特許第5658668号(P5658668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658668
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】深海採鉱ライザおよびリフトシステム
(51)【国際特許分類】
   E21C 50/00 20060101AFI20150108BHJP
   E02F 3/88 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   E21C50/00
   E02F3/88 A
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-527793(P2011-527793)
(86)(22)【出願日】2008年11月14日
(65)【公表番号】特表2012-503721(P2012-503721A)
(43)【公表日】2012年2月9日
(86)【国際出願番号】US2008083513
(87)【国際公開番号】WO2010036278
(87)【国際公開日】20100401
【審査請求日】2011年5月20日
(31)【優先権主張番号】12/236,023
(32)【優先日】2008年9月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506270167
【氏名又は名称】テクニプ、フランス
【氏名又は名称原語表記】TECHNIP FRANCE
(73)【特許権者】
【識別番号】511072736
【氏名又は名称】ノーチラス・ミネラルズ・パシフイツク・プロプライエタリー・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー,シエンテー・アラン
(72)【発明者】
【氏名】シエーンベルク,ロベール
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−114795(JP,A)
【文献】 特公昭54−042921(JP,B2)
【文献】 実公昭41−008092(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/88 − 3/90
E21C 50/00 − 50/02
B63B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底での深海採鉱の方法であって、
海底採鉱機によって海底から固形物を採鉱するステップと、
海底採鉱機からジャンパーを通して固形物を圧送するステップと、
ジャンパーからライザを通して海上船舶まで固形物を圧送するステップと、
海底採鉱機と少なくとも1つの海底ポンプモジュールとの間の距離を監視するステップと、
海底ポンプモジュールから海底採鉱機への力を最小化するために許容範囲内に、海底採鉱機と少なくとも1つの海底ポンプモジュールとの間の距離を調整するステップとを含み、
ライザの上に抱き合わされた1つまたは複数の注水ラインに多量の廃水を圧送するステップをさらに含む方法。
【請求項2】
固形物が、海底塊状硫化物鉱床を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固形物を脱水するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
海底の近くの固形物を圧送するのに使用される多量の廃水を排出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
圧送するステップが、少なくとも1つの海底ポンプによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ジャンパーが、「S」字状である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ダンプバルブアセンブリをポンプモジュールに連結するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ジャンパーから固形物を圧送するステップが、圧縮室を有するポンプモジュールによって圧送するステップを含み、1つまたは複数の注水ラインからの廃水によって圧縮室に少なくとも部分的に動力を供給するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
実質的に水平なジャンパーに連結される海底採鉱機と、
海底採鉱機から遠方に実質的に水平なジャンパーに連結されるポンプモジュールと、
ポンプモジュールに連結されるライザシステムと、
ポンプモジュールから遠方にライザシステムに連結される海上船舶とを備える、海底での深海採鉱システムであって、
固形物が、海底から採鉱され、海上船舶まで圧送され、
