(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第1の駆動ビームが、前記第1の中心アンカーの第1の側部上に配設された第1の駆動ビームの第1の対と前記第1の中心アンカーの対向する側部上に配設された第1の駆動ビームの第2の対とを含む、請求項9に記載の装置。
前記第4のプルーフマスおよび前記第1の感知フレームが、前記装置が感知モードで動作しているときに、前記印加された角回転に応答して、前記第1の平面から外れるようにねじれて一緒に振動する、請求項15に記載の装置。
前記装置が感知モードで動作しているときに、前記第1の感知フレームへの第4のプルーフマスの感知運動の伝達を増大するように構成されたリンケージビームをさらに含む、請求項15に記載の装置。
前記装置が感知モードに入っているときに、前記第1の感知フレームへの第4のプルーフマスの感知運動の伝達を増大するように構成されたリンケージビームをさらに含み、前記リンケージビームが、前記テーパー状の部分の前記第2の端部近くの前記第1の感知フレームに接続される、請求項19に記載の装置。
前記複数の第3の感知ビームが、前記第1の軸にそって前記第2の中心アンカーの第1の側部から延在する感知ビームの第1の対と、前記第3の軸に対してほぼ垂直な第2の軸にそって前記第2の中心アンカーの第2の側部から延在する第3の感知ビームの第2の対とを含み、前記第2の中心アンカーの前記第2の側部が、前記第2の中心アンカーの前記第1の側部に隣接する、請求項24に記載の装置。
前記プロセッサが、前記加速度計から受信された加速度計のデータおよび前記ジャイロスコープから受信されたジャイロスコープのデータのうちの少なくとも一方を処理し、解析するように構成される、請求項28に記載の装置。
前記プロセッサが、前記加速度計から受信された加速度計のデータおよび前記ジャイロスコープから受信されたジャイロスコープのデータのうちの少なくとも一方に従って前記ディスプレイの状態を制御するように構成される、請求項33に記載の装置。
ネットワークインターフェースをさらに含み、前記プロセッサが、前記ネットワークインターフェースを介してタイムサーバーから時刻データを取得するようにさらに構成され、前記プロセッサが、前記モバイルデバイスが落とされたことを前記加速度計のデータが示すときに前記加速度計のデータに関連する時刻データを保存するようにさらに構成される、請求項35に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0047】
さまざまな図面内の類似の参照番号および指示記号は、類似の要素を指し示す。
【0048】
以下の詳細な説明は、革新的な態様を説明することを目的とするいくつかの実装を対象とする。しかし、本明細書の教示は、数多くの異なる方法で適用することができる。説明されている実装は、動いている状態(例えば、ビデオ)であろうと、静止している状態(例えば、静止画)であろうと、またテキストであろうとグラフィックスであろうと画像であろうと、画像を表示するように構成されている任意のデバイスにおいて実装されうる。より具体的には、これらの実装は、限定はしないが、携帯電話、マルチメディアインターネット対応携帯電話、モバイルテレビ受像機、ワイヤレスデバイス、スマートフォン、ブルートゥースデバイス、携帯情報端末(PDA)、ワイヤレス電子メール受信機、ハンドヘルドもしくはポータブルコンピュータ、ネットブック、ノートブック、スマートブック、プリンタ、複写機、スキャナ、ファクス機、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤー、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、置き時計、電卓、テレビ受像機、フラットパネルディスプレイ、電子読書デバイス(例えば、電子書籍リーダー)、コンピュータ用モニター、自動車用ディスプレイ(例えば、走行距離計ディスプレイなど)、コックピット制御装置類および/またはディスプレイ、カメラビューディスプレイ(例えば、自動車内のリアビューカメラの表示)、電子写真、電子看板または標識、プロジェクタ、建築構造物、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、カセットレコーダーもしくはプレーヤー、DVDプレーヤー、CDプレーヤー、VCR、ラジオ、携帯型メモリチップ、洗濯機、乾燥機、乾燥機付き洗濯機、パーキングメーター、パッケージング(例えば、MEMSおよび非MEMS)、美的構造物(例えば、宝石片上の画像表示)、およびさまざまな電気機械システムデバイスなどの、さまざまな電子デバイスで実装されうるか、または関連付けられうる。本明細書の教示は、限定はしないが、電子スイッチングデバイス、無線周波数フィルター、センサー、加速度計、ジャイロスコープ、モーションセンシングデバイス、磁力計、家庭用電化製品向けの慣性コンポーネント、家庭用電化製品の部品、バラクター、液晶デバイス、電気泳動装置、駆動方式、製造プロセス、および電子試験装置などの非表示用途においても使用することができる。そこで、本教示は、図に単独で示されている実装に限定されることを意図されていないが、その代わりに、当業者には容易に理解されるように、広い応用性を有している。
【0049】
本開示では、さまざまな種類の慣性センサーと、そのようなセンサーの製造方法と、そのようなセンサーの使用法を説明する。例えば、本明細書で説明されているいくつかの実装は、直交性およびバイアス誤差が低いx軸ジャイロスコープを実現する。ジャイロスコープは、フラットパネルディスプレイのガラス上での製造に適している。いくつかのこのような実装は、駆動モードでは平面内において(z軸の周りに)ねじり振動し、感知モードでは平面外でねじり振動できるプルーフマスを含む。平面内でその向きを変えることによって、ジャイロスコープは、y軸ジャイロスコープとして機能することができる。それに加えて、ジャイロスコープを直交面内に配設すると、ジャイロスコープはz軸ジャイロスコープとして機能することができる。
【0050】
しかし、本明細書で説明されているいくつかの実装は、x軸ジャイロスコープおよびy軸ジャイロスコープと同じ平面内に製作され、および/または配設されうるz軸ジャイロスコープを実現する。本明細書で説明されているさまざまなz軸ジャイロスコープも、低い直交性およびバイアス誤差を有することができる。いくつかの実装は、ほぼ直線的な、x方向の運動(平面内)で圧電駆動されうる駆動プルーフマスを含む。駆動プルーフマスは、z軸の周りで角回転の存在下でねじり振動する、感知プルーフマスに機械的に結合されうる。感知プルーフマスの運動は、感知質量を基材アンカーに接続するビーム上の圧電膜内に電荷を誘起することができる。電荷は、読み出され、電子的に処理されうる。
【0051】
プルーフマスは、厚い金属メッキ合金(例えば、ニッケル−マンガン(Ni−Mn))、シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハのデバイス層からの単結晶シリコン、ガラス、およびその他の材料などのさまざまな材料から作ることができる。圧電膜は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、もしくは他の薄い膜、または石英、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、および他の物質などの単結晶材料とすることができる。いくつかの実装は、フラットパネルディスプレイのガラス上での製造に適している。
【0052】
本明細書で説明されているさまざまな実装では、新規性のある3軸加速度計、さらにはそれらのコンポーネントを備える。このような3軸加速度計は、携帯型ナビゲーションデバイスおよびスマートフォンなどの家庭用電子機器アプリケーションで使用するのに適した大きさ、性能レベル、およびコストを有する。いくつかのこのような実装は、容量性積層横方向オーバーラップトランスデューサ(capacitive stacked lateral overlap transducer)(SLOT)ベースの3軸加速度計を備える。いくつかの実装では、2つのプルーフマスを使用して3軸感知機能を実現するが、他の実装では、ただ1つのプルーフマスを使用して3軸感知機能を実現する。それぞれの軸について異なる屈曲部タイプを最適化しうる。
【0053】
本開示で説明されている発明対象の特定の実装は、以下の潜在的利点のうちの1つまたは複数を実現するように実装することができる。例えば、いくつかのこのような実装において、x軸ジャイロスコープ、z軸ジャイロスコープ、および/またはSLOTベースの3軸加速度計は、製造プロセスで成膜される層を共有しうる。このようなプロセスを組み合わせることによって、単一ガラス基材などの、単一基材上に6個の慣性感知軸のモノリシックな集積化を可能にすることができる。本明細書で説明されている多くの実装は、大面積ガラスパネル上に製作しうる。大面積ガラスパネル上にSLOTベースの3軸加速度計を形成する際に使用されうる製造プロセスは、本明細書で説明されているx軸、y軸、およびz軸ジャイロスコープなどの、メッキ金属多軸MEMSジャイロスコープ上に圧電性窒化アルミニウム(AlN)(または他の圧電性材料)を製造するためのプロセスと親和性がある。したがって、本明細書で説明されているいくつかの実装は、同じガラス基材上にx軸ジャイロスコープ、y軸ジャイロスコープ、z軸ジャイロスコープ、およびSLOTベースの3軸加速度計を製造する段階を伴う。
【0054】
説明されている実装が適用されうる、好適なMEMSデバイスの一例は、反射型表示デバイスである。反射型表示デバイスは、光学干渉の原理を使用してそこに入射する光を選択的に吸収し、および/または反射する干渉変調器(IMOD)を組み込むことができる。IMODは、吸収体、吸収体に関して移動可能である反射体、および吸収体と反射体との間に画成される光学共振キャビティを含むことができる。反射体は、光学共振キャビティの大きさを変化させ、それにより干渉変調器の反射率に影響を及ぼすことができる、2つまたはそれ以上の異なる位置に移動させることができる。IMODの反射率スペクトルは、可視波長域にわたってシフトされ、異なる色を生成することができるかなり広いスペクトルバンドを形成することができる。スペクトルバンドの位置は、光学共振キャビティの厚さを変えることによって、つまり、反射体の位置を変更することによって調整することができる。
【0055】
図1は、干渉変調器(IMOD)表示デバイスの一連の画素における2つの隣接する画素を示す等角図例である。IMOD表示デバイスは、1つまたは複数の干渉MEMS表示素子を含む。これらのデバイスでは、MEMSの画素は、明状態か暗状態かのいずれかとできる。明(「弛緩」、「開」、または「オン」)状態では、表示素子は、入射可視光の大部分を、例えば、使用者に対して反射する。逆に、暗(「作動」、「閉」、または「オフ」)状態の場合、表示素子は、入射可視光をほとんど反射しない。いくつかの実装では、オンおよびオフ状態の光反射特性が逆転されうる。MEMS画素は、特定の波長で主に反射するように構成され、白黒に加えてカラーでの表示も可能にできる。
【0056】
IMOD表示デバイスは、IMODの行/列からなるアレイを含むことができる。それぞれのIMODは、互いから可変であり制御可能である距離に位置決めされ、エアギャップ(光学ギャップまたはキャビティとも称される)を形成する、一対の反射層、つまり、可動反射層と固定された部分的反射層とを含むことができる。可動反射層は、少なくとも2つの位置の間で移動しうる。第1の位置、つまり、弛緩位置において、可動反射層は、固定された部分的反射層から比較的大きな距離のところに位置決めされることができる。第2の位置、つまり、作動位置において、可動反射層は、部分的反射層のより近くに位置決めされることができる。2つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて強めあいまたは弱めあって干渉し、それぞれの画素について全反射または非反射のいずれかの状態を引き起こすことができる。いくつかの実装では、IMODは、非作動時に反射状態にあり、可視スペクトルの範囲内の光を反射することができ、非作動時に暗状態にあり、可視域の外の光(例えば、赤外線光)を反射することができる。しかし、いくつかの他の実装では、IMODは、非作動時に暗状態にあり、作動時に反射状態にある場合もありうる。いくつかの実装では、印加電圧の導入で、状態を変えるように画素を駆動することができる。いくつかの他の実装では、印加電荷で、状態を変えるように画素を駆動することができる。
【0057】
図1の画素アレイの示されている部分は、2つの隣接する干渉変調器12を含む。左の(図示されているような)IMOD12において、可動反射層14は、部分的反射層を含む、光学スタック16から所定の距離の弛緩位置にある状態が示されている。左のIMOD12に印加される電圧V
0は、可動反射層14を作動させるには不十分である。右のIMOD12では、可動反射層14は、光学スタック16の近く、またはそれに隣接する作動位置にある状態が示されている。右のIMOD12に印加される電圧V
biasは、可動反射層14を作動位置に維持するのに十分である。
【0058】
図1において、画素12の反射特性は、画素12に入射する光と、左のIMOD12から反射する光15を示す矢印13により一般的に示される。詳細に示されていないけれども、当業者であれば、画素12に入射する光13の大半は、透明基材20を透過して、光学スタック16の方へ進むことを理解するであろう。光学スタック16に入射する光の一部は、光学スタック16の部分的反射層を透過し、一部は透明基材20を通して反射されて戻る。光学スタック16を透過する光13の一部分は、可動反射層14で反射し、透明基材20の方へ(通って)戻る。光学スタック16の部分的反射層から反射された光と可動反射層14から反射された光との間の(強めあう、または弱めあう)干渉が、IMOD12から反射された光15の波長を決定する。
【0059】
光学スタック16は、単一の層または複数の層を含むことができる。層は、電極層、部分的反射/部分的透過層、および透明誘電体層のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実装では、光学スタック16は、導電性、部分的透過性、および部分的反射性であり、例えば、上記の層の1つまたは複数を透明基材20上に成膜することにより製作されうる。電極層は、さまざまな金属、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)などのさまざまな材料から形成することができる。部分的反射層は、さまざまな金属、例えば、クロム(Cr)、半導体、および誘電体などの部分的に反射するさまざまな材料から形成することができる。部分的反射層は、1つまたは複数の材料層から形成され、それらの層のそれぞれは、単一材料または複合材料から形成することができる。いくつかの実装では、光学スタック16は、光吸収体および導体の両方として使用される単一の半透明の厚さの金属または半導体を含むことができるが、さまざまな、より導電性の高い層または部分(例えば、光学スタック16またはIMODの他の構造物の)を、IMOD画素間の信号をバスに流すのに使用することができる。光学スタック16は、1つもしくは複数の導電層または導電/吸収層を覆う1つまたは複数の絶縁もしくは誘電体層を含むこともできる。
【0060】
いくつかの実装では、光学スタック16の層は、平行に並ぶ複数のストリップにパターン形成することができ、以下でさらに説明されるように表示デバイス内の行電極を形成しうる。当業者であれば理解するように、「パターン形成される」という用語は、本明細書では、マスキングさらにはエッチングプロセスを指すために使用される。いくつかの実装では、アルミニウム(Al)などの導電性および反射性の高い材料は、可動反射層14に使用され、それらのストリップは、表示デバイス内に列電極を形成しうる。可動反射層14は、支柱18の上に成膜された列を形成するために(光学スタック16の行電極に対し直交する)1つまたは複数の成膜された金属層および支柱18の間に成膜された介在犠牲材料の一連の平行なストリップとして形成されうる。犠牲材料を除去すると、可動反射層14と光学スタック16との間に、画成されたギャップ19、または光学キャビティを形成することができる。いくつかの実装では、支柱18の間の間隔は、1〜1000μmのオーダーであってよいが、ギャップ19は、10,000オングストローム(Å)未満のオーダーであるものとしてよい。
【0061】
いくつかの実装では、IMODのそれぞれの画素は、作動状態であろうと、弛緩状態であろうと、本質的に、固定された反射層および移動する反射層によって形成されるコンデンサである。電圧が印加されないときに、可動反射層14は、
図1の左のIMOD12によって示されているように、機械的に弛緩した状態のままであり、ギャップ19は可動反射層14と光学スタック16との間にある。しかし、電位差、例えば、電圧が、選択された行および列のうちの少なくとも一方に印加されると、対応する画素における行および列電極の交点に形成されるコンデンサは、充電され、静電気力が電極を引き寄せる。印加される電圧が閾値を超える場合、可動反射層14は変形し、光学スタック16の近くに移動するか、または当接しうる。光学スタック16内の誘電体層(図示せず)は、
図1の右の作動されたIMOD12によって示されているように、ショートするのを防ぎ、層14と16との間の分離距離を制御しうる。この挙動は、印加される電位差の極性に関係なく同じである。アレイ内の一連の画素は、いくつかの場合において、「行」または「列」と称されうるけれども、当業者であれば、一方の方向を「行」、他方の方向を「列」と称することは任意であることを容易に理解するであろう。言い換えると、いくつかの向きにおいて、行は列と考えられ、列は行と考えられるということである。さらに、表示素子は、直交する行と列とに均等に配置構成されうるか(「アレイ」)、または非線形構成、例えば、互いに関して特定の位置のオフセットを有する構成で配置構成されうる(「モザイク」)。「アレイ」および「モザイク」という用語は、いずれかの構成を指すものとしてよい。そこで、表示は「アレイ」または「モザイク」を含むものとして参照されるけれども、素子それ自体は、任意の場合において、互いに直交する形で配置構成されるか、または均等な分配で配設されるという必要はないが、非対称形状および不均等に分配された素子を有する配置構成を含みうる。
【0062】
図2は、3×3干渉変調器ディスプレイを組み込んだ電子デバイスを示すシステムブロック図例を示している。電子デバイスは、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成されうるプロセッサ21を含む。オペレーティングシステムの実行に加えて、プロセッサ21は、Webブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または他のソフトウェアアプリケーションを含む、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されうる。
【0063】
プロセッサ21は、アレイドライバ22と通信するようにも構成することができる。アレイドライバ22は、例えばディスプレイアレイまたはパネル30に信号を送る行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を含むことができる。
図1に示されているIMOD表示デバイスの断面は、
図2において直線1−1によって示されている。わかりやすくするため
図2はIMODの3×3アレイを示しているけれども、ディスプレイアレイ30は、非常に多くのIMODを収納してもよく、また行と列とで、IMODの数が異なっていてもよく、その反対でもよい。
【0064】
図3は、
図1の干渉変調器に対する可動反射層の位置と印加電圧との関係を示す図例である。MEMS干渉変調器では、行/列(つまり、コモン/セグメント)書き込みプロシージャは、
図3に示されているようなこれらのデバイスのヒステリシス特性を利用しうる。干渉変調器は、例えば、可動反射層、またはミラーを弛緩状態から作動状態に変化させるのに約10ボルトの電位差を必要とする場合がある。電圧が、その値から下がると、電圧が例えば10ボルト以下に低下しても可動反射層はその状態を維持するが、可動反射層は、電圧が2ボルトより低くなるまで完全に弛緩することはない。そのため、デバイスが弛緩状態または作動状態のいずれかにおいて安定する範囲内である印加電圧のウィンドウがある場合に、
