(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、センサチップを小型にする場合、歪み分離帯を設けるために十分なスペースを確保することが困難になってしまう。すなわち、歪み分離帯の分だけ、センサチップが大きくなってしまう。また、特許文献2の構成をワンチップ型の圧力センサに適用する場合、センサチップの角部に、非接合領域を形成するスペースを確保するのが困難になってしまう。
【0007】
このように、小型で高性能な圧力センサを実現することが困難であるという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、小型で高性能な圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る圧力センサは、基板と、この基板の中央部に設けられた差圧用ダイアフラムと、
この差圧用ダイアフラムの外側に設けられた唯一の静圧用ダイアフラムと、を備えるものであって、差圧用ダイアフラムの第1の端辺上のみに差圧用ゲージが形成され、この差圧用ゲージは、差圧用ダイアフラムの第1の端辺上に設けられ差圧用ダイアフラムの中心に対する径方向に沿って形成された第1の差圧用ゲージと、差圧用ダイアフラムの第1の端辺上において第1の差圧用ゲージの近傍に設けられ径方向と垂直な周方向に沿って形成された第2の差圧用ゲージと、
を含み、唯一の静圧用ダイアフラムは、差圧用ダイアフラムの
中心を挟んで第1の端辺
に対向する差圧用ダイアフラムの第2の端辺と
、中心を挟んで第1の端辺に対向する基板の端部
の頂点と、の間に配置され
ているものである。
【0010】
かかる構成を採用すると、2種類の差圧用ゲージが差圧用ダイアフラムの1つの端辺(第1の端辺)上に配置され、静圧用ダイアフラムが差圧用ダイアフラムの差圧用ゲージが形成されていない端辺(第1の端辺を除く他の端辺)の外側に形成されている。このため、差圧用ゲージを差圧用ダイアフラムの各端辺に配置した構成と比較すると、差圧用ゲージと静圧用ダイアフラムとの距離を長く取ることができるので、静圧印加時における差圧用ゲージへの影響を低減することができる。また、静圧用ダイアフラムを差圧用ダイアフラムの外側に4つ設けた構成と比較すると、同サイズの基板を採用した場合には、静圧用ダイアフラムと差圧用ダイアフラムとの距離を長く取ることができるので、差圧印加時における静圧用ゲージへの影響及び静圧印加時における差圧用ゲージへの影響を低減することができる。そして、逆に、静圧用ダイアフラムと差圧用ダイアフラムの距離を同じにした場合には、基板の小型化が可能となる。この結果、静圧と差圧の干渉によるクロストークを抑制することが可能な小型で高性能な圧力センサを得ることが可能となる。
【0011】
本発明に係る圧力センサにおいて、基板と接合された台座をさらに備え、差圧用ダイアフラムの第1の端辺から基板の端部までの間に、台座と基板との非接合領域を形成することが好ましい。
【0012】
かかる構成を採用すると、非接合領域の周辺に静圧用ダイアフラムが配置されないため、非接合領域を形成するスペースを確保することができる。そして、非接合領域と接合領域の寸法を調整することにより、温度によるゼロシフトとそのばらつきを最小にし、良好な温度特性を実現することができる。よって、より高性能で小型の圧力センサを実現することができる。
【0013】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、径方向に配置する端辺が周方向に配置する端辺より短い形状とされる静圧用ダイアフラムを採用することができる。かかる場合において、静圧用ダイアフラムの中央部と周方向に配置する端部に、それぞれ静圧用ゲージを設けることが好ましい。
【0014】
かかる構成を採用すると、一方の静圧用ゲージが静圧用ダイアフラムの端部に形成され、他方の静圧用ゲージが静圧用ダイアフラムの中央部に形成されており、温度変化時に生じた応力に起因する抵抗変動がこれら2つの静圧用ゲージの双方で同じ方向になるため、温度変化による出力変動を抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、静圧用ダイアフラムを長方形状に形成することができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、簡便に圧力センサを製作することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、静圧用ダイアフラムを正方形状に形成することもできる。かかる場合において、静圧用ダイアフラムの隣接する2つの端辺上に、それぞれ配列方向を揃えて静圧用ゲージを設けることができる。