海上船舶が、海底採鉱機とポンプモジュールとの間の距離を監視するコンピュータを備え、海上船舶が、海底ポンプモジュールから海底採鉱機への力を最小化するために許容範囲内に、海底採鉱機とポンプモジュールとの間の距離を調整するように適応され、
大量の廃水がそれを通して流れることができるように適応される1つまたは複数の注水ラインをさらに備え、1つまたは複数の注水ラインが、ライザシステムに抱き合わされるシステム。
【請求項10】
固形物が、海底塊状硫化物鉱床を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
脱水された固形物からの廃水を圧送するためのポンプをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
大量の廃水が、海底の近くに排水される、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
ポンプモジュールが、海底の近くに配置される海底モジュールを備える、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
廃水が、ポンプモジュールの圧縮室に少なくとも部分的に動力を供給する、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示され教示される本発明は、一般に、深海採鉱に関し、詳細には、海底塊状硫化物(SMS)鉱床を含む固形物を採鉱し、産出するための深海採鉱ライザおよびリフトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底塊状硫化物鉱床、すなわちSMS鉱床は、古代の火山性塊状硫化物鉱床すなわちVMS鉱床についての現代の等価物である。SMS鉱床は、海底火山弧を中心として深海に一般に形成されており、そこでは、熱水噴出孔が、海洋に硫化物リッチな鉱化流体を吐き出している。SMS鉱床は、横方向に広範囲にわたっており、熱水循環が存在する領域を中心とした中央噴出孔マウンドから成り、その結果、海底に沈澱する不成層硫化物スリットや軟泥の広大な堆積層が生じる。最近の調査結果は、SMSの埋蔵地帯が非常にでこぼこの多い海底地層に幅が約500メートル、長さが1000メートル、深さが約10メートルから約20メートルの代表的な大きさを有することを示している。また、水深は、1,500メートルから2,500メートルに及ぶ。
【0003】
SMS鉱床の経済的な採掘は、大部分は理論的な段階にあり、最も大きな複雑化した要因は、これらの鉱床が形成している極端な水深にある。したがって、海底塊状硫化物(SMS)鉱床などの固形物を採鉱し、産出するための深海採鉱ライザおよびリフトシステムの必要性が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において開示され教示される本発明は、海底塊状硫化物(SMS)鉱床を含む固形物を採鉱し産出するための深海採鉱ライザおよびリフトシステムのための、システムおよび方法を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
出願人は、海底採鉱機によって海底からSMS鉱床を採鉱するステップと、ジャンパーを通して海底採鉱機から固形物を圧送するステップと、ジャンパーからライザを上がって海上船舶まで固形物を圧送するステップとを含む、深海採鉱の方法およびシステムを作り出している。さらに、出願人は、アセンブリを形成する海底ポンプモジュールの頂部にライザハングオフ構造物を積み重ねるステップと、吊持機構によってアセンブリを持ち上げるステップと、ムーンプールにアセンブリを懸架するステップと、第1のライザ継手を取り付けるステップと、アセンブリからライザハングオフ構造物を切り離すステップと、ライザを形成するように少なくとも1つの第2のライザ継手を取り付けるステップとを含む、深海採鉱システムを展開させる方法を作り出している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明のある態様を利用する深海採鉱ライザおよびリフトシステムの特定の実施形態を示す図である。
図2】本発明のある態様を利用する底部ダンプバルブ連結の特定の実施形態を示す図である。
図3】本発明のある態様を利用する深海採鉱ライザおよびリフトシステムの頂端部の末端の特定の実施形態を示す図である。
図4】本発明のある態様を利用するダンプバルブにジャンパーを取り付ける特定の実施形態を示す図である。
図5】本発明のある態様を利用するダンプバルブに海底ポンプを取り付ける特定の実施形態を示す図である。
図6】本発明のある態様を利用するポンプモジュールにラッチライザ継手を取り付ける特定の実施形態を示す図である。
図7】本発明のある態様を利用する深海採鉱ライザおよびリフトシステムの展開の特定の実施形態を示す図である。
図8】本発明のある態様を利用する深海採鉱ライザおよびリフトシステムの展開の特定の実施形態を示す図である。
