特許第5658265号(P5658265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5658265エアウォーターバキュームシリンジ及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658265
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】エアウォーターバキュームシリンジ及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/06 20060101AFI20141225BHJP
   A61C 17/02 20060101ALI20141225BHJP
   A61C 19/00 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   A61C17/06 A
   A61C17/02 D
   A61C19/00 C
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-537228(P2012-537228)
(86)(22)【出願日】2010年11月4日
(65)【公表番号】特表2013-509915(P2013-509915A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】US2010055501
(87)【国際公開番号】WO2011057008
(87)【国際公開日】20110512
【審査請求日】2013年10月25日
(31)【優先権主張番号】61/258,546
(32)【優先日】2009年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512114590
【氏名又は名称】インナーライト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュ ジェームズ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュ トーマス アール.
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03727310(US,A)
【文献】 特開昭58−152565(JP,A)
【文献】 特表平02−504479(JP,A)
【文献】 特開平11−299812(JP,A)
【文献】 特開平07−308381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00−19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
ヘッドと、
前記ハンドル及び前記ヘッドのうち少なくとも一つによってもたらされるエア制御装置と、
前記ハンドル及び前記ヘッドのうち少なくとも一つによってもたらされる水制御装置と、
前記ハンドル及び前記ヘッドのうち少なくとも一つによってもたらされ、前記ヘッド及びレバーによって担持されるバキューム制御バルブを含みバルブを制御する、バキューム制御装置と、
前記ヘッドに連結され、歯科患者の口に少なくともエア、水及びバキュームを提供するように構成されるエアウォーターバキューム先端と、
を備え、
前記ヘッドは前記エアウォーターバキューム先端に通じている第1連絡通路及びバキューム源に通じるように構成される第2連絡通路を有し、
前記バキューム制御バルブは、前記第1連絡通路及び第2連絡通路の間に位置し、一対の高容量吸引器ポート及びこの一対の高容量吸引器ポートと連通する単一の低流量唾液排出器ポートを有する周辺部を含み、
前記バキューム制御バルブは、前記一対の高容量吸引器ポートが前記第1連絡通路及び第2連絡通路に連通する高流量バキューム状態、前記高容量吸引器ポートの一つが前記第1連絡通路及び第2連絡通路の一つと部分的に連通され、前記低流量唾液排出器ポートが他の連絡通路と連通する低流量バキューム状態、及び前記一対の高容量吸引器ポートと前記低流量唾液排出器ポートが前記第1連絡通路及び第2連絡通路との連通から遮断される流量無し唾液排出状態相互間のローテーション用に構成されている
エアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項2】
前記エアウォーターバキューム先端の少なくとも部分的な遮断の検出により、歯科患者の口におけるバキュームを自動的に停止する自動シャットオフ機構をさらに備える請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項3】