【0018】
かかる構成を採用すると、温度特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型で高性能な圧力センサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る圧力センサについて説明する。
図1は、本実施形態に係る圧力センサに用いられているセンサチップの構成を示す上面図である。
図2は
図1のII−II断面図であり、
図3はIII−III断面図である。本実施形態に係る圧力センサは、半導体のピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサである。
【0023】
圧力センサは、半導体基板からなるセンサチップ10を有している。センサチップ10は、正方形状になっている。
図1に示すように、正方形状のセンサチップ10の各頂点をA、B、C、Dとする。
図1に示すように、左上の角を角A、右下の角を角B、右上の角を角C、左下の角を角Dとする。角Aと角Bとを結ぶ対角線を対角線ABとし、角Cと角Dとを結ぶ対角線を対角線CDとする。センサチップ10は正方形であるため、対角線ABと対角線CDは直交する。更に、センサチップ10の中心を中心Oとする。中心Oは、対角線ABと対角線CDの交点と一致する。
【0024】
図2に示すように、センサチップ10は、基台となる第1半導体層1、絶縁層2及び第2半導体層3の3層構造になっている。例えば、センサチップ10として、第1半導体層1と、0.5μm程度の厚さの絶縁層2と、第2半導体層3と、からなるSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。第1半導体層1及び第2半導体層3は、例えば、n型単結晶シリコン層から構成されている。絶縁層2は、例えば、SiO
2層から構成されている。第1半導体層1の上に絶縁層2が形成されている。また、絶縁層2の上に第2半導体層3が形成されている。従って、第1半導体層1と第2半導体層3の間に絶縁層2が配設されている。絶縁層2は、第1半導体層1をエッチングする際に、エッチングストッパとして機能する。第2半導体層3は、差圧用ダイアフラム4を構成している。
図2に示すように、差圧用ダイアフラム4はチップの中央部分に配設されている。
【0025】
センサチップ10の中央部には、差圧を検出するための差圧用ダイアフラム4が設けられている。
図2に示すように、第1半導体層1が除去されることで、差圧用ダイアフラム4が形成される。すなわち、差圧用ダイアフラム4では、センサチップ10が薄くなっている。ここでは、
図1に示すように、差圧用ダイアフラム4は、正方形状に形成されている。また、差圧用ダイアフラム4の中心と、センサチップ10の中心Oは一致している。すなわち、差圧用ダイアフラム4の中心点は、対角線ABと対角線CDの交点上にある。そして、差圧用ダイアフラム4は、正方形状のセンサチップ10に対して、45°傾いて配置されている。従って、対角線ABは、差圧用ダイアフラム4の対向する2辺の中心を垂直に通る。また、対角線CDは、差圧用ダイアフラム4の対向する他の2辺の中心を垂直に通る。
【0026】
差圧用ダイアフラム4の表面には、差圧用ゲージ5b・5cが設けられている。これらの2つの差圧用ゲージ5b・5cをまとめて差圧用ゲージ5と称する。差圧用ゲージ5が、差圧用ダイアフラム4の端部に設けられている。すなわち、差圧用ゲージ5は差圧用ダイアフラム4の周縁部上に形成されている。
【0027】
2つの差圧用ゲージは、差圧用ダイアフラム4の対角線ABと平行な1つの端辺(第1の端辺)上に形成されている。すなわち、差圧用ダイアフラム4の1辺のみに差圧用ゲージ5が形成され、残りの3辺には差圧用ゲージが形成されていない。ここでは、角C側の辺に差圧用ゲージ5b・5cが形成されている。このように、差圧用ダイアフラム4の1辺に2つの差圧用ゲージ5が形成されており、一方の差圧用ゲージ5bの近傍に他方の差圧用ゲージ5cが形成されている。
