(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発電用燃料オフガス供給手段が、前記反応管の端部近傍に設置されており、前記発電用燃料オフガス供給手段と前記反応管との間に断熱部材が設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の改質装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、燃料電池システムの改質装置を効率良く加熱するため、種々の方法が提案されているが、本発明者らは、固体酸化物形燃料電池から排出される発電用燃料オフガスを、排出された場所にて燃焼させ、改質装置の熱源として利用するのでは無く、該発電用燃料オフガスを一旦回収し、専用に設けた燃焼装置にて該発電用燃料オフガスを燃焼させ、該燃焼ガスを改質装置の熱源として利用する方法を見出した。
【0007】
この方法では、上記燃焼装置の設置位置を選択できるため、燃料電池システムにおける改質装置の設置自由度が高いものの、改質装置を効率良く加熱するという点で課題が残る。
【0008】
そこで、本発明の目的は、燃料電池から排出されるオフガスを改質装置の熱源、特には水蒸気改質(吸熱反応)の熱源として効率良く利用することが可能な改質装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる改質装置を備える燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、発電用燃料オフガスを水蒸気改質の熱源として利用する改質装置において、該改質装置の反応管の上部に発電用燃料オフガスの燃焼部を設け、高温となった燃焼ガスを反応管の側面側に設けた伝熱用部材に接触させることにより、反応管を効率良く加熱できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明の改質装置は、
少なくとも一部に改質触媒が充填された反応管と、
前記反応管を加熱するための手段として、該反応管の側面側に設置された伝熱用部材と、
起動時に、前記伝熱用部材に燃焼ガスとして非オフガス燃料を予め燃焼させた燃焼ガスを供給するための手段である既燃焼ガス供給手段と、発電時に、前記伝熱用部材
に燃焼ガスとして燃料電池から排出される発電用燃料オフガス及び酸素含有ガスを
自然着火により燃焼させたガスを供給するための手段
である発電用燃料オフガス供給手段及び酸素含有ガス供給手段
と、を備える燃焼装置と
、
を備え、
前記反応管は、一端が閉じられ、閉じられた端部において内管と外管とが連通する二重管構造を有し、前記一端とは反対側の他端に、改質原料供給流路及び改質ガス排出流路を備え、前記反応管の内管より内側には、酸化性ガス供給手段が設けられており、
前記燃焼装置
は前記反応管の
上部に設置
され、
前記伝熱用部材を介して前記燃焼装置と反対側に、伝熱用部材に供給される燃焼ガスの流れ方向に垂直な断面が該伝熱用部材に供給される燃焼ガスの流路断面積より大きい燃焼ガス集合部を備える
ことを特徴とする。
【0011】
なお、本発明において、反応管の底面とは、反応管の長手方向の両端(両端部)に位置する面(上面及び下面)を指し、反応管の側面とは、反応管の底面以外の面を指す。また、反応管の底面側に設置するとは、反応管の上面の上方又は反応管の下面の下方に設置すること意味し、反応管の側面側に設置するとは、反応管の側面の少なくとも一部に対向するように設置することを意味する。
【0013】
本発明の改質装置の他の好適例においては、前記伝熱用部材が、前記反応管の一方の端部又は両方の端部より内側に位置するように設置されている。
【0015】
本発明の改質装置の他の好適例においては、前記発電用燃料オフガス供給手段が、前記反応管の端部近傍に設置されており、前記発電用燃料オフガス供給手段と前記反応管との間に断熱部材が設置されている。
【0017】
