特許第5658625号(P5658625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658625
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】柱と梁の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20150108BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   E04B1/26 G
   E04B1/58 505L
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-145619(P2011-145619)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-11133(P2013-11133A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2013年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】梶川 久光
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−001106(JP,U)
【文献】 特開2007−054344(JP,A)
【文献】 特開2009−249935(JP,A)
【文献】 米国特許第04484430(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/26
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と梁を仕口部材によって接合してなる柱と梁の接合構造であって、
前記仕口部材は、前記柱と梁の延長上の交差部に配置された柱梁接合部材と、
この柱梁接合部材の下端面に接合されるボックス状の第1柱接合部材と、
前記柱梁接合部材の側面に接合されるボックス状の梁接合部材とを備え、
前記柱梁接合部材と前記第1柱接合部材とは、前記柱梁接合部材の下端面に鉛直に固定された第1柱連結ボルトを前記第1柱接合部材に挿入してボルトナット接合され、
この第1柱接合部材と前記柱とは、この柱の上端面に鉛直に固定された第2柱連結ボルトを前記第1柱接合部材に挿入してボルトナット接合され、
前記柱梁接合部材と前記梁接合部材とは、前記柱梁接合部材の側面に水平に固定された第1梁連結ボルトを前記梁接合部材に挿入してボルトナット接合され、
この梁接合部材と前記梁とは、この梁の端面に水平に固定された第2梁連結ボルトを前記梁接合部材に挿入してボルトナット接合されている
ことを特徴とする柱と梁の接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の柱と梁の接合構造において、前記柱梁接合部材の上端面に鉛直に固定された第3柱連結ボルトと、この第3柱連結ボルトが挿入されるボックス状の第2柱接合部材と、この第2柱接合部材に接合される柱とを備え、
前記梁の上面に床パネルが前記梁接合部材の上面および前記柱梁接合部材の上端面を含んで設置され、
前記第2柱接合部材は、前記第3柱連結ボルトが、前記床パネルを貫通したうえで、前記第2柱接合部材に挿入されてボルトナット接合されることによって、前記床パネルの上面に固定され、
前記第2柱接合部材と柱とは、この柱の下端面に鉛直に固定された第4柱連結ボルトを前記第2柱接合部材に挿入してボルトナット接合されている
ことを特徴とする柱と梁の接合構造。
【請求項3】
請求項2に記載の柱と梁の接合構造において、
前記柱梁接合部材の端面および側面にはそれぞれねじ孔が形成されており、
前記端面に形成されたねじ孔に前記第1柱連結ボルトおよび第3柱連結ボルトが前記端面から突出するようにしてねじ込まれ、
前記側面に形成されたねじ孔に前記第1梁連結ボルトが前記側面から突出するようにしてねじ込まれている
ことを特徴とする柱と梁の接合構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の柱と梁の接合構造において、
前記柱および梁はそれぞれ木質の角材によって形成されており、
前記柱の、前記第1柱接合部材および前記第2柱接合部材に接合される端部に、金属製の補強キャップが被され、
前記梁の、前記梁接合部材に接合される端部に、金属製の補強キャップが被されている
ことを特徴とする柱と梁の接合構造。
【請求項5】
請求項〜4のいずれか一項に記載の柱と梁の接合構造において、
前記柱にその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第4柱連結ボルトおよび第2柱連結ボルトが前記端面から突出させて挿入固定されており、
