼンテーション装置は、セット・トップ・ボックスおよびソフトウェア・プレーヤからなる群より選択される、請求項記載のシステム。
【請求項9】
前記制御メッセージ、複数のプレゼンテーション装置から選択される少なくとも1つの装置群へ伝達され、前記少なくとも1つの装置群は、少なくとも1つのプレゼンテーション装置を含む請求項記載のシステム。
【請求項10】
前記通信ネットワークは、広域ネットワークを含む、請求項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年9月5日付出願の米国仮特許出願番号61/191,051の優先権の利益を主張するものであり、その内容の全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、一般にプレゼンテーション・システムに関し、より詳しくは、プレゼンテーション・システムのプレイ・リストの動的変更方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
情報およびコンテンツ配信システムは、複数のエンド・システムに情報およびコンテンツを提供するために利用される。例えば、ビデオ・オン・デマンド・アプリケーションでは、メディア・コンテンツが衛星/ケーブル・テレビ加入者に提供され、利用される。典型的には、加入者は、加入者のセット・トップ・ボックス(STB)を介してテレビで、選択可能なメディア・コンテンツを視聴することができる。この場合、選択されたメディア・コンテンツまたはビデオ番組は、ケーブルまたは衛星ネットワークを介して番組センターからセット・トップ・ボックスへ送信される。ビデオ番組および広告の予定を組むために、プレイ・リストがビデオ・オン・デマンド・アプリケーションに実装され得る。
【0004】
同様に、広告では、店舗内で小売のメディア・コンテンツを顧客に提供することが普及しつつある。この新しい広告メディアは、一般に、コンテンツ・プレゼンテーションの主要な手段として、ブロードキャスト配信を利用する。最近では、小売業者や公共スペースの管理者が、彼らの店舗や公共スペースに、主として広告のための多数のビデオ・ディスプレイ・システムを増設することが多くなってきている。そのようなビデオ・ディスプレイ・システムでは、コンテンツは、サーバにより、個々のディスプレイまたは個々のディスプレイのグループと接続された1つ以上のセット・トップ・ボックスへ配信される。小売業者は、典型的には、ディスプレイを利用して彼らが現在販売中の商品や販売情報等を表示する。これに対して、公共スペースの管理者は、多数の潜在的顧客がビデオ・プレゼンテーションを視聴するであろうことを承知の上で、広告主に対して全国または地方レベルで彼らのビデオ・ディスプレイ上の時間と空間を販売する。この場合も同様に、店舗内での小売広告システムのようなシステムにおいて、現在販売中の商品や販売情報や広告のクリップを含むメディア・コンテンツの予定を組むために、プレイ・リストが実装され得る。
【0005】
これらの全てのシステムでは、事業目的を達成するためにプレイ・リストを動的に変更する必要が生じる事態が頻繁に発生し得る。例えば、1つの特定のメディア・ファイルまたは1組のメディア・ファイルを他の同様なファイルに代えて用いる必要があったり、1つの特定のメディア・ファイルまたは1組のメディア・ファイルの再生を回避したり延期したりする必要があったり、さらには、既にプレイ・リストにあるコンテンツに加えて、1つの特定のメディア・ファイルまたは1組のメディア・ファイルを挿入する必要があったりするかも知れない。集中型ネットワーク・オペレーション・センターで新しいプレイ・リストを構築することは、これらの典型的な事態において実現可能な解決方法とはなり得ないかも知れない。このことは、集中型ネットワーク・オペレーション・センターにより許容されていないペースで変更が要求された場合や、プレイ・リストの変更が、集中型ネットワーク・オペレーション・センターと連携するという要件なしにローカルエンティティの制御下で許可される場合に特に当てはまることである。
【0006】
メディア・プレイ・リストは多数の異なる言語または技術を用いて生成することができる。同期マルチメディア統合言語(SMIL)は、インタラクティブ・オーディオビジュアル・プレゼンテーションの簡易なオーサリングを可能にするメディア再生スクリプト記述に使用される一般的なプレイ・リスト生成技術である。SMILはXMLに基づくものであり、元来スクリプト再生の静的手段である。これらのプレイ・リストは、再生の開始前に生成され、再生中は変わらないという点で、静的なものである。つまり、プレイ・リストは、一旦生成されると再構築またはリロードされるまで変わらない。プレイ・リストは、プレゼンテーションされるメディアのレイアウト、順序およびタイミングを決定するために再生ソフトウェアにより実行されるスクリプトである。本明細書において、「プレイ・リスト」という用語は、「プレイ・シート」または「プレイ・リスト・シート」という用語と類似するかほとんど同じ意味であり、意味合い的にいかなる不足も変更もなくその全てが相互に交換可能に使用し得るものであるということが理解されるであろう。
【0007】
SMILは、典型的には、ストリーミング・オーディオおよびビデオをイメージ、テキストまたは他のあらゆるメディア・タイプに統合する「リッチ・メディア」/マルチメディア・プレゼンテーションに利用される。SMILは、学びやすいHTMLに似た言語であり、簡単なテキスト・エディタを使用して多数のプレゼンテーションを書き込むことができる。SMILページは、時には静的であるが、ウェブ・ページの構築のように、時には動的に生成される。本明細書において、SMILページが時には「動的に生成される」と言う場合は、プレイ・リストが、プレイ・リストをリロードまたは再構築することによって、要求に応じてまたは使用に都合のよい時に構築されることを意味し、生成される実際のプレイ・リストはメディアのプレゼンテーション用の再生ソフトウェアに手渡される静的なものになる。残念ながら、SMILプレイ・シートをどのようにリロードしたとしても、リロードする前から存在する最初のSMILプレイ・シートと新たにリロードされたSMILプレイ・シートとの間で、画面全体の目に見える切り替えを生じてしまう。かかるリロードでは、メディア・プレゼンテーションをシームレスなものとすることができない。
【0008】
