(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カーナビゲーションシステムを使用中に、地図画像に重畳表示されたPOIアイコンにより所望の店舗を見つけた場合、ユーザは、地図画像に示される道路状況を参考にすることによりPOIアイコンの表示地点へ(つまり所望の店に向かって)車を走らせることができる。このような場合において、POIアイコンで示される店舗が道路沿いに立地されており、さらに、地図画像の縮尺が小さい場合には、POIアイコンが地図画像の道路上に(道路の真上に道路を跨ぐようにして)表示されてしまうことが多い。このように、POIアイコンが地図画像の道路上に表示されると、ユーザは、道路のどちら側(上り側の道路か、下り側の道路か)に立地されているのかを判断することが困難である。
【0006】
このため、一時的に地図画像の縮尺を大きくして所望の店舗が道路のどちら側に立地されているかを、確認しなければならないという問題があった。特に、運転者以外に同乗者がいない場合には、安全性を確保するために、一旦、車両を路肩に停車させてから画面の拡大操作を行って、店舗の立地位置を確認する必要があり、確認負担が大きいという問題があった。
【0007】
または、拡大表示することなくカーナビゲーションシステムの表示に従ってって、所望の店舗の近くまで移動する場合には、店舗付近まで移動して初めて店舗の立地位置が、走行道路の反対側であると認識される場合もある。この場合には、再度いずれかでUターンなどをして、反対側に回り込まなくてはいけないため,手間がかかってしまうという問題があった。
【0008】
特に、海外などにおいては,片側車線が3〜6車線という広い道路も存在する。このような広い道路においては、店舗の反対側の道路の路肩に車両を駐車して、道路を横断して向かいの店舗に行くことは現実的に困難であった。このため、道路のどちら側に店舗が位置しているかを予め判断できるようなカーナビゲーションシステムが望まれている。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、POIアイコンが地図画像の道路上に重畳表示されている場合であっても、道路のどちら側に存在するかを、ユーザが視覚的にわかり易いPOI情報表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るPOI情報表示装置は、地図画像が表示される表示手段と、該地図画像の道路上に重畳表示されるPOIアイコンであって、POIアイコンの異なる端部に印が附された複数のPOIアイコンを、同一の店舗を示すPOIアイコンとして記録するPOIアイコン記録手段と、前記POIアイコンで示される店舗の位置情報を記録する位置情報記録手段と、前記POIアイコンが重畳表示される地図画像上の表示位置に最も近いノードを基準として、前記POIアイコンで示される店舗が前記ノードにより特定される道路のどちら側に位置するかを示した道路サイド情報を記録する道路サイド情報記録手段と、前記位置情報記録手段よりPOIアイコンに該当する店舗の位置情報を求め、該位置情報に該当する前記地図画像上に、前記POIアイコンを重畳表示させる制御手段とを有し、前記制御手段は、前記道路サイド情報記録手段より取得した道路サイド情報に基づいて、前記地図画像に示される道路のどちら側にPOIアイコンで示される店舗が位置するかを求め、求められた側の端部に印が附されたPOIアイコンをPOIアイコン記録手段より選択して前記地図画像上に重畳表示させることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るPOI情報表示装置では、道路サイド情報記録手段において、地図画像上の表示位置に最も近いノードを基準として、POIアイコンで示される店舗がノードにより特定される道路のどちら側に位置するかを示した道路サイド情報が記録されている。このため、この道路サイド情報に基づいて、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかを判断することができる。
【0012】
また、POIアイコン記録手段には、POIアイコンの異なる端部に印が附された複数のPOIアイコンが、同一の店舗を示すPOIアイコン群として記録されている。
【0013】
このため、制御手段では、道路サイド情報に基づいて、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかを判断し、立地していると判断された側の端部に印が附されたPOIアイコンをPOIアイコン記録手段より選択して、地図画像上にPOIアイコンを重畳表示させる。このため、ユーザは、重畳表示されたPOIアイコンの印位置を確認することにより、容易に店舗が道路のどちら側に位置しているかを知ることができる。