前記梁にその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第2梁連結ボルトが前記端面から突出させて挿入固定されている
ことを特徴とする柱と梁の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱と梁の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
在来工法における柱と梁の接合は、例えば木材の接合部を切削加工した凹凸仕口によって行われていたが、近年では、例えば、特許文献1に記載のような接合金物を用いた技術が提案されている。このような技術によれば、木材の接合部を切削加工する手間やコストを省きながら、柱と梁の接合部を強化して耐震強度を向上できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−013199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば接合金物と柱、接合金物と梁とを接合するためのピンをより多く使用して、柱と梁の接合部をより強化したいという要望があるが、ピンが挿入される孔を多数形成したり、多数のピンを打ち込んだりする手間やコストが増加する場合があり、好ましくない。そこで、このように多くのピンを使用せずとも、柱と梁とを容易かつ強固に接合できる技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、柱と梁とを容易かつ強固に接合できる柱と梁の接合部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば、図1図3に示すように、
柱10Aと梁20を仕口部材30によって接合してなる柱10Aと梁20の接合構造であって、
前記仕口部材30は、前記柱10Aと梁20の延長上の交差部に配置された柱梁接合部材31と、
この柱梁接合部材31の下端面に接合されるボックス状の第1柱接合部材32と、
前記柱梁接合部材31の側面に接合されるボックス状の梁接合部材33とを備え、
前記柱梁接合部材31と前記第1柱接合部材32とは、前記柱梁接合部材31の下端面に鉛直に固定された第1柱連結ボルト41を前記第1柱接合部材32に挿入してボルトナット接合され、
この第1柱接合部材32と前記柱10Aとは、この柱10Aの上端面に鉛直に固定された第2柱連結ボルト42を前記第1柱接合部材32に挿入してボルトナット接合され、
前記柱梁接合部材31と前記梁接合部材33とは、前記柱梁接合部材31の側面に水平に固定された第1梁連結ボルト51を前記梁接合部材33に挿入してボルトナット接合され、
この梁接合部材33と前記梁20とは、この梁20の端面に水平に固定された第2梁連結ボルト52を前記梁接合部材33に挿入してボルトナット接合されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記柱梁接合部材31と前記第1柱接合部材32とは、この柱梁接合部材31の下端面に鉛直に固定された第1柱連結ボルト41を前記第1柱接合部材32に挿入してボルトナット接合され、この第1柱接合部材32と前記柱10Aとは、この柱10Aの上端面に鉛直に固定された第2柱連結ボルト42を前記第1柱接合部材32に挿入してボルトナット接合されているため、前記柱10Aを、前記第1柱接合部材32を介して前記柱梁接合部材31と接合することができる。
また、前記柱梁接合部材31と前記梁接合部材33とは、この柱梁接合部材31の側面に水平に固定された第1梁連結ボルト51を前記梁接合部材33に挿入してボルトナット接合され、この梁接合部材33と前記梁20とは、この梁20の端面に水平に固定された第2梁連結ボルト52を前記梁接合部材33に挿入してボルトナット接合されているため、前記梁20を、前記梁接合部材33を介して前記柱梁接合部材31と接合することができる。
このように、前記柱10Aと前記梁20は、それぞれ前記第1柱接合部材32と前記梁接合部材33を介して前記柱梁接合部材31にボルトナット接合されているので、柱10Aと梁20を容易かつ強固に接合することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項1に記載の柱10Aと梁20の接合構造において、前記柱梁接合部材31の上端面に鉛直に固定された第3柱連結ボルト43と、この第3柱連結ボルト43が挿入されるボックス状の第2柱接合部材34と、この第2柱接合部材34に接合される柱とを備え、
前記梁20の上面に床パネル60が前記梁接合部材33の上面および前記柱梁接合部材31の上端面を含んで設置され、
記第3柱連結ボルト43が、前記床パネル60を貫通したうえで、前記第2柱接合部材34に挿入されてボルトナット接合されることによって、前記第2柱接合部材34が前記床パネル60の上面に固定され、
