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特許5658939階層構造を持つ書込み記事の評価システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5658939
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】階層構造を持つ書込み記事の評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20150108BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20150108BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20150108BHJP
   G06F 17/21 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   G06F13/00 560C
   G06Q50/10 180
   G06F17/30 170A
   G06F17/30 220Z
   G06F17/30 419A
   G06F17/21 550A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-171953(P2010-171953)
(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公開番号】特開2012-32998(P2012-32998A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2013年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111800
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三明
(72)【発明者】
【氏名】高見 真也
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−177999(JP,A)
【文献】 特開2008−052675(JP,A)
【文献】 特開2007−220084(JP,A)
【文献】 特開2009−146213(JP,A)
【文献】 特開2005−266938(JP,A)
【文献】 特開2007−328610(JP,A)
【文献】 特開2007−323412(JP,A)
【文献】 特開2009−181451(JP,A)
【文献】 特開平08−288960(JP,A)
【文献】 アンカーが多く付けられたレスの抽出機能を追加した「V2C」の最新版が公開,窓の杜NEWS,2008年 1月17日,インターネット(Internet Archive)[取得日 2014年3月19日],URL,https://web.archive.org/web/20080117220409/http://www.forest.impress.co.jp/article/2008/01/11/v2c.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 17/21
G06F 17/30
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から、書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事を受け付け、それぞれの書込み記事の評価を行う書込み記事の評価システムであって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける記事書込み部と、
前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶部と、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定部と、
書込み記事毎に前記評価値を記憶する記事価値テーブルと、
を備えたことを特徴とする書込み記事の評価システム。
【請求項2】
前記記事価値判定部は、前記すべての書込み記事の総数を当該書込み記事の評価値として算出すること特徴とする請求項1記載の評価システム。
【請求項3】
前記記事価値判定部は、前記すべての書込み記事のユニークユーザ数を当該書込み記事の評価値として算出すること特徴とする請求項記載の評価システム。
【請求項4】
前記書込み記事は、上位の書込み記事を特定し得る引用記述を含み、
前記記事価値判定部は、1つの書込み記事について、その他の書込み記事に含まれる前記引用記述に基づいて当該その他の書込み記事より上位の書込み記事を順次特定し、当該特定された上位の書込み記事が前記1つの書込み記事と一致するかを判定することによって、前記1つの書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項5】
評価システムは、さらに、ユーザ毎に評価重みを記憶する評価重みテーブルを備えており、
前記記事書込み部は書込み記事とともにユーザ特定情報を受け付け、前記記事データ記憶部はユーザ特定情報に対応付けてそれぞれの書込み記事を記憶しており、
前記記事価値判定部は、1つの書込み記事について前記記事データ記憶部を参照して前記評価重みテーブルから評価重みを抽出し、前記カウントの結果および前記評価重みを用いて当該1つの書込み記事の評価値を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項6】
