(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る医療機器情報管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、医療機器情報管理システム1は、医療機器である例えば、カテーテル2を有している。このカテーテル2は、医療用に用いられる中空の柔らかい管であって、胸腔や腹腔などの体液、消化管や尿管などの管腔部、または血管などに挿入し、体液の排出、薬液、造影剤などの注入点滴に用いるものであり、本実施の形態では、例えば、冠動脈用ステント留置用カテーテルである。
【0028】
また、このカテーテル2は、冠動脈用ステント留置用カテーテルであり、手術等に用いるため、滅菌状態で包装部である例えば、包装袋3内に密閉状態で収容されている。
したがって、包装袋3内に収容されているカテーテル2は、滅菌状態が維持された状態で搬送等されるので、清潔な状態での搬送等が可能となっている。
【0029】
また、この包装袋3の開口側には、
図1に示すように開封用シール部である例えば、シール部3aが形成されている。このシール部3aは、包装袋3の表面3bと裏面3cとを貼り付けて包装袋3内を密閉状態にするための部分である。
このシール部3aには、
図1に示すように、その内部に医療機器情報記憶媒体である例えば、ICタグ10を収容するICタグ収容部4が形成されている。
【0030】
ここで、ICタグ10は、タグ形状のものに、IC(Integrated Circuts(集積回路))チップと小型アンテナ等を埋め込み、内部に記憶した情報を電波によって送信する構成となっているものである。
図2は、
図1のICタグ収容部4等を示す概略断面図である。
図2に示すように、ICタグ収容部4は、包装袋3の表面3b及び裏面3cに挟み込まれるように配置されている。また、ICタグ収容部4の内部には、ICタグ10が収容されている。
図2に示すように、ICタグ収容部4は、ICタグ10を取り囲むように、電波遮蔽層4aを有すると共に、電波遮蔽層4aの表面3b側には、この電波遮蔽層4aを覆うようにプラスチック層4cが形成されている。
また、電波遮蔽層4aの裏面3c側には、台紙4dが、電波遮蔽層4aを覆うように配置されている。
【0031】
この電波遮蔽層4aは、アルミ等の金属薄膜により形成されている。このように、ICタグ10は、電波遮蔽層4a、プラスチック層4c及び台紙4dで覆われているため、外部からの電波を受信できない構成となっている。
【0032】
しかし、カテーテル2の使用者である医療従事者等が、包装袋3内のカテーテル2を使用するため、シール部3aのシールを破り、包装袋3を開放状態とすると、
図1の包装袋3の表面3bと裏面3cが分離し、ICタグ収容部4も分離する。
【0033】
図3は、
図1のICタグ収容部4等の分離状態を示す概略図である。
図3に示すように、ICタグ収容部4の電波遮蔽層4aは、裏面3c側と表面3b側に分離する分離部4aaを有しており、この分離部4aaを境にICタグ収容部4は、
図3の矢印Sに示すように、2つに分割されることになる。
すると、ICタグ収容部4内に収容されているICタグ10は、開放状態となり、外部からの電波を受信可能な状態となる。
【0034】
ところで、
図1に示すように、医療機器情報管理システム1は、管理装置30を有している。管理装置30は、ICタグ10と通信を行い、カテーテル等の医療機器情報を取得する医療機器情報受信部である例えば、タグ情報読取機50を有している。
具体的には、タグ情報読取機50から電波を送信し、
図3に示す状態のICタグ収容部内のICタグ10が、その電波を受信すると、通信が開始される構成となっている。送信される情報等については、後述する。
【0035】
また、
図1に示すように管理装置30は、表示部であるディスプレイ31や、データの印字装置であるプリンタ32等も有している。
【0036】
図1の管理装置10等は、コンピュータ等を有している。このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、例えばバス等を介して配置されている。
このバスは、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスバスやデータバスを有する内部バスである。CPUは所定のプログラムの処理を行う他、バスに接続されたROM等を制御している。ROMは、各種プログラムや各種情報等を格納している。RAMは、プログラム処理中のメモリの内容を対比し、プログラムを実行するためのエリアとしての機能を有する。