前記第2柱接合部材34と柱10Bとは、この柱10Bの下端面に鉛直に固定された第4柱連結ボルト44を前記第2柱接合部材34に挿入してボルトナット接合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記梁20の上面に床パネルが前記梁接合部材33の上面および前記柱梁接合部材31の上端面を含んで設置され、前記柱梁接合部材31の上端面に固定された前記第3柱連結ボルト43が、前記床パネル60を貫通したうえで、前記第2柱接合部材34に挿入されてボルトナット接合されることによって、前記第2柱接合部材34が前記床パネル60の上面に固定され、前記第2柱接合部材34と前記柱10Bとは、この柱10Bの下端面に鉛直に固定された第4柱連結ボルト44を前記第2柱接合部材34に挿入してボルトナット接合されているので、前記梁20の上面に床パネル60が設置されている一方で、前記柱10Bを、前記床パネル60および前記第2柱接合部材34を介して前記柱梁接合部材31と接合することができるため、前記柱10Bと前記梁20を、容易かつ強固に接合されることができる。また、床パネル60を前記柱梁接合部材31と前記第2柱接合部材34とで挟むことにより、床パネル60を強固に固定できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば、図1図3に示すように、
請求項2に記載の柱10A、10Bと梁20の接合構造において、
前記柱梁接合部材31の端面および側面にはそれぞれねじ孔が形成されており、
前記端面に形成されたねじ孔に前記第1柱連結ボルト41および第3柱連結ボルト43が前記端面から突出するようにしてねじ込まれ、
前記側面に形成されたねじ孔に前記第1梁連結ボルト51が前記側面から突出するようにしてねじ込まれていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記端面に形成されたねじ孔に前記第1柱連結ボルト41および第3柱連結ボルト43が前記端面から突出するようにしてねじ込まれているので、前記第1柱連結ボルト41および第3柱連結ボルト43を確実に取付固定できるとともに、前記柱梁接合部材31に前記前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34をボルトナット接合するために適切なボルトの突出長さを調整できる。また、前記側面に形成されたねじ孔に前記第1梁連結ボルト51が前記側面から突出するようにしてねじ込まれているので、前記第1梁連結ボルト51を確実に取付固定できるとともに、前記柱梁接合部材31に前記梁接合部材33をボルトナット接合するために適切なボルトの突出長さを調整できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば、図1図4に示すように、
請求項2または3に記載の柱10A、10Bと梁20の接合構造において、
前記柱10A、10Bおよび梁20はそれぞれ木質の角材によって形成されており、
前記柱10A、10Bの、前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34に接合される端部に、金属製の補強キャップ11が被され、
前記梁20の、前記梁接合部材33に接合される端部に、金属製の補強キャップ21が被されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、木質の角材によって形成された前記柱10A、10Bおよび梁20の、前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34及び前記梁接合部材に接合されるそれぞれの端部に、金属製の補強キャップ11、21が被されているので、ボルトナット接合で強く締め付けた際に、前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34の端部と接合する前記柱10A、10Bおよび前記梁接合部材33の端部と接合する梁20の端部が幅方向に広がるのを防止して、柱と第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34を強固に接合することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば、図1図3に示すように、
請求項〜4のいずれか一項に記載の柱10Aと梁20の接合構造において、
前記柱10Aにその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第4柱連結ボルト44および第2柱連結ボルト42が前記端面から突出させて挿入固定されており、
