特許第5658808号(P5658808)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5658808光学材料用重合性組成物、光学材料および光学材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658808
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】光学材料用重合性組成物、光学材料および光学材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/38 20060101AFI20150108BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20150108BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20150108BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   C08G18/38 Z
   C08L75/04
   C08K5/49
   G02B1/04
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-206473(P2013-206473)
(22)【出願日】2013年10月1日
(62)【分割の表示】特願2010-541961(P2010-541961)の分割
【原出願日】2009年9月1日
(65)【公開番号】特開2014-15624(P2014-15624A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2008-311983(P2008-311983)
(32)【優先日】2008年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】龍 昭憲
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠一
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−246690(JP,A)
【文献】 特開2001−131257(JP,A)
【文献】 特開2001−174601(JP,A)
【文献】 国際公開第1999/033892(WO,A1)
【文献】 特開平10−081726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
C08L 1/00−101/14
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、またはフェニレンジイソシアネートである芳香族イソシアネートと、
(b)メルカプト基含有化合物と、
(c)トリフェニルホスフィン1×10ppm以上、5×10ppm以下と、
を含むことを特徴とする光学材料用重合性組成物。
【請求項2】
メルカプト基含有化合物(b)は、ポリチオール化合物(b1)および/または(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)であることを特徴とする請求項1に記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項3】
ポリチオール化合物(b1)は、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタンおよび3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタンよりなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項2に記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項4】
(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)は、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジチオール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)およびグルセリンビス(メルカプトアセテート)、4−メルカプトフェノールおよび2,4−ジメルカプトフェノールよりなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項2または3に記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を重合して得られる光学材料用樹脂。
【請求項6】
請求項に記載の光学材料用樹脂を含む光学用透明部材。
【請求項7】
請求項に記載の光学用透明部材からなる光学材料。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を硬化する光学材料の製造方法。
【請求項9】
請求項に記載の製造方法において、注型重合により前記光学材料用重合性組成物を成形することを特徴とする光学材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用重合性組成物に関し、特に芳香族イソシアネートと、特定のポリチオール化合物と、特定のリン含有化合物とを含む光学材料用重合性組成物に関する。また、本発明は、この光学材料用重合性組成物から得られる光学材料およびこの光学材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学部品の用途における無機材料の代替として、プラスチック材料が使用されている。このようなプラスチック材料は、それまで使用されてきた無機材料と比較して、軽量で割れ難く、染色が可能であるため、好適に使用されている。特に、レンズなどの光学部品としては、高屈折率を有するプラスチック材料が望まれており、このような高屈折率を有するプラスチック材料としては、例えば特許文献1、2に記載された含硫黄のウレタン(チオウレタン)系樹脂が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−270859号
【特許文献2】中国特許出願公開1405198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の技術において、チオウレタン系樹脂からなる成形体は高屈折率ではあったものの着色するため、色相の観点から実用化が困難であった。近年においては、ブルーイング剤等の着色剤により成形体を予め着色しておき、チオウレタン系樹脂に起因する着色を目立たなくすることが行われている。しかしながら、チオウレタン系樹脂からなる成形体の着色を抑制するものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、芳香族イソシアネートと、特定のポリチオール化合物と、特定のリン含有化合物とを含む重合性組成物により、高屈折率を有し、着色が抑制された成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下に記載されるものである。
(1)(a)トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、またはフェニレンジイソシアネートである芳香族イソシアネートと、
(b)メルカプト基含有化合物と、
(c)トリフェニルホスフィン1×10ppm以上、5×10ppm以下と、
を含むことを特徴とする光学材料用重合性組成物。
【0008】
)メルカプト基含有化合物(b)は、ポリチオール化合物(b1)および/または(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)であることを特徴とする(1)に記載の光学材料用重合性組成物。
【0009】
)ポリチオール化合物(b1)は、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタンおよび3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタンよりなる群から1種以上選択されることを特徴とする()に記載の光学材料用重合性組成物。
【0010】
)(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)は、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジチオール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)およびグルセリンビス(メルカプトアセテート)、4−メルカプトフェノールおよび2,4−ジメルカプトフェノールよりなる群から1種以上選択されることを特徴とする()または()に記載の光学材料用重合性組成物。
