(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態を
図1ないし
図9を参照しながら説明する。本実施形態は、例えば店員と、顧客とがショーケースを介して対面し、ショーケースの上に載置して使用する対面販売用の電子秤である対面秤1への適用例を示す。なお、対面秤1における店員側を正面、対面秤1における顧客側を背面として説明する。
【0008】
図1は、本実施形態の対面秤の正面側を示す外観斜視図である。対面秤1の正面には、概略直方体のハウジング2と、このハウジング2に支持された秤皿3aと、ハウジング2の正面側に連結された店員側ディスプレイ5と、店員側ディスプレイ5の側面に設けられえたプリンタ6と、を備える。そして、店員側ディスプレイ5には、タッチパネル4が設けられる。
【0009】
店員側ディスプレイ5は、LCD(Liquid Crystal Display)で構成される。また、店員側ディスプレイ5は、入力手段であるタッチパネル4にて操作することができる構成である。プリンタ6は、いわゆるビルトインタイプのカセット方式のプリンタ本体部を内蔵しており、ラベルやレシートを発行するための発行口をハウジング2の正面に有する。
【0010】
秤皿3aは、ハウジング2の内部にあるロードセルと、アナログデジタル変換回路と、を備えた計量手段として機能する計量部3の一部である(
図3参照)。秤皿3aは、ロードセルの上方に配置される。ロードセルは、秤皿3aと連結しており、秤皿3aに載置された商品の重量を計測するセンサである。ロードセルは、商品を含む計量対象による重量に応じた計量値をアナログ値で出力する。そして、アナログデジタル変換回路は、アナログ値をデジタル値に変換して出力する。
【0011】
図2は、対面秤の背面側を示す正面図である。対面秤1の背面には、ハウジング2の背面部に連結された顧客側ディスプレイ7と、顧客側ディスプレイ7の側面に設けられた人感センサ8と、を備えている。
【0012】
顧客側ディスプレイ7は、LCDで構成されている。検出手段として機能する人感センサ8は、顧客の来店を検出するセンサである。そして、人感センサ8は、例えば、赤外線や超音波、撮像画像等を利用した各種のセンサを利用することができる。
【0013】
図3は、対面秤1に内蔵される各部を示すブロック図である。対面秤1には、各種演算処理等を実行して各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)100が設けられる。このCPU100には、ROM(Read Only Memory)101と、RAM(Random Access Memory)102と、記憶部103と、がシステムバス104を介して接続される。そして、CPU100は、店員側ディスプレイ5及び顧客側ディスプレイ7の表示を制御する、表示制御手段である表示制御部100aを有する。
【0014】
CPU100は、ROM101及びRAM102とともにコンピュータを構成している。ROM101は、読み出し専用の媒体であり、プログラムや各種のファイル等を記憶する。RAM102は、読み出しと書き込みの両方が可能な媒体であり、ワークエリア等として利用される。
【0015】
また、RAM102の一部領域を、CPU100は、顧客が来店していない期間を計測するタイマのタイマ値102aを格納するために使用する。
【0016】
また、記憶部103は、フラッシュROMであり、計量部3やタッチパネル4から入力された情報などを記憶する記憶手段としての機能を有する。
【0017】
さらに、CPU100には、計量部3と、タッチパネル4と、店員側ディスプレイ5と、プリンタ6と、顧客側ディスプレイ7と、人感センサ8と、がシステムバス104を介して接続される。
【0018】
また、店員側ディスプレイ5及び顧客側ディスプレイ7には、それぞれにディスプレイコントローラが設けられる。そして、ディスプレイコントローラにアクセスすることで、CPU100は、店員側ディスプレイ5及び顧客側ディスプレイ7に表示内容を表示する。
【0019】
また、店員側ディスプレイ5のタッチパネル4には、タッチパネルコントローラが設けられる。CPU100は、タッチパネルコントローラを駆動制御し、店員が触れたタッチパネル4上のXY座標の位置を認識して座標データを取得する。CPU100は、店員側ディスプレイ5に表示されるボタン等と、タッチパネル4の座標と、両方の位置関係の同期をとることで、店員側ディスプレイ5に表示された情報を認識する。
【0020】
