特許第5658309号(P5658309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658309
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】アウトソールおよびスポーツシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 5/02 20060101AFI20141225BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20141225BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20141225BHJP
   A43B 5/06 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   A43B5/02
   A43B23/02 101Z
   A43B13/14 A
   A43B5/06
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-109718(P2013-109718)
(22)【出願日】2013年5月24日
(62)【分割の表示】特願2010-182836(P2010-182836)の分割
【原出願日】2010年8月18日
(65)【公開番号】特開2013-154251(P2013-154251A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年6月14日
(31)【優先権主張番号】10 2009 028 627.6
(32)【優先日】2009年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヴァイトル
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ ジャン アントネリ
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト ガイエル
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0048413(US,A1)
【文献】 特開昭53−071960(JP,A)
【文献】 実開昭56−123109(JP,U)
【文献】 実開昭62−087507(JP,U)
【文献】 実公昭38−008507(JP,Y1)
【文献】 特開2007−236647(JP,A)
【文献】 特表2008−543452(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0283042(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/002068(WO,A2)
【文献】 特開平11−042103(JP,A)
【文献】 特表2010−514473(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0010716(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0022627(US,A1)
【文献】 米国特許第04447967(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 5/02
A43B 5/06
A43B 13/14
A43B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツシューズ(1)において、
a. 囲い領域(11)とソール領域(12)を備えたシューズのアッパー(10)、および
b. 中足部に配置され、前記アッパー(10)の内部に取り付けられた少なくとも1つの補強要素(20)であって、前記囲い領域(11)および前記ソール領域(12)の間に延在する複数の柔軟なバンド(21)を備えた補強要素(20)、
を備え
前記複数のバンドが、前記アッパー(10)の内側内部と外側内部にバンド(21)を有し、
前記アッパー(10)の内側内部にある前記バンド(21)が、該アッパー(10)の外側内部にあるバンドよりも柔軟であるように形成されている、
ことを特徴とするスポーツシューズ(1)。
【請求項2】
前記アッパー(10)の外側内部にあるバンド(21)が実質的に柔軟ではないことを特徴とする請求項記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項3】
前記アッパーの内側内部にある前記バンド(21)が、前記外側内部にある前記バンド(21)よりも交差部が少ないことを特徴とする請求項1または2記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの補強要素(20)が、多くとも1.5mmの厚さを有する材料から製造されていることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項5】
各バンド(21)の幅が0.5cmと2cmの間にあることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの補強要素(20)が、前記囲い領域(11)の縁に沿って延在する上部の結合バンドをさらに備えていることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項7】