既に規定されたイメージやビデオのシーケンスにエレメントやグラフィック・オーバーレイを追加し、または当該シーケンスからエレメントやグラフィック・オーバーレイを削除したいという要望がしばしばある。例えば、小売広告の環境では、買い物客に、黒い画面等を挿んで画面全体が切り替わることがないようなシームレスなビデオ・プレゼンテーションを示したいという要望が存在し得る。上述したように、新しいSMILプレイ・シートをロードすると、いくつかのタイプの画面の切り替えにより再生を中断することになり、メディアのプレゼンテーションがシームレスなものとならないという結果を招く。さらに、小売広告環境で同じメディアを再生している複数の画面の一部または全てにおいて、ビデオ・クリップを再生途中で分断してしまうような乱れた切り替えを生じることなく、プレゼンテーションを変更したいと望む時がある。しかし、新しいSMILプレイ・シートの生成および表示は、変更されたSMILシートやページをリロードする必要があるために、上述の望まない乱れた切り替えをまさに生じるものである。
【0009】
最新のSMILの仕様では、メディアの動的変更に対応するとしているが、どのようにしてそのような対応を実現し実装するかについての詳細は規定されていない。もちろん、これは、高いレベルでの機能性や操作性を規定しつつ、要求された機能性や操作性を達成するために実装すべき設計についてはいかなる詳細をも示さないという、仕様書の一貫した実務である。すなわち、2008年1月15日頃の期間からの仕様書に関するW3Cウェブサイト(すなわち、w3.org)によれば、「SMILのDOMレベル2の方法を使用すると、アプリケーションは属性の値を変更でき、実行中のSMILプレゼンテーションのエレメントを追加しまたは削除することができる。プロファイルはサポートが必要かも知れないが、そのような編集が許可されるか否かは処理系次第である。SMIL3.0アニメーションの章によれば、DOMの方法により属性の値を変更すると、属性の基準値が変更される。仮にプロファイルにアニメーションが含まれていれば、同じ属性のいかなるアニメーションもこの変更された基準値に基づく。アニメーションを適用した結果生じたプレゼンテーション値はDOMを介して見ることはできない。再生中のドキュメントに対するDOMによる他の変更のプレゼンテーションの効果は、処理系次第である。」と言及している。この抜粋から、SMILのプレイ・シートのリロードから、切り替えの課題が認識されたことは明確であるが、仕様の開発者や貢献者が、解決手段を提示してないことはさらに明確である。
【0010】
これらの変更要求を実現するメカニズムは、SMILの仕様書には特定されていない。ウェブ技術でさえファイルに埋め込まれたリンクを使用することができるが、SMILの仕様では、変更を非同期的に特定するための外部コントローラを許容する手段が規定されていない。通常のウェブ・ページ上では、ユーザの動作は、ページをリモート・サーバに接続させて変更を取得させるようなJava(登録商標)スクリプト・コードを実行させるかも知れないが、この種の技術は、外部プロセッサが、ランタイムで実行中のプレイ・リストを変更するために非同期的にインストラクションを送信できるようにするようなウェブやSMILの実装には利用することができない。
【0011】
従って、先行技術には2つの課題が存在することが明らかである。1つは、SMILプレイ・シートが、プレーヤでまたは再生ソフトウェアを介してロードされ実行される場合、プレイ・シートの変更により、当該プレーヤに新しいSMILプレイ・シートをロードさせる標準的な方法が存在しないということである。もう1つは、たとえこれを実行する潜在的な手段があったとしても、SMILプレイ・シートのリロード操作は、視聴体験に悪い影響を与える好ましくないビデオの切り替えを生じさせることである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の実施形態は、メディア・プレイ・リストの動的変更方法、装置及びシステムを提供することにより先行技術の欠陥に対処するものである。
【0013】
本発明の実施形態は、メディア・プレーヤに非同期的にメッセージを配信する手段を提供するものであり、当該メッセージは、完全に新規なプレイ・リストの作成または提供をすることなく、SMIL(またはXMLに基づくプレイ・リスト)をランタイムで変更するインストラクションを提供するものである。このプレイ・リストの変更は、SMILプレイ・リストをリロードするインストラクションの間に通常発生する目に見える乱れた切り替えを生じさせない。本発明の態様によれば、メディア・プレゼンテーションに対する変更は、視覚的に分断されたページのリロードを引き起こさない。
【0014】
本発明の様々な実施形態では、変更インストラクションは、一般にネットワーク内の制御システムから発信されるものであり、例えば、コンテンツ・メディア・プレーヤ内で発生する動作の結果として生成されることとは対照的である。かかる実施形態は、例えば、ロゴ、値段または文字情報をグラフィック・オーバーレイとして実行中のメディア・イメージの上に挿入するような、ランタイムでの新しいコンテンツの動的な挿入に使用することができる。本発明の態様によれば、変更されるページ上のあらゆる要素を強制的に事前定義させる代わりに、柔軟性を持って動的に変更を行うことにより、広告システムのような情報システムがより一層インタラクティブでより多くのイベントを実行できるようになる。
【0015】
本発明の一実施形態において、SMILプレーヤは、セット・トップ・ボックス(STB)として実現される。SMILプレーヤは、一般にSTBのソフトウェアに実装される。これは、STBがメディア・サーバにより提供されるプライベート・ネットワークに常駐できることを意図するものである。メディア・サーバは、基本的なSMILプレイ・シートを各STBに配信して、各STBが、各プレイ・シートで定義されたメディア・プレゼンテーションの実行を開始できるようにする。本発明の態様によれば、メディア・サーバは非同期的にメッセージを送信して、各STBのSMILプレーヤ・ソフトウェアにランタイムでSMILプレイ・シートを動的に変更させて、これによりメディア・プレゼンテーションを変更する。他の実装では、変更メッセージは、ワイド・エリア・ネットワークのいたる所に到達し、またはプライベート・ネットワーク上の他のシステムによって生成し得るものである。実装は、様々なシステムが、様々なプレーヤにメッセージを送信してメディア再生を変更できることを意図するものである。システム変更の配信として、厳格なクライアント−サーバ・モデルは、本発明の態様の実現には必要ではないことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の内容は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照すれば容易に理解されるであろう。
