(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
  ある種の電子回路は過電圧あるいは低電圧の条件にさらされる。過電圧あるいは低電圧の状態には、例えば、物体あるいは身体から電子装置への電荷の急激な放出により発生する静電気放電(ESD)事象を含むことができる。そのような過電圧あるいは低電圧の状態は、電子回路を破損しあるいは不都合に回路の作動に影響を与える。過電圧あるいは低電圧の状態から電子回路に保護を提供するために様々な保護回路が開発されてきている。
【0003】
  図1を参照して、内部回路を保護するための内部回路および電圧保護回路を含む従来のシステムについて説明する。図示したシステム100は、増幅器回路110、電圧保護回路120、第1ノードN1、および第2ノードN2といった内部回路を含んでいる。増幅器回路110は、第1ノードN1、電圧保護回路120、および第2ノードN2を介して入力電圧信号V
INを受け取るように構成された入力部を含んでいる。
【0004】
  電圧保護回路120は、入力電圧信号V
INが選択された範囲内にある通常動作の間に、例えばレール電圧間で、入力電圧信号V
INを伝達する役目をする。(入力電圧信号V
INが選択された範囲外となる)過電圧あるいは低電圧の状態が生じると、電圧保護回路120は、入力電圧信号V
INを減少させ、あるいは増幅器回路110へ伝わらないように妨げ、それによって増幅器回路110を保護する。
【0005】
  図2Aを参照して、従来の電圧保護回路の1つの実施例について以下に説明する。図示する保護回路200は、少なくとも
図1の電圧保護回路120の一部とすることができる。保護回路200は、第1の接合型電界効果トランジスタ(JFET)210、第2の接合型電界効果トランジスタ(JFET)220、第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、および第1から第3のノードN1−N3を含むことができる。
【0006】
  第1の接合型電界効果トランジスタ210は、第1のノードN1に電気的に接続されたソースS1、第2のノードN2に電気的に接続されたドレインD1、および第3のノードN3に電気的に接続されたゲートG1を含んでいる。第1接合型電界効果トランジスタ210は、通常動作の間にはそれを介して入力電圧信号V
INを伝達するが、一方で過電圧あるいは低電圧の状態が生じたときには入力電圧信号V
INを制限する、一次装置としての役割を果たしている。
【0007】
  第2の接合型電界効果トランジスタ220は、第3のノードN3に電気的に接続されたソースS2、第2のノードN2に電気的に接続されたドレンD2、および第3のノードN3に電気的に接続されたゲートG2を含んでいる。第2の接合型電界効果トランジスタ220は、第1の接合型電界効果トランジスタ210のゲートG1からのゲート電流を再利用する役割を果たしている。第2の接合型電界効果トランジスタ220の寸法を小さくすることが望ましい。
【0008】
  第1のダイオードD1は、第2のノードN2に接続されたアノード、および第1の電圧レールV
CCに接続されたカソードを含んでいる。第2のダイオードD2は、第2の電圧レールV
EEに接続されたアノード、および第2のノードN2に接続されたカソードを含んでいる。第1のダイオードD1および第2のダイオードD2は、ともにクランプ回路としての役割を果たしている。
【0009】
  例えば
図2Bに示されるようなデバイス特性を見ることはよくあることであるが、ここでは接合型電界効果トランジスタのドレインソース電流I
DSは、様々なゲート電圧Vgにおけるドレイン電源電圧V
DSの関数としてプロットされている。これから判るように、小さなV
DSにおいては、ドレインソース電流I
DSは、全般的に符号10で示されている、「3極管」として知られている領域において素早く上昇し、そこでこの接合型電界効果トランジスタは抵抗器のように機能する。しかしながら、V
DSが増加すると接合型電界効果トランジスタは、ピンチオフ電圧Vpにおいて全般的に20で示されている「ピンチオフ」領域に入り、I
DS対一群のV
DSカーブは名目上水平となり、電流は主としてゲート電圧によって制御される(この作動領域はまた「線形」領域あるいはモードとして知られている)。ドレイン電源電圧V
DSがさらに増加すると、その後、ブレークダウンプロセスは、ドレイン電源電圧V
DSの増加に応じてドレインソース電流I
DSを再びより急激に上昇させる。
【0010】
  再び
図2Aを参照すると、通常動作の間には、第1接合型電界効果トランジスタ210は、3極管領域において、第1のノードN1と第2のノードN2との間に接続されたドレインソースオン抵抗R
DSONを有する抵抗器のように機能するように作動する。ドレインソースオン抵抗R
DSONが増加すると、第1の接合型電界効果トランジスタ210からのノイズも増加する。したがって、例えば、第1の接合型電界効果トランジスタ210の寸法を増加させることによってドレインソースオン抵抗R
DSONを減少させることが望ましい。
【0011】
  入力電圧信号V
INが選択範囲の下限より低い低電圧状態において、第1の接合型電界効果トランジスタ210は、逆バイアスがかけられたpn接合の両方(ソースゲートおよびドレインゲート接合)を有していて、線形領域20において抵抗器として作動する(
図2Bを参照)。第2の接合型電界効果トランジスタ220は、0Vに等しいゲートソース電圧V
GSで逆バイアスがかけられている。第2の接合型電界効果トランジスタ220のドレインソース電流I
DSSは、第1の接合型電界効果トランジスタ210のドレインソース電流I
DSSより小さく、第2のノードN2にフィードバックされ、それによって第1の接合型電界効果トランジスタ210のゲート電流を再利用して第2のノードN2を通って流れる電流を増加させる。
【0012】
  入力電圧信号V
INが選択範囲の上限より高い過電圧状態においては、第1の接合型電界効果トランジスタ210は、(pチャネル接合型電界効果トランジスタのための)PNPバイポーラトランジスタとして作動する。第1接合型電界効果トランジスタ210がpチャネル接合型電界効果トランジスタである実施例において、ソースS1とゲートG1との間の第1のpn接合は正バイアスがかけられるとともに、ドレインD1とゲートG1の間の第2のpn接合は逆バイアスがかけられ、それによってD1におけるコレクタ電流よりβ倍小さいベース電流をゲートG1から生成する(ここでβは、バイポーラトランジスタのベースからコレクタへの、プロセスに依存する電流利得である)。バイポーラトランジスタとして作動する接合型電界効果トランジスタ210のβは良好に制御されないので、広範囲の値として変化する可能性があり、こんどは過電圧電流を同様に変化させる。より良好に過電圧電流を制御するためには、第2の接合型電界効果トランジスタ220は、プロセスルールが許す限り小さく寸法決めされ、かつ接合型電界効果トランジスタ210から来るベース電流を制限するように行動する。このようにして、過電圧状態で接合型電界効果トランジスタ210を通って流れる電流は、接合型電界効果トランジスタ220最大の動作電流(IDSS)によって制限される。
 