【0037】
図4は、ICタグ10の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、ICタグ10は、ICタグ制御部11を有すると共に、通信用のICタグ側アンテナ12や整波器13を有し、これらはICタグ制御部11で制御されている。
またICタグ10は、ICタグ側情報記憶部14を有し、このICタグ側情報記憶部14には、カテーテル2等の医療機器の医療機器情報である例えば、取扱説明書情報及び保険請求書類作成用商品情報等が記憶されている。
【0038】
この取扱説明書情報は、カテーテル2を使用等するための各種情報であり、これらの情報は、日本語、英語、フランス語、中国語等の多数の言語で記載されている。
これらの言語による取扱説明書情報が、言語別医療機器情報の一例となっている。
したがって、包装袋3内に収容された、カテーテル2は、日本ののみならず、外国において使用する場合に、当該国の医療従事者が自国語で取扱説明書を読むことができる構成となっている。
【0039】
また、ICタグ側情報記憶部14に記憶されている保険請求書類作成用商品情報は、病院等がカテーテル2を使用して手術等を行った場合に、健康保険の点数等を請求するための情報である。
具体的には、カテーテル2の製造社名、一般名称、販売品名、製品コード、使用期限、製造ロット番号、保険医療材料請求分類、医療機器承認番号、滅菌番号及びCEマーク(欧州の安全マーク)等薬事承認情報等である。これらの情報を用いて保険請求書を作成することになる。
【0040】
図5は、
図1の管理装置30の主な構成を示す概略ブロック図である。
図5に示すように、管理装置30は、管理装置制御部33を有すると共に、タグ情報読取機50、ディスプレイ31、プリンタ32、そして、各種情報を入力する管理装置側入力装置34を有し、これらは、管理装置制御部33で制御されている。
また、管理装置30は、
図5に示すように、各種記憶部及びプログラム等を備えているが、これらについては、後述する。
【0041】
図6は、
図1及び
図5のタグ情報読取機50の主な構成を示す概略ブロック図である。
図6に示すようにタグ情報読取機50は、タグ情報読取機制御部51を有すると共に、ICタグ10と通信するための読取機側アンテナ52や送受信装置53を有し、これらはタグ情報読取機制御部51で制御されている。
また、タグ情報読取機50は、必要に応じて受信情報を一時的に記憶するタグ情報読取機記憶部54も有している。
【0042】
図7は、本実施の形態にかかる医療機器情報管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
以下、
図7のフローチャートに沿って医療機器情報管理システム1の動作等を説明すると共に、
図1乃至
図6等の構成等も併せて説明する。
【0043】
病院等で包装袋3に収容されて保管されているカテーテル2を手術室等で実際に使用するために開封し、使用者である例えば、医療従事者が取扱説明書を確認し、保険請求書類を作成することを例に、以下説明する。
【0044】
先ず、カテーテル2を使用する医療従事者が包装袋3内に収容されている
図1に示すカテーテル2を用意する。
そして、上述のように、
図1のシール部3aを破ると、
図3に示すように、包装袋3の表面3bと裏面3cが分離し、シール部3aのシールが破られ、包装袋3の開口側が開封状態となる。
すると、ICタグ収容部4が
図3の分離部4aaから分離し、内部に収容されているICタグ10も開放状態となり、
図1のタグ情報読取機50からの電波を受信可能となる。
この状態で、
図7のST1へ進む。
【0045】
ST1では、ICタグ10が、
図1の管理装置30のタグ情報読取機50からの電波を受信する。
すると、ST2へ進み、ICタグ10は、
図4のICタグ側情報記憶部14内に格納されている取扱説明書情報及び保険請求書類作成用商品情報をICタグ側アンテナ12等を介して、
図1のタグ情報読取機50へ送信する。
【0046】
次いで、ST3へ進む。ST3では、タグ情報読取機50が受信した取扱説明書情報等を、必要に応じて
図6のタグ情報読取機記憶部54を介して、
図5のICタグ情報記憶部35に記憶する。
【0047】
次いで、ST4へ進む。ST4では、ICタグ10から取得した「取扱説明書情報」を管理装置30のディスプレイ31に表示する工程となる。