前記自動シャットオフ機構は、歯科患者の口の中でバキュームを可能にするために、吸引力が相反する力に打ち勝つ通常状態、及び歯科患者の口の中でバキュームを停止するために、相反する力が吸引力に打ち勝つシャットオフ状態を含む請求項2記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項4】
前記自動シャットオフ機構は、前記相反する力を供給するために少なくとも一個のばねを含む請求項3記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項5】
前記自動シャットオフ機構は、前記相反する力を供給するために少なくとも一個の磁石を含む請求項3記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項6】
前記エアウォーターバキューム先端にて歯科患者の口に少なくともエア、水及びバキュームを提供するため、回転可能にエアウォーターバキューム先端をヘッドに連結する回転可能な先端ポジショナをさらに備える請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項7】
前記バキューム制御装置を流量無しバキューム状態に促すばねをさらに備える請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項8】
前記バキューム制御装置は、ハンドルによって担持される回転可能なトリガーバルブバレル及びトリガーの各引く力で異なる流れ状態に該トリガーバルブバレルを回転させるために、該回転可能なトリガーバルブバレルと操作可能に関連したトリガーを含む請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項9】
前記バキューム制御装置は、ハンドルによって担持される高容量吸引トリガー及び低容量吸引器トグルを含む請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項10】
エアウォーターバキューム歯科用器具は、ハンドルに接続され水とエアを供給するホース、ホースのうちの少なくとも一つ、ハンドル及び水とエアのうちの少なくとも一つを加熱するために一つ以上の発熱体を含んでいるヘッドをさらに備える請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項11】
前記ホースは、加熱管腔、隣接する水管腔及び隣接するエア管腔を含み、前記加熱管腔は、前記水管腔の水及び前記エア管腔のエアを加熱するために一つ以上の発熱体を含む請求項10記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項12】
前記ヘッドは前記ハンドルに着脱自在に連結する請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項13】
前記ヘッドを前記ハンドルから切り離すために作動可能であるクイックレリース装置を更に備える請求項12記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項14】
前記ヘッドは滅菌可能、加圧滅菌可能のうちの少なくとも一つである請求項12記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項15】
前記エアウォーターバキューム先端は、該先端で放出される水及びエアの少なくとも一つを曲げるように構成される請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項16】
前記エアウォーターバキューム先端は、遠位頂点、水及びエアの少なくとも一つがそこから放出される近位頂点、及びそれらの間にあって、バキューム中に近位頂点で放出される水及びエアの少なくとも一つをバキュームポートの方に曲げるバキュームポートを含む請求項15記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項17】
前記エアウォーターバキューム先端は、水及びエアの少なくとも一つがそこから放出される遠位頂点、近位頂点、及びそれらの間にあって、バキューム中に遠位頂点で真っすぐに放出される水及びエアの少なくとも一つをバキュームポートの方に曲げることのないバキュームポートを含む請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【請求項18】