【0014】
また、本発明に係るPOI情報表示装置は、地図画像が表示される表示手段と、該地図画像の道路上に重畳表示されるPOIアイコンであって、POIアイコンの異なる端部に印が附された複数のPOIアイコンを、同一の店舗を示すPOIアイコンとして記録するPOIアイコン記録手段と、前記表示手段に表示された前記地図画像の上側がいずれの方位であるかを示した地図方位情報を記録する方位記録手段と、前記POIアイコンで示される店舗の位置情報を記録する位置情報記録手段と、前記POIアイコンが重畳表示される地図画像上の表示位置に最も近いノードを基準として、前記POIアイコンで示される店舗が前記ノードにより特定される道路のどちら側に位置するかを示した道路サイド情報を記録する道路サイド情報記録手段と、前記位置情報記録手段よりPOIアイコンに該当する店舗の位置情報を求め、該位置情報に該当する前記地図画像上に、前記POIアイコンを重畳表示させる制御手段とを有し、前記制御手段は、前記方位記録手段より取得した地図方位情報と、前記道路サイド情報記録手段より取得した道路サイド情報とに基づいて、前記地図画像に示される道路のどちら側にPOIアイコンで示される店舗が位置するかを求め、求められた側の端部に印が附されたPOIアイコンをPOIアイコン記録手段より選択して前記地図画像上に重畳表示させることを特徴とする。
【0015】
表示手段に地図画像が表示される用途として、ブラウザなどを介してweb画面上で地図画像およびPOIアイコンが示された地図情報を参照する場合には、一般的に画面の上側が北になることが多い。しかしながらカーナビゲーションシステムにおいては、画面に表示される地図画像の北が常に上方向になるとは限らず、進行方向が画面の上側に設定されている場合も存在する。このように進行方向が画面の上側に設定されると、店舗が道路に対してどちら側に位置するかを示す情報も大きく変わってしまう。
【0016】
そこで、本発明に係るPOI情報表示装置では、POIアイコンで示される店舗が地図画像における道路のどちら側に位置するかを道路サイド情報に基づいて求めた後に、求められた情報を地図画像の上側がいずれの方位であるかを示した地図方位情報に基づいて補正を行う。このように補正を行うことにより、画面上方の方位により異なる道路とPOIアイコンとの表示位置関係を考慮して、POIアイコン記録手段より適切なPOIアイコンを選択することができる。また、この補正により、店舗が道路のどちら側に位置しているかを適切に示したPOIアイコンを、地図画像上に重畳表示させることが可能となる。
【0017】
また、上述したPOI情報表示装置において、前記制御手段は、前記表示手段に表示された前記地図画像の縮尺度を求め、該縮尺度が所定の値よりも小さい場合には、前記印が端部に附されていないPOIアイコンを前記地図画像に重畳表示させ、該縮尺度が所定の値よりも大きい場合には、前記印が端部に附されたPOIアイコンを前記地図画像に重畳表示させるものであってもよい。
【0018】
表示手段に表示された地図画像にPOIアイコンが重畳表示される場合において、地図画像の縮尺が一定の縮尺度よりも大きい場合(例えば、1/25,000より大きい場合)には、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかという情報のニーズが高く、このような情報は特に重要であるといえる。しかしながら、地図画像の縮尺が一定の縮尺度よりも小さい場合(例えば、1/25,000以下の場合)には、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかという情報よりも、該当する店舗がどのあたりに存在するかという情報の方が重要となり、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかという情報があまり重要とならない傾向がある。
【0019】