【0015】
)(1)乃至()のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を重合して得られる光学材料用樹脂。
【0016】
)()に記載の光学材料用樹脂を含む光学用透明部材。
【0017】
)()に記載の光学用透明部材からなる光学材料。
【0018】
)(1)乃至()のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を硬化する光学材料の製造方法。
【0019】
)()に記載の製造方法において、注型重合により前記光学材料用重合性組成物を成形することを特徴とする光学材料の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高屈折率を有し、さらに着色が抑制された光学材料が得られる光学材料用重合性組成物、およびこの重合性組成物から得られる光学材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の光学材料用重合性組成物について実施の形態により説明する。
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、
(a)芳香族イソシアネートと、
(b)メルカプト基含有化合物と、
(c)下記一般式(1)
(O=)P−X (1)
(式中、nは0または1の整数を表す。
Xは置換または無置換の、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルケニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基を表す。
Xが置換された基である場合の置換基は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基である。)
で表されるリン含有化合物と、を含む。
【0022】
本発明の光学材料用重合性組成物は、着色抑制剤であるリン含有化合物(c)を含む上記のような組成であることにより、高屈折率を有し、さらにチオウレタン系樹脂に起因する着色が抑制された光学材料を提供することができる。
【0023】
<芳香族イソシアネート(a)>
本発明に用いられる芳香族イソシアネート(a)としては、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはフェニレンジイソシアネートを用いることができる。
【0024】
また、上記の芳香族イソシアネート(a)に加えて、以下のような他のイソシアネート化合物を用いることもできる。
他のイソシアネート化合物としては、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト-1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト-1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物;等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0025】
さらに、上記に例示したイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部をイソチオシアネート基に変えたものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
このようなイソチオシアネート化合物としては、例えば、
ヘキサメチレンジイソチオシアネート、リジンジイソチオシアネートメチルエステル、リジントリイソチオシアネート、m−キシリレンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトエチル)ジスルフィド等の脂肪族ポリイソチオシアネート化合物;
イソホロンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソチオシアネート、シクロヘキサンジイソチオシアネート、メチルシクロヘキサンジイソチオシアネート、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;
トリレンジイソチオシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソチオシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;
2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)チオフェン、2,5−イソチオシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソチオシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソチオシアナト-1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0027】
さらに、これらイソシアネート化合物の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体あるいはダイマー化反応生成物等も、他のイソシアネート化合物として使用することができる。これらイソシアネート化合物は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0028】
<メルカプト基含有化合物(b)>
本実施形態において用いられる、メルカプト基含有化合物(b)としては、メルカプト基を2個以上有する「ポリチオール化合物(b1)」、ヒドロキシ基を1個以上有しメルカプト基を1個以上有する「(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)」を挙げることができ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0029】
(ポリチオール化合物(b1))
本実施形態において用いられるポリチオール化合物(b1)は、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタンを挙げることができ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
また、以下のような他のポリチオール化合物を用いることもでき、例えば、
メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2―メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3―メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアシクロヘキサン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;
2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物;等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0031】
さらに、ポリチオール化合物(b1)、他のポリチオール化合物のオリゴマ−や塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を、他のポリチオール化合物として使用しても良い。これらの化合物は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0032】
((ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2))
(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジチオール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール等の脂肪族化合物;
ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、グルセリンビス(メルカプトアセテート)等のエステル基を有する(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物;
4−メルカプトフェノール、2,4−ジメルカプトフェノール等の芳香環を有する(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物;