図1図1は、本発明の実施形態が適用され得るコンテンツ配信システムの高レベル・ブロック図を示している。
図2図2は、店舗内広告を提供する店舗内広告ネットワークの高レベル・ブロック図を示している。
図3図3は、本発明の実施形態によるSMILプレイ・リストの高レベル図を示している。
図4図4は、本発明の一実施形態によるSMILプレイ・リストの置換コマンドの実装の高レベル図を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態によるSMILプレイ・リストの挿入コマンドの実装の高レベル図を示している。
【0017】
図面は、本発明の概念を説明するためのものであり、必ずしも本発明を示す唯一の可能な構成または構造ではないことを理解すべきである。理解を容易にするために、各図で共通する同一の構成は、できる限り同一の参照番号を用いて指定してある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
有用なことに、本発明は、メディア・プレイ・リストの動的変更方法、装置およびシステムを提供する。本発明は、主としてSMIL技術を使用する小売広告ネットワーク環境という状況下で説明されるが、本発明の特定の実施形態が、本発明の範囲を制限するものとみなすべきではない。本発明の概念が、実質的に他のオーサリング・ツールを使用するいかなるコンテンツ配信環境にも応用可能であるということを、当業者は認識するであろうし、本発明の内容からも明らかになるであろう。
【0019】
図示した種々の要素の機能は、専用のハードウェアを使用することによっても、また、適切なソフトウェアと共働して、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを使用することによっても提供することができる。プロセッサにより提供される場合、当該機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共用プロセッサ、またはそのいくつかは共有されてもよい複数の個別のプロセッサによって提供することができる。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語が明示的に使用されている場合、ソフトウェアを実行可能なハードウェアだけに言及しているものと解釈されるべきではなく、特に限定されずに、ディジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するリード・オンリー・メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)および不揮発性記憶装置を暗に含み得るものである。また、本明細書において、本発明の原理、態様および実施形態についてここに示す全ての記載は、それらの具体的な実施例と同様に、それらの構造的および機能的な等価物の両方を含むことを意図している。従って、そのような等価物は、現在知られている等価物ばかりでなく、将来開発されるであろう等価物(すなわち、構造に関係なく同じ機能を実現する新たに開発されたあらゆる要素)をも含むことを意図するものである。
【0020】
ゆえに、例えば、本明細書に提示されたブロック図が、本発明の原理を具現化するシステム構成および/または回路構成を説明するための概念図を示していることを当業者は理解するであろう。同様に、何れのフロー・チャート、フロー図、状態遷移図、疑似コード等も、コンピュータまたはプロセッサが明示されているか否かにかかわらず、コンピュータ読み取り可能なメディアに実質的に記述でき、コンピュータまたはプロセッサにより実行することのできる様々な処理を示していることを理解するであろう。
【0021】
図1は、本発明の実施形態が適用可能なコンテンツ配信システムの高レベルブロック図を示している。図1に示したコンテンツ配信システム100は、少なくとも1つのサーバ110、選局/複合化手段(図示したセット・トップ・ボックス(STBs))120〜120および各セット・トップ・ボックス120〜120用のディスプレイ130〜130のような複数の受信装置、並びにオーディオ出力装置(図示したスピーカ・システム)135〜135のような他の受信装置からなる。図1のシステム100では、複数のセット・トップ・ボックス120〜120は、それぞれ個別の1つのディスプレイと接続されるように図示されているが、本発明の他の実施形態では、複数のセット・トップ・ボックス120〜120は、それぞれ複数のディスプレイと接続されてもよい。さらに、図1のコンテンツ配信システム100では、選局/複合化手段は、セット・トップ・ボックス120として示されているが、本発明の他の実施形態では、本発明の選局/複合化手段は、ディスプレイ130や他のスタンド・アロン型選局/複合化装置等に組み込まれた選局/複合化回路のような代替の選局/複合化手段で構成してもよい。さらにまた、本発明の受信装置は、オーディオコンテンツ、ビデオコンテンツまたはオーディオとビデオの両方のコンテンツのようなコンテンツを受信可能なあらゆる装置をも含む。
【0022】
本発明の一実施形態では、図1のコンテンツ配信システム100は、店舗内広告ネットワークの一部とすることができる。例えば、図2は、店舗内広告を提供する店舗内広告ネットワーク200の高レベルブロック図を示している。図2の広告ネットワーク200では、広告ネットワーク200と配信システム100とが、カタログ、配信、プレゼンテーション、および音楽レコードのトラッキングの使用、ホーム・ビデオ、製品デモンストレーション、広告コンテンツ、並びにエンターテインメント・コンテンツ、ニュースおよび同様の消費者情報コンテンツと共に店舗内で設営されるその他のこの種のコンテンツを提供するソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせを利用する。メディア・コンテンツには、圧縮または非圧縮ビデオおよびオーディ・ストリーム・フォーマット(例えば、MPEG4/MPEG4 Part10/AVC−H.264,VC−1,Windows(登録商標)Media等)で提供されるコンテンツが含まれるが、本発明のシステムは、これらのフォーマットの使用のみに限定されるものではない。
【0023】
