特許第5658306号(P5658306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5658306スラッジを排出しない汚水の高度処理方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658306
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】スラッジを排出しない汚水の高度処理方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/30 20060101AFI20141225BHJP
   C02F 9/00 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C02F3/30 A
   C02F9/00 501A
   C02F9/00 501D
   C02F9/00 502D
   C02F9/00 502H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-85706(P2013-85706)
(22)【出願日】2013年4月16日
(62)【分割の表示】特願2009-533644(P2009-533644)の分割
【原出願日】2007年10月12日
(65)【公開番号】特開2013-154349(P2013-154349A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年4月16日
(31)【優先権主張番号】200610117730.5
(32)【優先日】2006年10月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509115487
【氏名又は名称】江明▲輝▼
(74)【代理人】
【識別番号】100106448
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 伸介
(72)【発明者】
【氏名】江明▲輝▼
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−181393(JP,A)
【文献】 特開平10−249375(JP,A)
【文献】 特開平08−089990(JP,A)
【文献】 特開昭54−071857(JP,A)
【文献】 特開平02−293098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/30
C02F 9/00
C02F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラッジを排出しない汚水深度処理装置であって、当該汚水処理装置は、
機能槽、並びに、電源、ポンプおよび制御機構を含み、
a.前記機能槽は、バースクリーンを備える主浄化器(1)と、中和による主沈殿槽(2)と、曝気槽(3)と、好気性生物学的プロセス槽(4)と、複数の嫌気性スラッジ戻流槽(5)と、スラッジ浄水分離槽(6)と、複数の分離槽(7)と、複数の放流槽(8)とを備え、
前記電源、ポンプおよび制御機構は、酸素を供給するブラスターと、電動送水ポンプと、制御弁とを備えており、
b.バースクリーンを備える前記主浄化器(1)には、バースクリーンとストレーナ(9)とが設けられており、
c.前記中和による主沈殿槽(2)とバースクリーンを備える前記主浄化器(1)とは、制御弁を備える送水管によって接続されており、
d.前記電動送水ポンプは、前記中和による主沈殿槽(2)と曝気槽(3)との間に設けられており、
e.前記制御弁を備える送水管が前記曝気槽(3)と好気性生物学的プロセス槽(4)との間に設けられており、
f.前記電動送水ポンプは、前記好気性生物学的プロセス槽(4)と第1の嫌気性スラッジ戻流槽(5−1)との間の導管上に設けられており、
