特許第5658231号(P5658231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5658231癌の治療用PI3−キナーゼ阻害薬としてのチア−トリアザ−シクロペンタアズレン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658231
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】癌の治療用PI3−キナーゼ阻害薬としてのチア−トリアザ−シクロペンタアズレン
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/04 20060101AFI20141225BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20141225BHJP
   A61K 31/429 20060101ALI20141225BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20141225BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20141225BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20141225BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C07D513/04 325
   C07D513/04CSP
   C07D519/00
   A61K31/429
   A61K31/4439
   A61K31/454
   A61K31/5377
   A61P37/00
   A61P29/00
   A61P31/04
   A61P35/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】5
【全頁数】90
(21)【出願番号】特願2012-506483(P2012-506483)
(86)(22)【出願日】2010年4月21日
(65)【公表番号】特表2012-524751(P2012-524751A)
(43)【公表日】2012年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2010055295
(87)【国際公開番号】WO2010122071
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2013年4月19日
(31)【優先権主張番号】09158493.8
(32)【優先日】2009年4月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェーン ラルス
(72)【発明者】
【氏名】インパニャティエロ マリア
(72)【発明者】
【氏名】マコーネル ダリル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ジークフリート
(72)【発明者】
【氏名】ヴンベルク トビアス
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第96/009304(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/040279(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/040281(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0247567(US,A1)
【文献】 特表2012−524756(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/039520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1A)
【化1】
(式中、
R1下記基:水素、-NH2
【化2】
-Br
から成る群より選択され;かつ
R2は下記基:
-CH3
【化3】
から成る群より選択され;かつ
R3は下記基:
-CH3、-C(O)OH、
【化4】
から成る群より選択される
の化合物(任意にその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物、並びに任意にその医薬的に許容できる塩の形態であってよ)。
【請求項2】
1種以上の請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に有効な塩を含む医薬製剤
【請求項3】
必要に応じて通常の賦形剤及び/又は担体と共に、活性物質として、請求項1に記載の一般式(1A)の1種以上の化合物又はその薬理学的に有効な塩を含む癌の治療の為の医薬製剤。
【請求項4】
癌、感染症、炎症性及び自己免疫性疾患の治療用薬物及び/又は予防用薬物を調製するための、請求項1に記載の一般式(1A)の化合物の使用。
【請求項5】
請求項1に記載の一般式(1A)の化合物と、式(1A)とは異なる少なくとも1種の他の細胞分裂停止又は細胞傷害活性物質とを含む(任意にその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物、並びに任意にその薬理学的に許容できる塩の形態であってよい)医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(1)
【0002】
【化1】
【0003】
(式中、基R1〜R3及びXは、特許請求の範囲及び明細書で与えられる意味を有する)
の新しいチア-トリアザ-シクロペンタアズレン、その異性体、これらのチア-トリアザ-シクロペンタアズレンの調製方法及びそれらの薬物としての使用に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
いくつかのタンパク質キナーゼが種々の適応症、例えば癌並びに炎症性及び自己免疫性疾患の治療介入に適した標的分子であることが既に判明している。これまでに同定された、癌の発生に関与する遺伝子の高い割合の遺伝子がキナーゼをコード化するので、これらの酵素は特に癌の治療にとって魅力的な標的分子である。
ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(PI3-キナーゼ)は、リン酸基の、ホスホイノシチドのイノシトール環の3´位への転移を触媒する脂質キナーゼのサブファミリーである。
このホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)経路は、広範囲のヒト癌において活性化される。これはPI3Kの突然変異を介して結果として該キナーゼの活性化をもたらすか、或いはホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)抑制因子の不活性化を介して間接的に起こり得る。どちらの場合も、シグナル伝達カスケードの活性化が誘発され、これが、in vitroでもin vivoでも細胞の形質転換を促進する。このカスケード内では、Pi3Kファミリーの酵素及びキナーゼmTORが中心的な役割を果たす。PI3Kファミリーは、別々の基質特異性、発現パターン及び調節様式を有する約15の脂質キナーゼを含む。それらは、例えば細胞の成長及び分化プロセス、細胞骨格変化の制御並びに細胞内輸送プロセスの調節等の多数の細胞プロセスで重要な役割を果たす。特定のホスホイノシチド基質に対するそれらのin vitro特異性に基づいてPI3-キナーゼを異なるカテゴリーに分類することができる。哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mammalian target of rapamycin)(mTOR)は、PI3-キナーゼファミリーの脂質キナーゼに関連するセリン/スレオニンキナーゼである。それは、差別的に調節され、別々の基質特異性を有し、かつラパマイシンに対する感受性が異なる2つの複合体、mTORC1及びmTORC2中に存在する。重要な細胞成長及び生存経路の制御におけるmTORの中心的役割が、ATP部位に結合するのでmTORC2とmTORC1の両方を標的にするmTOR阻害薬を発見することに興味をかき立てた。結果として、特にPi3Kα及びmTORによって媒介される、PI3K経路の阻害が癌治療の魅力的な標的として浮上してきた。
チアゾリル-ジヒドロ-インダゾールは、WO2006040279及びWO2006040281に、例えばキナーゼ阻害化合物として記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の詳細な説明)
今や驚くべきことに、一般式(1)(式中、基R1〜R3及びXは、後述する意味を有する)の化合物が特有のキナーゼの阻害薬として作用することを見い出した。従って、本発明の化合物を例えば特有のキナーゼの活性と関係があり、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用することができる。
本発明は、下記一般式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、
Xは、任意に置換されていてもよいC3アルキリデン鎖であり(任意に1又は2個のメチレン単位が相互独立にO、C(O)、NRgC(O)、S、SO、SO2、NRgSO2、又はNRgと置き換わっていてもよく、かつ置換基は相互独立にRf及びRgから選択される);かつ
R1は水素又はR4を表し;かつ
R2は水素又はR5を表し;かつ
R3は水素又はR6を表し;かつ
R4、R5及びR6は、それぞれ相互独立に、Ra、Rb並びに1個又は2個以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで置換されたRaの中から選択される基を表し;かつ
各Raは、相互独立に、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで置換されていてもよい基を表し、
各Rbは適切な基を表し、相互独立に、=O、-ORc、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRc、=NRc、=NORc、=NNRcRc、=NN(Rg)C(O)NRcRc、-NRcRc、-ONRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)NRcRc、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rc、-S(O)ORc、-S(O)2Rc、-S(O)2ORc、-S(O)NRcRc、-S(O)2NRcRc、-OS(O)Rc、-OS(O)2Rc、-OS(O)2ORc、-OS(O)NRcRc、-OS(O)2NRcRc、-C(O)Rc、-C(O)ORc、-C(O)SRc、-C(O)NRcRc、-C(O)N(Rg)NRcRc、-C(O)N(Rg)ORc、-C(NRg)NRcRc、-C(NOH)Rc、-C(NOH)NRcRc、-OC(O)Rc、-OC(O)ORc、-OC(O)SRc、-OC(O)NRcRc、-OC(NRg)NRcRc、-SC(O)Rc、-SC(O)ORc、-SC(O)NRcRc、-SC(NRg)NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]2、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)C(NRg)Rc、-N(Rg)N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N(Rg)C(S)Rc、-N(Rg)S(O)Rc、-N(Rg)S(O)ORc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N[S(O)2Rc]2、-N(Rg)S(O)2ORc、-N(Rg)S(O)2NRcRc、-N(Rg)[S(O)2]2Rc、-N(Rg)C(O)ORc、-N(Rg)C(O)SRc、-N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(O)NRcORc、-N(Rg)C(O)NRgNRcRc、-N(Rg)N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(S)NRcRc、-[N(Rg)C(O)]2Rc、-N(Rg)[C(O)]2Rc、-N{[C(O)]2Rc}2、-N(Rg)[C(O)]2ORc、-N(Rg)[C(O)]2NRcRc、-N{[C(O)]2ORc}2、-N{[C(O)]2NRcRc}2、-[N(Rg)C(O)]2ORc、-N(Rg)C(NRg)ORc、-N(Rg)C(NOH)Rc、-N(Rg)C(NRg)SRc、-N(Rg)C(NRg)NRcRc、-N=RcRc及び-N=C(Rg)NRcRcの中から選択され、かつ
各Rcは、相互独立に、水素或いはC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRd及び/又はReで置換されていてもよい基を表し、かつ
各Rdは適切な基を表し、相互独立に、=O、-ORe、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRe、=NRe、=NORe、=NNReRe、=NN(Rg)C(O)NReRe、-NReRe、-ONReRe、-N(Rg)NReRe、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Re、-S(O)ORe、-S(O)2Re、-S(O)2ORe、-S(O)NReRe、-S(O)2NReRe、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)2ORe、-OS(O)NReRe、-OS(O)2NReRe、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)SRe、-C(O)NReRe、-C(O)N(Rg)NReRe、-C(O)N(Rg)ORe、-C(NRg)NReRe、-C(NOH)Re、-C(NOH)NReRe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)SRe、-OC(O)NReRe、-OC(NRg)NReRe、-SC(O)Re、-SC(O)ORe、-SC(O)NReRe、-SC(NRg)NReRe、-N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]2、-N(ORg)C(O)Re、-N(Rg)C(NRg)Re、-N(Rg)N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]NReRe、-N(Rg)C(S)Re、-N(Rg)S(O)Re、-N(Rg)S(O)ORe、-N(Rg)S(O)2Re、-N[S(O)2Re]2、-N(Rg)S(O)2ORe、-N(Rg)S(O)2NReRe、-N(Rg)[S(O)2]2Re、-N(Rg)C(O)ORe、-N(Rg)C(O)SRe、-N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(O)NReORe、-N(Rg)C(O)NRgNReRe、-N(Rg)N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(S)NReRe、-[N(Rg)C(O)]2Re、-N(Rg)[C(O)]2Re、-N{[C(O)]2Re}2、-N(Rg)[C(O)]2ORe、-N(Rg)[C(O)]2NReRe、-N{[C(O)]2ORe}2、-N{[C(O)]2NReRe}2、-[N(Rg)C(O)]2ORe、-N(Rg)C(NRg)ORe、-N(Rg)C(NOH)Re、-N(Rg)C(NRg)SRe、-N(Rg)C(NRg)NReRe、-N=ReRe及び-N=C(Rg)NReReの中から選択され、
