(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スピーカとハードディスクを前面に有し、操作者が向かう方向である前面方向を発音するような向きに当該スピーカが配置される情報処理装置のスピーカ取付装置において、
上記情報処理装置内部に収納空間を形成する筐体の前面側を形成し、少なくとも上記スピーカ及びハードディスクが搭載される筐体前面部と、
上記スピーカと当該スピーカを保持するスピーカ保持部とを有し、上記筐体前面部に取り付けられるスピーカユニットと、を備え、
上記スピーカ保持部は、上記保持するスピーカの背面側から当該スピーカの発音方向とは逆方向に伸びる位置に、当該スピーカ保持部を締結部材を介して上記筐体前面部へ取り付けるための固定部を有し、
上記締結部材の締結方向が当該スピーカの発音方向に対して直交する方向になるように、上記固定部は上記筐体前面部に固定されて、上記スピーカユニットが上記筐体前面部に取り付けられる
ことを特徴とするスピーカ取付装置。
上記筐体前面部は、上記ハードディスク搭載用のハードディスク開口と当該搭載されるハードディスクを取り付けるための取付部および上記スピーカ搭載用のスピーカ開口がそれぞれ設けられて上記筐体前面部の外側の面を形成する搭載面と、上記スピーカ開口が設けられた位置の後ろ側で上記搭載面の主面に対して交差する方向で筐体内部に向かって平板状に張り出す取付部とをそれぞれ有し、
上記固定部は、上記取付部に重ねられて上記締結部材によって押圧して固定される
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ取付装置。
上記スピーカ及び上記保持枠が上記スピーカ開口から前側に飛び出る位置に、上記スピーカユニットが上記筐体前面部に取り付けられ、上記保持枠が上記搭載面に直接接しないように、上記保持枠は上記搭載面より所定の隙間分空けた位置に固定される
ことを特徴とする請求項3に記載のスピーカ取付装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した情報処理装置1の外観図である。情報処理装置を操作する操作者から見た場合の図である。まず、以下で説明する「方向」の表現を規定しておく。「幅方向(横方向とも称す)」、「奥行き方向(前後方向とも称す)」、「高さ方向」を、それぞれ
図1の矢印で示す。つまり、「左右」、「前側後側」は、操作者がいる前面から見た場合を基準として表現する。
【0016】
情報処理装置1は、略直方体の箱型形状で、トップカバー10とフロントパネル12からなる外装部材によって、内部全体が保護される。トップカバー10は、情報処理装置1の上面と左右側面を遮蔽する。トップカバー10は、例えば、左右側面が折曲げられた金属板から構成され、後述する内部の筐体に左右の側面からネジやロック機構(不図示)等で固定される。
【0017】
フロントパネル12は、情報処理装置1の前面に設けられる化粧用のカバーである。例えば、樹脂成型品から構成される。フロントパネル12の上面全体と前面の右上には、通気孔が列状に形成される。前面の右上の通気孔は、内部の要素部品から発せられる熱を逃がすための開口であるとともに、内部に取り付けられたスピーカの音を操作者に伝達するための開口でもある。フロントパネル12の左上の位置には、交換媒体用のトレイ50が設けられる。媒体交換時にトレイ50はフロン
トパネル12から手前側に飛び出すように移動する。
【0018】
図2は、外装を外した情報処理装置1の内部を左方向から見た斜視図である。
図2は、
図1の情報処理装置1から、トップカバー10とフロントパネル12をはずした状態の図である。情報処理装置1の内部は、内部の要素部品の取付ベースとなる筐体200を骨組みとして構成される。なお、本図では、図面の煩雑さを避けるために、本実施形態の説明内容との関係性の薄い、要素部品、例えばCPU、各種電気基板、電源 、ファン等の図示を、省略している。CPUは、情報処理装置1の全体を制御するものである。各種電気基板には、例えばRAMメモリやASICあるいはI/O用IC等が実装される。電源は、外部から供給されたAC電源を元に、CPUや各ICに必要な電圧変換等して供給する。ファンは、外部と空気を循環させて筺体内部で発生した熱を逃がすためのものである。
【0019】