g.前記嫌気性スラッジ戻流槽(5)は近接し、相互に接続され、それぞれの中心には溢流堰(10)が設けられ、この溢流堰の上方側はジグザグ形状であり、前記スラッジ戻流槽(5)のそれぞれの底部近くには、制御弁を備える導管によって前記好気性生物学的プロセス槽(4)と曝気槽(3)とそれぞれ接続するスラッジ戻流開口(11)が設けられており、
h.前記スラッジ浄水分離槽(6)の中心には、前記嫌気性スラッジ戻流槽(5)からスラッジを導入する導管、及び前記分離槽(7)へスラッジを送出する導管が設けられ、前記スラッジ浄水分離槽の底部には、前記好気性生物学的プロセス槽(4)への戻流装置が設けられており、
i.前記分離槽(7)は近接し、相互に接続されており、この分離槽のそれぞれの底部の近くにはスラッジ戻流開口(11)が設けられ、これらの開口は、制御弁を備える送水管によってそれぞれ前記好気性生物学的プロセス槽(4)接続しており、
j.前記放流槽(8)は近接し、相互に接続されており、一つの放流槽(8−1)と一つの分離槽(7−3)は近接し、相互に接続されており、これら放流槽および分離槽の底部の両方には、スラッジ戻流開口(11)が設けられ、これらの開口は、制御弁を備える送水管によってそれぞれ前記好気性生物学的プロセス槽(4)に接続されており、
k.制御弁を備える送水管が、排出出口と前記放流槽(8)との間に設けられており、
l.前記中和による主沈殿槽(2)、曝気槽3および好気性生物学的プロセス槽(4)の全てには、それぞれの側壁に、酸素を供給する空気入口(12)が設けられている、
ことを特徴とする、前記スラッジを排出しない汚水深度処理装置。
【請求項2】
前記機能槽は、上下に積み重ねた形で配置されており、下層に位置するところの、バースクリーンを備える主浄化器(1)、中和による主沈殿槽(2)、曝気槽(3)および好気性生物学的プロセス槽(4)、並びに、上層に位置するところの、嫌気性スラッジ戻流槽(5)、スラッジ浄水分離槽(6)、分離槽(7)および放流槽(8)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のスラッジを排出しない汚水深度処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境保護の技術分野、具体的には、物理的、化学的および生物学的汚水処理技術を総合的に採用することによる、スラッジを排出しない汚水の高度処理方法およびそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、いくつかの専門分野で発生した工業廃水は、大量の排出物および高濃度の汚染物質といった欠点が多く、この工業廃水により、水環境にますます深刻な汚染をもたらし、世界全体の生態学的平衡を破壊することから、工業廃水は、人間の生活環境に深刻に影響を与え、およびこれらの専門分野の発展を妨げている。汚水処理問題および生態学的環境保護は、様々な専門分野においてより重要性が増していると考えられるため、多くの人員と資金がこの主題の研究において使用され、多くの研究成果が得られている。廃水中の汚染物質には、概して、生物分解可能な有機物、揮発性有機物、容易に分解しない有機物、有害金属、懸濁固形物、栄養塩(窒素およびリン)、病原性微生物、寄生動物および植物類などが含まれる。現在の国家規定に準拠する工場用水の汚染物質排出基準は、生物学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、色度、pH値、懸濁物質、アンモニアおよび窒素、硫化物、六価クロム、銅、フェニルアミン、二酸化塩素などを主に規定するものである。したがって、汚水処理の主目的は、上記の密度および量を変質、減少および制御することにより、国家規定に準拠する汚染物質の排出基準を達成し、さらにその排出基準以下にすることである。
【0003】