各Reは、相互独立に、水素或いはC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRf及び/又はRgで置換されていてもよい基を表し、かつ
各Rfは適切な基であり、各場合、=O、-ORg、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRg、=NRg、=NORg、=NNRgRg、=NN(Rh)C(O)NRgRg、-NRgRg、-ONRgRg、-N(Rh)NRgRg、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rg、-S(O)ORg、-S(O)2Rg、-S(O)2ORg、-S(O)NRgRg、-S(O)2NRgRg、-OS(O)Rg、-OS(O)2Rg、-OS(O)2ORg、-OS(O)NRgRg、-OS(O)2NRgRg、-C(O)Rg、-C(O)ORg、-C(O)SRg、-C(O)NRgRg、-C(O)N(Rh)NRgRg、-C(O)N(Rh)ORg、-C(NRh)NRgRg、-C(NOH)Rg、-C(NOH)NRgRg、-OC(O)Rg、-OC(O)ORg、-OC(O)SRg、-OC(O)NRgRg、-OC(NRh)NRgRg、-SC(O)Rg、-SC(O)ORg、-SC(O)NRgRg、-SC(NRh)NRgRg、-N(Rh)C(O)Rg、-N[C(O)Rg]2、-N(ORh)C(O)Rg、-N(Rh)C(NRh)Rg、-N(Rh)N(Rh)C(O)Rg、-N[C(O)Rg]NRgRg、-N(Rh)C(S)Rg、-N(Rh)S(O)Rg、-N(Rh)S(O)ORg、-N(Rh)S(O)2Rg、-N[S(O)2Rg]2、-N(Rh)S(O)2ORg、-N(Rh)S(O)2NRgRg、-N(Rh)[S(O)2]2Rg、-N(Rh)C(O)ORg、-N(Rh)C(O)SRg、-N(Rh)C(O)NRgRg、-N(Rh)C(O)NRgORg、-N(Rh)C(O)NRhNRgRg、-N(Rh)N(Rh)C(O)NRgRg、-N(Rh)C(S)NRgRg、-[N(Rh)C(O)]2Rg、-N(Rh)[C(O)]2Rg、-N{[C(O)]2Rg}2、-N(Rh)[C(O)]2ORg、-N(Rh)[C(O)]2NRgRg、-N{[C(O)]2ORg}2、-N{[C(O)]2NRgRg}2、-[N(Rh)C(O)]2ORg、-N(Rh)C(NRh)ORg、-N(Rh)C(NOH)Rg、-N(Rh)C(NRh)SRg、-N(Rh)C(NRh)NRgRg、-N=RhRh及び-N=C(Rh)NRhRhの中から相互独立に選択され、
各Rgは、相互独立に、水素或いはC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRhで置換されていてもよい基を表し;かつ
各Rhは、相互独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される)
の化合物
(任意にそのプロドラッグ、互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、プロドラッグ及び混合物、並びに任意にその医薬的に許容できる塩の形態であってよく;但し、N-[1-(4-メトキシ-フェニル)-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イル]-アセトアミドは包含されない)に関する。
【0008】
本発明の一態様は、R3が、任意に1個以上のR6で置換されていてもよいイミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル及びピリダジニルから成る群より選択される基である、一般式(1)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R3が、任意に1個以上のR6で置換されていてもよいピリジルである、一般式(1)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R1が、-NHRc、-NHC(O)Rc、-NHC(O)ORc、-NHC(O)NRcRc及び-NHC(O)N(Rg)ORcの中から選択される、一般式(1)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R2が、任意に1個以上のR5で置換されていてもよいC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-10アリール、5〜12員ヘテロアリール及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、一般式(1)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、Xが、無置換C3アルキリデン鎖である、一般式(1)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、下記一般式(1A)
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、
R1は水素又はR4を表し、かつ
R2は水素又はR5を表し、かつ
R3は水素又はR6を表し、かつ
R4、R5及びR6は、それぞれ相互独立に、Ra、Rb並びに1個又は2個以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで置換されたRaの中から選択される基を表し;かつ
各Raは、相互独立に、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで置換されていてもよい基を表し、
各Rbは適切な基を表し、相互独立に、=O、-ORc、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRc、=NRc、=NORc、=NNRcRc、=NN(Rg)C(O)NRcRc、-NRcRc、-ONRcRc、-N(ORc)Rc、-N(Rg)NRcRc、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rc、-S(O)ORc、-S(O)2Rc、-S(O)2ORc、-S(O)NRcRc、-S(O)2NRcRc、-OS(O)Rc、-OS(O)2Rc、-OS(O)2ORc、-OS(O)NRcRc、-OS(O)2NRcRc、-C(O)Rc、-C(O)ORc、-C(O)SRc、-C(O)NRcRc、-C(O)N(Rg)NRcRc、-C(O)N(Rg)ORc、-C(NRg)NRcRc、-C(NOH)Rc、-C(NOH)NRcRc、-OC(O)Rc、-OC(O)ORc、-OC(O)SRc、-OC(O)NRcRc、-OC(NRg)NRcRc、-SC(O)Rc、-SC(O)ORc、-SC(O)NRcRc、-SC(NRg)NRcRc、-N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]2、-N(ORg)C(O)Rc、-N(Rg)C(NRg)Rc、-N(Rg)N(Rg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N(Rg)C(S)Rc、-N(Rg)S(O)Rc、-N(Rg)S(O)ORc、-N(Rg)S(O)2Rc、-N[S(O)2Rc]2、-N(Rg)S(O)2ORc、-N(Rg)S(O)2NRcRc、-N(Rg)[S(O)2]2Rc、-N(Rg)C(O)ORc、-N(Rg)C(O)SRc、-N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(O)NRcORc、-N(Rg)C(O)NRgNRcRc、-N(Rg)N(Rg)C(O)NRcRc、-N(Rg)C(S)NRcRc、-[N(Rg)C(O)]2Rc、-N(Rg)[C(O)]2Rc、-N{[C(O)]2Rc}2、-N(Rg)[C(O)]2ORc、-N(Rg)[C(O)]2NRcRc、-N{[C(O)]2ORc}2、-N{[C(O)]2NRcRc}2、-[N(Rg)C(O)]2ORc、-N(Rg)C(NRg)ORc、-N(Rg)C(NOH)Rc、-N(Rg)C(NRg)SRc、-N(Rg)C(NRg)NRcRc、-N=RcRc及び-N=C(Rg)NRcRcの中から選択され、
各Rcは、相互独立に、水素或いはC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRd及び/又はReで置換されていてもよい基を表し、かつ
各Rdは適切な基を表し、相互独立に、=O、-ORe、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRe、=NRe、=NORe、=NNReRe、=NN(Rg)C(O)NReRe、-NReRe、-ONReRe、-N(Rg)NReRe、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Re、-S(O)ORe、-S(O)2Re、-S(O)2ORe、-S(O)NReRe、-S(O)2NReRe、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)2ORe、-OS(O)NReRe、-OS(O)2NReRe、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)SRe、-C(O)NReRe、-C(O)N(Rg)NReRe、-C(O)N(Rg)ORe、-C(NRg)NReRe、-C(NOH)Re、-C(NOH)NReRe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)SRe、-OC(O)NReRe、-OC(NRg)NReRe、-SC(O)Re、-SC(O)ORe、-SC(O)NReRe、-SC(NRg)NReRe、-N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]2、-N(ORg)C(O)Re、-N(Rg)C(NRg)Re、-N(Rg)N(Rg)C(O)Re、-N[C(O)Re]NReRe、-N(Rg)C(S)Re、-N(Rg)S(O)Re、-N(Rg)S(O)ORe、-N(Rg)S(O)2Re、-N[S(O)2Re]2、-N(Rg)S(O)2ORe、-N(Rg)S(O)2NReRe、-N(Rg)[S(O)2]2Re、-N(Rg)C(O)ORe、-N(Rg)C(O)SRe、-N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(O)NReORe、-N(Rg)C(O)NRgNReRe、-N(Rg)N(Rg)C(O)NReRe、-N(Rg)C(S)NReRe、-[N(Rg)C(O)]2Re、-N(Rg)[C(O)]2Re、-N{[C(O)]2Re}2、-N(Rg)[C(O)]2ORe、-N(Rg)[C(O)]2NReRe、-N{[C(O)]2ORe}2、-N{[C(O)]2NReRe}2、-[N(Rg)C(O)]2ORe、-N(Rg)C(NRg)ORe、-N(Rg)C(NOH)Re、-N(Rg)C(NRg)SRe、-N(Rg)C(NRg)NReRe、-N=ReRe及び-N=C(Rg)NReReの中から選択され、かつ
各Reは、相互独立に、水素或いはC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRf及び/又はRgで置換されていてもよい基を表し、かつ
各Rfは適切な基を表し、各場合、=O、-ORg、C1-3ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRg、=NRg、=NORg、=NNRgRg、=NN(Rh)C(O)NRgRg、-NRgRg、-ONRgRg、-N(Rh)NRgRg、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rg、-S(O)ORg、-S(O)2Rg、-S(O)2ORg、-S(O)NRgRg、-S(O)2NRgRg、-OS(O)Rg、-OS(O)2Rg、-OS(O)2ORg、-OS(O)NRgRg、-OS(O)2NRgRg、-C(O)Rg、-C(O)ORg、-C(O)SRg、-C(O)NRgRg、-C(O)N(Rh)NRgRg、-C(O)N(Rh)ORg、-C(NRh)NRgRg、-C(NOH)Rg、-C(NOH)NRgRg、-OC(O)Rg、-OC(O)ORg、-OC(O)SRg、-OC(O)NRgRg、-OC(NRh)NRgRg、-SC(O)Rg、-SC(O)ORg、-SC(O)NRgRg、-SC(NRh)NRgRg、-N(Rh)C(O)Rg、-N[C(O)Rg]2、-N(ORh)C(O)Rg、-N(Rh)C(NRh)Rg、-N(Rh)N(Rh)C(O)Rg、-N[C(O)Rg]NRgRg、-N(Rh)C(S)Rg、-N(Rh)S(O)Rg、-N(Rh)S(O)ORg、-N(Rh)S(O)2Rg、-N[S(O)2Rg]2、-N(Rh)S(O)2ORg、-N(Rh)S(O)2NRgRg、-N(Rh)[S(O)2]2Rg、-N(Rh)C(O)ORg、-N(Rh)C(O)SRg、-N(Rh)C(O)NRgRg、-N(Rh)C(O)NRgORg、-N(Rh)C(O)NRhNRgRg、-N(Rh)N(Rh)C(O)NRgRg、-N(Rh)C(S)NRgRg、-[N(Rh)C(O)]2Rg、-N(Rh)[C(O)]2Rg、-N{[C(O)]2Rg}2、-N(Rh)[C(O)]2ORg、-N(Rh)[C(O)]2NRgRg、-N{[C(O)]2ORg}2、-N{[C(O)]2NRgRg}2、-[N(Rh)C(O)]2ORg、-N(Rh)C(NRh)ORg、-N(Rh)C(NOH)Rg、-N(Rh)C(NRh)SRg、-N(Rh)C(NRh)NRgRg、-N=RhRh及び-N=C(Rh)NRhRhの中から相互独立に選択され;かつ
各Rgは、相互独立に、水素或いはC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1個又は2個以上の同一若しくは異なるRhで置換されていてもよい基を表し;かつ
各Rhは、相互独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される)
の化合物