このため、本発明に係るPOI情報表示装置では、縮尺度が所定の値よりも大きい場合には、印が端部に附されたPOIアイコンを地図画像に重畳表示させることにより、ユーザのニーズに沿ったPOIアイコンの表示を行う。一方で、縮尺度が所定の値よりも小さい場合には、印が端部に附されていないPOIアイコンを地図画像に重畳表示させることにより、アイコンの図柄による店舗(業種)の識別性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るPOI情報表示装置では、制御手段が、道路サイド情報に基づいて、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかを判断し、位置していると判断された側の端部に印が附されたPOIアイコンをPOIアイコン記録手段より選択して、地図画像上にPOIアイコンを重畳表示させる。このため、ユーザは、重畳表示されたPOIアイコンの印位置を確認することにより、容易に店舗が道路のどちら側に位置しているかを知ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るPOI情報表示装置の一例である、カーナビゲーションシステムを示して詳細な説明を行う。
【0023】
図1は、本実施の形態に係るカーナビゲーション装置の概略構成を示したブロック図である。
【0024】
カーナビゲーション装置1は、本体部10と液晶表示部20とGPSアンテナ部30とを有している。GPSアンテナ部30は、車両全面のダッシュボード前側部や後席後方部など、上方に車両天井部が位置せずガラス面などを介して屋外からGPS情報を受信可能な位置に配置される。GPSアンテナ部30により受信されたGPS情報は、本体部10の後述する位置検出部11に出力される。
【0025】
液晶表示部20は、本体部10より出力される映像・画像を表示するためのディスプレイ部(表示手段)21と、同様に本体部10により出力される音声を出力するためのスピーカ部22とを備えている。また、液晶表示部20のディスプレイ部21は、タッチパネル23としての機能を有しており、ディスプレイ部21に表示された画像(例えば、ボタンを模した画像やアイコン画像)をユーザがタッチすることにより、カーナビゲーション装置1における様々な操作を行うことが可能となっている。例えば、タッチパネル機能を利用することにより、ディスプレイ部21に表示される地図画像の拡大または縮尺を行ったり、目的地の入力を行ったりすることが可能となっている。タッチパネル機能により操作された情報は、後述する本体部10の制御部15に伝達される構造となっている。
【0026】
本体部10は、位置検出部11と、車速パルス検出部12と、ジャイロ部13と、地図情報記録部(POIアイコン記録手段、位置情報記録手段、道路サイド情報記録手段)14と、制御部(制御手段)15とを有している。位置検出部11は、GPSアンテナ部30により受信されたGPS情報に基づいて、車両の現在位置の緯度経度情報(緯度座標および経度座標)を算出する機能を有している。算出された緯度経度情報は、制御部15へと伝達される。
【0027】
車速パルス検出部12は、タイヤの回転に伴って車両側で検出されるパルスを取得することにより、車両の走行距離を求める役割を有している。今日の車両では、一般的にパルス発生装置40が取り付けられている。従って、カーナビゲーション装置1では、車両のパルス発生装置40に車速パルス検出部12を接続させることによりパルス信号を検出することが可能である。
【0028】
ジャイロ部13は、車両の走行方向を測定するための方位測定を行う役割を行っている。トンネル内のようにGPS情報をリアルタイムに取得することができない場合には、GPS情報が最後に測定された時点での緯度経度を基準として、車速パルス検出部12により測定される走行距離と、ジャイロ部13により測定される走行方位とに基づいて、車両の走行位置を算出して車両の現在位置を補足することが可能となっている。このように、車両の走行位置の算出推定に基づいて車両の現在位置を補足することにより、GPS情報を受信できない(測位できない)場合においても、精度の高いサービスを提供することが可能となる。
【0029】
地図情報記録部14には、液晶表示部20のディスプレイ部21に表示させるための地図情報、POIアイコン、名称情報(交差点名、観光地名称、施設名称など)など視覚的に認識可能な情報だけでなく、音声案内情報などの聴覚的に認識可能な情報(音声情報)なども記録されている。
【0030】
ここで、地図情報記録部14に記録される地図情報には、一般的にノードと呼ばれる交差点などの道路上の基準地点と、リンクと呼ばれるノード間の連結情報とが含まれており、このノードとリンクとの関係に従ってって、案内経路の算出が行われる。つまり、地図画像上の道路情報は、連続したノードのつながり(リンク)により形作られている。従って、カーナビゲーション装置1において目的地が設定された場合には、現在位置から目的地の各ノードの連結状態(リンク)により目的地までの経路が求められ、道路で右折あるいは左折などを行うことにより経路方向が変化する変化点も、このノードを基準として行われる。