また、本発明の燃料電池システムは、上述の改質装置と、該改質装置の下流側に設置された燃料電池とを備え、前記燃料電池が固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の改質装置によれば、発電用燃料オフガス供給手段及び酸素含有ガス供給手段を備える燃焼装置により、反応管の側面側に設置された伝熱用部材に燃焼ガスを供給することで、該伝熱用部材からの輻射熱により反応管を効率良く加熱することが可能な改質装置を提供することができる。また、本発明の改質装置によれば、上記燃焼装置の設置位置を任意に選択できるため、燃料電池システムにおける改質装置の設置自由度が高い。更に、かかる改質装置を備えた、燃料電池排ガスを改質装置の熱源として有効利用することが可能な燃料電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の改質装置の一例を示す概略図である。
図1に示す改質装置は、少なくとも一部に改質触媒が充填された反応管1と、上記反応管1を加熱するための手段として、該反応管1の側面側に設置された伝熱用部材2と、上記伝熱用部材2に燃焼ガスを供給するための手段として、発電用燃料オフガス供給手段3及び酸素含有ガス供給手段を備える燃焼装置とを備え、前記燃焼装置を前記反応管の少なくとも片方の底面側に設置することを特徴とする。
【0021】
図示例の改質装置において、反応管1は、少なくとも一部に改質触媒が充填されており、該改質触媒に、改質原料と水蒸気との混合物を接触させ、改質反応により水素を主成分とする改質ガスを生成することができる。なお、本発明の改質装置において、反応管の本数は任意であり、例えば、
図1に示す改質装置は、5本の反応管1を備えている。また、本発明の改質装置が複数本の反応管を備える場合、伝熱用部材からの均一な輻射熱を達成するため、
図1に示されるように、反応管1を並列に配置するのが好ましい。
【0022】
なお、上記改質触媒としては、通常使用される水蒸気改質触媒を用いることができ、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等の担体に、Ru、Ni、W、Co、Rh、Pt等を単独又は複数で担持した触媒を用いることができる。これらの中でも、特に改質原料として灯油を選択した場合は、Ruを担持した触媒が好ましい。Ruを担持した触媒は、炭素数の多い液体燃料の改質特性に優れる。また、上記改質原料としては、特に限定されず、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の気体炭化水素燃料、軽油、ガソリン、ナフサ、灯油等の液体炭化水素燃料、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール燃料を用いることができるが、これらの中でも、炭素数の大きい液体炭化水素燃料が好ましく、灯油が特に好ましい。
【0023】
図示例の改質装置において、伝熱用部材2は、反応管1を加熱するための手段として、該反応管1の側面側に設置されており、後述する燃焼装置により供給される燃焼ガスによって加熱され、これにより、反応管1への熱輻射が起こり、反応管1内での改質反応に必要な熱を供給することができる。なお、本発明の改質装置において、伝熱用部材の数は、任意であるが、例えば、
図1に示されるように、複数本の反応管1が並列に配置される場合においては、複数の伝熱用部材2(
図1では、二組の伝熱用部材2)で該複数本の反応管1を挟むように、複数の伝熱用部材2が設置されている。このように伝熱用部材2間で反応管1を挟むことで、反応管1への均一な熱輻射が可能となり、反応管1内の改質触媒を均一に加熱することができる。なお、伝熱用部材の温度は、650〜1000℃の範囲に調整されることが好ましい。
【0024】