(任意にそのプロドラッグ、互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、プロドラッグ及び混合物、並びに任意にその医薬的に許容できる塩の形態であってよく;但し、N-[1-(4-メトキシ-フェニル)-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イル]-アセトアミドは包含されない)である。
【0011】
本発明のさらなる態様は、R3が、任意に1個以上のR6で置換されていてもよいイミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル及びピリダジニルから選択される基である、一般式(1A)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R1が、-NHRc、-NHC(O)Rc、-NHC(O)ORc、-NHC(O)NRcRc及び-NHC(O)N(Rg)ORcの中から選択される、一般式(1A)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R2が、任意に1個以上のR5で置換されていてもよいC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-10アリール、5〜12員ヘテロアリール及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、一般式(1A)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R1が、下記基:水素、-NH2
【0012】
【化4】
【0013】
-Brから成る群より選択される、一般式(1)又は(1A)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R2が、下記基:-CH3
【0014】
【化5】
【0015】
から成る群より選択される、一般式(1)又は(1A)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、R3が、下記基:水素、-CH3、-C(O)OH、
【0016】
【化6】
【0017】
から成る群より選択される、一般式(1)又は(1A)の化合物である。
本発明のさらなる態様は、薬物として使用するための一般式(1)の化合物、又はその医薬的に活性な塩である。
本発明のさらなる態様は、抗増殖活性を有する薬物を調製するための一般式(1)の化合物、又はその薬理学的に有効な塩である。
本発明のさらなる態様は、必要に応じて通常の賦形剤及び/又は担体と共に、活性物質として、一般式(1)の1種以上の化合物又はその生理学的に許容できる塩を含む医薬製剤である。
本発明のさらなる態様は、癌、感染症、炎症性及び自己免疫性疾患の治療及び/又は予防用の医薬組成物を調製するための一般式(1)の化合物の使用である。
本発明のさらなる態様は、一般式(1)の化合物と、式(1)とは異なる少なくとも1種の他の細胞分裂停止又は細胞傷害活性物質とを含む(任意にその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物、並びに任意にその薬理学的に許容できる酸付加塩の形態であってよい)医薬製剤である。
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例証する。
【実施例】
【0018】
(中間体A)
一般手順A1:酸塩化物から1,3-ジケトンの形成。
不活性雰囲気下でモノケトンを乾燥THFに添加し、反応混合物を-78℃に冷却する。反応温度が-60℃未満で維持されるようにゆっくりLiHMDS(3当量)を反応混合物に加える。添加完了後、乾燥THF中の酸塩化物(1〜2当量)の溶液をゆっくり加える。反応混合物を一晩撹拌してRTに戻す。仕上げのため混合物を-20℃に冷却し、反応を希塩酸及びリン酸緩衝液(530mLのH2O中22gのNaH2PO4と87gのNa2HPO4から成る)でクエンチして最終pHを約6にする。酢酸エチルを加え、有機層を分ける、水相を酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を除去する。残存固体をMTBE又はEtOHと摩砕する。生成物をさらに精製せずに使用してよい。
一般手順A2:活性エステルから1,3-ジケトンの形成。
a)活性エステルの形成
カルボン酸をDCM又はDCEに溶かし、CDI(1〜3当量)を加えて反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を50%の飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗生成物をさらに精製せずに使用する。
b)ジケトンの形成
THF中のLiHMDS(3当量)の1M溶液をTHFで希釈し、結果として生じる溶液を不活性雰囲気下で-10℃に冷却する。反応温度が-10℃未満で維持されるように少しずつモノケトンを加える。-10℃でさらに1時間撹拌した後、THF中の活性エステル(1〜2当量)の溶液をゆっくり添加する。反応混合物を一晩撹拌してRTに戻す。反応を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、水相をDCMで2回抽出する。混ぜ合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を除去する。残存固体をMTBE又はEtOHと摩砕する。生成物をさらに精製せずに使用してよい。
【0019】
一般手順A3:エステルからジケトンの形成
モノケトン(1.0当量)をDMSO又はDMFに溶かしてナトリウムtert-ブトキシド又はナトリウムtert-ペントキシド(3当量)を加える。反応混合物を室温で30分間撹拌した後、エステル(1.1当量)をゆっくり加える。エステルの添加完了後、混合物をRTで4〜16時間撹拌し、氷上に注ぎ、塩化アンモニウム飽和溶液又は1M塩酸水溶液で中和する。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、真空下40℃で一晩乾燥させる。
一般手順A4:o-フルオロピリジンの芳香族求核置換
o-フルオロピリジンと過剰のアミンをEtOH又はiPrOH/THF(0.1〜0.2M)に溶かして混合物をマイクロ波内100℃で30〜60分間加熱するか或いは混合物をRTで1〜16時間撹拌する。反応の完了後、減圧下で溶媒を除去し、生成物をクロマトグラフィー(MeOH/DCMを使うNP又はACN/H2Oを使うRP)で精製するか又はそのまま使用する。
A-01) 2-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-シクロヘプタチアゾール-8-オン
【0020】
【化7】
【0021】
シクロヘプタン-1,3-ジオン(20.0g,159mmol)[Organic Process Research & Development 1998, 2, 379に従って調製した]を200mLの酢酸に取って酢酸ナトリウム(14.3g,174mmol)に加える。反応混合物を10分間撹拌し、10℃に冷却してから20分かけて臭素(8.99mL,174mmol)を一滴ずつ加える。反応混合物をRTに戻して2時間撹拌する。チオ尿素(13.2g,174mmol)を加え、反応混合物を85℃に加熱して1時間撹拌する。反応混合物をRTで一晩撹拌し、ろ過し、固体を200mLの石油エーテルで洗浄する。固体を水に取り、ろ過し、ろ液をアンモニア水で塩基性にしてpHを8にする。沈殿固体をろ別し、真空中で乾燥させる。収量:10.0g。HPLC-MS: tR = 0.14分, (M+H)+ = 183. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.81 (s, 2H), 2.84 (t, 2H), 2.58 (t, 2H), 1.81 (m, 4H)。
A-02) N-(8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル)-アセトアミド
【0022】
【化8】
【0023】
150mLの酢酸中のA-01(30.0g,165mmol)の溶液に無水酢酸(16.8g,165mmol)を添加する。反応混合物を116℃に加熱して1時間撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、200mLの氷水に注ぎいで10分間撹拌する。沈殿固体をろ別し、水で洗浄し、真空中で乾燥させる。収量:36.9g。HPLC-MS: tR = 1.09分, (M+H)+ = 225. 1H NMR (DMSO-d6): δ 3.02 (t, 2H), 2.71 (t, 2H), 2.16 (s, 3H), 1.91 (m, 2H), 1.84 (m, 2H)。
A-03) (8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル)-カルバミン酸メチルエステル
【0024】
【化9】
【0025】
0℃でクロロギ酸メチル(3.60mL, 46.6mmol)及びDIPEA(10.0mL,57.6mmol)を40mLの乾燥THF中のA-01(5.00g,27.4mmol)の溶液に加える。冷却浴を取り除いて反応混合物を65℃で一晩撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、1M塩酸を加えて反応混合物をDCMで抽出する。混ぜ合わせた有機相を食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をMeOHと摩砕し、真空中で40℃にて乾燥させる。収量:4.34g。HPLC-MS: tR = 1.89分, (M+H)+ = 241。
A-04) 1,1-ジメチル-3-(8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル)-尿素
【0026】
【化10】
【0027】
300mLのアセトニトリル中のA-01(5.0g,27.4mmol)の溶液にCDI(8.90g,54.9mmol)及びDBU(8.21mL,54.9mmol)を加えて反応混合物を100℃で一晩撹拌する。ジメチルアミンの溶液(69mL,THF中2M)を加えて反応混合物を100℃で一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、70mLの氷水に注ぎ、6M塩酸で酸性にしてpHを5にし、酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機相を食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。収量:5.60g。HPLC-MS: tR = 1.74分, (M+H)+ = 254。
A-05) 6-(tert-ブトキシカルボニル-エチル-アミノ)-ニコチン酸
【0028】
【化11】
【0029】
6-クロロ-ニコチン酸メチルエステル(60g,0.35mol)をTHF中2Mのエチル-アミン500mLに取り、封管内100℃で16時間撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、減圧下で溶媒を除去する。残留物を氷上に注いで15分間撹拌する。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、真空中で乾燥させる。乾燥した6-エチルアミノ-ニコチン酸メチルエステル(30g,0.17mol)を150mLのDCMに溶かし、トリエチルアミン(29mL,0.20mol)、DMAP(4.0g,33mmol)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(100mL,0.42mol)を0℃で連続的に加える。反応混合物をRTまで温めて16時間撹拌する。反応混合物に水中10%のクエン酸100mLを添加して反応混合物を10分間撹拌する。有機相を分け、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。
収量:60g。
粗製6-(tert-ブトキシカルボニル-エチル-アミノ)-ニコチン酸メチルエステルを100mLのジオキサンに取り、100mLの水中の水素化リチウム一水和物(13.5g,0.32mol)の溶液を加えて反応混合物をRTで4時間撹拌する。減圧下で反応混合物からジオキサンを除去し、さらに水を加え、水中10%のクエン酸の溶液で反応混合物を酸性にしてpHを6にする。生じた沈殿物をろ別し、真空中で乾燥させる。収量:36g。1H NMR (DMSO-d6): δ 13.2 (s, 1H), 8.8 (s, 1H), 8.2 (d, 1H), 7.8 (d, 1H), 4.0 (四重線, 2H), 1.5 (s, 9H), 1.2 (t, 3H)。
A-06) (5-クロロカルボニル-ピリジン-2-イル)-エチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0030】
【化12】
【0031】
A-05(6.40g,24.0mmol)を150mLのDCEに取り、1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニル-アミン(6.42mL,48.1mmol)を加えて反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を精製せずに次工程で使用する。
A-07) (5-クロロカルボニル-ピリジン-2-イル)-メチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0032】
【化13】
【0033】
6-(tert-ブトキシカルボニル-メチル-アミノ)-ニコチン酸(12.5g,47.0mmol)[エチルアミンの代わりにメチルアミンを用いてA-05と同様に調製した]を300mLのDCEに取り、1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニル-アミン(10.0mL,74.8mmol)を加えて反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を精製せずに次工程で使用する。
A-08) 6-[N,N-ジ-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ]-ニコチン酸
【0034】
【化14】
【0035】
6-アミノ-ニコチン酸メチルエステル(13.7g,90.0mmol)、トリエチルアミン(12.5mL,90.0mmol)及びDMAP(3.30g,27.0mmol)を200mLのDCMに取り、40mLのDCM中の二炭酸ジ-tert-ブチル(41.3g,189mmol)の溶液を一滴ずつ添加する。反応混合物をRTで一晩撹拌する。5%のKHSO4水溶液を加えて反応混合物をDCMで抽出する。混ぜ合わせた有機相を50%の飽和KHCO3水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。収量:34.9g。
この残留物のうち17.3gを150mLのMeOHと300mLの水の混合物に取り、水素化リチウム(2.33g,97.3mmol)を加えて反応混合物をRTで3時間撹拌する。反応混合物を酢酸で酸性にしてpHを4にし、生じた沈殿物をろ別し、水で洗浄し、真空中で乾燥させる。収量:11.8g。1H NMR (DMSO-d6): δ 9.0 (s, 1H), 8.2 (d, 1H), 7.2 (d, 2H), 1.4 (s, 18H)。