【発明を実施するための形態】
【0017】
  ある実施形態の以下の詳しい説明は、本発明の特定の実施形態の様々な説明を示している。しかしながら、本発明は、特許請求の範囲によって定義されかつ包含される多数の異なる方法で具体化することができる。この説明では、図面を参照するが、類似の参照符号は同一若しくは機能的に類似の要素を示している。
 
【0018】
  ここで用いられる場合、上、下、上方といった用語は、図示のように配向された装置について言及するものであり、従ってそのように解釈されるべきである。トランジスタ内の領域は、半導体材料の異なる部分を異なる不純物あるいは異なる濃度の不純物でドープすることによって定義されるので、異なる領域間の個々の物理的な境界が完成したデバイスにおいては実際には存在しないことがあるものの、領域が一方から他方へと遷移することがあり得るということも理解するべきである。添付の図に示されるいくつかの境界はこのタイプであり、かつ単に読者を助けるために、境界がはっきりとした構造として図に示されている。以下に説明する実施形態では、p型領域は、ドーパントとしてホウ素のようなp型半導体材料を含むことができる。さらにn型領域は、ドーパントとして亜リン酸のようなn型半導体材料を含むことができる。当業者は、以下に説明する領域における様々な濃度のドーパントを理解するであろう。
 
【0019】
  電圧保護のために寸法を減少させた接合型電界効果トランジスタ
 
【0020】
  上述したように、電圧保護のために接合型電界効果トランジスタ(例えば、
図2Aの第1の接合型電界効果トランジスタ210)のドレインソースオン抵抗R
DSON上を減少させることが望ましい。ドレインソースオン抵抗R
DSONは、例えば、接合型電界効果トランジスタの寸法を増加させることによって縮小させることができる。しかしながら、寸法を増加させた接合型電界効果トランジスタは、大きなダイ面積を占める。IC装置の寸法が縮小されているときに、接合型電界効果トランジスタのそのような寸法の増加は望ましくない。したがって、過電圧および/または低電圧の保護能力を損なうことなしに、電圧保護回路のための接合型電界効果トランジスタの寸法を縮小する必要がある。
 
【0021】
  1つの実施形態では、電圧保護のための接合型電界効果トランジスタはソース、ドレイン、ゲートおよびチャネルを含むことができる。チャネルは、幅がWであり長さがLである。接合型電界効果トランジスタは、ピンチオフ電圧が2Vを超えるように設計することができる。ピンチオフ電圧Vpが高まると、接合型電界効果トランジスタは実質的に同一の過電圧および/または低電圧の保護能力を持ちつつ、チャネルの幅Wを縮小することができる。
 
【0022】
  図3Aおよび
図3Bを参照して、集積回路(IC)の過電圧および/または低電圧を保護するための、pチャネル接合型電界効果トランジスタの一実施形態を説明する。
図3Aは接合型電界効果トランジスタの図式的な上面平面図であり、かつ
図3Bは破断線3B−3Bに沿った接合型電界効果トランジスタの断面図である。図示する接合型電界効果トランジスタ300は、例えば、
図2Aの第1の接合型電界効果トランジスタ210を形成することができる。
 
【0023】
  図3Aおよび
図3Bに示した接合型電界効果トランジスタ300は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)で分離されたウェルデバイスであってもよい。そのため、接合型電界効果トランジスタ300は、絶縁ウェル内に形成されるとともに同じモノリシック集積回路上の他のすべてのデバイスから分離された、それ自身の半導体材料の「アイランド」上に位置する。この実施形態では、ハンドルウェーハ301は、キャリア基板として作用するとともに、その上に形成された二酸化ケイ素の絶縁層302を有している。
 
