(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粒径の異なる粒状材が混在した粒状材料Sを複数に分割して各分割粒状材群の撒き出し画像Gjを撮影し、前記画像Gj毎に各粒状材の輪郭から面積e及び粒径dと粒状材全体の投影面積Ejとを検出し、前記画像Gj毎の各粒状材の粒径dから所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出し、前記画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値により前記分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測してなる粒状材料の分割式粒度計測方法。
請求項1又は2の計測方法において、前記粒状材料S中の最大粒径を測定し、その最大粒径の1〜3倍長さを一辺とする矩形面積で前記各分割粒状材群を撒き出してなる粒状材料の分割式粒度計測方法。
請求項1から3の何れかの計測方法において、前記粒状材料Sから所定限界粒径D未満の微小粒状材を分離すると共に分離前後の粒状材料Sの重量及び含水率を測定し、前記分離後の粒状材料Sを複数に分割して各分割粒状材群の撒き出し画像Gjを撮影すると共に前記重量及び含水率の測定値から粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)を演算し、前記画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値と微小粒状材の加積通過率P(D)とから前記分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測してなる粒状材料の分割式粒度計測方法。
請求項1から4の何れかの計測方法において、前記画像Gj毎の各粒状材の粒径dから、当該画像Gjの加積通過率Pj(di)の算出に代えて、当該画像Gjの粒状材全体の投影面積Ejに対する所定粒径di以上の粒状材の面積割合(=Σe/Ej)を所定粒径diの粒度インデクスIj(di)として算出し、前記粒状材料Sの標本Tから求めた所定粒径diの粒度インデクスI(di)と当該標本T中の所定粒径di以下の粒状材の加積通過率P(di)との関係式に基づき、前記画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの粒度インデクスIj(di)の全画像にわたる面積平均値I(di)を前記分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)に変換してなる粒状材料の分割式粒度計測方法。
粒径の異なる粒状材が混在した粒状材料Sを複数に分割した各分割粒状材群の撒き出し画像Gjを撮影する撮像装置、前記画像Gj毎に各粒状材の輪郭から面積e及び粒径dと粒状材全体の投影面積Ejとを検出する検出手段、前記画像Gj毎の各粒状材の粒径dから所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する算出手段、並びに前記画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値により前記分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測する計測手段を備えてなる粒状材料の分割式粒度計測システム。
請求項6の計測システムにおいて、前記粒状材料から所定限界粒径D未満の微小粒状材を分離する分離装置、前記分離前後の粒状材料の重量及び含水率を測定する測定器、並びに前記重量及び含水率の測定値から粒状材料中の微小粒状材の加積通過率P(D)を求める演算手段を設け、前記計測手段により、前記画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値と微小粒状材の加積通過率P(D)とから前記分割前の粒状材料の所定粒径diの加積通過率P(di)を計測してなる粒状材料の分割式粒度計測システム。
請求項6又は7の計測システムにおいて、前記算出手段により、前記画像Gj毎の加積通過率Pj(di)の算出に代えて、当該画像Gj毎の粒状材全体の投影面積Ejに対する所定粒径di以上の粒状材の面積割合(=Σe/Ej)を所定粒径diの粒度インデクスIj(di)として算出し、前記粒状材料の標本Tから求めた所定粒径diの粒度インデクスI(di)と当該標本T中の所定粒径di以下の粒状材の加積通過率P(di)との関係式を記憶する記憶手段を設け、その関係式に基づき前記計測手段により画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの粒度インデクスIj(di)の全画像にわたる面積平均値I(di)を前記分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)に変換してなる粒状材料の分割式粒度計測システム。
【背景技術】
【0002】
ダム・堤防・路体・路盤・路床・コンクリート・舗装・植栽基盤等の土木構造物を構築する場合に、粒度が調整された骨材や砕石ではなく、現場付近の地山等の採取場で調達された地盤材料、原石を破砕装置等で砕いただけの岩砕材料その他の粒状材料S(粒径の異なる粒状材が混在した土木材料)を用いる工法を採用する場合がある(例えば非特許文献1のCSG(Cemented Sand and Gravel)工法等)。このような粒状材料Sを用いる工法(CSG工法等)では、材料合理化の観点から、調達した粒状材料S(CSG材)に水及びセメントを混合してそのまま土木構造物の材料(CSG)とすることが多く、構造物の品質(特に強度)を確保するために粒状材料Sの粒度が規定範囲内にあるか否かを確認・管理することが必要となる。
【0003】
図13は、CSG工法によって構築する土木構造物の強度管理方法の一例を示す(ひし形理論、非特許文献1参照)。先ず、粒状材料S(CSG材)の粒度について数多くの粒度試験を行い、粒度が最も粗い標本Tr(大径粒状材の含有率が最も多い標本。以下、最粗粒標本ということがある)と粒度が最も細かい標本Ts(小径粒状材の含有率が最も多い標本。以下、最細粒標本ということがある)とを選定する。次いで、最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの範囲内の粒状材料Sを用いたCSGについて単位水量を変えながら強度試験を行い、強度不足となる下限値と施工に不向きな上限値とを検出する。そのうえでCSGの製造時ないし打設時に、CSGの粒度及び単位水量を、最粗粒標本Trの粒度−強度曲線(図中の点線)と最細粒標本Tsの粒度−強度曲線(図中の実線)と2本の許容単位水量範囲を示す縦線とで囲まれた「ひし形」(斜線部分)の規定範囲内となるように管理する。図示例のひし形の規定範囲内で最も低い強度はCSG強度と呼ばれ、このひし形の範囲内にあるCSGを用いることで構造物にCSG強度以上の強度を確保することができる。
【0004】
一般に粒状材料Sの粒度は、混在している各粒状材の粒径dを横軸(対数軸)とし、その粒径d以下の粒状材の全体に対する質量百分率P(d)(粒径dの粒状材より小径の粒状材の総質量/粒状材全体の総質量×100。以下、加積通過率ということがある)を縦軸(線形軸)とした片対数グラフ、すなわち
図12に示すような粒径加積曲線P(d)によって表される。従って、
図12のように粒状材料Sの最粗粒標本Trの粒径加積曲線Pr(d)と最細粒標本Tsの粒径加積曲線Ps(d)とを予め求めておき、継続的に供給される粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)が粒径加積曲線Pr(d)と粒径加積曲線Ps(d)とで囲まれた範囲(規定範囲)内にあるか否かを確認すれば、