本発明の典型的な実施形態では、店舗内広告ネットワーク200およびコンテンツ配信システム100の種々の要素を制御するソフトウェアには、ウィンドウ環境(例えば、MS−WidowsTMまたはX−Windows(登録商標)オペレーティング・システム)および高性能コンピュータ・ハードウェアを使用する32ビット・オペレーティング・システムが含まれる。広告ネットワーク200は、一実施形態では、衛星(または他の方法、例えば、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、一連のマイクロ波リンクまたは同様の装置)および店舗内モジュールを介して集中型コンテンツ管理および配信制御を提供する分散型アーキテクチャにおいて実現することができる。
【0024】
図2に示したように、店舗内広告ネットワーク200およびコンテンツ配信システム100のコンテンツは、広告主202、レコード会社204、映画スタジオ206または他のコンテンツ・プロバイダ208から供給され得る。広告主202は、メーカ、サービス・プロバイダ、メーカ若しくはサービス・プロバイダを代理する代理店、またはその他の団体のような典型的な団体であることが理解される。広告主202からの広告コンテンツには、コマーシャル、「インフォマーシャル」、製品情報および製品デモンストレーション等を含むオーディオビジュアル・コンテンツが含まれる。
【0025】
レコード会社204には、レコード・レーベル、音楽出版社、ライセンス供与/出版者団体(例えば、BMIまたはASCAP)、個人アーティスト、または他のあらゆる同種の音楽関連コンテンツの発信元のような団体が含まれることが理解される。レコード会社204は、ミュージック・クリップ(すなわち、録音された音楽の短い断片)、ミュージック・ビデオ・クリップ等のオーディオビジュアル・コンテンツを提供する。映画スタジオ206には、映画スタジオ、映画製作会社、広報担当、または映画産業に関連する他の発信元のような団体が含まれることが理解される。映画スタジオ106は、ムービー・クリップ、予め録画された男優や女優のインタビュー、映画批評記事、「舞台裏」のプレゼンテーションおよび同様のコンテンツを提供することができる。
【0026】
他のコンテンツ・プロバイダ208には、例えば、図1のコンテンツ配信システム100によって配信および表示可能なビデオ、オーディオまたはオーディオビジュアル・コンテンツを提供するあらゆる他のプロバイダが含まれることが理解される。
【0027】
本発明の一実施形態では、コンテンツは、例えば、テープ、CD、ビデオ等のような従来からある記録メディアを使用してネットワーク管理センター210(「NMC」)を介して取得される。NMC210へ提供されたコンテンツは、例えば、そのコンテンツをローカル・サイトで配信および表示するローカル配信システム100へ配信するのに適した形式に編集される。
【0028】
NMC210は、受信コンテンツをディジタル化して、ディジタル化データ・ファイル222の形式でネットワーク・オペレーション・センター(「NOC」)220へ提供することができる。データ・ファイル222は、ディジタル化コンテンツの用語で記載されているが、ストリーミング・オーディオ、ストリーミング・ビデオまたは他のこの種の情報とすることもできる点に注意する。NMC210で編集し、受信したコンテンツには、コマーシャル、バンパー(bumpers)、グラフィックおよびオーディオ等が含まれ得る。全てのコンテンツ・ファイルは、一意的に識別され得るように適切な慣習に従って命名される。より具体的には、NMC210は、店舗の位置のような特定の場所を宛先とし、1つ以上の店舗に定期的またはオン・デマンドで配信する配信パックを作成する。配信パックは、それが使用される際には、現場システムが最初に初期化され、NMCから送信された配信パックが現場システムの最初のコンテンツの基礎を形成する場合を除いて、現場に既に存在するコンテンツを置換するかまたは補強するためのコンテンツを含む。あるいは、コンテンツ・ファイルは、別々に圧縮および転送されてもよいし、利用するいくつかのタイプのストリーミング圧縮プログラムともなり得る。
【0029】
当該実施例では、NOC220は、ディジタル化データ・ファイル222を通信ネットワーク225を介して販売店230のコンテンツ配信システム100に送信する。通信ネットワーク225は、いくつかの技術が実装されていてもよく、例えば、本発明の一実施形態では、販売店230のコンテンツ配信システム100にディジタル化データ・ファイル222を配信するために、衛星リンクが使用され得る。これにより、コンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストすることで、コンテンツを様々な場所へ容易に配信することができる。あるいは、インターネットを、オーディオビジュアル・コンテンツを商業上の販売店230に配信するのと、商業上の販売店230からフィードバックを受けるのとの両方に利用ようにしてもよい。本発明の典型的な実施形態によれば、専用回線、マイクロ波ネットワークまたは他の同種の通信もしくはトランスポート装置のような通信ネットワーク225を実装する他の方法を利用することを意図してもよい。
【0030】
コンテンツ配信システム100のサーバ110は、コンテンツ(例えば、配信パック)を受信することができ、それによって、店舗内コンテンツを、セット・トップ・ボックス120、ディスプレイ130およびスピーカ・システム135のような様々な受信装置に配信することができる。つまり、コンテンツ配信システム100では、コンテンツをストリーミング用に受信および設定する。ストリーミングは、一緒にまたは連携して動作するように設定された1つ以上のサーバで実施することができる。典型的な実施形態では、ストリーミング・コンテンツには、販売店230(例えば、小売店)内の様々な異なる位置や製品のために設定されたコンテンツが含まれることが理解される。例えば、各セット・トップ・ボックス120、ディスプレイ130および種々のスピーカ・システム135は、販売店230内の特定の位置に配置することができ、各セット・トップ・ボックスおよびディスプレイのそれぞれの位置から所定の距離内にある製品に関するコンテンツおよびブロードキャスト・オーディオを表示するようにそれぞれ設定することができる。
【0031】
コンテンツ配信システム100のサーバ110は、コンテンツを受信し、店舗内の種々の受信装置に送信されるオーディオ、ビデオ、またはオーディオおよびビデオの両方の様々な異なるストリーム(例えば、コンテンツ・チャンネル)を作成する。ストリームは、ラジオ周波数上の変調されたオーディオ、ビデオおよび/またはオーディオ/ビデオの個別のチャンネルとするか、またはユニキャスト若しくはマルチキャスト・インターネット・プロトコル(IP)・ネットワーク内のデータ・フローとして送信することができる。これらのストリームは、同一の論理セットの制御ソフトウェア下にある1つ以上のサーバから発生させることができる。このストリームは、1つ以上の個別の装置、または1つ以上の装置のグループに配信することができ、装置のグループは、そのグループに割り当てられた少なくとも1つの装置を含むグループとして一意的にアドレス指定可能なことが理解される。