図9】本発明のある態様を利用する深海採鉱ライザおよびリフトシステムの展開の特定の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上に説明した図、および下記の特定の構造および機能の記述は、出願人が発明したものの範囲、または添付の特許請求の範囲を限定するために与えるものではない。むしろ、図および記述は、特許保護が求められる本発明を製造しかつ使用するいかなる当業者も教示するように与えられている。当業者は、本発明の商業的実施形態の特徴のすべてが、明瞭さおよび理解のために説明されまたは示されているとは限らないことを理解する。また、当業者は、本発明の態様を組み込んだ実際の商業的実施形態の開発には、商業的実施形態についての開発者の最終的な目的を達成するために非常に多くの実装固有の決定が必要とされることを理解する。このような実装固有の決定は、特定の実施、ロケーションによって時々変化し得るシステム関連の、商業関連の、政府関連のおよび他の制約についての遵守を含む場合があり、かつ恐らくこれらに限定されない。開発者の努力は、絶対的な意味で複雑でありかつ時間がかかり得るが、それにもかかわらず、このような努力は、本開示による利益を有する当業者にとっては日常的な課題である。本明細書において開示され教示される本発明は、非常に多くの、さまざまな改変および他の形態に影響されやすいことを理解しなければならない。最後に、これに限定されるものではないが「1つの(a)」などの単数形の用語の使用は、部材の数を限定するものとして意図されていない。また、これに限定されるものではないが「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上部の」、「下部の」、「下に」、「上に」、「側部」等のような関係用語の使用は、図の特定の参照時に分かりやすくするためにこの記述に使用され、本発明の範囲または添付の特許請求の範囲を限定することが意図されるものではない。
【0008】
出願人は、海底採鉱機によって海底からSMS鉱床を採鉱するステップと、ジャンパーを通して海底採鉱機から固形物を圧送するステップと、ジャンパーからライザを上がって海上船舶まで固形物を圧送するステップとを含む、深海採鉱の方法およびシステムを作り出している。さらに、出願人は、アセンブリを形成する海底ポンプモジュールの頂部にライザハングオフ構造物を積み重ねるステップと、吊持機構によってアセンブリを持ち上げるステップと、ムーンプールにアセンブリを懸架するステップと、第1のライザ継手を取り付けるステップと、アセンブリからライザハングオフ構造物を切り離すステップと、ライザを形成するように少なくとも1つの第2のライザ継手を取り付けるステップとを含む、深海採鉱システムを展開させる方法を作り出している。
【0009】
図1は、海底ポンプに動力を供給するために環境的に安全な海上閉ループ廃水システムを用いて、海上船舶まで延在する垂直ライザの底部の動的懸架式海底ポンプによってSMSを含む固形物を採鉱し、産出するためのシステムの例示である。海底採鉱機105は、海底からSMSを含む固形物を採鉱するために使用され得る。最近の調査結果は、SMSの埋蔵地帯が非常にでこぼこの多い海底地層に幅が約500メートル、長さが1000メートル、深さが約10メートルから約20メートルの代表的な大きさを有することを示している。また、水深は、1,500メートルから2,500メートルに及ぶ。海底採鉱機105は、最高25度の傾斜を有するでこぼこの多い地層で稼動することができる。したがって、海底採鉱機105は、理想的にはこれらのでこぼこの多い深海条件の下で働くように設計されることになる。海底採鉱機105は、次のステップの任意の組み合わせを実行することによってSMSを採鉱するように設計されることもでき、このステップは、(1)海床にある埋蔵地帯からSMSを掘削するステップと、(2)掘削機に取り付けられたカッター用いて塊片サイズにSMSを破砕するステップと、(3)ジャンパー115を通過するSMSを確保するように、扱い易いサイズにSMSを破砕するための破砕機にSMSを押し込むステップとを含むが、これに限定されない。多くの変形および実施形態が、海底採鉱機105には想到される。
【0010】
また、ジャンパー115は、水平輸送管またはライザ輸送管と呼ばれることがある。ジャンパーは、「S」字状に構成されることができ、海底採鉱機105からポンプの動きおよび船舶の動きを切り離すように水平方向に配置され得る。ジャンパーが「S」字状に構成される場合、2つの装置が動くときに海底採鉱機105がジャンパー115の張力により転倒され、ひっくり返され、または別様に破壊されないように海底採鉱機105とダンプバルブアセンブリ120との間にいくらかの弛みができるようになっている。また、海底採鉱機105に対して海底ポンプ190によって加えられる力は、最小限にされ得る。動きを切り離さないと、大きな埋蔵地帯の角度で組み合わされる海底採鉱機105に加えられる引っ張り力は、海底採鉱機105を倒すことがある。
