【実施例1】
【0051】
図1は、本発明の制御弁の弁開時を示す縦断面図、
図2は、
図1の部分拡大断面図、
図3は、本発明の制御弁の弁閉状態を示す部分拡大縦断面図である。
【0052】
図1〜
図3において、符号10は、全体で本発明の制御弁を示している。
【0053】
本発明の制御弁10は、例えば、永久磁石からなるローターマグネットを備えた電動弁を例として示している。
【0054】
すなわち、本発明の制御弁10は、
図1に示したように、弁本体12を備えており、弁本体12内には弁室14が形成されている。そして、この弁室14に連通するように、入口継手である第1の配管部材16と、出口継手である第2の配管部材18とが装着されている。
【0055】
また、第1の配管部材16の上部には、弁本体12に弁座20が固定されており、この弁座20に弁ポート22が設けられている。
【0056】
さらに、弁本体12内には、ガイドブッシュ24が固定されている。すなわち、ガイドブッシュ24の下端には、弁座20に嵌着する嵌合部24aが形成されており、弁座20に固定されている。
【0057】
また、ガイドブッシュ24の嵌合部24aの上方に一定間隔離間して、弁室14とローター室28を隔てる隔壁26が形成されており、この隔壁26の端部30が弁本体12の内壁に嵌合することにより、弁本体12内にガイドブッシュ24が固定されている。
【0058】
さらに、弁本体12の上端部に、固定金具32を嵌合することにより、固定金具32の爪部材32aにより、ガイドブッシュ24が弁本体12に固定されている。
【0059】
一方、このガイドブッシュ24の嵌合部24aと隔壁26との間に、主流路34が形成されており、隔壁26には、弁体を構成するニードル弁36が挿通される挿通孔38が形成されている。
【0060】
また、この隔壁26の上部には、略筒状のガイド部40が延設されており、ガイド部40の下端には、水平方向に設けられた均圧孔42が形成されている。
【0061】
さらに、均圧孔42は、
図1の矢印Eで示したように、ガイドブッシュ24の下端側方に形成された連通孔(図示せず)を介して、出口継手である第2の配管部材18内へと連通するように構成されている。なお、この均圧孔42、連通孔の形状、配置位置、数などは特に限定されるものではない。
【0062】
一方、ガイドブッシュ24のガイド部40には、内周に雌ネジ40aが形成されており、この雌ネジ40aに噛合するように、ローター軸44の下端に形成された雄ネジ部46の雄ネジ46aが螺着されている。
【0063】
このローター軸44に形成されたニードル弁挿通孔48に、ニードル弁36が挿通され、ニードル弁36の基端部に形成された拡径部36aにより、ニードル弁36の抜け落ちが防止されるようになっている。
【0064】
また、ローター軸44の上端の外周には、永久磁石からなる略円筒形のローターマグネット50が、嵌合部50aにより嵌着されている。
【0065】
そして、ローター軸44の上端に外周方向に突設された弁閉ストッパー52が、ガイドブッシュ24のガイド部40上端に形成された弁閉ストッパー54に、弁閉時に当接することにより、弁閉時におけるストッパーの機能をするように構成されている。
【0066】
また、ローター軸44の上部には、バネ受け金具56が、ローター軸44の上端に嵌合されている。そして、これらのバネ受け金具56とニードル弁36の基端部に形成された拡径部36aとの間に圧縮状態のコイルバネ60が介装され、ニードル弁36を弁座20の方向に突出するように付勢するよう構成されている。
【0067】
さらに、弁本体12の上部には、有底筒形状のケース62が溶着などによって固定されており、このケース62の内部に、これらのローターマグネット50などからなる駆動部64が収容されるとともに、ケース62の内部にローター室28が形成されている。また、ケース62の外周に、ステーターコイル58が装着されている。
【0068】
駆動部64は、ケース62と、ケース62の外側に固定されたステーターコイル58と、ケース62内に上下動且つ回転可能に設けられたローター軸44と、ローターマグネット50を備えたステッピングモータから構成されており、ローターマグネット50は、ステーターコイル58との電磁作用により回転する。
【0069】
このように構成される電動弁10は、
図1、図2に示したように、弁開状態においては、ステーターコイル58が励磁されると、ローターマグネット50が回転し、このローターマグネット50とともに、ローター軸44、ニードル弁36が一体的に回転する。
その結果、ローター軸44の雄ネジ部46の雄ネジ46aと、ガイド部40に形成された
雌ネジ40aとが噛合して案内され、ニードル弁36が上方に移動する。これにより、ニードル弁36の下端が、弁座20の弁ポート22から離間して、弁開状態となるように構成されている。
【0070】
そして、この状態から、