等が挙げられ、また、これら化合物のオリゴマ−や塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用しても良い。これらの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
また、本実施形態において使用される芳香族イソシアネート(a)および必要に応じて他のイソシアネート化合物(以下、「イソシアネート化合物類」と総称する)は、予めポリチオール化合物(b1)、(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物(b2)および必要に応じて他のポリチオール化合物(以下、「チオール類」という)の一部を予備的に反応させたものでもよい。また、本発明において使用されるチオール類は、予めイソシアネート化合物類の一部を予備的に反応させたものでもよい。
【0034】
<リン含有化合物(c)>
本実施形態で用いられるリン含有化合物(c)は、下記一般式(1)で表すことができる。
(O=)P−X (1)
式中、nは0または1の整数を表す。
Xは置換または無置換の、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルケニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基を表す。
Xが置換された基である場合の置換基は、ハロゲン原子(F、Cl,Br)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基である。
【0035】
複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジル基、ピラジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピロール基、ピラゾリル基、またはテトラゾリル基を挙げることができる。
【0036】
このようなリン含有化合物(c)を用いることにより、チオウレタン系樹脂に起因する着色を抑制することができ、色相に優れた光学材料を得ることができる。
【0037】
上記一般式(1)で示されるリン含有化合物としては、下記一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(O=)P−Ar (2)
O=P−(OR (3)
(O=)P−(OAr (4)
【0038】
一般式(2)および式(4)中、Ar,Arは、置換または無置換の、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、複素環基を表す。式中に複数存在するArまたはArは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Ar,Arが置換された基である場合の置換基は、ハロゲン原子(F、Cl,Br)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基である。
一般式(2)および式(4)中、nは0または1の整数を表す。
【0039】
一般式(3)中、Rは、置換または無置換の、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルケニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す。一般式(3)中に複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
が置換された基である場合の置換基は、ハロゲン原子(F、Cl,Br)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基である。
【0040】
一般式(2)で表されるリン含有化合物(c)としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノベンゼン−3−スルホン酸ナトリウム、ジメチルアミノフェニルジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノ安息香酸、トリス(メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド等を挙げることができ、トリフェニルホスフィンが好ましい。
トリフェニルホスフィンは、光学材料用重合性組成物中に1×10ppm以上、好ましくは1×10ppm以上、5×10ppm以下、より好ましくは1×10ppm以上、3×10ppm以下、特に好ましくは3×10ppm以上、1×10ppm以下の量で含まれる。
【0041】
トリフェニルホスフィンの添加量を上記の量で含む光学材料用重合性組成物によれば、耐熱性を維持しつつ、チオウレタン系樹脂に起因する着色を効果的に抑制し色相に特に優れた光学材料を得ることができる。
【0042】
一般式(3)で表されるリン含有化合物(c)としては、トリス(1,3−ジクロロプロパン−2−イル)ホスファート、トリス(2−クロロエチル)ホスファート、リン酸トリス(1H,1H,5H−オクタフルオロ−n−ペンチル)等を挙げることができ、トリス(1,3−ジクロロプロパン−2−イル)ホスファートが好ましい。
トリス(1,3−ジクロロプロパン−2−イル)ホスファートは、光学材料用重合性組成物中に1×10ppm以上、好ましくは1×10ppm以上、5×10ppm以下、より好ましくは1×10ppm以上、3×10ppm以下、特に好ましくは3×10ppm以上、1×10ppm以下の量で含まれる。
【0043】
一般式(4)で表されるリン含有化合物(c)としては、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスファート、トリス(メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリス(4−ニトロフェニル)等を挙げることができ、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスファートが好ましい。
【0044】
トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスファートは、光学材料用重合性組成物中に1×10ppm以上、好ましくは1×10ppm以上、5×10ppm以下、より好ましくは1×10ppm以上、3×10ppm以下、特に好ましくは3×10ppm以上、1×10ppm以下の量で含まれる。
【0045】
トリス(1,3−ジクロロプロパン−2−イル)ホスファート、トリフェニルホスファイトおよびトリフェニルホスファートよりなる群から選択される1種以上の化合物を上記の量で含む光学材料用重合性組成物によれば、チオウレタン系樹脂に起因する着色を抑制することができ、色相に優れた光学材料を得ることができる。
【0046】
<ポリヒドロキシ化合物>
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、樹脂改質剤としてポリヒドロキシ化合物を含んでいてもよい。本実施形態で用いられるポリヒドロキシ化合物は、ヒドロキシ基を2個以上有し、メルカプト基を含まない化合物である。ポリヒドロキシ化合物は、チオウレタン系樹脂の屈折率、アッベ数、耐熱性、比重等の物性や耐衝撃性等の機械強度等を調整あるいは向上させる効果があり、また、製造コストを低減するとの観点において好ましい。
【0047】
ポリヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ピロガロール等が挙げられ、これらの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0048】
更に、樹脂の改質を目的として、ポリヒドロキシ化合物以外の樹脂改質剤として、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等を加えてもよい。ここで、樹脂改質剤とは、チオウレタン系樹脂の屈折率、アッベ数、耐熱性、比重等の物性や耐衝撃性等の機械強度等を調製あるいは向上させる化合物である。
【0049】
樹脂改質剤として添加することができるエポキシ化合物としては、例えば、
ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合反応により得られるフェノール系エポキシ化合物;
水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアルコール系エポキシ化合物;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の多価有機酸化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるグリシジルエステル系エポキシ化合物;