【0024】
  (図示の平面の上方および下方にも存在する)側壁303もまた(一般的に二酸化ケイ素から)形成されて、層302および側壁303、ならびに図示の平面の上方および下方でそれに平行に延びる絶縁壁によって形成されたウェル内に、接合型電界効果トランジスタ300を形成するケイ素のアイランドを分離する。層302および側壁303を形成するプロセスは、従来の製造プロセスとすることができる。他の配設では、半導体材料のウェルは分離された接合とすることができる。
 
【0025】
  接合型電界効果トランジスタ300は、N+埋込層310、Nエピタキシャル層320、P−ウェル330、p+ソース領域340、ゲート領域350、p+ドレイン領域360、ソースコンタクト371、ドレインコンタクト372、およびゲートコンタクト373を含む。N+埋込層310は、絶縁層302上に形成され、かつn型ドーパントを含むことができる。
 
【0026】
  Nエピタキシャル層320は、N+埋込層310上でエピタキシャルに成長した層である。Nエピタキシャル層320は横方向にP−ウェル330を囲んでおり、N+埋込層310はP−ウェル330の下方に形成され、Nエピタキシャル層320およびN+埋込層310はともに容器形状を形成している。
 
【0027】
  図示する実施形態の断面図(
図3B)においては、Nエピタキシャル層320は、P−ウェル330の右側に第1の部分320aを、P−ウェル330の左側に第2の部分320bを含む。Nエピタキシャル層320は、第1部分320にn+コンタクト領域325を含む。このn+コンタクト領域325は、n型ドーパントで高度にドープされるとともに、第1部分320aの上面を通って露出する上面を有している。ゲートコンタクト373は、n+コンタクト領域325に電気的に接続されている。したがって、電気パスは、N+埋込層310が接合型電界効果トランジスタ300のバックゲートとしての役割を果たすことができるように、ゲートコンタクト373とN+埋込層310の間に形成される。
 
【0028】
  P−ウェル330は、ソース領域340、ゲート領域350およびドレイン領域360を含んでおり、そのそれぞれがP−ウェル330の上部を通って露出した部分を有している。ソース領域340はp+領域であり、Nエピタキシャル層320の第2の部分320bに最も接近している。ドレイン領域360はp+領域であり、Nエピタキシャル層320の第1の部分320aに最も接近している。ゲート領域350はn型ドーパントでドープされ、かつソース領域340とドレイン領域360との間に介装され、一方でソース領域340およびドレイン領域360から離間される。接合型電界効果トランジスタ300がバイポーラトランジスタと同時に形成される一実施形態では、ゲート領域350は、PNPバイポーラトランジスタのベース(nbs)と同時に形成することができる。ソース領域340は、例えば
図2Aの第1ノードN1に電気的に接続することができる、1つ若しくは複数のソースコンタクト371を含んでいる。ゲート領域350は、Nエピタキシャル層320の第1部分320aのn+コンタクト領域325に電気的に接続することができる、上を覆うメタルコンタクト373(
図3A)を有することができる。ドレイン領域360は、例えば
図2Aの第2のノードN2に電気的に接続される1つ若しくは複数のドレインコンタクト372を含む。
 
【0029】
  P−ウェル330はまた、上下方向にゲート領域350とN+埋込層310との間でかつ水平方向にソース領域340とドレイン領域360との間で画定された、チャネル335を含んでいる。チャネル335は、
図3Bに示したように、ゲート領域350に対向するソース領域340とドレイン領域360の境界間で延びる長さLと、
図3Aに示したように、接合型電界効果トランジスタ300を上方から見たときに長さLに対して垂直な方向に延びる幅Wとを有している。図示した実施形態では、幅Wは、接合型電界効果トランジスタ300を上方から見たときに、ソース領域340およびドレイン領域360の幅W
S、W
Dと同じとすることができる。チャネル335はまた、ゲート領域350とN+埋込層310との境界間で定義される深さDを有している。
 
【0030】
  作動の間に、ゲート電圧がゲート領域350に印加されるともに、Nエピタキシャル層320を通ってN+埋込層310に電気的に接続されているn+コンタクト領域325に同じゲート電圧が印加される。このゲート電圧は、チャネル335を通って流れるドレインソース電流I
DSの量を制御する。
 
【0031】
  図2Aに関連して上述したように、ドレインソースオン抵抗R
DSONを有している接合型電界効果トランジスタ300は、ピンチオフ電圧Vpより低いゲート電圧の3極管領域で作動する。ドレインソースオン抵抗R
DSONは、チャネル335の幅に対する長さの比率(L/W)に比例する。(低ノイズ用途のために)ドレインソースオン抵抗R
DSONを減少させるためには、幅Wを増加させあるいは長さLは減少させなければならない。長さLはある限界(例えば約10μm)までしか縮小させることができないので、所望のドレインソースオン抵抗R
DSONを達成するためには幅Wを増加させるべきである。幅Wのそのような増加は、接合型電界効果トランジスタ300の外形寸法を増加させる。したがって、接合型電界効果トランジスタの寸法の増加を最小限としつつ、あるいは接合型電界効果トランジスタの寸法をさらに縮小しつつ、比較的低いドレインソースオン抵抗R
DSONを有する接合型電界効果トランジスタを提供するスキームを提供する必要がある。
 