【0031】
POIアイコンも、地図情報記録部14に記録されている。POIアイコンは、対象となる店舗の業種、あるいは店舗の名称などに応じて、それぞれが異なるデザインで示されており、アイコンを一見することにより業種や店舗名が直感的にわかるようになっている。POIアイコンには、そのアイコンが示す店舗の位置情報(例えば緯度経度情報)が記録されており、この位置情報に基づいての地図画像のどの位置に重畳表示されるかが予め決められている。
【0032】
また、本実施の形態に係るPOIアイコンには、道路のどちら側に店舗が位置しているかが視覚的に判別できるように、それぞれの種類のPOIアイコンにおいて、8パターンのアイコンデザインが用意されている。
図2(a)(b)は、ガソリンスタンドを示すPOIアイコンを地図画像上に重畳表示させた一例を示している。
【0033】
図2(a)は従来のPOIアイコンを用いて地図画像上にPOIアイコンI3を重畳表示させた図である。
図2(a)では、POIアイコンI3が道路上に重畳表示されているため、道路のどちら側に店舗が立地しているのかを判断することが困難である。一方で、
図2(b)は、本実施の形態に係るPOIアイコンI4を用いて、地図画像上にPOIアイコンを重畳表示させた図であり、POIアイコンI4は道路上に重畳表示されているが、道路のどちら側に立地しているのかを示すシャドー部Sがアイコンの上下左右の端部に示されている。
【0034】
図3(a)は、地図情報記録部14に記録されるPOIアイコンを、シャドー部Sの附される位置を考慮して示した図である。POIアイコンは、シャドー部Sが上側、上側+右側、右側、下側+右側、下側、下側+左側、左側、上側+左側の8パターン用意されている。この8パターンのうち、どのPOIアイコン図柄を用いて地図画像上にアイコンを重畳表示させるかは、制御部15により決定される。
【0035】
地図情報記録部14には、上述したように、POIアイコンを地図画像上に重畳表示させるための位置情報がPOIアイコン毎に記録されている。また、地図情報記録部14には、各POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかを示す情報が店舗毎に記録されている。より具体的には、POIアイコンの重畳表示位置から最も近いノードを基準として、このノードのどちら側の方位に店舗が立地されているかを道路サイド情報として記録することにより、道路のどちら側に位置しているかを判断することが可能となっている。
【0036】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有している。ROMには、カーナビゲーションシステムにおいて実行される様々なプログラムや情報が記録されており、CPUは、ROMに記録されるプログラムに基づいて後述する様々な処理を行う。RAMは、一時的な作業領域、つまりメモリ(方位記録手段)15aとして使用される。メモリ15aは、CPUが行う処理作業において、データを一時的に記録する場合などに用いられる。
【0037】
具体的に、制御部15(制御部15のCPU)は、位置検出部11により検出された緯度経度情報に基づいて、車両の現在位置を求め、該当する現在位置の地図情報などを地図情報記録部14から読み出して、ディスプレイ部21に該当する地点の地図画像、POIアイコン、交差点名などを表示させる処理を行う。また、制御部15は、ジャイロ部13により測定される情報や車速パルス検出部12により求められる走行距離に基づいて、車両の走行位置の補足処理を行う。
【0038】
また、制御部15は、地図情報記録部14に記録されるPOIアイコンのうち、
図3(a)に示された8パターンのPOIアイコンのいずれかを重畳表示に用いることが適しているかを判断する処理を行う。
【0039】
例えば、液晶表示部20のディスプレイ部21に表示される地図画像およびPOIアイコンが、
図4(a)のように示されている場合を考える。
図4(a)の場合には、ディスプレイ部21の画面上側を北とする設定がなされている(画面左上の方位アイコン50において上側がN(北)を示す記号が示されている)。また、
図4(a)に示されるPOIアイコンについて、地図情報記録部14には、POIアイコンに最も近いノードP1位置を基準としてノードP1を端部に含むリンクL1の道路の東側に店舗が存在するという道路サイド情報が記録されている。このため、制御部15は、(1)ディスプレイ部21の上側が北になるように設定されており、(2)ノード位置を基準としてPOIアイコンの位置は東側として地図情報記録部14に記録されていることから、