一級及び二級ジアミン化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアミン系エポキシ化合物;
ビニルシクロヘキセンジエポキシド等の脂肪族多価エポキシ化合物;等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0050】
樹脂改質剤として添加することができるエピスルフィド化合物としては、例えば、
ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン等の環状脂肪族、複素環を有する2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン等の芳香族2,3−エピチオプロピルチオ化合物;等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0051】
樹脂改質剤として添加することができる有機酸及びその無水物としては、例えば、
チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0052】
樹脂改質剤として添加することができるオレフィン化合物としては、例えば、
ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、キシリレンジチオールジアクリレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプトエチルスルフィドジメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;
アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のアリル化合物;
スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9−ジビニルスピロビ(m−ジオキサン)等のビニル化合物;等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0053】
これら樹脂改質剤は、単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0054】
本発明において使用されるイソシアネート化合物類、チオール類、リン含有化合物およびポリヒドロキシ化合物(以下、「活性水素化合物類」という)の使用割合は、(NCO+NCS)/(SH+OH)の官能基モル比が、通常、0.8〜1.5の範囲、好ましくは、0.9〜1.2の範囲である。
【0055】
また、本発明記載の重合性組成物は、必要に応じて、ブルーイング剤を含むことができる。ブルーイング剤は、可視光領域のうち橙色から黄色の波長域に吸収帯を有し、樹脂からなる光学材料の色相を調整する機能を有する。ブルーイング剤は、さらに具体的には、青色から紫色を示す物質を含む。
【0056】
本発明の重合性組成物に用いられるブルーイング剤は、特に限定されるものではなく、具体的には、染料、蛍光増白剤、蛍光顔料、無機顔料等が挙げられるが、ブルーイング剤として使用できるものの中から光学部品に要求される物性や樹脂色相などに合わせて適宜選択される。これらのブルーイング剤は、それぞれ単独で用いても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0057】
これらのブルーイング剤のうち、重合性組成物への溶解性の観点および得られる光学材料の透明性の観点からは、染料が好ましい。染料の中でも、ブルー系染料およびバイオレット系の染料から選ばれる1種または2種以上の染料を含む染料であることが好ましいが、場合によっては他の色の染料を混合して用いてもよい。たとえば、ブルー系やバイオレット系のほかに、グレー系やブラウン系やレッド系、オレンジ系の染料も使用することができる。こうしたブルーイング剤の組み合わせの具体例として、ブルー系染料とレッド系染料との組み合わせ、およびバイオレット系染料とレッド系染料の組み合わせ等が挙げられる。
【0058】
吸収波長の観点からは、好ましくは、極大吸収波長が520nm以上600nm以下の染料であり、さらに好ましくは極大吸収波長が540nm以上580nm以下の染料が挙げられる。
また、化合物の構造の観点からは、アントラキノン系染料が好ましい。
【0059】
染料として、具体的には、「PS Blue RR」、「PS Violet RC」、「PET Blue 2000」、「PS Brilliant Red HEY」、「MLP RED V-1」(それぞれ、ダイスタージャパン社の商品名)、「Plast Blue 8514」、「Plast Red 8380」(それぞれ、有本化学工業株式会社の商品名)等が挙げられる。
【0060】
ブルーイング剤の使用量は、モノマーの種類、各種添加剤の使用の有無、使用する添加剤の種類や量、重合方法、重合条件によっても異なるが、一般にはモノマーの全体使用量、つまり重合組成物中に含まれる重合性化合物の総重量に対して0.001ppm以上500ppm以下の割合で、好ましくは0.005ppm以上100ppm以下の割合で、さらに好ましくは0.01ppm以上10ppm以下の割合で使用される。ブルーイング剤の添加量が多すぎると、光学部品全体が青くなりすぎて好ましくない場合があり、また少なすぎると、色相改善効果が十分に発揮されず好ましくない場合がある。
【0061】
ブルーイング剤の添加方法については、特に限定されるものではなく、あらかじめモノマー系に添加しておくことが望ましい。その方法として、モノマーに溶解させておく方法、あるいは、高濃度のブルーイング剤を含有したマスター溶液を調製しておき、そのマスター溶液を使用するモノマーや他の添加剤で希釈して添加する方法など、様々な方法が採用できる。
【0062】
以上説明したような芳香族イソシアネート(a)、メルカプト基含有化合物(b)およびリン含有化合物(c)を必須成分として含む組成物は、ハンドリング性に支障のない程度の粘度を有する。ここで粘度は、例えば、B型粘度計で測定される20℃におけるモノマー混合物の粘度で評価することができ、組成物の調合直後の粘度から、減圧下での脱泡処理やその他の工程を経てすべてのモノマーを注入し終わるまでの間の粘度が重要であり、ハンドリング性が良好であるという観点から、例えば目安として組成物の調合直後の粘度が100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下である。また、後述する注型重合にて光学材料を成形する場合には、注入時の粘度が、20℃での測定値として、200mPa・s以下が好ましく、特に中心厚が非常に薄いレンズの製造のためには、更なる低粘度、例えば100mPa・s以下がより好ましい。
【0063】
また、本発明は、上述した光学材料用重合性組成物を硬化して得た光学材料を提供する。
このような光学材料は、着色が抑制され色相に優れる。ここで色相は、黄色度(以下、「YI」という)の測定値で評価することができる。
【0064】
ここで光学材料の屈折率は、所望に応じて重合性組成物中のイソシアネート化合物類および活性水素化合物類の種類および組成比にて調節することができる。特に、本実施形態の光学材料は高屈折率であることが求められており、この観点から、例えばe線で測定した屈折率で、通常1.55以上、好ましくは1.59以上、更に好ましくは1.65以上の屈折率を有する樹脂が得られるイソシアネート化合物類および活性水素化合物類の組合せおよびその組成比が好ましい。
【0065】
また、別の観点からは、重合性組成物を硬化する光学材料の製造方法、例えばレンズ注型用鋳型を用いる注型重合により前記重合性組成物を成形する光学材料の製造方法を提供する。
【0066】
前述した光学材料用重合性組成物であるイソシアネート化合物類および活性水素化合物類の混合物を硬化成形する際には、必要に応じ、公知の成形法における手法と同様に、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライドなどの触媒、酸性リン酸エステルなどの内部離型剤、光安定剤、酸化防止剤、ラジカル反応開始剤などの反応開始剤、鎖延長剤、架橋剤、着色防止剤、油溶染料、充填剤、紫外線吸収剤などの物質を添加してもよい。
【0067】
使用する紫外線吸収剤の種類としてはベンゾトリアゾール系などを用いても良く、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等からなる群から少なくとも1種を選択することである。