筐体200は、情報処理装置1の外観と同様な略直方体で、箱型の形状である。筐体200は、前面を保護する筐体前面部210、後面を保護する筐体後面部230、右側面を保護する筐体右側面部240、左側面を保護する筐体左側面部250、底面を保護する筐体底面部260を、有する。上記各部は例えば金属性の板金で製造され、これらをネジあるいは溶接等の結合手段を介して箱型の筐体200として組み立てられる。
【0020】
筐体前面部210は、
図11等にて後述するように複数の面から構成される。筐体前面部210の中で、ハードディスク60等が取り付けられる面であって、フロントパネル12の裏面に対抗する面を区別する必要がある場合には、これを搭載面(あるいは搭載部)211と呼ぶ。搭載面211は、ほぼ垂直な面である。また、筐体前面部210は、搭載面211の上端から連続するように、横幅全体に渡って後ろ方向に短い長さの上面部225が有している。これは、搭載面211に多数の開口や通気孔を設ける為、補強の役目を果たしている。
【0021】
筐体前面部210の搭載面211の右上の位置に、通気孔216が設けられる。通気孔216は、フロント
パネル12の通気孔に対応する位置に設けられる。搭載面211には、通気孔216の右に隣接する位置であって、右上隅に、スピーカユニット100が設けられる。
【0022】
また、搭載面211には、左下に、ハードディスク60を取り付けるための横長のハードディスク用開口212、左上にはトレイ50用の横長のトレイ用開口214が、それぞれ設けられる。ハードディスク60は、ハードディスク用開口212から、外した位置に示す。
【0023】
トレイ50は、交換可能な回転媒体(例えば、CDやDVD)からデータを記録再生するためのメディアドライブのメディア交換用のものである。トレイ50は、内臓モータによって前後への移動可能で、メディア交換時に前面側に移動される。なお、
図1からもわかるように、通常使用時に、ハードディスク60はフロントパネル12によって遮蔽されている。ハードディスク60の着脱交換は、フロントパネル12を外して行われる。
【0024】
筐体後面部230には、拡張ボードを増設するためのスロット、ファン用の通気口、電源コンセントの開口あるいはインターフェースコネクタ用の開口が各種設けられる。また、筐体右側面部240及び筐体左側面部250には、トップカバー10を固定するためのネジ孔等が、適宜設けられる。
【0025】
筐体底面部260には、CPUあるいは電気基板等の内部の要素部品を取り付けるために、内部にネジ孔が形成された円柱状のスタッドが複数設置される。なお、上述したように、要素部品の記載は省略している。これら筐体前面部210、筐体後面部230、筐体右側面部240、筐体左側面部250及び筐体底面部260が、ネジ、カシメあるいは溶接等の締結手段によって結合されて、全体として強請のある構造体を構成する。
【0026】
図3は、
図2と同様な外装を外した情報処理装置1の内部を、右方向から見た斜視図である。なお、本図では、筐体前面部210からスピーカユニット100が取り外された状態を示す。搭載面211の右上隅に、スピーカを取り付けるためのスピーカ用開口220が設けられる。また、本図では、
図2では外された状態のハードディスク60が装填された状態で示す。
【0027】
図4は、ハードディスク60を拡大して示す図である。ハードディスク60は、HD(ハードディスク)本体62とこのHD本体62を保持するためのHDシャーシ64を有する。HD本体62は、その内部にデータ記録用の媒体であるディスク、記録再生用ヘッドや記録再生回路等を有している。HDシャーシ64は、左右の側面部65とこれをつなぐ底面部を有し、左右の側面部65で、HD本体62を側面で保持する。HDシャーシ64は、例えば金属板を折り曲げて形成される。なお、HDシャーシ64とHD本体62の保持部分には振動を抑制するゴム等の緩衝部材を適宜入れても良い。スピーカあるいはその他外部からの振動を減衰させるためである。
【0028】
左右の側面部65の手前側には、それぞれ外側に張り出すような方向にHD取付け部66が設けられる。2つのHD取付け部66には、取付用ネジを貫通させる孔として、それぞれ外側の両サイドが開放された切欠きが設けられる。ハードディスク60の着脱を容易にするためである。
【0029】
図5は、