図13のひし形理論に基づく粒度の品質管理が実現できる。
【0005】
しかし、様々な粒径dの粒状材が混在している粒状材料Sの粒径加積曲線Pを作成するためには、例えばダム等の土木工事において1回当たり数百〜数千kgにもなる大量の粒状材料Sを何度も篩い分けする作業と、篩い分け毎(篩目のサイズ毎)に通過率(通過質量)を求める作業とが必要であり、しかも現段階ではそれらを全て人力で行う必要があるため、多大な労力と時間を要する問題点がある。CSG工法の品質管理では、とくに施工開始当初において使用する粒状材料Sの粒度をできるだけ頻繁に(例えば1回/1時間で)確認することが望ましいとされているが(非特許文献1参照)、多大な労力・時間を要する篩い分け作業を繰り返すことは土木工事の進捗上の問題ともなるので、粒状材料Sの粒度を簡単に計測できる技術の開発が望まれている。
【0006】
これに対し本発明者らは、コンピュータによる画像解析技術を用いて粒状材料Sの粒度を求めるシステムを開発し、特許文献1及び2に開示した。従来から、粒状材料S中の各粒状材の輪郭をコンピュータの画像解析により特定し、その輪郭から各粒状材の形状をモデル化して粒度分布曲線を作成する方法が知られている(特許文献3及び4参照)。しかし、従来の画像解析方法は粒状材料Sのうち輪郭の検出できる範囲の粒状材の粒度分布を求めるのみであり、輪郭の検出されない粒状材の材料全体に対する割合を求めることができない問題点がある。上述したCSG工法において粒状材料Sの粒度を管理するためには、粒状材料S中の粒径d毎に全体に対する割合として加積通過率P(d)を求めて粒径加積曲線P(d)を作成する必要があるが、例えばロックフィルダム等で用いる粒状材料Sは最大粒径(1m以上)が最小粒径(0.1mm以下)の1万倍以上にも達する粒径分布幅の広いものであり、そのような粒径分布幅の非常に広い粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)を従来の画像解析方法で作成することは困難であった。
【0007】
図9は、特許文献1の開示する粒状材料Sの粒度計測システムの一例を示す。図示例のシステムは、所定の採取場(地山や地層)1又は破砕装置2で採取された粒状材料Sの体積Vを測定する測定装置9と、体積計測後の粒状材料Sを薄く撒き出した画像G(
図10(A)参照)を撮像する撮像装置5と、粒状材料Sの標本Tから予め求めた所定粒径D未満の微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)をその標本T中の微小粒状材の加積通過率P(D)の関数U、Rとして記憶する記憶手段16付きコンピュータ10とを有する。またコンピュータ10には、撮像装置5による粒状材料Sの撒き出し画像Gから所定粒径D以上の大径粒状材の輪郭(
図10(B)及び(C)参照)を検出する画像解析手段31と、その輪郭の検出値から大径粒状材の各々の体積vを算出して粒径加積曲線P(d≧D)を作成する作成手段37と、大径粒状材の体積vの合計Σvと粒状材料Sの全体積Vの測定値とから粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)(=V−Σv)を算出し且つそ加積通過率P(D)から関数U、Rにより微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を推定する推定手段38と、作成手段37で作成した粒径加積曲線P(d≧D)と推定手段38で推定した粒径加積曲線P(d≦D)とを合成する合成手段39(
図11参照)を設けている。
【0008】
図9の粒度計測システムによれば、画像解析によって輪郭が検出できる大径粒状材の粒径加積曲線P(d≧D)から輪郭が検出できない微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を推定し、両者を合成して
図11のように粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)とすることにより、上述したように粒径分布幅の非常に広い粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)を画像解析によって迅速・簡単に作成することができる。そして、粒径加積曲線P(d)を迅速に作成できることから、例えばCSG工法において粒状材料Sの粒度管理の頻度を大幅に増やし、CSG工法により構築される土木構造物の品質管理の精度向上を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし
図9の粒度計測システムは、微小粒状材を含む粒径分布幅の広い粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)を画像解析処理により迅速・簡単に作成することができ、従来の篩い分け方法に比して粒径加積曲線P(d)の作成に要する労力・時間を大幅に削減できるものの、上述したCSG工法等の土木工事では数百〜数千kgにも及ぶ大量の粒状材料Sの粒度を計測する必要があるので、その撒き出し画像G(
図10(A)参照)を撮影するための準備作業(撒き出し作業又は片付け作業)に依然として甚大な労力・時間を要する問題点がある。すなわち、
図9において粒状材料Sの撒き出し画像Gを撮影するためには、所定粒径D以上の大径粒状材の輪郭が検出できるような所定厚さ(例えば、所定粒径D以下の厚さ)に粒状材料Sを撒き出す必要があるが(
図5(A)参照)、粒状材料Sの量が多くなると撒き出し面積(A×B)も大きくなるのでその撒き出し作業に労力・時間がかかると共に、撒き出し面積の全体が写り込むように撮像装置5の設置高さh(粒状材料Sの撒き出し面から撮像装置5までの距離h≒(A/2)/tan(θ/2)、ただしA≒B、θは撮像装置の画角)も大きくする必要があるので撮影装置5の支持枠等も大型化・大規模化する必要が生じる。
【0012】
本発明者の実験によれば、例えば1m以上の大粒径の粒状材を含む数百〜数千kgの粒状材料Sを対象として
図5(A)のような撒き出し画像Gを撮影する場合は、5m×5m以上の撒き出し面積が必要であり、撮像装置5の設置高さhも7m以上とする必要がある。このように撒き出し面積が大きくなると、単に撒き出し・敷き均し作業の負担が大きくなるだけでなく、撮像装置5の高さhの増大に伴って撒き出し画像Gから輪郭を検出できる粒状材の粒径にも限界が生じるので、画像Gからの粒状材の輪郭検出精度が低下し、ひいては粒状材料Sの粒度管理の精度低下を招くおそれもある。このため、大粒径の粒状材を含む大量の粒状材料Sの粒度を短時間で精度よく計測できる技術の開発が望まれている。
【0013】
そこで本発明の目的は、大粒径の粒状材を含む粒状材料の分割式粒度を短時間で精度よく計測する方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
図1のブロック図及び
図2の流れ図を参照するに、本発明による粒状材料の分割式粒度計測方法は、粒径dの異なる粒状材sが混在した粒状材料Sを複数に分割して各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gj(
図10(A)参照)を撮影し、その撒き出し画像Gj毎に各粒状材sの輪郭から面積e及び粒径dと粒状材全体の投影面積Ejとを検出し、前記画像Gj毎の各粒状材sの粒径dから所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出し、撒き出し画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値(=(ΣPj(di)・Ej)/ΣEj)により分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測してなるものである。