前記梁20にその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第2梁連結ボルト52が前記端面から突出させて挿入固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記柱10Aおよび前記梁20にその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第4柱連結ボルト44、第2柱連結ボルト42および前記第2梁連結ボルト52が前記端面から突出させて挿入固定されているので、前記連結ボルト44、42、52と前記柱10Aおよび前記梁20が強固に固定され、前記柱10A、10Bおよび前記梁20と前記接合部材32、33、34をボルトナット接合で強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、柱と梁とを容易かつ強固に接合できる柱と梁の接合部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る柱と梁の接合構造の一例を示す図であり、(a)は下階の柱と梁の接合部分を示す斜視図であり、(b)は図1(a)のI−I断面図である。
図2】同、(a)は下階の柱と梁の接合部分を示す斜視図であり、(b)は図2(a)のII−II断面図である。
図3】同、(a)は下階の柱と上階の柱と梁の接合部分を示す斜視図であり、(b)は図3(a)のIII−III断面図である。
図4】同、柱と柱に被せるキャップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<実施の形態>
本実施の形態の柱と梁の接合部構造は、例えば、図1図3に示すように、建物の下階の柱10Aと上階の柱10Bと梁20を仕口部材30によって接合してなる下階の柱10Aと上階の柱10Bと梁20の接合構造である。
【0020】
ここで、本件発明が適用可能な建物としては、仕口部材30によって結合されている複数の柱と梁から形成された躯体を有する軸組み工法によるものが好適である。
【0021】
前記仕口部材30は、前記下階の柱10Aと上階の柱10Bと梁20の延長上の交差部に配置された柱梁接合部材31と、この柱梁接合部材31の下端面に接合されるボックス状の第1柱接合部材32と、この柱梁接合部材31の上端面に接合されるボックス状の第2柱接合部材34と、前記柱梁接合部材31の側面に接合されるボックス状の梁接合部材33とを備える。
【0022】
前記柱梁接合部材31は直方体状に形成されており、前記柱梁接合部材31の上下の端面および4つの側面にはそれぞれねじ孔が形成されており、任意の面に連結ボルトがねじ込み可能となっている。前記上下の端面に形成されたねじ孔に前記第1柱連結ボルト41および第3柱連結ボルト43が前記上下の端面からそれぞれ突出するようにしてねじ込まれている。また、前記側面に形成されたねじ孔に前記第1梁連結ボルト51が前記側面から突出するようにしてねじ込まれている。
【0023】
図1および図2に示すように、第1柱接合部材32は外形が直方体状で、かつ内部に断面矩形の空洞を有し、対向する一対の側面が開口するボックス状(四角筒状)のものであり、上下に互いに対向する上下端面のそれぞれに第1柱連結ボルト41と第2柱連結ボルト42が挿通されるボルト挿通孔が設けられている。そして、このような第1柱接合部材32は上端面が前記柱梁接合部材31の下端面に接合され、下端面が前記柱10Aの上端面に接合されている。また、第1柱接合部材32は、その開口を図1において左右または前後に向けて配置され、この開口からナット53を各連結ボルトに螺合し、締め付けることにより、ボルトナット結合が可能になる。
また、図3に示すように、前記第2柱接合部材34は外形が直方体状で、かつ内部に断面矩形の空洞を有し、対向する一対の側面が開口するボックス状(四角筒状)のものであり、上下に互いに対向する上下端面のそれぞれに第4柱連結ボルト44と第3柱連結ボルト43が挿通されるボルト挿通孔が設けられている。そして、このような第2柱接合部材34は下端面が床パネル60の上面に当接され、上端面が前記柱10Bの下端面に接合されている。また、第2柱接合部材34は、その開口を図3(a)において左右または前後に向けて配置され、この開口からナット53を各連結ボルトに螺合し、締め付けることにより、ボルトナット結合が可能になる。
また、前記梁接合部材33は外形が直方体状で、かつ内部に断面矩形の空洞を有し、対向する一対の側面が開口するボックス状(四角筒状)のものであり、上下の長さは前記第1柱接合部材32および第2柱接合部材34より長くなっており、さらに、左右に互いに対向する2側面のそれぞれに第1梁連結ボルト51と第2梁連結ボルト52が挿通されるボルト挿通孔が設けられている。そして、このような梁接合部材33は開口していない一方の側面が柱梁接合部材31の側面に接合され、他方の側面が梁20の端面に接合されている。また梁接合部材33は、その開口を梁20の側面側に向けて配置され、この開口からナット53を各連結ボルトに螺合し、締め付けることにより、ボルトナット結合が可能になる。