【0032】
本発明の一実施形態では、本発明の配送装置は、同一出願人による国際出願PCT/US2007/013949、2007年6月13日付出願、発明の名称「装置グループ制御」に記載された装置グループ制御配送装置を含み、その内容の全体が本明細書に援用される。本発明の他の実施形態では、ウェブ・サービス型機構(シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル(SOAP)もしくはリファレンシャル・ステート・トランスファ(REST))、またはいくつかの他のメッセージ・トランスポート・サービスのような代替のトランスポート装置が利用され得る。
【0033】
図3は、本発明の実施形態による、簡易化したSMILプレイ・リストの高レベル図を示している。図3に示すプレイ・リストは、図1のディスプレイ130のようなディスプレイの90%を占める上部ウィンドウと、ディスプレイ130の約10%を占める下部ウィンドウのバナーad領域の2つの定義領域からなる。当該領域は、<layout>と</layout>とで記述されるSMILファイルのレイアウト・セクションに示されている。図3のプレイ・リストは、seq id=“abc”を有する1つのビデオを読み出し、ディスプレイ130の上部ウィンドウで45秒の継続時間で再生する。下部ウィンドウは、img id=“234”、img id=“345”およびimg id=“456”を有するそれぞれ15秒の継続時間で表示される3つのJPEG静止画を含んでいる。図3の例は、どのように変更またはオーバーライドがなされるかを示すために単純化されたものとして理解される。典型的なプレイ・リストは、多くのエントリを有し、コンテンツの再生に多くの時間を要するということが、当業者には理解されるであろう。
【0034】
SMILプレイ・シートは、1組のシーケンスからなる。各シーケンスは、ディスプレイの特定の領域で、特定の時間に、特定の継続時間で再生するように規定された1組の個別のメディア・エレメントである。複数の領域が同一の時間に規定された場合は、それぞれの領域のメディアのシーケンスは、それらを1組に編成し直すことにより同時に再生するように規定される。従って、SMILは、メディア・プレゼンテーションのレイアウト(領域)の他にメディアのタイミングも規定する。この後者のタイミング情報は、シーケンシングとしても知られているが、HTMLプレゼンテーションとSMILプレゼンテーションとの間の主要な相違である。
【0035】
SMILプレーヤの既存の実装では、プレイ・シートがメモリに読み込まれ、XMLがドキュメント・オブジェクト・モジュール(「DOM」)データ構造でパースされる。スケジュールがプレゼンテーション用に作成され、SMILのエレメントで参照されるメディアが、適切な時間にディスプレイの適切な領域に順番に表示される。例えば、1つのメディア・ファイルを削除するような変更をSMILで行いたい場合には、新しいプレイ・シートは、削除されたメディアを参照するエレメントを用いることなく元のプレイ・シートのリロードまたは再構築により生成されなければならない。SMILプレーヤの変更されたプレイ・シートを全くリロードすることなく既存のプレイ・シートの変更を達成する方法は、現在のところ全く知られていない。SMILプレーヤが削除のような変更コマンドを処理する場合、SMILプレーヤは、古いプレイ・シートの再生を停止し、新しいプレイ・シートを再構築し、メモリに新しいプレイ・シートを読み込む。現段階では、XMLがDOMデータ構造でパースされ、新しいプレイ・シートに従って再生処理が再び開始される。このリロードおよびリパースの期間中、プレーヤは、ビデオのようなプレゼンテーションを配信しない。そしてこの結果、視聴者に不快なメディア・プレゼンテーションの切り替えをもたらすこととなり、変更が完了するまでの間、画面が白くなったり黒くなったりしながら、古いプレゼンテーション(すなわち、古いプレイ・シート)から新しく変更されたプレゼンテーション(すなわち、新しいプレイ・シート)へ切り替えられる。さらに、メディア・クリップの再生の途中でプレイ・シートをリロードするコマンドを受け取ると、クリップの再生が途中で中断され、クリップが全て再生されることなくそのまま終了してしまう。このことは同様に視聴者に不快な体験をもたらすこととなる。
【0036】
上述した既知の実施形態に対して、本発明を本明細書に記載するように実装すれば、変更された構成要素を有するプレイ・シートをリロードすることなく既存のプレイ・シートを変更することができ、それによって、視聴者へのプレゼンテーションにおける目に見える乱れた切り替えが回避される。既存のプレイ・シートはメモリに読み込まれ、XMLはDOMデータ構造でパースされる。スケジュールが作成され、SMILのエレメントで参照されたメディアが、適切な時間に適切な領域にこれまでと同じように表示される。SMILで変更をしたい場合、変更を記述したメッセージが作成され、そのメッセージがSMILプレーヤに非同期的に配信される。SMILプレーヤは、挿入、削除または置換操作のような所望の変更をメモリに常駐するDOMに対して実行する一方で、現時点で再生中のものは、所望の変更が参照するシーケンシング・スケジュールの予定された時点に先送りするものとみなす。このようにして、変更は、新しいプレイ・シートの生成、読み込みおよびパースを必要とせず、それによって、視聴者に対する不快なメディア・プレゼンテーションの切り替えが回避される。
【0037】
本発明の種々の実施形態は、プレイ・リストに変更またはオーバーライド・インストラクションを配送する手段を提供する。本発明の一実施形態では、メディア・プレイ・リストの変更に対する変更またはオーバーライド・メッセージは、XMLデータ・ブロックとして実現される。本発明の実施形態にかかるXMLデータ・ブロックは、以下のエレメントを含むことができる。
・変更されるドキュメント・オブジェクト・モデル(「DOM」)・ノードの識別(「ID」)、
・追加、削除、挿入またはその他の変更のような如何なる種類の操作が行われるかのインストラクション)、
・任意の新しいノードXMLブロックまたは変更されたデータ・ブロックの情報、および
・任意の位置情報
