特許第5658885号(P5658885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658885
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】化粧料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20150108BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20150108BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/73
   A61Q19/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-31469(P2010-31469)
(22)【出願日】2010年2月16日
(65)【公開番号】特開2011-168503(P2011-168503A)
(43)【公開日】2011年9月1日
【審査請求日】2012年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166959
【氏名又は名称】御木本製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】山辺 幸久
(72)【発明者】
【氏名】姫子松 瞳
(72)【発明者】
【氏名】樋口 文人
(72)【発明者】
【氏名】野呂 哲也
(72)【発明者】
【氏名】辻 延秀
(72)【発明者】
【氏名】前山 薫
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−284618(JP,A)
【文献】 特開2002−56281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の化粧料選択要素を有する成分と第2の化粧料選択要素を有する成分の配合割合により第1〜第4調整用化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合及び前記第2の化粧料選択要素の度合を調整して、相対的に、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第1調整用化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第2調整用化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第3調整用化粧料、及び第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第4調整用化粧料を調製し、並びに、前記第1の化粧料選択要素を有する成分と前記第2の化粧料選択要素を有する成分の配合割合により第1〜第5サンプル化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合及び前記第2の化粧料選択要素の度合を調整して、相対的に、第1の化粧料選択要素の度合が前記第3調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合の1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が前記第1調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第2の化粧料選択要素の度合の1/2である品質を有する第1サンプル化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が前記第1調整用化粧料及び前記第2調整用化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合に等しく、かつ第2の化粧料選択要素の度合が前記第1調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第2の化粧料選択要素の度合の1/2である品質を有する第2サンプル化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が前記第3調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合に等しく、かつ第2の化粧料選択要素の度合が前記第1調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第2の化粧料選択要素の度合の1/2である品質を有する第3サンプル化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が前記第3調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合の1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が前記第2調整用化粧料及び前記第3調整用化粧料の前記第2の化粧料選択要素の度合に等しい品質を有する第4サンプル化粧料、及び第1の化粧料選択要素の度合が前記第3調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第1の化粧料選択要素の度合の1/2で、第2の化粧料選択要素の度合が前記第1調整用化粧料及び前記第4調整用化粧料の前記第2の化粧料選択要素の度合に等しい品質を有する第5サンプル化粧料を調製するステップと;
当該第1の化粧料選択要素の度合をX軸、当該第2の化粧料選択要素の度合をY軸とする二軸座標平面上に、当該各調整用化粧料及び各サンプル化粧料の第1及び第2の化粧料選択要素の度合を座標値としてそれぞれプロットするステップと;
当該サンプル化粧料の少なくとも2つ以上を化粧料選択者に試用評価させ、好みの第1及び第2の化粧料選択要素の位置を当該二軸座標平面上に選択させるステップと;
当該選択位置の座標値及び各調整用化粧料の座標値から当該選択位置における第1〜第4の調整用化粧料の配合質量比を算出するステップと;
当該算出された配合質量比に基づいて、第1〜第4の調整用化粧料を配合して化粧料を調製するステップと;
を有することを特徴とする化粧料の製造方法。
【請求項2】
選択位置の座標値及び各調整用化粧料の座標値から当該選択位置における第1〜第4の調整用化粧料の配合質量比を算出するステップが、
選択位置の座標値(a、b)が、a+b≦(n+m)/2の場合は下記式(1):
Q:R:P={(n+m)/2}−a−b:a:b (1)
(式中、Pは第1調整用化粧料、Qは第2調整用化粧料、Rは第3調整用化粧料、nはRのX座標値、mはPのY座標値を示し、nとmは1以上の数を示す)
により、第1〜第3調整用化粧料の配合質量比を算出するステップと;
選択位置の座標値(a、b)が、(n+m)/2<a+b≦n+mの場合は下記式(2):
S:P:R=a+b−{(n+m)/2}:{(n+m)/2}−a:{(n+m)/2}−b (2)
(式中、Sは第4調整用化粧料、nはR及びSのX座標値、mはP及びSのY座標値を示し、P、R、n及びmは前記と同じ)
により、第1、第3及び第4調整用化粧料の配合質量比を算出するステップ、
であることを特徴とする請求項1記載の化粧料の製造方法。
【請求項3】
第1及び第2の化粧料選択要素が、肌感触であることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料の製造方法。
【請求項4】
肌感触が、とろみ感としっとり感であることを特徴とする請求項3記載の化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水、乳液、クリーム等の化粧料は、容器から手にとって直接肌に塗布されることが多く、化粧料を塗布した時の肌感触は、化粧料を評価・選択する上での重要な要素の一つとされている。使用者によって好みの肌感触は様々であり、全ての要求を満たすためには数多くの化粧料を用意する必要があるが実際上難しい。そのため、使用者は限られた商品の中から少しでも嗜好に近いものを選択しているのが実状である。
【0003】
近年、肌の皮脂量や水分量、皮膚表面形態等の肌特性を評価する方法が開発され(非特許文献1,2)、化粧料の販売現場では、化粧料の選択にあたってカウンセリングやアドバイスが行われている。また、使用者個人の肌特性や要望に応じて最適な成分を配合した、(セミ)オーダーメイドの化粧料の提供も行われている。しかしながら、カウンセリングやアドバイスを行う際に、使用者の嗜好に沿った肌感触を有する化粧料をその場で調製し、商品の肌感触を実際に評価させることは行われておらず、顧客の要望を十分に満たすには至っていない。
化粧料は、通常、研究所や工場等の生産現場において、数多くの原料を個別に計量し配合して製造されるが、その作業は煩雑なものである。この煩雑さも、使用者の嗜好に沿った肌感触を有する化粧料を用時調製し、使用者に提示できないことの一因となっていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】橿淵暢夫, 村松宜江: 角層細胞による肌評価法の開発. J Soc Cosmet Chem Japan 1989; 23; 55-57.