ユーザ端末から、書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事を受け付け、それぞれの書込み記事の評価を行う書込み記事の評価方法であって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける書込み記事受け付けステップと、
記事データ記憶部に、前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶ステップと、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定ステップと、
書込み記事毎に前記評価値を記事価値テーブルに記憶する評価値記憶ステップと、
を備えたことを特徴とする書込み記事の評価方法。
【請求項7】
記事データ記憶部と記事価値テーブルを有する評価システムに書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事の評価処理を実行させるためのプログラムであって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける書込み記事受け付けステップと、
記事データ記憶部に、前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶ステップと、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定ステップと、
書込み記事毎に前記評価値を記事価値テーブルに記憶する評価値記憶ステップと、
を実行させるための書込み記事の評価プログラム。
【請求項8】
記事データ記憶部と記事価値テーブルを有する評価システムに書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事の評価処理を実行させるためのプログラムであって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける書込み記事受け付けステップと、
記事データ記憶部に、前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶ステップと、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定ステップと、
書込み記事毎に前記評価値を記事価値テーブルに記憶する評価値記憶ステップと、
を実行させるための書込み記事の評価プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンシューマー・ジェネレイテッド・メディア(CGM)における書込み記事の価値を評価する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クチコミ等のCGMでは、1つの商品やサービス(以下、「商品等」という。)に対する印象、意見、付加情報などの書込みが行われ、CGMを運営するサービス提供者側では、これらの書込みを記憶し、ユーザに対し提供している。書込みの対象は、ECサイト、ブログ、ツイッターで異なる。ECサイトにおける対象は、例えば、商品等である。ブログにおける対象は、例えば、社会現象に対する評論である。ツイッター(登録商標)における対象は、例えば、書き込んだ個人の思想や主張である。
【0003】
このような書込みは、最初の書込み(第1世代)で終端を迎えるものや、最初の書込みが起源となって他の書込み(第2世代、第3世代・・・)が連なるものがある。起源から書込みが連なると、これらの書込みはツリー構造や階層構造を形成する。
【0004】
特許文献1「掲示板システム」には、階層的に記事を表示する掲示板システムが開示されている。このシステムでは、ブログ記事のトラックバックによる引用関係を階層化して表示している。
【0005】
このように、インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していく、コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア(CGM)の分野における隆盛は顕著である一方、情報の氾濫という側面もある。
【0006】
その為、他者記事の引用等により反応する書込み記事を管理するシステム(例えば掲示板、クチコミ、ブログ、ツイッターなど)において、ユーザに対して有用な情報のみを抽出する技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−272330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、階層的に書き込まれた記事ついて、その階層構造の特徴に基づいて書込み記事の価値を評価することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、階層構造に着目することにより、個々の書込み従属する書込み記事に基づいて評価し、氾濫する情報群の中から価値ある書込み記事を選別・抽出することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、抽出した書込みを適切な順序で、書込みを求める者に提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明に係る書込み記事の評価システムは、
ユーザ端末から、書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事を受け付け、それぞれの書込み記事の評価を行う書込み記事の評価システムであって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける記事書込み部と、
前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶部と、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定部と、