本発明における紫外線吸収剤の添加量は、所望する紫外線カット率に合わせて紫外線吸収剤の種類および添加量を決定するが、通常は重合性組成物に対し、0.03〜1.5重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%でさらに好ましい結果が得られる場合がある。
【0068】
イソシアネート化合物類および活性水素化合物類に反応触媒や離型剤、その他添加剤を混合して注入液を調製する場合、触媒や離型剤その他の添加剤の添加は、イソシアネート化合物類および活性水素化合物類への溶解性にも左右されるが、あらかじめイソシアネート化合物類に添加溶解させるか、また、活性水素化合物類に添加溶解させるかあるいはイソシアネート化合物類および活性水素化合物類の混合物に添加溶解させてもよい。あるいは、使用するイソシアネート化合物類または活性水素化合物類の一部に溶解させてマスター液を調製した後、これを添加しても構わない。添加順序については、これら例示の方法に限定されず、操作性、安全性、便宜性等を踏まえ、適宜選ばれる。
【0069】
混合は、通常、30℃以下の温度で行われる。混合物のポットライフの観点から、さらに低温にすると好ましい場合がある。また、触媒や離型剤などの添加剤が、イソシアネート化合物類および活性水素化合物類に対して良好な溶解性を示さない場合は、あらかじめ加温して、イソシアネート化合物類、活性水素化合物類やその混合物に溶解させる場合もある。
更に、得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等での濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0070】
次いで、イソシアネート化合物類および活性水素化合物類の混合物が注入された偏光フィルムが固定されたレンズ注型用鋳型をオーブン中または水中等の加熱可能装置内で所定の温度プログラムにて数時間から数十時間かけて加熱して硬化成型する。
重合硬化の温度は、混合物の組成、触媒の種類、モールドの形状等によって条件が異なるため限定できないが、およそ、−50〜200℃の温度で1〜100時間かけて行われる。
通常、5℃から40℃の範囲の温度で開始し、その後徐々に80℃から130℃の範囲にまで昇温させ、その温度で1時間から4時間加熱するのが一般的である。
硬化成形終了後、レンズ注型用鋳型から取り出すことで、プラスチックレンズを得ることができる。
【0071】
本実施形態の光学材料から得られるプラスチックレンズは、重合による歪みを緩和することを目的として、離型したレンズを加熱してアニール処理を施すことが望ましい。アニール温度は通常80〜150℃の範囲、好ましくは100〜130℃の範囲、更に好ましくは110〜130℃の範囲である。アニール時間は、通常0.5〜5時間の範囲、好ましくは1〜4時間の範囲である。
【0072】
本実施形態の光学材料から得られるプラスチックレンズは、必要に応じ、片面又は両面にコーティング層を施して用いられる。コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止膜層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層は、それぞれ単独で使用しても複数のコーティング層を多層化して使用してもよい。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても異なるコーティング層を施してもよい。
【0073】
これらのコーティング層には、それぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で、前述した光学材料用重合性組成物に用いるような紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上させる目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高める目的で公知の添加剤を併用してもよい。塗布性の改善を目的として各種レベリング剤を使用してもよい。
【0074】
プライマー層は、一般的には、ハードコート層の密着性やプラスチックレンズの耐衝撃性の向上を目的に、レンズ基材(本実施形態の重合性組成物から得られる光学材料)とハードコート層との間に形成され、その膜厚は、通常、0.1〜10μm程度である。
プライマー層は、例えば、塗布法や乾式法にて形成される。塗布法では、プライマー組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、固化させることによりプライマー層が形成される。乾式法では、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じて、レンズの表面をアルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行ってもよい。
プライマー組成物としては、固化したプライマー層がレンズ基材(本実施形態の重合性組成物から得られる光学材料)と密着性の高い素材が好ましく、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は、無溶剤での使用も可能であるが、組成物の粘度を調整する等の目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。
【0075】
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等の機能を与えることを目的としたコーティング層であり、その膜厚は、通常、0.3〜30μm程度である。
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。ハードコート層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じて、被覆表面(レンズ基材あるいはプライマー層)を、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行ってもよい。
ハードコート組成物としては、一般的には、硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,InおよびTi等の酸化物微粒子(複合酸化物微粒子を含む)の混合物が使用されることが多い。更にこれらの他に、アミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物等を使用してもよい。ハードコート組成物は、無溶剤での使用も可能であるが、レンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。
【0076】
反射防止層は、必要に応じて、通常、ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系と有機系があり、無機系の場合は、一般的には、SiO、TiO等の無機酸化物を用いて真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法等の乾式法により形成されることが多い。有機系の場合は、一般的には、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用いて湿式により形成されることが多い。
反射防止層は単層であっても多層であってもよいが、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、通常は、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、例えば、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜が、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。膜厚は、通常、50〜150nm程度である。
【0077】
さらに、本実施形態の光学材料から得られるプラスチックレンズは、必要に応じ、裏面研磨、帯電防止処理、染色処理、調光処理等を施してもよい。
このようなプラスチックレンズは、薄型化が可能であることから、メガネ用のレンズ、特に視力補正用レンズとして有用である。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
重合により得られたレンズは性能試験を行い評価した。性能試験は屈折率・アッベ数、耐熱性、強度とし、以下の試験法により評価した。
・ 色相:厚さ9mmの樹脂平板を作製し、色彩色差計(ミノルタ社製CR−200)において黄色度(YI)を測定した。
・ 屈折率(ne)アッベ数(νe): 島津製作所製プルフリッヒ屈折計KPR−30を用いて、20℃で測定した。