前記囲い領域(11)の蓋に沿って延在する前記上部の結合バンド(21)が、靴紐のための複数の開口(23)を備えていることを特徴とする請求項記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの補強要素(20)が、前記ソール領域(12)の縁に沿って延在する下部の結合バンドをさらに備えていることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のスポーツシューズ(1)。
【請求項9】
スポーツシューズ(1)用のアウトソール(30)であって、
a. 該アウトソール(30)の踵部分(32)から中足部(33)を経て前足部(34)まで延在する一体ソールプレート(31)、
b. 前記ソールプレート(31)に組み込まれた少なくとも1つの第1の補強リブ(37)、および
c. 前記少なくとも1つの第1の補強リブ(37)の上または下に配置された補強プレート(40)、
を備えたアウトソール(30)をさらに備え、前記アッパー(10)の前記ソール領域(12)が該アウトソール(30)に取り付けられていることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のスポーツシューズ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツシューズ用のアウトソールおよびスポーツシューズ、特に、サッカーシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのスポーツにおいて、加速は、競技者の能力に決定的に重要な影響を及ぼす。例えば、短距離走者の場合、勝ち負けの決め手となるのは、最終的に達成できる速度だけでなく、この速度にいかに速く到達できるかもある。頻繁に方向を変えるスポーツにおいて、加速はさらに重要である。特に、サッカーだけでなく、他の分野のスポーツについて、走る方向が変わった場合、または突然飛ぶ必要がある場合、絶えず、加速過程がある。
【0003】
物理の法則によれば、達成できる加速は、動かすべき質量に直接依存する。したがって、所定の力で達成できる加速を増加させるために、全重量をできるだけ多く減少させることが、スポーツシューズの設計における重要な目的である。現在、入手できる最軽量のサッカーシューズの重量は165gより重い。一見したところではたいしたことがないと考えられるそのような重量でさえ、例えば、ボールを高速ドリブルしている最中に、選手の敏捷性を損なう。さらに、サッカーシューズの内部質量により、ボールを蹴るときの足の速度が減少し、それゆえ、ボールのシュート速度が減少してしまう。最終的に、足の慣性質量が選手の疲労に影響する。下肢に配置されるために大きいてこの力および回転モーメントを身体に及ぼす恒久的に動かされる質量が大きいほど、サッカーの試合の90分(またはそれ以上)の間に選手の疲労が早くなる。
【0004】
シューズの重量を減少させるための数多くの手法が従来技術から公知である。例えば、特許文献1には、シューズの上部への炭素繊維の使用が開示されている。特許文献2にはさらに、薄い材料層が、外部に配置された複数の糸により補強されているアッパーが開示されている。特許文献3には、アッパーの薄く軽量の材料にもかかわらずに、発生した負荷にシューズが耐えられるように、中足部(midfood)と前足部(forefoot)の間の移行区域に補強材を備えた軽量スポーツシューズが開示されている。最後に、特許文献4には、アッパーが、繰り返し交差するセグメントの緻密なマトリクス構造からなるシューズ構成が開示されている。このアッパー自体は、それらのセグメントがアッパーの外側に配置されるように、マトリクス構造により取り囲まれた容積の内部に配置されていてもよい。
【0005】
シューズのアッパーの最適化は別にして、シューズのソールは全重量に決定的な影響を及ぼすので、ソール構造を変更する手法もある。例えば、特許文献5には、複合材料から形成されたプレートがソールの切抜き部に接着されているソール集成体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0071036号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0271823号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0813158号明細書
【特許文献4】米国特許第7540097号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0064535号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した手法のいずれも、その機能特性、すなわち、地面のグリップ、足の支え、履き心地などを低下させずに、また製造労力を実質的に増加させずに、スポーツシューズの重量を実質的に減少させることに成功していない。
【0008】