【0032】
  出願人は、接合型電界効果トランジスタのドレインソースオン抵抗R
DSONとピンチオフ電圧Vpとの関係を認めたが、それは以下の方程式1によって表わすことができる。R
DSONは、接合型電界効果トランジスタの3極管領域の作動におけるオン抵抗である。
【数1】
 
【0033】
  方程式1において、I
DSSは接合型電界効果トランジスタのドレインソース飽和電流で、以下の方程式2によって表わすことができる。
【数2】
 
【0034】
  方程式2において、B’は、接合型電界効果トランジスタの処理に関連する接合型電界効果トランジスタの相互コンダクタンスパラメーター、Wは接合型電界効果トランジスタのチャネルの幅(
図3Aを参照)、そしてLは接合型電界効果トランジスタのチャネルの長さ(
図3Bを参照)である。したがって、方程式1は以下の方程式3に表現されるように書き直すことができる。
【数3】
 
【0035】
  方程式3によれば、R
DSONはWとVpの両方に反比例する。WとVpは、実質的に互いに独立している。したがって、Vpが増加するとき、同じR
DSONを実質的に達成しつつWを減少させることができる。
 
【0036】
  LおよびB’が一定であると仮定すると、Vpを2倍に増加させると、同じR
DSONを達成しつつWを半分に減少させることができる。しかしながら、実際には、Vpが変化するときにB’は一定ではない。経験的に、Vpが約3.8倍増加したとき、チャネル335の幅W(
図3B)は、同じR
DSONを与えつつ3分の1に減少させることができる。また、Vpを増加させるうえでは上限もある。Vpが上限を超過する場合、接合型電界効果トランジスタは抵抗器のように振る舞うからである。
 
【0037】
  図4は、接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧Vpの有効範囲を示すグラフである。
図4のグラフにおいて、X軸は接合型電界効果トランジスタの絶対ピンチオフ電圧Vpを表わし(単位はボルト)、一方でY軸は接合型電界効果トランジスタのR
DSONに対する(様々な過電圧における)等価(あるいは有効)抵抗R
effの比率(すなわちR
eff/R
DSON)である。比率が高いほど、過電圧電流の制限において接合型電界効果トランジスタは良好に作動するはずである。比率が1であることは、過電流の制限において接合型電界効果トランジスタは等しい寸法の抵抗器より良好でないことを意味する。
 
【0038】
  接合型電界効果トランジスタの等価抵抗R
eff(過電圧状態の)は、以下の方程式4によって表わすことができる。
【数4】
 
【0039】
  方程式4において、Vovは過電圧状態の電圧であり、かつR
effは同じ過電圧において同じ電流を得るために必要な直列抵抗である。方程式1によると、R
DSON=Vp/(2×I
DSS)である。したがって、R
DSONに対するR
effの比率は以下の方程式5で表すことができ、かつ
図4に示されている。
【数5】
 
【0040】
  図4において、Y軸は対数目盛で、接合型電界効果トランジスタのR
eff/R
DSONの比を表わしている。X軸は、接合型電界効果トランジスタ(pチャネル)のピンチオフ電圧Vpを表わしている。
図4のグラフは、過電圧が10VでVpが約20Vのときに、接合型電界効果トランジスタは等しいサイズの抵抗器より良好な電流制限器ではないことを示している。上述した比率が約1であるからである。Vpが5Vのとき、接合型電界効果トランジスタは等しいサイズの抵抗器より電流制限は約4倍良好であり、過電圧がより高い場合はさらに良好である。pチャネル接合型電界効果トランジスタおよび正のピンチオフ電圧の状況において図示したが、その原理および利点はnチャネル接合型電界効果トランジスタおよび負のピンチオフ電圧にも適用可能である。
 
【0041】
  図5は、モノリシック集積回路(IC)接合型電界効果トランジスタのチャネルの長さ(L)に対する幅(W)の比率と接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧Vpとの間の関係を図示するグラフである。
図5のグラフは、約500ΩのR
DSONを与えるように設計された接合型電界効果トランジスタに基づいている。しかしながら、当業者は、R
DSON値が異なる他の接合型電界効果トランジスタが同様の特性を持つ可能性があることを理解するであろう。
 
【0042】
  通常の集積回路(IC)接合型電界効果トランジスタは、典型的に約1V〜約2VのVp(pチャネル接合型電界効果トランジスタ)を持つように設計されている。しかしながら、出願人は、
図5に示したように、Vpが増加するとW/Lの比率が減少することを認識した。さらに出願人は、Vpが5V(あるいはnチャネル接合型電界効果トランジスタにおいては−5V)においてあるいはこれに近いときに、接合型電界効果トランジスタの寸法減少のほとんどが達成されることを認識した。
 
【0043】
  図4および
図5を参照すると、モノリシックIC接合型電界効果トランジスタは、従来の接合型電界効果トランジスタより高いピンチオフ電圧Vpを選択することによって、有効な電流制限機能を提供しつつ減少した寸法(特に接合型電界効果トランジスタのチャネル幅W)を有するように最適化することができる。
 