前記ヘッドは、前記ハンドルに着脱自在に連結され、前記エアウォーターバキューム歯科用器具は、前記ハンドルからの前記ヘッドのデカップリングに、自動的に水流を遮断する自動水シャットオフバルブ機構を含み、かつ、前記ハンドルからの前記ヘッドのデカップリングに、自動的にエアを遮断する自動エアシャットオフバルブ機構を含む請求項1記載のエアウォーターバキューム歯科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三路シリンジ(エア、水、組み合わせエアウォーターミスト)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科専門家は患者の口から流体及び他の破片を吸い込み、患者の口にエア/水を加えるために二つの異なる歯科用器具を利用した。これは二つの別々の歯科用器具を操作するために二つの手が必要だったので、処置をするために歯科助手が必要、あるいは、これら二つの別々の歯科用器具を使用することで歯科専門家の両手が塞がった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの問題及びその他を解決するため、本発明は、吸引装置と結合する三路シリンジの、エア、水、組み合わせエアウォーターミスト機能を単一の歯科用器具に持たせるエアウォーターバキューム(AWV)器具を含む。この発明は歯科専門家が伝統的に2本の手がかかった分を一本の手ですることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様は、エアウォーターバキューム歯科用器具を含み、ハンドルと、ヘッドと、前記ハンドル及び前記ヘッドのうち少なくとも一つによってもたらされるエア制御装置、前記ハンドル及び前記ヘッドのうち少なくとも一つによってもたらされる水制御装置、前記ハンドル及び前記ヘッドのうち少なくとも一つによってもたらされるバキューム制御装置、前記ヘッドに連結され、歯科患者の口に少なくともエア、水及びバキュームを提供するように構成されるエアウォーターバキューム先端とを含む。
【0005】
上記説明した本発明の態様のより多くの実施は、以下の一つ以上を含む。
エアウォーターバキューム歯科用器具は、エアウォーターバキューム先端にて歯科患者の口に少なくともエア、水及びバキュームを提供するため、回転可能にエアウォーターバキューム先端をヘッドに連結する回転可能な先端ポジショナを含む。
バキューム制御装置は、高流量バキューム状態、低流量バキューム状態及び流量無しバキューム状態を含む。
エアウォーターバキューム歯科用器具は、バキューム制御装置を流量無し状態に促すばねを含む。エアウォーターバキューム歯科用器具は、バルブを制御するために、ヘッド及びレバーによって担持されるバルブを含む。
バルブは、一対の高容量吸引器ポート及びこの一対の高容量吸引器ポートと連通する単一の唾液排出器ポートを有する周辺部を含む。
バキューム制御装置は、ハンドルによって担持される回転可能なトリガーバルブバレル及びトリガーの各引く力で異なる流れ状態に該トリガーバルブバレルを回転させるために、該回転可能なトリガーバルブバレルと操作可能に関連したトリガーを含む。
バキューム制御装置は、ハンドルによって担持される高容量吸引トリガー及び低容量吸引器トグルを含む。
エアウォーターバキューム歯科用器具は、ハンドルに接続され水とエアを供給するホース、ホースのうちの少なくとも一つ、ハンドル及び水とエアのうちの少なくとも一つを加熱するために一つ以上の発熱体を含んでいるヘッドを含む。
エアウォーターバキューム歯科用器具は、加熱管腔、隣接する水管腔及び隣接するエア管腔を含み、そして、加熱管腔は水管腔の水及びエア管腔のエアを加熱するために一つ以上の発熱体を含む。
ヘッドはハンドルに着脱自在に連結する。エアウォーターバキューム歯科用器具はヘッドをハンドルから切り離すために作動可能であるクイックレリース装置を含む。ヘッドは滅菌可能、加圧滅菌可能のうちの少なくとも一つである。
エアウォーターバキューム歯科用器具は、歯科患者の口におけるバキュームを自動的に停止する自動シャットオフ機構を含む。
自動シャットオフ機構は、歯科患者の口の中でバキュームを可能にするために、吸引力が相反する力に打ち勝つ通常状態、及び歯科患者の口の中でバキュームを停止するために、相反する力が吸引力に打ち勝つシャットオフ状態を含む。
自動シャットオフ機構は、上記相反する力を供給するために少なくとも一個のばね又は磁石を含む。自動シャットオフ機構は上記相反する力を供給するために少なくとも二個の磁石を含む。
エアウォーターバキューム先端は、先端で放出される水及びエアの少なくとも一つを曲げるように構成される。エアウォーターバキューム先端は、遠位頂点、水及びエアの少なくとも一つがそこから放出される近位頂点、及びそれらの間にあって、バキューム中に近位頂点で放出される水及びエアの少なくとも一つをバキュームポートの方に曲げるバキュームポートを含む。
