(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658712
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】柄付き摺擦具または柄付き摺擦具を用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
A47L 13/10 20060101AFI20150108BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
A47L13/10 D
A47L13/20 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-123255(P2012-123255)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-248013(P2013-248013A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2013年5月2日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】396016445
【氏名又は名称】株式会社フェリシモ
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】西尾 聡子
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−083593(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3116401(JP,U)
【文献】
特開平08−164026(JP,A)
【文献】
米国特許第05339481(US,A)
【文献】
実公昭35−018764(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/10
A47L 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被摺擦対象物を摺擦する摺擦面を有する摺擦部、
前記摺擦部に連結された柄、
を備え、
前記柄をテーブルナイフ把持法で把持した時に、前記摺擦面の反対側の面に摺擦力付与指をおくことができる摺擦力付与指載置部を有する柄付き摺擦具であって、
前記柄および前記摺擦部はシリコン樹脂で構成されており、
前記柄は、前記シリコン樹脂の内部に埋め込まれた芯材により、前記摺擦力付与指載置部を前記摺擦力付与指で押圧した力が前記柄を把持している指に伝わるような硬度を有すること、
を特徴とする柄付き摺擦具。
【請求項2】
被摺擦対象物を摺擦する摺擦面を有する摺擦部、
前記摺擦部に連結された柄、
を備え、
前記柄をテーブルナイフ把持法で把持した時に、前記摺擦面の反対側の面に摺擦力付与指をおくことができる摺擦力付与指載置部を有する柄付き摺擦具であって、
前記柄および前記摺擦部はシリコン樹脂で構成されており、
前記柄には、前記摺擦力付与指載置部を前記摺擦力付与指で押圧した力を前記柄を把持している指に伝える芯材が埋め込まれていること、
を特徴とする柄付き摺擦具。
【請求項3】
請求項1または請求項2の柄付き摺擦具において、
前記芯材は、前記摺擦力付与指載置部のほぼ中央あたりまで達しており、それよりも先には存在しないこと、
を特徴とする柄付き摺擦具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、柄付き摺擦具に関し、特に、その小型化に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、 シリコン樹脂製のたわしが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-244555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載のたわしでは、細かな部分を洗いにくい、さらに、小さな汚れがたわしの陰となって見えにくいという問題があった。かかる問題を解決するために、外形を小さくすることも考えられるが、そうすると摺擦する力が弱くなるという問題がある。
【0005】
この発明は、上記の問題点を解決して、作業性を低下することなく摺擦する力を強くすることができる柄付き摺擦具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明にかかる柄付き摺擦具は、被摺擦対象物を摺擦する摺擦面を有する摺擦部、前記摺擦部に連結された柄、を備え、前記柄をテーブルナイフ把持法で把持した時に、前記摺擦面の反対側の面に摺擦力付与指をおくことができる摺擦力付与指載置部を有
する柄付き摺擦具であって、
前記柄および前記摺擦部はシリコン樹脂で構成されており、前記柄は、前記シリコン樹脂の内部に埋め込まれた芯材により、前記摺擦力付与指載置部を前記摺擦力付与指で押圧した力が前記柄を把持している指に伝わるような硬度を有
する。したがって、シリコン樹脂の硬度を調整することにより、前記摺擦力付与指載置部から、前記摺擦面に対して、圧力をかけつつ、摺擦することができる。
【0007】
(2)本発明にかかる柄付き摺擦具は、