・ 耐熱性: 島津製作所製TMA−60を使用し、TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ)でのTgを耐熱性とした。
・ 比重:20℃にてアルキメデス法により測定した。
【0079】
[実施例1]
トリレンジイソシアネート34.65gとヘキサメチレンジイソシアネート14.34gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.0075gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.05gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、トリフェニルホスフィン(以下、TPPN)を0.01g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン51.01gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.0、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)28、耐熱性111℃、樹脂比重1.35であった。
【0080】
[実施例2]
トリレンジイソシアネート30.68gとヘキサメチレンジイソシアネート15.95gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.005gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.05gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、TPPNを0.01g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン53.37gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値8.7、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)28、耐熱性121℃、樹脂比重1.36であった。
【0081】
[実施例3]
トリレンジイソシアネート44.45gに硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.005gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてZelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.05gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、TPPNを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート22.91gと、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン32.64gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値5.1、屈折率(ne)1.660、アッベ数(νe)27、耐熱性136℃、樹脂比重1.38であった。
【0082】
[実施例4]
ジフェニルメタンジイソシアネート40.56gとヘキサメチレンジイソシアネート14.68gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.0075gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.05gを添加し、20℃で混合溶解させた。更にTPPNを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン44.76gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値4.8、屈折率(ne)1.674、アッベ数(νe)26、耐熱性111℃、樹脂比重1.33であった。
【0083】
[実施例5]
ジフェニルメタンジイソシアネート36.24gとヘキサメチレンジイソシアネート16.24gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.0050gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.05gを添加し、20℃で混合溶解させた。更にTPPNを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン47.52gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値5.1、屈折率(ne)1.672、アッベ数(νe)27、耐熱性122℃、樹脂比重1.33であった。
【0084】
[実施例6]
TPPNの使用量を1gにした以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値4.8、屈折率(ne)1.670、アッベ数(νe)28、耐熱性111℃、樹脂比重1.35であった。
【0085】
[実施例7]
TPPNの使用量を1gにした以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値5.3、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性119℃、樹脂比重1.36であった。
【0086】
[実施例8]
TPPNの使用量を2gにした以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値4.8、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性109℃、樹脂比重1.35であった。
【0087】
[実施例9]
TPPNの使用量を2gにした以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値5.0、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)28、耐熱性120℃、樹脂比重1.35であった。
【0088】
[実施例10]
TPPNの使用量を5gにした以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値5.4、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)27、耐熱性107℃、樹脂比重1.34であった。
【0089】
[実施例11]
TPPNの使用量を5gにした以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値6.0、屈折率(ne)1.670、アッベ数(νe)28、耐熱性117℃、樹脂比重1.35であった。
【0090】
[実施例12]
TPPNの代わりに、トリス(1,3−ジクロロプロパン−2−イル)ホスファート(以下、PTDCP)を0.03g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.5、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性109℃、樹脂比重1.35であった。
【0091】
[実施例13]
TPPNの代わりに、PTDCPを0.03g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値10.0、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性118℃、樹脂比重1.36であった。
【0092】
[実施例14]
TPPNの代わりに、PTDCPを0.50g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値8.8、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性109℃、樹脂比重1.35であった。
【0093】
[実施例15]
TPPNの代わりに、PTDCPを0.50g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値8.8、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性119℃、樹脂比重1.36であった。
【0094】
[実施例16]