上記IDは、標準XMLモードIDであり、ノードIDを命名するW3C SMIL仕様に規定されたルールに従わなければならない。これは、ノードをDOMに設定する固有のキーである。IDエレメントは、一般的に、XMLノードを発見するという、まさにこの目的のために使用されるということを当業者は理解するであろう。例えば、図3では、シーケンスの最初のビデオは、「abc」というIDを有し、異なるID値を有する他のノードとは区別される。所望の特定のノードを設定するキーとしてファイルされたIDを使用してエレメントをマッチングするためのノード・リストを検索することが可能である。
【0038】
上述のノードまたは変更されたブロック情報は、一般に実行されるインストラクションのタイプに依存する。削除操作の場合、ノードは、プレイ・シートからの削除として識別される。操作が置換の場合には、インストラクションは、古いノードを置換する新しいノードの他に置換が行われるノードをも識別する。さらに、置換操作に対しては、インストラクションが任意の新しいXMLデータ・ブロックを含むことを意図する。新しいデータ・ブロックがプレイ・シートに挿入される挿入操作の場合、任意の位置情報が、「前」または「後」のような相対的な位置を特定して、IDフィールドで識別されたブロックに対して新しいXMLブロックがどの位置に挿入されるかをソフトウェアに提示する。
【0039】
XMLデータ・ブロックで実行されるインストラクションは、上記リストに示したように、少なくとも1つの以下のインストラクションを含む。
・削除、
・置換、および
・挿入
削除インストラクションによって、SMILプレーヤは、識別されたノードをまるでプレイ・リストにそれが全くなかったかのように削除する。置換インストラクションによって、SMILプレーヤは、プレイ・リストの識別されたノードを削除し自動的にそれを提供されたXMLノードで置換する。挿入インストラクションによって、SMILプレーヤは、IDで特定されたコンテナDOMノードの最後部に新しいXMLノードを挿入する。挿入インストラクションに対しては、2つの追加のID値の先頭が、SMILプレーヤが新しく識別されたノードをその間に挿入することになる2つのノードID値を識別するという任意の拡張を含んでもよい。
【0040】
本発明の重要な態様は、プレーヤがプレイ・リストを実行している間に、これらの変更がプレーヤに非同期的に送信されている点にあることを理解することが重要である。実行中に、プレーヤの外部に存在し得る決定ロジックが、メディア・プレゼンテーションの変更を決定し、制御メッセージをSMILプレーヤまたは再生ソフトウェアに非同期的に送信して、実行中のプレイ・シートに変更をもたらし、それによりメディア・プレゼンテーションを変更する。この変更は、「オン・ザ・フライ」で実行され、既存のプレイ・シートのいかなる再構築またはリロードをも必要としない。結果的に、目に見える切り替えを伴わないので、プレゼンテーションが実質的にシームレスに行われたように見える。これは、様々な分野において先行技術とは著しく異なるものである。例えば、最もよく知られたシステムは、いくつかのタイプのプロンプト型または同期的な変更要求に依存し、本質的に情報「プル型」イベントであるのに対して、本発明は非同期的な情報「プッシュ型」イベントである。また、変更を表示する前にプレイ・シートの再構築またはリロードをする必要がないことも先行技術との相違点である。最後に、変更されたプレゼンテーションを表示するための切り替えが生じないことも先行技術と異なるものである。
【0041】
本発明の様々な概念を解説するために、以下の仮想的なシナリオについて説明する。小売環境におけるメディアの再生中に、最後の15秒のスロットで、resource/test_view10.jpgとして定義される、全く異なるJPEGファイルを表示するというランタイムの決定が発生する小売環境下で、データが処理される。この仮想的なシナリオにおける本発明の一実施形態の操作では、置換コマンドが、JPEGファイルに必要な変更をもたらすメッセージ・プロトコルを使用してフォーマットされ、プレーヤに送信されることになる。最新の実装では、変更メッセージを伝達するために、RESTまたは装置グループ・コマンド・プロトコル・メッセージを使用することが期待される。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態によるSMILプレイ・リストの置換コマンドの実装の高レベル図を示している。置換タイプの変更インストラクションは、ユーザまたはプレーヤからの要求がなくてもプレーヤに非同期的に送信される。置換の操作は、<operation>と</operation>のデリミターにより記述されている。置換されるノードは、<target_id>と</target_id>のデリミターにより、ノード“456”として記述されている。供給される新しいブロックは、<new_block>と</new_block>のデリミターにより、15秒の継続時間を有するimg id=“999”として記述され示されている。イメージ・ファイルは、resource/test_view10.jpgとして識別される。置換インストラクションが実行されると、イメージ・ファイルresource/test_view3.jpgがresource/test_view10.jpgに、シームレスにかつ乱れた切り替えを全く生じることなく置換される。この置換は、SMILシートのリロードを一切行うことなく実行される。この変更は、メディア再生を実行している間にSMILプレーヤでなされることが理解されるべきである。本発明の一態様によれば、SMILプレイ・シートのリロードは一切行われず、かかるリロードに伴う目に見える切り替えの影響は排除される。
【0043】
本発明の他の実施形態では、実行中のプレイ・リストはより多くのメディアに拡張することができる。そのような実施形態には、上記ディスプレイ130の上部ウィンドウにビデオ・エレメントを追加すること、および上記ディスプレイ130の下部ウィンドウに、より多くのイメージ・エレメントを追加することが含まれる。この種の変更は、上述した挿入インストラクションにより実現することができる。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態によるSMILプレイ・リストの挿入コマンドの典型的な実装の高レベル図を示している。図5の実施形態は、2つの新しいメディア・ブロックがプレイ・リストの2つの領域の最後部に挿入されるべきことを示している。挿入の操作は、2組の<operation>と</operation>のデリミターにより記述されている。
【0045】