【0011】
「S」字状のジャンパー115の他の機能は、ジャンパー115を通過する固形物の遠心力を低下させるように緩やかな傾斜および大きな半径を与えることである。大きな半径は、遠心力および摩耗を低減することができる。ジャンパーの大きな半径は、粒子衝撃摩耗機構から離れて滑り摩耗機構になるように、産出物混合流を与えることができる。滑り摩耗の2つのキーパラメータは、流速Vおよび半径Rである。ジャンパー115は、ダンプバルブアセンブリ120および海底採鉱機105まで形成できるようにその軸に沿って回転され得る。そうすることによって、ブイを付けられた部分110の湾曲した側が、埋蔵地帯から埋蔵地帯へと外側に回転され、それによって、ジャンパーの現場での耐用年数を増大することができる。回転の軌跡を保持するために、特定のマーキングが、ジャンパー115の湾曲した側の軌跡を保持するのに使用されて、耐用年数を増大することができる。たとえば、長さが200メートルのジャンパーの場合、ダンプバルブと海底掘削機との間の公称の水平距離は、125メートル+/−25メートルである。ダンプバルブと掘削機との間の高低差は、最高+/−25メートルであり得る。全段差が180メートルを有する埋蔵地帯の場合には、ライザ130の長さは、限られた数の倍数だけ変化される必要があり得るだけである。
【0012】
海底採鉱機105は、いくつかの装置および技術を用いてその水平な持続期間および「S」字状を維持することができる。第1に、ブイ(集合的に110)などの飛び上がるような装置が、理想的な位置のところでジャンパー115を浮かせるように使用され得る。第2に、海底採鉱機105とダンプバルブアセンブリ120との間の適切な距離が、動的位置出し船、船形船舶または深海バージのような、海上船舶195の位置を制御するためのシステムを用いて維持され得る。産出アップタイムを最大にするために、およびジャンパー115の水平の「S」字状を維持するために、動的位置船舶トラッキングが、海底採鉱機105を追跡するのに使用され得る。そうするために、応答機が、海底採鉱機105ならびにダンプバルブアセンブリ120に取り付けられ得る。海底採鉱機105およびダンプバルブの位置および高さは、海底採鉱機105とダンプバルブアセンブリ120との間の水平および垂直距離を計算できるように動的位置出し船舶などの海上船舶195の船上のコンピュータに送られ得る。また、水平および垂直距離の操作ウィンドウも設けられ得る。いったんこれらの距離が設けられた操作ウィンドウの外側にあると、海上船舶195(および、結果としてダンプバルブアセンブリ120)の公称位置とライザ130の長さのいずれかが、調整される必要があり得る。たとえば、長さが200メートルのジャンパー115の場合、ダンプバルブアセンブリ120と海底採鉱機105との間の水平距離は、理想的には125メートル+/−25メートルに維持され、維持されるべき高さは30メートル+/−25メートルである。連結により、ダンプバルブアセンブリ120は、海上船舶195と一緒に動き得ることに留意すべきである。海上船舶195(および、結果としてダンプバルブアセンブリ120)と海底採鉱機105との間の水平距離は、海上船舶195が動くことによって維持され得る。しかしながら、高低差が操作可能な+/−25メートルの外側にある場合、ポップジョイントセットの継手が、高低差を補償するためにライザ130を長くするようにライザ130に付加され、または取り除かれる必要があり得る。
【0013】
その例示的な実施形態では、ジャンパー115の内径は、固形物が水平輸送管の内側に定着することを防止するために流速を増加させるように垂直管よりも故意に小さなサイズにされ得る。用語「連結される(coupled)」、「連結する(coupling)」、および、説明された本発明に関して本明細書で使用される同様の用語は、一体的な構成要素としてまたはそうでないものとして他の関連する部材の上に、これの中に、またはこれと共に固定する(securing)、接合する(bonding)、固締する(fastening)、取り付ける(attaching)、係合する(engaging)、接続する(joining)、その中に挿入する(inserting therein)、または形成する(forming)ための任意の方法や装置を含む。固形物がジャンパー115に連結される海底採鉱機105によって採鉱された後に、固形物は、ジャンパー115を通して輸送され得る。
【0014】
次いで、固形物は、ダンプバルブアセンブリ120を通して、ライザ主管125を通して上方に海上船舶195まで輸送され得る。海底ポンプ190は、部分的産出のために十分な1つのポンプサブモジュールを有する2つのサブモジュールに構成され得る。冗長性のために、注水ライン135のうちの1つが、1つのポンプサブモジュールに動力を供給するように通される。ダンプバルブアセンブリ120の内側の海底ポンプ190は、ライザ130の底部に受動的に懸架され得る。