エアウォーターバキューム先端は、水及びエアの少なくとも一つがそこから放出される遠位頂点、近位頂点、及びそれらの間にあって、バキューム中に遠位頂点で真っすぐに放出される水及びエアの少なくとも一つをバキュームポートの方に曲げることのないバキュームポートを含む。
ヘッドは、ハンドルに着脱自在に連結され、エアウォーターバキューム歯科用器具は、ハンドルからのヘッドのデカップリングに、自動的に水流を遮断する自動水シャットオフバルブ機構を含み、かつ、ハンドルからのヘッドのデカップリングに、自動的にエアを遮断する自動エアシャットオフバルブ機構を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】エアウォーターバキューム(AWV)器具の実施例の斜視図である。
図2A】AWV器具の他の実施例の後面斜視図である。
図2B図2AのAWV器具の正面の斜視図である。
図3A】起動レバーの実施例およびAWV器具の四路シリンジの斜視図である。
図3B図3Aの起動レバーの側面図である。
図4図3Aに示される弁バレルの斜視図である。
図5A】AWV器具の四路シリンジの開放位置を例示する図である。
図5B】AWV器具の四路シリンジの閉鎖位置を例示する図である。
図5C】AWV器具の四路シリンジの唾液排出器位置を例示する図である。
図6】AWV器具のための自動シャットオフ機構の実施例の断面図である。
図7】AWV器具のトリガーバルブ機構のトリガーバルブバレルの実施例の斜視図である。
図8】AWV器具のトリガーバルブ機構の実施例の側面図である。
図9】AWV器具の水曲げスプレー先端の実施例の断面図である。
図10】AWV器具の水スプレー先端の実施例の断面図である。
図11】AWV器具の管加熱機構の実施例の斜視図である。
図12】着脱可能なヘッドを含むAWV器具の実施例の側面図であって、更に、自動シャットオフ機構の実施例が示される。
図13図12のAWV器具の着脱可能なヘッドが付属するベースの実施例の斜視図である。
図14A図12のAWV器具の自動シャットオフ機構の実施例の断面図であって、第一状態の自動シャットオフ機構を示す。
図14B図12の自動シャットオフ機構の断面図であって、第二状態の自動シャットオフ機構を示す。
図15】AWV器具のための自動シャットオフ機構の他の実施例の斜視図である。
図16A】開放位置に示される自動シャットオフゲートの実施例を伴う図15の自動シャットオフ機構の断面図である。
図16B】閉鎖位置に示される自動シャットオフゲートを有する図15の自動シャットオフ機構の断面図である。
図17A】レバー及びバルブアセンブリの他の実施例を例示する斜視図である。
図17B】レバー及びバルブアセンブリの他の実施例を例示する斜視図である。
図17C】レバー及びバルブアセンブリの他の実施例を例示する斜視図である。
図17D】レバー及びバルブアセンブリの他の実施例を例示する分解斜視図である。
図17E】レバー及びバルブアセンブリの他の実施例を例示する分解斜視図である。
図18A】AWV器具のAWV先端の実施例の斜視図である。
図18B】AWV器具のAWV先端の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照して、エアウォーターバキューム(AWV)器具10の実施例及びその使用方法を説明する。AWV器具10はヘッド部30を有するハンドル/グリップ20を含む。ホース40はハンドル20の最下部から伸びる。モーターで作動され得、コントローラで制御され得る回転先端ポジショナ50は、ヘッド部30の正面から延びる。細長い管状のAWV先端60は回転先端ポジショナ50から延び、回転先端ポジショナ50によって回転される。エア及び水のボタン70、80は、AWV器具10のエア及び/又は水の動作を制御するためのヘッド部30の上部に配置されている。ハンドル20は、高容量吸引トリガー90及びトリガー90上の低容量吸引器トグル100を含む。AWV器具10を介して患者に供給される水及び/又はエアを加熱するために、ホース40の中に一つ以上の発熱体110が配置され得る。
【0008】
AWV器具10の一つ以上の実施態様において、AWV器具10は、以下の一つ以上を含む。