【0028】
差圧用ゲージ5bの長手方向は、対角線CDと垂直になっている。すなわち、差圧用ゲージ5bは、その差圧用ゲージ5bが形成されている差圧用ダイアフラム4の1辺と平行に形成されている。一方、差圧用ゲージ5cの長手方向は、対角線CDと平行に形成されている。すなわち、差圧用ゲージ5cは、その差圧用ゲージ5cが形成されている差圧用ダイアフラム4の1辺と垂直に形成されている。従って、近接配置された静圧用ゲージ5bと静圧用ゲージ5cとは、直交する方向に設けられている。
【0029】
差圧用ゲージ5はピエゾ抵抗効果を有する歪ゲージである。従って、センサチップ10が歪むと、各差圧用ゲージ5b・5cの抵抗が変化する。なお、センサチップの上面には、各差圧用ゲージ5b・5cと接続される配線(不図示)が形成される。例えば、各差圧用ゲージ5b・5cの両端に配線が接続されている。この配線によって、2つの差圧用ゲージ5がブリッジ回路に結線されている。差圧用ダイアフラム4によって隔てられた空間の圧力差によって、差圧用ダイアフラム4が変形する。差圧用ゲージ5は、差圧用ダイアフラム4の変形量に応じて抵抗が変化する。この抵抗変化を検出することで、圧力を測定することができる。差圧用ゲージ5は、
図3に示すように、センサチップ10の表面に形成されている。そして差圧用ゲージ5b・5cの長手方向の両端に、配線(不図示)が接続される。例えば、差圧用ゲージ5bは、センサチップ10の結晶面方位(100)において、ピエゾ抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方向と平行に形成される。
【0030】
さらに、センサチップ10には、1つの静圧用ダイアフラム17が設けられている。
図3に示すように、第1半導体層1が除去されることで、静圧用ダイアフラム17が形成される。すなわち、静圧用ダイアフラム17では、センサチップ10が薄くなっている。静圧用ダイアフラム17は、差圧用ダイアフラム4の外周部に配置されている。すなわち、差圧用ダイアフラム4の外側に、静圧用ダイアフラム17が配置されている。 静圧用ダイアフラム17は、対角線CD上に配置されている。静圧用ダイアフラム17は差圧用ダイアフラム4よりも小さくなっている。
【0031】
中心Oと角Dとの間に、静圧用ダイアフラム17が配置される。すなわち、差圧用ダイアフラム4の角D側の1辺と角Dとの間に、静圧用ダイアフラム17が配置されている。ここで、差圧用ダイアフラム4の角D側の1辺は、差圧用ゲージ5が形成されていない辺である。
【0032】
静圧用ダイアフラム17は長方形状に形成されている。従って、静圧用ダイアフラム17の長辺と短辺とが直交している。すなわち、静圧用ダイアフラム17には、長手方向と短手方向が存在する。ここで、センサチップ10の中心から外側に向かって延びる方向を径方向(r方向)とする。すなわち、センサチップ10の中心点からセンサチップ10の端に向かう方向が径方向となる。センサチップ10と差圧用ダイアフラム4の中心は一致しているため、この径方向は、差圧用ダイアフラム4の中心に対する径方向となる。そして、径方向と直交する方向を周方向(θ方向)とする。周方向は、センサチップ10の中心を中心とする円の接線方向に対応する。静圧用ダイアフラム17の短辺は径方向と平行となっている。
【0033】
静圧用ダイアフラム17の短辺は、対角線CDと平行になっている。また、対角線CD上では、静圧用ダイアフラム17の長手方向と周方向が平行になっている。静圧用ダイアフラム17には、静圧用ゲージ15b・15dが形成されている。静圧用ゲージ15bは、静圧用ダイアフラム17の端部に形成されている。静圧用ゲージ15bは、静圧用ダイアフラム17の角D側の辺上に形成されており、静圧用ダイアフラム17の長辺上に、その長辺に沿って形成されている。一方、静圧用ゲージ15dは、静圧用ダイアフラム17の中央部に形成されている。すなわち、静圧用ゲージ15dは、静圧用ダイアフラム17の周縁の内側に形成されている。
【0034】