したがって、本発明は、公知の解決策と比較して重量が実質的に減少していると同時に、減少した製造コストで、安定性、履き心地および牽引力の要件を満たすアウトソールおよびスポーツシューズを提供することにより、公知のシューズ構成の欠点を少なくとも部分的に克服するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明の実施の形態によって解決される。複数の技術特徴が、公知のシューズ構成の重量よりも著しく低いアウトソールおよびスポーツシューズの全重量の減少に寄与する。これらの特徴の全てが組み合わせられれば、シューズの機能特徴を損なわずに、サッカーシューズについては126gの全重量、すなわち、従来技術から知られているサッカーシューズの重量よりもずっと低い値を達成できる。
【0010】
しかしながら、以下に検討される特徴のいくつかだけを実現しさえすれば、重量の相当な減少がすぐに達成できる。したがって、本発明は、スポーツシューズの重量を減少させるために、ほとんど自由裁量で当業者によって組み合わせられる技術特徴の一種のツールボックスを提供する。
【0011】
請求項1のアウトソールは、アウトソールの踵部分から中足部分を介して前足部分まで延在する一体ソールプレートを備えている。少なくとも1つの第1の補強リブがこのソールプレートに組み込まれ、この少なくとも1つの補強リブの上または下に1つの補強プレートが配置されている。
【0012】
シューズの実質的に全長に亘って延在し、1つ以上の補強リブを備えた一体アウトソールは、軽量であるが高度に安定なプラスチック材料の射出成形によって、費用効率的に製造できる。その補強リブは、中足部分に配置されることが好ましく、土踏まずを支えるためにこのソール領域を選択的に堅くする。そのリブは、ソールプレートの上または下に配置して差し支えない(またはいくつかの区域でソールプレートを置き換えさえしてもよい)。補強リブにより、ソールが特有に堅くされ、この目的にために、この補強リブは、適切な形状とプロファイル、例えば、T字形プロファイルを有してよい。ソールプレートと少なくとも1つの補強リブの間に空洞が配置されている。それゆえ、ソールプレートは、この区域でより薄く形成することができ、その結果、重量が著しく減少する。
【0013】
少なくとも1つの補強リブの上に配置される補強プレートは、足に向いた側でアウトソールをさらに堅くすることに加え、補強リブの上の配置で、足に向いた側に実質的に平坦な表面を有する可能性を提供する。その結果、競技者の足を、足裏に不快な圧力荷重なく、アウトソール上に直接載せることができる。補強プレートが補強リブの下に配置された場合の逆の配置では、ソールプレートのより薄く形成された区域が、この場合にも、支える平坦な区域が形成されるように、足に向いたアウトソールの内側でソールプレートの他の区域にシームレスで取り付けることができる。したがって、多層のソール集成体およびそれに対応する重量を実質的に省くことができる。重量の増加をできるだけ少なくして、履き心地を改善するために、薄いインソールを配置することだけが好ましい。
【0014】
補強プレートは、レーザ溶着による一体ソールプレートへの相互接続を可能にする、レーザビームに対して透明な材料から製造されることが好ましい。レーザビームは、補強プレートを透過し、ソールプレートの材料を局所的に加熱し、よって、溶融する。反対に、レーザ光の入射により、補強プレートが選択的に溶融するように、ソールプレートを、レーザビームに対して透明な材料から製造し、補強プレートを不透明な材料から製造しても差し支えない。ソール部品を接続するために接着剤を使用することとは違い、レーザ溶着では、重量が増加しない。超音波溶着によっても同様の利点が得られる。
【0015】
少なくとも1つの補強リブは、5mm以下の高さおよび/または幅を有することが好ましく、3mm以下がより好ましい。本願出願人は、現代のプラスチック材料、例えば、繊維強化ポリアミド(PA12)は、そのような小さい寸法のものが使用された場合でさえも(重量が非常にわずかしか増加しない)、中足部区域およびアウトソールの他の部品において、要求される剛性を提供することができる。
【0016】
ある実施の形態において、一体ソールプレートの少なくとも2つの第1の補強リブが、シューズの長手方向に実質的に延在する。シューズの中足部分を実質的に横断するように延在する少なくとも1つのさらに別の第1の補強リブがあることが好ましい。その結果、長手方向における曲げ並びに横断方向における曲げの両方に対して土踏まずの区域において一体ソールプレートを堅くする基礎構造が提供される。補強プレートが、ソールプレートに向いた側に、少なくとも1つの第1の補強リブに対して少なくとも部分的に平行な少なくとも1つの第2の補強リブを備えている場合、最低の重量で最大の曲げ剛性を有する中足部分が形成される。
【0017】
スポーツシューズ用のアウトソールを陸上競技などに使用すべき場合、そのアウトソールは、一体ソールプレートに形成された複数のプロファイル要素を備えることが好ましい。従来技術において、そのようなプロファイル要素は、典型的に別々に製造され、その後、ソールの対応する受容部にしっかりと固定される。本発明の好ましい実施の形態では、プロファイル要素をソールプレートと一緒に一体製造することによって、そのような受容部の重量が省かれる。さらに、プロファイル要素は、中実ではなく、中空の空洞を備え、それによって、シューズの重量をさらに減少させることが好ましい。
【0018】