ST3でICタグ記憶部35に記憶された取扱説明書情報は、上述のように複数の国の言語で記載された情報を有している。このため、かかる複数の言語の取扱説明書情報を全て、ディスプレイ31に表示するのでは、医療従事者等の使用者にとって煩雑となる。
そこで、本実施の形態では、ST4で、
図5の言語特定部(プログラム)36が動作し、特定言語別医療機器情報記憶部である例えば、言語特定情報記憶部37を参照して、特定の言語、例えば、日本語という情報を取得し、ICタグ記憶部35から日本語の取扱説明書情報を取得し、ディスプレイ31に表示する。
この言語特定情報記憶部37には、当該病院等が所在する国の言語情報(例えば、日本語等)が予め記憶されている。
【0048】
このようにカテーテル2の取扱説明書をディスプレイ31に表示することで、カテーテル2を使用する医療従事者に「取扱説明書」を確認させることができる。
また、本実施の形態では、取扱説明書が紙でカテーテル2に添付されず、ICタグ10内に記憶されているので、取扱説明書の管理が容易で、且つ、コストを低減させることができる。
特に、多数の国の各言語毎の取扱説明書は、紙でないため管理が格段に容易となる。
さらに、本実施の形態では、医療従事者が包装袋3のシール部3aを破壊するだけで、自動的に「取扱説明書情報」がディスプレイ31に表示されるので、カテーテル2の使用者である医療従事者が「取扱説明書」の確認を忘れることがない。
また、ICタグ収容部4をシール部3aに形成しているため、包装袋3を開封したにもかかわらず取扱説明書等の医療機器情報がディスプレイ31に表示されないという事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0049】
ところで、本実施の形態と異なり、この工程で、先ず、ICタグ情報記憶部35内の言語種類情報(例えば、日本語、英語、フランス語、中国語等)を、ディスプレイ31に表示させる言語選択画面を示し、次いで、ディスプレイ31で、医療従事者等にその都度、言語を選択させ、選択させた言語の「取扱説明書情報」をディスプレイ31に表示する構成としても構わない。
【0050】
また、本実施の形態と異なり、管理装置30がGPS(global positioning system)装置を有し、自己の緯度、経度を測位し、この緯度、経度と自己が保有する地図情報とから、自己の国名を把握する構成としてもよい。この場合、管理装置30は、さらに、国名対応言語情報を備えるので、この国名から当該国名の言語を特定できる。
そして、このようにして特定した言語の「取扱説明書情報」をディスプレイ31に表示させる構成としてもよい。
【0051】
ST4で、ディスプレイ31に「取扱説明書情報」が表示されると、次いで、ST5へ進む。ST5では、使用者である医療従事者に内容確認画面が表示される。
そして、医療従事者は、管理装置30のディスプレイ31に表示された「取扱説明書情報」を読んだ後、
図5の管理装置側入力装置34(例えば、キーボード等)を操作して、ディスプレイ31上の「内容確認チェック欄」にチェックを入れることになる。
これにより、本実施の形態では、カテーテル2の使用に際し、医療従事者による「取扱説明書」の確認をより確実なものとすることができる。
【0052】
次いで、ST6へ進む。ST6では、
図5の内容確認チェック欄入力有無判断部(プログラム)38が動作し、ST5の「内容確認チェック欄」に医療従事者からチェックが入力されたか否かが判断される。
そして、「内容確認チェック欄」にチェックがあることが確認されると、健康保険の保険請求書類を作成等するST7以下へすすむ。
このように、本実施の形態では、使用者である医療従事者等がカテーテル2の「取扱説明書」を確認しなければ、保険請求書類作成等へ進むことができない。したがって、医療従事者等による「取扱説明書」の内容確認をより確実に履行させる構成となっている。
【0053】
ST7では、
図5の管理装置30の保険請求書作成部である例えば、保険請求書類作成表示部(プログラム)39が動作し、ICタグ情報記憶部35内に記憶されている「保険請求書類作成用商品情報」を取得し、
図5の保険請求書類作成用基本情報記憶部40に記憶されているフォーマット等の情報に基づいて、自動的に健康保険の保険請求書を作成する。