現在、工業廃水および生活汚水における一般的な処理方法には、物理的処理方法、化学的処理方法および生物学的処理方法がある。物理的処理方法では、懸濁物質、浮遊物質および細繊維などの有機不純物を、バースクリーンおよびストレーナ、調節、沈殿、ガス浮遊およびフィルタ膜によって除去する。化学的処理方法では、中和槽または反応槽に種々の薬剤を加えることによって、中和、凝固、電解、酸化、吸着、殺菌などの方法で、pH値、有色廃棄物、コロイド懸濁物質、生物学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、微細懸濁物質、巨大分子有機物、細菌が処理される。生物学的処理方法には概して、嫌気性の生物学的プロセスと、好気性の生物学的プロセスとが含まれる。嫌気性生物学的プロセスでは、主に、BOD、COD、有色廃棄物、NH3−Nおよびリンが、上流の嫌気性スラッジ床、嫌気性付着膜膨張床、嫌気性流動床および加水分解酸性化などによって処理される。好気性生物学的プロセスでは、主として、BOD、COD、有色廃棄物、NH3−Nおよびリンが、再循環式活性スラッジ法、吸着再生酸化法、生物接触酸化法によって処理される。
【0004】
一般に、従来の汚水処理装置またはシステムは、物理的処理方法、化学的処理方法および生物学的処理方法のうちの1つのみを採用している。これらの方法は、水質基準を若干改善する効果を有するが、実際には、これらの方法には限界があり、全体的な処理結果は望ましくない。さらに、初期段階におけるこれらの処理方法のインフラストラクチャおよび装置の費用は高く、また多量の薬剤や化学添加剤が動作中に頻繁に投入されるため、運転コストが極めて高くなる。さらに、汚水処理の全期間において、汚染物質、特に多量の処理が難しいスラッジが生成され、排出される。汚水処理装置の中には、スラッジを濃縮、乾燥および粉砕する機能を有するものもあるが、最後には、汚染物質は外部に排出されなければならず、廃物投棄場所に投棄され、または地中深くに埋めたとしても、結局、これらは、新たな汚染源となる。従って、現在の汚水処理方法は、実際には環境保護の目的を実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の点から本発明は、スラッジを排出しない汚水の高度処理の新規な方法および装置を提供する。本発明の利点は、装置の費用が低く、運転コストが低く、汚水を処理する効果に優れ、排出基準を達成するか又は排出基準よりもさらに低くし、再循環が可能であり、処理の全期間において汚染物質を排出せず、二次汚染物質も存在しないことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、スラッジを排出しない汚水の高度処理の新規な方法が提供される。この方法では、物理的、化学的および生物学的汚水処理技術を総合的に採用し、汚水の排出量および汚水の汚染物質の固有特性に基づいて、Shanghai LianTan Chemical Ltdにより開発されたシリーズLTC−Aの適切な汚水処理剤を選択し、バースクリーンとストレーナとを備える主浄化、中和による主沈殿、供給酸素の曝気、好気性生物学的プロセス、嫌気性生物学的プロセス、浄化、分離および濾過に対してそれぞれ機能槽を設置する。本方法のワークフローは以下の通りである。
(1)主浄化:汚水から懸濁物質、浮遊物質および細繊維などの不純物を除去するために、バースクリーンおよびストレーナを備える主浄化器内で、汚水を物理的に処理する。
(2)pH値の調節:中和による主沈殿槽内で、汚水の試料を採取し、測定する、検出結果により汚水のpH値を6〜9になるように適切な調整液を汚水に加えて、汚水が中和される、さらに設置される曝気装置を用いて汚水が十分に混合される。
(3)曝気槽に酸素を供給:曝気槽に酸素を十分に供給し、試料採取して、汚水の固有特性を測定する。その固有特性に基づいて、シリーズLTC−Aの適切な汚水処理剤が選択される。
(4)好気性生物学的プロセス:好気性生物学的プロセス槽に酸素を十分に供給し、LTC−Aの適切な汚水処理剤を加える。LTC−Aは、特に培養された、有機物に対して強力な吸着能力、強力な分解および酸化効果、ならびに良好な沈降効果を有する。したがって、適切な環境および条件においては、好気性微生物が、汚水中の有機物を食物とし、汚水中の有機物を微生物に転化し、汚水中の有機物を酸化、分解して無機物質にすることができる。