【0015】
隣接する装置とぶつかることを防止するように、およびライザ130に沿って周期的な応力強度を低下させるようにライザの形状を維持するために、適切な張力が、特にこの水深において、ライザ130を含む任意の垂直ライザシステムに重要であり得る。ライザ130の底部に海底ポンプ190を配置することによって、ライザ130全体が、海底ポンプ190の重量により必要とされるライザの張力を受け入れることができる。好ましい実施形態では、理想的な張力ファクタは、1.2よりも大きいことがある。張力ファクタは、頂端部の張力とライザストリングの水中での重量との比として定義される。たとえば、底部に配置されるポンプモジュールの重さが100トンから150トンであり、ライザの外径が13インチから14インチであり、壁が1/2インチから3/4インチである場合、1.2の張力ファクタが達成され得る。
【0016】
本明細書において説明されたシステムは、深い海底から海上まで特にSMSなどの固形物を揚げるための圧送動力および効率を有するように理想的には設計され得る。さらに、流れにより引き起こされる振動、海流および海上船舶の動きにより引き起こされる疲労に対処するために、上で説明されたような適切な張力を持つ垂直ライザ、すなわち簡単にはライザ130が設計され得る。ライザ130の頂端部に達すると、SMSなどの固形物は、脱水され得る。脱水による廃水は、海上において圧送され、または、好ましくは注水ライン135Aおよび135B(集合的に135)に圧送されることができ、この注水ライン135Aおよび135Bは、ライザ主管125(共にライザ130に含まれる)の上に抱き合わされて(piggy backed)、ポンプモジュール190の圧縮室まで降りることができる。廃水は、海上船舶195まで固形物を揚げるようにポンプ190の圧縮室に動力を供給するのに使用され得る。次いで、廃水は、海底に排出する前に廃水の速度および圧力を減少させるようにディフューザの中に排出され得る。廃水処理により生じる側方荷重および配管工事を避けるために、海底ディフューザが、排出力を水平方向に平衡させながら水平に廃水を排出するように排出ラインの端部のところに工夫される。廃水および注水ライン135のこの配置は、廃水処理のために海上閉ループを形成する。この実施形態では、廃水は、海底ポンプ190に動力を供給するために利用され、次いで、海底のレベルで海の中に排出される。結果として、海底から採鉱された固形物のすべてが固形物産出物として海上船舶に捕らえられるか、または、残りの廃水としてこれは海底の中へもとの場所へ排出される。廃水を循環させるプロセスは、約15分間に生じ得る。このタイプの配置は、海上閉ループ廃水システムを構成することができる。海面の近くに対して海底の近くに廃水を排出することは、環境に優しく、廃水が海底ポンプ190に動力を供給することを可能にする。さらに、この実施形態は、廃水がこの実施形態の単一のライザ130を下方に移動するので、追加のライザなしで海底の近くに廃水を排出する。
【0017】
ダンプバルブアセンブリ120がライザ130、したがって海上船舶195から切り離される必要があることがある状況があり得る。たとえば、動的システムの故障の場合には、ダンプバルブアセンブリ120の頂端部は、(1)操作される海底遠隔操作車両(ROV)、または(2)ジャンパー115が過度に引き伸ばされ、もしくは海底採鉱機105が倒されることを保護するように切り離され得るポンプパワーパック操作式油圧コネクタが装備されている。ROVは、切り離し手順を実行するように待機して保持され得る。ダンプバルブアセンブリ120を切り離すために、ROVは、海底ポンプ190の制御パネルのジャンパーハンドルバーを掴むことができる。船舶の弁シーケンスは、緊急の切り離しのために準備され得る。次いで、ROVは、ダンプバルブアセンブリ120とライザ130との間の油圧コネクタを切り離すことができる。ROVが使えない、または望ましくない場合、海底ポンプ190の制御パネルに油圧コネクタの油圧回路を接続する他の選択があり得る。ポンプ制御パネルから油圧または電気信号を送信するための連結物が、海上船舶195の制御室に設置され得る。いったん切り離されると、水平ジャンパー115と一緒にダンプバルブアセンブリ120は、海底に落下し得る。回収手順が、ダンプバルブアセンブリ120および水平ジャンパー115を回収するように実行され得る。
【0018】