また、本発明の改質装置においては、燃焼装置により供給される燃焼ガスが伝熱用部材と接触しながら流れることによって該伝熱用部材を加熱するため、燃焼ガスの接触効率を向上させ、かつ圧力損失が少なく、燃焼ガスの流れ方向に沿った流路を持つため整流効果を持っている点から、プレートフィン型の伝熱用部材2を用いることが好ましい。なお、プレートフィンの形状は、例えば、平板状、波状、オフセット型等が挙げられる。更に、本発明の改質装置においては、燃焼ガスの圧力損失を少なくし、かつ伝熱用部材に効率良く燃焼ガスを供給するため、言い換えれば、伝熱用部材が効率よく燃焼ガスを回収するため、
図1に示されるように、伝熱用部材2は、積層構造を有することが好ましい。なお、上記伝熱用部材の材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金、その他の耐熱金属を用いることができる。
【0025】
本発明の改質装置においては、上記伝熱用部材が、反応管の一方の端部又は両方の端部より内側に位置するように設置されていることが好ましい。このように、伝熱用部材を反応管の一方の端部又は両方の端部より内側に位置するように配置することで、反応管の一方の端部又は両方の端部の温度過上昇を避けることができる。改質装置の反応管に充填される改質触媒は使用温度領域が決められており、このような伝熱用部材の配置は好適である。また、本発明においては、伝熱用部材に燃焼ガスを効率よく流す観点から、燃焼装置が好ましくは伝熱用部材より上方に設置されるため、
図1では、伝熱用部材2が、反応管1の上端より下方に設置されている。更に、反応管には、通常、改質原料供給流路や改質ガス排出流路等が連結されており、これら流路内の温度過上昇を避ける観点からも、伝熱用部材を反応管の一方の端部又は両方の端部より内側に位置するように配置することは好ましい。その上、本発明の改質装置の好適な実施態様においては、後述するように、上記改質原料供給流路及び上記改質ガス排出流路が、燃焼装置が設置される側の反応管端部と反対側の端部に設置されるため、
図1に示されるように、伝熱用部材2は、反応管1の上端より下方に設置され且つ反応管1の下端より上方に設置されている。従って、本発明の改質装置においては、上記伝熱用部材が、反応管の両端部より内側に位置するように設置されていることが特に好ましい。なお、
図2に示されるように、反応管の長さをLとすると、反応管の端部Pからの直線距離が(1/20)L以上の位置に伝熱用部材を設置することが好ましい。ここで、
図2は、
図1に示す改質装置を左側から見た概略図である。
【0026】
また、本発明の改質装置においては、反応管への熱輻射をより効果的にするには、伝熱用部材を反応管と平行に設置することが好ましく、また、
図1に示されるように、複数の反応管1が並列に配置される場合には、該伝熱用部材2を反応管1の並列方向と平行な方向に設置することが好ましい。
【0027】
また、本発明の改質装置においては、更に、上記伝熱用部材を介して燃焼装置と反対側に位置するように設置された燃焼ガス集合部を備えることが好ましい。ここで、燃焼ガス集合部とは、伝熱用部材に供給される燃焼ガスの流れ方向に垂直な断面が、該伝熱用部材に供給される燃焼ガスの流路断面積より大きく、燃焼ガスを集合する部分である。燃焼ガス集合部を燃焼装置と反対側に設置することで、燃焼ガスを改質装置から安定且つスムーズに排出することができる。即ち、燃焼ガス排出手段として燃焼ガス排出流路を設けた場合、燃焼ガス排出流路内を通過する燃焼ガスのガス流の乱れを低減することができる。また、燃焼ガス排出手段を設けた場合、燃焼ガス排出手段からの距離に応じて、伝熱用部材と接触しながら流れる燃焼ガスの流速に違いが生じるおそれがあるものの、上記燃焼ガス集合部を設置すれば、該燃焼ガスの流速を一定に保つことが可能である。なお、
図1に示す改質装置においては、伝熱用部材2の下方に位置する空間が、燃焼ガス集合部に相当する。また、
図2は、
図1に示す改質装置を左側から見た概略図であり、燃焼ガス集合部9を示す。
【0028】