書込み記事毎に前記評価値を記憶する記事価値テーブルと、
を備えたことを特徴とする。
また、前記記事価値判定部は、前記すべての書込み記事の総数を当該書込み記事の評価値として算出すること特徴とする。
【0012】
また、前記記事価値判定部は、前記すべての書込み記事のユニークユーザ数を当該書込み記事の評価値として算出すること特徴とする。
また、前記書込み記事は、上位の書込み記事を特定し得る引用記述を含み、
前記記事価値判定部は、1つの書込み記事について、その他の書込み記事に含まれる前記引用記述に基づいて当該その他の書込み記事より上位の書込み記事を順次特定し、当該特定された上位の書込み記事が前記1つの書込み記事と一致するかを判定することによって、前記1つの書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を特定することを特徴とする。
【0013】
また、評価システムは、さらに、ユーザ毎に評価重みを記憶する評価重みテーブルを備えており、
前記記事書込み部は書込み記事とともにユーザ特定情報を受け付け、前記記事データ記憶部はユーザ特定情報に対応付けてそれぞれの書込み記事を記憶しており、
前記記事価値判定部は、1つの書込み記事について前記記事データ記憶部を参照して前記評価重みテーブルから評価重みを抽出し、前記カウントの結果および前記評価重みを用いて当該1つの書込み記事の評価値を算出すること特徴とする。
本願発明に係る書込み記事の評価方法は、
ユーザ端末から、書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事を受け付け、それぞれの書込み記事の評価を行う書込み記事の評価方法であって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける書込み記事受け付けステップと、
記事データ記憶部に、前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶ステップと、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定ステップと、
書込み記事毎に前記評価値を記事価値テーブルに記憶する評価値記憶ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
本願発明に係るプログラムは、
記事データ記憶部と記事価値テーブルを有する評価システムに書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事の評価処理を実行させるためのプログラムであって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける書込み記事受け付けステップと、
記事データ記憶部に、前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶ステップと、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定ステップと、
書込み記事毎に前記評価値を記事価値テーブルに記憶する評価値記憶ステップと、
を実行させるための書込み記事の評価プログラムであることを特徴とする。
【0015】
本願発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
記事データ記憶部と記事価値テーブルを有する評価システムに書込み記事および当該書込み記事に従属する書込み記事の評価処理を実行させるためのプログラムであって、
ユーザ端末から書込み記事を受け付ける書込み記事受け付けステップと、
記事データ記憶部に、前記書込み記事を記憶するとともに、書込み記事同士の従属関係を記憶する記事データ記憶ステップと、
前記記事データ記憶部を参照して、従属・被従属の関係にある書込み記事の各々について、当該書込み記事の下方にあるすべての書込み記事を所定の方法でカウントすることによって、該書込み記事の各々の評価値を算出する記事価値判定ステップと、
書込み記事毎に前記評価値を記事価値テーブルに記憶する評価値記憶ステップと、
を実行させるための書込み記事の評価プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
書込み記事毎に、下位の書込み記事のカウント値に基づいて書込み記事を抽出するための評価値を算出することとするので、階層構造の中の中間的な書込みであっても、ユーザが注目する書込みや反響が多かった書込み記事や、訴求力・吸引力や広告効果の高い書き込み記事を多数の書込み記事の中から特定することができる。特に、ツイッターのRT(QT)のようなSGMにおいても有効に機能する。
【0017】
本発明におけるカウント値とは、1つの書込み記事に着目したときに、その1つの書き込み記事に従属する直下の書込み記事の存在数、その1つの書き込み記事に従属する総ての書込み記事の存在数、その1つの書き込み記事に従属する直下の書込み記事のユニークユーザ数、その1つの書き込み記事に従属する総ての書込み記事のユニークユーザ数、さらに、これらの存在数およびユニークユーザ数に評価重みを加味した(例えば、乗じた)値を意味する。
【0018】
他の実施形態では、直下層の書込み記事を計数するので、個々の書込み記事について直接的な反響の大きさを評価することができる。このように直接的な反応が高い書込み記事は、単独でも多くの意見や質問などを集めることができ、周囲の注意を強く喚起する能力が高いと言える。
【0019】
また、記事の数ではなく、ユニークユーザ数を計測することにより、自作自演の書込みを排除し、ノイズを除去して信憑性ある書込み記事を抽出することができる。