A-09) N-tert-ブトキシカルボニル-(5-クロロカルボニル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0036】
【化15】
【0037】
A-08(5.00g,14.8mmol)をトルエンとの共沸蒸留で乾燥させてから20mLの乾燥THFに取って0℃に冷却する。1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニル-アミン(3.95g,30.0mmol)を一滴ずつ加えて反応混合物をRTで3時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を精製せずに次工程で使用する。
A-10) [5-(2-アセチルアミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-メチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0038】
【化16】
【0039】
A-02(4.68g,20.9mmol)及びA-07(9.04g,33.4mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-10を調製する。収量:4.63g。HPLC-MS: tR = 2.32分, (M+H)+ = 459, (M+H-C4H8)+ = 403。
A-11) [5-(2-アセチルアミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-エチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0040】
【化17】
【0041】
A-02(2.25g,10.0mmol)及びA-06 (4.27g,15.0mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-11を調製する。収量:3.13g。HPLC-MS: tR = 2.59分, (M+H)+ = 473, (M+H-C4H8)+ = 417。
A-12) N-tert-ブトキシカルボニル-[5-(2-アセチルアミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0042】
【化18】
【0043】
A-02(2.08g,9.28mmol)及びA-09(5.30g,14.9mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-12を調製する。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン中50〜100%の酢酸エチル)で精製する。収量:3.46g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 2.26/2.36分, (M+H)+ = 545, (M+H-CO2-C4H8)+ = 445, (M+H-CO2-2*C4H8)+ = 389, (M+H-2*CO2-2*C4H8)+ = 345。
A-13) (8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル)-チオカルバミン酸S-エチルエステル
【0044】
【化19】
【0045】
50mLのピリジン中のA-01(5.00g,27.4mmol)の混合物にクロロチオギ酸エチル(4.17mL,387.4mmol)を加えて反応混合物を50℃で1時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、DCMに取り、1M塩酸及びNaHCO3飽和水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をジエチルエーテルと摩砕する。収量:5.03g。HPLC-MS: tR = 2.46分, (M+H)+ = 271。
A-14) {5-[2-(3,3-ジメチル-ウレイド)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル]-ピリジン-2-イル}-メチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0046】
【化20】
【0047】
A-04(5.60g,22.1mmol)及びA-07(9.58g,35.4mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-14を調製する。生成物をHPLC(C18,0.1%ギ酸を含む水中10〜98%のアセトニトリル)で精製する。収量:2.19g。HPLC-MS: tR = 2.24分, (M+H)+ = 488, (M+H-CO2-C4H8)+ = 388。
A-15) {5-[2-(3,3-ジメチル-ウレイド)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル]-ピリジン-2-イル}-エチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0048】
【化21】
【0049】
A-04(2.00g,7.90mmol)及びA-06(3.60g,12.6mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-15を調製する。生成物をHPLC(C18,0.1%ギ酸を含む水中2〜98%のアセトニトリル)で精製する。収量:0.48g。HPLC-MS: tR = 2.32分, (M+H)+ = 502, (M+H-CO2-C4H8)+ = 402。
A-16) N-tert-ブトキシカルボニル-{5-[2-(3,3-ジメチル-ウレイド)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル]-ピリジン-2-イル}-エチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0050】
【化22】
【0051】
A-04(2.50g,9.87mmol)及びA-09(5.63g,15.8mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-16を調製する。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン中50〜100%の酢酸エチル)で精製する。収量:2.07g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク2.24/2.39分, (M-H)- = 572。
A-17) {7-[6-(tert-ブトキシカルボニル-メチル-アミノ)-ピリジン-3-カルボニル]-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル}-カルバミン酸メチルエステル
【0052】
【化23】
【0053】
A-03(1.00g,4.16mmol)及びA-07(1.80g,6.66mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-17を調製する。収量:1.70g。HPLC-MS: tR = 2.40分, (M+H)+ = 475, (M+H-C4H8)+ = 419。
A-18) N-[7-(6-メチル-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-アセトアミド
【0054】
【化24】
A-02(3.47g,15.3mmol)及び6-メチルニコチン酸メチル(2.78g,18.4mmol)から出発する一般手順A3を利用してA-18を調製する。反応をDCMで仕上げ、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン中33〜66%の酢酸エチル後、酢酸エチル中12%のアセトニトリル)で精製する。収量:1.82g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.49/1.67分, (M+H)+ = 344。
A-19) [7-(6-メチル-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-カルバミン酸メチルエステル
【0055】
【化25】
【0056】
A-03(2.0g,8.32mmol)及び6-メチルニコチン酸(5.0g,36.5mmol)から出発する一般手順A2を用いてA-19を調製する。収量:2.37g。HPLC-MS: tR = 1.90分, (M+H)+ = 360。
A-20) N-[7-(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-アセトアミド
【0057】
【化26】
【0058】
A-02(1.64g,7.31mmol)及び6-フルオロニコチン酸クロリド(1.56g,8.78mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-20を調製する。収量:1.98g。HPLC-MS: tR = 1.20分, (M+H)+ = 348。
A-21) N-[7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-アセトアミド
【0059】
【化27】
【0060】
A-20(2.67g,7.69mmol)及び水中41%のメチルアミン(2.86mL,33.8mmol)から出発する一般手順A4を利用してA-21を調製する。収量:1.29g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.32/1.65分, (M+H)+ = 359。
A-22) N-[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-アセトアミド
【0061】
【化28】
【0062】
A-20(1.46g,4.20mmol)及びMeOH中2Mのエチルアミン(11.3mL,22.7mmol)から出発する一般手順A4を利用してA-22を調製する。収量:0.56g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.49/1.82分, (M+H)+ = 373。
A-23) N-(7-ホルミル-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル)-アセトアミド
【0063】
【化29】
【0064】
A-02(3.70g,16.5mmol)及びギ酸エチル(3.90mL,47.4mmol)から出発する一般手順A3を利用してA-23を調製する。収量:2.80g。HPLC-MS: tR = 0.74分, (M+H)+ = 253。
A-24) (2-アセチルアミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-イル)-オキソ-酢酸
【0065】
【化30】
【0066】
50mLのDMFと60mLのトルエンの混合物中のナトリウムtert-ペントキシド(12.5g,114mmol)の懸濁液にA-02(8.50g,38.0mmol)をゆっくり加えて反応混合物を10分間撹拌する。シュウ酸ジメチル(14.3g,120mmol)をゆっくり加え、完全な添加後、反応混合物を40℃で10分間撹拌する。反応混合物を2M塩酸で酸性にしてpHを3にし、50mLの水を加えて反応混合物を1時間撹拌する。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた有機相を水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。収量:9.00g。
A-25) 2-アミノ-7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-シクロヘプタチアゾール-8-オン
【0067】
【化31】
【0068】
A-22(2.0g,5.37mmol)を6.0mLのジオキサンに取り、4.2mLの濃塩酸を加えて反応混合物を95℃で2時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、15mLの水に取って凍結乾燥させる。
収量:1.95g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.55/1.64分, (M+H)+ = 331。
A-26) 1-[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-3-メチル-尿素
【0069】
【化32】
【0070】
A-25(0.30g,0.91mmol)を15mLのアセトニトリルに取り、DBU(0.27mL,1.8mmol)とCDI(0.37g,2.3mmol)を加えて反応混合物を閉じたバイアル内で100℃にて加熱する。反応混合物をRTに冷まし、メチルアミン(4.5mL,THF中2M)を加えて反応混合物を100℃で一晩加熱する。反応混合物を減圧下で濃縮し、生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸含む水中20〜80%のアセトニトリル)で精製する。収量:79mg。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.69/1.78分, (M+H)+ = 388。
A-27) {[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イルカルバモイル]-メチル}-メチル-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0071】
【化33】
【0072】
(tert-ブトキシカルボニル-メチル-アミノ)-酢酸(0.43g,2.3mmol)を50mLのDCMに取り、CDI(0.37g,2.3mmol)を加えて反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を20mLの50%飽和食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物を2mLのアセトニトリルに取り、5mLのアセトニトリル中のA-25(0.30g,0.91mmol)とDBU (0.20mL,1.4mmol)の混合物に加える。反応混合物を100℃で2時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュ クロマトグラフィー(シリカゲル,DCM中1〜6%のメタノール)で精製する。収量:0.33g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.94/1.97分, (M+H)+ = 502。
A-28) 4-ジメチルアミノ-N-[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-ブチルアミド
【0073】
【化34】
【0074】