これにより、従来、医療従事者等が手作業で行っていた保険請求書類を自動的に作成することができ、省力化を図ることができる。また、本実施の形態では、社名等の保険請求書類作成用商品情報が手入力で行われないため、入力ミス等の発生を未然に防止することができる。
また、ST7で、作成された保険請求書類のデータは、
図5の作成済み保険請求書類記憶部41に記憶され、保管される。
【0054】
次いで、ST8へ進む。ST8では、保険請求書類の印刷指示がプリンタ32へなされたか否かが判断され、印刷指示がなされた場合は、ST9へ進む。
ST9では、ディスプレイ31に、作成済み保険請求書類記憶部41内のデータの目次等が表示される。
次いでST10で、ディスプレイ31に表示されている目次等から医療従事者が管理装置側入力装置34を介して、印刷するデータを特定したか否かを判断し、特定された場合は、ST11で、所望の保険請求書類を紙の状態で得ることができる。
【0055】
(第1の実施の形態の第1の変形例)
上述の第1の実施の形態では、
図2及び
図3に示すように、ICタグ10がタグ情報読取機50からの電波を受信して、その後、ICタグ10内の情報をタグ情報読取機50側へ送信する構成としたが、本発明では以下のような第1の変形例にかかるICタグ110及びICタグ収容部140としても構わない。
【0056】
図8及び
図9は、第1の実施の形態の第1の変形例にかかるICタグ収容部140を示す概略断面図である。
本変形例にかかるICタグ収容部140は、上述の第1の実施の形態にかかるICタグ収容部4と共通する構成を有するので、共通する構成は、同一符号等として、その説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
【0057】
図8に示すように、本変形例にかかるICタグ110の表面3b側には、プラスチック層140cが形成されている。
また、ICタグ110は、その裏面3c側(
図8における下側)に受光部110aを有している。
そして、ICタグ110の受光部110aが形成されている側には、これら受光部110a及びICタグ110と接するように、透明又は不透明のプラスチックフィルム140aが形成されている
【0058】
さらに、このプラスチックフィルム140aの裏面3c側には、第1の実施の形態の
図2及び
図3の電波遮蔽層4aの代わりに黒色塗料などの光遮断塗料等を含む不透明フィルムから成る光遮蔽層140bが形成されている。
したがって、
図9に示すように、医療従事者等が包装袋3を開封し、ICタグ収容部140が、矢印S1で示すように、分離部140aaで分離された際に、外部から外部刺激である例えば、光が
図9の受光部110aに入り、受光部110aがこの光を検知して、ICタグ110内で回路が成立し、信号を発する構成となっている。
したがって、
図9に示すようにICタグ収容部140が分離すると、本変形例のICタグ110は光という外部刺激を受け、自らに回路が成立し、本変形例のICタグ110内の取扱説明書情報及び保険請求書類作成用商品情報等を
図1のタグ情報読取機50へ送信する構成となっている。
また、本変形例は、ICタグ収容部140として、包装袋3に形成されている構成だが、これに限らず、包装袋に対して、後付けが可能であり、既存の包装袋に取付ける、或いは貼り付ける構造で実施することができる。
【0059】
(第1の実施の形態の第2の変形例)
図10及び
図11は、第1の実施の形態の第2の変形例にかかるICタグ収容部240を示す概略断面図である。本変形例にかかるICタグ収容部240は、上述の第1の実施の形態等にかかるICタグ収容部4、140と共通する構成を有するので、共通する構成は、同一符号等として、その説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
【0060】
図10に示すように、本変形例にかかるICタグ210の表面3b側には、プラスチック層240cが形成されている。
また、ICタグ210は、その裏面3c側(
図10における下側)に、空気や水分に対して反応するセンサ210aを有している。
そして、ICタグ210のセンサ210aが形成されている側には、これらセンサ210a及びICタグ210と接するように、プラスチックフィルム240aが形成されている。
【0061】
さらに、このプラスチックフィルム240aの裏面3c側には、第1の実施の形態の
図2及び
図3の電波遮蔽層4aの代わりに、空気や水分等を遮蔽する空気水分遮蔽層240bが形成されている。
そして、