図3に示されているように、約3から7Vまでの範囲の電圧が存在する。これは、本明細書では「ヒステリシスウィンドウ」または「安定性ウィンドウ」と称される。
図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイ30では、行/列書き込みプロシージャは、一度に1つまたは複数の行をアドレス指定するように設計され、このため、与えられた行のアドレス指定時に、アドレス指定された行内の、作動される画素が約10ボルトの電圧差に曝され、弛緩される画素がゼロボルトに近い電圧差に曝される。アドレス指定の後、画素は、前のストロービング状態のままになるように約5ボルトの定常状態またはバイアス電圧の差に曝される。この例では、アドレス指定された後、それぞれの画素に、約3〜7ボルトの「安定性ウィンドウ」の範囲内の電位差が現れる。このヒステリシス特性の特徴により、例えば
図1に示されている画素設計を、作動または弛緩のいずれかの前から存在している状態において同じ印加電圧条件の下で安定を保つようにできる。それぞれのIMODの画素は、作動状態であろうと弛緩状態であろうと、本質的に、固定および移動する反射層によって形成されたコンデンサであるため、この安定状態は、電力を実質的に消費または失うことなくヒステリシスウィンドウ内で、定常電圧で保持することができる。さらに、印加電位がほぼ固定されたままである場合には、IMODの画素内に電流は本質的にほとんどまたは全く流れ込まない。
【0065】
いくつかの実装では、画像のフレームは、与えられた行内の画素の状態への所望の変化(もしあれば)に従って、一組の列電極にそって「セグメント」電圧の形態でデータ信号を印加することによって形成されうる。アレイのそれぞれの行は順にアドレス指定され、これによりフレームを1行ずつ書き込むことができる。所望のデータを第1の行内の画素に書き込むために、第1の行内の画素の所望の状態に対応するセグメント電圧を列電極上に印加し、特定の「コモン」電圧もしくは信号の形態の第1の行パルスを第1の行電極に印加することができる。次いで、一組のセグメント電圧を、第2の行内の画素の状態への所望の変化(もしあれば)に対応するように変化させ、第2のコモン電圧を第2の行電極に印加することができる。いくつかの実装では、第1の行内の画素は、列電極にそって印加されるセグメント電圧の変化の影響を受けず、第1のコモン電圧の行パルスにおいてこれらが設定された状態に留まる。このプロセスは、画像フレームを生成するために一連の行、あるいは列、全体について順次繰り返されうる。これらのフレームは、ある所望の毎秒フレーム数でこのプロセスを継続的に繰り返すことにより新しい画像データを用いてリフレッシュされ、および/または更新することができる。
【0066】
それぞれの画素上に印加されるセグメントおよびコモン信号の組み合わせ(つまり、それぞれの画素上の電位差)は、それぞれの画素の結果の状態を決定する。
図4は、さまざまなコモンおよびセグメント電圧が印加されたときの干渉変調器のさまざまな状態を示す表の例を示している。当業者であれば容易に理解できるように、「セグメント」電圧は、列電極もしくは行電極のいずれかに印加され、「コモン」電圧は、列電極もしくは行電極のうちの他方に印加されることができる。
【0067】
図4に(さらには、
図5Bに示されているタイミング図に)示されているように、リリース電圧VC
RELがコモン線にそって印加される場合、コモン線にそったすべての干渉変調器素子は、セグメント線にそって印加される電圧、つまり、高いセグメント電圧VS
Hおよび低いセグメント電圧VS
Lに関係なく、弛緩状態、あるいはリリースまたは非作動状態と称される状態に置かれる。特に、リリース電圧VC
RELがコモン線にそって印加されると、変調器に印加される電位(あるいは、画素電圧とも称される)は、高いセグメント電圧VS
Hおよび低いセグメント電圧VS
Lの両方がその画素の対応するセグメント線にそって印加されるときに弛緩ウィンドウ(
図3を参照。リリースウィンドウとも称される)の範囲内にある。
【0068】
高いホールド電圧VC
HOLD_Hまたは低いホールド電圧VC
HOLD_Lなどのホールド電圧がコモン線上に印加されると、干渉変調器の状態は、一定のままとなる。例えば、弛緩したIMODは、弛緩位置に留まり、作動したIMODは、作動位置に留まる。ホールド電圧は、画素電圧が、高いセグメント電圧VS
Hと低いセグメント電圧VS
Lの両方が対応するセグメント線にそって印加されるときに安定性ウィンドウ内に留まるように選択される。そのため、セグメント電圧幅、つまり、高いVS
Hと低いセグメント電圧VS
Lとの差は、正または負の安定性ウィンドウのいずれかの幅より小さい。
【0069】
高いアドレス指定電圧VC
ADD_Hまたは低いアドレス指定電圧VC
ADD_Lなどの、アドレス指定電圧、または作動電圧がコモン線に印加された場合、データを、各セグメント線にそってセグメント電圧を印加することによってその線にそった変調器に選択的に書き込むことができる。セグメント電圧は、印加されたセグメント電圧に作動が依存するように選択されうる。アドレス指定電圧がコモン線にそって印加される場合、一方のセグメント電圧を印加することによって、その結果、画素電圧は安定性ウィンドウ内に収まり、画素は非作動のままとなる。対照的に、他方のセグメント電圧を印加すると、その結果、画素電圧は安定性ウィンドウを超え、その結果、画素が作動することになる。作動を引き起こす特定のセグメント電圧が、どのアドレス指定電圧が使用されるかに応じて変化することができる。いくつかの実装では、高いアドレス指定電圧VC
ADD_Hがコモン線にそって印加される場合、高いセグメント電圧VS
Hを印加すると、変調器はその現在位置に留まり、低いセグメント電圧VS
Lを印加すると、変調器を作動させることができる。当然の結果として、セグメント電圧の効果は、低いアドレス指定電圧VC
ADD_Hが印加された場合に反対であり、高いセグメント電圧VS
Hは変調器の作動を引き起こし、低いセグメント電圧VS
Lは変調器の状態に何ら影響を及ぼさない(つまり、安定したままである)。
【0070】
いくつかの実装では、変調器上に同じ極性の電位差を常に発生させるホールド電圧、アドレス指定電圧、およびセグメント電圧が使用されうる。他のいくつかの実装では、変調器の電位差の極性を交互に変える信号が使用されうる。変調器上の極性を交互に変化させる(つまり、書き込みプロシージャの極性を交互に変化させる)ことで、単一極性の反復書き込みオペレーションの後に生じる可能性のある電荷蓄積を低減もしくは抑制しうる。
【0071】
図5Aは、
図2の3×3干渉変調器ディスプレイにおける表示データのフレームを示す図例である。
図5Bは、
図5Aに例示されている表示データのフレームを書き込むために使用されうるコモンおよびセグメント信号に対するタイミング図例である。これらの信号は、例えば
図2の3×3アレイに印加することができ、最終的に、
図5Aに示されているライン時間60eの表示配置構成が結果として得られる。
図5Aの作動された変調器は、暗状態にある、つまり、反射光の実質的部分が可視スペクトルの外にあり、その結果、例えば観察者には暗く見えることになる。
図5Aに示されているフレームを書き込む前に、画素はどのような状態にあってもよいが、
図5Bのタイミング図に示されている書き込みプロシージャでは、第1のライン時間60aの前にそれぞれの変調器がリリースされ、非作動状態にあると仮定する。
【0072】
第1のライン時間60aにおいて、リリース電圧70は、コモン線1上に印加され、コモン線2上に印加される電圧は、高いホールド電圧72で始まり、リリース電圧70に移行し、低いホールド電圧76が、コモン線3にそって印加される。そこで、コモン線1にそった変調器(コモン1、セグメント1)、(1、2)、および(1、3)は、第1のライン時間60aの持続時間の間、弛緩状態、つまり非作動状態に留まり、コモン線2にそった変調器(2、1)、(2、2)、および(2、3)は弛緩状態に移行し、コモン線3にそった変調器(3、1)、(3、2)、および(3、3)は前の状態に留まる。
図4を参照すると、セグメント線1、2、および3にそって印加されるセグメント電圧は、干渉変調器の状態に影響を一切及ぼさないことがわかるが、それは、コモン線1、2、または3のどれも、ライン時間60aにおいて作動を引き起こす電圧レベルに曝されないからである(つまり、VC
REL−弛緩およびVC
HOLD_L−安定)。
【0073】
第2のライン時間60bにおいて、コモン線1上の電圧は高いホールド電圧72に移行し、コモン線1にそったすべての変調器は印加されたセグメント電圧に関係なく弛緩状態に留まるが、それは、アドレス指定電圧、つまり作動電圧がコモン線1上に印加されなかったからである。コモン線2にそった変調器は、リリース電圧70の印加により弛緩状態に留まり、コモン線3にそった変調器(3、1)、(3、2)、および(3、3)は、コモン線3にそった電圧がリリース電圧70に移行すると弛緩することになる。
【0074】
第3のライン時間60cにおいて、コモン線1は、コモン線1上に高いアドレス指定電圧74を印加することによってアドレス指定される。低いセグメント電圧64は、このアドレス指定電圧の印加時にセグメント線1および2にそって印加されるので、変調器(1、1)および(1、2)にかかる画素電圧は、変調器の正の安定性ウィンドウの上端より高く(つまり、電圧差が所定の閾値を超えた)、変調器(1、1)および(1、2)が作動される。逆に、高いセグメント電圧62がセグメント線3にそって印加されるので、変調器(1、3)にかかる画素電圧は、変調器(1、1)および(1、2)の電圧より低く、変調器の正の安定性ウィンドウ内に留まり、そのため変調器(1、3)は弛緩を保つ。また、ライン時間60cにおいて、コモン線2にそった電圧は、低いホールド電圧76まで減少し、コモン線3にそった電圧は、リリース電圧70に留まり、コモン線2および3にそった変調器を弛緩位置のままに残す。
【0075】
第4のライン時間60dにおいて、コモン線1上の電圧は高いホールド電圧72に戻り、コモン線1にそった変調器を各アドレス指定状態のままに残す。コモン線2上の電圧は、低いアドレス指定電圧78に下がる。高いセグメント電圧62はセグメント線2にそって印加されるので、変調器(2、2)にかかる画素電圧は変調器の負の安定性ウィンドウの下端より低くなり、変調器(2、2)が作動する。逆に、低いセグメント電圧64がセグメント線1および3にそって印加されるので、変調器(2、1)および(2、3)は弛緩位置のままである。コモン線3上の電圧は、高いホールド電圧72に上昇し、コモン線3にそった変調器を弛緩状態に残す。
【0076】
最後に、第5のライン時間60eにおいて、コモン線1上の電圧は高いホールド電圧72に留まり、コモン線2上の電圧は、低いホールド電圧76に留まり、コモン線1および2にそった変調器を各アドレス指定状態のままに残す。コモン線3上の電圧は、高いアドレス指定電圧74に上昇し、コモン線3にそって変調器をアドレス指定する。低いセグメント電圧64がセグメント線2および3上に印加されると、変調器(3、2)および(3、3)が作動するが、セグメント1にそって高いセグメント電圧62が印加されると、変調器(3、1)は弛緩位置に留まる。そのため、第5の時間線60eの終わりに、3×3画素アレイは、
図5Aに示されている状態にあり、他のコモン線(図示せず)にそった変調器がアドレス指定されている間に発生しうるセグメント電圧の変動に関係なく、ホールド電圧がコモン線にそって印加される限り、その状態に留まる。
【0077】
図5Bのタイミング図では、与えられた書き込みプロシージャ(つまり、ライン時間60a〜60e)は、高いホールドおよびアドレス指定電圧、または低いホールドおよびアドレス指定電圧のいずれかを使用する段階を含むことができる。この書き込みプロシージャが、与えられたコモン線について完了し(、コモン電圧が作動電圧と同じ極性を有するホールド電圧に設定され)た後、画素電圧は、与えられた安定性ウィンドウ内に留まり、リリース電圧がそのコモン線上に印加されるまで弛緩ウィンドウを通過しない。さらに、それぞれの変調器が変調器をアドレス指定する前に書き込みプロシージャの一部としてリリースされると、リリース時間ではなく、変調器の作動時間が、必要なライン時間を決定しうる。特に、変調器のリリース時間が作動時間より長い実装では、リリース電圧は、
図5Bに示されているように、単一のライン時間より長く、印加されうる。いくつかの他の実装では、コモン線またはセグメント線にそって印加される電圧は、異なる色の変調器などの、異なる変調器の作動およびリリース電圧の変動に適応するように変化するものとしてよい。
【0078】
上述の原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細は大きく異なることがある。例えば、
図6A〜6Eは、可動反射層14とその支持構造物を含む、干渉変調器のさまざまな実装の断面の例を示している。
図6Aは、
図1の干渉変調ディスプレイの部分的断面の例を示しており、そこでは、金属材料のストリップ、つまり、可動反射層14が基材20から直交する方向に延在する支持体18上に成膜されている。
図6Bでは、それぞれのIMODの可動反射層14は、一般的に正方形または矩形の形状を有し、テザー32上のコーナーにおいて、またはその近くで支持体に取り付けられている。
図6Cでは、可動反射層14は、一般的に正方形または矩形の形状を有し、柔らかな金属を含みうる、変形可能な層34から懸架されている。変形可能な層34は、直接的にまたは間接的に、可動反射層14の周囲で基材20に接続することができる。これらの接続部は、本明細書では支持支柱と称される。
図6Cに示されている実装は、変形可能な層34によって実行される機械的機能から可動反射層14の光学的機能を分離することで得られる付加的な利点を有する。この分離により、反射層14に使用される構造的設計および材料、ならびに変形可能な層34に使用される構造的設計および構造を互いに独立して最適化することができる。
【0079】
図6Dは、IMODの別の例を示しており、そこでは、可動反射層14は反射部分層14aを含む。可動反射層14は、支持支柱18などの支持構造物上に据え付けられる。支持支柱18は、可動反射層14を下側の静止電極(つまり、示されているIMOD内の光学スタック16の一部)から隔て、例えば、可動反射層14が弛緩位置にあるときに、可動反射層14と光学スタック16との間にギャップ19が形成されるようにする。可動反射層14は、電極としての機能を果たすように構成されうる、導電層14cと、支持層14bとを含むこともできる。この例では、導電層14cは、基材20から遠位にある、支持層14bの一方の側に配設され、反射部分層14aは、基材20の近位にある、支持層14bの他方の側に配設される。いくつかの実装では、反射部分層14aは、導電性であり、支持層14bと光学スタック16との間に配設されることができる。支持層14bは、誘電体材料、例えば、酸窒化ケイ素(SiON)または二酸化ケイ素(SiO
2)の1つまたは複数の層を含むことができる。いくつかの実装では、支持層14bは、例えばSiO
2/SiON/SiO
2三層スタックなどの層のスタックとすることができる。反射部分層14aおよび導電層14cのいずれか、または両方は、例えば、約0.5%のCuを含むAl合金、または別の反射性金属材料を含むことができる。誘電体支持層14bの上および下に導電層14a、14cを使用することで、応力の釣り合いをとり、導電性を高めることができる。いくつかの実装では、反射部分層14aおよび導電層14cは、可動反射層14内で特定の応力プロファイルを構成するなど、さまざまな設計目的のために異なる材料から形成することができる。
【0080】
図6Dに示されているように、いくつかの実装は、黒色マスク構造23を含むこともできる。黒色マスク構造23は、周辺光または迷光を吸収するために光学不活性領域内(例えば、画素間または支柱18の下)に形成することができる。黒色マスク構造23はまた、光が表示の不活性部分から反射される、またはそこを透過するのを抑制し、それによりコントラスト比を高めることによって表示デバイスの光学特性を改善することができる。それに加えて、黒色マスク構造23は導電性を有することができ、電気的バス層として機能するように構成されることができる。いくつかの実装では、行電極を黒色マスク構造23に接続して、接続されている行電極の抵抗を低くすることができる。黒色マスク構造23は、成膜およびパターン形成技術を含む、さまざまな方法を使用して形成することができる。黒色マスク構造23は、1つまたは複数の層を含むことができる。例えば、いくつかの実装では、黒色マスク構造23は、光吸収体としての機能を果たすモリブデン−クロム(MoCr)層、SiO
2層、ならびに反射体およびバス層としての機能を果たすアルミニウム合金を含み、厚さはそれぞれ約30〜80Å、500〜1000Å、および500〜6000Åの範囲内である。1つまたは複数の層のパターン形成を、例えばMoCrおよびSiO
2層に対するCF
4および/またはO
2、ならびにアルミニウム合金層に対するCl
2および/またはBCl
3を含む、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを含む、さまざまな技術を使用して行うことができる。いくつかの実装では、黒色マスク23は、エタロンまたは干渉スタック構造であるものとしてよい。このような干渉スタック黒色マスク構造23では、導電性吸収体を使用して、それぞれの行または列の光学スタック16内の下側の静止電極の間で信号を伝送またはバスに通すことができる。いくつかの実装では、スペーサー層35は、黒色マスク23内の導電層から吸収体層16aを一般的に電気的に絶縁する機能を果たすことができる。
【0081】
図6Eは、IMODの別の例を示しており、そこでは、可動反射層14は自己支持体である。
図6Dとは対照的に、
図6Eの実装は、支持支柱18を備えていない。その代わりに、可動反射層14は、複数の場所で下にある光学スタック16と接触し、可動反射層14の湾曲は、干渉変調器にかかる電圧が不十分で作動を引き起こさない場合可動反射層14が
図6Eの非作動位置に戻る十分な支持を行う。複数の異なる層を含みうる、光学スタック16は、ここでは、わかりやすくするため、光吸収体16aおよび誘電体16bを含むものとして示されている。いくつかの実装では、光吸収体16aは、固定電極と部分的反射層の両方の機能を果たしうる。
【0082】
図6A〜6Eに示されているような実装では、IMODは、直視型デバイスとして機能し、この場合、画像は、透明基材20の正面、つまり、変調器が配置構成されているのと反対の側から見られる。これらの実装では、デバイスの黒色部分(つまり、例えば
図6Cに示されている変形可能な層34を含む、可動反射層14の背後にある表示デバイスの任意の部分)は、表示デバイスの画質に影響または悪影響を及ぼすことなく構成され、操作されることができるが、それは、反射層14がデバイスのそれらの部分を光学的に遮蔽するからである。例えば、いくつかの実装では、変調器の光学特性を、電圧アドレス指定およびそのようなアドレス指定の結果生じる移動などの変調器の電気機械特性から分離する能力を備える可動反射層14の背後にバス構造(図示せず)を含むことができる。それに加えて、
図6A〜6Eの実装は、例えばパターン形成などの処理を簡素化することができる。
【0083】
図7は、干渉変調器に対する製造プロセス80を示すフロー図例であり、
図8A〜8Eは、そのような製造プロセス80の対応する段階の概略断面図例である。いくつかの実装では、製造プロセス80は、
図7に示されていない他のブロックに加えて、例えば、
図1および6に示されている一般的なタイプの干渉変調器を製造するために実装されることができる。
図1、6、および7を参照すると、プロセス80はブロック82から始まり、光学スタック16が基材20の上に形成されることがわかる。