静圧用ゲージ15b・15dは、差圧用ゲージ5と同様の歪ゲージである。従って、センサチップ10が歪むと、ピエゾ抵抗効果によって、各静圧用ゲージ15b・15d抵抗が変化する。静圧用ゲージ15b・15dは、差圧用ゲージ5と同様にブリッジ回路に接続されている。これにより、静圧を測定することができる。なお、静圧用ゲージ15b・15dは、
図3に示すように、センサチップ10の表面に形成されている。静圧用ゲージ15b・15dの長手方向の両端に、配線(不図示)が接続される。そして、差圧用ゲージ5と同様に、静圧用ゲージ15b・15dはブリッジ回路に結線される。
【0035】
ここで、静圧用ダイアフラム17は、差圧用ダイアフラム4の差圧用ゲージ5が形成されていない辺の外側に形成されている。すなわち、差圧用ダイアフラム4において、角C側の辺に差圧用ゲージ5が形成されているため、角Cと差圧用ダイアフラム4の間には、静圧用ダイアフラム17が形成されていない。差圧用ゲージ5が形成された差圧用ダイアフラム4の1辺(角C側の辺)とは異なる辺(角D側の辺)からセンサチップ10の端までの間に、静圧用ダイアフラム17が配置されている。
【0036】
これにより、静圧印加時における差圧用ゲージ5に対する影響が低減される。差圧用ゲージ5を差圧用ダイアフラム4の各辺に配置した構成よりも、差圧用ゲージ5と静圧用ダイアフラム17の距離を取ることができる。よって、差圧をより正確に測定することができる。また、静圧用ダイアフラム17を差圧用ダイアフラム4の外周部に4つ設けた構成よりも、静圧用ゲージ15と差圧用ダイアフラム4の距離を取ることができる。よって、差圧印加時における、静圧用ゲージ15b・15dへの影響を低減することができる。これにより、静圧をより正確に測定することができる。このように、静圧及び差圧を正確に測定することができるようになる。差圧用ダイアフラム4と静圧用ゲージ15b・15dとの間隔を広くすることができる。このため、隣接するダイアフラムで発生する応力の影響を小さくすることができる。すなわち、静圧と差圧との干渉によって発生するクロストークの影響を抑制することができる。
【0037】
差圧用ダイアフラム4の1辺上に、本発明における第1の差圧用ゲージに相当する径方向の差圧用ゲージ5cと、本発明における第2の差圧用ゲージに相当する周方向の差圧用ゲージ5bと、を形成する。すなわち、直交する方向に形成された2つの差圧用ゲージ5b・5cが差圧用ダイアフラム4の同一辺上に形成される。そして、この1辺に設けられた2つの差圧用ゲージ5b・5c(及び図示されていない2つの外部固定抵抗)でブリッジ回路を形成する。さらに、静圧用ダイアフラム17を差圧用ゲージ5が設けられていない方向に配置する。すなわち、差圧用ゲージ5が設けられていない辺の外側に、静圧用ダイアフラム17を形成する。このような構成とすることで、静圧及び差圧を正確に測定することができる。すなわち、小型で高性能な圧力センサを実現することができる。なお、本実施形態においては、差圧用ゲージ5b・5cを差圧用ダイアフラム4の辺上に形成したが、差圧用ダイアフラムの端部近傍で最大応力が発生する箇所に形成されていればよい。
【0038】
また、センサチップ10は、台座11と接合されている。台座11とセンサチップ10が接合されている領域を接合領域13Aとする。また、台座11とセンサチップ10とが接合されていない領域を非接合領域13とする。すなわち、
図3に示すように、台座11の角C側の端部には薄肉部が形成され、その他の部分には厚肉部が形成されている。薄肉部では厚肉部よりも高さが低くなっている。この厚肉部がセンサチップ10と接合される。一方、薄肉部では、台座11とセンサチップ10が接合されていない。
【0039】
ここで、非接合領域13は、角C側に形成されている。そして、非接合領域13は三角形状になっている。すなわち、非接合領域13は角Cを頂点とする直角二等辺三角形となっている。非接合領域13を除く領域が接合領域13Aとされており、この接合領域13Aの中央に貫通孔18が形成されている。台座11に設けられた貫通孔18は、差圧用ダイアフラム4まで連通している。これにより、貫通孔18が導入ポートとなり、差圧用ダイアフラム4まで、気体を導入することができる。接合領域13Aと非接合領域13との境界線は、対角線ABと平行になっている。このように、非接合領域13を設ける方向が、静圧用ダイアフラム17を設ける方向と異なっている。すなわち、中心Oと角Cとの間の領域には非接合領域13が設けられ、中心Oと角Dとの間の領域には静圧用ダイアフラム17が設けられている。