TPPNの代わりに、PTDCPを1g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.1、屈折率(ne)1.667、アッベ数(νe)28、耐熱性109℃、樹脂比重1.35であった。
【0095】
[実施例17]
TPPNの代わりに、PTDCPを1g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.5、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性115℃、樹脂比重1.36であった。
【0096】
[実施例18]
TPPNの代わりに、PTDCPを5g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.9、屈折率(ne)1.663、アッベ数(νe)28、耐熱性101℃、樹脂比重1.36であった。
【0097】
[実施例19]
TPPNの代わりに、PTDCPを5g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.0、屈折率(ne)1.663、アッベ数(νe)29、耐熱性111℃、樹脂比重1.37であった。
【0098】
[実施例20]
TPPNの代わりに、トリフェニルホスファイト(以下、TPP)を0.03g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.6、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性108℃、樹脂比重1.35であった。
【0099】
[実施例21]
TPPNの代わりに、TPPを0.03g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値10.4、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性118℃、樹脂比重1.36であった。
【0100】
[実施例22]
TPPNの代わりに、TPPを0.5g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.1、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性107℃、樹脂比重1.35であった。
【0101】
[実施例23]
TPPNの代わりに、TPPを0.5g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値8.8、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性113℃、樹脂比重1.36であった。
【0102】
[実施例24]
TPPNの代わりに、TPPを1g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.4、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性104℃、樹脂比重1.35であった。
【0103】
[実施例25]
TPPNの代わりに、TPPを1g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.1、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)29、耐熱性111℃、樹脂比重1.36であった。
【0104】
[実施例26]
TPPNの代わりに、TPPを5g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.4、屈折率(ne)1.667、アッベ数(νe)28、耐熱性105℃、樹脂比重1.35であった。
【0105】
[実施例27]
TPPNの代わりに、トリフェニルホスファート(以下、TPPA)を0.03g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値12.1、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性115℃、樹脂比重1.35であった。
【0106】
[実施例28]
TPPNの代わりに、TPPAを0.03g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値10.7、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)29、耐熱性121℃、樹脂比重1.36であった。
【0107】
[実施例29]
TPPNの代わりに、TPPAを0.50g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値8.9、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性110℃、樹脂比重1.35であった。
【0108】
[実施例30]
TPPNの代わりに、TPPAを0.50g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.1、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性119℃、樹脂比重1.36であった。
【0109】
[実施例31]
TPPNの代わりに、TPPAを1g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値8.9、屈折率(ne)1.668、アッベ数(νe)28、耐熱性110℃、樹脂比重1.35であった。
【0110】
[実施例32]
TPPNの代わりに、TPPAを1g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.0、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)29、耐熱性119℃、樹脂比重1.36であった。
【0111】
[実施例33]
TPPNの代わりに、TPPAを5g使用した以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.2、屈折率(ne)1.664、アッベ数(νe)28、耐熱性97℃、樹脂比重1.35であった。
【0112】
[実施例34]
TPPNの代わりに、TPPAを5g使用した以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.4、屈折率(ne)1.667、アッベ数(νe)28、耐熱性105℃、樹脂比重1.35であった。
【0113】
[比較例1]
TPPNを使用しなかった以外は、実施例1と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値12.1、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)28、耐熱性110℃、樹脂比重1.35であった。
【0114】
[比較例2]
TPPNを使用しなかった以外は、実施例2と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値12.9、屈折率(ne)1.669、アッベ数(νe)29、耐熱性120℃、樹脂比重1.36であった。
【0115】
[比較例3]
TPPNを使用しなかった以外は、実施例3と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値11.0、屈折率(ne)1.659、アッベ数(νe)27、耐熱性138℃、樹脂比重1.38であった。
【0116】
[比較例4]
TPPNを使用しなかった以外は、実施例4と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値9.0、屈折率(ne)1.674、アッベ数(νe)26、耐熱性112℃、樹脂比重1.33であった。
【0117】
[比較例5]
TPPNを使用しなかった以外は、実施例5と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値7.3、屈折率(ne)1.674、アッベ数(νe)27、耐熱性125℃、樹脂比重1.33であった。
【0118】
以上の結果を表−1および表−2にまとめた。表中の色相[YI]値は、リン含有化合物添加による色相改善の指標となり、実施例1から実施例34については、リン含有化合物の添加により樹脂色相が良好となる。一方、比較例1から比較例5においては、YI値が大きくなり、満足できる色相ではなかった。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
[製造例1]