【0015】
また、
図1のブロック図を参照するに、本発明による粒状材料の分割式粒度計測システムは、粒径dの異なる粒状材sが混在した粒状材料Sを複数に分割した各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gj(
図10(A)参照)を撮影する撮像装置5、その撒き出し画像Gj毎に各粒状材sの輪郭から面積e及び粒径dと粒状材全体の投影面積Ejとを検出する検出手段17、撒き出し画像Gj毎の各粒状材sの粒径dから所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する算出手段18、並びに撒き出し画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値(=(ΣPj(di)・Ej)/ΣEj)により分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測する計測手段19を備えてなるものである。
【0016】
好ましくは、
図1に示すように、各分割粒状材群Sjを一定面密度又は一定厚さに撒き出す撒き出し装置4を設ける。撒き出し装置4を設ければ、撒き出し条件の一定化によって撮影条件も一定化することができ、撒き出し条件の変動に起因する計測値の変動要因を除去することができる。また、予め粒状材料S中の最大粒径を測定しておき、その最大粒径の1〜3倍長さを一辺とする矩形面積で各分割粒状材群Sjを撒き出すことが望ましい。
【0017】
望ましくは、
図1に示すように、粒状材料Sから所定限界粒径D未満の微小粒状材を分離する分離装置6、分離前後の粒状材料Sの重量M及び含水率Zを測定する測定器7、8、並びに重量M及び含水率Zの測定値から粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)を求める演算手段22を設け、計測手段19において、撒き出し画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値(=(ΣPj(di)・Ej)/ΣEj)と微小粒状材の加積通過率P(D)とから分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測する。
【0018】
更に好ましくは、算出手段18により、撒き出し画像Gj毎の加積通過率Pj(di)の算出に代えて、撒き出し画像Gj毎の粒状材全体の投影面積Ejに対する所定粒径di以上の粒状材の面積割合(=Σe/Ej)を所定粒径diの粒度インデクスIj(di)として算出し、粒状材料Sの標本Tから求めた所定粒径diの粒度インデクスI(di)とその標本T中の所定粒径di以下の粒状材の加積通過率P(di)との関係式K(
図6参照)を記憶する記憶手段16を設け、その関係式Kに基づき、計測手段19により画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの粒度インデクスIj(di)の全画像にわたる面積平均値I(di)(=(ΣIj(di)・Ej)/ΣEj)を分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)に変換する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による粒状材料の分割式粒度計測方法及びシステムは、粒状材料Sを複数に分割したうえで各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gjを撮影し、その撒き出し画像Gj毎に各粒状材sの輪郭から面積e及び粒径dと粒状材全体の投影面積Ejとを検出して所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出し、撒き出し画像Gj毎の投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの加積通過率Pj(di)の全画像にわたる面積平均値により分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測するので、次の有利な効果を奏する。
【0020】
(イ)粒状材料Sを複数に分割したうえで撒き出し画像Gjを撮影するので、撒き出し面積を比較的小さく抑え、粒状材料Sの撒き出し・敷き均し作業の短時間化、簡単化を図ることができる。
(ロ)また、撒き出し面積を小さく抑えることにより、その面積全体が写り込む撮像装置5の高さhの比較的低く抑え、撮像装置5の小型化が図れると共に、撮像装置5の高さの増大(撒き出し面からの離隔)に伴う画像Gj中の粒状材の輪郭検出精度の低下、ひいては粒状材料Sの粒度計測精度の低下を抑えることができる。
(ハ)更に、粒状材料Sを分割したうえで撒き出し画像Gjを撮影するので、各分割粒状材群Sjについて撒き出し画像Gjの撮影を同時並行に進めることにより、粒状材料Sの粒度計測に要する時間を大幅に削減することも可能となる。
(ニ)撒き出し画像Gj毎に所定粒径diの加積通過率Pj(di)の算出に代えて粒度インデクスIj(di)を算出し、画像Gj毎の粒度インデクスIj(di)から分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)に変換することにより、画像Gj毎に加積通過率Pj(di)を算出する手間を省き、粒状材料Sの粒度計測の更なる迅速化、簡単化を図ることができる。
(ヘ)とくに1m以上の大粒径の粒状材を含む大量の粒状材料Sの粒度を短時間で計測することが可能となり、例えばロックフィルダム建設工事等の粒状材料Sを用いた建設工事に適用した場合に、粒状材料Sの品質管理の容易化を図ると共に粒度管理の頻繁を増やすことで品質管理の高精度化を図ることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の分割式粒度計測システムのブロック図を示す。図示例のシステムは、粒状材料Sを複数の分割粒状材群Sjに小分けして撒き出す撒き出し装置4と、各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gj(
図10(A)参照)を撮影する撮像装置5と、各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gjを入力して分割前の粒状材料Sの粒度を計測するコンピュータ10とを有する。例えばCSG工法で土木構造物を構築する場合に、構築現場付近の採取場(地山や地層)1で調達してダンプトラック等の運搬機械3で工事現場へ継続的に供給される地盤材料等の全体又は一部を品質管理用の粒状材料Sとし、その運搬単位毎に粒状材料Sの粒度を計測して品質を管理する。運搬機械3で搬送する材料が均質とみなせる場合は、運搬機械3上の一部を管理対象の粒状材料Sとすれば足りる。なお、本発明の適用対象は地山等から調達される地盤材料等に限らず、例えば原石を所定破砕装置2で破砕して継続的に供給される岩砕材料等の粒状材料Sにも広く適用可能である。
【0023】
図示例の撒き出し装置4は、粒状材料Sを複数の分割粒状材群Sjに分割してそれぞれ所定面積に一定面密度となるように撒き出すものである。例えば最大粒径Dmaxが1m以上の大粒径の粒状材sを含む数百〜数千kgの粒状材料Sの全体を
図5(A)のように撒き出し面積(A×B)で撒き出す場合、本発明者の実験によれば、撒き出し面積の一辺A(及びB)を最大粒径Dmaxの4〜10倍程度に設定する必要があり、その撒き出し作業の労力・時間が大きくなると共に、その全体が写り込む撮像装置5の高さhも大きくする必要が生じる。これに対し、例えば