【非特許文献2】平井義和: 個肌対応化粧品システムにおけるテクノロジーとブランド戦略. Frgrance J 2005;33; 54-59.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の実状に鑑みてなされたものであり、使用者の嗜好に沿った化粧料を用時調製し、肌感触等を評価させることのできる化粧料の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、当該課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、第1の化粧料選択要素の度合をX軸、第2の化粧料選択要素の度合をY軸とする二軸座標を用い、予め用意した5種類のサンプル化粧料を提示して選択された第1及び第2の化粧料選択要素の位置の座標値に基づいて、各調整用化粧料の配合比率を算出することで、使用者の嗜好に沿った化粧料をその場で簡便な作業により調製でき、肌感触等を評価させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、相対的に、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第1調整用化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第2調整用化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第3調整用化粧料、及び第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第4調整用化粧料、並びに、相対的に、第1の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2である品質を有する第1サンプル化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2である品質を有する第2サンプル化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2である品質を有する第3サンプル化粧料、第1の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第4サンプル化粧料、及び第1の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第5サンプル化粧料を調製するステップと;
当該第1の化粧料選択要素の度合をX軸、当該第2の化粧料選択要素の度合をY軸とする二軸座標平面上に、当該各調整用化粧料及び各サンプル化粧料の第1及び第2の化粧料選択要素の度合を座標値としてそれぞれプロットするステップと;
当該サンプル化粧料の少なくとも2つ以上を化粧料選択者に試用評価させ、好みの第1及び第2の化粧料選択要素の位置を当該二軸座標平面上に選択させるステップと;
当該選択された座標値及び各調整用化粧料の座標値から当該選択位置における第1〜第4の調整用化粧料の配合質量比を算出するステップと;
当該算出された配合質量比に基づいて、第1〜第4の調整用化粧料を配合して化粧料を調製するステップと;
を有することを特徴とする化粧料の製造方法により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者の嗜好に沿った化粧料を、僅か5種類のサンプル化粧料と4種類の調整用化粧料を用意するだけで化粧料を購入する際のカウンセリングやアドバイスを行う場で簡便な作業により調製でき、実際の商品の肌感触等を評価させることができる。また、本発明の方法を用いれば、配合成分の配合比率の微調整も容易なため、使用者毎の要望に迅速に対応でき、より満足度の高い化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の化粧料選択要素の度合をX軸、第2の化粧料選択要素の度合をY軸とする二軸座標平面上に、各調整用化粧料及び各サンプル化粧料の第1及び第2の化粧料選択要素の度合を座標値としてそれぞれプロットし、さらに化粧料選択者の好みの位置をプロットした二軸座標。
図2】調整用化粧料、サンプル化粧料及び化粧料選択者の好みの位置をプロットした二軸座標。
図3】調整用化粧料、サンプル化粧料及び化粧料選択者の好みの位置をプロットした二軸座標。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明では、先ず4種類の調整用化粧料と5種類のサンプル化粧料を用意する。
4種類の調整用化粧料は、相対的に、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第1調整用化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第2調整用化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第3調整用化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第4調整用化粧料である。