機能特性を改良するために、一体ソールプレートが第1の材料から製造され、プロファイル要素の内の少なくとも1つが、プロファイル要素で歩くときにある程度の緩衝作用を提供するように、地面を向いた側に、第2の材料、例えば、いくぶん軟らかいTPU(熱可塑性ウレタン)から製造された部分を備えることが好ましい。反対に、例えば、シューズを堅い乾燥した地面で使用すべき場合、より堅い材料を使用することも考えられる。第2の材料から製造された部分は、ソールプレートと一緒に、多成分射出成形によって効率的に製造できる。第1の製造工程において製造された部分を、それを取り囲むソール材料で押出コーティングすることも考えられる。
【0019】
踵部分において、一体ソールプレートは、例えば、TPUなどの第3のより軟らかい材料から製造された側部を有することが好ましいヒールカップを備えることが好ましい。この側部は、多成分射出成形を使用して、ソールプレートの残りの部分と一緒に製造することもできる。そのようなヒールカップは、側方と後方から足を支え、プロファイル要素と共に、競技者の速い加速を可能にする。これらの側部は、アッパーの踵部分に複雑で重い緩衝部材が必要ないように、より軟らかい材料から射出成形することができる。これは、機能特性を損なわずに、スポーツシューズの全重量を減少させるためのさらに別の手段である。
【0020】
本発明のさらに別の実施の形態が、独立請求項18に定義されている。したがって、スポーツシューズ、特に、サッカーシューズは、囲い領域とソール領域を有するシューズのアッパーを備える。中足部の全てを取り囲み、囲い領域からソール領域まで延在する複数のフレキシブルバンドを含む補強要素がシューズのアッパーの内部に取り付けられている。
【0021】
囲い領域と中足領域の間の中足部に複数のバンドを記載したように配置することにより、シューズのアッパーが補強され、ソールを下に配置して、アッパーを足にしっかりと取り付けることができる。そのようにする際に、バンドが囲い領域とソール領域との間の距離に亘り完全に延在する必要はない。シューズのアッパーの材料が、中足部に配置されたバンドによって十分に補強されていることで十分である。
【0022】
補強要素が、シューズのアッパーの内側と外側両方の内部に配置されたバンドを備えることが好ましく、そのシューズのアッパーの内側内部にあるバンドが、シューズのアッパーの外側内部のものよりも柔軟に形成されていることが好ましい。この理由のために、一方で、シューズの安定性は、例えば、方向を突然に変えるときの、横向き荷重に対して改善され、他方で、シューズのアッパーの柔軟性は維持され、これにより、サッカーシューズに関して、地面を蹴るときの動作(以後、ロールオフ(rolling-off)と称する)が滑らかにでき、ボールを正確に感じることができる。
【0023】
シューズの上述した安定性と柔軟性について、シューズのアッパーの外側内部にあるバンドが、スポーツシューズに一般に生じる荷重の下で柔軟性ではなく、シューズのアッパーの内側内部にあるバンドが、シューズのアッパーの外側内部にあるバンドよりも、互いの交差が少ないことが好ましい。バンドが互いに交差または架橋しているほど、シューズのアッパーはより安定になる。しかしながら、それにより、柔軟性は減少し、よって、例えば、サッカーシューズの場合には、内側内部にあるバンドに交差部がまったくないことが好ましい。そのようにバンドのオープン構造により、シューズのアッパーが、バンドを横切る方向、すなわち、実質的にシューズの長手方向に、確実に伸ばすことが可能になり、このことは、例えば、前足部を妨害せずにロールオフするのに必要である。
【0024】
シューズのアッパーの材料は、シューズのアッパー内の張力が上述したバンドによって維持されるので、TPUコーティングを有する繊維材料や(炭素)繊維補強複合材料などのように、特に軽量であって差し支えない。補強要素は1.5mm未満、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する材料から製造されることが好ましい。各バンドの幅が0.5cmと2cmの間であることが好ましい。これらの寸法により、ウインドサーフィンのセールに用いられるような、軽量の強化PET(ポリエチレンテレフタレート)などの複数の材料から、実質的に非可縮性バンドを製造することが可能になる。履き心地を改善するために、PETを発泡ポリウレタン(PU)により押出コーティングしても差し支えない。
【0025】
補強要素がシューズのアッパーの内部に配置されているので、その外側が、例えば、スポーツシューズがサッカーシューズである場合、最適なボールコンタクトのために、他の要件を満たすことができる。
【0026】
サッカーシューズの場合、補強要素が、シューズのアッパーのボールとの接触表面を補強するための補強区域を備え、この補強区域が複数のバンドと共に一体製造されることがさらに好ましい。この補強区域は、ボールコンタクトのほとんどが行われるシューズのアッパーの内側部に配置されていることが好ましい。その補強区域は、前足部に亘り延在して差し支えなく、激しいボールコンタクトの最中に足に生じる負荷を緩衝する発泡材料からなっていてもよい。この特徴により、サッカーシューズのアッパーを著しく薄くかつ軽い材料から製造することが可能になるので、この特徴もシューズの質量の減少に寄与する。
【0027】