【0020】
さらに、書込み数やユニークユーザ数が最大の連鎖を抽出することにより、ノイズの極めて少ない書込み記事を抽出することができる。
【0021】
他の実施形態では、すべての下方層の書込み記事を計数するので、元の書込み記事について総合的な反響の大きさを評価することができる。このように総合的な反応が多い書込み記事は、展開しやすい話題を提供し、相互の意見交換を誘発させる能力が高いと言える。
【0022】
また、記事の数ではなく、ユニークユーザ数を計測することにより、自作自演の書込みを排除し、ノイズを除去して信憑性ある書込み記事を抽出することができる。
【0023】
他の実施形態では、下位の書込み記事の書込者に割り当てられた評価重みに基づいて評価するので、反応して欲しい人達に適切に反応してもらえる能力を評価することができる。例えば、アルファブロガーのように、所定の購買層に属する人達の反応を得られる場合には、広告的意義が高いことになる。また、有名人の反応を得られる場合には、世間の注目を集める効能が高いことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、記事評価システムのネットワーク構成を示す図である。
図2図2は、書込み記事のツリー表示例を示す図である。
図3図3は、記事データ記憶部の例を示す図である。
図4図4は、評価システムを構成する記事管理サーバの構成を示す図である。
図5図5は、記事価値テーブルを示す図である。
図6図6は、直接反応数算出処理フローを示す図である。
図7図7は、総反応数算出処理フローを示す図である。
図8図8は、実施の形態2に係る記事データ記憶部の例を示す図である。
図9図9は、実施の形態2に係る直接反応数算出処理フローを示す図である。
図10図10は、実施の形態2に係る総反応数算出処理フローを示す図である。
図11図11は、評価重みテーブルの例を示す図である。
図12図12は、実施の形態3に係る記事価値テーブルの例を示す図である。
図13図13は、直接反応重み総計算出処理フローを示す図である。
図14図14は、総反応重み総計算出処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、記事評価システムのネットワーク構成を示す図である。電子商取引サーバ101は、書込み記事を管理するサーバの例である。電子商取引サーバ101は、インターネットを介してユーザ端末102と店舗端末103と接続している。店舗端末103は、仮想商店街に出品する業者の端末である。ユーザ端末102は、購買者の端末であり、ブラウザに表示された商品画面からクチコミ情報を書込む。
【0026】
以下、クチコミを記事書込みの例として説明するが、掲示板、ブログ、ツイッターのように、1つの記事に紐付く書込み記事を受け付ける階層構造を持つ書き込み記事であってもよい。
【0027】
図2は、書込み記事のツリー表示例を示す図である。書込み記事は、図に示すように、階層構造となっている。先に登録された記事(一次書込み記事)に対して、後に反応して書き込んだ記事(二次書込み記事、三次書込み記事・・・)がその下位層に登録される。例えば、上位の記事に対する回答、意見、感想などの書込みが下位に表示される。例えば、記事#02は、記事#01に対する書込みである。
【0028】
図3は、記事データ記憶部の例を示す図である。記事IDに対応付けて、親記事ID、書込日時、書込者コード、記事データ(記事内容)を対応付けて記憶している。記事IDは、記事の識別情報であり、親記事IDは、上位記事のID、つまり反応元の記事IDである。書込者コードは、ユーザ端末102より記事を書き込む者の識別コードである。記事データは、書き込みの内容である。
【0029】
図4は、評価システムを構成する記事管理サーバの構成を示す図である。電子商取引サーバ(記事管理サーバ)101は、記事データ記憶部401、記事画面送信部402、記事書込み部403、記事価値判定部404、及び記事価値テーブル405の要素を有している。記事画面送信部402は、商品を紹介する商品画面などの記事画面をユーザ端末102に送信するように構成されている。各記事の書込者コード、書込日時、及び記事データを、図2の構成に従って表示させる。
【0030】
記事書込み部403は、ユーザ端末102から親記事IDを指定した記事データ(クチコミ内容)を受信し、ログインしているユーザのコードを書込者コードとし、現在日時を書込日時として、新たな記事IDに対応付けてこれらの情報を書き込む。
【0031】
記事価値判定部404は、記事毎の記事ID、親記事ID、書込者コード、及び記事データに基づいて、記事の価値を判定し、その結果を記事価値テーブル405に記憶させる。
【0032】
図5は、記事価値テーブルを示す図である。記事価値テーブル405は、記事IDに対応付けて評価値を記憶する。この例では、直接反応数と総反応数を評価値としている。直接反応数は、直下層の書込み記事数(直接反応した記事の数)であり、総反応数はすべての下方層の書込み記事数(直接及び間接的に反応して記事の数)である。例えば、記事#01の直接反応数は、記事#02と記事#04の2個であり、総反応数は、記事#02〜記事#07の6個である。
【0033】
記事価値判定部404による直接反応数算出処理について説明する。図6は、直接反応数算出処理フローを示す図である。判定する記事毎に以下の処理を繰り返す(S601)。これにより記事#01から記事#07まで順に直接反応数を求める。以下、記事#01に対する直接反応数を求める流れを例として説明する。
【0034】
他の記事毎に以下の処理を繰り返す(S602)。これにより、記事#01以外の記事#02〜記事#07が直下層に位置するかを判定してカウントする。
【0035】