スラリー輸送には(1)滑り摩耗および(2)粒子衝撃摩耗という少なくとも2つのタイプの摩耗機構がある。図1に示される垂直ライザ構成の場合、主ライザの垂直部分は、底部のポンプ出口および頂端部のエルボ出口を除いては主として滑り摩耗に影響されやすい。これらの非直線な領域は、摩耗および摩擦効果を生じることがある不連続性の周りに乱流および渦流れを有する。垂直ライザ部分については、高強度かつその上延性材料が、潜在的な摩耗に対処するために壁厚に対して1/8インチの摩耗代と一緒に選択され得る。知られていない粒径分布、硬さ、PH値および流体の体積濃度の組み合わせがすべて、将来の計画のために摩耗係数を定量化するための事後試験プログラムに指し示され得る。垂直ライザの戦略領域での壁厚の外径超音波インサイチュ定期検査は、有効な壁厚が残りの産出期間の間も残存することを確実にする方法を提供し得る。乱流が優勢であり得るポンプ出口の場合、1/2インチの摩耗代が、高クロム含量を有する鍛造品と一緒に実施され得る。また、ライザシステムの外径は、ポンプモジュールに、およびムーンプールの近くに配置されるアノードを持つ溶射アルミニウムで被覆され得る。ライザ全体に沿った電気的導通が、防食システムに影響を及ぼすように加えられ得る。摩耗および腐食の相互作用が、上で説明されたシステムおよび方法によって最小限にされ得る。
【0019】
図2は、海底から、好ましくは約30メートルに懸架されているポンプの底部の例示である。この距離は、海底ポンプ190の底部が産出運転中に海底に接触しないことを確保するのに理想的である。ポンプの近くのダンプバルブアセンブリ120は、水力が中断され、または圧送動作が停止する場合のような、ライザ130内の固形物がライザ130の底部に落下し、蓄積する場合に望ましいことがある。落下した固形物を取り除くために、ダンプバルブアセンブリ120は、蓄積された固形物が外部に投棄され、産出が再開できるように開かれ得る。ダンプバルブアセンブリ120は、ROVで手動操作弁を開くことか、または海底ポンプ190からのパワーパックアシスト操作によって、開かれかつ閉じられ得る。全口径の通路およびシュートが、固形物を迅速に外部に投棄するのに、および固形物を海底ポンプ190の頂部から離れるように方向付けるのに必要とされ得る。ROVは、固形物がライザ130を妨げていないこと、および産出を再開するためにダンプバルブアセンブリ120を閉じることを確実にするように使用され得る。
【0020】
図3は、環境的に安全な廃水処理およびリフトシステムの冗長性を得るための二重閉ループ注水ライン135の例示である。図は、上部の末端スプールまたは可撓継手170が支持レセプタクルに支持され、この支持レセプタクルがスパイダービーム構造物145によって支持される、ライザシステムの頂端部の末端を示している。また、脱水システムからライザ130の頂部までの二重注水ライン135Aおよび135B(集合的に135)も、図3に示されている。産出された固形物および水混合物は、海上産出スプール165を通して脱水ポッパーの中に投棄され得る。廃水は、フィルタ150によって濾過され、注水ライン135の中に圧送され得る。注水ライン135は、主ライザ管125に束ねられ得る。
【0021】
図4から図6は、ライザおよびリフトシステムを展開させ、回収するための掘削装置および巻き上げシステムの例示的な実施形態を示している。図4から図6は、例示的なライザおよびリフトシステムを設置するシーケンスを示している。ダンプバルブアセンブリは、ムーンプール400に、およびスパイダービーム145の上に与えられる第1のアセンブリであることができる。ムーンプールは、海底ポンプ(複数可)190の通路を可能にするのに十分に大きな開口であるように設計され得る。ジャンパー115は、スプールに格納され得る。メッセンジャーラインが、ムーンプールから水平ジャンパーのプリングヘッドまで設置され、連結され得る。ROVの助けにより、ジャンパー115は、図4に示されるようにムーンプールに対して垂直に与えられ得る。ジャンパー115の頂端部は、ダンプバルブアセンブリ120の側部入口に連結される。偏心荷重により、スパイダー145は、海底ポンプ(複数可)190に連結するためにダンプバルブアセンブリ120およびジャンパー115アセンブリを真っ直ぐに支持し、保持するように設計され得る。安全の理由のために、油圧コネクタアセンブリは、海底ポンプ190の底部の下方に組み立てられることができ、油圧配管工事はポンプ制御インターフェースに通される。図5に示されるように、2つの注水ラインレセプタクルが、油圧雄コネクタに隣接して組み立てられ得る。油圧コネクタは、注水ラインスタブを同時にレセプタクルの中にして、油圧雄コネクタの上に揚陸されることができる。o−リング式のシールが、それらのレセプタクルに対して注水ラインをシールするのに使用され得る。油圧コネクタがダンプバルブの頂部に適切に揚陸された後に油圧ロック機能を作動させるために、ダミーのROVホットスタブが必要とされ得る。油圧コネクタのインジケータ棒が、油圧コネクタの適切な組立てを示すことができる。次いで、海底ポンプ190は、掘削装置180によって持ち上げられ得る。図6に示されるように、スパイダービーム145は、ポンプが通過することができるように開き、次いでトランジション継手のところで海底ポンプ190を支持するように閉じられ得る。第1のライザ継手は、ムーンプール140に与えられ、次いでポンプの頂部に連結され得る。同じ手順が、全ライザストリングを通すのに使用される。