図5(B)のように粒状材料Sを分割して撒き出し面積の一辺aj(及びbj)を最大粒径Dmaxの1〜3倍程度に設定すれば、短時間での撒き出し作業が可能になると共に、撮像装置5の高さの増大(撒き出し面からの離隔)を防ぐことができる。
【0024】
例えば、分割前の粒状材料S中の最大粒径Dmaxを予め測定しておき、各分割粒状材群Sjをその最大粒径Dmaxの1〜3倍の一辺長さの矩形面積に順次撒き出して画像Gjを撮影する。こうすれば、粒状材料Sの全体を撮影する場合に比して画像枚数は増えるが、各画像の撮影準備作業(撒き出し作業及び片付け作業)の短時間化・簡単化を図ると共に、画像からの粒状材輪郭の検出精度ひいては粒状材料Sの粒度計測精度を高めることができる。最大粒径Dmaxは一般に粒状材料S中の全ての粒状材sが通過する篩の最小呼び寸法として定義されるが、例えば同じ採取場で採取された粒状材料Sからそのような最大粒径Dmaxを予め求め、本発明における各分割粒状材群Sjの撒き出しに利用することができる。
【0025】
望ましくは、分割前の粒状材料Sの全重量を測定し、その重量を均等分することで分割後の各分割粒状材群Sjの重量を揃えたうえで、それぞれ一定面積に撒き出す。各分割粒状材群Sjの重量及び撒き出し面積を揃えることで、一定面密度の撒き出し作業の効率化を図ることができる。なお、各分割粒状材群Sjの撒き出し面の形状および各辺の大きさは図示例に限定されず、例えば各辺の長さの比(aj/bj)を0.5〜1.5の範囲内で選択することができ、矩形面に代えて円形面状に撒き出すことも可能である。
【0026】
或いは、各分割粒状材群Sjの重量を測定し、その測定重量に応じて一定面密度(例えば10〜400kg/m
2程度)となるように各粒状材群Sjの撒き出し面積(aj×bj)を設定する。各粒状材群Sjが1m以上の大粒径粒状材を含有しており重量を直接測定することが難しい場合は、粒状材料Sの比重に応じて所定撒き出し面積(aj×bj)における各粒状材群Sjの撒き出し厚さを一定とすることで、面密度を一定にすることも可能である。その撒き出し厚さより大きな粒径の粒状材sはそのまま撒き出さざるを得ないが、その撒き出し厚さより小粒の粒状材sを一定厚さで撒き出すことで、各分割粒状材群Sjの撒き出し面密度の均一化を図ることができる。好ましくは、後述するように撒き出し画像Gjから所定限界粒径D(例えば5〜10mm)以上の粒状材の輪郭を全て検出可能とするため、所定限界粒径D以上の粒状材が埋もれない厚さに各分割粒状材群Sjを撒き出す。
【0027】
図示例の撮像装置5は、
図5(A)に示すように、撒き出し装置4で撒き出された分割粒状材群Sjの全体が写り込む高さhに下向きに設置されており、各分割粒状材群Sjの全体が写り込む撒き出し画像Gjを撮像する。上述したように本発明では、粒状材料Sを複数に分割して撒き出し面積を小さく抑えることで撮像装置5の大型化(撒き出し面からの離隔)を防ぐことができるので、例えば小型デジタルカメラ等の撮像装置5を用いて比較的高精細な撒き出し画像Gjを撮影することができる。
【0028】
図示例のコンピュータ10は、キーボード等の入力装置11と、ディスプレイ等の出力装置12と、一次又は二次記憶装置等の記憶手段16とを有する。またコンピュータ10は内蔵プログラムとして、撮像装置5から各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gjを入力する入力手段14と、その撒き出し画像Gj毎に分割粒状材群Sj中の各粒状材sの輪郭から面積e及び粒径dと粒状材全体の投影面積Ejとを検出する検出手段17と、その各粒状材sの粒径dから画像Gj毎に所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する算出手段18と、その画像Gj毎の所定粒径diの加積通過率Pj(di)から分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測する計測手段19と、計測した加積通過率P(di)等を出力装置12に出力する出力手段15とを有する。図示例のコンピュータ10の内蔵プログラムには、分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)から粒径加積曲線P(d)を作成する作成手段20、及びその粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)と最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの粒径加積曲線Pr(d)、Ps(d)とを比較して粒度品質を判定する判定手段21も含まれる。
【0029】
好ましくは、図示例のように、分割前の粒状材料Sから所定限界粒径D(例えば5〜10mm)未満の微小粒状材(シルト・粘土等)を分離する分離装置6を設け、分離装置6により粒状材料Sから微小粒状材を分離したうえで撒き出し装置4により複数に分割し、微小粒状材を分離した各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gjをコンピュータ10に入力する。例えば、画像Gjから輪郭を検出することが困難な限界粒径D未満の微小粒状材が分割粒状材群Sj中に多量に含まれていると、限界粒径D以上の粒状材が微小粒状材に埋もれてしまい、検出手段17において画像Gjから必要な粒状材の輪郭を検出することが難しくなる。また、微小粒状材が団子状に固まり又は大径の粒子にこびり付くことによって、検出手段17が各粒状材の粒径を誤認識し、検出した面積e及び粒径dに誤差を生じるおそれがある。予め分離装置6によって粒状材料Sから微小粒状材を分離しておくことにより、検出手段17における各粒状材の輪郭検出精度を高めることができる。使用する分離装置6は粒状材料S中の微小粒状材の状態に応じて異なりうるが、例えば微小粒状材が乾燥している場合は篩い分け装置とし、微小粒状材が湿潤して他の粒状材にこびり付いている場合は水洗い装置等とすることができる。ただし、分離装置6は本発明のシステムに必須のものではなく、例えば粒状材料S中に含まれる微小粒状材が少なく、検出手段17において粒状材の粒径を誤認識するおそれが小さいときは、分離装置6は省略可能である。
【0030】
図2は、
図1のシステムを用いた本発明による粒状材料Sの分割式粒度計測方法の流れ図を示す。以下、
図2の流れ図を参照して
図1のシステムを説明する。先ず
図2のステップS101は、上述した撒き出し装置4により粒状材料Sを複数に分割して撒き出し、撮像装置5により各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gj(
図10(A)参照)を撮像してコンピュータ10に入力する処理を示す。次いでステップS102〜S104において、入力した撒き出し画像Gj毎に、そこに写り込んだ分割粒状材群Sjについて所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する。
【0031】
ステップS102では、入力した撒き出し画像Gjをコンピュータ10の検出手段17に入力し、先ず
図10(C)に示すように画像G中の個々の粒状材の輪郭を検出する。例えば画像Gを画素の明暗に基づいて二値化処理し、その二値化画像からラベリングやパターンマッチング等の手法を用いて各粒子の輪郭を抽出する(
図10(B)参照)。望ましくは、上述したように画像Gjから所定限界粒径D(例えば5〜10mm)以上の粒状材の輪郭を全て検出する。
【0032】
またステップS102において、検出した各粒状材の輪郭から各粒状材の面積e及び粒径dを求め、面積情報(二次元情報)を体積情報(三次元情報)へ変換すると共に、粒状材全体の投影面積Ej(=Σe)を求める。例えば
図5(C)のように粒状材が球体とみなせる場合は、その粒状材の面積等価径を粒径dとし、その球体の断面積を面積eとする。或いは