なお、本実施の形態では、前記第1柱接合部材32、第2柱接合部材34、梁接合部材33を四角筒状のものとしたが、これに代えて、内部に空洞を有しかつ4つの側面のうち、一つの側面が開口したボックス状のものとしてもよい。
【0024】
前記柱梁接合部材31と前記第1柱接合部材32とは、この柱梁接合部材31の下端面に鉛直に固定された第1柱連結ボルト41を前記第1柱接合部材32の上端面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けることによって、ボルトナット接合されている。この第1柱接合部材32と前記柱10Aとは、この柱10Aの上端面に鉛直に固定された第2柱連結ボルト42を前記第1柱接合部材32の下端面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けることによってボルトナット接合されている。
【0025】
前記柱梁接合部材31と前記梁接合部材33とは、前記柱梁接合部材31の側面に水平に固定された第1梁連結ボルト51を前記梁接合部材33の一方の側面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けることによってボルトナット接合されている。この梁接合部材33と前記梁20とは、この梁20の端面に水平に固定された第2梁連結ボルト52を前記梁接合部材33の他方の側面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けることによってボルトナット接合されている。
【0026】
図3に示すように、前記梁20の上面に床パネル60が前記梁接合部材33の上面および前記柱梁接合部材31の上端面を含んで設置され、前記柱梁接合部材31の上端面に固定された前記第3柱連結ボルト43が、前記床パネル60を貫通したうえで、前記第2柱接合部材34の下端面のボルト挿通孔に挿通され、ナットを螺合して締め付けることによってボルトナット接合され、これによって、前記床パネル60の上面に第2柱接合部材34が固定されている。
前記第2柱接合部材34と前記柱10Bとは、この柱10Bの下端面に鉛直に固定された第4柱連結ボルト44を前記第2柱接合部材34の上端面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けることによってボルトナット接合されている。
【0027】
前記柱10A、10Bおよび梁20はそれぞれ木質の角材によって形成されており、前記柱10A、10Bの、前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34に接合される端部に、金属製の補強キャップ11が被され、前記梁20の、前記梁接合部材33に接合される端部に、金属製の補強キャップ21が被されている。
【0028】
具体的には、図4に示すように、前記柱10A、10Bの端部には、この柱10A、10Bの端面および外周面を覆う補強キャップ11、21として、座金38が設けられている。また、梁20となる建築構造材にも座金38が設けられることが望ましい。つまり、座金38は、柱10A、10B等の端部の保護や緩み防止の機能を発揮するので、直立する柱10A、10Bと、直立する柱10A、10A間に架設される梁20の安定的な取付状態を維持できることとなる。
なお、本実施の形態においては、柱10A、10Bとなる建築構造材だけでなく、その他の建築構造材を構成する梁20の端部にも座金38が設けられている。
【0029】
柱10A、10Bの外周部には環状部38bが装着される装着面10eが形成されている。装着面10eは柱10A、10Bの外周部を周方向に沿って所定の幅で所定の深さだけ削って形成されたものであり、柱10A、10Bの外周面(側面)との間に所定の段差を有している。
【0030】
前記座金38は、柱10A、10Bの上端部および下端部に取り付けられるものであり、平板部38aと環状部38bとを備えて構成されている。
平板部38aは正方形板状のものであり、柱10A、10Bの端面と略等しい大きさに形成されている。また、平板部38aの中央部には、第2柱連結ボルト42、第4柱連結ボルト44の直径と略等しい内径のボルト挿通孔39が形成されている。さらに、平板部38aにはボルト挿通孔39を挟んでビス穴40,40が平板部38aの対角方向に離間して形成されている。
環状部38bは平板部38aの外周部に沿って正方形環状に、かつ、平板部38aに対して直角に形成されている。また、環状部38bの高さは前記装着面10eの幅と略等しくなっており、環状部38bの厚さは、装着面10eと柱10A、10Bの外周面との間の段差と略等しくなっている。
さらに、座金38の4つの角部には、角穴38cがそれぞれ形成されている。
【0031】