【0011】
また、5種類のサンプル化粧料は、相対的に、第1の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2である品質を有する第1サンプル化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も低く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2である品質を有する第2サンプル化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も高く、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2である品質を有する第3サンプル化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も低い品質を有する第4サンプル化粧料と、第1の化粧料選択要素の度合が最も高いものの1/2で、かつ第2の化粧料選択要素の度合が最も高い品質を有する第5サンプル化粧料である。
【0012】
ここで、第1の化粧料選択要素、第2の化粧料選択要素としては、化粧料を選択する際に用いられる評価要素であれば特に制限されず、例えば、化粧料の肌感触や、色、香り等が挙げられる。肌感触とは、化粧料を肌に塗布した時の感触、使用感であり、例えば、しっとり感(保湿感)、とろみ感、油性感(ベタツキ感)、清涼感等が挙げられる。これらの化粧料選択要素中、肌感触が好ましく、特にX軸にしっとり感、Y軸にとろみ感を表示するのが化粧料の評価選択のし易さの点で好ましい。
【0013】
各調整用化粧料及び各サンプル化粧料は、第1及び第2の化粧料選択要素に応じて、通常化粧料に用いられる成分、例えば、保湿剤、増粘剤、油性物質、清涼剤、香料、色素等を適宜組み合わせて調製することができる。化粧料選択要素が、しっとり感の場合は保湿剤、とろみ感の場合は増粘剤、油性感(ベタツキ感)の場合は油性物質、清涼感の場合は清涼剤、色の場合は色素、香りの場合は香料を配合するのが好ましい。なお、第1及び第2の化粧料選択要素の度合は、前記成分の配合割合により調整することができる。
また、各調整用化粧料及び各サンプル化粧料には、必要に応じて、化粧料に用いられる他の成分、例えば、粉体、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、水等を配合してもよい。
【0014】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、トリメチルグリシン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。保湿剤の含有量は、各調整用化粧料又は各サンプル化粧料の総量を基準として、0〜80質量%が好ましく、特に1〜30質量%が好ましい。
【0015】
増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、β-1,3-グルカン等が挙げられる。増粘剤の含有量は、各調整用化粧料又は各サンプル化粧料の総量を基準として、0〜10質量%が好ましく、特に0.0001〜2.0質量%が好ましい。
【0016】
清涼剤としては、例えば、エタノール、メントール、カンファー等が挙げられる。清涼剤の含有量は、各調整用化粧料又は各サンプル化粧料の総量を基準として、0〜50質量%が好ましく、特に0〜20質量%が好ましい。
【0017】
油性物質としては、例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、精油類、シリコーン油類、界面活性剤等を挙げることができる。油性物質の含有量は、各調整用化粧料又は各サンプル化粧料の総量を基準として、0〜60質量%が好ましく、特に0〜30質量%が好ましい。
【0018】
色素としては、例えば、黄色4号、青色1号、黄色202号等の厚生省令に定められたタール色素別表I及びIIの色素、クロロフィル、リボフラビン、クロシン、紅花、アントラキノン等の食品添加物として認められている天然色素等が挙げられる。色素の含有量は、各調整用化粧料又は各サンプル化粧料の総量を基準として、0〜1.0質量%が好ましく、特に0〜0.1質量%が好ましい。
【0019】
香料としては、例えば、ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリス等の天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、オレンジ精油、カルダモン精油、ゲラニウム精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ローズマリー精油等の植物性香料、その他合成香料等の香料等が挙げられる。香料の含有量は、各調整用化粧料又は各サンプル化粧料の総量を基準として、0〜5質量%が好ましく、特に0〜2質量%が好ましい。