図5(D)に示すように、各粒状材の輪郭に楕円形を(例えば最小二乗近似により)フィッティングさせて長径b・短径aを求め、その短径aを粒状材の粒径d(篩い径)とし、近似した楕円形の面積を粒状材の面積eとする。楕円近似に代えて各粒状材の輪郭に外接する最小矩形を求め、その最小矩形の短径aを粒径dとし、その最小矩形の面積を粒状材の面積eとしてもよい。或いは各粒状材の輪郭内部の画素数を面積に換算して各粒状材の面積eを算出することも可能である。
【0033】
次いでステップS103において、検出手段17で検出された各粒状材sの粒径dをコンピュータ10の算出手段18に入力し、撒き出し画像Gj毎の所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する。例えば、算出手段18により各粒状材sの粒径dから各粒状材を等価径の単純立体(球又は立方体)にモデル化して体積vを算出し、各粒状材の体積vを粒径dの降順に並べると共に全体積Vj(=Σv)を算出し、その全体積Vjに対する所定粒径diより小径の粒状材の割合として所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する。各粒状材sの体積vから加積通過率Pj(di)を算出する方法に代えて、粒状材料Sの各粒状材sの土粒子密度又は単位体積重量を予め求めておき、それらを用いて所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出することも可能である。好ましくは、複数の所定粒径di(例えば10mm、20mm、30mm、40mm等)について、それぞれ全体積Vjに対する所定粒径diより小径の粒状材の割合pを求めることにより、撒き出し画像G毎に複数の所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出する。ステップS104は、全ての撒き出し画像GjについてステップS102〜S103を繰り返すことを示す。
【0034】
ステップS102〜S104において全ての撒き出し画像Gjについて所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出したのち、その算出結果をステップS107においてコンピュータ10の計測手段19に入力し、分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測する。
図5(B)に示すように、粒状材料Sを分割した各分割粒状材群Sjの所定粒径diの加積通過率Pj(di)を、各分割粒状材群Sjの撒き出し面積(aj×bj)で重み付けしたうえで総計し、その総計を撒き出し面積の総計(=Σaj×Σbj=A×B)で除して平均値を求めることにより、分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)が得られる。具体的には、各画像Gjの投影面積Ejで重み付けされた所定粒径diの加積通過率Pj(di)の総計(=(ΣPj(di)・Ej)を求め、その加積通過率Pj(di)の総計を全画像Gjの投影面積Ejの総計(=ΣEj)によって除して面積平均値(=(ΣPj(di)・Ej)/ΣEj)を算出することにより分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を求める。或いは、各画像Gjの投影面積Ejで重み付けするのではなく、上述した各画像Gjに写り込んだ粒状材の全体積Vj(=Σv)で所定粒径diの加積通過率Pj(di)を重み付けし、それを全画面Gjの総計全体積V(=ΣVj)により除して体積平均値を算出することにより、分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を求めることも可能である。
【0035】
図2のステップS108は、分割前の粒状材料Sについて算出した所定粒径diの加積通過率P(di)をコンピュータ10の作成手段20に入力し、粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)を作成する処理を示す。
図7は、上述した分離装置6により所定限界粒径D未満の微小粒状材を分離した後の粒状材料Sについて、作成手段20で作成した所定限界粒径D以上の粒径加積曲線P(d≧D)の一例を示す。図示例の粒径加積曲線Pは、算出手段18において各撒き出し画像Gjの複数の所定粒径di(図示例では10mm、20mm、40mm)についてそれぞれ加積通過率Pj(di)を算出し、計測手段19において分割前の粒状材料Sの複数の所定粒径diにおける各加積通過率P(di)に変換したものである。
【0036】
ステップS109〜S110は、ステップS108で作成した粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)をコンピュータ10の判定手段21に入力し、判定手段21において、粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)を最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの粒径加積曲線Pr(d)、Ps(d)と比較して粒度品質を判定する処理を示す。このような最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsは、上述したように粒状材料Sの数多くの粒度試験によって予め選定し、その粒度試験で求めた粒径加積曲線Pr(d)、Ps(d)を例えばステップS101において記憶手段16に登録しておくことができる。或いは、
図7に示すように所定限界粒径D未満の微小粒状材を分離した粒状材料Sの粒径加積曲線P(d≧D)と対比する場合は、最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsから微小粒状材を分離した所定限界粒径D以上の粒径加積曲線Pr(d≧D)、Ps(d≧D)を作成して記憶手段16に登録しておくことができる(
図12も参照)。例えば、判定手段21により粒状材料の粒径加積曲線P(d≧D)が粒径加積曲線Pr(d≧D)、Ps(d≧D)の間の規定範囲内にあるか否か(正常か否か)、何れの粒径加積曲線Pr、Psの側に変動しているか(変動の傾向)等を確認することにより、粒状材料Sの粒度品質を判定する。
【0037】
図2のステップS111は、ステップS109〜S110において粒状材料Sの粒度品質が規定範囲外であると判定された場合に、必要に応じて粒状材料Sの粒度を調整する処理を示す。粒度の調整方法は、例えば
図7において粒状材料Sの粒径加積曲線P(d≧D)が最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの何れの側に外れているかによって相違するが、粒径加積曲線Pの判定結果を総合的に考慮して粒状材料Sの粒度を調整することができる。粒度調整後にステップS101へ戻り、上述したステップS101〜S110の処理をやり直す。ただし、ステップS111の粒度調整は本発明に必須の処理ではなく、ステップS111において
図13のひし形の規定範囲内となるように粒状材料Sに混合する単位水量を調整することも可能であり、規定範囲外であると判定された粒状材料Sを土木工事に使用しない場合はステップS111を省略できる。
【0038】
ステップS109〜S110で粒状材料Sの粒度品質が規定範囲内であると判定された場合はステップS112へ進み、例えば
図7の今回供給された粒状材料S
tの所定粒径diの加積通過率P
t(di)及び粒径加積曲線P
t(d≧D)を記憶手段16に累積記憶したのち、ステップS113において粒状材料Sの粒度計測を継続するか否かを判断する。継続する場合はステップS101へ戻り、次回供給される粒状材料S