このように構成された座金38は、平板部38aの裏面を柱10A、10Bの端面に当接するともに、ボルト挿通孔39に前記第2柱連結ボルト42、第4柱連結ボルト44をそれぞれ挿通し、さらに、環状部38bを柱10A、10Bの外周部の装着面10eに外嵌して取り付けられている。この状態において、ボルト挿通孔39と第2柱連結ボルト42、第4柱連結ボルト44とは同軸に配置され、かつ、第2柱連結ボルト42、第4柱連結ボルト44の先端部は座金38の平板部38aより所定の長さだけ突出している。また、平板部38aに形成されたビス穴40,40にはビス40a,40aが挿通され、柱10A、10Bの端面にねじ込まれている。これによって、座金38は柱10A、10Bの端部に強固に固定されている。さらに、座金38の角穴38cに、柱10A、10Bの端面の4つの角部が露出しており、これによって、柱10A、10Bの端面を座金38の平板部38aの裏面に確実に当接させるとともに、柱10A、10Bの下端面の4つの角部の潰れを防止している。
【0032】
また、前記柱10A、10Bにその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第2柱連結ボルト42および第4柱連結ボルト44が前記端面から突出させて挿入固定されており、前記梁20にその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第2梁連結ボルト52が前記端面から突出させて挿入固定されている。
【0033】
上記のような本発明に係る柱と梁の接合構造は、例えば、以下のようにして施工する。すなわちまず、工場等において、柱10A、10Bの端部に補強キャップ11、11を被せるとともに、柱10Aの上端面に補強キャップ11を挟んで第1柱接合部材32を接合し、また柱10Bの下端面に補強キャップ11を挟んで第2柱接合部材34を接合する。
また、梁20の端部に補強キャップ21を被せるとともに梁20の端面に補強キャップ21を挟んで梁接合部材33を接合する。
【0034】
そして、現場では、柱梁接合部材31に第1柱連結ボルト41、第3柱連結ボルト43、第1梁連結ボルト51をねじ込んで固定する。
次に、第1柱連結ボルト41を前記第1柱接合部材32の上端面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けてボルトナット接合することによって、柱10Aと柱梁接合部材31とを接合する。
また、第1梁連結ボルト51を前記梁接合部材33の一方の側面のボルト挿通孔に挿通し、ナットを螺合して締め付けてボルトナット接合することによって、梁20と柱梁接合部材31とを接合する。
また、前記梁20の上面、前記梁接合部材33の上面および前記柱梁接合部材31の上端面に床パネル60を設置する。前記柱梁接合部材31の上端面に固定された前記第3柱連結ボルト43が、前記床パネル60を貫通したうえで、前記第2柱接合部材34の下端面のボルト挿通孔を挿通し、前記第3柱連結ボルト43にナットを螺合して締め付けることによってボルトナット接合し、これによって、前記床パネル60の上面に第2柱接合部材34を固定する。
上記のように施工することで、現場ではボルトナット接合だけで、柱10A、10Bと梁20を接合することにより、建物の躯体を施工でき、現場での作業効率を向上できる。
【0035】
なお、現場にて、柱梁接合部材31の下端面に第1柱接合部材32の上端面をボルトナット接合し、その後、柱10Aの上端面と第1柱接合部材32の下端面とをボルトナット接合してもよい。また、床パネル60の上端面に第2柱接合部材34をボルトナット接合し、その後、柱10Bと第2柱接合部材34とをボルトナット接合してもよい。また、柱梁接合部材31の側面に梁接合部材33をボルトナット接合し、その後、梁20と梁接合部材33とをボルトナット接合してもよい。
また、現場にて、柱10Aの上端面と第1柱接合部材32下端面とをボルトナット接合し、その後、柱梁接合部材31の下端面に第1柱接合部材32の上端面をボルトナット接合してもよい。また、柱10Bの下端面と第2柱接合部材34の上端面とをボルトナット接合し、その後、床パネル60の上端面に第2柱接合部材34の下端面をボルトナット接合してもよい。また、梁20と梁接合部材33とをボルトナット接合し、その後、柱梁接合部材31に梁接合部材33をボルトナット接合してもよい。
上記のように施工した場合でも、現場ではボルトナット接合だけで、柱10A、10Bと梁20を接合することにより、建物の躯体を施工でき、現場での作業効率を向上できる。
【0036】
本実施の形態によれば、前記柱梁接合部材31と前記第1柱接合部材32とは、この柱梁接合部材31の下端面に鉛直に固定された第1柱連結ボルト41を前記第1柱接合部材32に挿入してボルトナット接合され、この第1柱接合部材32と前記柱10Aとは、この柱10Aの上端面に鉛直に固定された第2柱連結ボルト42を前記第1柱接合部材32に挿入してボルトナット接合されているため、前記柱10Aを、前記第1柱接合部材32を介して前記柱梁接合部材31とボルトナット接合することができる。