図10のプラスチックフィルム240には、その裏面3c側に配置されている空気水分遮蔽層240bとセンサ210aとを結ぶ複数の貫通孔240abが形成されている。
この貫通孔240abは、
図10に示すように、プラスチックフィルム240aが空気水分遮蔽層240bによって覆われている状態では、閉塞状態となっており、外部から空気や水分が、この貫通孔240abを通してセンサ210aに達しない構成となっている。
【0062】
しかし、
図11に示すように、医療従事者等が包装袋3を開封し、ICタグ収容部240が、矢印S2で示すように、分離部240aaで分離された際に、外部から外部刺激である例えば、空気や水分が
図11の貫通孔240abを介して、センサ210aに入り、センサ210aがこの空気や水分を検知して、ICタグ210内で回路が成立し、信号を発する構成となっている。
したがって、
図11に示すようにICタグ収容部240が分離すると、本変形例のICタグ210は空気や水等の外部刺激を受け、自らに回路が成立し、本変形例のICタグ210内の取扱説明書情報及び保険請求書類作成用商品情報等を
図1のタグ情報読取機50へ送信する構成となっている。
また、本変形例は、ICタグ収容部240として、包装袋3に形成されている構成だが、これに限らず、包装袋に対して、後付けが可能であり、既存の包装袋に取付ける、或いは貼り付ける構造で実施することができる。
【0063】
(第1の実施の形態の第3の変形例)
図12及び
図13は、第1の実施の形態の第3の変形例にかかるICタグ収容部340を示す概略断面図である。本変形例にかかるICタグ収容部340は、上述の第1の実施の形態等にかかるICタグ収容部4、140、240と共通する構成を有するので、共通する構成は、同一符号等として、その説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
【0064】
図12に示すように、本変形例にかかるICタグ310の表面3b側には、プラスチック層340cが形成されている。
また、ICタグ310の裏面側3cには(
図12における下側)には、プラスチックフィルム340aが配置されている。
そして、これらICタグ310とプラスチックフィルム340aとの間には、両者に跨るように、障害物310aが配置されている。
【0065】
この障害物310aは、プラスチックフィルム340aに固定された状態で、ICタグ310内に突出して配置されるように構成されている。
また、この障害物310aは、ICタグ310内に配置されると、ICタグ310内の回路を遮断し、回路が成立しない構成となっている。
【0066】
さらに、このプラスチックフィルム340aには、裏面3cが配置されている。
【0067】
そして、
図13に示すように、医療従事者等が包装袋3を開封し、ICタグ収容部340が、分離部340aaで矢印S3に示すように分離された際に、プラスチックフィルム340aが、ICタグ310から離間すると、このプラスチックフィルム340aに固定されている障害物310aもICタグ310から離れ、ICタグ310の内部に回路が成立し、信号を発する構成となっている。
したがって、
図13に示すようにICタグ収容部340が分離すると、本変形例のICタグ310は自らに回路が成立し、本変形例のICタグ310内の取扱説明書情報及び保険請求書類作成用商品情報等を
図1のタグ情報読取機50へ送信する構成となっている。
また、本変形例は、ICタグ収容部340として、包装袋3に形成されている構成だが、これに限らず、包装袋に対して、後付けが可能であり、既存の包装袋に取付ける、或いは貼り付ける構造で実施することができる。
【0068】
(第1の実施の形態の第4の変形例)
図14及び
図15は、上述の第1の実施の形態の第4の変形例を示す概略断面図である。
図14等に示すように、本変形例では、磁石6が台紙410dに形成され、この磁石6は、アルミ等の金属薄膜で形成されている遮蔽層410aで覆われているICタグ410に対向するように配置されている。
すなわち、
図14に示すように、ICタグ収容部440が分離していない状態では、ICタグ410は、遮蔽層410aを介して台紙410dの磁石6と近接して配置される。
したがって、ICタグ410は磁石6の磁力の影響を強く受ける状態となっている。
【0069】
一方、
図15では、ICタグ収容部440が矢印S4に示すように分離しているので、ICタグ410は磁石6の影響を受けにくい状態となっている。