【0044】
  1つの実施形態では、モノリシックIC接合型電界効果トランジスタは、大きさが2V(pチャネル接合型電界効果トランジスタについては2Vより大きく、nチャネル接合型電界効果トランジスタについては−2V未満)を超えるピンチオフ電圧Vpを持つように製造することができる。例えば、ピンチオフ電圧Vpは、約2Vと約30Vとの間、あるいは任意選択的に約2.5Vと約25Vとの間とすることができる。別の実施形態では、接合型電界効果トランジスタは、約3Vと約20Vとの間、あるいは任意選択的に約3Vと約15Vとの間のピンチオフ電圧Vpを持つように製造することができる。さらに別の実施形態では、接合型電界効果トランジスタは、約3Vと約10Vとの間、約3Vと約8Vとの間、あるいは約4Vと7Vとの間のピンチオフ電圧Vpを持つように製造することができる。
 
【0045】
  例えば、ピンチオフ電圧Vpは、あるデバイスの保護のために接合型電界効果トランジスタが用いられる過電圧の状態に応じて、約2.1V、約2.5V、約3.0V、約3.5V、約4.0V、約4.5V、約5.0V、約5.5V、約6.0V、約6.5V、約7.0V、約7.5V、約8.0V、約8.5V、約9.0V、約9.5V、約10.0V、約10.5V、11.0V、約11.5V、約12.0V、約12.5V、約13.0V、約13.5V、約14.0V、約14.5V、約15.0V、約15.5V、約16.0V、約16.5V、約17.0V、約17.5V、約18.0V、約18.5V、約19.0V、約19.5V、約20.0V、あるいは前述の電圧のうちの2つの間の任意の電圧から選択される任意の1つとすることができる。ピンチオフ電圧Vpは、
図7、
図8A〜
図8Cおよび
図9A〜
図9Cに関連して以下に詳細に説明するように、調整することができる。
 
【0046】
  図6Aおよび
図6Bを参照して、電圧保護のためのモノリシックICnチャネル接合型電界効果トランジスタの1つの実施形態について以下に説明する。
図6Aは接合型電界効果トランジスタの図式的な平面図であり、かつ
図6Bは破断線6B−6Bに沿った接合型電界効果トランジスタの断面図である。図示する接合型電界効果トランジスタ600は、例えば、
図2Aの第1の接合型電界効果トランジスタ210を形成することができる。
 
【0047】
  図3Aおよび
図3Bのpチャネル接合型電界効果トランジスタと同様に、
図6Aおよび
図6Bに示す接合型電界効果トランジスタは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)分離のデバイスである。図示の実施形態では、ハンドルウェーハ601は、キャリア基板として作用するとともに、その上に形成された二酸化ケイ素の絶縁層602を有している。側壁603もまた、層602および側壁603によって形成されたウェル内に接合型電界効果トランジスタ600を形成するケイ素のアイランドを分離するように(典型的に二酸化ケイ素から)形成される。ウェーハ601、絶縁層602、および側壁603の他の詳細は、
図3Aおよび
図3Bの接合型電界効果トランジスタ300に関連して上述した通りとすることができる。
 
【0048】
  接合型電界効果トランジスタ600は、P+埋込層610、Pプラグ620、Nエピタキシャル層630、n+ソース領域640、ゲート領域650、n+ドレイン領域660、p+コンタクト領域625、ソースコンタクト671、ドレインコンタクト672およびゲートコンタクト673を含んでいる。P+埋込層610は絶縁層602上に形成され、かつp型ドーパントを含んでいる。
 
【0049】
  Nエピタキシャル層630は、P+埋込層610上にエピタキシャルに成長した層によって形成される。1つの実施形態では、
図6Aおよび
図6Bの接合型電界効果トランジスタ600と、
図3Aおよび
図3Bの接合型電界効果トランジスタ300は、同じ製造プロセスを用いて単一のウェーハ上に形成することができる。そのような実施形態では、
図6Aおよび
図6BのNエピタキシャル層630は、
図3Aおよび
図3BのNエピタキシャル層320と同時に形成することができる。
 
【0050】
  Pプラグ620は、
図6Bに示したように、接合型電界効果トランジスタ600の一方の側にNエピタキシャル層630を通して形成される。Pプラグ620はP+埋込層610と接触するように延びて、p+コンタクト領域625からP+埋込層610への電気パスが確立されるようにしている。ある実施形態では、接合型電界効果トランジスタ600は、モノリシックICのための単一ウェーハ上でバイポーラトランジスタと同時に形成することができる。そのような実施形態では、PNPバイポーラトランジスタは、PNPトランジスタコレクタピックアップをPNPトランジスタのP+埋込層に接続する高エネルギー、高用量の注入物であるPプラグを含むことができる。接合型電界効果トランジスタ600のPプラグ620は、バイポーラトランジスタのPプラグと同時に形成することができる。
 
【0051】
  p+コンタクト領域625は、
図6Aに示したように、上方から見たときにソース領域640、ゲート領域650およびドレイン領域660を囲むように形成される。p+コンタクト領域625は、Pプラグ620の上部に埋め込まれているが、
図6Bに示したように、p+コンタクト領域625の上部はPプラグ620の上面を通って露出している。p+コンタクト領域625は、p型ドーパントで高度にドープされている。
図3Aおよび
図3Bのn+コンタクト領域325と同様に、p+コンタクト領域625は、接合型電界効果トランジスタ600のバックゲートを提供する役割を果たしてもよい。ゲートコンタクト673は、p+コンタクト領域625に電気的に接続されている。
 