図3で示した筐体前面部210の中で、ハードディスク60及びトレイ50の部分を拡大して示す図である。トレイ50は、トレイ用開口214から、多少前側に移動した位置にある。ハードディスク60は、筐体前面部210に装填された位置にある。搭載面211のハードディスク用開口212の左右には、装填されるハードディスク60のHD取付け部66の開口に対応する位置に、取付け孔222が形成されている。所定のネジ(不図示)を左右の取付け孔222に締結することによって、装填されたハードディスク60は、筐体前面部210に取り付けられる。
【0030】
図6は、
図3で示した筐体前面部210の中で、右側のスピーカ搭載部分を拡大して示す図である。筐体前面部210の搭載面211の右上には、通気孔216が形成され、通気孔216の右端に隣接するように、スピーカ用開口220が形成される。本実施形態では、スピーカ用開口220を、横長の略四角の孔で、四角の四隅が内側に張り出した形状として示すが、スピーカユニット100が取付可能な程度の形状であればよく、この形状には限られるものではない。詳細は後述する。
【0031】
図5、
図6で示したように、搭載面211は、ハードディスク60搭載用のハードディスク
用開口212と当該搭載されるハードディスクを取り付けるための取付部および上記スピーカ搭載用のスピーカ
用開口220がそれぞれ設けられて上記筐体前面部の外側の面を形成するものである。
【0032】
図7から
図10を用いて、スピーカユニット100を構成する各パーツの形状及びスピーカユニット100の全体構成を説明する。
図7は、スピーカユニット100を構成する各パーツを、組立て方向に沿って並べた斜視図である。スピーカユニット100は、図面の左から、ネジ182(4本)、スペーサ180(4本)、スピーカ本体110、クッション120、SP(スピーカ)取付部材140、SP(スピーカ)押え部材170を有する。
【0033】
ネジ182は、クッション120をSP取付部材140に保持するものである。スペーサ180は、中空のパイプ形状で、クッション120の4隅に挿入され、内部をネジ182が貫通する。スペーサ180は、ネジ182によってクッション120をSP取付部材140に保持させる際に、ネジ182の頭部でクッション120を直接押圧させないためのものである。スピーカ本体110は、情報処理装置1に設けられた不図示のスピーカアンプから加えられる電気信号によって、警告音あるいは音声ガイド等を操作者に対して、矢印118を発音方向として、発音する。この時、スピーカ本体110が振動する。
【0034】
クッション120は、スピーカ本体110に生ずる発音時の振動がSP取付部材140に伝達されないようにするための、防振材である。
SP取付部材140は、クッション120を介してスピーカ本体110を保持して、当該スピーカを筐体前面部210の所定位置に取り付けるためのものである。SP取付部材140は、クッション120を保持するための枠部(保持枠とも称す)150と、枠部150の後方に延びて筐体前面部210に取付けられるための後方取付部160を有する。
【0035】
SP押え部材170は、スピーカ本体110等が取付けられたSP取付部材140を筐体前面部210に固定するものである。SP押え部材170は、上面部172と、上面部172に対して所定間隔空けて平行に設けられる底面部174を有するU字状部材である。例えば板金の曲げ加工で作成される。また、SP押え部材170の横幅をL1とする。
【0036】
上面部172には、左右の1箇所づつに取付け孔176が設けられる。ネジ184は下方向に向かって装填される。後方取付部160の後端と筐体前面部210の一部が重ねられ、SP押え部材170は、この重ねられた部分を、底面部174と上から締め付けるネジ184によって挟み込む。これにより、後方取付部160の後端が筐体前面部210に固定される。そのため、SP押え部材170は、ネジ184による締め付け力によってSP押え部材170自身が変形しないように、十分な剛性を備えることが望ましい。例えば、SP取付部材140の板厚の2倍以上の板厚があれば望ましい。なお、クッション120、SP取付部材140及びSP押え部材170をまとめてスピーカ保持部102とも称す。
【0037】
図8は、スピーカ本体110の外観を示す図である。
図8(A)は、スピーカ本体110の4面図である。中央がスピーカ本体110の正面図で、上が上面図、下が底面図、右が右側面図である。また、
図8(B)は、
図7と同様な方向から見た、スピーカ本体110の斜視図である。