図8Aは、基材20の上に形成されたそのような光学スタック16を示している。基材20は、ガラスまたはプラスチックなどの透明基材とすることができ、これは、柔らかいか、または比較的堅く、曲がらないものとしてよく、光学スタック16の効率的形成を円滑にするために、先行する準備プロセス、例えば、洗浄に通されていてもよい。上で説明されているように、光学スタック16は、導電性、部分的透過性、および部分的反射性を有し、例えば、所望の特性を有する1つまたは複数の層を透明基材20上に成膜することにより製作しうる。
図8Aでは、光学スタック16は、部分層16aおよび16bを有する多層構造を含むけれども、他のいくつかの実装では含まれる部分層を加減することができる。いくつかの実装では、部分層16a、16bの一方を、組み合わせた導体/吸収体部分層16aなどの、光学的吸収性と導電性の両方の特性を備えるように構成することができる。それに加えて、部分層16a、16bの1つまたは複数は、平行に並ぶ複数のストリップにパターン形成され、表示デバイス内に行電極を形成しうる。このようなパターン形成は、マスキングおよびエッチングプロセスもしくは当技術分野で知られている別の好適なプロセスによって実行することができる。いくつかの実装では、部分層16a、16bのうちの一方は、1つまたは複数の金属層(例えば、1つまたは複数の反射および/または導電層)の上に成膜される部分層16bなどの、絶縁もしくは誘電体層であってよい。それに加えて、光学スタック16は、表示の行を形成する個別の平行なストリップにパターン形成されることができる。
【0084】
プロセス80はブロック84に進み、そこで、犠牲層25を光学スタック16の上に形成する。犠牲層25は、キャビティ19を形成するために後で取り除かれ(例えば、ブロック90で)、したがって、犠牲層25は、
図1に示されている結果として得られる干渉変調器12内には示されていない。
図8Bは、光学スタック16の上に形成された犠牲層25を含む部分的に製作されたデバイスを示している。犠牲層25を光学スタック16の上に形成する段階は、モリブデン(Mo)または非晶質シリコン(Si)などの二フッ化キセノン(XeF
2)でエッチング可能な材料を、その後取り除いた後に、所望の設計寸法を有するギャップまたはキャビティ19(
図1および8Eも参照)を形成するように選択された厚さで成膜する段階を含みうる。犠牲材料を成膜する段階は、物理気相成長法(PVD、例えばスパッタリング)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、熱化学気相成長法(熱CVD)、またはスピンコーティングなどの成膜技術を使用して実行しうる。
【0085】
プロセス80はブロック86に進み、そこで、支持構造物、例えば
図1、6、および8Cに示されているような支柱18が形成される。支柱18の形成は、犠牲層25をパターン形成して支持構造物開口を形成する段階と、次いで、材料(例えば、ポリマーもしくは無機材料、例えば、酸化ケイ素)を開口内に成膜して支柱18を形成する段階とを含みうるが、ただし、その際にPVD、PECVD、熱CVD、またはスピンコーティングなどの成膜法を使用する。いくつかの実装では、犠牲層内に形成された支持構造物開口は、犠牲層25と光学スタック16とを共に貫通して下にある基材20に達するものとしてよく、支柱18の下端は
図6Aに示されているように基材20と接触する。あるいは、
図8Cに示されているように、犠牲層25内に形成された開口は、犠牲層25を貫通してもよいが、光学スタック16を貫通しない。例えば、
図8Eは、光学スタック16の上側表面と接触する支持支柱18の下端を示している。支柱18、または他の支持構造物は、支持構造材料の層を犠牲層25の上に成膜し、犠牲層25内の開口から離れて配置されている支持構造材料の一部をパターン形成することによって形成されうる。支持構造物は、
図8Cに示されているように、開口内に配置されうるが、少なくとも部分的に、犠牲層25の一部の上に延在することもできる。上で指摘されているように、犠牲層25および/または支持支柱18のパターン形成は、パターン形成およびエッチングプロセスによって実行することができるが、代替的エッチング方法によっても実行されうる。
【0086】
プロセス80はブロック88に進み、そこで、
図1、6、および8Dに示されている可動反射層14などの可動反射層もしくは膜が形成される。可動反射層14は、1つまたは複数の成膜プロセス、例えば、反射層(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金)成膜を1つまたは複数のパターン形成、マスキング、および/またはエッチングプロセスとともに使用することによって形成されうる。可動反射層14は、導電性であり、導電層と称することもできる。いくつかの実装では、可動反射層14は、
図8Dに示されているように複数の部分層14a、14b、14cを含みうる。いくつかの実装では、部分層14a、14cなどの部分層の1つまたは複数は、それらの光学特性のために選択された高い反射率を持つ部分層を含み、別の部分層14bは、その機械的特性のために選択された機械的部分層を含みうる。犠牲層25は、ブロック88で形成された部分的に製作された干渉変調器内にまだ存在しているため、可動反射層14は、典型的には、この段階では可動でない。犠牲層25を含む部分的に製作されたIMODは、本明細書では、「未リリース」IMODと称されることもある。
図1に関連して上で説明されているように、可動反射層14は、表示の列を形成する個別の平行なストリップにパターン形成されることができる。
【0087】
プロセス80はブロック90に進み、そこで、キャビティ、例えば
図1、6、および8Eに示されているようなキャビティ19が形成される。キャビティ19は、犠牲材料25(ブロック84で成膜された)をエッチャントに曝すことによって形成されうる。例えば、Moまたは非晶質Siなどのエッチング可能な犠牲材料を、乾式化学エッチングによって、例えば、犠牲層25を、所望の量の材料を取り除くのに効果的な時間だけ固体XeF
2から生じた蒸気などのガス状または蒸気状エッチャントに曝すことによって取り除くことができ、典型的にはキャビティ19の周囲の構造物に関して選択的に取り除かれうる。エッチング可能な犠牲材料とエッチング方法、例えば、ウェットエッチングおよび/またはプラズマエッチングの他の組み合わせも使用されうる。犠牲層25は、ブロック90で取り除かれるので、可動反射層14は、典型的には、この段階の後に移動可能になる。犠牲材料25を取り除いた後、その結果の完成したまたは部分的に製作されたIMODは、本明細書では「リリース」IMODと称されうる。
【0088】
(微細加工された圧電性X軸およびY軸ジャイロスコープの実装の説明)
いくつかの開示されている微細加工された圧電性ジャイロスコープ構造は、従来の圧電性音叉型ジャイロスコープのいくつかの性能に関係する制限を克服する改善された機械的感知素子を実現する。
【0089】
(従来技術のジャイロスコープ)
従来の圧電性ジャイロスコープは、単頭音叉構造もしくは両頭音叉構造のいずれかを使用する。
図9Aおよび9Bは、単頭音叉型ジャイロスコープの駆動および感知モードの例を示す図である。
図9Aおよび9Bに示されているように、単頭音叉は、駆動と感知の両方の機能に使用される2つの枝部からなる。
図9Aおよび9Bでは、暗領域は、静止しているジャイロスコープ900の一部を示し、明領域は、運動しているジャイロスコープ900の一部を示している。枝部910aおよび910bは、
図9Aに示されているように通常は平面内において、逆位相で圧電駆動される。回転が加えられたことに応答して、コリオリの力により、枝部910aおよび910bは、平面外で反対方向に振動する(
図9Bを参照)。その結果生じる感知モード振動により、バルク材料であるか、またはジャイロスコープ900の構造材料上に成膜された圧電層であってもよい、ジャイロスコープ900の圧電材料に感知電荷が発生する。
【0090】
このような音叉システムの主要な制限は、感知ピックアップに使用される枝部910aおよび910bが、感知運動より数桁大きくなる可能性のある駆動運動の影響も受けるという点である。そのため、枝部910aおよび910bの機械的欠点および非対称性の結果として、感知信号内にかなりのレベルの駆動干渉をもたらし、これは直交性およびバイアス誤差の原因となる可能性がある。
【0091】
このような音叉システムの別の欠点は、動作周波数より低い寄生共振モードが不可避であることである。同相並進モードは、一般的に、逆位相動作モードより低く、振動で容易に励起される可能性がある。
【0092】
両頭音叉システム(図示せず)では、駆動機能と感知機能に別の枝部を使用する。2つの枝部は、逆位相で駆動される。駆動枝部上に誘起されるコリオリの力は、ねじり感知コモンモードを励起し、次いで、感知枝部上に振動を引き起こす。両頭音叉は、感知枝部上の駆動干渉を低減するが、与えられたデバイスの大きさに対する効率は低下する。さらに、多くの望ましくない寄生モードが、動作周波数より低い、また高い周波数で発生し、単頭音叉で生じるものに比べてなおいっそう多い。
【0093】
(圧電性X軸ジャイロスコープ構造)
本明細書で開示されているいくつかの微細加工された圧電性ジャイロスコープのアーキテクチャは、駆動モードで動作しているときに平面内で(z軸の周りで)ねじり振動し、感知モードで動作しているときに平面外で(x軸ジャイロスコープについてはy軸の周りで、y軸ジャイロスコープについてはx軸の周りで)ねじり振動することができるプルーフマスを含む。
【0094】
図10Aは、中心アンカーに取り付けられている駆動ビームによって懸架されたプルーフマスを有するジャイロスコープ1000の例を示している。ここで、プルーフマス1020は、中心アンカー1005に取り付けられた屈曲部1010aおよび1010bによって懸架される。駆動電極1015a〜dは、屈曲部の頂部側および/または底部側にパターン形成されうる。プルーフマス1020、屈曲部1010aおよび1010b、ならびに中心アンカー1005は、厚い、メッキされた金属合金(例えば、Ni−CoまたはNi−Mnなどのニッケル合金)、単結晶シリコン、多結晶シリコンなどのさまざまな材料から作ることができる。この例では、ジャイロスコープ1000の全体的なxおよびyの寸法は、数ミリメートル以下のオーダーである。例えば、いくつかの実装では、幅は、0.25mmから1mmまでの範囲内であり、長さは、1mmから4mmまでの範囲内としうる。厚さは、1ミクロン未満から50ミクロン以上までの範囲内としうる。
【0095】
この図示されている例では、駆動電極1015a〜dは、中心線1017aのそれぞれの側に対称的に配置構成される。中心線1017aは、この例ではx軸に対応する。ここで、駆動電極1015は、屈曲部1010aおよび1010b上に配設される圧電膜を含み、これにより、屈曲部1010aおよび1010bは駆動ビームとして機能することができる。圧電膜は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、もしくは他の薄い膜とすることができる。いくつかの実装では、駆動電極1015(さらには本明細書で説明されている他の駆動電極)は、圧電膜に電圧をかけるために使用される2つの金属層の間に配設される圧電膜を含みうる。圧電膜は、例えば、非導電性圧電膜であってもよい。金属層に電圧をかけることで、駆動電極を移動させることができる。あるいは、圧電性材料は、石英、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどの単結晶材料であってもよい。
【0096】
図10Aに示されている実装では、感知電極1025aおよび1025bは、中心線1017aにそって形成された圧電膜である。代替的実装では、感知電極1025aおよび1025bは、プルーフマス1020上に形成されうる。あるいは、感知電極1025aおよび1025bは、駆動電極1015が形成されるのと同じ側、ただし、駆動電極1015の上または下のいずれかの層内の、屈曲部1010aおよび1010b上に形成されうる。いくつかの他の実装では、感知電極1025aおよび1025bは、屈曲部1010aおよび1010bの反対側に形成されうる。いくつかの実装では、感知電極1025aおよび1025b(さらには本明細書で説明されている他の感知電極)は、圧電膜に電圧をかけるために使用される2つの金属層の間に配設される圧電膜を含みうる。圧電膜は、例えば、非導電性圧電膜であってもよい。感知電極を移動させることで、金属層にかかる電圧の変化を引き起こすことができる。
【0097】
図10Bは、
図10Aのものに類似しているが、駆動電極の間にギャップを有する、ジャイロスコープの実装例を示す図である。この例では、ジャイロスコープ1000aは、屈曲部1010cおよび1010d内にスロット1012aおよび1012bを含む。ここで、スロット1012aおよび1012bは、中心線1017bに関して対称的である。スロット1012aおよび1012bを含むことで、屈曲部1010cおよび1010dが平面内の力に対して比較的大きな柔軟性を示すようにできる。
【0098】
逆位相信号が駆動電極1015a〜dに印加されると、屈曲部1010a〜dに曲げモーメントが発生する。例えば、
図10Aを参照すると、正の駆動電圧が電極1015aに印加され、負の駆動電圧が電極1015bに印加された場合、一方の電極は伸長し、他方の電極は収縮することがわかる。屈曲部1010aに曲げモーメントが生じる。同様に、正の駆動電圧が電極1015dに印加され、負の駆動電圧が電極1015cに印加された場合、一方の電極は伸長し、他方の電極は収縮し、曲げモーメントが屈曲部1010b内に発生する。屈曲部1010aおよび1010bが反対方向に作動されると、ねじり平面内駆動モードが励起される。感知電極1025aおよび1025bは、x軸の周りに引き起こされる回転に応答してプルーフマス1020の平面外ねじり移動を検出する。同様に、
図10Bのプルーフマス1020上に配設されている感知電極1025cおよび1025dは、x軸の周りに引き起こされる角回転を検出するために使用されうる。
【0099】
図11Aおよび11Bでは、最も暗い領域が、ほぼ静止しているジャイロスコープ1000の部分を示し、明領域は、運動しているジャイロスコープ1000の部分を示している。
図11Aは、
図10Aに示されているような実装の駆動モードの例を示している。
図11Aでは、ジャイロスコープ1000の側部1105aは、矢印1110aによって示される方向に駆動されるが、ジャイロスコープ1000の側部1105bは、矢印1110bによって示される方向に駆動される。駆動電圧の極性が反転されたとき、側部1105aおよび1105bは、図示されているのと反対の方向に駆動される。この方法で、プルーフマス1020は、駆動電圧の周波数に公称的に等しい周波数で振動ねじりモードにより駆動されうる。
【0100】
図11Bは、
図11Aに示されているように駆動される実装の感知モードの例を示している。x軸の周りに加えられる回転が存在する場合、y軸の周りの純コリオリモーメントがプルーフマス1020上に誘起されうる。
図11Bに示されているように、コリオリのモーメントは、平面外感知モードを励起し、側部1105aおよび1105bを反対方向で平面外に曲げる。この感知運動は、
図10Aおよび10Bに示されているように感知電極1025a〜d上に圧電電荷を発生させることができる。
【0101】
図10Aおよび10Bに示されているような実装では、従来の音叉システムに内在する同相モードをほぼ排除することができる。いくつかのこのような実装は、大きなプルーフマス1020を使用することによって性能をさらに高めうる。
【0102】
(駆動および感知の分離)
上で説明されている単純な実装では、感知電極1025a〜dは、駆動運動に曝されうる。駆動運動の効果はコモンモード除去されうるとしても、非対称性および欠陥は、感知信号経路への駆動運動の結合を引き起こしうる。いくつかの高性能用途では、結果として生じる誤差は、最適以下の性能をもたらしうる。
【0103】
感知するときの駆動干渉を低減するために、フレーム構造を使用することによって駆動および感知ビームを分離することができる。駆動モードと感知モードとを分離するための2つの一般的アプローチについて以下で説明する。以下で説明するジャイロスコープは、数ミリメートル以下のオーダーである全体的な長さおよび幅を有しうる。例えば、いくつかの実装は、0.5mmから3mmまでの範囲内の長さおよび0.3mmから1.5mmまでの範囲内の幅を有し、その厚さは約1から50ミクロン以上までの範囲である。
【0104】
(駆動フレームの実装)
いくつかの駆動フレームジャイロスコープの実装は、駆動モードでのみ振動する駆動フレームを含む。駆動フレームは、中心アンカーとプルーフマスとの間に配設されうる。このような実装は、
図10Aおよび10Bに示されている実装と比較して、駆動運動を感知運動からより効果的に分離しうる。
【0105】
図12は、駆動フレームが駆動ビームを介して中心アンカーに取り付けられている駆動フレームジャイロスコープの実装の例を示している。ここで、ジャイロスコープ1200の駆動フレーム1210は、中心アンカー1205を囲み、駆動ビーム1215a〜dを介して中心アンカー1205に取り付けられている。この例では、スロット1207が、駆動フレーム1210を中心アンカー1205の大部分から分離する。
【0106】
プルーフマス1220は、駆動フレーム1210を囲む。プルーフマス1220は、感知ビーム1225a〜dによって駆動フレーム1210に結合される。この例では、プルーフマス1220は、この例ではy軸に対応する、中心軸1218から遠ざかる、感知ビーム1225a〜dの遠位端1226において駆動フレーム1210にのみ結合される。スロット1217および1229は、感知ビーム1225a〜dの他の部分をプルーフマス1220から隔てる。スロット1217は、駆動フレーム1210もプルーフマス1220から隔てる。
【0107】
駆動ビーム1215a〜dは、この例ではx軸に対応する、中心線1231に関して対称的に配設される。駆動振動を発生するために、差動駆動を使用することができる。このような実装では、アンカー1205の一方の側の2つの駆動ビームは、一方の方向に逆位相信号で作動され、アンカー1205の他方の側の別の2つのビームは、反対方向に作動されて、z軸の周りに純回転を発生させうる。ここで、負の電圧が駆動ビーム1215aおよび1215dの駆動電極(図示せず)に印加され、それと同時に、正の電圧が駆動ビーム1215bおよび1215cの駆動電極に印加される。
【0108】
この例では、駆動および感知電極は、圧電膜を含むが、これは
図13Aおよび13Bにおいてより明確に示されうる。
図13Aは、
図12に示されているようなジャイロスコープの実装の断面の例を示している。ジャイロスコープ1200のこの図において、感知ビーム1225aの圧電感知電極1305aおよび感知ビーム1225bの圧電感知電極1305bが、明確に示されうる。感知ビーム1225cおよび1225dの圧電感知電極1305cおよび1305dも、それぞれ示されうる。
図13Bは、
図13Aに示されているジャイロスコープの実装の駆動ビームの拡大された対の例を示している。
図13Bにおいて、圧電駆動電極1305eおよび1305fは、それぞれ、駆動ビーム1215aおよび1215b上に示されうる。
図41およびそれ以降を参照しつつ以下で詳しく説明されているように、いくつかの実装では、単一の層を成膜し、パターン形成して、電極1305a〜fの圧電膜を形成しうる。
【0109】
本明細書で説明されている圧電駆動および感知電極は、ジャイロスコープの駆動および感知フレーム、プルーフマスなどの上に示されていることが多いけれども、そのような図示はもっぱらわかりやすくすることを目的としてなされている。代替的実装では、そのような駆動および感知電極は、駆動および感知フレーム、プルーフマスなどの「下」の(それより基材に近い)位置に配置されうる。
図41から46Bを参照しつつ以下で説明されているように、駆動フレーム、感知フレーム、プルーフマスなどを形成する前に駆動および感知電極を形成することが有利である場合がある。このような製作方法では、駆動および感知電極が駆動フレーム、感知フレーム、プルーフマスなどの下に配設されるジャイロスコープを製造しうる。
【0110】
図14Aは、
図12に示されているようなジャイロスコープの実装の駆動モードの例を示している。