t+1について上述したステップS101〜S118を繰り返し、所定粒径diの加積通過率P
t+1(di)を計測して粒径加積曲線P
t+1を作成する。ステップS112において粒状材料Sの加積通過率P(di)及び粒径加積曲線Pを記憶手段16に累積記憶しておくことにより、次回以降のステップS109〜S110の判定処理において、判定手段21により今回供給材料S
tの加積通過率P
t(di)又は粒径加積曲線P
t(d)と前回供給材料S
t−1の加積通過率P
t−1(di)又は粒径加積曲線P(d)
t−1とを比較して粒状材料Sの粒度の経時的変化(粒度変動)を判定し、粒状材料Sの粒度品質の変化を迅速に把握することが可能となる。
【0039】
本発明は、粒状材料Sを複数に分割したうえで撒き出し画像Gjを撮影し、複数の撒き出し画像Gjから分割前の加積通過率P(di)を計測し、さらに粒径加積曲線P(d)を作成するので、撒き出し面積を比較的小さく抑え、粒状材料Sの撒き出し・敷き均し作業の短時間化、簡単化を図ることができる。また、撒き出し面積全体が写り込む撮像装置5の高さhの比較的低く抑え、撮像装置5の高さの増大に伴う計測精度の低下、ひいては粒状材料Sの粒度計測精度の低下を抑えることができる。更に、各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gjの撮影を同時並行に進めることにより、粒状材料Sの粒度計測に要する時間を大幅に削減することも期待できる。
【0040】
こうして本発明の目的である「大粒径の粒状材を含む粒状材料の分割式粒度を短時間で精度よく計測する方法及びシステム」の提供を達成できる。
【実施例1】
【0041】
図4は、本発明による粒状材料Sの分割式粒度計測方法の他の流れ図を示す。上述した
図2の流れ図のステップS102〜103では、撒き出し画像Gj毎に各粒状材sの輪郭及び粒径dから体積vを算出すると共に全粒状材sの体積Vj(=Σv)を算出し、その全体積Vjに対する所定粒径diより小径の粒状材の割合として所定粒径diの加積通過率Pj(di)を算出している。ただし、例えば
図10(A)に示すような撒き出し画像Gから所定粒径di(例えば10mm)以下の全ての粒状材sの輪郭及び粒径dを検出することが画像解析上困難であることも多い。このような所定粒径di以下の粒状材sの検出に比して、その所定粒径di(例えば10mm)以上の粒状材の検出は画像解析上比較的容易であり、例えば撒き出し画像G中の粒状材全体の投影面積Ejに対する所定粒径di以上の粒状材sの面積eの総和(Σe)の面積割合Σe/E(以下、所定粒径diの粒度インデクスI(di)という)は比較的容易に精度よく求めることができる。
【0042】
図6は、同じ地山から採取された複数の粒状材料Sについて、それぞれ篩分け作業等の従来方法により粒径di=10mm、20mm、30mm、40mm以下の粒状材の加積通過率P(di)を求めると共に、その撒き出し画像Gから各粒径di=10mm、20mm、30mm、40mm以上の粒状材の粒度インデクスI(di)を算出し、それらの結果を二次平面(加積通過率P(d)を縦軸とし面積割合(Σe/E)を横軸とした平面)上にプロットしたものである。
図6のグラフは、粒状材料Sの異なる粒径diにおける加積通過率P(di)がそれぞれ、粒度インデクスI(di)の多次元回帰モデル(y=Σa
n・x
n)で表わせることを示している。
図6のような関係式(例えば多次元回帰モデル)を利用すれば、撒き出し画像Gから検出した所定粒径diの粒度インデクスI(di)に基づき、その所定粒径diの加積通過率P(d)を推定することができる。
図4の流れ図は、
図2(ステップS103)のように撒き出し画像Gj毎に加積通過率Pj(di)を算出することに代えて、撒き出し画像Gj毎の粒度インデクスI(di)を用いて粒状材料Sの粒度を計測する方法である。
【0043】
図4のステップS301〜S303は、コンピュータ10の関係式設定手段23(
図1参照)により、粒状材料Sの所定粒径diの粒度インデクスI(di)とその粒径di以下の粒状材の加積通過率P(di)との関係式Kを設定する初期処理を示す。先ずステップS301において、粒状材料Sの標本Tを用い、例えば
図1の分離装置6によって標本Tから所定限界粒径D(例えば5〜10mm)未満の微小粒状材を分離したうえで、撮像装置5により標本Tの撒き出し画像Gを撮像してコンピュータ10に入力する。また、その微小粒状材分離後の標本Tについて、標本T中の所定粒径di(例えば
図6に示す10mm、20mm、30mm、40mm等)以下の粒状材の加積通過率P(di)を篩い分けその他の従来方法により求め、求めた各粒径diの加積通過率P(di)を入力装置11からコンピュータ10に入力する。
【0044】
ステップS302において、撒き出し画像Gをコンピュータ10の検出手段17に入力し、
図10(C)に示すように画像G中の各粒状材の輪郭を検出し、更にその輪郭から各粒状材の面積e及び粒径dを求めると共に、粒状材全体の投影面積E(=Σe)を求める。画像G中の全ての粒状材の輪郭及び粒径dを検出することが難しい場合でも、輪郭が検出できる限界粒径D(例えば5〜10mm)以上の粒状材の輪郭を全て検出することが望ましく、少なくともステップS301において加積通過率P(di)を求めた最小の粒径di(例えば10mm)以上の粒状材の輪郭及び粒径dを全て検出する。
【0045】
またステップS302において、検出手段17で検出した撒き出し画像G中の各粒状材の粒径dをコンピュータ10の粒度インデクス算出手段18aに入力し、例えば撒き出し画像G中の複数の所定粒径di(例えば10mm、20mm、30mm、40mm等)について、それぞれ各粒径di以上の粒状材の面積の総和Σeを求め、撒き出し画像G中の粒状材全体の投影面積Eに対する粒径di以上の粒状材の面積割合(=Σe/E)を各粒径diの粒度インデクスI(di)として算出する。
【0046】
次いで、ステップS303において、算出手段18aで求めた複数の所定粒径diの粒度インデクスI(di)を関係式設定手段23に入力し、関係式設定手段23においてステップS301で入力した各所定粒径diの加積通過率P(di)と算出手段18aで求めた粒度インデクスI(di)との関係式Kを設定する。例えば
図6に示すように、複数の所定粒径diの加積通過率P(di)及び粒度インデクスI(di)をそれぞれ二次平面上にプロットし、加積通過率P(di)を目的変数(従属変数)とし粒度インデクスI(di)を説明変数(独立変数)とする適切な回帰モデル(例えば粒度インデックスの多項式(多次元回帰モデル)、対数関数、べき関数、指数関数等)を設定して関係式Kとし、設定した関係式Kを記憶手段16に記憶する。
【0047】
好ましくは、ステップS301において複数の標本Tの撒き出し画像Gを撮像すると共にその複数の標本Tからそれぞれ加積通過率P(di)を求め、ステップS303において複数の標本Tから求めた加積通過率P(di)及び粒度インデクスI(di)に基づき関係式Kを設定する。
図6から分かるように、同じ採取場で採取した粒状材料Sの標本Tから求めた各粒径diの加積通過率P(di)及び粒度インデクスI(di)は概ね近似しているが、標本T毎に多少の変動がみられるので、複数の標本Tに基づき相関係数rのできるだけ大きい関係式Kを設定することにより、後述する粒度インデクスI(di)から加積通過率P(di)を推定する精度を高めることができる。本発明者の実験によれば、例えば粒状材料Sの5〜10程度の標本Tを用いることにより、例えば相関係数rが0.995程度の関係式Kを設定することが可能である。
【0048】