他の記事の親記事IDが、判定対象記事IDと一致するかを判定し(S603)、一致する場合には、直接反応数(判定対象記事毎に初期値0)に1を加える(S604)。例えば図3の通り、他の記事#02の親記事IDは#01であり、判定対象記事ID#01と一致するので、直接反応数をカウントアップする。他の記事#03の親記事IDは#02であるので、カウントアップしない。
【0036】
他の記事すべてについて処理すると(S605)、判定対象記事に対する直接反応数を記事価値テーブル405に書き込む(S606)。
【0037】
これをすべての記事に対して処理することにより(S607)、全記事に対する直接反応数が算出される。
【0038】
次に、記事価値判定部404による総反応数算出処理について説明する。図7は、総反応数算出処理フローを示す図である。判定する記事毎に以下の処理を繰り返す(S701)。前述と同様に、記事#01から記事#07まで順に総反応数を求める。以下、記事#01に対する総反応数を求める流れを例として説明する。
【0039】
他の記事毎に以下の処理を繰り返す(S702)。これにより、記事#01以外の記事#02〜記事#07が下方のいずれかの層に位置するかを判定してカウントする。
【0040】
前述と同様に、他の記事の親記事IDが、判定対象記事IDと一致するか判定し(S703)、一致する場合には総反応数(判定対象記事毎に初期値0)に1を加える(S706)。記事#02と記事#04はこれによりカウントアップされる。
【0041】
例えば記事#03の場合には、$703で一致しないので、更に上方の記事が#01を親としているかを判定する。その為に、親記事IDに対応する上位記事を特定する(S704)。記事#03であれば、親記事が#02であるので上位記事は#02となる。そして、その上位記事の親記事IDが判定対象記事IDであれば(S705)、総反応数に1を加える(S706)。記事#02の親記事は#01であるので、この段階で記事#03についてカウントアップされる。
【0042】
上位記事の親記事IDが判定対象記事IDでない場合には、更に上位記事を特定し同様の判定を繰り返す。そして、上位記事の親記事IDがルートとなれば、当該記事の上方に判定対象記事がないことになるので、カウントアップせずに終える。
【0043】
この処理を、他の記事すべてについて処理すると(S707)、総反応数が得られるので、判定対象記事に対する総反応数を記事価値テーブル405に書き込む(S708)。
【0044】
すべての記事について判定した時点で終了する(S709)。
【0045】
実施の形態2.
上述の形態では、親記事IDにより階層関係を管理している例を示したが、記事データ中の引用記述に基づいて階層関係を判定することもできる。
【0046】
図8は、実施の形態2に係る記事データ記憶部の例を示す図である。この例では、記事データ(書込み内容)の中に、引用記述が見られる。「RT」の引用符号に続いて、「@」を先頭に引用した記事の書込者コードが記述されている。更に「: 」で区切って、引用した記事の記事データ(書込み内容)が記述されている。この引用記述によって、上位の記事を判定することが可能となる。
【0047】
本実施の形態における直接反応数算出処理では、図6のS603「他の記事の親記事IDが、判定対象記事IDと一致するか」の判定に代えて、引用記述の一致を判定する。
【0048】
図9は、実施の形態2に係る直接反応数算出処理フローを示す図である。S603に代えて、S901〜S903の処理を行なう。まず、他の記事に引用符号(「RT」)があるか判定する(S901)。無い場合は、そのまま終える。有る場合には、引用書込者コード及び引用記事データを特定する(S902)。つまり、「@」に続く書込者コードと、「: 」に続く記事データを抽出する。そして、これが判定対象記事の書込者コード及び記事データ(引用記述部分を除く)と一致する場合に(S903)、直接反応数に1を加える(S605)。
【0049】
例えば、記事#02の記事データ中には、「RT」があり、「@」に続く書込者コードが「SAM」であり、「: 」に続く記事データが「○○ヨーグルト、スッキリ最高!」であるので、記事#01に直接反応した記事であることがわかる。
【0050】
また、総反応数算出処理でも、引用記述の一致を判定する。
【0051】
図10は、実施の形態2に係る総反応数算出処理フローを示す図である。図7のS703〜S706に代えて、S1001〜S1007の処理を行う。S1001〜S1003は、前述のS901〜S903と同様である。
【0052】
引用書込者コード及び引用記事データが判定対象の書込者コード及び記事データと一致しなかった場合には、さらに上方を探索するために、順次、引用書込者コード及び引用記事データと一致する上位記事を特定する(S1004)。例えば、記事#03の引用書込者コード「JUN」と引用記事データ「味の方もスッキリです。サッパリです。」と一致する記事#02が初回の上位記事となる。
【0053】
そして、その上位記事に引用符号があるか判定し(S1005)、同様に引用書込者コード及び引用記事データを特定する(S1006)。引用符号が無ければ、ここで終える。
【0054】
特定した引用書込者コード及び引用記事データが、判定対象記事の書込者コード及び記事データ(引用記述部分を除く)と一致する場合に(S1007)、総反応数に1を加える(S706)。記事#02の上位記事#03の引用書込者コード「SAM」と引用記事データ「○○ヨーグルト、スッキリ最高!」が、判定対象記事#01と一致するので、記事#02の分がカウントアップされる。
【0055】
引用符号は「QT」など他のコードでもよい。また、引用書込者コードと引用記事データの位置を入れ替えて、引用符号の次に引用記事データを記述し、その後に引用書込者コードを記述するなど、フォーマットは所定の規則に従っている限り上述の例以外の形式でも構わない。
【0056】
実施の形態3.