質量を減少させるために、補強要素が前足部も踵も取り囲まないことが好ましい。前足部において、例えば、ドリブルの最中または回転をかけてボールをシュートするときに、ボールとの接触ができるだけ直接的である必要がある。踵部において、シューズは、例えば、上述したアウトソールと一体型ヒールカップの使用により、要求された安定性を既に有しているので、バンドは必要ない。
【0028】
本発明のさらなる可能な特徴は、さらに別の従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明によるスポーツシューズの第1の実施の形態の斜め外側の前方から見た斜視図
図2図1の実施の形態の斜め外側の後方から見た斜視図
図3】本発明によるアウトソールの実施の形態を示す分解斜視図
図4】本発明の実施の形態に関する透明な補強プレートの平面図
図5図3のアウトソールを通る断面図
図6】さらなる実施の形態によるシューズのアッパーと補強要素の詳細を示す斜視図
図7】さらに別の実施の形態によるアウトソールの側面図
図8図7のアウトソールの下面図
図9】一体補給区域を有するシューズのアッパーに関する平らに広げられた補強要素のさらなる実施の形態を示す平面図
図10】シューズのアッパーの平らに広げられた補強要素のさらなる実施の形態の平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の態様を、図面を参照してさらに説明する。
【0031】
以下において、本発明の現在好ましい実施の形態を、サッカーシューズに関してさらに説明する。本発明は、他のスポーツシューズ、例えば、ホッケー、ラグビーまたはアメリカンフットボールなどの他の野外スポーツだけでなく、短距離走やハードル競争などのランニングスポーツに使用しても差し支えない。シューズの重量減少に関する技術的概念は常に、シューズの機械的安定性および生体機械的特性への高い要件を、最小の重量で組み合わせるべき場合に、都合よく適合できる。
【0032】
先に説明したように、重量の減少に寄与できる全ての特徴を組み合わせることは決して必須ではない。反対に、当業者には、シューズの重量を減少させるために以下に説明する大要は、従来技術と比べて利点を少なくとも部分的に達成するために、ほとんど任意の様式で組み合わせられることが理解されるであろう。
【0033】
図1および2は、斜めの外側の前方と斜めの外側の後方から見たサッカーシューズ1の第1の実施の形態を示している。概略しか示されていないシューズのアッパー10が、内部に配置されたフレーム状補強要素20と共に見られる。軽量かつ十分な耐摩耗性を有する複数の材料をアッパー10に使用できる。ナイロンメッシュなどの繊維材料が現在好ましい。繊維材料は、透明TPU層(図1および2には示されていない)などの適切なコーティングによって、外部および/または内部を、追加に補強しても差し支えない。そのような透明プラスチック層は、アッパー10の外部にあるプラスチック層の下に配置された、デザイン要素、プリント、ラベルなどを保護する。さらに、このプラスチック層は、湿度の浸透を防ぎ、したがって、スポーツシューズの履き心地の良さと長い寿命に寄与する。通気性を改善するために、コーティング並びにアッパー10の材料は、孔が開けられていても、改良された実施の形態においては、より大きい通気スリット(図示せず)を備えていてもよい。
【0034】
上述した補強要素20は、図1および2に示されたアッパー10の内部に配置されている。いくつかのバンド21が、シューズ1のソール領域12から囲い領域11まで延在するフレーム状要素を形成し、シューズの着用者の中足部(図示せず)をほぼ完全に取り囲んでいるのが分かる。平らなバンド21は、好ましくは1.5mm以下の、より好ましくは0.2mm以下の薄い厚さを有し、したがって、履き心地に影響せずに、アッパー10の内部に配置することができる。内側と外側のバンド21について、約0.2mmの厚さのTPUホイルを使用することが好ましい。その際に、TPUホイルに使用する材料の内側の硬度は80〜85ショアAであり、90ショアA、好ましくは95ショアAよりも大きい硬度を有する外側よりも小さい。その結果、その引張強さが、アッパー10への接続によってさらに増すバンド21は、予測される引張強さの下では外側では柔軟ではないのに対し、内側のバンドは、柔軟であり、それゆえ、ロールオフおよびアッパー10の足の甲の内側で接触した際のボールの感触を著しくは損なわない。
【0035】
補強要素20のバンド21の配列によって、アッパー10の変形特性およびそれによって、シューズ1が、地面と接触する際に足に与える安定性が決定される。図6は、バンド21が、靴紐のある囲い領域11からソール領域12までほぼ平行に延在する実施の形態を示している。バンド21のそのような配列並びに図1および2の実施の形態におけるバンド21のさらに別の交差配列により、アウトソール30が下から足裏にしっかりと固定され、シューズ1の靴紐と囲い領域11がきつく締められたときに(または、ベルクロ(登録商標)などの図示されていないシューズを締めるための他の手段が用いられたときに)、足がアウトソール30上で前後に滑らないことが確実になる。
【0036】