図14Aおよび14Bにおいて、ジャイロスコープ1200の寒色部分は、暖色部分より比較的小さく移動しており、ジャイロスコープ1200の青色部分は、ほぼ静止しているが、赤色およびオレンジ色部分は、ジャイロスコープ1200の他の部分よりも移動している。ここで、駆動ビーム1215は、上で説明されているように、差動圧電駆動を介して駆動されている。
【0111】
駆動ビーム1215は、平面内運動に対して比較的柔軟であり、これによりジャイロスコープ1200はz軸の周りで回転することができる。駆動ビーム1215は、他のすべての方向において比較的堅く、したがって、駆動フレームは駆動モード(つまり、x−y平面)でのみ回転するように制約されうる。ここで、例えば、駆動ビーム1215は、x軸にそって比較的堅く、望ましくない振動モードを抑制することができる。例えば、中心線1218に平行なスロット1207の部分は、駆動フレーム1210のy軸にそって穿孔を形成する。余分な堅さがなければ、これらの穿孔は、y軸にそった柔軟なヒンジを形成する傾向を持ち、これにより駆動フレーム1210はこのヒンジの周りで曲がることができる。
【0112】
図14Bは、
図14Aに示されているように駆動されるジャイロスコープの実装の感知モードの例を示している。感知モードでは、プルーフマス1220は、y軸の周りで振動し、感知ビーム1225a〜d上に応力を誘起する。ここで、プルーフマスの側部1220aは上方に移動し、それと同時に、プルーフマスの側部1220bは下方に移動する。この平面外感知運動により、感知ビーム1225a〜dは平面外に曲がり、また対応する感知電極1305a〜dによって圧電電荷が発生する。
図14Bの例に示されているモーメントで、感知ビーム1225cおよび1225dは下方に曲がるが、感知ビーム1225aおよび1225bは上方に曲がる。したがって、感知ビーム1225cおよび1225dの頂面は伸長し、感知ビーム1225aおよび1225bの頂面は収縮する。駆動運動が反対方向である場合、感知ビーム1225cおよび1225dは上方に曲がるが、感知ビーム1225aおよび1225bは下方に曲がる。このような実装で、差動検出機構を実現することができ、その場合、センサー出力は、向きに応じて、感知ビーム1225aおよび1225bの電極の総和から感知ビーム1225cおよび1225dの電極の総和を引いたもの、またはその逆に引いたものである。
【0113】
ジャイロスコープ1200のこの構成では、プルーフマス1220の感知運動は、駆動フレーム1210からほぼ分離される。駆動運動と感知運動とを分離することにより、感知電極をより静かにしやすくなるが、それは、一部は、感知電極が振幅の大きな駆動運動の影響を受けないからである。いくつかのそのような実装では、感知ビームは、駆動運動のために軸方向荷重のみを受けるものでありうる。
【0114】
図12から14Bに示されている構成では、感知ビーム1225a〜dは、x−y平面内でほぼ矩形である。しかし、代替的実装では、感知ビーム1225a〜dは、他の形状をとる。いくつかのそのような実装では、感知ビーム1225a〜dは、例えば
図17に示されているようにテーパー状である。
【0115】
(感知フレームの実装)
本明細書で説明されているさまざまな感知フレームジャイロスコープの実装は、感知モードで振動するが、駆動モードではほぼ静止している感知フレームを含む。
図15は、感知フレームジャイロスコープの実装の例を示している。感知フレーム1510は、駆動ビーム1515a〜dを介してプルーフマス1530に接続されうる。ここで、駆動ビーム1515a〜dは、感知フレーム1510の中心部分1510aをプルーフマス1530に接続する。中心部分1510aは、一対のアンカー1505aおよび1505bの間に配設される。ここで、アンカー1505aおよび1505bは、スロット1522によって中心部分1510aから隔てられる。
【0116】
ジャイロスコープ1500は、感知ビーム1520a〜dを介してアンカー1505aおよび1505bに接続される感知フレーム1510を備えることを特徴とする。この例では、感知フレーム1510は、テーパー部分1512を含み、それらの部分のそれぞれは、アンカー1505aまたは1505bのうちの一方の近傍である第1の端部1513においてより広く、アンカー1505aまたは1505bから離れている第2の端部1514においてより狭くなっている。感知ビーム1520a〜dのそれぞれは、アンカー1505aまたは1505bのうちの一方から第2の端部1514のうちの一方まで延在する。ここで、感知ビーム1520a〜dは、第2の端部1514において感知フレーム1510にのみ接続される。感知ビーム1520a〜dは、スロット1522によって第1の端部1513から隔てられる。
【0117】
プルーフマス1530は、スロット1524によって感知ビーム1520および感知フレーム1510から隔てられる。さらに、プルーフマス1530は、スロット1517によって感知フレーム1510から隔てられる。したがって、感知フレーム1510は、プルーフマス1530の駆動運動からほぼ分離される。
【0118】
図16Aは、
図15に示されているジャイロスコープの実装の駆動モードの例を示している。
図16Aでは、感知フレーム1510に関するプルーフマス1530の変位は、それらの相対的運動がより明確にわかるように、誇張されている。ジャイロスコープ1500の濃い青色部分は、ほぼ静止しているが、赤色およびオレンジ色部分は、ジャイロスコープ1500の他の部分よりも移動している。ここで、感知フレーム1510は、均一な濃い青色の陰影で示されており、これは感知フレーム1510がほぼ運動していないことを示している。プルーフマス1530の変位は、明るい青色から赤色への色の連続的変化によって示されているように、アンカー1505からの距離の増大とともに増大する。
【0119】
感知フレーム1510は、駆動ビーム1515だけでなく、リンケージビーム1525によってもプルーフマス1530に結合される。駆動ビーム1515およびリンケージビーム1525は、平面内変形に対して柔軟性を有し、これにより、プルーフマス1530は感知フレームに関して駆動モードにより平面内で回転することができる。しかし、感知フレーム1510は、プルーフマス1530の駆動運動からほぼ分離される。
【0120】
図16Bは、
図16Aに示されているように駆動されるジャイロスコープの実装の感知モードの例を示している。感知モードのオペレーションでは、プルーフマス1530および感知フレーム1510は、一緒に平面外でねじり振動することができる。
図16Bに示されているモーメントでは、プルーフマス1530の端部1605は上方に曲がっており、プルーフマス1530の端部1610は下方に曲がっている。ここで、リンケージビーム1525は、平面外の力に関しては堅い。したがって、リンケージビーム1525は、プルーフマス1530の感知運動の感知フレーム1510への伝達を高める。
【0121】
(テーパー状感知ビーム)
圧電性ジャイロスコープシステムの電気的感度は、感知ビームに対する応力の均一性を改善することによって高めることができる。矩形の感知ビームのいくつかの実装について、感知ビームに対する最大曲げ応力は、アンカー接続部において生じ、アンカーからの距離とともに直線的に減少する。この構成の結果、感知電極における総圧電電荷は減少する可能性がある。
【0122】
テーパー状感知ビームプロファイルを使用することにより、曲げ応力の減少は、ビーム幅が徐々に減少するため応力の増大によって補正することができる。そのため、均一な応力プロファイルは感知ビームにそって達成され、感知電極全体にわたって生成される電荷が最大化されうる。
【0123】
図17は、テーパー状感知ビームを有する代替的な感知フレームジャイロスコープの実装の例を示している。ジャイロスコープ1700の多くの特徴は、ジャイロスコープ1500の対応する特徴に類似している。例えば、駆動ビーム1715は、感知フレーム1710の中心部分をプルーフマス1730に接続する。感知ビーム1720a〜dは、アンカー1705aおよび1705bから、アンカー1705aおよび1705bから離れた感知フレーム1710の遠位端1714まで延在する。
【0124】
プルーフマス1730は、スロット1724によって感知ビーム1720a〜dから隔てられる。さらに、プルーフマス1730は、スロット1717によって感知フレーム1710の大部分から隔てられる。ジャイロスコープ1500の感知フレーム1510と同様に、感知フレーム1710は、プルーフマス1730の駆動運動からほぼ分離される。
【0125】
しかし、
図17に示されている例では、テーパー状感知ビームの設計が、分離された感知フレームの実装内に組み込まれている。ジャイロスコープ1700では、感知ビーム1720a〜dは、アンカー1705aおよび1705bからの距離が増大するとともに減少する幅を有する。例えば、テーパー状感知ビーム1720cは、アンカー1705bに取り付けられた広い端部1722および感知フレーム1710に取り付けられた狭い端部1723を含む。
【0126】
感知運動時に感知ビームにかかる応力が有限要素解析法(FEA)によりモデル化された場合、テーパー状感知ビームの設計のいくつかの実装では感知ビームにそってより均一な応力がかかることが観察されうる。
図18は、感知モードで動作しているときにテーパー状感知ビーム上に加えられるほぼ均一な応力を示す、
図17の実装などの、ジャイロスコープの実装に重ね合わされた有限要素解析結果の一例を示している。テーパー状感知ビーム1720aおよび1720c上のほぼ均一な明るい陰影は、ほぼ均一な圧縮を示しているが、テーパー状感知ビーム1720bおよび1720d上のほぼ均一な暗い陰影は、ほぼ均一な張力を示している。
【0127】
図19は、
図17の実装などの、ジャイロスコープの実装に対するテーパー状感知ビームにかかる応力のレベルと中心からの距離(y軸)との関係のプロット例を示している。
図19では、感知ビーム1720cおよび1720dにそった応力は、x軸にそった距離に関してプロットされる。
図19から、この実装における応力レベルは、比較的一定しており、それぞれの感知ビームにそった位置とともにほぼ減少しないことが観察されうる。領域1905は、テーパー状感知ビーム1720dのほぼ均一な張力に対応するが、領域1910は、テーパー状感知ビーム1720cのほぼ均一な圧縮に対応する。最適なテーパー角度では、それぞれの感知ビーム1720a〜dにかかるほぼ一定した応力レベルを達成することができる。最適なテーパー角度は、ジャイロスコープの設計に応じて変化し、反復FEAモデリングによって決定されうる。最適なテーパー角度は、領域1905および1910内の「最も平坦な」または変化が最小である曲面に対応する。
【0128】
テーパー状感知ビームは、感知フレームジャイロスコープの実装の文脈においてここに示されているけれども、テーパー状感知ビームは、他の実装における感度を改善するため用いられることもできる。例えば、テーパー状感知ビームは、例えば
図15を参照しつつ上で説明されているような駆動フレームジャイロスコープの実装において使用することができる。
【0129】
テーパー状感知ビーム1720とは別に、ジャイロスコープ1500とジャイロスコープ1700との間にいくつかの付加的な違いがある。
図17を再び参照すると、リンケージビーム1725は、蛇行した屈曲部であり、ジャイロスコープ1500に比べてy軸から比較的遠くで、感知フレーム1710からの遠位部分に接続されることが観察されうる。これは、プルーフマス1730の感知運動を結合することに関してジャイロスコープ1500の構成よりわずかに勝る改善であるが、なぜなら、y軸から遠く離れ、プルーフマス1730の感知運動の最大振幅点により近い部分で、力が印加されているからである。印加される力をウィング形状の感知フレーム1710の先端部に近づけることで、プルーフマス1730からの力が感知フレーム1710により多く付与される。
【0130】
さらに、ジャイロスコープ1700では、スロット1726の一部分(感知フレーム1710からアンカー1705aおよび1705bを隔てる)がスロット1717の対応する部分(プルーフマス1730から感知フレーム1710を隔てる)にほぼ平行になっている。この修正により、感知フレーム1710の対応する部分に十分な堅さを持たせることが可能になる。
【0131】
(微細加工された圧電性Z軸ジャイロスコープの実装の説明)
本明細書で説明されているいくつかの実装は、直交性およびバイアス誤差が低いz軸ジャイロスコープを実現する。いくつかの実装は、ほぼ直線的な、x方向の運動(平面内)で圧電駆動される駆動プルーフマスを含む。駆動プルーフマスは、z軸の周りの角回転の存在下でねじり振動する、感知プルーフマスに機械的に結合されうる。感知プルーフマスの運動は、感知質量を基材アンカーに接続する感知ビームの上または下に配設された圧電膜内に電荷を誘起することができる。誘起された電荷は、圧電感知電極の電圧の変化を引き起こすことができ、これは電子的に記録され処理されうる。
【0132】
プルーフマスは、厚いメッキされた金属合金(例えば、Ni−Co、Ni−Mnなどのニッケル合金)、SOIウェハのデバイス層からの単結晶シリコン、ガラス、および他の材料などのさまざまな材料から作ることができる。圧電膜は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、もしくは他の薄い膜、または石英、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、および他の物質などの単結晶材料とすることができる。いくつかの実装は、フラットパネルディスプレイのガラス上での製造に適している。
【0133】
いくつかの実装は、感知フレーム内への直交性の結合を抑制するために静電アクチュエータのアレイを使用して駆動運動の機械的モード形状を調整することも伴う。例えば、いくつかの実装では、静電アクチュエータは、
図23を参照しつつ以下でさらに詳しく説明されているように、プルーフマスの平面内運動を微調整する櫛歯型電極のアレイおよび/または望ましくない垂直運動を抑制する基材とプルーフマスとの間の静電ギャップを含む。
【0134】
(Z軸ジャイロスコープのアーキテクチャ)
図20Aは、z軸ジャイロスコープ2000の実装の平面図の例を示している。ジャイロスコープ2000は、中心アンカー2005の周りに配設された感知フレーム2010を含む。感知フレーム2010は、感知ビーム2020a〜dを介して中心アンカー2005に接続される。
【0135】
駆動フレーム2030は、感知フレーム2010の周りに配設され、感知フレーム2010に接続される。この例では、駆動ビーム2015a〜dは、ほぼ直線的な、x方向の運動(平面内)で駆動フレーム2030を圧電駆動する。ここで、駆動フレーム2030は、駆動フレーム部分2030aおよび2030bからなる。駆動フレーム2030は、逆位相電圧を隣接する駆動ビームのそれぞれの対に印加する、例えば、正の電圧を駆動ビーム2015aに、負の電圧を駆動ビーム2015bに印加することによって作動することができる。
【0136】
図20Bは、
図20Aに示されているz軸ジャイロスコープの実装の駆動ビーム2015cおよび2015dの拡大図例である。この拡大図により、駆動ビーム2015cおよび2015dがより明確にわかる。駆動ビーム2015cおよび2015dは、スロット2035c内に配設されている、屈曲部2045bによって駆動フレーム部分2030bに連結される。電極2050aおよび2050b(それぞれ、圧電膜を含む)は、それぞれ、駆動ビーム2015cおよび2015d上に配設される。この例では、正の電圧が電極2050bに印加され、それと同時に、負の電圧が電極2050aに印加されている。この印加された電圧により、圧縮応力が駆動ビーム2015dに印加され、ねじり応力が駆動ビーム2015cに印加される。圧電材料によって誘起される対向する軸方向の歪みは、駆動フレーム部分2030bを正のx方向に移動する純モーメントを引き起こす。
【0137】
図21Aは、
図20Aに示されているようなz軸ジャイロスコープの実装の駆動モードの例を示している。
図21Aおよび21Bでは、見やすくするために変位を誇張してある。
図21Aでは、駆動フレーム部分2030bは、正のx方向に移動しており、駆動フレーム部分2030aは、負のx方向に移動している。しかし、駆動運動は、感知フレーム2010からほぼ分離されている。したがって、感知フレーム2010は、x軸にそって並進しない。その代わりに、感知フレーム2010は、z軸の周りに回転がなければほぼ静止状態のままである。
【0138】
ギャップ2035a〜eの機能およびそこに配設されている屈曲部は
図21A明示されている。ギャップ2035a〜eは、y軸にほぼ平行である。y軸にほぼそって延在するキャップ2035bは、開いている。駆動フレーム部分2030aおよび2030bを接続する、ギャップ2035bにかかる屈曲部2047aおよび2047bも開いている。ギャップ2035dおよび2035eにそって延在する、屈曲部2040aおよび2040bは、平面内の曲げに対して柔軟であり、このため、感知フレーム2030は、駆動フレーム部分2030aおよび2030bが駆動されたときにほぼ同じ位置に留まることができる。同様に、ギャップ2035aおよび2035bにそって延在する、屈曲部2045aおよび2045bでも、感知フレーム2010は、駆動フレーム部分2030が駆動されたときにほぼ同じ位置に留まることができる。
【0139】
図21Bは、
図21Aに示されているように駆動されるz軸ジャイロスコープの実装の感知モードの例を示している。感知ビーム2020は、z軸の周りの回転に対して柔軟である。したがって、感知ビーム2010は、角回転の存在下でねじり振動を生じることができる。感知フレーム2010のこれらのねじり感知運動は、感知ビーム2020上に配設されている圧電膜内に歪みおよび電荷を誘起することができる。
図21Bから、屈曲部2047aおよび2047bも、感知フレーム2010の感知運動によって変形できることを観察しうる。しかし、屈曲部2040a、2040b、2045a、および2045bは、ほぼ変形しない。
【0140】
本明細書で開示されているz軸ジャイロスコープの実装では、駆動および感知フレームは、機械的に直交する振動モードで設計されうる。
図21Aに示されているように、いくつかの実装では、駆動サスペンションは、駆動運動をx軸にそったほぼ直線的な変位の運動に制限することができる。
【0141】
対照的に、感知フレームサスペンションは、z軸の周りのねじり回転に対して柔軟でありうるが、xまたはy方向の並進運動に対しては比較的堅いものとしてよい。駆動フレーム2030および感知フレーム2010を接続する屈曲部は、x方向(直交)の力に対して柔軟にできるが、y方向のコリオリ結合ねじり力に対しては比較的堅くすることができる。このような構成は、駆動運動から感知運動への駆動運動の直交結合を実質的に低減しうる。
【0142】
さらに、いくつかの実装では、寄生共振の数を減らし、対称および非対称モードの周波数を分離するようにジャイロスコープの差動駆動フレームの要素を機械的に結合しうる。その結果、これらの実装は、直交成分誘起寄生共振に抵抗する。
【0143】
(感知ビームの最適化)
圧電性ジャイロスコープシステムの電気的感度は、感知ビームに対する応力の均一性を改善することによって高めることができる。均一な矩形断面を有する感知ビームの場合、感知ビームにかかる曲げ応力は、アンカー接続部において最大であり、アンカーからの距離の関数として直線的に減少する。この結果、感知電極に対して最適以下の積算圧電電荷が生じ、その結果、電圧が発生する。
【0144】
図22は、z軸ジャイロスコープからのテーパー状感知ビームの一実装の拡大図例を示している。
図22に示されているように、テーパー状感知ビームプロファイルを使用することによって、感知ビーム2020cおよび2020dにそってほぼ均一な応力プロファイルを達成しうる。したがって、感知電極上に発生する総電荷を増大しうる。
【0145】
(フラットパネルディスプレイのガラス上の加工)
本明細書で開示されているいくつかのx軸、y軸、およびz軸ジャイロスコープは、大面積のフラットパネルディスプレイのガラス上に製造するのに最適である。メッキされた金属合金のプルーフマスおよびスパッタリングされた圧電AlN膜を使用するいくつかの実装では、処理は400℃未満の温度で行うことが可能である。メッキされた金属のプルーフマスは、(シリコンに比べて)高い質量密度を有し、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)の側壁スロープが存在せず、これはシリコンベースの静電設計に共通であり、直交性を誘起する。いくつかの製造プロセスの詳細は、