(5)嫌気性生物学的プロセス:好気性生物学的プロセスで処理された汚水を、嫌気性スラッジ戻流槽に導入することにより、解離酸素がない場合は、汚水中の嫌気性微生物が、有機物をCO、HO、NHなど、および余剰スラッジに分解する。余剰スラッジは、戻流装置によって、好気性生物学的プロセス槽または曝気槽に戻され、その後、再処理のために汚水剤などの「活性スラッジ」と混合される。
(6)浄化および濾過による分離:嫌気性生物学的プロセスで処理され、密度が1に近い、比較的純粋な水中の懸濁物質を、活性炭で吸着し、スラッジ浄水分離槽で浄化することによって分離する。その後、純水は送り出され、濾過された残留物は、再処理するために主浄化器に戻される。
【0007】
さらに、上記LTC−Aの汚水処理剤は、好気性生物学的プロセス槽内に直接投入することができる。
【0008】
本発明では、本発明によるスラッジを排出しない汚水の高度処理方法を用いる、スラッジを排出しない汚水の高度処理装置も開示されている。この装置は、概して、機能槽、並びに、電源、ポンプおよび制御機構を含む。機能槽は、バースクリーンを備える主浄化器と、中和による主沈殿槽と、曝気槽と、好気性生物学的プロセス槽と、嫌気性スラッジ戻流槽と、スラッジ浄水分離槽と、分離槽と、放流槽とを備える。電源、ポンプおよび制御機構は、酸素を供給するブラスターと、電動送水ポンプと、制御弁とを備えている。導管上に制御弁がある戻流装置が、嫌気性スラッジ戻流槽、スラッジ浄水分離槽、分離槽、放流槽、好気性生物学的プロセス槽または曝気槽の間に設けられ、これにより、その中のスラッジと汚水を、戻流装置によって、好気性生物学的プロセス槽または曝気槽に戻し流すことができる。バースクリーンを備える上記主浄化器には、バースクリーンとストレーナが設けられている。上記中和による主沈殿槽とバースクリーンを備える上記主浄化器とは、制御弁を備える送水ポンプによって接続されている。電動送水ポンプは、上記中和による主沈殿槽と曝気槽との間に設けられ、その結果、中和による主沈殿槽で処理される汚水が、曝気槽までポンプで送られる。相互に接続された導管が、上記曝気槽と好気性生物学的プロセス槽との間に設けられ、その結果、曝気槽内の汚水が、影響を受けずに、好気性生物学的プロセス槽に流れ込む。電動送水ポンプは、上記好気性生物学的プロセス槽と第1の嫌気性スラッジ戻流槽との間の導管上に設けられている。必要に応じて、上記嫌気性スラッジ戻流槽を多数設置することができる。嫌気性スラッジ戻流槽は、相互に近接して接続され、槽の各中心には、溢流堰が設けられ、溢流堰の上方側はジグザグ形状である。槽の各底部近くには戻流装置が設けられ、この装置の導管上には制御弁が設けられ、戻流装置は好気性生物学的プロセス槽と曝気槽とをそれぞれ接続している。上記スラッジ浄水分離槽の中心には、スラッジを導入する導管が設けられ、上記スラッジ浄水分離槽の底部には戻流装置が設けられている。必要に応じて、上記分離槽と放流槽放流槽を多数設置することができる。分離槽と放流槽は、相互に近接して接続され、槽の各底部には導管上に制御弁が設けられ、好気性生物学的プロセス槽と接続するスラッジ戻流装置が設けられている。制御弁を備える送水管が、上記放流槽の排出口に設けられている。さらに、上記機能槽は、面積を減少するために積み重ねることができる。バースクリーンを備える上記主浄化器と、中和による主沈殿槽と曝気槽と好気性生物学的プロセス槽との寸法は大きいことが必要であるため、これらを掘り込み式で下層に設置し、深度を増加することにより寸法要件を満たす。上記嫌気性スラッジ戻流槽と、スラッジ浄水分離槽と、分離槽と、放流槽とは、必要に応じて上層に設置可能であり、スラッジ浄水分離槽は、相対的に大きくてもよい。
【0009】