しかしながら、バンド21間の架橋の量が少ないほど、例えば、ロールオフの最中に、アッパー10の曲がりに対する補強要素20の抵抗が小さくなる。交差部のないバンド21を有する図6のスポーツシューズのアッパー10は、曲げなどに対して非常に小さい抵抗を提供する。図1または2のサッカーシューズの実施の形態において、アッパー10の外側にある各バンド21は、2つまでの他のバンド21と交差するか、またはそれとは異なる様式でそれらと架橋するのに対し、内側にあるバンド21は、外側がより安定であり、内側がより柔軟に形成されるように、互いに対して実質的に平行である。
【0037】
シューズの使用分野に応じて、当業者により、アッパー10の内側および/または外側で、バンド21の架橋の適性量が選択されるであろう。例えば、強烈かつ頻繁な横向き荷重のためのスポーツシューズは、短距離走用シューズよりも架橋されたバンド21が多い補強要素20を有する。何故ならば、横方向の動きを多用するスポーツでは、前進の動きによるスポーツよりも、シューズの横向き安定性への要望が高くなるからである。
【0038】
囲いシステムにより生じる張力をバンド21に確実に伝達するために、補強要素20の上部の共通バンド22が、図1に示すように、囲い領域11の縁に沿って配置されることが好ましい。靴紐のための開口23が上部の共通バンド22に組み込まれていてもよく、または他の任意の締付け装置がこのバンドに取り付けられていてもよい(図示せず)。上部の共通バンド22は、印加された負荷をいくつかのバンド21に分配し、よって、紐をきつく結んだ場合、強い力を補強要素20によって維持できる。同様に、バンド21は、下部の共通バンド22(図1と2には示されていないので、図6を参照のこと)によって下端で相互に接続されていても差し支えない。
【0039】
図9は、シューズの組立て前の平面図でシューズのアッパー10および対応する補強要素20のさらに別の実施の形態の一例を示している。あるバンド21は、ソール領域21(図9の外側部分)から始まりシューズの囲い領域11(図9の内側部分)に到達する前に、2つまでのさらに別のバンド21に交差しているのが分かる。
【0040】
バンド21の交差部は、この実施の形態において、例えば、ロールオフの最中に、下部におけるアッパー10の曲げを損なわないように、補強要素20の上部、すなわち、囲い領域11の近接した部分のみに配置されている。
【0041】
図9の実施の形態はさらに、内側と外側を含む補強要素20を一体製造できることを示している。追加の補強区域25を、前足領域の内側、すなわち、中足部を囲むバンド21の前方に設けることが好ましい。この補強区域25はシューズのアッパー10をさらに補強する。バンド21とは対照的に、補強区域25は、主に、張力の吸収には役立たないが、頻繁にボールと接触することが予測される区域においてアッパー10の材料の選択的な支持には役立つ。この特徴により、履き心地や耐摩耗性を損なわずに、薄くかつ特に軽量の材料のアッパー10の製造が可能になる。
【0042】
図10は、平面図で、シューズのアッパー10の内側と外側にある補強要素20のバンド21の好ましい非対称の配置を示している。バンド21は、外側で数回交差しているまたは互いに架橋しているのに対し、内側のバンド21は、互いから離れて延在しているのが分かる。全てのバンド21は、同じ寸法を有する必要はなく、補強要素20におけるそれぞれの位置にしたがって、個別に調節されても差し支えないことがさらに認識される。最後に、内側と外側の補強要素の設定の上述した差異の各々が、前足部におけるシューズの所望の非対称に広がる挙動に独立して寄与する。
【0043】
サッカーシューズの場合、シューズの前足部は、例えば、外側から前足部を被覆する薄い皮革材料を配置することにより、またはボールとのグリップを改善する要素をアッパー10上に配置することによって、さらに最適化できる。
【0044】
現在好ましい、図1、2および6に示されたようなアッパー10の内部への配置以外に、補強要素20は、改良された実施の形態において、アッパー10の外部に配置しても差し支えない(図示せず)。スポーツシューズのアッパー10の外部にある公知の補強構造とは反対に、平らなバンド21は、シューズの他の特性、例えば、サッカーシューズの場合には、ボールと接触した時のシュート特性に著しくは影響を与えない。さらに、補強要素20を、アッパー10の薄く、したがって軽量の材料の二層の間に補強要素20を組み込むことも考えられる(図示せず)。その上または代わりに、補強要素20をさらに別の材料で押出コーティングしても差し支えない。
【0045】
図3から5、7および8は、本発明のさらに重要な態様、すなわち、特に軽量であるが、それにもかかわらず安定性の高いアウトソール30を示している。図3の分解図から分かるように、アウトソールは、ヒールカップから中足部33を介して平らな前足部34まで延在する一体ソールプレート31を備えている。中に複数の補強リブ37が成形された凹部35が中足部33に配置されている。図3および5の実施の形態において、2つの補強リブ37がソールプレート31の長手方向に延在しており、一方で、図4の実施の形態の平面図は、透明な補強プレート40の下に、さらに別の横に延在する補強リブ37を示している。
【0046】
補強リブ37の形状、方向および数は、最低の重量で、最大の剛性および破損安定性を提供するように選択される。サッカーシューズに関するアウトソール30の図示した実施の形態において、土踏まずの下の中足部33は選択的に堅くされている。他のスポーツについて、一体ソールプレート31の他の区域が、1つ以上の補強リブ37によって、追加にまたは代わりに堅くされていてもよい。