上述の例では、各書込み記事を等価としたが、書込者により評価を変えることもできる。つまり、書込者に応じた記事の重み付けを行うこともできる。
【0057】
その為に、電子商取引サーバ(記事管理サーバ)101は評価重みテーブルを有している。 図11は、評価重みテーブルの例を示す図である。書込者コード毎に対応する評価重みを予め設定している。
【0058】
本形態において生成される記事価値テーブルは、評価重みの合計である重み総計を価値指標とする。図12は、実施の形態3に係る記事価値テーブルの例を示す図である。記事ID毎に、直接反応重み総計と総反応重み総計を記憶している。直接反応重み総計は、直下層の書込み記事の評価重みの合計であり、総反応重み総計はすべての下方層の書込み記事の評価重みの合計である。「SUS」が書き込んだ記事#07の重みが10となり、「TOM」が書き込んだ記事#03の重みが5となるので、その反応元となった記事#05や#02の評価が高まっている。
【0059】
この形態の直接反応重み総計算出処理では、図6のS604「直接反応数に1を加える」とS606「判定対象記事に対する直接反応数を書き込む」に代えて、以下の処理を行う。
【0060】
図13は、直接反応重み総計算出処理フローを示す図である。S604に代えて、S603で親記事IDが一致した当該他の記事の書込者を特定し(S1301)、その書込者の評価重みを評価重みテーブル(図11)から取得する(S1302)。そして、直接反応重み総計(判定対象記事毎に初期値0)に評価重みを加える(S1303)。
【0061】
また、S606に代えて、判定対象記事に対する直接反応重み総計を記事価値テーブル405に書き込む(S1304)。
【0062】
総反応重み総計算出処理では、図7のS706「総反応数に1を加える」とS708「判定対象記事に対する総反応数を書き込む」に代えて、以下の処理を行う。
【0063】
図14は、総反応重み総計算出処理フローを示す図である。S706に代えて、S703の他の記事或いはS705の上位記事の書込者を特定し(S1401)、更に書込者の評価重みを特定して(S1402)、総反応重み総計(判定対象記事毎に初期値0)に評価重みを加える(S1403)。
【0064】
また、S708に代えて、判定対象記事に対する総反応重み総計を記事価値テーブル405に書き込む(S1404)。
【0065】
この重みによる評価は、実施の形態1のみならず、実施の形態2に対して適用することもできる。
【0066】
上述の記事評価システムは、仮想商店街などの電子商取引における商品評価の例に留まらず、他の掲示板やツイッターなどでも有効である。特に、CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)における応用の期待が高く、口コミサイト、Q&Aコミュニティ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、ブログポータル、BBSポータル、COI(Community Of interest)サイトなどに適用することが考えられる。
【0067】
電子商取引サーバ(記事管理サーバ)101は、コンピュータであり、各要素はプログラムにより処理を実行することができる。また、プログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からコンピュータに読み取られるようにすることができる。
【符号の説明】
【0068】
101 電子商取引サーバ(記事管理サーバ)
102 ユーザ端末
103 店舗端末
401 記事データ記憶部
402 記事画面送信部
403 記事書込み部
404 記事価値判定部
405 記事価値テーブル

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