【0052】
  ソース領域640、ゲート領域650およびドレイン領域660は、Nエピタキシャル層630に形成されている。領域640〜660の各々は、Nエピタキシャル層630の上部を通して露出する部分を有している。ソース領域640はn+領域であり、Pプラグ620から最も遠い。ドレイン領域660はn+領域であり、Pプラグ620に最も接近している。ゲート領域650はp型ドーパントでドープされるとともに、ソース領域640とドレイン領域660との間に介装されるが、ソース領域640およびドレイン領域660から離間されている。接合型電界効果トランジスタ600がバイポーラトランジスタと同時に形成される1つの実施形態では、ゲート領域650はNPNバイポーラトランジスタのベース(pbs)と同時に形成することができる。ソース領域640は、1つ若しくは複数のソースコンタクト671を含んでいるが、それらは例えば
図2Aの第1のノードN1に電気的に接続される。ゲート領域650は、Pプラグ620のp+コンタクト領域625に電気的に接続される、上を覆うメタルコンタクト673(
図6A)を有することができる。ドレイン領域660は、例えば
図2Aの第2のノードN2に電気的に接続することができる1つ若しくは複数のドレインコンタクト672を含む。
 
【0053】
  Nエピタキシャル層630はまた、上下方向にゲート領域650とP+埋込層610との間でかつ水平方向にソース領域640とドレイン領域660との間に画定された、チャネル635も含んでいる。チャネル635は、
図6Bに示したように、ゲート領域650に面してソース領域640とドレイン領域660との境界の間に延びる長さLと、
図6Aに示したように、接合型電界効果トランジスタ600を上方から見たときに長さLに対して垂直な方向に延びる幅Wとを有している。図示の実施形態では、接合型電界効果トランジスタ600を上方から見たときに、幅Wは、ソース領域640の幅W
Sおよびドレイン領域660の幅W
Dと同じとすることができる。チャネル635はまた、ゲート領域650の境界とP+埋込層610の境界との間で定義された深さDも有している。
 
【0054】
  作動の間、ゲート電圧はゲート領域650に印加され、かつ同じゲート電圧は、Pプラグ620を介してP+埋込層610に電気的に接続されているp+コンタクト領域625に印加される。ゲート電圧は、チャネル635を通して流れるドレインソース電流I
DSの量を制御する。
 
【0055】
  図6Aおよび
図6Bのnチャネル接合型電界効果トランジスタ600を設計する際には、チャネル635の幅Wおよび接合型電界効果トランジスタ600のピンチオフ電圧Vpを選択するために同じ原理を用いることができる。設計原理の他の詳細は、
図3A、
図3B、
図4および
図5に関連して上述した通りとすることができる。
 
【0056】
  高いピンチオフ電圧を有する接合型電界効果トランジスタの製造
 
【0057】
  図7Aを参照し、モノリシックICのための高いピンチオフ電圧を有する接合型電界効果トランジスタを製造する方法の一実施形態について以下に説明する。図示の実施形態では、接合型電界効果トランジスタは相補的なバイポーラプロセスを用いて形成することができる。例えば、pチャネル接合型電界効果トランジスタ300は、NPNバイポーラトランジスタ700AおよびPNPバイポーラトランジスタ700Bなどのバイポーラトランジスタの形成と同時に形成することができる。
 
【0058】
  接合型電界効果トランジスタ300の構造の詳細は、
図3Aおよび
図3Bの接合型電界効果トランジスタ300に関連して上述した通りとすることができる。図示するNPNバイポーラトランジスタ700AおよびPNPバイポーラトランジスタ700Bは、接合型電界効果トランジスタ300と同じ基板301上に形成される。NPNバイポーラトランジスタ700Aは、n+埋込層710a、Nエピタキシャル層720a、エミッター領域(n+)731a、ベース領域(pbs)732a、コレクタコンタクト領域(n+)733a、およびNプラグ740aを含んでいる。PNPバイポーラトランジスタ700Bは、p+埋込層715b、Nエピタキシャル層720b、p−ウェル730b、エミッター領域(p+)731b、ベース領域(nbs)732b、コレクタコンタクト領域(p+)733bおよびPプラグ740bを含んでいる。当業者は、バイポーラトランジスタ700A,700Bの構造はトランジスタの設計に応じて幅広く変化する可能性があることを理解するであろう。
 
【0059】
  1つの実施形態において、バイポーラトランジスタ700A、700Bは以下のように形成することができる。最初に、n+埋込層マスクおよびp+埋込層マスクが注入され、かつトレンチ分離303a、303b内に拡散されてn+埋込層710aおよびp+埋込層715bをそれぞれ形成する。その後、(NPNトランジスタコレクタを形成する)Nエピタキシャル層720a、720bが成長し、かつN+プラグ740aおよびP+プラグ740bが注入される。続いて、PNPトランジスタコレクタを形成するP−ウェル730bが注入される。その後、PNPトランジスタコレクタ733bおよびプラグ注入物740a、740bの熱駆動が伝達される。フィールド酸化膜(図示せず)が上述した構造上で成長し、次にベース開口を形成するために部分的に取り除かれる。その後、PNPおよびNPNトランジスタベースの注入および拡散を実行してベース領域732a、732bを形成する。PNPおよびNPNトランジスタエミッターの注入および拡散は、エミッタ領域731a、731bを形成するために実行される。
 