【0047】
補強リブ37は、数ミリメートルの、好ましくは3mm以下の高さを有することが好ましい。その結果、適切なプラスチック材料、例えば、繊維で強化されたポリアミド12(PA12)が使用された場合、非常に堅い中足部33を提供できる。しかしながら、他のスポーツ、例えば、バスケットボール用に、負荷が大きいために、幅広いおよび/またはより高い補強リブ37を使用することも考えられる。さらに、補強リブ37の形状は、ソールプレート31に使用する材料にも依存する。補強プレート40並びにソールプレート31の両方を、繊維強化プラスチック材料から製造することができる。
【0048】
上述したソールプレート31は、適切なプラスチック材料の射出成形によって製造することが好ましい。この製造法によって、短時間で多数のプレートの自動製造が可能になる。
【0049】
中足部33をさらに堅くするために、補強プレート40が補強リブ37の上部に配置され、また、上側で足のために実質的に平らな接触表面が提供される様式で凹部35内に配置される。この文脈における「実質的に」という用語は、ソールプレート31と補強プレート40との間の移行領域において足裏に局部的な圧点が生じるのが避けられるように、補強プレート40の上面の高さが、ソールプレート31の残りの上面と一致することを称する。従来技術のソール集成体とは対照的に、ミッドソールを設ける必要はなく、足は、ソールプレート31および補強プレート40の平らな表面と直接接触できる。しかしながら、履き心地を改善するために、薄いインソール50を足と、ソールプレート30/補強プレート40の上面との間に配置することが現在好ましい(図6参照)。
【0050】
この場合、全体にソール集成体は、これらの二層、すなわち、ソールプレート31とその補強プレート40および薄いインソール50からなる。アウトソール30および全体のシューズ1の極めて軽い重量が、この手法によって実現できるのが明らかである。インソール50が複数の穿孔を備える場合、その重量はさらに減少すると同時に、足の通気が改善される。
【0051】
補強プレート40は、ソールプレート31と同じ材料または異なる材料から製造して差し支えない。現在好ましい材料は、複合材料およびポリアミド、例えば、商標名ペバックス(Pebax)(登録商標)で販売されているポリアミドである。補強プレート40のソールプレート31との固定された相互接続が望ましい場合(これは必須ではない)、接着または溶着などの公知の方法を使用することができる。重量の理由のためでもあるが、効果的な製造のために、補強プレート40が、レーザを用いて下にあるソールプレート31の材料に溶着できるように、レーザ照射にとって十分な透明性を有することが好ましい。この方法により、余計な接着剤の決して取るに足らなくはない重量、並びにその加工処理に関連する問題(含まれる溶剤による、健康上のリスク、環境問題など)が避けられる。
【0052】
補強プレート40のソールプレート31への接続は、この補強プレート40がその下側に、ソールプレート31の凹部35とその補強リブ37に積極的に嵌る補強リブ41(図4参照)を1つ以上備えている場合に、特に固定される。このことは、補強リブ37と補強リブ41が少なくとも部分的に平行である場合に特に当てはまる。図5の断面図から明らかに認識できるように、補強リブ37の区域でソールプレート31と補強プレート40との間に1つまたはいくつかの空洞36が形成されるようにソールプレート31が形成される場合に、さらに重量を省くことができる。
【0053】
サッカーなどの前足部34に高い圧力荷重が加わるスポーツについて、ソールプレート31の上において前足部34にさらに別の平らで軽量の中底70を配置してもよい(図7参照)。この中底は、足への圧力荷重を均一に分配させ、特に、ソールプレート31と一体であり、以下に説明されるプロファイル要素60での点荷重を避ける。さらに、中底70は、その材料をソールに嵌め込み固定できるので、ソールの製造が容易になる。前足部だけの配置以外に、中底70をシューズの全長に亘り延在させることも考えられる。
【0054】
中底70は、プラスチック材料から製造することが好ましい。その上、中底70には、前足部34における足のロールオフを容易にするために、窪みまたは他の意図的な材料の脆弱部がある(図示せず)。例えば、1つ以上の線状の溝が、中底70の外側から内側までプラスチック材料に横に延在していても、または中底70の一部のみに亘り延在していてもよい。その結果、前足部34において、要求される均一な圧力分布と共に、十分な柔軟性が提供される。さらに、中底70は、肉厚で丸められた縁を有してもよく(図示せず)、これにより、アッパー10の材料が、中底70の縁による強烈な横向き荷重で損傷するのが防がれる。
【0055】
好ましい実施の形態において、ソールプレート31およびその実質的に平らな前足部によって、前足部による容易なロールオフがさらに促進される。小さな周縁39のみが、ソールプレート31上の中底70および/またはインソール50および/またはアッパー10の配置を容易にするために、1から2mmだけ突出している。
【0056】