AWV先端60は、使い捨て及び/又は加圧滅菌可能である。高容量吸引トリガー90を介するバキューム機能の起動を制御するトリガーであって、トリガー90は、オン位置でロックするロッキング特性を含む。AWV器具10は、トリガー90上のトグル機能で操作される同じ器具の範囲内で、高容量吸引及び低容量の機能を組み合わせる。AWV器具10は、AWV先端60に組織が吸い込まれる場合に備えて自動吸引安全バルブ又は自動オフ特性を兼ね備える。ホース40は、内包する加熱されたエア及び水を含む。AWV器具10は、同時にされる舌退縮と低容量吸引のために用いられる。ホース40は、複数の管腔を有する単一のホースである。AWV器具10は、オペレータごとに医師及びアシスタントの一方あるいは両方のツールステーションに取り付けられる。及び/又は、回転先端ポジショナ50は、先端60に軟部組織を吸い出すことなく、あらゆる角度から吸引を可能にする。
【0009】
使用中、AWV器具10は、親指でエア/水ボタン70、80を作動させることによってエア、水及び組み合わせエアウォーターミストを患者に供給する。同じ手の指でのトリガー90の操作は吸引を制御する。トグル100は、単一の器具において患者の口からの流体及びその他の破片の低容量吸引又は高容量吸引を可能にする。発熱体110は、患者の口に供給される水/エアを暖める。
【0010】
このようにしてAWV器具10は、歯科専門家が従来二本の手をかけてすることを一本の手ですることができる。AWV器具10は、歯の動作領域における管類や散乱物の量を著しく減らす。ピストルタイプ設計は、反復運動(過多)損傷の可能性を減らす拡張退縮手順のために、より良好な遂行力および快適さを提供する。AWV器具0は、歯科医及びアシスタントに切望されていた三本目の手を与えるか又は単独の開業医がより効率的なことができる。
【0011】
図2Aを参照して、AWV器具200の他の実施例を説明する。AWV器具200の構成要素は、末尾に添加した文字以外、上記のAWV器具10と同様の参照番号のように特定される。AWV器具10の上記説明はこの文中に組み込まれる。AWV器具200は、ハンドル/グリップ20aの後部/後方側に、作動時にハンドル/グリップ20aからヘッド部30aが解放/解除されるクイックリリース・ボタン/機構210を含むことを除いては、AWV器具10と同様である。クイックリリース・ボタン/機構210は、ハンドル/グリップ20aからヘッド部30aを取り付け/取り外すのにロック/アンロック可能なラッチ又は他のロック機構を含むことができる。
【0012】
図2B、18A及び18Bを参照して、細長い、管状のAWV先端60aは、細長いソフトゴム共押出成形部材212、及び横断面が「C」形状の細長い硬質プラスチックベース管214を含む。細長いソフトゴム共押出成形部材212は、口腔組織保護のためにソフトゴム又は他の弾力性材料でできている末端突起216を含む。末端部分(末端突起)216は、プラスチックベース管214の材料のような硬い材料を使用する場合では通常鋭いだろうが、ソフトゴム共押出成形部材212であるので、ソフトな先端は、患者の安心を目的として、製造中、先端60aの端を切った後につくられる。中が空洞のピン218は、先端60aに水とエアをもたらす。このピン218は、細長いソフトゴム共押出成形部材212の細長い管腔219に嵌め合わせ的に受け入れられ、密封して係合される(漏れ防止にソフトゴムはピン218周辺を封止する)。
【0013】
AWV器具200の他の違いは、AWV器具10と同様に、高容量吸引トリガー90及び低容量吸引器トグル100の代わりに、AWV器具200が少なくとも、高流量バキューム状態(図5A)、流量無し唾液排出状態(図5B)及び低流量唾液排出状態(図5C)の相互間でヘッド部30a内のバルブ(図3A)を制御し/動かす起動レバー220を含むことである。加えて、図3Aを参照し、起動レバー220は一緒に向かい合う葉形の端部240を結合するブリッジ230を含む。図2Aに示される位置において、ブリッジ230は、ヘッド部30aの後部上の横に延びる上端凹部260に配置され、端部240は、ヘッド部30aの向かい合った側部凹部270に配置されている。
【0014】
図3Aに示されるように、起動レバー220の端部240は、起動レバー220をバルブ290に接続するための実質的に円筒状唾液排出器バルブ290の向かい合った端部280に接続されている。このバルブ290の周辺300沿いは、唾液排出器ポート310及び高容量吸引器ポート320、330である。図5A〜5Cに示されるように、起動レバー220の移動は、バルブ290を、高容量吸引器ポート320、330が連絡通路350、340と完全に連通し、唾液排出器ポート310が遮断される(図5A)ところの高流量バキューム状態から、高容量吸引器ポート320、330及び唾液排出器ポート310が連絡通路350、340(図5B)との連通から遮断されるところの流量無し唾液排出状態に移動させ、そして、高容量吸引器ポート320が連絡通路340と一部連通し、唾液排出器ポート310が連絡通路350と完全に連通し、高容量吸引器ポート330が遮断される(図5C)ところの低流量唾液排出状態に移動させる。