図8(A)の正面図で示すように、スピーカ本体110の全体は正面から見て略四角形状である。スピーカ本体110は、振動板112、振動板112を支えるフレーム114、コア及び配線116等を有する。振動板112の中心軸が、振動中心軸113である。振動板112は、正面の主要な範囲を占め、全体として正面から見て楕円形状である。振動板112の周囲がフレーム114で、振動板112はフレーム114で支えられる。振動板112の振動方向は、
図8(A)、
図8(B)の矢印で示すようにスピーカの正面に対し、前後方向に振動する。また、
図8(B)に、スピーカ本体110による発音方向118を示す。
【0038】
図9は、クッション120の外観形状を示す図である。
図9(A)は、クッション120の4面図である。
図9(A)の中央が正面図で、上が上面図、下が底面図、右が右側面図である。また、
図9(B)は、
図7と同様な方向から見た、クッション120の外観斜視図である。クッション120は、スピーカ本体110の振動を吸収するような材質、例えば、多孔質の弾性部材、具体的には、ウレタンゴムラバーのような素材である。クッション120は、例えば、このような素材から一体的に成型で製造される。
【0039】
クッション120は、枠組みとなるフレーム122と、フレーム122の左右に2箇所づつ計4箇所設けられたフランジ130からなる。フレーム122は、スピーカ本体110を保持するもので、厚さの薄い額縁の形状である。フレーム122の額縁の前面側の左右4隅に、内側に張り出すように斜めにカットされた薄肉の壁面A124が設けられる。同様に、フレーム122の額縁の背面側の左右4隅に、内側に張り出すような薄肉の壁面B123が設けられる。壁面B123の4箇所の内側部分が開口126となる。壁面B123は、壁面A124よりもよりさらに内側に張り出している。そして、壁面A124と壁面B123の間の空間部分が4箇所の収納部125を構成する。4箇所の収納部125には、スピーカ本体110のフレーム114の4つの角部が挿入される。
【0040】
また、各フランジ130は、フレーム122より奥行き方向に1段低く(薄肉)形成され、各フランジ130には、中央に取付け孔132が設けられる。取付け孔132は、スピーカ本体110が保持されたクッション120を枠部150に取り付けるためのネジ182を貫通させる孔である。各取付け孔132には、スペーサ180が挿入され、スペーサ180内部をネジ182が貫通する。スペーサの形状の詳細は
図14で説明する。
【0041】
スピーカ本体110は、柔軟性のあるクッション120を弾性変形させて、スピーカ本体110のフレーム114の4隅を収納部125に挿入するようにして、クッション120に組み付けられる。このように、スピーカ本体110は、フレーム114の4隅で軽く支えられようにクッション120で保持されるので、スピーカの振動がクッション120に伝播されるのを防止できる。また、スピーカ本体110の背後のコアや配線116は、開口126を通してクッション120の奥側に飛び出た状態となる。
【0042】
図10は、SP取付部材140の外観形状を示す図である。
図10(A)は、SP取付部材140の3面図である。下がSP取付部材140の正面図で、上が上面図、その隣が側面図である。また、
図10(B)は、後ろ側から見た、SP取付部材140の斜視図である。本実施形態では、SP取付部材140が、別体で作成された枠部150と後方取付部160を結合して構成された例を示している。具体的には、枠部150と後方取付部160が金属板を曲げ加工して作成され、スポット溶接で結合された例である。枠部150と後方取付部160を一体で作成してももちろん良い。
【0043】
枠部150はスピーカ本体110の背面側から当該スピーカの外形を囲むように保持するものである。
図10(A)の正面図に示すように、枠部150は、前面がほぼ開放され深さの浅い4角の箱を、その長手方向が横向きになるような姿勢で、立てたような形状である。枠部150の奥行き側の面の中央には、大きな開口が設けられる。枠部150は、箱状の形状にすることで剛性が高まり、スピーカ振動による共振を防止する。箱の左右の側面の一部から内側に方向に、クッション120を取付けるための当てつけ部152が設けられる。当てつけ部152は、箱の4隅に当たる部分に設けられ、各当てつけ部152には取付け孔153が設けられる。取り付けられるスピーカ本体110の振動中心軸113の位置を枠部150に重ねて示す。
【0044】
後方取付部160は、前側方向の先端がスポット溶接によって、SP取付部材140に固定される。