運転中、汚水は、中和による主沈殿槽に入る前に、バースクリーンとストレーナとで濾過されて、汚染物質の懸濁物質を遮断し、後続のプロセスで用いられる送水ポンプユニットなどの装置を保護する。中和による主沈殿槽に入る汚水は、試料採取され、測定結果により適切な調製液を加えられて、汚水はpH値が6〜9になるように中和される。曝気槽に入る汚水は、試料採取され、検出され、検出結果に基づいて、Shanghai LianTan Chemical Ltdにより開発されたシリーズLTC−Aの適切な汚水処理剤を選択し、加える。この汚水処理剤は、曝気槽中の汚水と共に好気性生物学的プロセス槽内にポンプで送られる。ブラスターユニットが、中和による主沈殿槽と曝気槽と好気性生物学的プロセス槽中の汚水にそれぞれ酸素を供給する。その結果、汚水中の種々の好気性微生物を十分に用いて、汚水中のコロイド状の溶解性有機物が、汚水を最初に浄化するのに十分な酸素条件の下で、酸化および分解されて、微生物、無機物であるCOおよびHOに変わる。好気性処理によって処理された、最初の浄水は、嫌気性処理されるために、電力装置によって、第1の嫌気性スラッジ戻流槽までポンプで送られる。その結果、解離酸素がない場合は、汚水中の嫌気性微生物が、有機物を加水分解および発酵させ、炭水化物とタンパク質と脂肪は単糖、アミノ酸、脂肪酸、COおよびHOに変換し、その後メタンに変える。比較的純粋な水と非水溶性のスラッジが得られる。非水溶性のスラッジは、槽の下に沈殿し、再処理するために、対応する弁を非周期的に開くことによって、好気性生物学的プロセス槽または曝気槽に戻される。比較的純粋な水は、ジグザグ状の溢流堰と相互接続した出口とを通って流れ、第2の嫌気性スラッジ戻流槽に入って嫌気性処理される。同様に、スラッジは戻流し、さらに比較的純粋な水は溢流して、次の嫌気性スラッジ戻流槽に流れ込む。最後の嫌気性スラッジ戻流槽内に溢流した純水は、スラッジ浄水分離槽に入る。汚水中の有機汚染物質、窒素およびリンなどが、好気性生物学的プロセスと嫌気性生物学的プロセスによって処理されるが、水中には、依然として、相対密度が1に近く、水に懸濁し、通常の沈殿方法では一般的に除去できない固形物が存在し、この固形物が水の色度に影響を与える。したがって、本装置内に大きなスラッジ浄水分離槽が配置され、水の流量を制御し、活性炭の吸着能力を利用することによってスラッジと浄水とを分離する。最後に、スラッジは濾過され、排出されるまたは再利用するために戻される。
【0010】
上記の概念に基づいた、本発明のスラッジを排出しない汚水の高度処理方法およびその装置は、処理される汚水の固有特性に科学的に基づいてシリーズLTC−Aの適切な汚水処理剤を選択し、物理的、化学的および生物学的処理方法を総合的に採用し、運転処理装置を合理的に設置するため、極めて顕著な汚水処理効果を実現できる。現在の汚水処理における望ましい基準を達成することが難しい、生物学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、アンモニアおよび窒素、並びに石油等の基準に関しては、CODの国定許可濃度が100mg/Lであるのに対して、本発明の方法および装置を用いて実際に測定したCODの濃度値は70mg/Lよりも低く、BODの国定許可濃度が30mg/Lであるのに対して、本発明の方法および装置を用いて実際に測定したBODの濃度値は15mg/Lよりも低く、アンモニアおよび窒素の国定許可濃度が15mg/Lであるのに対して、本発明の方法および装置を用いて実際に測定したアンモニアおよび窒素の濃度値は10mg/Lよりも低く、石油等の国定許可濃度が10mg/Lであるのに対して、本発明の方法および装置を用いて実際に測定した石油等の濃度値は5mg/Lよりも低い。したがって、全ての指標は、国が許可する排出基準よりも大幅に低く、全ての指標で、従来技術の他の処理方法では達成が難しい所望の基準を同時に達成する。これは、内部でスラッジ戻流処理の技術を採用することによって、内部スラッジは好気性環境と嫌気性環境とを十分に利用し、汚染物質として排出されないため、汚水処理の全期間において、スラッジは排出されない。