【0015】
図3Bに示されるように、ばねタブ/プランジャ360は、バルブ290を、レバー220を介して流量無し唾液排出状態(図5B)の方へ付勢する。
【0016】
図17A〜17Eを参照して、レバー及びバルブアセンブリ362の他の実施例を説明する。アセンブリ362は、バルブ290a、自動シャットオフ及び自動調整スライド364、磁石366、Cリング368、リテーナリング370、リテーナリング(止め具付)、主レバー374、戻しアーム376、復帰ばね378、及びリターンアセンブリキャップ380を含む。
【0017】
図17Aは、唾液排出ばね跳ね返り機構367(すなわち、図3Bの360の、ばね付きフィンガーとしての同じ機能)及びばねレバーのための/L形部材394の止め具368を示す。リテーナリング370、372はヘッド部のハウジングに載置される。バルブレバー374は、クリーニングのために着脱可能である。
【0018】
図17Bは、復帰ばね378を覆うリターンアセンブリキャップ380を示す。
【0019】
図17Cは、復帰ばね378及びハウジングの中で回転する戻しアーム376を示す。
【0020】
図17Dを参照すると、バルブ290の周辺300沿いは、唾液排出器ポート310a及び高容量吸引器ポート320a、330aである。バルブ290は、自由大気アクセスのためのカットスルーを含む。Cリング368は、適所にアセンブリを保持する。リテーナリング(止め具付き)372は、止め具386を適切な位置に保持するためのキー384を含む。戻しアーム376は、リターンアセンブリキャップ380が解除されたときに、押し返してオフになる、戻しアーム376を回転可能とする、バルブ290aを自由に回転させる内部で広がるディスク形部材388を含む。図17Eに示されるように、ばね378は、戻しアーム376のL形部材394の穴392に及ぶL字状アーム390を含む。
【0021】
図17Eは、磁石366が、スライド364との間での別の抵抗手段のために、ばね397に置き換えられる、自動シャットオフ及び自動調整スライドアセンブリ396の別の実施例を例示する。レバーキー398は、バルブ290aを駆動するためにバルブ290aの端部上の穴399と結合する。
【0022】
図6を参照して、AWV器具10、200のための自動シャットオフ機構400の実施例を説明する。本発明の態様の理解において便宜上、残りのAWV器具10、200は図示しない。自動シャットオフ機構400は、ばね420及びその中のピストン430を一体としたシリンダ410を含む。シリンダ410は、小さい吸引管450を介して連絡通路340と連通する。ピストン430は、軸440を介してバルブ290に機械的に連結する。正常な使用中にてAWV先端60端部が遮断されないときに、小さい吸引管450に吸引流が起こることで連絡通路340を介してバキューム流量が発生する。この小さい吸引管450の吸引流は、ピストン430をシリンダ410内下方へ引き入れ、ばね420を圧縮する。AWV60で閉塞(例えば、口腔組織がAWV先端にバキュームされる)が発生した場合、小さい吸引管450の吸引流が減少/停止することでその後、連絡通路340を介する流量の減少/停止を引き起こす。ピストン430を上方へ/外側へ押しているばね420の付勢力は、小さい吸引管450から反対するピストン430上のあらゆる吸引力を上回る。このようにして、図5Bに示される閉鎖位置へ回転させるバルブ290により、ピストン430及び軸440はシリンダ410において上方へ移動する。閉鎖位置のバルブ290でもって、口腔組織がAWV先端60に吸引されないように、AWV先端60のすべての吸引力が停止する。通常の使用はレバー220を介してバルブ290を所望の位置へ動かすことによって再開することができる。
【0023】
図15を参照して、AWV器具10、200のための自動シャットオフ機構500の他の実施例を説明する。図6と同様に、本発明の態様の理解において便宜上、残りのAWV器具10、200は図示しない。自動シャットオフ機構500は、円筒状の第一自動シャットオフゲート520及び円筒状の第二自動シャットオフゲート530をその中に摺動可能に配置した、バルブ290と同様であり得る一般に円筒状のバルブバレル510を含む。各自動シャットオフゲート520、530は、ゲートが図16Aに示すように分離されるよう互いに反発するゲート520、530をもたらす磁力に起因する磁極性のように示すなど、磁極性を有することができる。