図10(A)の正面図にスポット溶接される位置をスポット溶接部166で示す。後方取付部160は、枠部150の開口に溶接され、その位置から奥行き方向に延伸し、途中で斜めに1段低くなるように設けられから、後部に幅広の平面状の固定部162を有する。つまり、固定部162は、上記枠部150の外縁から当該スピーカ本体110の振動板112の中心寄りの位置を起点として、当該スピーカの発音方向118とは逆方向に延伸した箇所に設けられる。なぜなら、固定部162までの、スピーカ本体110の振動中心軸113からの腕の長さが短いほど、振動により発生するモーメント力を小さく抑えることができるからである。
【0045】
また、固定部162の左右の両端には、上方向にわずかに突出した形状で2つのストッパー164が設けられる。また、2つのストッパー164の間の
間隔L2は、SP押え部材170の横幅
L1より、わずかに大きく設定される。
【0046】
図11から
図13を用いて、スピーカユニット100の筐体前面部210への取り付け(組立て)を説明する。
図11は、スピーカユニット100の筐体前面部210への取り付け(組立て)を説明する第1の図である。
図11は、
図3とは逆に、情報処理装置1の後ろ側から筐体前面部210の右側を見た図である。
【0047】
図12は、スピーカユニット100が取り付けられた筐体前面部210の部分を、前面右方向から見た斜視図である。
図12(A)は、取り付けられたスピーカユニット100を、スピーカ本体110とクッション120を外した状態で示す図である。筐体前面部210に対するSP取付部材140の枠部150との位置関係を示すための図である。
図12(B)は、スピーカユニット100が取り付けられた筐体前面部210の部分をそのまま示す図である。
【0048】
図13は、スピーカユニット100が取り付けられた筐体前面部210の部分を断面で示す図である。
図13(A)は、当該部分を上面から見た図である。
図13(B)は、当該部分を正面から見た図である。
図13(C)は、
図13(B)のMM線に沿った、要部の断面図である。
【0049】
まず
図11と
図13(C)を用いて、筐体前面部210のスピーカ取付付近の形状を簡単に説明する。筐体前面部210は、搭載面211の上端から内部に向かう方向で短いスパンで、全幅で上面部225を有する。さらに、上面部225の幅方向で右端から不図示のトレイ用開口214の手前(横)までに沿って、上面部225の端部から底面方向に向かい、内壁部226が設けられる。
【0050】
内壁部226の高さは、上面部225から筐体の高さの半分くらいまでである。内壁部226は、搭載面211に略平行な面となる。内壁部226の全面には、通気孔が設けられる。さらに、上記スピーカ開口が設けられた位置の後ろ側で上記搭載部の主面(搭載面211)に対して交差する方向で筐体内部に向かって平板状に張り出すよう取付け面(取付け部とも称す)224が設けられる。なお、本実施形態では、筐体前面部210の上面部225、内壁部226、取付け面224を、板金を連続的に折り曲げて製作したもので示すが、製造法はこれに限られるものではない。
【0051】
図11に戻る。
図11(A)は、スピーカユニット100を取り付ける前と途中の状態を示す斜視図である。
図11(B)は、スピーカユニット100を取り付けた後の状態を示す図である。
【0052】
図11(A)から説明する。スピーカユニット100が取り付けられる箇所は、筐体前面部210と筐体右側面部240で囲まれる箇所(取付面224)である。筐体200の外に示されるスピーカユニット100は、取付前の位置を示すものである。ここでは、スピーカユニット100を、固定部162を実線の形状で示し、スピーカ本体110とクッション120と枠部150は、まとめて破線形状で省略して示す。
【0053】
上記の位置から、スピーカユニット100は、筐体前面部210のスピーカ用開口220から、後方取付部160の固定部162を先頭にして筐体
200の内部に挿入される。固定部162を筐体前面部210の取付け面224の下面を滑らせるように通過させて、ストッパー164が取付け面224の端面にかかる位置まで、スピーカユニット100は移動される。この位置が、前後方向でのスピーカユニット100の取付け位置である。取付け位置まで移動された固定部162を破線で示す。
【0054】
次に、SP押え部材170を、SP押え部材170の上面部172と底面部174で、固定部162と取付け面224を挟み込むように、矢印方向(後側から前側に向かった)に沿って、挿入する。