【0040】
対角線AB方向に生じる応力と、それと垂直な対角線CD方向に生じる応力と、が等しくなるように、非接合領域13及び接合領域13Aの寸法を調整する。このような構成とすることによって、温度特性を向上することができる。すなわち、特許第3359493号公報に示すように、温度によるゼロシフトとそのばらつきを最小にし、良好な温度特性を持たせることができる。さらに、非接合領域13の周辺に静圧用ダイアフラム17が配置されない構成とすることができる。よって、非接合領域13を形成するスペースを確保することができる。これにより、小型で高性能な圧力センサを実現することができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る圧力センサの製造方法について説明する。まず、圧力センサに用いられているセンサチップ10の製造工程について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、センサチップ10の製造方法を示す図であり、センサチップ10を上から見た構成を示している。
図5は、センサチップ10の製造工程を示す工程断面図であり、
図4のV−V断面の構成を示している。
【0042】
まず、第1半導体層1と、0.5μm程度の厚さの絶縁層2と、第2半導体層3と、からなるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを用意する。このSOIウエハを作製するには、Si基板中に酸素を注入してSiO
2 層を形成するSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)技術を用いてもよいし、2枚のSi基板を貼り合わせるSDB(Silicon Direct Bonding)技術を用いてもよいし、その他の方法を用いてもよい。なお、第2半導体層3を平坦化及び薄膜化してもよい。例えば、CCP(Computer Controlled Polishing )と呼ばれる研磨法等により、所定の厚さまで第2半導体層3を研磨することができる。
【0043】
第2半導体層3の上面に、不純物拡散あるいはイオン打ち込み法によってp型Siからなる静圧用ゲージ15b・15dを形成する。これにより、
図4(a)及び
図5(a)に示す構成となる。もちろん、この工程で、差圧用ゲージ5b・5cを形成することもできる。各ゲージは、
図1等で示したように、各ダイアフラムとなる箇所の所定の位置に形成されている。なお、差圧用ゲージ5b・5c、静圧用ゲージ15b・15dを、下記に示すダイアフラムの形成工程の後に形成してもよい。もちろん、差圧用ゲージ5を静圧用ゲージ15b・15dと違う特性にしてもよい。
【0044】
このようにして形成されたSOIウエハの下面にレジスト9を形成する。レジスト9のパターンは、公知のフォトリソグラフィー工程によって、第1半導体層1上に形成される。すなわち、感光性樹脂膜を塗布し、露光、現像することで、レジスト9のパターンが形成される。レジスト9は、感圧領域(ダイアフラムが形成される領域)に相当する部分に開口部を有している。すなわち、ダイアフラムを形成する部分では、第1半導体層1が露出している。これにより、
図5(b)に示す構成となる。
【0045】
そして、レジスト9をマスクとして、第1半導体層1をエッチングする。これにより、
図5(c)に示す構成となる。例えば、公知のICPエッチングなどのドライエッチングを用いて、第1半導体層1をエッチングすることができる。もちろん、KOHやTMAH等の溶液を用いたウェットエッチングにより、第1半導体層1をエッチングしてもよい。第1半導体層1をエッチングすると、差圧用ダイアフラム4及び静圧用ダイアフラム17が形成される。ここで、絶縁層2がエッチングストッパとして機能している。従って、レジスト9の開口部からは、絶縁層2が露出している。
【0046】
そして、レジスト9を除去すると、
図4(b)及び
図5(d)に示す構成となる。この後、静圧用ゲージ15b・15d及び差圧用ゲージ5と電気的接続を得るための配線(不図示)を形成する。これにより、ブリッジ回路が形成され、センサチップ10が完成する。なお、配線を形成する工程は、