ヒールカップがソールプレート31の踵部分32に配置されている。踵部分32においてアッパー10をさらに補強する必要なく、ヒールカップが足をしっかりと取り囲み、後側から足を導く。このように補強の必要がないために、シューズの重量がさらに減少する。ヒールカップの正確な形状は、もう一度、シューズの意図する使用分野に依存する。例えば、バスケットボールシューズは、そのスポーツシューズに、予測される負荷に対して大きな安定性を提供するために、短距離走用シューズよりも高いヒールカップを有するであろう。よりよい履き心地のために、ヒールカップの側部の縁どり領域38が、軟らかいプラスチック材料から製造されることが好ましい。この特徴により、ヒールカップの側部の縁のために局部的な圧力荷重をそれ自体では分配させることがほとんどできない、アッパー10に使用されるような薄くかつ軽量の材料における、足への不快な局部的な圧力荷重が避けられる。例えば、TPUなどの軟らかいプラスチック材料を加えることによる多成分射出成形を使用すれば、ソールプレート31は、自動化製造を使用して、ソールプレート31の他の材料、例えば、上述したPA12に容易に接続できる。アッパー10は、ヒールカップの外側の縁に直接縫い付けても差し支えなく(図示せず)、これにより材料が省かれ、重量が減少するであろう。
【0057】
本発明の実施の形態のさらに重要な態様は、複数のプロファイル要素60のソールプレート31への直接的な組込みである。ソールプレート31の製造に適しているプラスチック材料も、プロファイル要素60にとって十分な安定性および耐摩耗性を有することが分かった。従来技術によるサッカーシューズまたは短距離走用シューズに用いられているような複雑で重い取付装置は必要ない。これは、シューズの全体の重量の減少に寄与するさらに別の態様である。
【0058】
図1、2、3、5、7および8に示されているように、サッカーシューズ1の実施の形態には、ソールプレート31に組み込まれたプロファイル要素60が合計で11個ある。8個のプロファイル要素60が前足部34に配置され、3個のプロファイル要素60が踵部分32に配置されている。プロファイル要素60の数並びにそれらの寸法と形状は、スポーツシューズの使用分野に応じ、したがって、図面に示された実施の形態とは実質的に異なっていてもよい。しかしながら、芝生、泥などがアウトソールの下に付着する虞が最小になり、それゆえ、試合中にシューズの重量が増加するのを防ぐので、選択された配置が好ましい。
【0059】
図面に示された実施の形態において、踵部分32の3個のプロファイル要素60の最も前のものは、特殊な形状を有する。ここでは、前方に向けられた区域63は、地面での強烈な減速を提供するように凹形に湾曲している。この特別な形状によって、踵部分32での追加のスタッドを省くことができる。そうでなければ、図8の下面図の実施の形態のプロファイル要素60は、三角形の形状または強烈に丸められた三角形の形状を有する。前足部34にある4個の最も前にあるスタッドの(丸められた)頂点は前方に向けられ、したがって、スタッドの広い面積が、全速力で走る/加速するために使用できる。前足部34の2個の後方のスタッドおよび踵部分32のスタッドは、広い側が前方に向き、したがって、制動効果を支援する。
【0060】
プロファイル要素60が少なくとも部分的に中空である場合、ソールプレート31およびそれに組み込まれたプロファイル要素60の特に軽い重量が達成される。図3の実施の形態において、プロファイル要素60の空洞61が上側に開いているのが見える。これにより、射出成形によるソールプレート31および組み込まれたプロファイル要素60の好ましい製造中に、金型からの取外しが容易になる。しかしながら、適切な製造方法が使用される場合、プロファイル要素60の内部に閉じ込められた空洞61も考えられる。さらに、特別な負荷に曝されるプロファイル要素60は、がっしりしたプラスチック材料から、完全にまたは部分的に製造されてもよい。射出成形によるソールプレート31の好ましい製造により、設計の自由度が大きくなる。
【0061】
多成分射出成形が使用される場合、プロファイル要素60の一部のみを、ソールプレート31のプラスチック材料とは異なる材料から製造することができる。例えば、図面に示されたサッカーシューズにおいて、TPUなどの軟らかいプラスチック材料を用いて、前足部34の8個のプロファイル要素60の内の6個、および踵部分32の3個のプロファイル要素の内の2個に部分65を設ける。この部分65は、さらに粗くしても、またはプロファイルを付けても差し支えない。そのような部分65を設けることにより、ソールプレート31のプラスチック材料から製造された、それに繋がったプロファイル要素60の時期尚早の摩耗を防ぐ。さらに、いくぶん軟らかいTPU材料65により、シューズ1の履き心地が改善される。部分65とソールプレート31の一体製造が好ましい。しかしながら、部分65をソールプレート31とは別に製造し、その後、それらの部分を、例えば、接着、ネジ留め、クリップ留めにより、または挿入形状とその後の押出コーティングにより、プロファイル要素60に別の製造工程で取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 サッカーシューズ
10 アッパー
11 囲い領域
12 ソール領域
20 補強要素
21 平らなバンド
30 アウトソール
31 一体ソールプレート
40 補強プレート
50 インソール
60 プロファイル要素
70 中底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10