また、前記柱梁接合部材31と前記梁接合部材33とは、この柱梁接合部材31の側面に水平に固定された第1梁連結ボルト51を前記梁接合部材33に挿入してボルトナット接合され、この梁接合部材33と前記梁20とは、この梁20の端面に水平に固定された第2梁連結ボルト52を前記梁接合部材33に挿入してボルトナット接合されているため、前記梁20を、前記梁接合部材33を介して前記柱梁接合部材31とボルトナット接合することができる。
このように、前記柱10Aと前記梁20は、それぞれの前記第1柱接合部材32と前記梁接合部材33を介して前記柱梁接合部材にボルトナット結合されるので、柱10Aと梁20を容易かつ強固に接合されることができる。
【0037】
また、前記梁20の上面に床パネルが前記梁接合部材33の上面および前記柱梁接合部材31の上端面を含んで設置され、前記柱梁接合部材31の上端面に固定された前記第3柱連結ボルト43が、前記床パネル60を貫通したうえで、前記第2柱接合部材34に挿入されてボルトナット接合されることによって、前記第2柱接合部材34が前記床パネル60の上面に固定され、前記第2柱接合部材34と前記柱10Bとは、この柱10Bの下端面に鉛直に固定された第4柱連結ボルト44を前記第2柱接合部材34に挿入してボルトナット接合されているので、前記梁20の上面に床パネル60が設置されている一方で、前記柱10Bを、前記床パネル60および前記第2柱接合部材34を介して前記柱梁接合部材31とボルトナット接合することができるため、前記柱10Bと前記梁20を、容易かつ強固に接合されることができる。また、床パネル60を前記柱梁接合部材31と前記第2柱接合部材34とで挟むことにより、床パネル60を強固に固定できる。
【0038】
また、前記端面に形成されたねじ孔に前記第1柱連結ボルト41および第3柱連結ボルト43が前記端面から突出するようにしてねじ込まれているので、前記第1柱連結ボルト41および第3柱連結ボルト43を確実に取付固定できるとともに、前記柱梁接合部材31に前記前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34をボルトナット接合するために適切なボルトの突出長さを調整できる。また、前記側面に形成されたねじ孔に前記第1梁連結ボルト51が前記側面から突出するようにしてねじ込まれているので、前記柱梁接合部材31に前記梁接合部材33をボルトナット接合するために適切なボルトの突出長さを調整できる。
【0039】
また、木質の角材によって形成された前記柱10A、10Bおよび梁20の、前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34及び前記梁接合部材に接合されるそれぞれの端部に、金属製の補強キャップ11、21が被されているので、ボルトナット接合で強く締め付けた際に、前記第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34の端部と接合する前記柱10A、10Bおよび梁20の端部および前記梁接合部材33の端部と接合する梁20の端部が幅方向に広がるのを防止して、柱と第1柱接合部材32および前記第2柱接合部材34を強固に接合することができる。
【0040】
また、前記柱10A、10Bおよび前記梁20にその端面に開口する挿入穴が形成され、この挿入穴に接着剤が充填されたうえで前記第1柱連結ボルト41、第2柱連結ボルト43および前記第2梁連結ボルト52が前記端面から突出させて挿入固定されてので、前記連結ボルト41、43、52と前記柱10A、10Bおよび前記梁20が強固に固定され、前記柱10A、10Bおよび前記梁20と前記接合部材32、33、34をボルトナット接合で強固に固定することができる。
【0041】
なお、上記実施の形態では、1本のボルトでボルトナット接合をする例を示したが、これに限られない。各面において、2本以上のボルトでボルトナット接合をしてもよい。
また、上記実施の形態では、入隅部分の柱と梁の接合構造について説明したが、これに限られない。柱梁連結部材31に挿入する第1梁連結ボルト51の数を調整することで、出隅部分、凹凸のない壁部分等の柱と梁の接合構造に適用可能である。
なお、変形例においては、上記実施の形態と同じ部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【符号の説明】
【0042】
10A、10B 柱
11 補強キャップ
20 梁
21 補強キャップ
30 仕口部材
31 柱梁接合部材
32 第1柱接合部材
34 第2柱接合部材
33 梁接合部材
41 第1柱連結ボルト
42 第2柱連結ボルト
43 第3柱連結ボルト
44 第4柱連結ボルト
51 第1梁連結ボルト
52 第2梁連結ボルト
60 床パネル
図1
図2
図3
図4