図5(d)よりも前に行われてもよい。例えば、
図5(a)の前に、配線を作成してもよく、
図5(a)〜
図5(c)の間に、配線を作成してもよい。また、上記のように、静圧用ゲージ15b・15d及び差圧用ゲージ5の形成を
図5(d)の後に行ってもよく、
図5(a)〜
図5(d)の間に行ってもよい。すなわち、配線の形成工程と歪ゲージの形成工程の順番は、特に限定されるものではない。
【0047】
また、差圧用ダイアフラム4と静圧用ダイアフラム17のエッチング工程を別々に行ってもよい。例えば、異なる2種類のレジストパターンを用いて、差圧用ダイアフラム4と静圧用ダイアフラム17のエッチングをそれぞれ実施する。すなわち、差圧用ダイアフラム4を設けるためのレジストパターンを形成した後、エッチングする。差圧用ダイアフラム4を形成した後、レジストを除去する。その後、静圧用ダイアフラム17を設けるためのレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして用いてエッチングを行うと、静圧用ダイアフラム17が形成される。このように、異なるエッチング工程で差圧用ダイアフラム4と静圧用ダイアフラム17を設けることによって、差圧用ダイアフラム4と静圧用ダイアフラム17を違う厚さにすることができる。もちろん、静圧用ダイアフラム17を形成した後、差圧用ダイアフラム4を形成してもよい。
【0048】
次に、台座11の製造工程について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、台座11の製造方法を示す図であり、台座11を上から見た構成を示している。
図7は、台座11の製造工程を示す工程断面図であり、
図6のVII−VII断面の構成を示している。
【0049】
まず、
図6(a)及び
図7(a)に示すように、台座11となる基板を用意する。基板としては、パイレックス(登録商標)ガラスやセラミックなどの平坦な基板が用いられる。そして、台座11の上に、マスクとなるレジスト19を形成する。これにより、
図7(b)に示す構成となる。レジスト19は、公知の露光、現像処理によってパターニングされている。このレジスト19は、非接合領域13となる部分で除去されている。すなわち、非接合領域13となる部分は台座11から露出し、接合領域13Aとなる部分では台座11がレジスト19で覆われている。
【0050】
そして、レジスト19をマスクとしてエッチングを行うと、
図6(b)及び
図7(c)に示す構成となる。台座11の角Cに相当する端部には凹部が形成され、残りの部分は凸部とされている。すなわち、台座11が部分的に薄くなって、台座11に厚肉部と薄肉部が形成される。薄肉部は、厚肉部よりも薄くなっている。この薄肉部は非接合領域13に形成される。ここでは、HFなどを用いたウェットエッチングによって、台座11に薄肉部を形成している。あるいは、サンドブラストなどで、薄肉部を形成してもよい。
【0051】
そして、レジスト19を除去して、貫通孔18を形成する。すなわち、台座11の中央に、円形の貫通孔18を形成する。これにより、
図6(c)に示す構成となる。貫通孔18は、例えば
図7(d)の上側に示すように、ドリル穴加工で形成することができる。あるいは、
図7(d)の下側に示すように、両面サンドブラスト加工で形成してもよい。なお、両面サンドブラスト加工で形成する場合は、台座11の両面に、マスク29を形成する。このようにして台座11が完成する。
【0052】
そして、センサチップ10と台座11とを接合する。例えば、陽極接合によって台座11がセンサチップ10の第1半導体層1に接合される。台座11の中心には、差圧用ダイアフラム4に到達する貫通孔18が形成されている。貫通孔18が差圧用ダイアフラム4に連通している。また、角Cの周辺には、非接合領域13が形成されている。こうして圧力センサの作製が終了する。このように作成された圧力センサは、小型で高性能のものとなる。
【0053】