図示例の改質装置において、燃焼装置は、伝熱用部材2に燃焼ガスを供給するための手段として、発電用燃料オフガス供給手段3及び酸素含有ガス供給手段を備える。ここで、上記燃焼装置によれば、酸素含有ガス供給手段により供給される酸素含有ガスを支燃性ガスとして用いることで、発電用燃料オフガス供給手段により供給される発電用燃料オフガスの燃焼ガスを生成することができる。また、特に限定されるものではないが、
図1に示されるように、伝熱用部材2の上方に発電用燃料オフガス供給手段3を配置することで、伝熱用部材2に燃焼ガスを容易に供給することができる。本発明の改質装置においては、燃料電池のアノードオフガスを発電用燃料オフガスとして利用するため、燃料電池排熱の利用効率が高く、追加の加熱手段を設ける必要も無いため、反応管を効率良く加熱することができる。また、反応管に燃焼ガスを直接接触させるのではなく、反応管の加熱には、伝熱用部材からの輻射熱を利用するため、反応管を安定且つ均一に加熱することが可能であり、反応管を効果的に加熱することができる。
【0029】
上記燃焼装置の発電用燃料オフガス供給手段3としては、上述のように燃料電池のアノードオフガスを発電用燃料オフガスとして供給するため、燃料電池のアノード(図示せず)に連結された発電用燃料オフガス供給流路を用いることが好ましい。なお、発電用燃料オフガスは、その供給手段から排出され、酸素含有ガスと混合して燃焼ガスを形成することになる。また、上記発電用燃料オフガス供給流路は、ガス流れの乱れを低減するため、管状であることが好ましく、また、該管の側面には、発電用燃料オフガスを排出するための複数のガス排出口を備えることが好ましい。複数のガス排出口を備えることで、燃焼ガスを均等に伝熱用部材へ供給することができる。なお、上記発電用燃料オフガス供給流路が、その管の側面に複数のガス排出口を有する場合、燃料電池への連結部と反対側の端部Eは、燃焼ガスをより均等に伝熱用部材へ供給する観点から、閉じていることが好ましい。更に、複数の反応管への熱輻射をより均等に分配するには、伝熱用部材を流れる燃焼ガスの流れ方向と反応管の長手方向とが平行であることが好ましく、また、
図1に示されるように、複数の反応管1が並列に配置される場合には、発電用燃料オフガス供給手段3を反応管1の並列方向と平行な方向に延在させることが好ましい。
【0030】
上記燃焼装置の酸素含有ガス供給手段は、支燃性ガスとしての酸素含有ガスを発電用燃料オフガスへ供給するための手段である。例えば、発電用燃料オフガス供給手段3と同様に、
図1に示されるような酸素含有ガス供給流路10を酸素含有ガス供給手段として設けて酸素含有ガスを供給することもできるが、
図1に示されるように、少なくとも発電用燃料オフガス供給手段3の一部(即ち、発電用燃料オフガス供給流路のガス排出口)、伝熱用部材2及び反応管1を囲うようにハウジング4を設けて、ハウジング4内に酸素含有ガスを供給する手段を採用することもできる。ハウジング4内に酸素含有ガスが供給されていれば、発電用燃料オフガスは、発電用燃料オフガス供給手段3から排出されると同時に、好ましくは上述の複数のガス排出口から排出されると同時に、支燃性ガスと混合され、燃焼ガスを生成することができる。なお、
図1に示す改質装置においては、酸素含有ガス供給流路10とハウジング4とを組み合わせて、酸素含有ガス供給手段を形成している。また、酸素含有ガス供給手段から供給される酸素含有ガスとしては、純酸素ガスも使用可能であるが、コスト等の観点から空気が好適であり、燃料電池排熱の利用効率を向上させる観点から、燃料電池のカソードオフガスを発電用空気オフガスとして利用することが特に好ましい。
【0031】
なお、
図2に示されるように、ハウジング4により囲いを形成する場合、上述の燃焼ガス集合部9を容易に形成することができる。また、ハウジング4により囲いを形成した場合、
図1に示されるように、伝熱用部材2を介して燃焼装置と反対側に燃焼ガス排出手段6の設置が必要となるが、燃焼ガス排出手段としては、例えば、ハウジングの一部に穴部を形成し、該穴部からハウジング外部へ燃焼ガスを排出する手段や、ハウジングに連結された燃焼ガス排出流路を用いることができる。なお、燃焼ガス排出手段6は、