【0020】
本発明で用いられる二軸座標は、第1の化粧料選択要素の度合をX軸、第2の化粧料選択要素の度合をY軸とする二軸からなる。該二軸座標平面上には、各調整用化粧料及び各サンプル化粧料の第1及び第2の化粧料選択要素の度合が座標値としてそれぞれプロットされる。第1及び第2の化粧料選択要素の度合を示すX軸のスケール数とY軸のスケール数は適宜選定される。スケール数は1以上の数を示すが、通常3〜200、特に5〜100とするのが実用的である。なお、X軸とY軸のスケール数は同一とするのが、化粧料選択要素の評価位置決めのし易さから好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0021】
図1は、第1の化粧料選択要素の度合をX軸、第2の化粧料選択要素の度合をY軸とする二軸座標であって、X軸のスケール数がn、Y軸のスケール数がmである二軸座標平面上に、第1〜第4調整用化粧料P〜S及び第1〜第5サンプル化粧料A〜Eの第1及び第2の化粧料選択要素の度合を座標値としてそれぞれプロットした二軸座標である。nとmは1以上の数を示す。各調整用化粧料P〜Sの座標値は、P(0、m)、Q(0、0)、R(n、0)、S(n、m)である。各サンプル化粧料A〜Eの座標値は、A(n/2、m/2)、B(0、m/2)、C(n、m/2)、D(n/2、0)、E(n/2、m)である。
【0022】
先ず、各サンプル化粧料A〜Eのうち少なくとも2つ以上を化粧料選択者に試用評価させる。試用評価させるサンプル化粧料は、サンプル化粧料Aとサンプル化粧料B〜Eのうち少なくとも1以上が好ましく、特に5種類のサンプル化粧料A〜E全てとするのが好ましい。
試用評価は、化粧料選択要素の一つが例えば色の場合、サンプル化粧料の色の評価を行い、香りの場合は、サンプル化粧料の香りの評価を行う。また、化粧料選択要素の一つが肌感触の場合は、サンプル化粧料の肌感触の評価を行う。肌感触の評価にあたってはサンプル化粧料を化粧料選択者の肌に塗布して行う。サンプル化粧料を塗布する肌は、特に限定されず、顔、手、腕などの皮膚が挙げられる。1回あたりの塗布量は特に限定されないが、顔のみ使用した場合は0.5〜5mlが好ましく、手の甲の場合は、0.1〜0.5mlが好ましい。
【0023】
次いで、化粧料選択者に好みの第1及び第2の化粧料選択要素の位置を当該二軸座標平面上に選択させる。化粧料選択者により選択された座標イ、イ’をプロットした状態を図1に示す。
【0024】
次いで、当該選択された座標値及び各調整用化粧料の座標値から当該選択位置における第1〜第4調整用化粧料P〜Sの配合質量比を算出する。
具体的には、図1において選択された座標イ、イ’の座標値(a、b)に応じ、第1〜第4調整用化粧料P、Q、R及びSから三つの化粧料の組み合わせが選ばれ、この三つの化粧料に対して配合質量比を算出する。三つの調整用化粧料の組み合わせは、計4通り(P、Q、R)、(P、R、S)、(P、Q、S)、(Q、R、S)あり、(P、Q、R)又は(P、R、S)の組み合わせになる場合と、(P、Q、S)又は(Q、R、S)の組み合わせになる場合とがある。
【0025】
調整用化粧料の組み合わせが(P、Q、R)と(P、R、S)である場合を例に挙げると、配合質量比は次のとおり算出される。
選択した座標イの座標値(a、b)が、a+b≦(n+m)/2の場合は下記式(1):
Q:R:P={(n+m)/2}−a−b:a:b (1)
により、第1調整用化粧料P、第2調整用化粧料Q及び第3調整用化粧料Rの配合比率を算出する。
他方、座標イ’の座標値(a、b)が、(n+m)/2<a+b≦n+mの場合は下記式(2):
S:P:R=a+b−{(n+m)/2}:{(n+m)/2}−a:{(n+m)/2}−b (2)
により、第4調整用化粧料S、第3調整用化粧料R及び第1調整用化粧料Pの配合比率を算出する。
なお、上記式中、nはR及びSのX座標値、mはP及びSのY座標値である。
【0026】
当該算出された配合質量比に基づいて、第1〜第4の調整用化粧料をそれぞれ配合することにより、本発明の化粧料が得られる。
【0027】
本発明において、第1〜第4調整用化粧料及び第1〜第5サンプル化粧料は、肌質分類別に用意することが好ましい。ここで、肌質分類としては、例えば、脂性肌、脂性乾燥肌、普通肌、油分不足肌、乾燥肌が挙げられる。予め、被験者の肌の皮脂量や水分量、皮膚表面形態等の肌特性を評価し、肌質を決めた後、肌質に応じた各調整用化粧料及び各サンプル化粧料を用いて上記ステップにより化粧料を調製することで、より被験者の肌に好適な化粧料を提供することができる。
【0028】