4-ジメチル酪酸塩酸塩(0.38g,2.3mmol)及びA-25(0.30g,0.91mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-28を調製する。収量:0.75g,含量 約40%。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.48/1.60分, (M+H)+ = 444。
A-29) N-[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-3-メトキシ-プロピオンアミド
【0075】
【化35】
【0076】
3-メトキシプロピオン酸(0.21mL,2.3mmol)及びA-25(0.30g,0.91mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-29を調製する。収量:0.43g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.76/1.82分, (M+H)+ = 417。
A-30) N-[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-3-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-プロピオンアミド
【0077】
【化36】
【0078】
3-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)プロピオン酸(0.35g,2.3mmol)及びA-25(0.30g,0.91mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-30を調製する。収量:0.93g,含量 約40%。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.53/1.61分, (M+H)+ = 467。
A-31) N-[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-2-メトキシ-アセトアミド
【0079】
【化37】
【0080】
A-25(0.40g,0.91mmol)を5mLのアセトニトリルに取り、DBU(0.27mL,1.8mmol)を加えて反応混合物をRTで10分間撹拌する。2mLのアセトニトリル中のメトキシアセチルクロリド(0.28mL,3.0mmol)の溶液を加えて反応混合物を100℃で2時間撹拌する。反応混合物をRTに冷まし、減圧下で濃縮する。生成物をフラッシュ クロマトグラフィー(シリカゲル,DCM中0〜10%のMeOH)で精製する。収量:0.54g。HPLC-MS: tR = 1.68分, (M+H)+ = 403。
A-32) {[7-(6-エチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イルカルバモイル]-メチル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0081】
【化38】
【0082】
tert-ブトキシカルボニルアミノ-酢酸(0.75g,4.3mmol)及びA-25(0.40g,1.2mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-33を調製する。収量:0.29g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.81/1.85分, (M+H)+ = 488。
A-33) N-(7-{6-[(2,6-ジメトキシ-ピリジン-3-イルメチル)-アミノ]-ピリジン-3-カルボニル}-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル)-アセトアミド
【0083】
【化39】
【0084】
A-20(15g,43mmol)及び2,4-ジメトキシベンジルアミン(16mL,108mmol)から出発する一般手順A4を利用してA-33を調製する。収量:27g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 2.01/2.04分, (M+H)+ = 495, 純度60%。
A-34) 2-アミノ-7-(6-アミノ-ピリジン-3-カルボニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-シクロヘプタチアゾール-8-オン
【0085】
【化40】
【0086】
A-32(17g,21mmol)から出発して実施例A-25と同様に実施例A-34を調製する。収量:14g。HPLC-MS: tR = 0.73分, (M+H)+ = 303。
A-35) {[7-(6-アミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イルカルバモイル]-メチル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0087】
【化41】
【0088】
tert-ブトキシカルボニルアミノ-酢酸(1.5g,8.6mmol)及びA-34(2.3g,2.5mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-35を調製する。収量:0.87g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.80/1.84分, (M+H)+ = 460。
A-36) N-[7-(6-アミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-3-メトキシ-プロピオンアミド
【0089】
【化42】
【0090】
3-メトキシプロピオン酸(0.81mL,8.6mmol)及びA-34(2.3g,2.5mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-36を調製する。収量:0.35g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク1.66/1.73分, (M+H)+ = 389。
A-37) 2-アミノ-7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-シクロヘプタチアゾール-8-オン
【0091】
【化43】
【0092】
A-10(5.8g,13mmol)から出発して実施例A-25と同様に実施例A-37を調製する。収量:5.3g。HPLC-MS: tR = 0.53分, (M+H)+ = 317。
A-38) N-[7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-3-メトキシ-プロピオンアミド
【0093】
【化44】
【0094】
3-メトキシプロピオン酸(0.19mL,2.0mmol)及びA-37(0.50g,1.3mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-38を調製する。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.51/1.58分, (M+H)+ = 403。
A-39) N,N-ジメチル-N'-[7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-スクシンアミド
【0095】
【化45】
【0096】
N,N-ジメチル-スクシンアミド酸(0.39g,2.7mmol)及びA-37(0.50g,1.3mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-39を調製する。収量:0.23g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.73/2.00分, (M+H)+ = 444。
A-40) 3-(1H-イミダゾール-2-イル)-N-[7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-プロピオンアミド
【0097】
【化46】
【0098】
3-(1H-イミダゾール-2-イル)-プロピオン酸(0.51g,2.9mmol)及びA-37(0.50g,1.3mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-40を調製する。収量:0.11g。HPLC-MS: tR = 0.17分, (M+H)+ = 439。
A-41) 1-トリチル-1H-イミダゾール-4-カルボン酸
【0099】
【化47】
【0100】
3H-イミダゾール-4-カルボン酸メチルエステル(9.86g,78.2mmol)を150mLのDCMに取り、トリエチルアミン(11.9mL,86.0mmol)を加えて反応混合物をRTで5分間撹拌する。クロロトリフェニルメタン(24.0g,86.0mmol)を加えて反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を5%NaHCO3水溶液で抽出し、有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物(20.7g)を100mLのMeOHに取り、20mLの水中の水素化リチウム(4.80g,24.0mmol)の水溶液を一滴ずつ加えて反応混合物をRTで週末にかけて撹拌する。6N塩酸で反応混合物を酸性にしてpHを4にし、200mLのDCMを加え、二相混合物を激しく撹拌する。相を分け、有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。収量:19.2g。HPLC-MS: 二重ピーク tR = 2.55/2.67分, (M-H)- = 353。
A-42) 1-トリチル-1H-イミダゾール-4-カルボニルクロリド
【0101】
【化48】
【0102】
A-41(15.9g,45.0mmol)及び1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニル-アミン(10mL,75mmol)から出発して実施例A-09と同様にA-42を調製する。粗生成物を精製せずに次工程で使用する。
A-43) N-[8-オキソ-7-(1-トリチル-1H-イミダゾール-4-カルボニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-アセトアミド
【0103】
【化49】
【0104】
A-02(4.00g,17.8mmol)及びA-42(16.6g,44.6mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-43を調製する。粗生成物を精製せずに次工程で使用する。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 2.66/2.80分, (M-H)- = 559。
A-44) 2-メチル-1-(2-トリメチルシラニル-エトキシメチル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸
【0105】
【化50】
【0106】
2-メチル-1H-イミダゾール-4-カルボン酸メチルエステル(10.4g,74.1mmol)を100mLのDMFに取り、水素化ナトリウム(4.15g,鉱油中60%,104mmol)を少しずつ加え、全ての気体の発生が止むまで反応混合物をRTで撹拌する。(2-クロロメトキシ-エチル)-トリメチル-シラン(14.4mL,81.6mmol)を加えて反応混合物をRTで0.5時間撹拌する。水を加えて反応混合物を酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物(20.0g)を20mLのジオキサンに取り、100mLの水中の水素化リチウム(3.54g,148mmol)の溶液をゆっくり加える。反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を0℃に冷却し、6N塩酸を添加して酸性にしてpHを4にし、DCMで抽出する。混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。収量:7.01g。HPLC-MS: tR = 2.16分, (M-H)- = 257。
A-45) 2-メチル-1-(2-トリメチルシラニル-エトキシメチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニルクロリド
【0107】
【化51】
【0108】
A-44 (7.3g,28mmol)及び1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニル-アミン(6.8mL,51mmol)から出発して実施例A-09と同様にA-45を調製する。粗生成物を精製せずに次工程で使用する。
A-46) N-{7-[2-メチル-1-(2-トリメチルシラニル-エトキシメチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニル]-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル}-アセトアミド
【0109】
【化52】
【0110】
A-02(4.20g,18.7mmol)及びA-45(7.72g,28.1mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-46を調製する。収量:1.5g。HPLC-MS: tR = 2.01分, (M+H)+ = 463。
A-47) (5-クロロカルボニル-ピリジン-2-イル)-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0111】
【化53】
【0112】
6-(tert-ブトキシカルボニル-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-アミノ)-ニコチン酸(23g,59mmol)[エチルアミンの代わりに2,4-ジメトキシベンジルアミンを用いてA-05と同様に調製した]を400mLの乾燥THFに取り、1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニル-アミン (15mL,112mmol)を加えて反応混合物をRTで0.5時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を精製せずに次工程で使用する。
A-48) [5-(2-アセチルアミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0113】
【化54】
【0114】
A-02(10g,45mmol)及びA-47(27g,67mmol)から出発して一般手順A1を利用してA-48を調製する。粗生成物を精製せずに次工程で使用する。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 2.31/2.42分, (M+H)+ = 595。
A-49) [5-(2-アセチルアミノ-8-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルトリフルオロホウ酸塩