最初の挿入操作では、挿入の位置が、<location>と</location>のデリミターにより、ノード“abc”の後ろの位置として記述されている。挿入される新しいブロックは、<new_block>と</new_block>のデリミターにより、上部領域にvideo id=“def”として記述され示されている。ビデオ・ファイルは、resource/test1_2.m2pとして識別される。この挿入インストラクションが実行されると、ノード“def”のビデオ・ファイルresource/test1_2.m2pがノード“abc”のビデオ・ファイルresource/test1_1.m2pの後ろに、シームレスにかつ乱れた切り替えを全く生じることなく挿入される。この挿入は、SMILシートのリロードを一切行わずに実行される。
【0046】
第2の挿入操作では、挿入の位置が、<location>と</location>のデリミターにより、ノード“456”の後ろの位置として記述されている。挿入される新しいブロックは、<new_block>と</new_block>のデリミターにより、image id=“2341”、image id=“3451”およびimage id=“4561”として識別される下部領域の3つのイメージ・ファイルとして記述され示されている。それぞれのイメージ・ファイルは、resource/test_view1.jpg、resource/test_view2.jpgおよびresource/test_view3.jpgとして識別される。この第2の挿入インストラクションが実行されると、ノード“2341”、“3451”および“4561”のそれぞれに対するイメージ・ファイルresource/test_view1.jpg、resource/test_view2.jpgおよびresource/test_view3.jpgが、ノード“456”のイメージ・ファイルresource/test_view3.jpgの後ろに、シームレスにかつ乱れた切り替えを全く生じることなく挿入される。この場合も同様に、挿入はSMILシートのリロードを一切行わずに実行される。
【0047】
上記図4および図5に示したインストラクションと同様の方法で、削除インストラクションを構成することができる。このインストラクションは、単に、実行される操作の記述および削除されるtaget_idノードを含むものである。識別されたノードの削除は、シームレスにかつ乱れた切り替えを全く生じることなく実行される。この場合も同様に、挿入はSMILシートのリロードを一切行わずに実行される。
【0048】
本発明の実施形態によれば、変更の追加の形式には、実行中のプレイ・リストへの未定義の領域の追加を含ませることができ、新しいメディア・エレメント・ノードを追加して、新しく定義された領域で再生することができる。そのような操作は、標準的な挿入操作のグループによって表現できる。この種の変更の実用的な応用は、ランタイムで実行中のメディアの上部に領域を提供するようにプレーヤに指示することである。この例では、新しく作成された領域に、短い時間でロゴを挿入すること、特価を示すバナーを挿入すること、または何らかの状態に関する警告を挿入することが考えられる。本発明の実施形態の機能性により、再生前のSMILプレイ・リストに、そのような領域を追加することを予め定めておく必要はなく、代わりに、かかる領域を動的に作成し、ランタイムで表示することができる。そのようなメッセージまたは動的なコンテンツ領域は、例えば、SMIL技術を用いた動的な画面ポップアップ・メッセージと考えることができる。他の変更インストラクションと同様の方法で、これらのインストラクションは、非同期的に配信され、シームレスに、かつ乱れた切り替えを全く生じることなく実行される。この種の挿入も同様に、SMILシートのリロードを一切行わずに実行される。
【0049】
SMILプレイ・シートは、XMLエレメントを使用するメディアを参照する。これらのエレメントの例には、ビデオ(「<video>」)、オーディオ(「<audio>」)およびイメージ(「<img>」)が含まれる。これらのXMLエレメントの各々は、典型的には、識別子(「id」)、メディア・ソース(「src」)、継続時間(「dur」)および開始時間(「begin」)を含む一定の属性により定義される。依然としてSMILに準拠したままのエレメントを生成しながら、上述した以外の属性もXMLエレメントに追加し得ることが意図されている。例えば、新しい属性をイメージまたはビデオ・エレメントの制御トランスペアレンシーに追加し得る。その他のこの種の典型的な属性は、アドビ・フォトショップやマイクロソフト・オフィス製品のような多くの実装で一般的に使用されている。
【0050】
本発明によるSMILエレメントを置換する制御メッセージは、これらの属性の1つ以上を変更し得ることがわかるであろう。例えば、メディアのソースが同一である間は、制御メッセージにより、変更の対象は継続時間に仕向けられ得る。さらに、異なるメディア・ファイルが指定されることによって、制御メッセージは変更をソースに向け得る。制御メッセージにより、変更の対象を、置換されるエレメントとは完全に異なる新しいエレメントに仕向けるようにすることも十分に可能である。
【0051】
本発明の一実施形態では、現在のSMILプレイ・リストが、取得されるプレーヤに認識されるようにするために、インタフェースが具備される。本発明の一実施形態では、インタフェースに、プレーヤに組み込まれたウェブ・サーバが含まれる。ブラウザまたはプロプライエタリ・コマンドのようなウェブ・クライアントを用いることにより、ウェブ・クライアントは、プレーヤ上の既知のURLにクエリを送信して、ちょうどその時にプレーヤが認識できるような実際のプレイ・リストを得ることができる。つまり、ウェブ・クライアントは、SMILプレーヤに含まれる実際のDOMの表示を得る。これは、変更のベースラインを提供するため、または操作が実行されたことを確認するために使用される。如何なるDOMノードが現在プレーヤに割り当てられているかというマッチングの同期状態それ自体は、図1のサーバ110のような制御装置によって保持されている必要はない。本発明の一実施形態では、このようなインタフェースには、SMILプレーヤに組み込まれたウェブ・サーバを使用するHTTPの「Get」操作が含まれる。
【0052】
本明細書を通して使用された「ディスプレイ」という用語は、ビデオのプレゼンテーションに限定して解釈されるべきものではなく、ディスプレイ上のビデオのプレゼンテーション若しくはスピーカ上のオーディオのプレゼンテーション、または統合装置等のオーディオおよびビデオのプレゼンテーションのような典型的な実施形態を表し得ることに留意すべきである。さらに、本明細書を通して開示した「メディア・コンテンツ」、「メディアの一部」および「メディア・クリップ」という用語は、ビデオの一部若しくはオーディオの一部またはビデオの一部およびオーディオの一部の両方を含むメディア・コンテンツを識別することを意図するものであることに留意すべきである。