そして、本変形例にかかるICタグ410は、磁石6の磁力の影響を受けている間は、回路が成立せず、磁石6の磁力の影響が小さくなると、その内部に回路が成立し、情報の送信を開始する構成となっている。
【0070】
したがって、
図14の状態では、回路が成立せず、ICタグ410内の取扱説明書情報等の医療機器情報は、送信されないが、
図15のように、ICタグ収容部410が分離すると、磁石6の磁力の影響が小さくなり、回路が成立し、医療機器情報を送信する構成となっている。
これは、ICタグ410の電気回路内にリードスイッチが備えられているからであり、電気回路の遮断について
図16に基づいて説明する。
図16は、電気回路内のリードスイッチを示す概略図である。
【0071】
リードスイッチ600は、2本の磁性体リード603a、603bをガラス管602のほぼ中央付近で磁性体リード603a、603bを所定の間隙で重ね合せ、接点部を構成している。リードスイッチ600は、磁性体リード603a、603bに磁束源である永久磁石601から磁束が流れると接点部が磁気吸引力によって閉成する常閉型リードスイッチである。
つまり、ICタグ収容部410が分離していない状態では、ICタグ410はキャンセル用の磁石6から出る磁束によって、磁気スイッチの永久磁石601から出る磁束が打ち消され、リードスイッチ600の接点が開離し、電気回路とICタグ制御部11とが電気的に切れ、ICタグ410の電源をOFF(電力消費を零)にすることができる。これにより、倉庫または院内での保管期間が長期にわたったとしても、無駄な電力の消耗がないため、長期保管にも対応して本発明の機能を発現することができる。
また、永久磁石601および磁石6の形状は、正方形、長方形だけではなく、電気回路の遮断として機能を果たせば、円形状であったり、永久磁石601においては、磁性体リードを円筒状に取り囲むように配置されていてもかまわない。
また、本変形例は、ICタグ収容部440として、包装袋3に形成されている構成だが、これに限らず、包装袋に対して、後付けが可能であり、既存の包装袋に取付ける、或いは貼り付ける構造で実施することができる。
【0072】
(第2の実施の形態)
図17は、本発明の第2の実施の形態にかかる医療機器情報管理システム100を示す概略図である。
本実施の形態にかかる構成の多くは、上述の第1の実施の形態と同様であるため、同様の部分は同一符号等とし、以下、相違点を中心に説明する。
本実施の形態にかかる医療機器情報管理システム100は、上述の第1の実施の形態と異なり、タグ情報読取機500が、管理装置300内に配置されていない。
そして、タグ情報読取機500は、医療機器、例えば、カテーテル2の場合は、手術室及びその準備等のカテーテルの包装袋3を開封する特定の開封場所に固定設置されている。
【0073】
したがって、カテーテル2の場合、このような特定の開封場所(手術室等)以外の場所で、その包装袋3を開封しても、ICタグ10内の「保険請求書類作成用商品情報」は、タグ情報読取機500が受け取ることがないので、当該カテーテル2の使用に関し、保険請求書類を作成することがなく、適正な健康保険の保険請求を担保することができる。
【0074】
一方、
図10でタグ情報読取機500が、ICタグ10内の「取扱説明書情報」や「保険請求書類作成用商品情報」を受信した場合は、その情報は、管理装置300側へ送信される。管理装置300は、自己の管理装置側通信装置(図示せず)でかかる情報を受信し、
図5のICタグ情報記憶部35に記憶されることになる。
【0075】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。例えば、汎用品である注射器などを複数収納したダンボール箱や包材にICタグを備え付けても構わない。また、上記医療機器は、物流における倉庫や病院内の用度課などで長期間保管、管理されることが多いので、例えばICタグに電力源及び記憶手段を備え、湿度センサや温度センサにより定期的な測定値を記憶できるICタグに備え付けることで、どのような温度、またはどのような湿度の環境下で保管されていたのかなど、開封と同時に保管環境を把握することができる。これにより、保管状態の悪かったことでの医療機器の劣化が原因で起こる医療ミスなどを未然に防ぐことが可能である。また、本実施の形態では表示部にディスプレイ31を採用したが、これに限定されず、例えば、タグ情報読取機500と管理装置300の機能を備えた手のひらサイズの表示機器や、A4サイズほどのノート形状の表示機器であっても良い。