なお、ステップS301〜S303の関係式Kの設定は、必ずしも工事現場で行う必要はなく、例えば実験室等において粒状材料Sの複数の標本Tを用いて予め関係式Kを設定し、その関係式Kを現場のコンピュータ10に入力して記憶手段16に記憶することも可能である。この場合は、ステップS301〜S303に代えて関係式Kをコンピュータ10に入力するステップを設ければ足り、粒状材料Sの標本Tから関係式Kを求めるコンピュータ10の関係式設定手段23(
図1参照)は省略可能である。
【0049】
図4のステップS304〜S309は、記憶手段16に記憶された関係式Kに基づき、採取場1又は破砕装置2から継続的に供給される粒状材料Sの分割式粒度計測方法の流れを示す。先ずステップS304において、上述した
図2のステップS101と同様に、撒き出し装置4により粒状材料Sを複数に分割して撒き出し、撮像装置5により各分割粒状材群Sjの撒き出し画像Gj(
図10(A)参照)を撮像してコンピュータ10に入力する。次いでステップS305〜S306において、コンピュータ10の検出手段17において撒き出し画像Gj毎に各粒状材の輪郭から面積e及び粒径dを求めると共に粒状材全体の投影面積Ej(=Σe)を求め、更に上述したステップS302と同様に、粒度インデクス算出手段18aにおいて撒き出し画像G毎に所定粒径diの粒度インデクスIj(di)を算出する。
【0050】
ステップS309において、撒き出し画像G毎の所定粒径diの粒度インデクスIj(di)をコンピュータ10の計測手段19の粒度インデクス変換手段19aに入力し、分割前の粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を計測する。粒度インデクス変換手段19aは、先ず上述した
図2のステップS107と同様に、各画像Gjの投影面積Ejで重み付けした所定粒径diの粒度インデクスIj(di)の総計(=(ΣIj(di)・Ej)を求め、その粒度インデクスIj(di)の総計を全画像Gjの投影面積Ejの総計(=ΣEj)によって除して面積平均値(=(ΣIj(di)・Ej)/ΣEj)を算出することにより分割前の粒状材料Sの所定粒径diの粒度インデクスI(di)を求める。次いで、関係式Kにより、算出した粒状材料Sの所定粒径diの粒度インデクスI(di)を加積通過率P(di)に変換する。或いは、各画像Gjの投影面積Ejによる重み付けに代えて、上述したステップS108の場合と同様に、各画像Gjの全体積Vj(=Σv)で重み付けを行うことも可能である。
【0051】
図4のステップS310は、
図2のステップS108と同様に、コンピュータ10の作成手段20により、粒状材料Sの加積通過率P(di)から粒径加積曲線P(d)を作成する処理を示す(
図7参照)。またステップS311は、
図2のステップS109と同様に、コンピュータ10の判定手段21により、粒状材料Sの粒径加積曲線P(d)を最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの粒径加積曲線Pr(d)、Ps(d)と比較して粒度品質を判定する処理を示す。
図3の流れ図のように、粒状材料Sの撒き出し画像Gから比較的容易に検出できる所定粒径diの粒度インデクスI(di)とその粒径diの加積通過率P(d)との関係式Kを用いることにより、撒き出し画像Gj毎に加積通過率Pj(di)を算出する手間を省き、粒状材料Sの粒度計測の更なる迅速化、簡単化を図ることができる。
【実施例2】
【0052】
上述した
図2及び
図4の流れ図では、
図7に示すように微小粒状材分離後の粒状材料Sから所定限界粒径D(例えば5〜10mm)以上の粒径加積曲線P(d≧D)を作成し、その粒径加積曲線P(d≧D)を最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの所定限界粒径D以上の粒径加積曲線Pr(d≧D)、Ps(d≧D)と対比して粒度品質を判定している。しかし、
図7の粒径加積曲線P(d≧D)には所定限界粒径D未満の微小粒状材の含有率が反映されておらず、とくに粒状材料S中に所定限界粒径D未満の微小粒状材が多量に含まれている場合は、所定限界粒径Dの近傍において粒状材料Sの粒径加積曲線P(d≧D)と最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsとを対比し、その何れの側に変動しているか(変動の傾向)等を確認することが難しくなる。最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsとの対比を簡単化するためには、所定限界粒径D未満の微小粒状材の含有率を考慮した粒径加積曲線P(d≧D)を作成することが有用である。
【0053】
図1の実施例では、粒径計測システムに微小粒状材を分離する分離装置6を含めると共に、微小粒状材を分離する前後の粒状材料Sの重量M及び含水率Zを計測する測定器7、8を含め、その重量M及び含水率Zの計測値から粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)を求める演算手段22をコンピュータ10に設けている。
図2のステップS105及び
図4のステップS307は、コンピュータ10の演算手段22において、微小粒状材を分離する前後の粒状材料Sの重量M及び含水率Zの計測値から粒状材料S中の微小粒状材の含有率すなわち加積通過率P(D)を求める処理を示す。
図2のステップS107及び
図4のステップ309において演算手段22で求めた微小粒状材の加積通過率P(D)を算出手段19へ入力し(
図1も参照)、算出手段19で算出した粒状材料Sの所定粒径diの加積通過率P(di)を微小粒状材の加積通過率P(D)に基づき調整している。
【0054】
図3は、演算手段22による処理(
図2のステップS105及び
図4のステップS307)の詳細な流れ図を示す。先ず、ステップS201〜S202において分離装置6で所定限界粒径D(例えば5〜10mm)未満の微小粒状材を分離する前の粒状材料Sの重量Mb及び含水率Zbを重量測定器7b及び含水率測定器8bにより計測し、ステップS203において微小粒状材分離前の粒状材料Sの乾燥重量Mdbを算出する。次いで、ステップS204〜S205において分離装置6で微小粒状材を分離した後の粒状材料Sの重量Ma及び含水率Zaを重量測定器7a及び含水率測定器8aにより計測し、ステップS206において微小粒状材分離後の粒状材料Sの乾燥重量Mdaを算出する。重量測定器7b、7aの一例は、天秤、ロードセル等の粒状材料Sの質量測定で従来使用される装置であり、含水率測定器8b、8aの一例は近赤外線水分計やRI水分計である。ステップS207において、微小粒状材分離前後の粒状材料Sの乾燥重量Mdb、Mdaから、粒状材料S中の所定限界粒径D未満の微小粒状材の質量百分率すなわち加積通過率P(D)を算出する。
【0055】
図2のステップS107及び
図4のステップS309において、微小粒状材の加積通過率P(D)に基づき加積通過率P(di)を用いることにより、コンピュータ10の作成手段20において、ステップS108及びステップS310において、
図8に示すような微小粒状材の加積通過率P(D)を考慮した粒径加積曲線P(d≧D)を作成することができる。具体的には、ステップS107及びステップS309において、演算手段22で求めた微小粒状材の加積通過率P(D)から所定限界粒径D以上の質量割合を求め(100−P(D))、その質量割合と計測手段19で計測した所定粒径diの加積通過率P(di)とを乗算することで所定粒径diの加積通過率P´(di)(=P(D)+(100−P(D))×P(di))を再計算する。再計算後の所定粒径diの加積通過率P´(di)と微小粒状材の加積通過率P(D)とを粒径di別にプロットして連結することにより、
図8のような粒径加積曲線P(d≧D)を作成する。
【0056】