特開2004-2820製造例2記載の方法に準拠して、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分として含むポリチオール化合物Aを合成した。
攪拌羽根、温度計、蒸留塔、窒素導入用キャピラリーを設置した2リットル底抜きコック付きフラスコに、1,1,3,3-テトラメトキシプロパン164.2 g(1 mol)、アセチルチオメチルチオール488.8 g(4 mol)およびパラトルエンスルホン酸7.6 g(0.04 mol)を加え、1kPa以下の真空度を保ち且つ攪拌しながら40℃に加熱した。メタノールの留出が停止するまで18時間程加熱を続けた。冷却後、真空を解除し、蒸留塔の代わりにコンデンサーを取り付けた後、メタノール400mlとクロロホルム400mlおよび36%塩酸200mlを加え、60℃に加熱してアルコリシスを行い、目的化合物である1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを主成分として含むポリチオール化合物Aを合成した。
適量の水およびクロロホルムを加えて分液させ、クロロホルム層を数回水洗した。脱溶媒してクロロホルムおよび低沸分を除いた後、3μmテフロン(登録商標)フィルターで濾過後340.0 gのポリチオール化合物Aを得た。ポリチオール化合物AのLC分析により、ポリチオール化合物成分が2成分検出された(クロマトグラム面積比でそれぞれ9.8%、9.8%)。これらの成分を分取LCによって精製し分析したところ、それぞれ4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンであった。以下に分析結果を示す。
また、ポリチオール化合物A(上記副生物2成分を含む)のSHVを以下の方法により測定した。ポリチオール化合物A 95.1 mgのクロロホルム30ml、メタノール30ml混合溶媒溶液に0.05mol/Lヨウ素溶液を徐々に滴下した。9.7mlを滴下した時点で、滴下したヨウ素の褐色が消失しなくなり、この点を当量点としてポリチオール化合物Aに含まれるSH基の量を算出した結果、9.64meq/gであった。
【0122】
i)1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン
1H-NMR δ(CDCl3):2.18(t, 4H)、2.49(t, 2H)、3.78-3.90(m, 8H)、4.64(t, 2H)
13C-NMR δ(CDCl3):26.7, 41.3, 48.7
FT-IR :538cm-1
MS :m/z=356(M+
【0123】
ii)4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン
1H-NMR δ(CDCl3):2.02(t, 2H)、2.56(t, 2H)、3.77-3.91(m, 8H)、3.97(s, 2H)、4.66(t, 2H)
13C-NMR δ(CDCl3):27.1, 28.8, 38.1, 44.6
FT-IR :2538cm-1
MS:m/z=276(M+
【0124】
iii)2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタン
1H-NMR δ(CDCl3):2.03(t, 2H)、2.13-2.21(m, 1H)、2.75-2.80(m, 1H)、3.79-3.84(m, 1H)、3.90-3.96(m, 3H)、4.32-4.35(m, 2H)
13C-NMR δ(CDCl3):27.2, 32.3, 38.9, 46.2
FT-IR:2538cm-1
MS :m/z=276(M+
【0125】
[実施例35]
m-フェニレンジイソシアネート45.2gに、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.05gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、リン含有化合物TPPNを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン52.9gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値4.0、屈折率(ne)1.711、アッベ数(νe)24、耐熱性136℃、樹脂比重1.42であった。
【0126】
[比較例6]
リン含有化合物であるTPPNを使用しなかった以外は、実施例35と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値10.4、屈折率(ne)1.712、アッベ数(νe)24、耐熱性140℃、樹脂比重1.42であった。
【0127】
[実施例36]
トリレンジイソシアネート35.2gとヘキサメチレンジイソシアネート18.3gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.010gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を0.05g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.10gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、リン含有化合物PTDCPを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、2-メルカプトエタノール14.6gとペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート31.9gを加え、混合溶解させ均一溶液とした。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値4.5、屈折率(ne)1.600、アッベ数(νe)31、耐熱性106℃、樹脂比重1.33であった。
【0128】
[比較例7]
リン含有化合物であるPTDCPを使用しなかった以外は、実施例36と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値4.7、屈折率(ne)1.601、アッベ数(νe)31、耐熱性106℃、樹脂比重1.33であった。
【0129】
[実施例37]
m-フェニレンジイソシアネート31.8gとm-キシリレンジイソシアネート6.0gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.020gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を1.00g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.06gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、リン含有化合物TPPAを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、製造例1で得たポリチオール62.2gを加え、混合溶解させ均一溶液とした(モノマー混合物中のメルカプト基とイソシアナト基のモル比は、SH/NCO=1.3)。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値12.8、屈折率(ne)1.731、アッベ数(νe)24、耐熱性109℃、樹脂比重1.48であった。
【0130】
[実施例38]
m-フェニレンジイソシアネート31.8gとm-キシリレンジイソシアネート6.0gを混合溶解させ、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.020gと、紫外線吸収剤としてバイオソーブ583を1.00g、内部離型剤としてゼレックUN(酸性リン酸エステル)0.06gを添加し、20℃で混合溶解させた。更に、リン含有化合物PTDCPを0.50g添加し、20℃で混合溶解させた。溶解後、製造例1で得たポリチオール62.2gを加え、混合溶解させ均一溶液とした(モノマー混合物中のメルカプト基とイソシアナト基のモル比は、SH/NCO=1.3)。この均一溶液を、600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃において4時間アニールを行った。得られた樹脂は、YI値12.9、屈折率(ne)1.736、アッベ数(νe)24、耐熱性110℃、樹脂比重1.48であった。
【0131】
[比較例8]
リン含有化合物を使用しなかった以外は、実施例37と同様な方法で調合及び、重合、アニールを行った。得られた樹脂は、YI値14.2、屈折率(ne)1.735、アッベ数(νe)24、耐熱性108℃、樹脂比重1.48であった。
【0132】
【表3】