これは現在の汚水処理装置では達成できないことである。本発明の方法を用いて設置された汚水処理装置の構成は、科学的であり、合理的である。機能槽は、積み重ねられ、相互に近接している。これは面積を低減し、および電力装置の増加の必要もなく、弁制御によって戻流の再循環を実行する、資源とエネルギーを節減するのに有利である。本装置の構成は合理的であるため、より少数の追加装置を必要とするだけであり、初期投資と現行のメンテナンスとのコストが極めて低い。運転中、1つのブラスターと2つの電動送水ポンプのみが作動しているため、消費エネルギーが極めて少ない。水試料の検出結果に基づいて加えられるシリーズLTC−Aの特定の汚水処理剤は、半月に1回追加されるだけでよいので、日常管理および運転のコストが極めて低く、従来技術の他の処理方法のコストの半分未満である。したがって、本発明のスラッジを排出しない汚水の高度処理方法は、実現可能であり、信頼性が高く、本発明のスラッジを排出しない汚水の高度処理装置は、科学的であり、合理的である。本発明は、明らかに、技術的に高度であり、適用範囲が広く、市場適用可能性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による装置を示す斜視図である。
図2】本発明の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付図面と実施形態を参照して本発明を説明する。図1を参照すると、本発明によるスラッジを排出しない汚水の高度処理装置は、概して、機能槽、並びに、電源、ポンプおよび制御機構を含む。機能槽は、上下に積み重ねた形で配置され、下流に位置するところの、バースクリーンを備える主浄化器1と、中和による主沈殿槽2と、曝気槽3と、好気性生物学的プロセス槽4と、上流に位置するところの、嫌気性スラッジ戻流槽5と、スラッジ浄水分離槽6と、分離槽7と、放流槽8とを備えている。電源、ポンプおよび制御機構は、酸素を供給するブラスターと、電動送水ポンプと、制御弁とを備えている。上記主浄化器1には、バースクリーンおよびストレーナ9が設けられている。上記中和による主沈殿槽2とバースクリーンを備える上記主浄化器1とは、制御弁を備える送水ポンプによって接続されている。電動送水ポンプは、上記中和による主沈殿槽2と曝気槽3との間に設けられている。制御弁を備える送水管が上記曝気槽3と好気性生物学的プロセス槽4との間に設けられている。電動送水ポンプは、上記好気性生物学的プロセス槽4と第1の嫌気性スラッジ戻流槽5−1との間の導管上に設けられている。上記嫌気性スラッジ戻流槽の数は、5−1、5−2、5−3、5−4、5−5の5つである。これらのスラッジ戻流槽は近接し、相互に接続され、各中心には溢流堰10が設けられ、溢流堰の上方側はジグザグ形状である。スラッジ戻流槽の各底部近くには、制御弁を備える導管によって好気性生物学的プロセス槽4と曝気槽3とをそれぞれ接続するスラッジ戻流開口11が設けられている。上記スラッジ浄水分離槽6の中心には、スラッジを導入する導管が設けられ、上記スラッジ浄水分離槽6の底部には、戻流装置が設けられている。上記分離槽7の数は、7−1、7−2、7−3の3つである。これらの分離槽は近接し、相互に接続されている。放流槽8の数は、8−1、8−2の2つである。これらの放流槽は近接し、相互に接続されている。放流槽8−1と分離槽7−3は近接し、相互に接続されている。これら放流槽および分離槽の底部の両方には、スラッジ戻流開口11が設けられ、これらの開口は、制御弁を備える送水管によってそれぞれ好気性生物学的プロセス槽4に接続されている。制御弁が、上記放流槽8の純水の排出出口に設けられている。上記中和による主沈殿槽2と曝気槽3と好気性生物学的プロセス槽4には、その側壁に、酸素を供給する空気入口12が設けられている。
【0013】