図41およびそれ以降の図を参照しつつ以下で説明される。
【0146】
いくつかの実装では、ガラスが、基材とパッケージの両方の機能を果たし、その結果、コンポーネントのコストが低減されうる。z軸ジャイロスコープは、加速度計、x軸および/またはy軸ジャイロスコープ、磁力計、マイクロホン、圧力センサー、共振器、アクチュエータおよび/または他のデバイスなどの、多数の他のセンサーおよびアクチュエータとともに集積化することができる。
【0147】
(静電アクチュエータによる直交調整)
本明細書で説明されているいくつかの実装は、直交性およびバイアス誤差を抑制するために静電アクチュエータのアレイを使用して駆動および/または感知フレームの機械的モード形状をアクティブに微調整することを伴う。直交性は、感知フレームに結合する駆動フレームの望ましくないたわみによって引き起こされる可能性がある。
【0148】
図23は、プルーフマスの振動モード形状を微調整するために補正的静電気力を印加するように構成されうる電極アレイの例を示している。
図23は、ジャイロスコープもしくは加速度計プルーフマスであってもよい、プルーフマス2305を示している。プルーフマス2305の望ましい運動は、図示されているように平面内で行われる。しかし、プルーフマス2305の振動モードは、平面外成分を有しうる。そのような平面外成分の一例である、小さな垂直の望ましくないたわみ(プルーフマス2305の破線輪郭として示されている)が、
図23に、一次平面内並進駆動モード上に重ね合わされるように示されている。電極アレイ2310は、静電気補正力をプルーフマス2305に印加するように構成することができる。プルーフマス2305の運動の望ましくない垂直成分を相殺する静電気力をアクティブに印加するように電極アレイ2310を制御することによって、感知フレームに結合する直交性誘起加速度を低減することができる。
【0149】
この考え方は、多数の他の実装にも適用可能である。例えば、静電アクチュエータは、望ましくないy方向運動を相殺するために静電気力を印加するように構成された櫛歯型からなるものとしてよい。
【0150】
(加速度計の実装の説明)
本明細書で説明されているさまざまな実装では、新規性のある3軸加速度計、さらにはそれらのコンポーネントを実現する。このような3軸加速度計は、携帯型ナビゲーションデバイスおよびスマートフォンなどの広範な家庭用電子機器アプリケーションで使用するのに適した大きさ、性能レベル、およびコストを有する。いくつかのこのような実装は、容量性積層横方向オーバーラップトランスデューサ(SLOT)ベースの3軸加速度計を備える。いくつかの実装では、2つのプルーフマスを使用して3軸感知機能を実現するが、他の実装では、ただ1つのプルーフマスを使用して3軸感知機能を実現する。それぞれの軸について異なる屈曲部タイプを最適化しうる。
【0151】
加速度計の実装は、大面積ガラスパネルなどの、大面積基材上に製作されうる。以下で詳しく説明されているように、SLOTベースの3軸加速度計を大面積基材上に形成する際に使用される製作プロセスは、ジャイロスコープを大面積基材上に製作するためのプロセスに適合するものとすることができる。このようなプロセスを組み合わせることによって、単一ガラス基材上の6個の慣性感知軸のモノリシックな集積化を可能にすることができる。
【0152】
x−y軸平面内感知では、いくつかの実装は、犠牲ギャップのいずれかの側に導電性プルーフマスおよびパターン形成された電極を備える。平面内で加速度を印加すると、プルーフマスは横方向に並進し、第1の電極とプルーフマスとの間のオーバーラップを減少させ、第2の電極とプルーフマスとの間のオーバーラップを増大させる。平面内曲げ屈曲部は懸架されたプルーフマスの構造支持体を構成しうる。
【0153】
z軸平面外感知では、ピボットのいずれかの側のモーメントの不平衡が、プルーフマスの一方の側をプルーフマスの他方の側よりも大きくする(または小さくする)ことによって生じうる。例えば、ピボットのいずれかの側のモーメントの不平衡は、プルーフマスの一方の側を穿孔し、および/またはいずれかの側で幅および/または長さが異なるプルーフマスを形成することによって生じうる。いくつかの実装では、負のz方向の加速度は、プルーフマスを時計回りに回転させ、第1の電極とプルーフマスとの間のギャップを増大し、第2の電極とプルーフマスとの間のギャップを減少させる。z軸加速度計は、ねじり屈曲部を含みうる。いくつかの実装では、3軸感知は、1つまたは2つのプルーフマスを使用して達成することができる。いくつかの例について、以下で説明する。
【0154】
図24は、平面内加速度を測定するための加速度計の一例を示している。加速度計2400は、基材2401上に形成された電極2405aおよび2405bを含む。電極2405aおよび2405bは、金属などの、任意の都合のよい導電性材料から形成されうる。加速度計2400は、ギャップ2415によって電極2405aおよび2405bから隔てられている導電性プルーフマス2410を含む。例えば、ギャップ2415は、数ミクロン、例えば、0.5または2ミクロンのオーダーとすることができるか、またはそれよりかなり小さいか、もしくは大きくてもよい。
【0155】
導電性プルーフマス2410は、スロット2420を含む。この例では、スロット2420の縁2425は、加速度計2400が静止しているときに電極2405aおよび2405bの上に懸架される。スロット2420は、実装に応じて、導電性プルーフマス2410を部分的にまたは完全に貫通して延在しうる。異なるスロット深さを有するさまざまな導電性プルーフマス2410の静電容量は、
図32に示されており、これについて以下で説明する。加速度計2400の一般的構成を有する加速度計は、本明細書では、積層横方向オーバーラップトランスデューサ(SLOT)ベースの加速度計と称されうる。
【0156】
正のx方向加速度により、導電性プルーフマス2410は横方向に並進し、スロット2420の位置をシフトする。電極2405aの上に配置されるスロット2420が多ければ、より多くの空気、およびより少ない導電性材料が電極2405aの近くに配置される。これにより、ΔCだけ電極2405aにおいて静電容量が減少する。逆に、電極2405bの上に配置されるスロット2420が少なければ、より少ない空気、およびより多くの導電性材料が電極2405bの近くに配置される。これにより、ΔCだけ電極2405bにおいて静電容量が増大する。導電性プルーフマス2410の並進によってオーバーラップの変化が引き起こされる結果、2ΔCに比例する対応する平面内加速度差動出力信号が生じる。
【0157】
図25は、平面外加速度を測定するための加速度計の一例を示している。この例では、加速度計2500は、支持体2515およびねじり屈曲部2525によって基材2401に取り付けられている導電性プルーフマス2510を含む。支持体2515およびねじり屈曲部2525は、ピボット2530を形成する。モーメントの不平衡は、例えば導電性プルーフマス2510の一方の側を穿孔することによって、導電性プルーフマス2510aを支持体2515のいずれかの側で異なる幅および/または長さにすることによって、またはこれらの組み合わせによって、支持体2515のいずれかの側に生じる可能性がある。モーメントの不平衡はまた、導電性プルーフマス2510の他方の側を形成するために使用される材料よりも密度が比較的大きいか、または小さい材料から導電性プルーフマス2510の一方の側を形成することによっても生じうる。しかし、このような実装は、製作が比較的複雑である可能性がある。この例では、モーメントの不平衡は、側部2510bに穿孔2520を形成することによって生じている。
【0158】
負のz方向の加速度は、導電性プルーフマス2510を時計回りに回転させ、電極2405cと導電性プルーフマス2510との間のギャップを増大し、電極2405dと導電性プルーフマス2510との間のギャップを減少させる。これにより、電極2405cにおける静電容量がΔCだけ減少し、電極2405dにおける静電容量はΔCだけ増大する。2ΔCに比例する対応する平面外加速度出力信号が結果として得られる。
【0159】
図26Aは、平面内加速度を測定するための加速度計の一例を示している。加速度計2400aは、数ミリメートルのオーダーの全体的なxおよびy寸法を有しうる。いくつかの実装では、加速度計2400aは、1ミリメートル未満のxおよびy寸法を有するものとしてよい。
【0160】
この例では、加速度計2400aは、内側フレーム2610aの周りに配設された導電性プルーフマス2410aを含む。導電性プルーフマス2410aは、この例ではx軸である、第1の軸にほぼそって延在するスロット2420aを含む。導電性プルーフマス2410aは、この例ではy軸である、第2の軸にほぼそって延在するスロット2420bもまた含む。以下でさらに詳しく説明されているように、導電性プルーフマス2410aは、x軸、y軸、またはx軸とy軸との組み合わせにほぼそって移動するように制約される。
【0161】
内側フレーム2610aは、アンカー2605を介して基材に接続される、ほぼ静止している部分2612aを備える。アンカー2605は、
図26Aに示されている平面の下に配設される。ここで、静止している部分2612aは、この例ではy軸にほぼそって延在する、一対の応力分離スリット2625もまた含む。応力分離スリット2625は、膜、基材、および/またはパッケージ内の応力に対する加速度測定の感度を減じることができる。内側フレーム2610aは、可動部分2614aも含む。屈曲部2615aは、可動部分2614aを導電性プルーフマス2410aに接続する。屈曲部2620aは、可動部分2614aを静止している部分2612aに接続する。屈曲部は、曲げコンプライアンスを増大することができる、折り畳まれた屈曲部であってよい。いくつかの実施形態では、屈曲部は、蛇行した屈曲部であってもよい。この例では、内側フレーム2610aは、複数のスロット2420aを含む。
図26Aに示されているように、追加のスロット2420aをプルーフマス2410a内に形成しうる。
【0162】
図26Bは、第1の軸にそった加速度に対する
図26Aの加速度計の応答の一例を示している。ここで、加速度計2400aの導電性プルーフマス2410aは、x軸にそって移動している。スロット2420bは、x軸にそってシフトし、これにより、
図24を参照しつつ上で説明されているように、対応する電極2405によって静電容量の変化が検出される。電極2405は、
図26Bに示されている平面の下にある基材2401(図示せず)上に配設される。加速度計2400a、基材2401、および電極2405の間の特別な関係は、
図28に示されており、これについて以下で説明する。
図26Bで変形された屈曲部2615aは、内側フレーム2610aがほぼ静止したままである間に、導電性プルーフマス2410aをx軸にそって移動させることができる。この実装では、屈曲部2620aは、ほぼ変形されることはない。スロット2420aに関連する静電容量は、プルーフマスのx方向並進の下ではほぼ無変化である。
【0163】
図26Cは、第2の軸にそった加速度に対する
図26Aの加速度計の応答の一例を示している。ここで、導電性プルーフマス2410a、および内側フレーム2610aの可動部分2614aは、y軸にそって移動している。スロット2420aは、y軸にそってシフトし、これにより、上で説明されているように、対応する電極2405によって静電容量の変化が検出される。
図26Cで変形された屈曲部2620aは、可動部分2614aを導電性プルーフマス2410aとともにy軸にそって移動させることができる。この実装では、屈曲部2615aは、ほぼ変形されることはない。スロット2420bに関連する静電容量は、プルーフマス2410aおよび可動部分2614aのy方向並進の下でほぼ無変化である。
【0164】
図26Dは、平面内および平面外加速度を測定するための加速度計の一例を示している。この例では、加速度計2400bは、延長部2670を有する導電性プルーフマス2410bを含む。延長部2670により、延長部2670の側にある導電性プルーフマス2410bの部分はアンカー2605の他方の側にある導電性プルーフマス2410bの部分より大きくなる。延長部2670の余分な質量は、
図25を参照しつつ上で説明されている種類のモーメントの不平衡を引き起こし、それにより、加速度計2400bがz軸にそった加速度に対して敏感になるようにできる。
【0165】
前の図面で説明されている加速度計2400bと加速度計2400aとの間に別の差がある。
図26Dに示されている実装では、内側フレーム2610bの静止している部分2612bは、例えば
図26Aに示されている実装における内側フレーム2610aの静止している部分2612aより比較的小さい。この構成をとると、スロット2420aは、内側フレーム2610bの比較的大きな領域を占有することができ、その結果、y軸にそった加速度を測定する感度を高めることができる。さらに、
図26Dに示されている実装では、屈曲部2615bおよび2620bは、蛇行した屈曲部である。
【0166】
図27は、平面外加速度を測定するための加速度計の一例を示している。z軸加速度計2500aは、
図25を参照しつつ上で説明されている、加速度計2500の一般的原理に従って動作するように構成されている。ここで、導電性プルーフマス2510は、ピボット2530aを形成するアンカー2515aと一対のねじり屈曲部2525aとによって基材2401(図示せず)に取り付けられる。モーメントの不平衡は、導電性プルーフマス2510の側部2510bを他方の側2510aより比較的小さくすることによってピボット2530aのいずれかの側に生じている。
【0167】
電極2405cおよび2405dは、
図25および28に示されているように、基材2401上の加速度計2500aの下の平面内に配設される。この例では、電極2405cは、距離2710だけ導電性プルーフマス2510の側部2510bの縁から差し込まれている。z軸にそった加速度により、導電性プルーフマス2510は、
図25を参照しつつ上で説明されているように、y軸の周り、およびピボット2530aの周りに回転する。例えば、z軸にそった加速度は、導電性プルーフマス2510の側部2510aを負のz方向に(電極2405dの方へ)回転させ、側部2510bを正のz方向に(電極2405cから離れる方向に)回転させる。
図25を参照しつつ上で説明されているように、ピボット2530aの周りに導電性プルーフマス2510がこのように回転することで、電極2405cにおける静電容量がΔCだけ減少し、電極2405dにおける静電容量がΔCだけ増大する。2ΔCに比例する対応する平面外加速度出力信号が結果として得られる。電極2405cおよび2405dにおける静電容量の変化は、電極2405cおよび2405dの大きさ、z軸にそった加速度の大きさなどのさまざまな要因に依存しうる。いくつかの実装では、電極2405cおよび2405dにおける静電容量の変化は、数フェムトラッドの範囲内であるものとしてよい。
【0168】
図28は、平面内および平面外加速度を測定するための代替的な加速度計の実装の一例を示している。この例では、3軸加速度計2800は、z軸加速度計2500a(
図27)とx−y軸加速度計2400a(
図26A〜C)とを組み合わせたものである。いくつかの実装では、加速度計2800は、数ミリメートル以下のオーダーの長さ2805および幅2810を有しうる。例えば、長さ2805は、0.5から5mmまでの範囲内であってよいが、幅は、0.25から3mmまでの範囲内であってよい。
【0169】
電極2405c〜fは、製作される加速度計2500aおよび加速度計2600aが隣にある基材2401の領域上に配設される。電極2405cおよび2405dは、z軸加速度に対する加速度計2500aの応答を測定するように構成されてもよい。電極2405eは、x軸にそった加速度計2600aの加速度を検出するように構成することができるが、電極2405fは、y軸にそった加速度計2600aの加速度を検出するように構成することができる。
【0170】
図29は、平面内および平面外加速度を測定するための別の代替的な加速度計の実装の一例を示している。この例では、加速度計2400cは、分離フレーム2910内に配設された導電性プルーフマス2410cを含む。屈曲部2615cは、導電性プルーフマス2410cを分離フレーム2910に接続し、導電性プルーフマス2410cをx軸にそって並進させることができる。隣接する基材(図示せず)上に配設されている電極は、1つまたは複数のスロット2420bの移動によって引き起こされる静電容量の変化に応じてx軸にそった加速度を検出することができる。
【0171】
分離フレーム2910は、アンカリングフレーム2915内に配設することができる。屈曲部2620cは、分離フレーム2910をアンカリングフレーム2915に接続し、分離フレーム2910および導電性プルーフマス2410cをy軸にそって移動させることができる。隣接する基材(図示せず)上に配設されている電極は、1つまたは複数のスロット2420aの移動によって引き起こされる静電容量の変化に応じてy軸にそった加速度を検出することができる。
【0172】
ピボット2515bは、アンカリングフレーム2915を基材2401(
図29には示されていない)に接続することができる。モーメントの不平衡は、ピボット2515bの一方の側上に加速度計2600cの大部分を製作することによって生じている。z軸にそって加速度が生じると、加速度計2600cは基材2401上の電極2405gに向かって、または電極2405gから遠ざかるように回転する。この回転により、
図25および27を参照しつつ上で説明されているように、電極2405gにおける静電容量がΔCだけ増大または減少する。回転により、ΔCに比例する対応する平面外加速度出力信号が結果として得られる。応力分離スリット2720aは、膜、基材、および/またはパッケージ内の応力に対する加速度測定の感度を減じる働きをしうる。
【0173】
いくつかの加速度計の実装は、損傷を引き起こす可能性のある行程超過および張り付きからプルーフマスおよび隣接する構造物を保護するためにプルーフマスおよび/または屈曲部の運動に限界を設けるメッキされたストッパーを備えることを特徴とする。例えば、
図28を参照すると、加速度計2400aの周の基材2401上に支柱を製作して、加速度計2400aのxおよび/またはy変位を制限しうることがわかる。同様の構造物を加速度計2500aの下に形成して、加速度計2500aが電極2405c、電極2405d、または基材2101に接触するのを防ぎうる。このような実装は、これにより、信頼性および衝撃耐性を改善する。これらの特徴は、プルーフマスおよび屈曲部を製作するために使用されるのと同じフォトリソグラフィおよびメッキプロセスで製作されうる。
【0174】
図30は、加速度計またはジャイロスコープを形成するために使用されうるさまざまな材料によって使用可能になる相対感度を示すグラフである。グラフ3000に示されている相対感度は、シリコンから作られたセンサーの感度に合わせて正規化された、トポロジーは同一であるが、材質が異なるセンサーの理論的比較結果に基づく。曲線3005から、同じ設計を有するデバイスに対して、2つのデバイスの寸法が同じであると仮定すると、メッキされたニッケル合金を構造材料として使用すると、シリコンを構造材料として使用する場合に比べてほぼ3倍の感度が得られることがわかる。グラフ3000のデータ点は、プルーフマスおよび屈曲部に同じ材料が使用されるという仮定に基づいている。波の速さは、(ヤング率/質量密度)の平方根として定義される。ヤング率が低いと、与えられた慣性力に対する変位は大きくなるが、質量密度が高いと、与えられた加速度に対する慣性力が大きくなる。
【0175】
図31Aは、櫛歯型加速度計の一例を示している。櫛歯型加速度計は、交互嵌合型コンデンサ加速度計または櫛歯型駆動加速度計としても知られている。櫛歯型加速度計3100は、部材3102aおよび3102bを含み、その上に電極「櫛歯」3105aおよび3105bがそれぞれ配設される。この例では、部材3102aは、x軸にほぼそって移動するように制約される可動部材である。部材3102aが静止している部材3102bの方へ移動すると、櫛歯3105aと3105bとの間のオーバーラップが増大する。したがって、正のx方向の部材3102aの運動の結果、櫛歯3105aと3105bとの間の静電容量が増大する。