被摺擦対象物を摺擦する摺擦面を有する摺擦部、前記摺擦部に連結された柄、を備え、前記柄をテーブルナイフ把持法で把持した時に、前記摺擦面の反対側の面に摺擦力付与指をおくことができる摺擦力付与指載置部を有する柄付き摺擦具であって、前記柄および前記摺擦部はシリコン樹脂で構成されており、前記柄には、前記摺擦力付与指載置部を前記摺擦力付与指で押圧した力を前記柄を把持している指に伝える芯材が埋め込まれている。したがって、シリコン樹脂の硬度を調整することにより、前記摺擦力付与指載置部から、前記摺擦面に対して、圧力をかけつつ、摺擦することができる。
【0008】
(3)本発明にかかる柄付き摺擦具においては、前記芯材は、前記摺擦力付与指載置部のほぼ中央あたりまで達しており、それよりも先には存在しない。したがって、前記芯材が存在しない領域が適度にしなることにより、指先でこするような感じで摺擦することができる。
【0009】
(4)本発明にかかる柄付き摺擦具を用いた洗浄方法は、被摺擦対象物を摺擦する摺擦面を有する摺擦部と、前記摺擦部に連結された柄とを備えた柄付き摺擦具を用いた洗浄方法であって、前記柄をテーブルナイフ把持法で把持し、前記摺擦面の反対側の面に設けられた摺擦力付与指載置部に摺擦力付与指をおいて、前記摺擦面を前記被摺擦対象物に押圧しつつ摺擦する。したがって、摺擦面を小さくした場合であっても、前記摺擦力付与指載置部から、前記摺擦面に対して、圧力をかけつつ、摺擦することができる。また、前記柄を把持できる。
【0010】
(5)本発明にかかる柄付き摺擦具においては、被摺擦対象物を摺擦する摺擦面を有する摺擦部、前記摺擦部に連結された柄、を備え、前記柄を把持した手で、前記摺擦面を前記摺擦対象物に押しつける力を与えるように前記柄に押圧力を付与したときに、前記摺擦部の一部は撓む程度の硬度で前記摺擦部が構成されている。したがって、操作性のよい摺擦が可能となる。
【0011】
本明細書において、「テーブルナイフ把持法」とは、
図5に一例として示すように、1本の指を、他の把持する指よりも伸ばすことにより、把持される対象物の一端に押圧力を与えやすくするように把持する手法をいう。
図5においては人差し指を伸ばした場合について説明したが、これに限定されない。また、前記摺擦力付与指載置部に載置する指と、他の指との距離は、
図5よりも小さくなるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】洗濯ブラシ1の平面、および上面を示す図である。
【
図2】
図1におけるA−A断面図、B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における1実施形態について、図面を参照して説明する。柄付き摺擦具である洗濯ブラシ1の外観図を
図1に示す。
【0014】
図1に示すように、洗濯ブラシ1は、シリコン樹脂で構成されており、柄3および摺擦部であるブラシ部4で構成されている。ブラシ部4は、凹凸が形成されたブラシ面7および、ブラシ面7の反対側に設けられた凹部5で構成されている。ブラシ面7の形状は
図1Bおよび
図3に示すように、先端7aは他端7bに比べると、溝の深さが小さい。凹部5は、
図1Bおよび
図2Aに示すように、テーブルナイフ把持法で把持したときに、人差し指を載置できるように凹部となっている。柄3はテーブルナイフ把持法で把持したときに、把持した指にフィットしやすいように少し湾曲している。凹部5の大きさは、女性の人差し指をおいたときにほぼ、人差し指と同じ程度である。すなわち、ブラシ部4の幅は、人差し指よりも大きい。
【0015】
また、洗濯ブラシ1は、
図4に示すように、内部に板状で湾曲した柄に沿う形状の芯材9が内蔵されている。芯材9の一端は、ブラシ面7のほぼ中央近傍に位置し、他端は、柄3に設けられた貫通穴3Cよりも手前に位置する。芯材9の両端が端部近傍まで達していないのは、ブラシ部4がシリコン樹脂で構成されているので、芯材9がその端部近傍まで存在すると、心材9がシリコン樹脂から飛び出してくるおそれがあるためである。
【0016】
洗濯ブラシ1の使用方法について、
図5を用いて説明する。人差し指の先端13を凹部5において、ブラシ面7の先端7aで被摺擦対象物を摺擦する。そのとき、芯材9の一端がブラシ面7のほぼ中央近傍よりも端部側7aには存在しない。したがって、先端7aはシリコン樹脂だけであるので、指先でこするような感じで摺擦することができる。また、人差し指の先端13を凹部5の柄よりに少しずらすことにより、先端7aの先端を支点として、凹部5の人差し指13を置く部分を力点として、ブラシ面7を作用点として機能させて、摺擦することができる。また、摺擦するときに、柄3のうち、親指が位置するあたり3aと、小指が位置する辺り3bを保持することができる。
【0017】
本実施形態においては、芯材9を鉄で構成したがこれに限定されない。
【0018】
(5.他の実施形態)
上記実施形態においては、柄と直交する方向にブラシ面7の凹凸が形成されている場合について説明したが、これに限定されない。
【0019】
本実施形態においては、洗濯ブラシ1をシリコン樹脂で構成したが、弾性があればよく、例えばゴムなど
で構成してもよい。
【0020】
本実施形態においては、ブラシ部の摺擦力付与指載置部を、凹部5で構成した場合について説明したが、摺擦力を付与できる形状であってもよい。
【0021】
本実施形態においては,洗濯ブラシ1をテーブルナイフ把持法で把持する場合について説明したが、洗濯ブラシ1の把持方法はこれに限定されず、例えば、ペン軸把持法、バイオリン弓把持法などを採用することもできる。かかる把持方法であっても、ブラシ面7の芯材9が存在しない領域が適度にしなるので、力を入れやすいという効果がある。