【0115】
【化55】
【0116】
A-48(4.0g,6.3mmol)を50mLのDCMに取り、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.6mL,20mmol)を加えて反応混合物をRTで2時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、精製せずに次工程で使用する。収量:4.5g。HPLC-MS: tR = 2.23分, (M+H-boc)+ = 543。
A-50) [5-(2-アセチルアミノ-8-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-メチル-カルバミン酸tert-ブチルエステルトリフルオロホウ酸塩
【0117】
【化56】
【0118】
A-10(10.5g,22.9mmol)を50mLのDCMに取り、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(8.13mL,68.7mmol)を加えて反応混合物をRTで1時間撹拌する。沈殿生成物をろ別し、ジエチルエーテルと摩砕し、真空中40℃で乾燥させる。収量:11.3g。HPLC-MS: tR = 1.93分, (M+H-boc)+ = 407。
A-51) [5-(2-アセチルアミノ-8-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-7-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-エチル-カルバミン酸tert-ブチルエステルトリフルオロホウ酸塩
【0119】
【化57】
【0120】
A-11(5.00g,10.6mmol)を100mLのDCMに取り、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(4.02mL,31.7mmol)を加えて反応混合物をRTで0.5時間撹拌する。沈殿生成物をろ別し、真空中40℃で乾燥させる。収量:6.36g。HPLC-MS: tR = 2.38分, (M+H)+ = 521。
A-52) [7-(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-チオカルバミン酸S-エチルエステル
【0121】
【化58】
【0122】
A-13 (2.00g,7.40mmol)及び6-フルオロニコチン酸クロリド(1.53g,9.62mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-52を調製する。収量:2.59g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 2.47/2.68分, (M+H)+ = 394。
A-53) {7-[6-(2,4-ジメトキシ-ベンジルアミノ)-ピリジン-3-カルボニル]-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル}-チオカルバミン酸S-エチルエステル
【0123】
【化59】
【0124】
A-52(2.59g,6.58mmol)及び2,4-ジメトキシベンジルアミン(2.47mL,16.5mmol)から出発する一般手順A4を利用してA-53を調製する。収量:3.08g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク2.49/2.63分, (M+H)+ = 541。
A-54) {7-[6-メチルアミノ)-ピリジン-3-カルボニル]-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル}-チオカルバミン酸S-エチルエステル
【0125】
【化60】
【0126】
A-52(4.00g,10.2mmol)及び水中40%のメチルアミン(3.95mL,50.8mmol)から出発する一般手順A4を利用してA-54を調製する。収量:1.45g。
A-55) 1-メチル-3-[7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-尿素
【0127】
【化61】
【0128】
A-54(0.50g,1.2mmol)をMeOH中2Mのメチルアミン5mLに取り、閉じたバイアル内で120℃にて20分間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。収量:0.46g。
A-56) N-[7-(6-アミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-4-ジメチルアミノ-ブチルアミド
【0129】
【化62】
【0130】
4-ジメチルアミノ-酪酸塩酸塩(1.14g,6.81mmol)及びA-34(1.76g,5.82mmol)から出発して実施例A-27と同様に実施例A-56を調製する。収量:0.35g。HPLC-MS: tR = 1.41分, (M+H)+ = 416。
A-57) [7-(6-クロロ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-チオカルバミン酸S-エチルエステル
【0131】
【化63】
【0132】
A-13(2.90g,10.7mmol)及び6-クロロニコチン酸クロリド(2.27g,12.9mmol)から出発する一般手順A1を利用してA-57を調製する。収量:4.14g。HPLC-MS: tR = 2.72分, (M+H)+ = 410/412。
A-58) N-[7-(3-メチル-3H-イミダゾール-4-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-アセトアミド
【0133】
【化64】
【0134】
A-02(3.5g,15.6mmol)及び3-メチル-3H-イミダゾール-4-カルボン酸(3.15g,25.0mmol)から出発する一般手順A2を利用してA-58を調製する。収量:1.64g。HPLC-MS: tR = 1.68分, (M+H)+ = 333。
A-59) N-[7-(6-アミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-2-メトキシ-アセトアミド
【0135】
【化65】
【0136】
メトキシアセチルクロリド(0.38mL,4.1mmol)及びA-37(0.70g,1.6mmol)から出発して実施例A-31と同様に実施例A-59を調製する。収量:0.27g。HPLC-MS: tR = 二重ピーク 1.66/1.73分, (M+H)+ = 375。
A-60) N-[7-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-カルボニル)-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタチアゾール-2-イル]-2-メトキシ-アセトアミド
【0137】
【化66】
【0138】
メトキシアセチルクロリド(0.21g,1.9mmol)及びA-34(0.50g,1.3mmol)から出発して実施例A-31と同様に実施例A-60を調製する。収量:0.72g。HPLC-MS: tR = 1.99分, (M+H)+ = 389。
【0139】
(実施例B)
以下の一般手順に従って実施例B-01〜B-147を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切なヒドラジンとジケトンを推定することができる。
一般手順B1:
適切なジケトン(1当量)と適切なヒドラジン又はヒドラジン塩(1〜10当量)を酢酸に加えて反応混合物を60℃〜90℃に1〜16時間加熱する。減圧下で酢酸を除去し、残留物を水に取る。反応混合物を10NのNaOH水溶液で中和してpHを5〜6にしてDCMで抽出する。混ぜ合わせた有機相を水及び食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去する。生成物をNP又はRPカラムクロマトグラフィーで精製してよい。
一般手順B2:
適切なヒドロキシケトントリフルオロホウ酸塩(1当量)をDMSOに加えて80℃に0.5〜1時間加熱する。適切なヒドラジン(1〜10当量)又はヒドラジン塩と炭酸カリウム(両方とも3〜10当量)を添加して反応混合物を80℃で1〜6時間加熱する。反応混合物を直接RPカラムクロマトグラフィーで精製することができ、或いは水と酢酸エチルで仕上げ、減圧下での濃縮後、NP又はRPカラムクロマトグラフィーで精製することができる。
【0140】
【表1】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
B-148) 1-[3-(6-アミノ-ピリジン-3-イル)-1-o-トリル-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イル]-3-メチル-尿素
【0167】
【化67】
【0168】
実施例B-146(0.13g,0.26mmol)を1mLのNMPに取り、THF中40%のメチルアミン(0.52mL,1.0mmol)を加え、マイクロ波照射を用いて反応混合物を120℃に10分間加熱する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中50〜98%のMeOH)で精製する。収量:70mg。HPLC-MS: tR = 1.95分, (M+H)+ = 446。
B-149) 1-[3-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-1-o-トリル-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イル]-3-メチル-尿素
【0169】
【化68】
【0170】
実施例B-147(0.20g,0.40mmol)を2mLのNMPに取り、THF中40%のメチルアミン(0.40mL,0.80mmol)を加え、マイクロ波照射を用いて反応混合物を120℃に10分間加熱する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中50〜98%のMeOH)で精製する。収量:105mg。HPLC-MS: tR = 2.54分, (M+H)+ = 469/471。
B-150) 1-[1-(2-フルオロ-フェニル)-3-(6-メチルアミノ-ピリジン-3-イル)-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イル]-3-メチル-尿素
【0171】
【化69】
【0172】
実施例B-149(0.11g,0.22mmol)、THF中40%のメチルアミン(0.56mL,1.1mmol)、酢酸パラジウム(II)(1mg)、(R)-1-[(1S)-2-(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]-エチル-ジ-tert-ブチルホスフィン(1.2mg)及びナトリウムtert-ブトキシド(24mg)を1mLのジメトキシエタンに添加してアルゴン雰囲気下100℃で一晩撹拌する。反応混合物を水中に注いで酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中50〜98%のMeOH)で精製する。収量:23mg。HPLC-MS: tR = 1.46分, (M+H)+ = 464。
【0173】
(実施例C)
以下の一般手順に従って実施例Bから実施例C-01〜C-07を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切な実施例Bを推定することができる。
一般手順C:
適切な実施例B(1当量)をジオキサンに取り、濃塩酸(10当量)を加えて反応混合物を95℃で1〜3時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製する。
【0174】
【表2】
【0175】
【0176】
C-08) 1-イソプロピル-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン
【0177】
【化70】
【0178】
C-05(0.10g,0.40mmol)、tert-ブチルニトリル(65μL,0.49mmol)及びメタノール(0.10mL)の混合物を2mLのアセトニトリルに取って60℃で1時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、生成物をHPLC(C18,0.1%のトリフルオロ酢酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製する。HPLC-MS: tR = 1.72分, (M+H)+ = 234. 1H NMR (DMSO-d6): δ 9.1 (s, 1H), 7.4 (s, 1H), 4.9 (m, 1H), 3.1 (t, 2H), 2.7 (t, 2H), 2.0 (五重線, 2H), 1.4 (2, 6H)。
(実施例D)
以下の一般手順に従って実施例Cから実施例D-01〜D-07を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切なアミン及び実施例Cを推定することができる。
一般手順D:
適切な実施例C(1当量)をアセトニトリルに取り、DBU(2当量)及びCDI(2当量)を加えて反応混合物を100℃で一晩撹拌する。アミンを加えて反応混合物を再び100℃で一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製する。
【0179】
【表3】
【0180】
【0181】
(実施例E)
以下の一般手順に従って実施例B-73、B-14又はCから実施例E-01〜E-18を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切なアミン又は酸を推定することができる。
一般手順E1:
実施例B-73(1当量)をDMAに取り、DIPEA(2.5当量)及びHATU(1.3当量)を加えて反応混合物をRTで10分間撹拌する。アミンを加えて反応混合物をRTで一晩撹拌した後、55℃で1時間撹拌する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製することができる。
一般手順E2:
酸(1〜3当量)をNMPに取り、DIPEA(3.5当量)及びHATU(2〜4当量)を加えて反応混合物をRTで10分間撹拌する。実施例B-145又はC(1当量)を加えて反応混合物を60℃で一晩撹拌する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製することができる。
【0182】
【表4】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
(実施例F)
F-01) 8-ブロモ-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン
【0187】
【化71】
【0188】
F-01a) N-(1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イル)-アセトアミド
【0189】