図1に示されるように、伝熱用部材2を介して燃焼装置と反対側の位置に設置されることに加えて、発電用燃料オフガス供給手段3のハウジングへの挿入口7と燃焼ガス排出手段6とが伝熱用部材2の対角方向に対向するように設置されることが好ましい。このようにすれば、伝熱用部材2への燃焼ガスの流れを均一にすることができる。
【0032】
本発明の改質装置においては、発電用燃料オフガス供給手段から供給される発電用燃料オフガス及び酸素含有ガス供給手段から供給される酸素含有ガスの少なくとも一方が、好ましくは高温であり、具体的には650℃以上である。該発電用燃料オフガス及び該酸素含有ガスが混合された状態で高温であれば、即ち約600℃以上であれば、自然着火するため、燃焼ガスを生成させるための点火装置等の設置が不要である。
【0033】
また、本発明の改質装置の燃焼装置は、
図1に示されるように、更に燃焼ガス供給手段5を備えることが好ましい。燃料電池システムの起動時において、発電用燃料を供給する改質装置の運転開始前は、発電用燃料オフガスを回収することができないため、改質装置を加熱することができない。このため、燃焼ガス供給手段により伝熱用部材に燃焼ガスを供給することで、反応管の温度を短時間で上昇させることができ、燃料電池システムの起動時においても、改質反応に必要な熱量を十分に確保することができる。上記燃焼ガス供給手段としては、例えば、燃焼ガス供給流路を用いることができ、該燃焼ガス供給流路の好適な形状、配置位置等は、上述の発電用燃料オフガス供給流路の場合と同様である。なお、上記燃焼ガス供給手段は、燃料を予め燃焼させてから、伝熱用部材に該燃焼ガスを供給するものであるが、燃焼ガスの燃料としては、特に限定されず、メタン、エタン、プロパン、ブタン、LPガス等の気体炭化水素燃料、軽油、ガソリン、ナフサ、灯油等の液体炭化水素燃料、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール燃料を用いることができる。
【0034】
本発明の改質装置においては、反応管の上方又は下方に伝熱用部材が配設されないため、燃焼装置の発電用燃料オフガス供給手段(燃焼装置が燃焼ガス供給手段を備える場合は、発電用燃料オフガス供給手段及び/又は燃焼ガス供給手段)が、反応管の端部近傍(上端近傍又は下端近傍)に設置されることがある。この場合、発電用燃料オフガス供給手段(燃焼装置が燃焼ガス供給手段を備える場合は、発電用燃料オフガス供給手段及び/又は燃焼ガス供給手段)と反応管との間に断熱部材が設置されるのが好ましい。発電用燃料オフガス供給手段及び/又は燃焼ガス供給手段と反応管との間に断熱部材を設置すれば、発電用燃料オフガス供給手段及び/又は燃焼ガス供給手段からの輻射熱を反応管が直接受けることを回避することができる。上記断熱部材の形状は、反応管の端部を覆う蓋のような形状であることが好ましく、また、
図1に示されるように、複数の反応管1が並列に配置され、それら反応管1の上方に発電用燃料オフガス供給手段3及び燃焼ガス供給手段5が設置されている場合においては、反応管の配列の隙間に燃焼ガスが流入することを防ぐため、全ての反応管の端部を覆う蓋のような形状であることが好ましい。また、断熱部材の材料としては、特に限定されるものではないが、シリカアルミナ系ボード、セラミックファイバー等を用いることができる。なお、ここでいう反応管の端部近傍とは、
図2に示されるように、反応管の長さをLとした場合、反応管の端部Pから発電用燃料オフガス供給手段又は燃焼ガス供給手段までの最短距離が(1/2)L以内の領域を意味する。
【0035】
本発明の改質装置は、燃焼ガスの反応管への接触をより確実に回避するため、
図2に示されるように、反応管1と伝熱用部材2との間に、隔壁8を備えることが好ましい。また、伝熱用部材からの輻射熱を反応管へ伝える必要があるため、該隔壁の材料としては、ステンレス鋼、ニッケル合金等を用いることができる。