【0060】
  図示する実施形態では、接合型電界効果トランジスタ300の構成要素のうちの少なくともいくつかは、バイポーラトランジスタ700A、700Bの構成要素と同時に形成することができる。例えば、接合型電界効果トランジスタ300のn+埋込層310は、NPNバイポーラトランジスタ700Aのn+埋込層710aと同時に形成することができる。接合型電界効果トランジスタ300のP−ウェル330は、PNPバイポーラトランジスタ700Bのコレクタ(P−ウェル)730bと同時に形成することができる。接合型電界効果トランジスタ300のソース340およびドレイン360は、PNPバイポーラトランジスタ700Bのエミッター731bと同時に形成することができる。当業者は、バイポーラトランジスタ700A、700Bの構成要素の形成と同時に接合型電界効果トランジスタ300の構成要素を形成するために、様々な方法を用いることができることを理解するであろう。
 
【0061】
  さらに、接合型電界効果トランジスタ300のゲート領域350は、PNPバイポーラトランジスタ700Bのベース領域732bと同時に形成することができる。したがって、ゲート領域350は、PNPバイポーラトランジスタ700Bのベース領域732bの深さD
Bと実質的に同じである深さD
Gを有することができる。接合型電界効果トランジスタ300のチャネル335は、深さD
CHを有している。接合型電界効果トランジスタ300およびバイポーラトランジスタ700A、700Bの結果として生じる構造が、
図7Aに示されている。
 
【0062】
  上述したバイポーラプロセスを用いることにより、チャネル335の深さD
CHは、CMOSプロセスで形成された接合型電界効果トランジスタのチャネルの深さより大きくすることができる。そのようなより深いチャネル335を持つことにより、接合型電界効果トランジスタ300は、CMOSプロセスによって形成された接合型電界効果トランジスタに比較して、増加したピンチオフ電圧Vpを持つことができる。
 
【0063】
  接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧の調整
 
【0064】
  上述した実施形態では、同じ過電圧保護を実質的に提供しつつ、接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧Vpが増加して、接合型電界効果トランジスタのチャネル幅Wの減少を可能にする。接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧Vpは、様々な方法あるいは構造を用いることにより増加させることができる。
 
【0065】
  いくつかの実施形態では、接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧Vpは、接合型電界効果トランジスタのチャネルの深さを増加させることによって増加させることができる。チャネルの深さを、ピンチオフ電圧Vpを増加させる第1の要因とすることができる。浅いチャネルについては、ゲートとチャネルとの間のドーピングプロファイルを異ならせることによって、ピンチオフ電圧Vpも調整することができる。
 
【0066】
  図7Bを参照して、一実施形態による接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧を調整する方法について以下に説明する。図示する実施形態では、接合型電界効果トランジスタ300’のゲート領域350’は、NPNバイポーラトランジスタ700Aのエミッター領域731aと同時に形成することができる。したがって、ゲート領域350は、NPNバイポーラトランジスタ700Aのエミッター領域731aの深さD
Eと実質的に同じである深さD
G’を有することができる。
図7Bの構造を作るプロセスの他の詳細は、
図7Aに関連して上述した通りとすることができる。
 
【0067】
  NPNバイポーラトランジスタ700Aのエミッター領域731a(深さD
E)は、PNPバイポーラトランジスタ700Bのベース領域732b(深さD
B)より浅い。したがって、そのような実施形態では、ゲート領域350’は、PNPバイポーラトランジスタ700Bのベース領域732bと同時に形成される
図7Aのゲート領域350より浅くすることができる。そのようなより浅いゲート領域350により、ゲート領域350’とn+埋込層310の間に定義されるチャネル深さD’は
図7Aのチャネル深さDより大きく、それは
図7Aの接合型電界効果トランジスタ300に比較して、接合型電界効果トランジスタ300’のピンチオフ電圧を増加させることができる。
 
【0068】
  図8A〜
図8Cを参照して、過電圧保護のためにピンチオフ電圧を調整した接合型電界効果トランジスタを形成する別の実施形態について以下に説明する。1つの実施形態では、pチャネル接合型電界効果トランジスタのP−ウェルにソースを制限した拡散を用いることができる。例えば、P−ウェルは、注入によって小さな正方形として形成することができる。その後、熱駆動の間に、ドーパントの量を制限すると、それはP−ウェルの有効用量を減少させ、従って接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧Vpを調整する。この熱駆動プロセスは、P−ウェルを有するpチャネル接合型電界効果トランジスタについて特に有効である。この熱駆動の大きな熱収支が、P−ウェルのプロファイルの不規則性を等しくするからである。結果として生じる構造はより少ないチャネルのドーピングを有し、これはチャネルをより早く消耗させて、ピンチオフ電圧Vpを減少させる。
 