【化72】
【0190】
酢酸中のA-23(5.0g,20mmol)とメチルヒドラジン硫酸塩(14g,0.10mol)の混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物をろ過し、固体を真空中で乾燥させる。収量:7.0g。Rf (アルミナ上シリカ,酢酸エチル) = 0.40. MS (M+H) = 263. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.2 (s, 1H), 4.0 (s, 3H), 3.0 (m, 2H), 2.7 (m, 2H), 2.2 (s, 3H), 1.9 (m, 2H)。
F-01b) 1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロ-9-チア-1,2,7-トリアザ-シクロペンタ[e]アズレン-8-イルアミン
【0191】
【化73】
【0192】
100mLの水中のF-01a(7.0g,20mmol)の混合物に20mLの濃塩酸を加えて反応混合物を80℃で一晩撹拌する。反応混合物を0℃に冷却し、NaHCO3飽和水溶液で中和してDCMで抽出する。混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。収量:3.5g。Rf (アルミナ上シリカ,CHCl3中10%のMeOH) = 0.30. MS (M+H) = 221. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.2 (s, 1H), 7.1 (s, 2H), 3.9 (s, 3H), 2.8 (m, 2H), 2.6 (m, 2H), 1.8 (m, 2H)。
0℃でtert-ブチルニトリル(2.1mL,18mmol)とCuBr2(3.6g,16mmol)を25mLのアセトニトリル中のF-01b(3.0g,14mmol)の混合物に加えて反応混合物を2時間撹拌する。水中10%の硫酸を添加して反応をクエンチし、DCMで抽出する。混ぜ合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,石油エーテル中20%の酢酸エチル)で精製する。収量:2.0g。Rf(アルミナ上シリカ,CHCl3中10%のMeOH) = 0.88. MS (M+H) = 284/286. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.3 (s, 1H), 4.0 (s, 3H), 3.2 (m, 2H), 2.8 (m, 2H), 1.9 (m, 2H)。
以下の一般手順に従って実施例F-01から実施例F-02〜F-10を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切なアミンを推定することができる。
一般手順F:
F-01(1当量)をNMPに取り、炭酸カリウム(2.5当量)及びアミン(1.5当量)を加えて反応混合物を80℃で一晩撹拌する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製することができる。
【0193】
【表5】
【0194】
【0195】
(実施例G)
以下の一般手順に従って実施例F-01から実施例G-01〜G-03を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切なボロン酸を推定することができる。
一般手順G:
F-01(1当量)、ボロン酸(1.3当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.1当量)及び炭酸カリウム(4当量)を1,2-ジメトキシエタンに取って70℃で一晩撹拌する。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製する。
【0196】
【表6】
【0197】
(実施例H)
以下の一般手順に従って実施例F-01から実施例H-01及びH-02を合成することができる。実施例の表から合成に必要な適切なアミドを推定することができる。
一般手順H:
F-01(2当量)、アミド(1当量)、炭酸カリウム(4当量)、CuI(0.1当量)及び2-ジメチルアミノ-エチルアミン(0.2当量)をトルエンに取って100℃で4日間撹拌する。水を加えて反応混合物を酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機相を食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。生成物をHPLC(C18,0.1%のギ酸を含む水中5〜98%のアセトニトリル)で精製する。
【0198】
【表7】
【0199】
(分析方法1)
HPLC:Agilent 1100 Series
MS:Agilent LC/MSD SL
カラム:Waters, XBridgeTM C18、2.5μm、2.1×20mm
溶媒A=水+0.1%NH3(pH 9〜10)、B=アセトニトリル HPLCグレード
検出:MSポジティブ及びネガティブ、質量範囲120〜800m/z、
フラグメンター70、ゲインEMV 1、許容限界150、目盛サイズ0.25
UV 315nm、バンド幅170nm、レファレンスオフ、レンジ210〜400nm、
レンジ目盛2.00nm、ピーク幅0.01分、スリット2mn
注入:5μL
流量:1.00mL/分
カラム温度: 60℃
勾配: 0.00分 5%のB
0.00〜2.50分 5%→95%のB
2.50〜2.80分 95%のB
2.81〜3.10分 95%→5%のB
(分析方法2)
HPLC:Agilent 1100/1200 Series
MS:Agilent LC/MSD SL
カラム:Waters, Sunfire、C18、5μm、2.1×50mm
溶媒A=H2O+0.1%ギ酸、B=アセトニトリルHPLCグレード
検出:MSポジティブ及びネガティブ、質量範囲100〜750m/z、
フラグメンター70、ゲインEMV 1、許容限界150、目盛サイズ0.30
UV 254/210nm、バンド幅8nm、レファレンス:オフ、レンジ190〜400nm、
レンジ目盛4.00nm、ピーク幅<0.01分、スリット4nm
注入:1〜5μL
流量:1.00mL/分
カラム温度:40℃
勾配: 0.00〜0.10分 5%のB
0.10〜1.50分 5%→95%のB
1.50〜2.10分 95%のB
2.10〜2.20分 95%→5%のB
【0200】
【表8】
【0201】
以下の実施例は、本発明の化合物の生物学的活性を示すが、本発明をこれらの実施例に限定するものではない。
mTOR誘導p-4E-BP1リン酸化の阻害(TR-FRET mTOR活性キット;Invitrogen)
材料:
−GFP-4E-BP1基質;Invitrogen注文番号PV4759
−Lanthascreen Tb-抗-p4E-BP1(pThr46)抗体キット;Invitrogen注文番号PV4758
−FRAP1(mTOR)キナーゼ;Invitrogen注文番号PV4753
−ATP 10mM
−5×アッセイ緩衝液(250mM HEPES pH7.5、0.05% Polysorbate 20、5mM EGTA、50mM MnCl2)
−EDTA 500mM
試験化合物のIC50値の決定:
キナーゼ反応条件:
400nM GFP-4E-BP1、8μM ATP、約150ng/mLのmTOR、50mM HEPES
pH 7.5、0.01% Polysorbate 20、1mM EGTA、10mM MnCl2、及び可変量の試験化合物。
試薬の調製:
注記:作業希釈物を作製する前にmTOR、基質、ATP、及び抗体を解凍して氷上で維持する。これらの成分の作業希釈物は、使う日の短時間は室温で維持してよい。
1. 2mlの5×アッセイ緩衝液を8mlの水に加えて10mlの1×アッセイ緩衝液を調製する。
注記:1×アッセイ緩衝液の濃度は、50mM HEPES pH7.5、0.01% Polysorbate 20、1mM EGTA、及び10mM MnCl2である。
2. まず2.75μlのTb-抗p4E-BP1抗体を2397μlのLanthaScreenTM TR-FRET Dilution Bufferに添加して抗体/EDTA溶液を調製する。次に、100μlの0.5M EDTAを添加する。
3. まず72μlのGFP-4E-BP1(22μM)を926μlの1×アッセイ緩衝液に添加して4×基質/酵素溶液を調製する。次に、1.6μlのmTOR(0.45mg/mL)を添加する。
4. 3.2μlの10mM ATPを1997μlの1×アッセイ緩衝液に添加してATP溶液を調製する。
【0202】
阻害薬の段階希釈(16点曲線):
注記:阻害薬をDMSOで段階希釈してから、1×アッセイ緩衝液で4×作業濃度に希釈することが推奨される。下記手順は、キナーゼアッセイ用の384ウェル形式に移す前の96ウェル形式の化合物の希釈について記述する。この手順は、96ウェルプレートの2つの隣接カラムで化合物を希釈する必要があり、それを8チャネルピペットで384ウェルプレートの単一カラムに移すと、サンプルを濃度順に整列させるであろう。
1. 化合物毎に96ウェルプレートの2つの隣接カラム(例えばカラム1及び2)に40μlのDMSOを分配する。
2. 第1カラムの第1ウェル(A1)に10μlの阻害薬原液(10mM)を添加して混合する。
3. A1から10μl取り出して次カラムの隣接ウェル(B1)に移して混合する。
4. B1から10μl取り出して第1カラムの次のウェル(B2)に移して混合する。
5. この希釈パターンをウェルH1まで繰り返し、最後のウェル(H2)はDMSOのみとして残す。
6. 4μlの希釈化合物を取り出して96ウェルプレートの96μlの1×アッセイ緩衝液に添加して4×化合物希釈物を作る。
【0203】
キナーゼ反応:
1. 96ウェルプレートの第1カラムから2.5μlの4×化合物希釈物を、8チャネルピペットを用いて384ウェルプレートのカラム1のあらゆる他のウェルに添加する。カラム2及び3について繰り返す。
2. 96ウェルプレートの第2カラムから2.5μlの4×化合物希釈物を、8チャネルピペットを用いて384ウェルプレートのカラム1の空のウェルに添加する。カラム2及び3について繰り返す。
注記:この手順は化合物希釈物を濃度順に整列させる。
3. 2.5μlの4×酵素/基質溶液を全てのカラム1〜6に添加する。
4. RTで30分間プレインキュベートする(振とう機)。
5. 5μlのATP溶液を全てのウェルに添加して反応を開始する。
6. プレート振とう機上で30秒間アッセイプレートを振とうさせる。
7. アッセイプレートを室温(20〜25℃)で1時間インキュベートする。
停止工程及び蛍光検出:
1. 10μlの抗体/EDTA溶液をカラム1〜9の各ウェルに添加する。
2. プレート振とう機上で30秒間アッセイプレートを振とうさせる。
3. アッセイプレートを室温(20〜25℃)で1時間インキュベートする。
4. 蛍光プレートリーダー(例えばPerkin Elmer Envision)でGFP(FRET)及びテルビウム(参照)の発光シグナルを測定する。
データ解析:
1. GFP(FRET)シグナルをテルビウム(参照)シグナルで除すことによって、各サンプルの発光率を計算する。
2. 各化合物の濃度対発光率をプロットする。最大シグナルの50%に達するのに必要な化合物の濃度(IC50)を決定する。GraphPadのPrismソフトウェアを用いてカーブフィッティング(S字形用量反応、可変勾配)によってIC50値の決定を達成することができる。
【0204】
増殖の阻害:CyQuant PC-3
説明:
CyQuant NFアッセイは、蛍光色素結合性を介した細胞のDNA含量の測定に基づいている。細胞のDNA含量は高度に調節されるので、それは細胞数に厳密に比例する。薬物で処理したサンプルの細胞数を未処理コントロールと比較することによって増殖の程度を決定する。このアッセイは生理学的活性に依存せず、細胞数と無関係の可変性を示し得る。
このアッセイでは、DNA結合色素を原形質膜透過処理試薬と共に使用する。倍地を吸引し、色素結合溶液と置き換え、細胞を30〜60分間インキュベートしてから蛍光を測定する(485nmで励起、530nmで発光検出)。データをインキュベーション時間の関数として蛍光放出強度単位として表す。
細胞及び試薬:
PC-3細胞 ヒト前立腺癌細胞(ATCC CRL-1435)
CyQuant NFアッセイ Invitrogen カタログ#C35006
PBS(w/o Ca,Mg) Life Technologies, Gibco BRL(カタログ番号4190-094)
F-12K培地 Life Technologies, Gibco BRL(カタログ番号21127-022)
ウシ胎仔血清 Life Technologies, Gibco BRL(カタログ番号10270-106)
機器:
−96ウェルプレート、平底(Falcon,カタログ番号:353072)
−96ウェルプレート、U形(Costar,カタログ番号:3799)
−CO2-インキュベーター
−マイクロプレートリーダー, Wallac Victor
手順:
日0:3000のPC-3細胞(F-12K/10%FCSで培養した)を96ウェルプレート、平底中の150μlの培地に播種する(培地ブランクを含む)。プレートをCO2インキュベーター内で37℃にて一晩インキュベートする。
日1:化合物を濃度80μM→1:5(培地中)に希釈(7回の希釈工程、96ウェルプレート中)する。各希釈の1ウェル当たり50μlを添加する(1ウェル毎の総体積200μl;化合物の最終濃度:20μM→1:5)。必要な場合、さらなる希釈物を試験する。全ての濃度を二通り又は三通り試験する。
コントロール:細胞w/o化合物(+50μlの培地+DMSO)。細胞を化合物と3日間インキュベートする。
日4:培地を吸引除去して100μlの1×色素結合溶液(22μlのCyQuant NF色素試薬を11mlの1×HBSS緩衝液に添加)と置き換える。色素-DNA結合の平衡化のためマイクロプレートを覆って30〜60分間インキュベートする。マイクロプレートリーダーで蛍光強度を測定する(485nmで励起、530nmで発光検出)。
評価:
GraphPad Prism(Fifty)を用いてIC50を計算する。
【0205】
【表9】




【0206】
本発明の物質は、PI3キナーゼ、特にセリン/スレオニンキナーゼmTOR及び/又は脂質キナーゼファミリーPi3Kのメンバーの経路の阻害薬である。それらの生物学的特性のため、一般式(1)の化合物及びそれらの異性体並びにそれらの生理学的に耐容性の塩は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適している。これらの疾患には、例えば、ウイルス感染(例えばHIV及びカポジ肉腫);炎症性及び自己免疫性疾患(例えば大腸炎、関節炎、アルツハイマー病、{にくしゅ}糸球体腎炎及び創傷治癒);細菌、真菌及び/又は寄生虫感染;白血病、リンパ腫及び固形腫瘍;皮膚疾患(例えば乾癬);骨疾患;心血管疾患(例えば再狭窄及び肥大)が含まれる。さらに、本化合物は、放射線治療、UV治療及び/又は細胞分裂停止治療によるDNAの損傷から増殖性細胞(例えば毛細胞、腸細胞、血液細胞及び前駆細胞)を保護するのに役立つ(Davis et al., 2001)。