【0036】
また、本発明の改質装置は、装置内での酸化熱を改質反応に利用し得る酸化自己熱型の改質装置として好適である。なお、該酸化自己熱型改質装置とは、少なくとも一部に改質触媒が充填されており、該改質触媒に改質原料と水蒸気との混合物を接触させて改質反応により水素を主成分とする改質ガスを生成する改質層と、少なくとも一部に酸化触媒が充填されており、上記改質原料又は改質ガスの一部を酸化して熱を発生させる酸化発熱層とを備える改質装置である。ここで、本発明の改質装置の反応管は、一端が閉じられ、閉じられた端部において内管と外管とが連通する二重管構造を有することが好ましい。反応管を二重管構造とすれば、酸化自己熱型改質装置を小型化できるだけでなく、装置を安価で製造することが可能となると共に、簡素な構造の酸化性ガス供給手段で酸化性ガスを酸化発熱層へ均一に供給することができる。また、本発明の改質装置は、上記反応管の上記一端とは反対側の他端に、反応管の外管と内管との間の間隙部へ改質原料及び水蒸気の混合物を供給するための改質原料供給流路及び内管から改質ガスを排出する改質ガス排出流路を備えることが好ましい。反応管の内管と外管とは閉じられた端部において連通しており、改質層での改質反応により生成した改質ガスは内管を通って排出されるところ、該閉じられた端部とは反対側の端部(他端)に改質ガス供給流路及び改質ガス排出流路を設けた場合、改質原料の改質層への導入及び改質ガスの内管からの排出のために複雑な配管を設ける必要がなく、装置を容易に製造することができるからである。
【0037】
図3は、
図1に示す改質装置の部分断面図であり、反応管1の断面を詳細に説明する。
図3に示す反応管1は、上側の端部が閉じた外管111と、内管112とを備えた二重管構造を有しており、内管112が下方に突出した逆凸字状をしている。また、反応管1の内管112より内側には、酸化性ガスとしての空気や酸素を供給する酸化性ガス供給手段として酸化性ガス供給管118が設けられている。そして、外管111と内管112との間の間隙部には改質触媒からなる改質層113が設けられており、内管112内には酸化触媒からなる酸化触媒層114と、伝熱粒子からなる伝熱粒子層115とで構成された酸化発熱層116が設けられている。なお、改質触媒、酸化触媒及び伝熱粒子は、外管111及び内管112の下部に設けられたメッシュ117により支持されており、このメッシュ117は、改質触媒、酸化触媒及び伝熱粒子は通過させないが、改質原料、水蒸気及び改質ガスは通過させるように構成されている。また、外管111及び内管112からなる二重管構造は、直径の異なる2つの管を後に詳細に説明するマニホールド120に溶接し固定することで形成されている。
【0038】
ここで、酸化発熱層116の一部を構成する酸化触媒としては、高温で劣化しにくいPt、Pd等をアルミナ、シリカ、ジルコニア等の担体に担持した酸化触媒等を用いることができ、該酸化触媒の添加量は、酸化性ガスを完全に反応させられる量以上とすることが好ましい。更に、伝熱粒子としては、酸化触媒を用いた酸化反応により生じた熱を伝熱することが可能な粒子、例えばSiC粒子等を用いることができる。なお、
図3に示す改質装置の酸化発熱層116では、伝熱粒子を充填した上に酸化触媒を充填して酸化触媒層114及び伝熱粒子層115からなる酸化発熱層116を形成したが、本発明の改質装置に用い得る酸化発熱層はこれに限定されることはない。具体的には、酸化発熱層は、(1)上述した酸化触媒と、NiやRh等を担持した改質触媒との混合物を内管内に充填して形成しても良く、(2)酸化触媒と、伝熱粒子との混合物を内管内に充填して形成しても良く、(3)酸化触媒と、改質触媒と、伝熱粒子との混合物を内管内に充填して形成しても良い。
【0039】
酸化性ガス供給管118は、酸化反応に用いる酸化性ガスを酸化発熱層116の酸化触媒に供給できるものであれば特に制限はないが、改質層113の改質触媒が酸化性ガスにより劣化しないように、改質層113の後段側に酸化性ガスの噴出し口を設けることが好ましい。そして、