【0022】
図7から図9は、本発明のある態様を利用する深海採鉱ライザおよびリフトシステムの展開の特定の実施形態の例示である。図7は、ライザハングオフ構造物705を示し、これは、ムーンプールの頂部のレッジに嵌合し、設置および採鉱操作中にライザを支持する溶接物であることができる。ジンバル式ライザスパイダーを有するライザハングオフ構造物(RHS)705は、海底ポンプ(複数可)190の頂部に積み重ねられ得る。次いで、組み合わされたアセンブリ720は、組み合わされたアセンブリの形で掘削装置のフック700によって持ち上げられ得る。図8は、組み合わされたアセンブリ720がいかにして降ろされ、ムーンプール140に懸架され得るかを示している。ムーンプールの頂部の「レッジ」は、ライザハングオフ構造物705を収容し、支持するように含まれ得る。図9に示されるように、フックが、ライザ130の第1のライザ継手で海底ポンプ(複数可)190の重量を持ち上げると、ライザハングオフ構造物705は、海底ポンプ190から切り離され、ライザ130の残部は、持ち上げられかつ設置される。
【0023】
さらに、デリック185が、ムーンプールの上に中心に置かれ得る。ライザ管は、キャットウォークから設置するためにデリックに供給される。デリックの両側のキャットウォークは、ライザキャットウォークキャンドリングツールをそれぞれ有することができ、これは、ブームクレーンによって搬送される管を受け入れ、デリックの中央にこれを供給することができる。デリックについて船首から船尾へのパイプラック715Aおよび715B(集合的に175)がある場合がある。1つのパイプラックは、その上に支持されるスキッドを有することができる。これらのスキッドは、この管が展開される前に(海底で展開され、または移されて)邪魔にならない所にあることが好ましい。海底ポンプおよびさまざまなスキッドは、ドローワークスと反対にある輸送スキッドを介してデリックの中央に搬送される。輸送スキッドは、デッキクレーンから装置を受け入れることができ、ムーンプールのセンターラインまで装置を横滑りさせるか、または設置に必要とされるようにホースリールを支持するのに使用され得る。デリックは、必要に応じて、灯火、通信、産業空気、および油圧源が完備され得る。ライザおよびポンプシステムを展開するのに使用され得る巻上げ装置は、ドローワークス、クラウンブロック、ドーリのあるトラベリングブロック、ベール、およびエレベータから成る。また、ユーティリティエアタガーが、ライザ処理操作を助けるようにデリックの下にメインデッキに設置され得る。
【0024】
海底ポンプ(複数可)190の頂部にライザハングオフ構造物705を「積み重ねる」工程は、油圧的に横滑りされまたはヒンジ式に取り付けられる支持構造物を用いた複雑な構造物を有する必要性なしに、簡単な掘削装置の設計を可能にする。また、油圧的に横滑りされまたはヒンジ式に取り付けられる支持構造物を作動させながら、下方から海底ポンプ190を放ちまたは支持することが望ましい場合がある。
【0025】
上で説明された本発明の1つまたは複数の態様を利用する他のおよびさらなる実施形態が、出願人の発明の主旨から逸脱することなく工夫され得る。さらに、深海採鉱ライザおよびリフトシステムのさまざまな方法および実施形態が、開示された方法および実施形態の変形を作り出すように互いに組み合わされて包含され得る。単一の要素の説明は、複数の要素を包含することができ、逆もまた同じである。
【0026】
ステップの順序は、別様に特に限定されない限り、さまざまなシーケンスで起り得る。本明細書において説明されたさまざまなステップは、他のステップと組み合わされ、述べられたステップの間に入れられ、かつ/または多数のステップに分割され得る。同様に、要素は、機能的に説明されており、別個の構成要素として具体化されることができ、または多数の機能を有する構成要素に組み合わされ得る。
【0027】
本発明は、好ましいかつ他の実施形態についての文脈で説明されており、本発明のあらゆる実施形態が説明されているとは限らない。説明された実施形態の明白な改変および交替は、当業者が利用できる。開示されかつ開示されない実施形態は、出願人によって、しかしむしろ特許法に従って考えられる本発明の範囲または適用可能性を限定し、または制限するように意図されておらず、出願人は、次に述べる特許請求の範囲の均等物の範囲または領域に収まるこのような改変および改善のすべてを、完全に保護するように意図している。
図1
図2
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図4
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図7
図8
図9