なお、上記の説明では、センサチップ10と差圧用ダイアフラム4の形状を45°傾いた正方形したが、これらの形状は、正方形に限られるものではない。例えば、センサチップ10と差圧用ダイアフラム4の形状を多角形状にしてもよい。差圧用ダイアフラム4の1辺上に差圧用ゲージ5b・5cを配置し、その1辺と対向する1辺の外側に静圧用ダイアフラム17及び静圧用ゲージ15b・15dを配置する。これにより、温度特性が高く、クロストークが低減された圧力センサを容易に実現することができる。あるいは、センサチップ10と差圧用ダイアフラム4を円形としてもよい。この場合においても、差圧用ゲージ5bを差圧用ゲージ5cの近傍に配置する。このようにすれば、クロストークが低減された圧力センサを容易に実現することができる。
【0054】
また、上記の説明では、静圧用ダイアフラム17を長方形として説明したが、静圧用ダイアフラム17の形状は長方形に限られるものではない。例えば、静圧用ダイアフラムを楕円形などにしてもよい。換言すれば、静圧用ダイアフラム17は、長手方向と短手方向を有している形状であればよい。そして、長手方向と直交する短手方向を径方向に沿って配置すればよい。静圧用ゲージ15b・15dの長手方向を静圧用ダイアフラムの長手方向に沿って配置する。すなわち、静圧用ゲージ15b・15dの長手方向が周方向に沿って配置される。また静圧用ゲージ15b・15dを静圧用ダイアフラム17の基板端側の端部に形成したが、基板中心側の端部に形成してもよい。さらに静圧用ゲージ15b・15dを静圧用ダイアフラム17の辺上に形成したが、静圧用ダイアフラムの端部近傍で最大応力が発生する箇所に形成されていればよい。
【0055】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る圧力センサの構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、圧力センサに用いられるセンサチップの構成を示す上面図である。本実施の形態では、静圧用ゲージ15b・15dの配置が第1実施形態と異なっている。また静圧用ダイアフラム17が正方形状となった構成を有している。これらの配置以外の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。そして、
図8(a)及び
図8(b)では、静圧用ゲージ15b・15dがそれぞれ異なる配置になっている。
【0056】
まず、
図8(a)に示すセンサチップの構成について説明する。1つの正方形状の静圧用ダイアフラム17が形成されている。
図8(a)では、2つの静圧用ゲージ15b・15dが対角線CDと平行になっている。本実施形態では、2つの静圧用ゲージ15b・15dが静圧用ダイアフラム17の端部に配置されている。そして、静圧用ダイアフラム17の隣接する2辺に静圧用ゲージ15b・15dが配置されている。静圧用ゲージ15bは、静圧用ダイアフラム17の対角線ABと平行な辺上に配置されており、それが配置された静圧用ダイアフラム17の1辺と垂直になっている。一方、静圧用ゲージ15dは、静圧用ダイアフラム17の対角線CDと平行な辺上に配置されており、それが配置された静圧用ダイアフラム17の1辺と平行になっている。このような構成であっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
次に、
図8(b)に示すセンサチップの構成について説明する。
図8(b)に示す構成では、
図8(a)の構成に対して静圧用ゲージ15b・15dの方向が異なっている。それ以外の構成については、第1実施形態及び
図8(a)に示した構成と同様であるため説明を省略する。
図8(b)に示すように、静圧用ゲージ15b・15dは、対角線ABに平行になっている。そして、2つの静圧用ゲージ15b・15dが静圧用ダイアフラム17の端部に配置されており、静圧用ダイアフラム17の隣接する2辺に静圧用ゲージ15b・15dが配置されている。静圧用ゲージ15bは、静圧用ダイアフラム17の角D側の1辺に配置されており、その1辺と平行になっている。一方、静圧用ゲージ15dは、それが配置された静圧用ダイアフラム17の1辺と垂直になっている。このような構成においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
このように本実施の形態では、静圧用ダイアフラム17の隣接する2辺上にそれぞれ静圧用ゲージが配置されている。そして、一方の辺上では、静圧用ゲージがその辺と垂直になり、他方の辺上では静圧ゲージがその辺と平行になっている。もちろん、
図8(a)〜
図8(c)以外の構成としてもよい。