【0055】
この段階では、ネジ184は、SP押え部材170に緩めた状態で装填されている。SP押え部材170で固定部162と取付け面224を挟み込んでから、ネジ184を締め付ける。SP押え部材170の前方向の位置は、SP押え部材170の内側が取付け面224の端面に当てつく位置である。また、SP押え部材170は、図のようにSP取付部材140のストッパー164の間に挟まるように取り付けられる。前述したように、SP押え部材170の横幅L1は、ストッパー164の間隔L2よりわずかに狭く設定されている。
【0056】
SP押え部材170で固定された状態を、
図11(B)に示す。SP押え部材170と固定部162とSP押え部材170との位置関係を示す図である。ネジ184は、下方向に締め付けられた状態である。
【0057】
この取付けられた状態の断面を示すのが、
図13(C)である。スピーカユニット100として、スピーカ本体110とクッション120を断面で示す。スピーカ本体110は、発音方向118が略水平方向で、発音方向118が垂直な方向の搭載面211と直交するように取り付けられる。
【0058】
筐体前面部210から内側に水平に張り出した取付け面224の下に固定部162が重なっている。そして、SP押え部材170の底面部174によって固定部162が下から押えられ、SP押え部材170の上面部172に装填されたネジ184の先端によって、取付け面224が上から押えられる。これにより、固定部162が取付け面224に密着され、スピーカユニット100は筐体前面部210に固定される。そして、ネジの押圧する向きは、スピーカユニット100の振動中心軸113あるいは発音方向118に対して垂直な向きである。
【0059】
つまり、締結部材であるネジの締結方向が当該スピーカの発音方向118に対して直交する方向になるように、上記固定部162は上記筐体前面部210に固定されて、上記スピーカユニット100が上記筐体前面部210に取り付けられる。なお、SP押え部材170は、押圧して固定するので、上面部172を 第1の押圧部172と、底面部174は第2の押圧部174とも呼ぶ。
【0060】
取付け面224に対する、取付後のSP押え部材170と後方取付部160の上から見た位置関係を
図13(A)に示す。後方取付部160の形状は破線で示す。
【0061】
図14は、筐体前面部210に取り付けられたスピーカユニット100の断面を、
図13とは異なる態様で示す図である。
図14(A)は、
図13(B)のMM線で断面された要部の図である。本図は、スピーカユニット100が筐体前面部210の搭載面211に対して、隙間Sだけ空けて、取り付けられることを示す。
【0062】
図12(B)でも示したように、スピーカユニット100は筐体前面部210に取り付けられた状態では、スピーカ本体110及び枠
部150は、搭載面211のスピーカ用開口220から前側に飛び出る位置にある。そして、枠
部150の裏面が搭載面211に直接接しないように、上記枠
部150が搭載面211より所定の
隙間S空けた位置になるように、スピーカユニット100は取り付けられる。また、特に図示はしないが、スピーカユニット100は、その後方取付部160がスピーカ用開口220の上下左右の端面にも接触しないようにも取り付けられる。
【0063】
このように、スピーカユニット100を搭載面211に対して直接接しないように取り付けることで、筐体前面部210に直接取り付けられているハードディスク60へのスピーカ振動の伝達をより低減することができる。なお、所定の隙間Sを空けるためにSP取付け部材170位置を調整する必要はなく、取付け面224の端部に当接するストッパー164により、SP取付け部材170は、その前後位置が所定の隙間Sが空くような位置に設定される。なお、隙間Sとしては、例えば、0.2mm以上あればよい。
【0064】
図14(B)は、
図13(B)のNN線による断面図である。スピーカユニット100の右側のスペーサを中心とした縦方向の断面である。
図14(C)は、そのスペーサ180と、筐体前面部210、枠
部150以外の部材を省略して示した図である。
図14(C)のスペーサ180の部分Rを拡大した図が、
図14(D)である。なお、R部で代表して説明するが、スペーサ180の他の3か所も同様である。
【0065】