AWV先端60が遮断されると(例えば、口腔組織がAWV先端にバキュームされる)、開口部540を遮断するために、ゲート520、530相互に向かって引き出している吸引力は、ゲート520、530の反発し合う磁力に打ち勝ち、AWV先端60での吸引力が停止するように、ゲート520、530が開口部540を遮断するところの図16Bに示される位置に移動する。口腔組織は、AWV先端60に吸引されることはない。通常の使用はレバー220を介してバルブバレル510を所望の位置(例えば、オフ位置、低容量排出位置)へ動かすことによって再開(及び、図16Aに示される位置へゲート520、530開放)することができる。別の実施形態では、自動シャットオフ機構500はバルブバレル510(例えば、一つの磁気ゲートは移動することができ、他の磁気部材はバルブバレル510に取り付けられ得る)の範囲内で摺動可能に配置されている一つの自動シャットオフゲートだけを含むことができる。図15及び18Bを参照して、追加の実施例において、AWV先端60が塞がれる/妨害されるとき、吸引を解除するために、連絡通路340を定めている壁542は穴544を含むことができる。
【0024】
図7及び8を参照して、AWV器具10、200のトリガーバルブ機構600の実施例を説明する。本発明の態様の理解において便宜上、残りのAWV器具10、200は図示しない。トリガーバルブ機構600は、トリガーバルブバレル610を含み、該トリガーバルブバレル610は、爪640によって係合する鋸歯部材630を有するラチェット620(ラチェットの簡略図は示される)を含むと共に、トリガー650にヒンジ的に接続され、爪640の跳ね返りのためのばね(図示せず)を含むことを除いてはバルブ290と同様である。トリガーばね660はトリガー650を強く促す。使用中、トリガーバルブバレル610は、トリガー押し込みごとに1/4回転だけ進行/回転される。他の実施形態では、トリガー650の一回の第一誘引は、トリガーバルブバレル610を、開放(例えば図5A、5C)から閉鎖(図5B)、第二誘引を伴う開放(例えば図5A、5C)へ、90度ずつ回転させる。吸引処置の期間中ずっとトリガー650を押し下げる/押さえる必要がない点は重要である。
【0025】
図9を参照して、AWV器具10、200の、水曲げスプレーAWV先端700の実施例を説明する。AWV先端700は、遠位部の突端/頂点において遠位傾斜バキューム開口720を有する面取り端部710を含むとともに、近位部の突端/頂点において近位傾斜水/エア開口730を含む。使用中、遠位傾斜バキューム開口720での吸引口の吸入は、先端を曲げることなく近位傾斜水/エア開口730(対抗して標準の三路シリンジは先端を曲げる)から放出される水流(又はエアあるいはエア/水の組み合わせ)を曲げる。
【0026】
図10を参照して、AWV器具10、200の、水スプレーAWV先端750の別の実施例を説明する。AWV先端750は、近位部の突端/頂点において近位傾斜バキューム開口770を有する面取り端部760を含むとともに、遠位部の突端/頂点において遠位傾斜水/エア開口780を含む。角の最上部/末端 突端/頂点にエア/水のポート(複数有り)の位置を決めることは、水(又はエアあるいは組み合わせエア/水)の真っすぐな流れを生じさせる。
【0027】
別の実施形態では、水スプレーAWV先端は、角の最上/末端部分、及び角の最下/隣接部分の両方(すなわち、図9及び図10に示した実施例の組み合せ)においてエア/水のポート(複数有り)を含むことができる。
【0028】
図11を参照して、AWV器具10、200の、管加熱機構800の実施例を説明する。管加熱機構800は、押し出し管/ホース40の加熱管腔830の内部に配置された正及び負の導線810、820に接続されるのに加えて可撓性抵抗発熱体110を含む。加熱管腔830(及びその中の発熱体110)が管/ホース40のエア管腔840及び水管腔850と隣接しているので、発熱体110から発される熱は、エア管腔840を介して伝達されるエア及び水管腔850を介して伝達される水を加熱する。AWV器具10、200を介して患者の口に管/ホース40で伝達される温められた水/エアは、特に患者が知覚過敏の歯/歯肉である場合、患者の快適さを増加させる。
【0029】
図12〜14Bを参照して、着脱可能なヘッド910を含むAWV器具900の実施例及び自動シャットオフバルブ機構の実施例を説明する。AWV器具900の構成要素は、末尾に添加した文字以外、上記のAWV器具10、200と同様の参照番号のように特定される。AWV器具10、200の上記説明はこの文中に組み込まれる。
【0030】
図12に示されるように、AWV器具900のヘッド910は、不用物(すなわち唾液/破片)及び給水が再使用可能なヘッド910を介して伝達されるので、ヘッド910のクリーニング及び殺菌のためにヘッド910が取り出され得るように、ハンドル/グリップ920に着脱自在に取り付け可能である。