【0176】
図31Bは、櫛歯型駆動およびSLOTベースの加速度計の性能を示すグラフである。犠牲ギャップの高さおよびプルーフマスの厚さの変更の、容量性SLOTおよび櫛歯型ベースの加速度計の感度に対する相対的効果は、
図31Bにおいて観察されうる。曲線3115は、差し込み
図3155の櫛歯型ベースの加速度計に対応するが、曲線3120は、差し込み
図3160の櫛歯型ベースの加速度計に対応する。差し込み
図3155および3160は、櫛歯型ベースの加速度計の断面図を示しており、櫛歯は基材の上に示されている。差し込み
図3155および3160は、櫛歯3105aおよび3105bの寸法および間隔の例も示している。曲線3125は、差し込み
図3165のSLOTベースの加速度計に対応し、曲線3130は、差し込み
図3170のSLOTベースの加速度計に対応する。
【0177】
その結果得られるグラフ3110は、開示されているSLOTトランスデューサのトポロジーが高アスペクト比の構造的特徴の必要がなくても高感度を可能にできることを示している。さらに、SLOTベースの加速度計の実装では、特徴の大きさが大きい櫛歯型駆動デバイスに勝る効率が得られる。水平軸上に示されている最小の横方向の特徴の大きさは、櫛歯型加速度計の場合の櫛歯の幅および間隔ならびにSLOTベースの加速度計の場合のスロットの幅を指す。垂直軸上の特定のスケール係数は、プルーフマスの100nmの横方向並進に応答して生じる加速度計の単位面積当たりの静電容量の変化を指す。比較的大きな最小の横方向の特徴の大きさ(ここで、最小の横方向の特徴の大きさは6ミクロンより大きい)については、SLOTベースの加速度計の両方の例がもたらす単位面積当たりの静電容量の変化は、櫛歯型加速度計よりも大きい。1ミクロンのギャップを有するSLOTベースの加速度計では、すべての示されている最小の横方向の特徴の大きさについて単位面積当たりの静電容量の変化は大きくなる。
【0178】
図32は、スルースロットを含む、さまざまな深さのスロットを有するSLOTベースの加速度計の性能を示すグラフであり、このスロットはプルーフマスを完全に貫通している。曲線3205、3210、3215、および3220は、スロットがプルーフマス内に部分的に入り込んでいる、プルーフマスがブラインドスロットを含む、差し込み
図3250に対応している。曲線3205、3210、3215、および3220は、そのようなブラインドスロットの増大する深さに対応している。曲線3225は、プルーフマスがスルースロットを含む、差し込み
図3260に対応している。
【0179】
図32に示されているように、SLOTベースの平面内加速度計のうちのいくつかの性能は、プルーフマス内のスルースロットをブラインドスロットで置き換えることによって向上しうる。プルーフマスを完全に貫通するスロットを、プルーフマスを完全には貫通しないスロットで置き換えることにより、必要なメッキアスペクト比(スロットの高さ対幅の比)を小さくすることができる。プルーフマスの面密度を高くすることで、与えられたセンサー領域に対する感度を改善することができる。したがって、スロットを比較的狭くしても、与えられた領域に対する加速度計の感度を改善することができる。シミュレーション結果から、空気で満たされた溝がプルーフマスと下にある電極との間のギャップの深さの少なくとも2倍である場合に感度(ΔC/Δx)が失われることは本質的に一切ないと判断された。感度は、オプションの溝充填誘電体の誘電率が増大すると減少する。
【0180】
図33は、モバイルデバイスにおける1つまたは複数のジャイロスコープもしくは加速度計の使用を伴う方法3300の段階の概要を示すフロー図の例を示している。いくつかのこのようなモバイルデバイスのコンポーネントについて、
図47Aおよび47Bを参照しつつ以下で説明する。これらのモバイルデバイスは、ディスプレイ、ディスプレイと通信するように構成されているプロセッサ、およびプロセッサと通信するように構成されているメモリデバイスを含みうる。プロセッサは、画像データを処理するように構成されうる。
【0181】
しかし、プロセッサ(および/または別のそのようなコンポーネントもしくはデバイス)は、1つまたは複数の加速度計および/またはジャイロスコープと通信するようにも構成されうる。プロセッサは、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータを処理し、解析するように構成されうる。いくつかの実装では、モバイルデバイスは、直線自由度3および回転自由度3を含む、自由度6に対応する運動に応答する慣性センサーをまとめて備える加速度計およびジャイロスコープを含みうる。
【0182】
ブロック3301では、プロセッサは、通常の表示オペレーションを行うようにディスプレイを制御しうる。角回転または直線加速度が検出されると(ブロック3305)、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータがプロセッサに供給されうる(ブロック3310)。ブロック3315で、プロセッサは、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータに応答するかどうかを判定する。例えば、プロセッサは、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータによって、角回転もしくは直線加速度が加速度の所定の閾値レベルより大きいことが示されない限り、応答を一切行わないと決定しうる。ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータが、所定の閾値より大きい値を示さない場合、プロセッサは、例えば、
図2から5Bを参照しつつ上で説明されているように、通常の表示オペレーションを行うプロシージャに従ってディスプレイを制御しうる。
【0183】
しかし、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータが、所定の閾値より大きい値を示す場合(またはプロセッサが、応答が必要であると別の基準に従って判定した場合)、プロセッサは、少なくとも一部は、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータに従ってディスプレイを制御する(ブロック3320)。例えば、プロセッサは、加速度計のデータに従ってディスプレイの状態を制御しうる。プロセッサは、例えば、モバイルデバイスが落とされたか、または落ちつつあることを加速度計のデータが示すかどうかを判定するように構成されうる。プロセッサは、ディスプレイが落とされたか、または落ちつつあることを加速度計のデータが示すときにディスプレイの状態を制御して損傷を防ぐか、または軽減するようにさらに構成されうる。
【0184】
モバイルデバイスが落とされたことを加速度計のデータが示している場合、プロセッサはまた、そのような加速度計のデータをメモリ内に保存しうる。プロセッサは、モバイルデバイスが落とされたことを加速度計のデータが示すときに加速度計のデータに関連する時刻データを保存するようにも構成されうる。例えば、モバイルデバイスは、ネットワークインターフェースも含みうる。プロセッサは、ネットワークインターフェースを介してタイムサーバーから時刻データを取得するように構成されうる。あるいは、モバイルデバイスは内部クロックを含みうる。
【0185】
あるいは、またはそれに加えて、プロセッサは、加速度計のデータおよび/またはジャイロスコープのデータに従ってゲームのディスプレイを制御するように構成されうる。例えば、加速度計のデータおよび/またはジャイロスコープのデータは、ゲームをしているときの使用者とモバイルデバイスとの相互のやり取りの結果得られうる。使用者の相互のやり取りは、例えば、ディスプレイ上に提示されているゲーム画像に対する応答であってもよい。
【0186】
あるいは、またはそれに加えて、プロセッサは、ジャイロスコープのデータまたは加速度計のデータに従ってディスプレイの向きを制御するように構成されうる。プロセッサは、例えば、使用者がモバイルデバイスを新しいデバイスの向きに回転したと判定し、その新しいデバイスの向きに応じてディスプレイを制御しうる。プロセッサは、モバイルデバイスの異なる部分が上を向いているときに表示されている画像がモバイルデバイスの回転もしくは方向に従ってその向きを変更すべきであると決定しうる。
【0187】
次いで、プロセッサは、プロセス3300が続くかどうかを判定しうる(ブロック3325)。例えば、プロセッサは、使用者がデバイスの電源を切ったかどうか、所定の時間内に使用者の入力がなかったことでデバイスが「スリープモード」に入るべきかどうかなどを判定しうる。プロセス3300が続く場合、プロセス3300は、ブロック3301に戻りうる。そうでない場合、プロセスは、終了する(ブロック3330)。
【0188】
次に、加速度計および関連する装置を製作するためのプロセスの一例を、
図34から40Cを参照しつつ説明することにする。
図34は、加速度計を製作する方法の概要を示すフロー図の一例を示している。
図35Aから39Bは、製作プロセスのさまざまな段階における、基材、加速度計の一部、および加速度計をパッケージングし、加速度計と電気的に接続するための構造物のいくつかの部分を通る断面の例を示している。
図40Aから40Cは、MEMSダイおよび集積回路を含むデバイスを形成するプロセスにおけるさまざまなブロックの断面図の例を示している。
【0189】
図34を参照して、方法3400のいくつかのオペレーションを説明する。方法3400のプロセスフローにより、例えば、MEMSデバイス(または同様のデバイス)を大面積ガラスパネルなどの大面積基材上に形成する能力を有する設備で第1の一組のオペレーションを実行することができる。このような設備は、1100mm×1300mmの基材上にデバイスを製作する能力を有する第5世代生産ライン、または1500mm×1850mmの基材上にデバイスを製作する能力を有する第6世代生産ラインとすることができる。
【0190】
したがって、ブロック3401において、パススルーメタライゼーションおよび加速度計電極が、この例では大面積ガラス基材である、大面積基材上に形成される。ブロック3405において、加速度計および関連する構造物に対する複数の特徴が、大面積基材上に形成される。いくつかの実装では、数十万以上のそのようなデバイスの特徴が、単一の大面積基材上に形成されうる。いくつかの実装では、加速度計およびジャイロスコープは、1辺約1mm未満から1辺3mmまでの範囲の、またはそれ以上のダイ大きさを有しうる。関連する構造物としては、例えば、電極、電気パッド、カプセル封入用の構造物(シールリング構造物など)などを含みうる。このようなプロセスの例について、
図35Aから38Dを参照しつつ以下で説明する。
【0191】
図34のブロック3410において、部分的製作済みの加速度計および他のデバイスをその後の電気メッキプロセスの実行のために準備する。
図38Aを参照しつつ以下で説明されているように、ブロック3410は、ニッケル、ニッケル合金、銅、またはクロム/金などのシード層の成膜、およびその後のメッキのための高アスペクト比リソグラフィ材料の厚い層の形成を伴いうる。
【0192】
方法3400によれば、加速度計および他の構造物は、大面積ガラス基材上に部分的にのみ製作されている。この部分的製作済みである理由の1つは、第4世代または第5世代の基材大きさすら処理することが可能なメッキ設備は今のところわずかしかないことである。しかし、第2世代基材(350mm×450mm)などの、より小さな基材を取り扱うことができるメッキ設備は多数ある。したがって、ブロック3415において、加速度計および他の構造物が部分的製作済みである大面積ガラス基材が、電気メッキプロセスのためにいくつかのサブパネルに分割される。
【0193】
ブロック3420において、電気メッキプロセスを実行する。これらのプロセスは、
図38Bを参照しつつ以下で説明される。電気メッキプロセスは、いくつかの実装では、それぞれの加速度計のプルーフマス、フレーム、アンカー、および他の構造物の金属の大部分を成膜する段階を伴うものとしてよい。次いで、高アスペクト比リソグラフィ材料を取り除き、犠牲材料を取り除いて、それぞれの加速度計のプルーフマスおよびフレームをリリースしうる(ブロック3425)。これらのオペレーションの例について、
図38Cから38Dを参照しつつ以下で説明する。
【0194】
ブロック3430は、オプションの加速度計カプセル封入と、さらには個片切断(例えば、ダイシングによる)および他のプロセスを伴う。いくつかの実装では、方法3400は、集積回路をカプセル封入された加速度計に取り付ける段階、別の基材との電気的接続を形成する段階、成形、および個片切断を伴いうる。これらのプロセスは、
図39Aから40Cを参照しつつ以下で説明される。
【0195】
次に
図35Aを参照して、加速度計を製作するプロセスについてさらに詳しく説明する。
図35Aは、この例ではガラス基材である、大面積基材3505の1つの小さな部分(例えば、数ミリメートルのオーダーの)を通る断面を示す。この段階では、クロム(Cr)/金(Au)層などのメタライゼーション層3510が、大面積基材3505上に成膜されている。Crおよび/またはAuの代わりに、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、ドープシリコン、またはTiWのうちの1つまたは複数などの他の導電性材料を使用しうる。
【0196】
次いで、メタライゼーション層3510のパターン形成およびエッチングを、例えば、
図35Bに示されているように実行しうる。この例では、メタライゼーション層3510の中心部分に対してパターン形成およびエッチングが行われており、加速度計の一部をなす、電極領域3510bを形成している。加速度計および/または他のデバイスは、例えば、メタライゼーション領域3510a間に形成されたキャビティ内に封止されうる。メタライゼーション領域3510aは、そのようなパッケージングの内側からパッケージングの外側への「パススルー」電気的接続部を形成することができる。メタライゼーション領域3510aにより、これらのデバイスとパッケージングの外部にある他のデバイスとの間に電気的接続を形成することもできる。
【0197】
図35Cは、メタライゼーション層3510の上に成膜された誘電体層3515を示している。次いで、SiO
2、SiON、Si
3N
4、または別の好適な誘電体であってもよい、誘電体層3515のパターン形成およびエッチングを行って、開口部3605a、3605b、3605c、および3605dを誘電体層3515を通してメタライゼーション領域3510aまで形成しうる(
図36Aを参照)。
【0198】
図36Bに示されている段階において、メタライゼーション層3610が誘電体層3515上に、また開口部3605a、3605b、3605c、および3605d内に成膜されている。メタライゼーション層3610は、Cr、Au、Al、Ti、Ta、TaN、Pt、Ag、Ni、ドープシリコン、またはTiWなどの適切な導電性材料から形成されうる。
【0199】
次いで、メタライゼーション層3610のパターン形成およびエッチングを、
図36Cに示されているように実行する。その結果、リード領域3615aおよび3615bが誘電体層3515の表面の上に露出され、またメタライゼーション領域3510aと電気的に接続できるように構成される。同様に、加速度計ベース領域3625aおよび3625b(いくつかの実装ではアンカー領域とすることができる)も誘電体層3515の表面の上に残り、メタライゼーション領域3510aと電気的に接続できるように構成される。シールリング領域3620aおよび3620bも、誘電体層3515の表面の上にあってもよいが、メタライゼーション領域3510aに電気的に接続されない。
図36Dに示されている段階では、誘電体層3515は、電極領域3510bから取り除かれている。
【0200】
図37Aは、犠牲層3705が成膜された後の段階を示している。この例では、犠牲層3705は、MoCrから形成されるが、Cuなどの他の材料も、犠牲層3705に使用されうる。
図37Bは、犠牲層3705のパターン形成およびエッチングが行われた後のプロセスの段階を示している。この段階において、リード領域3615aおよび3615b、シールリング領域3620aおよび3620b、ならびに加速度計ベース領域3625aおよび3625bが露出される。犠牲層3705の一部は、電極領域3510bの上に残る。
【0201】
次いで、部分的製作済みの加速度計および関連する構造物を、電気メッキのために準備する。いくつかの実装では、メッキシード層を、上で説明されているように電気メッキプロセスの前に成膜しうる。シード層は、例えば、スパッタリングプロセスによって形成され、ニッケル、ニッケル合金(ニッケル鉄、ニッケルコバルト、またはニッケルマンガンなど)、銅、またはクロム/金から形成されうる。
図38Aに示されているように、フォトレジストなどの高アスペクト比リソグラフィ材料3805の厚い層を、その後金属が電気メッキされない領域の上に形成する。高アスペクト比リソグラフィ材料3805は、フォトマスクを通じて選択的に露光され、現像されて電気メッキプロセスにおいてモールドを通してその後メッキされる金属構造物の形状を画成するモールドを形成することができる。いくつかの実装によれば、高アスペクト比リソグラフィ材料3805の層は、数十ミクロンの厚さ、例えば、10から50ミクロン以上の厚さである。他の実装では、高アスペクト比リソグラフィ材料3805の層は、例えば、加速度計の望ましい構成に応じて厚くすることも、薄くすることもできる。高アスペクト比リソグラフィ材料3805は、Micro−Chem社が提供するKMPR(登録商標)フォトレジストまたはDuPont(登録商標)社が提供するMTF(商標)WBR2050フォトレジストなどのさまざまな市販の高アスペクト比リソグラフィ材料のうちのいずれかとしうる。
【0202】
高アスペクト比リソグラフィ材料3805の厚い層をリード領域3615aおよび3615b、シールリング領域3620aおよび3620b、ならびにまだ残っている犠牲層3705の部分の選択された領域の上に形成することができる。選択された領域は、電気メッキされない犠牲層3705の領域である。ギャップ3810は、加速度計ベース領域3625aおよび3625b、さらには犠牲層3705の上の他の領域を露出する。
【0203】
上述の構造物が部分的形成済みである大面積基材は、電気メッキプロセスの前にいくつかのさらに小さいサブパネルに分割されうる。この例では、大面積ガラス基材はスクライビングされ、割られるが、大面積ガラス基材は、ソーイングまたはダイシングなどによる適切な方法で分割しうる。
【0204】
図38Bは、厚い金属層3815が高アスペクト比リソグラフィ材料3805によって形成された構造物の間の領域内に電気メッキされた後の装置を示している。いくつかの実装では、厚い金属層3815は、数十ミクロンの厚さ、例えば、5から50ミクロンの厚さとしうる。他の実装では、厚い金属層3815は、例えば、加速度計の望ましい構成に応じて厚くすることも、薄くすることもできる。この例では、厚い金属層3815は、ニッケル合金から形成されているが、他の実装では、厚い金属層3815は、メッキされたニッケル、無電解ニッケル、CoFe、Fe系合金、NiW、NiRe、PdNi、PdCo、または他の電気メッキされた材料で形成されうる。いくつかの実装では、もっぱら腐食耐性のために、薄い金層が厚い金属層3815上に成膜されうる。
【0205】
図38Cは、厚い金属層3815の成膜および高アスペクト比リソグラフィ材料3805の除去を示している。高アスペクト比リソグラフィ材料3805を取り除くと、リード領域3615aおよび3615b、シールリング領域3620aおよび3620b、ならびに犠牲層3705の選択された領域が露出する。次いで、犠牲層3705を、例えば、ウェットエッチングプロセスまたはプラズマエッチングプロセスによってエッチングし、例えばモリブデンもしくは、モリクロムの犠牲層にXeF
2を、または銅犠牲層には銅エッチャントを使用して、加速度計3850(