例えば、限定するものではないが、本発明の化合物で以下の癌を治療することができる:脳腫瘍、例えば聴神経鞘腫、星状細胞腫、例えば線維性星状細胞腫、原形質星状細胞腫、大円形細胞性星状細胞腫(gemistocytary astrocytoma)、未分化星状細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、多形性黄色星状細胞腫(pleomorphic xanthoastrocytoma)、上衣下大細胞巨細胞性星状細胞腫及び線維形成性乳児性星状細胞腫;脳リンパ腫、脳転移、下垂体腫瘍、例えばプロラクチノーマ、下垂体性偶発腫、HGH(ヒト成長ホルモン)産生性腺腫及び副腎皮質刺激腺腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫(meningeoma)及び乏突起神経膠腫;神経腫瘍、例えば植物性神経系の腫瘍、例えば神経芽細胞腫、神経節腫、傍神経節腫(褐色細胞腫、クロム親和性細胞腫)及び頚動脈小体腫瘍、末梢神経系の腫瘍、例えば断端神経腫、神経線維腫、神経鞘腫(神経鞘腫(neurilemmoma)、シュワン腫)及び悪性シュワン腫、並びに中枢神経系の腫瘍、例えば脳及び骨髄の腫瘍;腸癌、例えば直腸、結腸、肛門、小腸及び十二指腸の癌;眼瞼腫瘍(基底細胞腫又は眼瞼器官の腺癌);網膜芽細胞腫;膵臓癌;膀胱癌;肺腫瘍(気管支癌−小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、例えば紡錘細胞扁平上皮癌(plate epithelial carcinoma)、腺癌(腺房状(acinary)、乳頭状(paillary)、気管支肺胞上皮の)及び大細胞気管支癌(巨細胞癌、明細胞癌);乳癌、例えば腺管癌、小葉癌、粘液性癌又は管状癌、パジェット癌;非ホジキンリンパ腫(B-リンパ腫又はT-リンパ種NHL)、例えば毛細胞白血病、バーキットリンパ腫又は菌状息肉腫(mucosis fungoides);ホジキン病;子宮癌(子宮体癌又は子宮内膜癌);CUP症候群(原発不明癌(Cancer of Unknown Primary);卵巣癌(卵巣細胞腫−粘液性又は漿液性嚢腫、子宮内膜腫瘍、明細胞腫瘍、ブレンナー腫瘍);胆嚢癌;胆管癌、例えばクラッキン腫瘍(Klatskin tumour);精巣癌(胚又は非胚生殖細胞腫瘍);喉頭癌、例えば声帯の声門上部、声門及び声門下部の腫瘍;骨癌、例えば骨軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、軟骨肉腫、骨腫、類骨腫、骨芽細胞腫、骨肉腫、非骨化性骨線維腫(non-ossifying bone fibroma)、骨線維腫、線維形成性骨線維腫、骨線維肉腫、悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocyoma)、骨巨細胞腫又は巨細胞腫瘍、ユーイング肉腫、及び形質細胞腫、頭頚部腫瘍(HNO腫瘍)、例えば唇の腫瘍、及び口腔(唇、舌、口腔の癌)、上咽頭癌(鼻の腫瘍、リンパ上皮腫)、咽頭癌、中咽頭癌、扁桃腺癌(扁桃腺悪性腫瘍)及び舌(舌底)の癌、下咽頭癌、喉頭癌(喉頭の癌)、副鼻腔及び鼻腔の腫瘍、唾液腺及び耳の腫瘍;肝臓細胞癌(肝細胞癌(HCC));白血病、例えば急性白血病、例えば急性リンパ性/リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML);胃癌(乳頭状、管状又は粘液性腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮又は未分化癌;悪性メラノーマ、例えば表面伝播性メラノーマ(SSM)、結節性メラノーマ(NMM)、悪性黒子由来メラノーマ(LMM)、末端黒子様メラノーマ(ALM)又は無色素性メラノーマ(AMM);腎臓癌、例えば腎臓細胞癌(副腎腫又はグラビッツ腫瘍);食道癌;陰茎癌;前立腺癌;腟癌又は腟細胞腫;甲状腺癌、例えば乳頭状、濾胞状及び髄質性甲状腺癌;胸腺癌(胸腺腫);尿道の癌(尿道の細胞腫、尿路上皮癌)及び外陰部の癌。
【0207】
適切な場合、他の最新技術の化合物、例えば他の抗腫瘍物質、細胞傷害性物質、細胞増殖阻害薬、抗血管新生物質、ステロイド又は抗体などと共に含めて、上記疾患の予防又は短期若しくは長期治療のために本発明の新規化合物を使用することができる。
一般式(1)の化合物は、それら単独で又は本発明の他の活性化合物と共に使用することができ、かつ適切な場合、同様に他の薬理学的に活性な化合物と併用してもよい。本発明の化合物と併用投与できる化学療法薬として、限定するものではないが、ホルモン、ホルモン類似体及び抗ホルモン薬(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、メゲストロールアセタート、フルトアミド、ニルトアミド、ビカルトアミド、アミノグルテチミド、シプロテロンアセタート、フィナステリド、ブセレリンアセタート、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、メドロキシプロゲステロン及びオクトレオチド)、アロマターゼ阻害薬(例えばアナストロゾール、レトロゾール、リアロゾール、ボロゾール、エキセメスタン及びアタメスタン)、LHRH作動薬及び拮抗薬(例えばゴセレリンアセタート及びルプロリド)、成長因子の阻害薬(血小板由来成長因子及び肝細胞成長因子などの成長因子、阻害薬の例は、成長因子抗体、成長因子受容体抗体及びチロシンキナーゼ阻害薬、例えばゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、Erbitux(登録商標)及びトラスツズマブ);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート及びラルチトレキセド、ピリミジン類似体、例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン及びゲムシタビン、プリン並びにアデノシン類似体、例えばメルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン及びペントスタチン、シタラビン及びフルダラビン);抗腫瘍抗体(例えばアントラサイクリン、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン及びストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン);アルキル化薬(例えばエストラムスチン、メクロレトアミン、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イホスフアミド及びテモゾロミド、ニトロソ尿素、例えばカルムスチン及びロムスチン及びチオテパ);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びビンクリスチン;並びにタキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル);トポイソメラーゼ阻害薬(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポホース、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン及びミトキサントロン)並びに種々の化学療法薬、例えばアミホスチン、アナグレリド、クロドロナート、フィルグラスチン、インターフェロンα、ロイコボリン、リツキシマブ、プロカルバジン、レバミソール、メスナ、ミトタン、プアミドロナート及びポルフィマーが挙げられる。
【0208】
使用に適した形態の例は、錠剤、カプセル剤、座剤、溶液、特に注射(s.c.、i.v.、i.m.)及び注入用溶液、シロップ剤、エマルション又は分散性粉末である。この関係では、医薬的に活性な化合物の比率は、いずれの場合も組成物全体の0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜50質量%の範囲内であるべきであり、すなわち以下に特定する薬用量範囲を達成するのに十分な量である。必要な場合、記載用量を1日に数回与えることができる。
例えば、活性化合物を既知の補助物質、例えば不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース等、崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸など、結合剤、例えばデンプン又はゼラチン等、潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク等、及び/又はデポー作用を果たすための薬剤、例えばカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース又はポリ酢酸ビニル等と混合することによって、適切な錠剤を得ることができる。錠剤が数層含むこともできる。
対応して、錠剤と同様に調製したコアを糖コーティングで習慣的に使われている薬剤、例えばコリドン若しくはシェラック、アラビアガム、タルク、二酸化チタン又は糖でコーティングすることによって糖衣錠を製造することができる。デポー作用を果たすため又は不適合性を避けるため、コアが数層含むこともできる。同様に、デポー作用を果たすために糖衣が数層含むこともでき、錠剤の場合に上述した補助物質を使用することができる。
【0209】
本発明の活性化合物又は活性化合物の組合せのシロップ剤は、さらに甘味料、例えばサッカリン、シクラマート、グリセロール又は糖など並びに風味向上剤、例えば香味料、例えばバニリン又はオレンジエキス等を含むことができる。シロップ剤は、懸濁助剤又は増粘剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース等、湿潤剤、例えば脂肪酸とエチレンオキシドの縮合生成物など、又は保護剤、例えばp-ヒドロキシベンゾアート等を含むこともできる。
注射及び注入溶液は、例えば等張化剤、保存剤(例えばp-ヒドロキシベンゾアート等)、又は安定剤(例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩など)を添加し、必要に応じて乳化剤及び/又は分散剤を用いて、通例の方法で製造される。例えば、水を希釈剤として使用する場合、必要に応じて、可溶化剤又は補助溶媒として有機溶媒を利用することができる。そして、該溶液を注射用ボトル若しくはアンプル又は注入用ボトルに等分する。
1種以上の活性化合物又は活性化合物の組合せを含むカプセル剤は、例えば、活性化合物を不活性な担体、例えばラクトース又はソルビトール等と混合し、この混合物をゼラチンカプセルで被包することによって製造される。適切な座剤は、例えば、この目的のために予想される賦形剤、例えば中性脂肪若しくはポリエチレングリコール、又はそれらの誘導体と混合することによって製造される。
例として挙げられる補助物質は、水、医薬的に異論のない有機溶媒、例えばパラフィン(例えば石油留分)、植物起源の油(例えば落花生油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えばEtOH又はグリセロール)、担体物質、例えば天然鉱物粉末(例えばカオリン、陶土、タルク及チョーク)、合成鉱物粉末(例えば高分散性ケイ酸及びケイ酸塩)、糖(例えばショ糖、ラクトース及びブドウ糖)、乳化剤(例えばリグニン、亜硫酸パルプ排液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び流動促進剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)である。
【0210】
通例の方法、好ましくは経口又は経皮、特に好ましくは経口で投与を行なう。経口使用の場合、錠剤は、当然ながら、上記担体物質に加えて、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウム等の添加剤と共に、種々のさらなる物質、例えばデンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等を含むこともできる。さらに、錠剤化のためステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の流動促進剤を使用することもできる。水性懸濁液の場合、上記補助物質に加えて、種々の風味向上剤又は色素を活性化合物に添加することもできる。
非経口投与では、適切な液状担体材料を使用しながら活性化合物の溶液を利用することができる。静脈内投与用の薬用量は、1時間当たり1〜1000mg、好ましくは1時間当たり5〜500mgである。
こうした事情にもかかわらず、適切な場合には、体重又は投与経路の性質、薬物に対する個体の反応、その製剤の性質及び投与を行なう時間又は間隔に応じて、上記量から逸らす必要があり得る。従って、場合によっては、上記最低量未満で十分なこともあるが、他の場合には、前記上限を超えなければならない。かなり大量を投与する場合は、投与量を数回の単一用量に分割して、一日にわたって与えるのが賢明かもしれない。
【0211】
以下の製剤例は、本発明を例証するが、本発明の範囲を限定するものではない。
(医薬製剤例)
A)錠剤 1錠当たり
式(1)の活性化合物 100mg
ラクトース 140mg
トウモロコシデンプン 240mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
500mg
微細に粉砕した活性化合物、ラクトース及びトウモロコシデンプンの一部を相互に混合する。混合物を篩過した後、ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、混練し、湿式造粒して乾燥させる。この顆粒状物質、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムを篩過し、相互に混合する。混合物を圧縮して適切な形と大きさの錠剤にする。
【0212】
B)錠剤 1錠当たり
式(1)の活性化合物 80mg
ラクトース 55mg
トウモロコシデンプン 190mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 23mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
400mg
微細に粉砕した活性化合物、トウモロコシデンプンの一部、ラクトース、微結晶性セルロース及びポリビニルピロリドンを相互に混合した後、混合物を篩過し、残りのトウモロコシデンプン及び水と共にこねて顆粒状物質とし、これを乾燥させて篩過する。次にナトリウムカルボキシメチルデンプンとステアリン酸マグネシウムを顆粒状物質に添加して混合し、混合物を圧縮して適切な大きさの錠剤にする。
【0213】
C)アンプル溶液
式(1)の活性化合物 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射用水 5mL
活性化合物をそれ本来のpHか、又は必要に応じてpH5.5〜6.5で水に溶かした後、等張化剤として塩化ナトリウムを添加する。結果として生じる溶液をろ過によって発熱物質のない状態にし、無菌条件下でろ液をアンプルに等分してから滅菌し、溶融によって密封する。アンプルは5mg、25mg及び50mgの活性化合物を含む。
【0214】