微小粒状材の加積通過率P(D)を考慮して作成した粒状材料Sの粒径加積曲線P(d≧D)は、
図2のステップS109〜S110及び
図4のステップS311において、
図8に示すように最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの粒径加積曲線Pr(d)、Ps(d)と直接比較して粒度品質を判定することができる。例えば、
図8において粒状材料Sの粒径加積曲線P(d≧D)は、粒径加積曲線Pr、Psの規定範囲内にあるが、所定限界粒径Dの近傍において最粗粒標本Tr側よりも最細粒標本Ts側に近接しており、平均粒径よりも若干細かい粒径分布であると判定できる。また、
図8のような粒径加積曲線P(d≧D)を累積記憶しておけば、今回と前回の粒径加積曲線Pとを比較することにより、粒状材料Sの粒度の正確な経時的変化(粒度変動)を迅速に把握することができる。
【0057】
なお、
図3のステップS208〜S211は、本発明の粒径計測システムに粒状材料Sの粒径di毎の吸水率q及び表乾密度ρを計測する測定器(図示せず)を含め、コンピュータ10の演算手段22により、その吸水率q及び表乾密度ρの計測値から粒状材料Sの表面水量Wを算出する処理を示す。
図13を参照して上述したように、CSG工法では粒状材料Sの粒度と共にCSGの単位水量を管理する必要があり(
図13のひし形(斜線部分)の規定範囲を参照)、粒状材料Sの表面水量Wが求まればCSGの単位水量の管理に利用できる。
図3の流れ図ではステップS208〜209において粒状材料Sの吸水率qを測定器から入力し、ステップS202で計測した含水率Zbに基づき粒状材料Sの表面水率ωを算出する。そして、ステップS210において粒状材料Sの表乾密度ρを測定器から入力し、ステップS211において粒状材料Sの表面水率ωと表乾密度ρとから表面水量Wを算出する。例えば
図2のステップS111において、
図3のステップS211で求めた表面水量Wに基づき、粒状材料Sに混合する水量を
図13の「ひし形」の規定範囲内となるように調整・管理する。
【0058】
また、
図2のステップS112において、今回供給材料S
tの各粒径diの粒度インデクスI
t及び粒径加積曲線P
t(d)と共に
図3のステップS211で求めた表面水量W
tを記憶手段16に累積記憶しておけば、次回以降のステップS109〜110の判定処理において、判定手段21により今回及び前回の粒度インデクスI
tと粒径加積曲線P(d)
tと表面水量W
tとを比較して粒度及び表面水量の変動を迅速に判定することができる。粒状材料Sの粒度及び表面水量の変動を迅速に把握することにより、CSG工法等の粒状材料Sを用いた建設工事における詳細な品質管理が可能となり、管理精度の更なる向上が期待できる。
【実施例3】
【0059】
図1の実施例においても、上述した特許文献1と同様に、コンピュータ10の記憶手段16に、粒状材料Sの標本Tから求めた所定限界粒径D未満の微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)をその標本T中の微小粒状材の加積通過率P(D)の関数U、Rとして記憶しておけば、上述した演算手段22で求めた粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)から関数U、Rにより微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を推定することができる(
図1の推定手段24参照)。更に、コンピュータ10の作成手段20(
図2のステップS108及び
図4のステップS310)において、例えば
図8に示すような微小粒状材分離後の粒状材料Sの粒径加積曲線P(d≧D)と、推定手段24で推定した粒状材料Sの微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)とを合成することにより、例えば
図11に示すように全粒径範囲にわたる粒径加積曲線P(d)を作成することができる。
【0060】
粒状材料Sの所定限界粒径D未満の粒径加積曲線P(d≦D)は、例えば微小粒状材の所定限界粒径Dに対する粒径比(=d/D)の所定指数関数U{(d/D)
n}として近似することができる。そのような指数関数Pの一例は、Talbot関数(P/P(D)=(d/D)
n)、Gaudin−Meloy関数(P/P(D)=1−(1−d/D)
n)、又はRosin−Rammler関数(P/P(D)=1−exp(−d/D)
n))である。
図2及び
図4の流れ図においても、予め粒状材料Sの標本Tから所定限界粒径D未満の微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)の近似関数Uを求めておけば、ステップS108又はステップS310において、作成手段20によって所定限界粒径D以上の粒径加積曲線P(d≧D)と微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)の近似関数Uとを合成することにより、粒状材料Sの全粒径範囲にわたる粒径加積曲線P(d)を作成することができる。
【0061】
図2のステップS106及び
図4のステップS308は、コンピュータ10の推定手段24により、粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)から関数Uにより微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を推定する処理を示す。例えば、上述した所定指数関数U{(d/D)
n}の指数nが微小粒状材の加積通過率P(D)に拘わらず一定であれば、演算手段22で求めた微小粒状材の加積通過率P(D)を指定関数U{(d/D)
n}へ代入することにより、微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を推定することができる。
図2のステップS108又は
図4のステップS310において、推定手段24で推定した微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を作成手段20に入力し、その粒径加積曲線P(d≦D)と所定限界粒径D以上の粒径加積曲線P(d≧D)とを連結することにより、
図11に示すような全粒径範囲にわたる粒径加積曲線P(d)を作成することができる。
【0062】
また、特許文献1が開示するように、微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を所定指数関数U{(d/D)
n}で近似した場合に、その指数関数U{(d/D)
n}の指数nが粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)に依存して変化する場合がある。その場合は、粒状材料Sの複数の標本Tから指数関数U{(d/D)
n}を求めると共に、その指数nと粒状材料S中の微小粒状材の加積通過率P(D)との関係式Rを検出し、その関係式Rをコンピュータ10の記憶手段16に記憶しておく。
図2のステップS106又は
図4のステップS308において、先ず演算手段22で求めた微小粒状材の加積通過率P(D)から指数nを求めて指数関数U{(d/D)
n}を定めたうえで、その指数関数U{(d/D)
n}に微小粒状材の加積通過率P(D)を代入することにより、微小粒状材の粒径加積曲線P(d≦D)を推定する。例えば
図2のステップS108において、
図11のような全粒径範囲にわたる粒径加積曲線P(d)を作成しておけば、ステップS109〜110の判定処理において最粗粒標本Tr及び最細粒標本Tsの粒径加積曲線Pr(d)、Ps(d)と全粒径範囲にわたり比較することができ、粒状材料Sの粒度品質を高精度で判定することが可能となる。