図3に示したように、ステーターコイルの励磁パターンを逆にすると、ローターマグネット50が逆方向に回転し、ローターマグネット50とともに、ローター軸44、ニードル弁36が一体的に回転して、ローター軸44の雄ネジ部46の雄ネジ46aと、ガイド部40に形成された
雌ネジ40aとが噛合して案内され、ニードル弁36が下方に移動する。
このとき、ローターマグネット50の回転にともなって、ローター軸44の上端に外周方向に突設された弁閉ストッパー52が、ガイドブッシュ24のガイド部40上端に形成された弁閉ストッパー54に当接することにより、ニードル弁36の移動が止まり弁閉状態となる。
【0071】
ところで、従来の電動弁100では、
図5の矢印Cで示したように、ガイドブッシュ114のガイド部130の内壁とニードル弁126との間で、ニードル弁126外周に沿って渦を巻いた状態となる。これにより、弁開時において、この渦流の影響で、ニードル弁126が振動して、異音、騒音が発生することになる。
上記のように、高圧になった空間S内で流体が、ニードル弁36の外周に沿って渦を巻いた状態となった場合には、均圧孔42から、高圧になった空間Sから円滑に排出することができないおそれがあり、電動弁100の作動を阻害するおそれがある。
【0072】
このため、本発明の制御弁10では、以下のように構成している。
【0073】
すなわち、
図1、
図2に示したように、弁体を構成するニードル弁36が、ニードル弁36の弁開時において、ガイドブッシュ24のニードル弁36を挿通する挿通孔38に位置する第1のフランジ部66を備えている。
【0074】
また、この第1のフランジ部66と離間して、ガイドブッシュ24に形成された均圧孔42の開口部近傍に位置する
とともに、この均圧孔42の開口部と対向するように配置された第2のフランジ部68を備えている。そして、この第1のフランジ部66と第2のフランジ部68との間に、第1の溝部70が形成されている。
【0075】
さらに、第2のフランジ部68と弁体であるニードル弁36の基端部36cとの間に第2の溝部72が形成されている。
【0076】
このように構成することによって、
図1の矢印Aで示したように、弁開時において、ニードル弁36の先端36bと弁座20の弁ポート22との隙間から、入口継手である第1の配管部材16から高圧の流体が、弁室14へと流入することがある。
【0077】
図1の矢印Bで示したように、この弁室14へと流入した高圧の流体が、ガイドブッシュ24のニードル弁36の挿通孔38と、ニードル弁36との間隙から、ガイドブッシュ24の内壁の間に形成された空間S内に、早い流速で流入したとしても、渦流の発生を防止することができる。
【0078】
すなわち、ニードル弁36の弁開時に、ガイドブッシュ24のニードル弁36の挿通孔38と、ニードル弁36との間隙から、ガイドブッシュ24の内壁の間に形成された空間S内に、高圧の流体が早い流速で流入したとしても、先ず、ガイドブッシュ24のニードル弁36を挿通(すなわち、同心を出すために案内)する挿通孔38に位置する第1のフランジ部66がガイドの役割を果たし、流体による弁体の振れや振動を抑制することができる。
【0079】
また、
図1の矢印Cで示したように、この第1のフランジ部66を通過した流体は、第1のフランジ部66と第2のフランジ部68との間に形成された第1の溝部70からなる広い空間による拡散作用によって、流速がさらに低減され、流体が弁体の外周に沿って渦を巻いた状態とならず、上方に向かって流れることになる。
【0080】
さらに、
図1の矢印Cで示したように、この第1の溝部70で流速が低減された流体は、第2のフランジ部68とニードル弁36の基端部36Cとの間に形成された第2の溝部72からなる広い空間による拡散作用によって、流速がさらに低減され、流体が弁体の外周に沿って渦を巻いた状態とならず、上方に向かって流れることになる。
【0081】
これにより、弁開時において、渦流の影響で、弁体が振動して、異音、騒音が発生することがなく、高圧になった空間S内の流体を、均圧孔42を介して排出することができ、制御弁の作動を正確に円滑に行うことができる。
【0082】
また、この際、第2のフランジ部68が、ガイドブッシュ24に形成された均圧孔42の開口部近傍に位置する
とともに、この均圧孔42の開口部と対向するように配置されているので、第1のフランジ部66と第2のフランジ部68との間に形成された第1の溝部70からなる広い空間が、図1、図2に示したように、均圧孔42の開口部と対向することになる。
従って、これにより、図1の矢印D、Eで示したように、第1の溝部70で流速が低減された流体を、均圧孔42を介して、ガイドブッシュ24の下端側方に形成された連通孔(図示せず)を介して、出口継手である第2の配管部材18内へと円滑に排出することができ、制御弁10の作動を正確に円滑に行うことができる。
【0083】
なお、この場合、第2のフランジ部68が、ガイドブッシュ24に形成された均圧孔42の開口部近傍に位置する