【0053】
メディア・プレイ・リストの動的変更の方法、装置およびシステムの様々な実施形態について説明してきたが(説明を意図するものであり、限定を意図するものではない)、当業者は上記開示の内容を踏まえて変更および変形をすることができることに注意する。従って、本発明の範囲および趣旨の範囲内で開示された本発明の特定の実施例において、変更がなされ得ることが理解されるべきである。上述したものは、本発明の様々な実施形態を目的とするものである一方で、本発明の他のおよびさらなる実施形態を、本発明の基本的な範囲から逸脱しない範囲で導き出し得るものである。
本願発明は以下の態様を含む。
(付記1)
プレゼンテーションの少なくとも一部の動的変更を提供する方法であって、
前記プレゼンテーションは、複数のプレイ・シート・エレメントを含み、少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントは、少なくとも1つのイメージ・エレメント、ビデオ・エレメントおよびオーディオ・エレメントからなる群より選択され、
前記方法は、
少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントへの変更を要求する前記プレゼンテーションにおいて位置を識別するステップであって、前記変更は、削除、挿入および置換からなる操作群より選択される少なくとも1つの操作を含む、前記位置を識別するステップと、
前記操作が、挿入および置換の前記操作から選択される場合に、前記少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントと関連する属性情報を識別するステップと、
前記識別された位置における前記少なくとも1つの操作に従って、および前記置換および挿入の操作の場合のみ前記少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントと関連する前記属性情報に従って、前記プレゼンテーションの一部を変更するステップであって、前記プレゼンテーションの前記識別された位置の予定されたプレゼンテーション時間の間に、前記プレゼンテーションをリロードまたはリパースすることなく前記変更が実行される、前記プレゼンテーションの一部を変更するステップと、
を有することを特徴とする、前記方法。
(付記2)
前記プレゼンテーションは、同期化マルチメディア統合言語を用いて記述されることを特徴とする、付記1記載の方法。
(付記3)
前記属性情報は、少なくとも1つの識別子(「id」)、メディア・ソース(「src」)、継続時間(「dur」)および開始時間(「begin」)を含むことを特徴とする、付記1記載の方法。
(付記4)
必要な場合に、前記識別された位置、前記変更および前記属性情報を含む制御メッセージを生成するステップと、
前記制御メッセージをプレゼンテーション装置へ送信するステップと、
を更に含むことを特徴とする、付記1記載の方法。
(付記5)
前記プレゼンテーション装置は、セット・トップ・ボックスおよびソフトウェア・プレーヤからなる群より選択されることを特徴とする、付記4記載の方法。
(付記6)
前記送信は、非同期的に実行されることを特徴とする、付記4記載の方法。
(付記7)
前記送信は、前記制御メッセージを、複数のプレゼンテーション装置から選択される少なくとも1つの装置群へ伝送するステップであって、前記少なくとも1つのグループは、少なくとも1つのプレゼンテーション装置を含む、前記伝送するステップを有することを特徴とする、付記4記載の方法。
(付記8)
プレゼンテーションの少なくとも一部の動的変更を提供するシステムであって、
前記プレゼンテーションは、複数のプレイ・シート・エレメントを含み、各プレイ・シート・エレメントは、イメージ・エレメント、ビデオ・エレメントおよびオーディオ・エレメントからなる群より選択され、
前記システムは、
通信ネットワークを介して少なくとも1つのプレゼンテーション装置に接続されたノードを有し、
前記ノードは、
前記複数のプレイ・シート・エレメントのうちの少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントへの変更を要求する前記プレゼンテーションにおいて位置を識別する手段であって、前記変更は、削除、挿入および置換からなる操作群より選択される少なくとも1つの操作を含む、前記位置を識別する手段と、
前記操作が、挿入および置換の前記操作から選択される場合、前記少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントと関連する属性情報を識別する手段と、
を有し、
前記少なくとも1つのプレゼンテーション装置は、前記識別された位置における前記少なくとも1つの操作に従って、および前記置換および挿入操作の場合のみ前記少なくとも1つのプレイ・シート・エレメントと関連する前記属性情報に従って、前記プレゼンテーションの一部を変更する手段であって、前記プレゼンテーションの前記識別された位置の予定されたプレゼンテーション時間の間に、前記プレゼンテーションをリロードおよびリパースすることなく前記変更が実行される、前記プレゼンテーションの一部を変更する手段を有する、ことを特徴とする、前記システム。
(付記9)
前記ノードは、
必要な場合に、前記識別された位置、前記変更および前記属性情報を含む制御メッセージを生成する手段と、
前記制御メッセージをプレゼンテーション装置へ送信する手段と、
をさらに含むことを特徴とする、付記8記載のシステム。
(付記10)
前記プレゼンテーション装置は、セット・トップ・ボックスおよびソフトウェア・プレーヤからなる群より選択されることを特徴とする、付記8記載のシステム。
(付記11)
前記送信は、非同期的に実行されることを特徴とする、付記8記載のシステム。
(付記12)
前記送信手段は、制御メッセージを、複数のプレゼンテーション装置から選択される少なくとも1つの装置群へ伝送する手段であって、前記少なくとも1つのグループは、少なくとも1つのプレゼンテーション装置を含む、前記伝送する手段を有することを特徴とする、付記8記載のシステム。
(付記13)
前記通信ネットワークは、広域ネットワークであることを特徴とする、付記8記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5