図38Dを参照)の可動領域3840をリリースすることができる。ニッケル合金、Cr、またはAuのエッチングなしでCuを選択的にエッチングするCuのウェットエッチングは、例えば、過酸化水素と酢酸との組み合わせを使用することによって、またはプリント回路基板業界で一般に使用されているアンモニア性Cuエッチャントを使用することによって実行されうる。可動領域3840は、例えば、上で説明されているようなプルーフマスおよび/またはフレームを含みうる。加速度計3850の動作中に、ギャップ3860の運動は、電極3510bによって検出される静電容量の変化を誘起しうる。
【0206】
図39Aは、一例によるその後のカプセル封入プロセスの結果を示している。ここで、加速度計3850をカプセル封入するために、カバー3905がシールリング領域3620aおよび3620bに取り付けられている。いくつかの実装では、カバー3905は、ガラス製カバー、金属製カバーなどであってよい。カバー3905は、別の基材上に形成された複数のカバーのうちの1つとすることができる。この例では、カバーは、加速度計3850の周りにエンクロージャを形成することができる複数のカバー部分3905aを含む。この例では、カバー部分3905aは、カバー領域3905bによって接続される。カバー部分3905は、例えば、ハンダ付けもしくは共晶接合プロセスによって、またはエポキシなどの接着剤によってシールリング領域3620aおよび3620bに取り付けられうる。いくつかの実装では、カバー部分3905aは、加速度計3850を完全に取り囲みうるが、他の実装では、カバー部分3905aは、加速度計3850を部分的にのみ取り囲みうる。この例では、リード領域3615aおよび3615bはカバー3905によってカプセル封入された領域の外側に残り、これにより、加速度計3850に容易に電気的に接続することができる。
【0207】
いくつかの実装では、カバー3905の一部分を取り除いてもよい。例えば、カバー領域3905bの少なくとも一部は、リード領域3615aおよび3615bへのアクセスがしやすくなるように(例えば、ダイシングプロセスによって)取り除きうる(
図39Bを参照)。その結果得られるカプセル封入された加速度計3910の厚さも、必要ならば縮小しうる。この例では、化学機械平坦化(CMP)プロセスを使用して、基材3505を薄くしている。いくつかの実装では、カプセル封入された加速度計3910の全体的厚さを、1mm未満、より具体的には0.7mm以下に薄くしうる。その結果得られるカプセル封入された加速度計3910は、例えばダイシングによって、個片切断されうる。
【0208】
図40Aは、カプセル封入された加速度計3910と集積回路4005とを組み合わせ、両方のデバイスを、この例ではプリント基板である、別の基材4015に取り付けることによって形成される装置を示している。この図示では、集積回路4005は、ハンダ付けプロセス(ハンダ層4010を参照)によってカプセル封入された加速度計3910に取り付けられる。同様に、カプセル封入された加速度計3910は、ハンダ付けプロセス(ハンダ層4020を参照)によって基材4015に取り付けられる。あるいは、エポキシなどの接着剤によって、集積回路4005を加速度計3910に取り付けうる。
【0209】
図40Bは、集積回路4005とカプセル封入された加速度計3910との間、ならびにカプセル封入された加速度計3910と基材4015との間を電気的に接続するために使用される、ワイヤボンド4025を示している。代替的実装では、カプセル封入された加速度計3910は、表面実装によって電気的接続部を形成するように構成された基材3905を通るビアを含みうる。
【0210】
図40Cに示されている段階において、集積回路4005およびカプセル封入された加速度計3910は、ポリマーなどの誘電体材料、液晶性ポリマー(LCP)などの射出成形材料、SiO2、またはSiONであってよい、保護材料4030でカプセル封入されている。この例では、基材4015は、プリント基板または他の装置上に搭載されるように構成された電気的コネクタ4035を含む。したがって、その結果得られるパッケージ4040は、表面実装技術で使用できるように構成されている。
【0211】
次に、ジャイロスコープおよび関連する装置を製作するためのプロセスの一例を、
図41から46Bを参照しつつ説明することにする。
図41は、ジャイロスコープおよび関係する構造物を製作するプロセスの概要を示すフロー図の例を示している。
図42Aから46Bは、
図41に概要が示されているプロセスのさまざまな段階における、基材、ジャイロスコープの一部、およびジャイロスコープをパッケージングし、ジャイロスコープと電気的に接続するための構造物のいくつかの部分を通る断面図の例を示している。
【0212】
図41を参照して、方法4100のいくつかのオペレーションを説明する。方法4100のプロセスフローにより、MEMSおよび同様のデバイスを大面積ガラスパネルなどの大面積基材上に形成する能力を有する設備で第1の一組のオペレーションを実行することができる。このような設備は、例えば、第5世代生産ラインまたは第6世代生産ラインでありうる。したがって、ブロック4105において、多数のジャイロスコープの特徴および関連する構造物が、大面積基材上に形成される。例えば、数十万以上のそのような構造物を大面積基材上に製作することが可能である。関連する構造物は、例えば、電極、電気パッド、カプセル封入用の構造物(シールリング構造物など)などを含みうる。このようなプロセスの例について、
図42Aから44Bを参照しつつ以下で説明する。
【0213】
図41のブロック4110において、部分的製作済みのジャイロスコープおよび他のデバイスをその後の電気メッキプロセスの実行のために準備する。
図44Bおよび44Cを参照しつつ以下で説明されているように、ブロック4110は、メッキシード層の成膜、およびフォトレジストなどの高アスペクト比リソグラフィ材料の厚い層の形成を伴いうる。
【0214】
方法4100によれば、ジャイロスコープおよび他の構造物は、大面積ガラス基材上に部分的にのみ製作されている。この部分的製作済みである理由の1つは、第4世代または第5世代の基材大きさを処理することが可能なメッキ設備は今のところわずかしかないことである。しかし、第2世代基材などの、より小さな基材を取り扱うことができるメッキ設備は多数ある。したがって、ブロック4115において、ジャイロスコープおよび他の構造物が部分的製作済みである大面積ガラス基材が、電気メッキプロセスのためにいくつかのサブパネルに分割される。
【0215】
ブロック4120において、電気メッキプロセスを実行する。これらのプロセスは、
図45Aを参照しつつ以下で説明される。電気メッキプロセスは、いくつかの実装では、それぞれのジャイロスコープのプルーフマス、フレーム、および他の構造物の金属の大部分を成膜する段階を伴うものとしてよい。次いで、高アスペクト比リソグラフィ材料を取り除き、犠牲材料を取り除いて、それぞれのジャイロスコープのプルーフマスおよびフレームをリリースしうる(ブロック4125)。これらのオペレーションの例について、
図45Bから46Aを参照しつつ以下で説明する。
【0216】
ブロック4130は、ジャイロスコープカプセル封入と、さらには個片切断(例えば、ダイシングによる)および他のプロセスを伴いうる。これらのプロセスは、
図46Bを参照しつつ以下で説明される。
【0217】
図42Aは、この例ではガラス基材である、大面積基材4200を通る断面を示す。大面積ガラス基材4200は、この上に成膜される、この例ではCr/Au層である、メタライゼーション層4205を有する。クロムおよび/または金の代わりに、Al、TiW、Pt、Ag、Ni、Co、Fe、またはMnとのニッケル合金、Ti/Au、Ta/Au、またはドープシリコンなどの他の導電性材料を使用しうる。メタライゼーション層4205のパターン形成およびエッチングを、例えば、
図42Aに示されているように実行しうる。メタライゼーション層4205は、シールリングの内側からシールリングの外側への「パススルー」電気的接続部を形成するために使用することができる。ジャイロスコープおよび/または他のデバイスは、例えば、パッケージングの内側のキャビティ内に封止されうる。メタライゼーション層4205により、これらのデバイスとパッケージングの外部にある他のデバイスとの間に電気的接続を形成することもできる。
【0218】
図42Bは、メタライゼーション層4205の上に成膜されたSiO
2、SiON、または他の誘電体材料などの誘電体層4215を示している。次いで、誘電体層4215をエッチングして、誘電体層4215を通りメタライゼーション層4205に達する開口部4220a、4220b、および4220cを形成しうる。
【0219】
図42Cは、犠牲層4225が成膜された後の段階を示している。この例では、犠牲層4225は、MoCrから形成されるが、銅または成膜された非晶質もしくは多結晶シリコンなどの他の材料も、犠牲層4225に使用されうる。
図42Dは、犠牲層4225のパターン形成およびエッチングが行われた後に残っている犠牲層4225の領域を示している。
【0220】
図43Aは、誘電体層4305が犠牲層4225上に成膜された後の段階を示している。さらに、誘電体層4305は、パターン形成およびエッチングが済んでいる。
図43Bでは、次いで、メタライゼーション層4310が成膜され、パターン形成され、エッチングされる。この例では、メタライゼーション層4310は、アンカー領域4315内のメタライゼーション層4205と接触している。
【0221】
図43Cには、成膜され、パターン形成され、エッチングされた圧電膜4320の一例が示されている。この例では、圧電膜4320は、窒化アルミニウムから形成されるが、ZnOまたはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの他の圧電性材料を使用しうる。
図43Dでは、メタライゼーション層4325が成膜され、パターン形成され、エッチングされる。ここで、メタライゼーション層4325は、実装に応じて、圧電駆動電極または圧電感知電極とすることができる、電極4330の最上層を形成する。
【0222】
図44Aには、成膜され、パターン形成され、エッチングされた誘電体層4405の一例が示されている。この段階で、誘電体層4405は、アンカー領域4315および電極4330に隣接する領域を除き、
図44Aに示されている大半の領域から取り除かれる。
【0223】
この段階で、部分的製作済みジャイロスコープコンポーネントおよび関連する構造物を1つまたは複数の電気メッキプロセスのために準備することができる。
図44Bは、電気メッキプロセスの前に成膜することができるニッケル、ニッケル合金、銅、またはクロム/金などのメッキシード層4405の一例を示している。
図44Cに示されているように、メッキシード層4405が成膜された後、厚いフォトレジストなどの高アスペクト比リソグラフィ材料4410の厚い層を、プルーフマス領域4415とフレーム領域4420との間に形成することができる。いくつかの実装によれば、高アスペクト比リソグラフィ材料4410の層は、数十ミクロンの厚さ、例えば、40から50ミクロンの厚さである。他の実装では、高アスペクト比リソグラフィ材料4410の層は、例えば、ジャイロスコープの望ましい構成に応じて厚くすることも、薄くすることもできる。高アスペクト比リソグラフィ材料4410は、Micro−Chem社が提供するKMPR(登録商標)フォトレジストまたはDuPont(登録商標)社が提供するMTF(商標)WBR2050フォトレジストなどのさまざまな市販の高アスペクト比リソグラフィ材料のうちのいずれかとしうる。高アスペクト比リソグラフィ材料4410の厚い層は、フレーム領域4420とシールリング領域4425との間に、さらにはシールリング領域4425と電気パッド領域4430との間に形成することもできる。高アスペクト比リソグラフィ材料4410は、好適なフォトマスクを使って露光され、現像されて、その後形成される電気メッキされた金属構造物の形状を画成しうる。
【0224】
上で指摘されているように、上述の構造物が部分的形成済みである大面積基材は、電気メッキプロセスの前にさらに小さいサブパネルに分割されうる。この例では、大面積ガラス基材はスクライビングされ、割られるが、大面積ガラス基材は、(ダイシングなどによる)適切な方法で分割しうる。
【0225】
図45Aに示されているように、厚い金属層4505が高アスペクト比リソグラフィ材料4410の間の領域内に電気メッキされうる。この例では、厚い金属層4505は、ニッケル合金から形成されているが、他の実装では、厚い金属層4505は、ニッケルまたはコバルト鉄、ニッケルタングステン、パラジウムニッケル、またはパラジウムコバルトなどの他のメッキされた金属合金から形成されうる。ここで、もっぱら厚い金属層4505の腐食耐性のために、薄い金層4510が厚い金属層4505上に成膜される。金層4510も、電気メッキプロセスによって形成されうる。
【0226】
図45Bに示されているように、これらの金属層が成膜された後、高アスペクト比リソグラフィ材料4410を厚い金属層4505が成膜されている領域の間から取り除くことができる。高アスペクト比リソグラフィ材料4410を取り除くことで、その後犠牲材料4225を露出させるためにエッチングで取り去りうる、シード層4405の部分が露出される。
図46Aは、プルーフマス4605およびフレーム4610をリリースするために、例えば、ウェットエッチングプロセスまたはプラズマエッチングプロセスによってエッチングされる犠牲材料4225を示している。
【0227】
図46Bは、一例によるカプセル封入プロセスの結果を示している。ここで、ジャイロスコープ4625をカプセル封入するために、カバー4615がシールリング4620に取り付けられている。いくつかの実装では、カバー4615は、ガラス製カバー、金属製カバーなどであってよい。カバー4615は、例えば、ハンダ付けプロセスまたはエポキシなどの接着剤によってシールリング4620に取り付けられうる。電気パッド4630は、カバー4615によってカプセル封入された領域の外側に残り、これにより、メタライゼーション層4205を介してジャイロスコープ4625に容易に電気的に接続することができる。
【0228】
この例の製造プロセスの結果製作されるジャイロスコープ4625は、例えば、
図12に示され、上で説明されている駆動フレームx軸ジャイロスコープ1200に対応するものとしてよい。ジャイロスコープ4625のアンカー4635は、
図12に示されている中心アンカー1205と対応しうる。電極4330は、
図12に示されている駆動電極1215と対応しうる。プルーフマス4605は、
図12の駆動フレーム1210と対応しうるが、フレーム4610は、
図12のプルーフマス1220と対応しうる。
【0229】
別の例として、ジャイロスコープ4625は、
図20Aおよびこれ以降の図に示されているz軸ジャイロスコープ2000と対応しうる。ジャイロスコープ4625のアンカー4635は、
図20Aおよびそれ以降の図に示されている中心アンカー2005と対応しうる。電極4330は、感知電極2020a〜dのうちの1つと対応しうる。プルーフマス4605は、
図20Aの感知フレーム2010と対応しうるが、フレーム4610は、
図20Aの駆動フレーム2030と対応しうる。
【0230】
ジャイロスコープおよび加速度計を製作するプロセスは、別々に説明されているけれども、多数の両方のタイプのデバイスを、そうする必要があれば同じ大面積基材上に形成してもよい。本明細書で説明されている加速度計は、例えば、ジャイロスコープを製作するためのプロセスのサブセットを使用することによって形成されうる。例えば、本明細書で説明されている加速度計は、圧電駆動電極もしくは圧電感知電極を必要としない。したがって、そのような加速度計を製作するときには、圧電層は不要である。加速度計およびジャイロスコープが同じ大面積基材上に製作されている場合、加速度計部分は、圧電層が成膜され、パターン形成され、エッチングされるときにマスクから外されうる。
【0231】
いくつかの実装では、本明細書で説明されているジャイロスコープおよび加速度計は、これらの製作するために異なる厚さの犠牲材料を使用しうる。例えば、加速度計の電極とプルーフマスとの間のギャップを、いくつかの実装では、プルーフマスとジャイロスコープのメタライゼーション層との間のギャップより大きくしうる。銅を犠牲材料として使用するいくつかの実装では、犠牲層の厚さのこの違いは、加速度計が製作される領域のみの銅シード層上に銅をメッキすることによって生じうる。
【0232】
いくつかのジャイロスコープの実装では、ジャイロスコープを真空中でカプセル封入しうるが、加速度計は、真空中でカプセル封入する必要はない。いくつかの実装では、カプセル封入された加速度計内にガスを入れる段階は、減衰をもたらすので、実際に有益な場合がある。したがって、いくつかの実装では、ジャイロスコープと加速度計の両方を大面積基材上に製作するときに、2つの異なるカプセル封入プロセスを使用しうる。一方のカプセル封入プロセスをほぼ真空中で実行しうるが、他のプロセスは、真空中で実行されない。他の実装では、単一のカプセル封入プロセスをほぼ真空中で実行しうる。カプセル封入された加速度計は、このプロセスにおいて部分的に開かれたままにされうるので、ガスは、その後、カプセル封入された加速度計のパッケージング内に入る可能性がある。加速度計のパッケージングは、そうする必要があればその後のプロセスで(例えば、ハンダで)完全に閉じることも可能である。
【0233】
図47Aおよび47Bは、複数の干渉変調器を含む表示デバイス40を示すシステムブロック図の例を示している。例えば、表示デバイス40は、セルラー方式電話または携帯電話とすることができる。しかし、表示デバイス40の同じコンポーネントまたはそのわずかに異なる変更形態は、テレビ、電子書籍リーダー、およびポータブルメディアプレーヤーなどのさまざまな種類の表示デバイスをも示している。
【0234】
表示デバイス40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカー45、入力デバイス48、およびマイクロホン46を含む。ハウジング41は、射出成形および真空成形を含む、さまざまな製造プロセスのどれかで形成することができる。それに加えて、ハウジング41は、限定はしないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはこれらの組み合わせを含む、さまざまな材料のいずれかで作りうる。ハウジング41は、異なる色の、または異なるロゴ、画像、もしくはシンボルを含む、他の取り外し可能な部分と交換しうる取り外し可能な部分(図示せず)を含むことができる。
【0235】
ディスプレイ30は、本明細書で説明されているように、双安定またはアナログディスプレイを含む、さまざまなディスプレイのうちのどれであってもよい。ディスプレイ30は、プラズマ、EL、OLED、STN LCD、またはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、またはCRTもしくは他の真空管デバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含むように構成することもできる。それに加えて、ディスプレイ30として、本明細書で説明されているように、干渉変調器ディスプレイを含むことができる。
【0236】
表示デバイス40のコンポーネントが、
図47Bに概略として示されている。表示デバイス40は、ハウジング41を含み、少なくとも中に部分的に封入されている追加のコンポーネントを含むことができる。例えば、表示デバイス40は、送受信部47に結合された、アンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含む。送受信部47は、プロセッサ21に接続され、プロセッサは調整用ハードウェア52に接続される。調整用ハードウェア52は、信号を調整するように構成されうる(例えば、信号のフィルタリングを行う)。調整用ハードウェア52は、スピーカー45およびマイクロホン46に接続される。プロセッサ21はまた、入力デバイス48およびドライバコントローラ29にも接続される。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28およびアレイドライバ22に結合され、さらにディスプレイアレイ30に結合される。電源50は、特定の表示デバイス40の設計により必要に応じてすべてのコンポーネントに電力を供給することができる。