図2において、本発明によるスラッジを排出しない汚水の高度処理方法は以下の通りである。すなわち、物理的、化学的および生物学的汚水処理方法を総合的に採用し、汚水排出量および汚水の汚染物質の固有特性に基づいて、Shanghai LianTan Chemical Ltdにより開発されたシリーズLTC−Aの汚水処理剤を選択し、バースクリーンおよびストレーナを備える主浄化器1と、pH値を調節および制御するための中和による主沈殿槽2と、概してブラスターを含む酸素供給装置と、好気性微生物に対する活動環境を生成するための好気性生物学的プロセス槽4と、嫌気性微生物に対する活動環境を生成するための嫌気性スラッジ戻流槽5と、スラッジと比較的純粋な水とを分離するためのスラッジ浄水分離槽6と、分離槽7と、放流槽8とを設置する。本方法のワークフローは以下の通りである。
(1)主浄化:浄化および沈殿によって汚水から懸濁物質、浮遊物質および細繊維などの不純物を除去するために、バースクリーンおよびストレーナを備える主浄化器1内で、汚水が物理的に処理される。
(2)pH値を調節:汚水は、中和による主沈殿槽2内で、試料採取および検出される。pH値が9を超える場合は、酸を含む薬剤が加えられる。pH値が6未満の場合は、アルカリを含む薬剤が加えられる。汚水は、pH値が6〜9になるように中和される。具体的には、薬剤は検出中に加えられて、pH値が6〜9になるように制御する。酸を含む上記薬剤と、アルカリを含む薬剤は、現行の汚水の中和において一般的に用いられている酸を含む薬剤とアルカリを含む薬剤とである。これは、曝気装置を設置することによって十分に混合される。
(3)曝気槽に酸素を供給:ブラスターを用いて、曝気槽3に継続的に酸素を十分に供給し、酸素量を0.012m/分・m以上に維持する。汚水の固有特性を決定するために試料採取する。その固有特性に基づいて、LTC−Aの適切な汚水処理剤が選択され、加えられる。検出する必要がある固有特性は、pH値、化学的酸素要求量、生物学的酸素要求量、アンモニアおよび窒素などである。さらに、それらの固有特性に基づいて、LTC−Aの適切な汚水処理剤が選択され、加えられる。処理剤は、以下の表1に基づいて選択される。
【0014】
【表1】
【0015】
(4)好気性生物学的プロセス:ブラスターを用いて、好気性生物学的プロセス槽4に酸素を強力的に供給する。酸素量は、0.012m/分・m以上でなければならない。これにより、適切な環境および条件(すなわち、10〜40℃、および十分な酸素)下では、特に培育し、有機物に対する強力な吸着能力、強力な分解および酸化作用と、良好な沈降作用とを有する、LTC−Aの適切な汚水処理剤中の好気性微生物が、汚水中の有機物を食物とし、汚水中の有機物を微生物に転化するとともに、汚水中の有機物を無機物質に酸化、分解することができる。
(5)嫌気性生物学的プロセス:好気性生物学的プロセスで処理された最初の純水が嫌気性スラッジ戻流槽5に導入され、これにより、解離酸素がない場合は、最初の純水中の嫌気性微生物が、有機物を分解する。嫌気性細菌は、嫌気性条件下(すなわち、温度が10〜40℃、および十分な酸素)で、活性スラッジによって、汚水中の有機物を吸着する。嫌気性細菌は、有機物を食物とし、汚水中の有機物を微生物に変えるとともに、CO、HO、NHおよび余剰スラッジに分解する。余剰スラッジは、戻流装置によって、好気性生物学的プロセス槽4または曝気槽3に戻され、その後、再処理のために選択されたLTC−Aの汚水処理剤などの「活性スラッジ」と混合される。
(6)浄化による分離と濾過:嫌気性生物学的プロセスで処理され、密度が0.95〜1.05である、比較的純粋な水中の懸濁物質が、活性炭で吸着され、スラッジ浄水分離槽6で浄化することによって分離される。その後、完全な標準水が送り出され、濾過された残留物は、再処理のために主浄化器1に戻される。
【符号の説明】
【0016】
1 バースクリーンを備える主浄化器
2 中和による主沈殿槽
3 曝気槽
4 好気性生物学的プロセス槽
5 嫌気性スラッジ戻流槽
6 スラッジ浄水分離槽
7 分離槽
8 放流槽
9 バースクリーンおよびストレーナ
10 溢流堰
11 スラッジ戻流開口
12 酸素を供給する空気入口
図1
図2