図14(D)は、クッション120を枠部150に取付けた状態で、ネジ182の頭部がクッション120のフランジ130をつぶさないように、スペーサ180の形状が構成されていることを説明する図である。つまり、スペーサ180の長手(軸)方向の長さは、クッション120の取付け孔132のフリーの肉厚よりも長さtだけ長くなって設定される。これにより、ネジ182を当てつけ部152の取付け孔153に装填した状態で、ネジ182の頭部が取付け孔132に挿入されたスペーサ180の先端で確実にストップされ、ネジ182の頭部がクッション120のフランジ130をつぶすことはない。なお、tは、例えば0.5mm程度である。クッション120が常につぶされない状態で保持されるので、つぶれ量の大小による振動伝播のばらつきをなくすことができる。
【0066】
図15は、スピーカユニット100が取り付けられた筐体前面部210の部分を示す図である。
図15(A)は、スピーカユニット100が取り付けられた筐体前面部210を前面方向から見た図である。
図15(B)は、その上面図で、
図13(A)と同様な図である。SP押え部材170によって、スピーカユニット100は、筐体前面部210の取付け面224に取付けられている。
【0067】
図15(B)は、
図14(A)で説明したように、スピーカユニット100が筐体前面部210の表面に直接接しないように、枠部150の背面と筐体前面部210の搭載面211の間に隙間Sがあくように、取り付けられる様子を、強調して示す図である。
【0068】
図16は、従来のスピーカ取付けの1例を示す図である。本実施形態と比較するためである。なお、簡便のために、筐体前面部210およびスピーカ
本体110を本実施形態のものと実質同一形状で示す。
【0069】
図16(A)は、スピーカ
本体110が取り付けられる前の筐体前面部210の形状を斜視図で示す。
図16(B)〜
図16(D)は、スピーカ
本体110が取り付けられた状態を示す図である。
図16(B)は、スピーカ
本体110が取り付けられた付近の筐体前面部210を斜視図で示す。
図16(C)は、スピーカ
本体110が取り付けられた付近の筐体前面部210を上面から見た図である。
図16(D)は、同様に、前面(正面)から見た図である。
【0070】
図16(A)に示すように、筐体前面部210の右上には、スピーカ開口300が設けられる。そして、従来の筺体では、スピーカ開口300の周囲には、スピーカ取付用の取付け孔310が形成されている。この例では、取付け孔310が4か所設けられている。そして、板状のクッションを介してスピーカ
本体110がネジ4か所によって、筐体前面部210に取り付けられる。しかし、この方式では、クッションだけではスピーカ
本体110の振動を十分に減衰させることは難しく、スピーカ
本体110の振動が筐体前面部210の表面を伝播して、筐体前面部210の表面に取り付けられるハードディスクに伝達され、ハードディスクの読み取りに悪影響を及ぼすことがしばしばあった。
【0071】
本実施形態による代表的な作用効果を列記する。
1 スピーカの背面側にスピーカの発音方向とは逆方向に伸びる部材(後方取付部)を設け、締結部材(ネジ184)による締結方向をスピーカの発音方向に直交する方向にしたので、締結部材の締結方向が発音方向に平行な場合に比べて、スピーカの振動を抑制する効果が高い。
2 スピーカの取付位置を、筐体前面部の表面ではなく、筐体前面部から内部に延伸した位置にしたので、ハードディスクまでの伝達部材の長さを長くすることができ、振動を減衰させることができる。
3 スピーカの振動中心軸からの腕の長さの短い位置に後方取付部が設けられるので、腕の長さが長い場合に比べて、スピーカの振動による回転モーメントの発生を少なくすることができる。
4 クッションがスペーサによりつぶされずに取付けられるので、つぶし代のバラつきによる、振動伝達のばらつき(不安定要因)をなくすことができる。
5 スピーカユニットが、筐体前面部の搭載面には直接は接触しないように取り付けられるので、ハードディスクが取り付けられる搭載面への振動を低下させることができる。
6 筐体前面部の無用な振動(ビビリ)が抑えられることによって、筐体前面部の共振が低下して、スピーカ自体の音質を向上させることもできる。
また、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0072】
また、本実施形態では、情報処理装置に上記スピーカ取付装置を適用した場合を説明したが、ハードディスクとスピーカが近接するような装置、例えば、ハードディスク内蔵の薄型テレビ等にも適用できる。