【0237】
ネットワークインターフェース27は、アンテナ43および送受信部47を含み、表示デバイス40は、ネットワークを介して1つまたは複数のデバイスと通信することができる。ネットワークインターフェース27は、例えば、プロセッサ21のデータ処理要件を緩和するいくつかの処理能力を有していてもよい。アンテナ43は、信号の送受信を行うことができる。いくつかの実装では、アンテナ43は、IEEE 16.11(a)、(b)、もしくは(g)を含む、IEEE 16.11規格、またはIEEE 802.11a、b、g、もしくはnを含む、IEEE 802.11規格に従ってRF信号の送受信を行う。いくつかの他の実装では、アンテナ43は、BLUETOOTH規格に従ってRF信号の送受信を行う。携帯電話の場合、アンテナ43は、符号分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Global System for Mobile communications(GSM)、GSM/General Packet Radio Service(GPRS)、Enhanced Data GSM Environment(EDGE)、Terrestrial Trunked Radio(TETRA)、広帯域CDMA(W−CDMA)、Evolution Data Optimized(EV−DO)、lxEV−DO、EV−DO Rev A、EV−DO Rev B、高速パケットアクセス(HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、発展型高速パケットアクセス(HSPA+)、ロングタームエボリューション(LTE)、AMPS、または3Gまたは4G技術を使用するシステムなど、ワイヤレスネットワーク内で通信するために使用される他の知られている信号を受信するように設計されている。送受信部47は、プロセッサ21によって受信され、さらに操作されうるようにアンテナ43から受信された信号を前処理することができる。送受信部47は、アンテナ43を介して表示デバイス40から送信されうるようにプロセッサ21から受信された信号を処理することができる。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27を介して、例えばタイムサーバーから、時刻データを取得するように構成されうる。
【0238】
いくつかの実装では、送受信部47は、受信部で置き換えることができる。それに加えて、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21に送信される画像データを格納または生成することができる、画像ソースで置き換えることができる。プロセッサ21は、表示デバイス40の全体的オペレーションを制御することができる。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27または画像ソースから圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを処理して、未加工画像データに、または未加工画像データに容易に処理できるフォーマットにする。プロセッサ21は、処理されたデータをドライバコントローラ29に、またはフレームバッファ28に送信して、格納することができる。未加工データは、典型的には、画像内の任意の位置における画像特性を識別する情報のことである。例えば、このような画像特性としては、色、彩度、およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0239】
プロセッサ21は、マイクロコントローラ、CPU、または論理ユニットを含み、表示デバイス40のオペレーションを制御することができる。調整用ハードウェア52は、信号をスピーカー45に送り、マイクロホン46から信号を受信するための増幅器およびフィルターを含むものとしてよい。調整用ハードウェア52は、表示デバイス40内のディスクリートコンポーネントであってよく、またはプロセッサ21もしくは他のコンポーネント内に組み込まれうる。
【0240】
いくつかの実装では、表示デバイス40は、1つまたは複数のジャイロスコープおよび/または加速度計75を含むものとしてよい。このようなジャイロスコープおよび/加速度計75は、例えば、ほぼ本明細書で説明されているとおりのものでよく、また本明細書で説明されているプロセスに従って製作されうる。ジャイロスコープおよび/または加速度計75は、ジャイロスコープのデータまたは加速度計のデータをプロセッサ21に供給するために、プロセッサ21と通信するように構成されうる。したがって、表示デバイス40は、ジャイロスコープのデータおよび/または加速度計のデータの使用に関係する上述の方法のうちのいくつかを実行することができるものとしてよい。さらに、そのようなデータは、表示デバイス40のメモリ内に格納されうる。
【0241】
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21から、またはフレームバッファ28から直接的にプロセッサ21によって生成された未加工画像データを受け取り、アレイドライバ22への送信の高速化のためその未加工画像データを適宜再フォーマットすることができる。いくつかの実装では、ドライバコントローラ29は、未加工画像データを、ラスター方式と同様のフォーマットを有するデータフローに再フォーマットし、ディスプレイアレイ30上の走査に適した時間順序を有するようにできる。次いで、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送信する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、スタンドアロンの集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に関連付けられることが多いけれども、そのようなコントローラは、多くの方法で実装されうる。例えば、コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21内に埋め込まれるか、またはソフトウェアとしてプロセッサ21内に埋め込まれるか、またはアレイドライバ22とともにハードウェア内に完全に集積化されうる。
【0242】
アレイドライバ22は、ドライバコントローラ29からフォーマットされた情報を受け取り、ビデオデータを、毎秒何回もディスプレイの画素のx−yマトリクスから来る数百およびときには数千(またはそれ以上)ものリードに印加される並列の一組の波形に再フォーマットすることができる。
【0243】
いくつかの実装において、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書で説明されている種類のディスプレイのどれにも適したものである。例えば、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(例えば、IMODコントローラ)とすることができる。それに加えて、アレイドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(例えば、IMODディスプレイドライバ)とすることができる。さらに、ディスプレイアレイ30は、従来のディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(例えば、IMODのアレイを含むディスプレイ)とすることができる。いくつかの実装では、ドライバコントローラ29は、アレイドライバ22と一体化することが可能である。このような実装は、携帯電話、腕時計、および他の小面積のディスプレイなどの集積度の高いシステムにおいて一般的なものである。
【0244】
いくつかの実装では、入力デバイス48は、例えば、使用者が表示デバイス40のオペレーションを制御することができるように構成することができる。入力デバイス48として、QWERTYキーボードまたは電話用キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、ロッカー、タッチスクリーン、または感圧もしくは感熱メンブレンを含むことができる。マイクロホン46は、表示デバイス40用の入力デバイスとして構成することができる。いくつかの実装では、マイクロホン46を通じての音声コマンドを、表示デバイス40のオペレーションの制御に使用することができる。
【0245】
電源50は、当技術分野で知られているようなさまざまなエネルギー蓄積デバイスを含むものとしてよい。例えば、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池であるものとしてよい。電源50は、再生可能エネルギー源、コンデンサ、またはプラスチック太陽電池もしくは太陽電池塗料を含む太陽電池であるものとしてよい。電源50は、壁コンセントから電力を受けるようにも構成することができる。
【0246】
いくつかの実装では、電子表示システム内の複数の場所に配置することができるドライバコントローラ29に、制御プログラム機能が備えられる。いくつかの他の実装では、アレイドライバ22に、制御プログラム機能が備えられる。上述の最適化は、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントで、及びさまざまな構成により実装されうる。
【0247】
本明細書で開示されている実装に関して説明されているさまざまな例示的な論理機能、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムプロセスは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組み合わせとして実装されうる。ハードウェアとソフトウェアの交換可能性は、機能性に関して一般的に説明されており、また上述のさまざまな例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびプロセスにおいて示されている。このような機能がハードウェアまたはソフトウェアで実装されるかどうかは、特定の応用例とシステム全体に課される設計制約とによって決まる。
【0248】
本明細書で開示されている態様に関して説明されているさまざまな例示的な論理回路、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングルまたはマルチチッププロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または本明細書で説明されている機能を実行するように設計されているこれらの任意の組み合わせにより実装または実行されうる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであるか、または、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、もしくは状態機械であってよい。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または他のそのような構成としても実装されうる。いくつかの実装では、特定のプロセスおよび方法は、与えられた機能専用の回路によって実行されうる。
【0249】
1つまたは複数の態様において、説明されている機能は、本明細書において開示されている構造およびその構造上同等のものを含む、ハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで実装されうる。本明細書で説明されている発明対象の実装は、1つまたは複数のコンピュータプログラム、つまり、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置のオペレーションを制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令からなる1つまたは複数のモジュールとして実装することもできる。
【0250】
本明細書で開示されている実装に関して説明されているさまざまな例示的な論理機能、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムプロセスは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組み合わせとして実装されうる。ハードウェアとソフトウェアの交換可能性は、機能性に関して一般的に説明されており、また上述のさまざまな例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびプロセスにおいて示されている。このような機能がハードウェアまたはソフトウェアで実装されるかどうかは、特定の応用例とシステム全体に課される設計制約とによって決まる。
【0251】
本明細書で開示されている態様に関して説明されているさまざまな例示的な論理回路、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングルまたはマルチチッププロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または本明細書で説明されている機能を実行するように設計されているこれらの任意の組み合わせにより実装または実行されうる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであるか、または、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、もしくは状態機械であってよい。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または他のそのような構成としても実装されうる。いくつかの実装では、特定のプロセスおよび方法は、与えられた機能専用の回路によって実行されうる。
【0252】
1つまたは複数の態様において、説明されている機能は、本明細書において開示されている構造およびその構造上同等のものを含む、ハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで実装されうる。本明細書で説明されている発明対象の実装は、1つまたは複数のコンピュータプログラム、つまり、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置のオペレーションを制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令からなる1つまたは複数のモジュールとして実装することもできる。
【0253】
ソフトウェアで実装された場合、これらの機能は、コンピュータ可読媒体上で1つまたは複数の命令もしくはコードとして格納または送信されうる。本明細書で開示されている方法またはアルゴリズムのプロセスは、コンピュータ可読媒体上に置くことができるプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュールで実装されうる。コンピュータ可読媒体は、一方の場所から他方の場所にコンピュータプログラムを転送するために使用可能にできる媒体を含むコンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされうる利用可能な媒体であるものとしてよい。例えば、限定はしないが、このようなコンピュータ可読媒体として、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶デバイス、または命令またはデータ構造体の形態で所望のプログラムコードを格納するために使用されうる、またコンピュータによってアクセスされうる他の媒体を含みうる。また、任意の接続を、コンピュータ可読媒体と呼んでも差し支えない。本明細書で使用されているような、「Disk」と「Disc」(両方とも日本語ではディスク)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクを含み、「Disk」は通常磁気的にデータを再現し、「Disc」はレーザーを使って光学的にデータを再現する。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に収まらなければならない。それに加えて、方法またはアルゴリズムのオペレーションは、コンピュータプログラム製品に組み込まれうる、機械可読媒体およびコンピュータ可読媒体上にコードおよび命令のうちの一方または組み合わせまたはセットとして常駐することができる。
【0254】
本開示において説明されている実装に対するさまざまな修正は、当業者であればたやすく理解できるであろうし、また本明細書で定義されている一般原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実装にも適用することができる。そのため、本開示は、本明細書に示されている実装に限定されることを意図されておらず、本明細書で開示されている請求項、原理、および新規性のある特徴と一致する最も広い範囲を適用されるべきである。「例示的な」という単語は、本明細書では、もっぱら「一例、事例、または例示として使用する」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的な」と記述されている実装は、必ずしも、他の実装よりも好ましいか、または有利であると解釈されるものではない。それに加えて、当業者であれば、「上(側)」および「下(側)」という用語は、図の説明をしやすくするために使用されることがあり、適切に向き付けられたページ上の図の向きに対応する相対的位置を示し、IMOD(または他のデバイス)の適切な向きを実装されているとおりに反映しているとは限らないことを直ちに理解するであろう。
【0255】
別々の実装の背景状況において本明細書で説明されているいくつかの特徴も、単一の実装において組み合わせて実装することができる。逆に、単一の実装の背景状況において説明されているさまざまな特徴は、複数の実装で別々に、または好適な部分的組み合わせで、実装することも可能である。さらに、上ではいくつかの特徴を特定の組み合わせで動作するものとして説明することができ、さらには最初にそのようなものとして請求されうるが、請求されている組み合わせから得られる1つまたは複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから切り取られ、また請求された組み合わせは、部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変更形態を対象とするものとすることもできる。
【0256】
同様に、オペレーションは図面内に特定の順序で示されているが、これは、そのようなオペレーションが図示されている特定の順序で、または順番に実行されること、または例示されているオペレーションが、望ましい結果が得られるように実行されることを要求していると理解されるべきではない。さらに、図面は、フロー図の形態でもう1つの例示的なプロセスを概略として示すことができる。しかし、図示されていない他のオペレーションを、概略として示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加のオペレーションを、例示されているオペレーションのどれかの前に、後に、同時に、または間に実行することができる。いくつかの状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利な場合もある。さらに、上述の実装においてさまざまなシステムコンポーネントが分離しているが、すべての実装においてそのような分離が必要とされていると理解されるべきではなく、また説明されているプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的に、単一のソフトウェア製品に一体化されうるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージングされうることは理解されるであろう。さらに、他の実装が以下の請求項の範囲内に収まる。いくつかの場合において、請求項に記載の動作は、異なる順序で実行することができ、それでも、所望の結果が得られる。