とともに、この均圧孔42の開口部と対向するように配置されているとは、均圧孔42の開口部の内壁上部42aの位置か、内壁上部42aの位置よりも僅かに上方か、内壁上部42aの位置よりも僅かに下方に位置するようにすればよい。
【0084】
しかしながら、この位置は、上記のように第1の溝部70で流速が低減された流体を、均圧孔42を介して円滑に排出する効果を妨げない範囲で適宜変更することができる。
【0085】
また、
図2に示したように、第1の溝部70の溝深さT1と、第2の溝部72の溝深さT2も、特に限定されるものではなく、上述の流速の低減効果などを考慮して適宜変更できる。例えば、第1の溝部70の溝深さと、第2の溝部72の溝深さを同じ溝深さとするほか、第1の溝部70の溝深さと、第2の溝部72の溝深さとで溝深さを変更することもできる。
【0086】
すなわち、第1のフランジ部66と第2のフランジ部68の突設距離も適宜変更することができる。
【0087】
また、第1の溝部70と第2の溝部72の溝部の形状、すなわち、第1のフランジ部66と第2のフランジ部68の形状も特に限定されるものではない。
【0088】
なお、この実施例の第1のフランジ部66では、両面にテーパー面66aを形成して流体の流れを、第1の溝部70に導きやすくして、上記の流体の剥離効果を奏しやすくしており、同様に、第2のフランジ部68では、両面にテーパー面68aを形成して流体の流れを、第2の溝部72に導きやすくして、上記の流体の剥離効果を奏しやすくしている。
【0089】
さらに、これらの第1の溝部70、第2の溝部72は、第1のフランジ部66と第2のフランジ部68をニードル弁36に突設形成することによって形成しても良い。
【0090】
また、第1の溝部70、第2の溝部72は、ニードル弁36に第1の溝部70、第2の溝部72を凹設することによって形成してもよい。
【0091】
さらには、これらを組み合わせて、ニードル弁36に第1の溝部70、第2の溝部72を形成するようにしてもよい。
【実施例2】
【0092】
図4は、本発明の別の実施例の制御弁の弁開時を示す縦断面図である。
【0093】
この実施例の制御弁10は、
図1〜
図4に示した制御弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0094】
この実施例の制御弁10では、
図4に示したように、第1のフランジ部66と第2のフランジ部68との間に、別の第3のフランジ部74が形成されている。
【0095】
なお、この第3のフランジ部74の数、突出高さなどは特に限定されるものではなく、少なくとも1つの第3のフランジ部74が形成されていればよく、適宜変更可能である。
【0096】
このように第1のフランジ部66と第2のフランジ部68との間に、少なくとも1つの別の第3のフランジ部74が形成されていれば、フランジ部と溝部がさらに多くなり、これらのフランジ部による流速の低減、剥離効果、溝部による流速の低減、さらに、流体の均圧孔を介しての円滑な排出効果に優れることになる。
【0097】
その結果、渦流の影響で、弁体が振動して、異音、騒音が発生することがなく、制御弁の作動をさらに正確に円滑に行うことができる。
【0098】
なお、図示しないが、この第3のフランジ部74の代わりに、または、この第3のフランジ部74とともに、第2のフランジ部68とニードル弁36の基端部36cとの間に、少なくとも1つの別の第4のフランジ部が形成されていてもよい。
【0099】
このように第2のフランジ部68とニードル弁36の基端部36cとの間に、少なくとも1つの別の第4のフランジ部が形成されていれば、フランジ部と溝部がさらに多くなり、これらのフランジ部による流速の低減、剥離効果、溝部による流速の低減、さらに、流体の均圧孔を介しての円滑な排出効果に優れることになる。
【0100】
その結果、渦流の影響で、弁体が振動して、異音、騒音が発生することがなく、制御弁の作動をさらに正確に円滑に行うことができる。
【0101】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、弁体として、ニードル弁36を用いたが、その他の形状の弁体を用いることもでき、さらには、制御弁10として、電動弁に適用したが、その他の電磁弁などの制御弁に適用することもできる。
【0102】
また、本発明の制御弁のニードル弁36の構造を、特許文献2(登録実用新案3145048号公報)に開示されるように、ニードル弁の基端部とローター軸との間に空間を設けて圧縮バネを省略した構造に適用することができるなど、種々の形状の弁体に適用することができる。
【0103】
さらには、上記実施例では、入口継手である第1の配管部材16と、出口継手である第2の配管部材18としたが、第1の配管部材16を出口継手として、第2の配管部材18を入口継手とすることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。