図4(a)に示されるようにシャドー部Sが右側に示されるPOIアイコンI1を地図情報記録部14から選択する。そして、制御部15は、選択されたPOIアイコンI1を、地図画像上に重畳表示させる。
【0040】
一方で、
図4(b)では、車両進行方向がディスプレイ部21の画面上側を示すような設定となっており、
図4(b)では、画面上側が南となっている(画面左上の方位アイコン51において下側がN(北)を示す記号が示されている)。この場合においても、制御部15は、POIアイコンの表示位置に最も近いノードP1位置を見つけ、このノードP1位置を基準として道路の東側に店舗が存在するという道路サイド情報を地図情報記録部14から取得する。一方で、制御部15は、
図4(a)の場合と違って、画面上側が南となっていることから、最も近いノードP1位置を基準として店舗が道路の東側に存在する場合であっても、画面上側は南となるので、地図画像上に重畳表示させるべきPOIアイコンを画面上側の方位に応じて変更し、
図4(b)に示すようにPOIアイコンの左側にシャドー部Sが示されたPOIアイコンI2を地図情報記録部14から選択する。そして、制御部15は、選択されたPOIアイコンI2を、地図画像上に重畳表示させる。
【0041】
また、地図情報記録部14には、
図3(a)に示した8パターンのPOIアイコンとは別に、従来から用いられているPOIアイコン、つまり、
図3(b)に示すように、シャドー部が附されていないPOIアイコンも記録されている。上述した
図3(a)に示されたPOIアイコンは、地図画像にPOIアイコンが重畳表示される場合において、
図2(b)に示すように、道路上にPOIアイコンが重畳表示され、POIアイコンの表示によって、道路のどちら側に店舗が位置しているかを知りたい場合には、とても重要な情報を提供することが可能となる。
【0042】
しかしながら、地図が一定スケールよりも小さくなるように縮小表示される場合には、表示される道路が大きな幹線道路だけになる。このような縮尺表示においては、POIアイコンで示される店舗情報も、店舗が道路のどちら側に位置しているかというような詳細な情報よりも、どのあたりに店舗が存在するかという情報の方が重要となり、シャドー部を附したPOIアイコンの重要性も低くなってしまう。
【0043】
このため、本実施の形態に係る制御部15では、液晶表示部20のディスプレイ部21に示される地図画像のスケール(縮尺値)に応じて、
図3(a)に示したシャドー部の附されたPOIアイコンを使用するか、
図3(b)に示したシャドー部のないPOIアイコンを使用するかを判断して、使い分ける方法を採用する。具体的に、制御部15では、
図5に示すように、1/25,000のスケール(地図上の1cmあたりの長さが250mに該当)よりも大きいスケール場合には、
図3(a)に示したシャドー部の附されたPOIアイコンを使用し、1/25,000のスケールよりも小さいスケールの場合には、
図3(b)に示したPOIアイコンを使用する。
【0044】
なお、ディスプレイ部21にはスケール変更用の矢印アイコンが表示されており、ユーザが矢印アイコンをタッチすると、タッチパネル23がタッチされたアイコン位置に基づき、拡大または縮小の操作内容の読み取りを行う。読み取りが行われた操作内容は、制御部15に伝達され、制御部15では、取得した操作内容に応じてディスプレイ部21に表示される地図情報の縮尺を変更する。制御部15では、ディスプレイ部21に示されている地図の縮尺値をメモリ(RAM)15a等に記録しており、この縮尺値を参考にすることにより、制御部15で、上述したPOIアイコンの選択を行うことが可能となっている。
【0045】
図6は、制御部15においてPOIアイコンの表示を行う場合の処理を示したフローチャートである。なお、
図6に示すフローチャートには、既に車両の現在位置に対応する地図画像がディスプレイ部21に表示された後であって、表示された地図画像に対して重畳表示させるPOIアイコンを選択する処理および選択されたPOIアイコンを重畳表示させる処理が示されている。このため、
図6に示されるフローチャートには、車両の現在位置の測定処理(ジャイロ部13や車速パルス検出部12に基づく現在位置の補足処理を含む)、地図画像の抽出処理、表示処理などは示されていない。
【0046】
まず、制御部15は、メモリ15aに記録された縮尺値を読み出し(ステップS.1)、縮尺値が、1/25,000よりも小さいか否かの判断を行う(ステップS.2)。縮尺値が1/25,000よりも小さい場合(つまり、地図上の1cmあたりの長さが250mよりも大きい場合、ステップS.2においてYesの場合)、制御部15は、地図情報記録部14に記録されたシャドー部Sの附されていないPOIアイコン(