プリンタ6には、印字データに基づいて駆動制御を行うプリンタコントローラが設けられる。CPU100は、RAM102の一部領域を印字バッファとして利用しつつ、プリンタコントローラを制御する。これにより、サーマルヘッドやパルスモータが駆動して、プリンタ6は、印字動作を行う。
【0021】
次に、ROM101に記憶されたプログラムに従い、CPU100が実行する表示制御について説明を行う。
【0022】
対面秤1は、CPU100の表示制御により、異なる内容の表示を行う3つのモードを備える。そして、CPU100は、顧客側ディスプレイ7に、モードごとに異なる内容を表示する。
【0023】
モードは、休止モード、待機モード、及び登録モードの3つである。第1の状態である休止モードは、顧客側ディスプレイ7の表示を消して電力の消費量を抑えることができるモードである。第2の状態である待機モードは、顧客側ディスプレイ7へ顧客に対する情報(例えば、コマーシャルメッセージや動画などの広告)を表示することができるモードである。第3の状態である登録モードは、商品の計量時に商品の品名、重量、単価、値段等を顧客側ディスプレイ7に表示するモードである。
【0024】
図4は、対面秤1の休止モード時の背面側を示す正面図である。休止モードは、設定期間内に人感センサ8が顧客を検出していない状態である。CPU100は、顧客用ディスプレイ7の表示を消してコマーシャルメッセージや動画を表示しない。これにより、休止モードは、電力の消費量を抑えることができる。
【0025】
図5は、対面秤1の待機モード時の背面側を示す正面図である。待機モードは、対面秤1の人感センサ8が顧客を検出した状態である。よって、CPU100は、顧客側ディスプレイ7へ顧客に対する情報(例えば、コマーシャルメッセージや動画などの広告)を表示して顧客の販売意欲の向上促進を図る。例えば、CPU100は、顧客側ディスプレイ7へ「安売り」と表示する。
【0026】
図6は、対面秤1の登録モード時の背面側を示す正面図である。登録モードは、対面秤1を使用して商品の重量を計量している状態である。よって、CPU100は、タッチパネル4からの入力と、計量部3からの計量結果を使用して顧客側ディスプレイ7に商品の品名、重量、単価、値段等を表示する。例えば、CPU100は、顧客側ディスプレイ7へ「豚肉100グラム」と表示する。
【0027】
次いで、ROM101に記憶されたプログラムに従い、CPU100が実行する3つのモードのモード移行について説明する。CPU100は、ROM101に記憶されたプログラムに従うことにより、表示制御手段として動作する。表示制御手段は、人感センサ8からの顧客の検出の可否、及び、店員による操作によりモードの遷移を行う。
図7、
図8、
図9に示すフローチャートに沿って、表示制御手段が行うモード遷移について説明を行う。
【0028】
図7は、休止モード時の処理の流れを示すフローチャートである。
図7を使用して休止モード時の動作について説明を行う。
【0029】
電源が投入されてシステムが立ち上がると、CUP100は、対面秤1の状態を休止モードにする。そして、CPU100は、顧客側ディスプレイ7の表示を消す(ステップS1)。
【0030】
CPU100は、商品の計量のためのタッチパネル4から入力が行われるか否かを監視する(ステップS2)。キー入力が行われた場合に、CPU100は、対面秤1の状態を登録モードに移行させる(ステップS2のYes)。一方、入力が行われない場合に、CPU100は、ステートをステップS3に遷移させる(ステップS2のNo)。
【0031】
CPU100は、人感センサ8によって顧客が検出されるか否かを監視する(ステップS3)。人感センサ8から顧客が検出された旨の信号が入力された場合に、CPU100は、対面秤1の状態を待機モードに移行させる(ステップS3のYes)。一方、顧客が検出されない場合に、CPU100は、ステートをステップS2に遷移してタッチパネル4からの入力を監視する(ステップS3のNo)。
【0032】
図8は、待機モード時の処理の流れを示すフローチャートである。
図8を使用して待機モード時の動作について説明を行う。
【0033】
なお、待機モードの場合に、CPU100は、タッチパネル4からの入力の有無を判断する。そして、タッチパネル4から入力された場合に、CPU100は、対面秤1の状態を登録モードへ移行させる処理を行う。なお、
図8は、タッチパネル4からの入力による登録モードへの移行は省略する。
【0034】
待機モードに移行すると、CPU100は、コマーシャルメッセージや動画を顧客側ディスプレイ7に表示する(ステップS4)。そして、CPU100は、ステートをステップS5へ遷移させる。
【0035】