【0031】
図12〜14Bを参照すると、自動シャットオフバルブ機構930の実施例において、ヘッド910は、連結ロッド(複数有り)1020を押すエア/水ボタン912、914を含む。連結ロッド1020はポペットバルブ(複数有り)918を押す。エア/水ボタン912、914の押下は、エア/水を、ポペットバルブ918を介し、連結ロッド1020を過ぎて、先端へ直接エア/水を案内するエア/水チャンネル(図示せず)に流動させる。エア/水ボタン912、914が解除されると、ポペットバルブ918上のばね1000が、ポペットバルブ918を元の位置に、自動密閉又はシャットオフを作る密閉関係に戻す。連結ロッド(複数有り)1020は、追加のバルブ弁/Oリングや対応する保守の必要性を取り除く。ポペットバルブ918は、下方の水管コネクタ940及び下方のエア管コネクタ950に配置される。該コネクタ940、950は、ハンドル/グリップ部材920及び上部開口端984を有する円筒形チャンバ980に接続されるアンカー960を含む。円筒形チャンバ980は、ばね1000及びその上のボール(ゴム又は金属)1010を有するバルブシート990を含む。ボタン70、80は、水/エア解放のためにボール1010が下方へ押圧されるように、ポペットバルブ918のポペットアクチュエータ919を押下すべく連結ロッド1020を作動させる。図14Bに示されるように、連結ロッド1020が引っ込められると(例えば、そのとき、ヘッド910は、ハンドル/グリップ920に着脱自在に取り付け可能である)、ばね1000は、下方の水管コネクタ940及び下方のエア管コネクタ950において自動密閉又はシャットオフを作るべく、上部開口端984と密閉関係になるようボール1010を促す。
【0032】
上記の図は、本発明のための例示的な構成を表すことができ、それは、本発明に含まれ得る特徴及び機能を理解する際の一助になる。本発明は、図示のアーキテクチャ又は構成に制限されず、様々な代わりのアーキテクチャ及び構成を使用して実施でき、加えて、本発明が様々な例示的実施形態および実施に関して上記で説明されているにもかかわらず、それらが説明される代わりに適用され得る、この種の実施例が説明されるにせよ、この種の特徴が、記載された実施例の一部であるとして示されるのであるにせよ、本発明の一つ以上の他の実施例への単独又は一部の組み合わせが、一つ以上の個々の実施例で説明される様々な特徴及び機能であることを理解すべきである。従って、本発明、特に以下に挙げるいずれかの請求項における広さと範囲は、上記説明の例示的実施形態のいずれによっても制限されてはならない。
【0033】
本文献において使用される用語やフレーズ及びそのバリエーションは、明示的に別段の定めをした場合を除き、制限することに相反して制約が無いものとして解釈されなければならない。上述の具体例として、用語「含む」は、「含むが、これに限定されるものではない」のように読み取られるべきである。用語「実施例」は、議論における項目(事項、要素)の典型的な一例を提供するために用いられ、余すところ無く又は制限的に載せるものではない。そして、「従来型の」、「従来の」、「標準の」「周知の」といった形容詞及び類似の意味の用語は、所与の期間又は一時的に利用可能な項目(事項、要素)を制限するものとして解釈されるべきではないが、代わりに、従来型の、又は従来の、又は通常の、あるいは利用可能なもしくは現在又は将来的に知り得る、標準的な技術を含んで読み取られる。
同様に、接続詞「及び」とつながる一群の用語は、それらの用語のそれぞれ一つ一つがグループに分けて存在することについて必要であると読み取られるべきではなく、むしろ、明示的に別段の定めをした場合を除き、「及び/又は」として読み取られるべきである。同様に、接続詞「又は」とつながる一群の用語は、そのグループの中の相互の排他性を必要とするとして読み取られるべきではなく、むしろ、明示的に別段の定めをした場合を除き、「及び/又は」として読み取られるべきである。さらに又、開示の項目、要素又は構成要素が単数で記載され又は請求(クレーム)され得るにもかかわらず、単数への制限が明確に定まっていなければ、複数がその請求項の範囲内に考慮される。「一つ以上」、「少なくとも」、あるいは「に限らず」、又は時には他のフレーズのような語句を広げることは、より狭いケースが意図されることを意味するために読み取られないか、又はこの種の広がっているフレーズが欠けてもよい事例は要求されない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B