本発明の化粧料は、常法に従って製造することができ、任意の剤型とすることができるが、液状、ゲル状、乳化状の剤型とすることが好ましく、液状とすることが特に好ましい。乳化状の化粧料としては、油中水型、水中油型、マルチエマルジョンのいずれの形状もあり得る。本発明の化粧料は、ローション、乳液、クリーム、洗浄剤、マッサージ等のスキンケア化粧料が好ましい。
【0029】
また、本発明の化粧料は、例えば、抗老化、美白、抗酸化、毛穴、肌理(キメ)等を目的に機能性成分を第二の調整用化粧料と共に配合し、多機能化粧料とすることもできる。このような成分としては、例えば、アルブチン、アルコルビン酸及びその誘導体、レチノール、ビタミンE、ハマメリス抽出物、セラミド等が挙げられる。
各機能性成分の含有量は、化粧料の総量を基準として、0〜30質量%が好ましく、特に0.5〜10質量%が好ましい。
【実施例】
【0030】
以下実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
【0031】
実施例1
〔第1〜第5サンプル化粧料A〜Eの調製1〕
表1に示した原料を配合し、攪拌してサンプル化粧料A〜Eをそれぞれ調製した。
【0032】
【表1】
【0033】
〔第1〜第4調整用化粧料P〜Sの調製1〕
表2に示した原料を配合し、攪拌して調整用化粧料P〜Sをそれぞれ調製した。
【0034】
【表2】
【0035】
図2に示す二軸座標を用いた。該二軸座標において、X座標軸にしっとり感、Y座標軸にとろみ感を表示し、X、Y座標軸のスケール数は10とした。
二軸座標平面上に各調整用化粧料P〜S及び各サンプル化粧料A〜Eのしっとり感及びとろみ感の度合、A(5、5)、B(0、5)、C(10、5)、D(5、0)、E(5、10)、P(0、10)、Q(0、0)、R(10、0)、S(10、10)をそれぞれプロットした。
次いで、サンプル化粧料A〜Eを順次化粧料選択者の手の甲に0.2mlずつ塗布し、X軸の10目盛りの中から好みのしっとり感、Y軸の10目盛りの中から好みのとろみ感の位置を選択させた。選択された座標ロ(3、5)を図2にプロットした。
【0036】
選択された座標ロの座標値(3、5)は、3+5≦(n+m)/2であるので、下記式(1):
Q:R:P={(n+m)/2}−a−b:a:b (1)
を用い、調整用化粧料Q、R、Pの配合質量比を算出したところ、
Q:R:P=10−3−5:3:5=2:3:5であり、この配合比率に基づいて、調整用化粧料Q、R、Pを配合し、化粧料(1)を得た。
【0037】
実施例2
実施例1と同様にして、サンプル化粧料A〜Eを化粧料選択者の手の甲にそれぞれ0.2ml塗布し、X軸の10目盛りの中から好みのしっとり感、Y軸の10目盛りの中から好みのとろみ感の位置ハを選択させた。選択された座標ハ(10、5)を図2にプロットした。
【0038】
選択された座標ハの座標値(10、5)は、(n+m)/2<10+5≦n+mであるので、下記式(2):
S:P:R=a+b−{(n+m)/2}:{(n+m)/2}−a:{(n+m)/2}−b (2)
を用い、調整用化粧料S、R、Pの配合質量比を算出したところ、
S:P:R=15−10:10−10:10−5=5:0:5であり、この配合比率に基づいて、調整用化粧料S、Rを配合し、化粧料(2)を得た。
【0039】
実施例3
〔第1〜第5サンプル化粧料A〜Eの調製2〕
表3に示した原料を配合し、攪拌してサンプル化粧料A〜Eをそれぞれ調製した。
【0040】
【表3】
【0041】
〔第1〜第4調整用化粧料P〜Sの調製2〕
表4に示した原料を配合し、攪拌して調整用化粧料P〜Sをそれぞれ調製した。
【0042】
【表4】
【0043】
図3に示す二軸座標を用いた。該二軸座標において、X座標軸にしっとり感、Y座標軸にとろみ感を表示し、X、Y座標軸のスケール数は100とした。
先ず、二軸座標平面上に各調整用化粧料P〜S及び各サンプル化粧料A〜Eのしっとり感及びとろみ感の度合、A(50、50)、B(0、50)、C(100、50)、D(50、0)、E(50、100)、P(0、100)、Q(0、0)、R(100、0)、S(100、100)をそれぞれプロットした。
次いで、サンプル化粧料A〜Eを順次化粧料選択者の手の甲に0.2mlずつ塗布し、X軸の100目盛りの中から好みのしっとり感、Y軸の100目盛りの中から好みのとろみ感の位置ニ〜トを選択させた(図3)。選択された各座標ニ〜トの座標値から、上記式(1)又は(2)を用い、調整用化粧料P〜Sの配合質量比を算出したところ、表5のとおりであった。表5に示す配合比率に基づいて、調整用化粧料P〜Sを配合し、化粧料(3)〜(6)を得た。
【0044】
【表5】
【0045】
実施例4
〔機能性成分の調製〕
表6に示す機能性成分をそれぞれ、計量し、混合しながら加温溶解した。
【0046】
【表6】
【0047】
実施例3の化粧料(3)の配合質量比で調整用化粧料P、R及びSを配合し、上記機能性成分を要望に応じて化粧料の総量を基準として、機能性成分1を2質量%、機能性成分2を3質量%となるように配合して多機能化粧料(7)を得た。
図1
図2
図3