CPU100は、顧客が来店していない期間を計測するタイマの初期値をRAM102上に設定する(ステップS5)。初期値は、予め設定された値である。
【0036】
CPU100は、人感センサ8による顧客の検出が行われるか否かを判断する(ステップS6)。人感センサ8が顧客を検出した場合に、CPU100は、ステートをステップS5に遷移する(ステップS6のYes)。これにより、CPU100は、タイマのタイマ値102aを初期値に戻す。一方、顧客が検出されない場合に、CPU100は、ステートをステップS7に遷移させる(ステップS6のNo)。
【0037】
CPU100は、RAM102上に設けられたタイマ値102aをデクリメントする(ステップS7)。
【0038】
CPU100は、タイマ値102a=0となっているか否かを判断する(ステップS8)。タイマ値102a=0の場合には、設定期間内に顧客が検出されていないことを意味する。よって、タイマ値102a=0の場合には、CPU100は、対面秤1の状態を休止モードへ移行する(ステップS8のYes)。一方、タイマ値102a=0ではない場合に、CPU100は、ステートをステップS6に遷移する(ステップS8のNo)。
【0039】
図9は、登録モード時の処理の流れを示すフローチャートである。
図9を使用して登録モード時の動作について説明を行う。
【0040】
登録モードに移行すると、CPU100は、顧客側ディスプレイ7に予め設定されている初期画面を表示する(ステップS9)。
【0041】
店員は、タッチパネル4による品名の入力、及び計量部3による重量の計量を行うことで、対面秤1に品名、重量、単価、値段等を登録する(ステップS10)。品名、重量、単価、値段等の登録にともない、顧客側ディスプレイ7にも、CPU100は、登録された内容を表示させる。また、店員は、必要に応じてプリンタ6で、ラベルやレシートを印刷する。
【0042】
登録業務が終了した場合に、CPU100は、対面秤1の状態を休止モードに移行させる(ステップS11のYes)。一方、登録業務が終了していない場合に、CPU100は、ステートをステップS10に遷移して登録業務を続ける(ステップS11のNo)。
【0043】
以上により、顧客が不在の時は、顧客側ディスプレイ7の表示を消すことで、電力の消費量を抑えることができる。また、顧客の来店を検出した場合は、コマーシャルメッセージや動画などの広告が表示されることから、顧客に対して効率的にアピールをすることが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加、組み合わせ等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0045】
また、上記実施形態は、顧客が来店したことを人感センサ8で検出している。この際に、人感センサ8を用いて顧客がいる場所を特定できるようにしてもよい。この場合は、対面秤1を載置しているショーケースの上に、人感センサ8を複数配置する。これにより、顧客がどの位置にいるかを特定することができるので、顧客の近くの商品の広告を表示することが可能となる。例えば、ショーケースの右端にいる顧客に対しては、ショーケースの右端にある商品の広告などを行うことが可能となる。
【0046】
また、上記実施形態は、顧客が来店したことを人感センサ8で検出した場合に、コマーシャルメッセージや動画などの広告を表示している。その際に、販売回数が多い売れ筋商品の広告を表示してもよい。対面秤1は、商品の計量の際に、商品名などを記憶部103に登録して使用する。よって、記憶部103に記録された登録回数を調査することにより、販売回数の多い売れ筋商品を求めることができる。そして、売れ筋商品は、多くの顧客に支持されている商品であることから、売れ筋商品に関する広告を表示することで更なる購買意欲の増進を図ることができる。
【0047】
また、上記実施形態は、顧客が来店したことを人感センサ8で検出した場合に、コマーシャルメッセージや動画などの広告を表示している。その際に、商品ごとの売れ筋重量を表示してもよい。対面秤1は、商品の計量の際に、商品名や計量結果などを記憶部103に登録して使用する。よって、記憶部103に記録された商品ごとの計量結果の登録回数を調査することで、商品ごとの売れ筋重量を求めることができる。また、商品ごとの売れ筋重量は、多くの顧客が支持している商品量であることから、商品の適切な量を提案することが可能となる。
【0048】
また、上記実施形態は、広告としてコマーシャルメッセージや動画を顧客側ディスプレイ7で表示している。しかし、顧客への広告は、音声などとしてもよい。この場合、顧客に対する情報を音によって伝える音響手段であるスピーカーを取り付ければよい。