図3に示す改質装置では、酸化性ガス供給管118は、その先端が酸化触媒層114内に位置し、該先端には酸化性ガス噴出し口が設けられている。
【0040】
反応管1の下部に設けられたマニホールド120は、反応管1の外管111と内管112との間の間隙部へ改質原料及び水蒸気の混合物を供給するための改質原料・水蒸気供給流路121と、反応管1の内管112から改質ガスを排出するための改質ガス排出流路122と、酸化性ガス供給管118を介して酸化発熱層116へ酸化性ガスを供給するための酸化性ガス供給流路123とからなる。そして、
図1に示すように、このマニホールド120の改質原料・水蒸気供給流路121、改質ガス排出流路122及び酸化性ガス供給流路123は、5本の反応管1に共通した流路となっている。なお、改質原料・水蒸気供給流路121は反応管1の外管111と内管112との間の間隙部と連通しており、改質ガス排出流路122は内管112と連通しており、酸化性ガス供給流路123は酸化性ガス供給管118と連通している。
【0041】
また、マニホールド120では、改質原料・水蒸気供給流路121内へ混合物が供給される入口部と、改質ガス排出流路122から改質ガスが排出される出口部とが、反応管1を挟んでマニホールド120の反対側に位置している。このようにすれば、各反応管1への混合物の分配を均一にすることができる。更に、マニホールド120では、酸化性ガス供給流路123内へ酸化性ガスが供給される入口部も、改質ガス排出流路122の出口部とは反対側、即ち改質原料・水蒸気供給流路121の入口部と同じ側に位置している。このようにすることは、各反応管1への酸化性ガスの分配を均一にすることができるという観点から好ましい。
【0042】
なお、マニホールドの形状及びマニホールド上の反応管の配置も任意の形とすることができる。具体的には、マニホールドの平面形状(反応管側から見た形状)は、反応管の配置に応じて適当な形状とすることができ、例えば、正方形、長方形、三角形、円形、L字形、V字形、U字形、ジグザグ形等とすることができる。また、マニホールド上の反応管は、マニホールドの平面に対して垂直であることが好ましい。
【0043】
そして、
図3に示す改質装置では、改質原料・水蒸気供給流路121を介して供給された改質原料及び水蒸気の混合物を改質層113において例えば温度400〜800℃で改質することにより、水素を主成分とする改質ガスが製造される。具体的には、
図3に示す通り、反応管1に供給された混合物は、改質層113をアップフローで通り改質された後、反応管1上部の閉じた端部で折り返して内管112内に入り、酸化発熱層116をダウンフローで通って改質ガス排出流路122から排出される。ここで、改質層113における改質反応に必要な熱量は、上述した伝熱用部材2からの輻射熱により供給されるが、燃料電池の起動時や急激な負荷変動時等の熱量が不足する場合には、酸化発熱層116に酸化性ガスを供給し、混合物の改質により生じた改質ガスや改質原料の一部を酸化させて得た熱を利用しても良い。なお、本発明の改質装置で生成した改質ガスは、燃料電池に供給され、発電用燃料として利用される。
【0044】
また、本発明の燃料電池システムは、上述の改質装置と、該改質装置の下流側に設置された燃料電池とを備え、該燃料電池が固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする。このように、燃料電池から排出されるオフガスを改質反応に利用する改質装置を備えることで、燃料電池システムの発電効率を高めることが可能となる。
【0045】
上記燃料電池は、固体酸化物形燃料電池である限り、特に限定されるものではなく、公知の構造を持った固体酸化物形燃料電池を採用することができる。なお、通常、固体酸化物形燃料電池は、複数のセルを積層及び/又は連結して構成されるものが一般的である。また、固体酸化物形燃料電池は、通常、700〜900℃の高温で運転される。