【0069】
  上述したドレイン領域に対するソースを制限した拡散(「ピクセレーション(pixellation)」とも呼ばれる)の一例が、2009年11月2日に出願された米国特許出願整理番号第12/611,052号に開示されている。なお、その開示は参照によって本願明細書に組込まれる。上記した用途では、小さな正方形の拡散は少なくドープしたドレイン(LDD)を生産するために用いられる。
 
【0070】
  図8Aは、一実施形態による、上記したソースを制限する拡散プロセスに用いるマスク800を図示している。マスク800は、複数のより小さな開口810を含んでいる。開口810は、接合型電界効果トランジスタのP−ウェルを形成するところに配置される。1つの実施形態では、この実施例における開口810は公称約1ミクロンの正方形であり、それらの中心は形成されるP−ウェルの中心に配置される。
 
【0071】
  注入ステップの間、例えば、p型ドーパントはマスク800の開口810の下方の半導体材料(通常ケイ素)801に注入され、ドーパント濃度はウェーハの表面で最も高く、表面から深くなるに連れて減少する。
図8Bに示したように、領域820、822および824は開口810の下に存在するが、開口810は従来のP−ウェル(例えば、
図3BのP−ウェル330)を形成するためのより広いマスクの単一の開口に比較して小さいので、より広い開口に比較するとドーパントは半導体材料の深くには延在しない。
 
【0072】
  注入の後、半導体は、
図8Cに示すように、ドーパントを拡散させるために熱処理される。拡散距離は、濃度に加えて温度と時間の関数である。その結果、開口810の下方の注入は互いに拡散し、離間された開口810はドーピングを減少させた拡張領域830を生じさせる。このドーピングを減少させた領域830は、従来のP−ウェルにおけるドーピングプロファイルに対してドーピングが減少している。
 
【0073】
  通常のP−ウェルに比較すると、ドーピングを減少させた領域830において、ドーピングが半導体材料の中により浅く延在するため、ドーピングを減少させた領域830におけるドーピング原子の数および単位面積当たりのドーピング濃度は、従来のP−ウェルと比較するとより少ない。
 
【0074】
  したがって、結果として生じる構造はチャネルのドーピングを少なくし、それはチャネルをより早く消耗させて、ピンチオフ電圧Vpを低下させる。この実施形態は、接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧を調整するための
図7Aおよび
図7Bに関連して上述した方法と組み合わせて用いることができる。
 
【0075】
  上述した実施形態において、過電圧および/または低電圧保護のための接合型電界効果トランジスタは、接合型電界効果トランジスタのピンチオフ電圧を高めることによって、縮小したチャネル幅を持つように最適化することができる。この構成は、より広いチャネル幅を有するものと実質的に同じ過電圧および/または低電圧の保護能力をもたらす。
 
【0077】
  したがって、当業者は、上述した接合型電界効果トランジスタによって過電圧あるいは低電圧状態から保護される任意のデバイスのために、実施形態の構成および原理を適合させ得ることを理解するだろう。上述した構成を用いる接合型電界効果トランジスタは、様々な電子装置あるいは集積回路内に実装することができる。電子装置の実施例としては、家庭用電子製品、家庭用電子製品の部品、電子テスト装置等を挙げることができるがそれらには限定されない。電子装置の実施例としては、また光学ネットワークまたは他の通信ネットワーク、およびディスクドライバの回路を挙げることができる。家庭用電子製品としては、携帯電話、セルラー基地局、電話、テレビ、コンピューターモニター、コンピューター、ハンドヘルド・コンピューター、ネットブック、タブレットコンピュータ、電子書籍、携帯情報端末(PDA)、ステレオシステム、カセットレコーダもしくはプレーヤー、DVDプレーヤー、CDプレーヤー、VCR、DVR、MP3プレーヤー、ラジオ、カムコーダー、カメラ、ディジタルカメラ、ポータブルメモリーチップ、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ、多機能周辺機器、腕時計、時計、その他を挙げることができるが、それらには限定されない。さらに、電子装置には未完成の製品が含むことができる。
 
【0078】
  前述の説明および特許請求の範囲は、ともに「結合された」あるいは「接続された」要素あるいは特徴に言及する場合がある。ここで用いられる場合、「結合された」は、明らかにそうでないと述べない限り、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に、直接あるいは間接的に、必ずしも機械的にではなく結合されることを意味する。同様に、明らかにそうでないとに述べない限り、「接続された」は、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に、直接あるいは間接的に、必ずしも機械的にではなく接続されることを意味する。したがって、図に示されている様々な概略図が要素および構成部品の例示的な配設を描いているが、(描かれている回路の機能性に悪影響を及ぼさないと仮定すると)追加の介在要素、デバイス、特徴あるいは構成部分が、現実の実施形態では存在してもよい。
 
【0079】
  ある実施形態の面から本発明を説明したが、本明細書に述べた特徴および利点のすべてを与えるとは限らない実施形態を含めて、当業者に明らかな他の実施形態も、本発明の範囲内にある。さらに、上述した様々な実施形態を組み合わせてさらなる実施形態を提供することができる。さらに、1つの実施形態の状況において示されたある特徴は、他の実施形態にも同様に組み入れることができる。従って、本発明の範囲は添付された請求範囲への参照によってのみ定められる。