図3(b)に示すアイコン)を読み出し、一時的にメモリ(RAM)15aに記録させる(ステップS.3)。
【0047】
一方で、縮尺値が1/25,000以上である場合(つまり、地図上の1cmあたりの長さが250m以下の場合、ステップS.2においてNoの場合)、制御部15は、ディスプレイ部21の画面上側が、どの方位であるかを示す情報を取得する(ステップS.4)。
【0048】
具体的には、ユーザの設定により画面上側を北に固定する方法と、画面上側を進行方向に設定する2つの表示モードが多くのカーナビゲーションシステムにおいて採用されている。従って、画面上側を北に固定する表示モードの場合には、画面上側の方位として「北」が制御部15により取得される。一方で、画面上側が進行方向に設定される表示モードにおいては、ジャイロ部13により取得される方位情報に基づいて進行方向を求め、求められた進行方向が画面上側の方位として制御部15で取得される。
【0049】
次に、制御部15は、POIアイコンの重畳表示位置から最も近いノードを基準として、このノードのどちら側の方位に店舗が位置しているかを示す道路サイド情報を、地図情報記録部14より取得する(ステップS.5)。そして、制御部15は、ステップS.5において取得された店舗の道路サイド情報により店舗が道路のどちら側に位置しているかを判断する。さらに、制御部15は、判断された立地方向を、ステップS.4において取得された画面上側の方位に関する情報を考慮に入れた上で、
図3(a)に示すPOIアイコン(シャドー部Sの附されたPOIアイコン)のうち、どのアイコンを重畳表示させることが好ましいかを選択し、決定する(ステップS.6)。そして、制御部15は、選択・決定されたPOIアイコンを、地図情報記録部14より読み出してメモリ(RAM)15aに一時的に記録する(ステップS.7)。
【0050】
POIアイコンをメモリ(RAM)15aに記録させた後(ステップS.7の処理の後、およびステップS.3の処理の後)、制御部15は、メモリ(RAM)15aに記録されたPOIアイコンの重畳表示位置を、POIアイコンに該当する店舗の位置情報に基づいて求め(ステップS.8)、メモリ15aに記録されたPOIアイコンを、地図画像上に重畳表示させて(ステップS.9)処理を終了する。
【0051】
このように、本実施の形態に係るカーナビゲーション装置1では、制御部15において、画面情報の方位と、各POIアイコンにおける道路サイド情報とに基づいて、
図3(a)に示したいずれのPOIアイコンを地図画像に重畳表示させるかを求め、求められたPOIアイコンを抽出して地図画像に重畳表示させる。このため、地図画像に重畳表示されたPOIアイコンは、道路のどちら側に位置しているかを、POIアイコンに附されたシャドー部Sの位置に基づいて、容易に理解することができる。従って、カーナビゲーションにおけるPOIアイコンの表示に基づいて、該当する店舗を訪れるユーザは、予め道路のどちら側に店舗が位置しているかを判断することができ、道路方向を間違える(あるいは悩む)ことなく、円滑に目的とする店舗に到着することができる。
【0052】
また、制御部15では、ディスプレイ部21に表示される地図画像の縮尺に応じてシャドー部Sが附されたPOIアイコンを用いるか、シャドー部Sが附されていないPOIアイコンを用いるかを判断する。このため、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかという情報が重要となる縮尺では、積極的にシャドー部Sが附されたPOIアイコンを重畳表示させ、POIアイコンに該当する店舗が道路のどちら側に位置しているかという情報があまり重要とならない、比較的小さな縮尺の地図画像に対しては、シャドー部Sが附されていないPOIアイコンを用いることにより、POIアイコンの図柄による店舗の識別性を高めることが可能となる。
【0053】
以上、本発明に係るPOI情報表示装置について、カーナビゲーション装置1を一例として示して詳細に説明を行ったが、本発明に係るPOI情報表示装置は、上述した実施の形態の例には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば、本実施の形態に係るカーナビゲーション装置1では、地図画像として平面的な画像(2D画像)が、ディスプレイ部21に表示される場合について説明を行ったが、ディスプレイ部21に示される地図画像は、平面的な画像だけには限定されず、例えば鳥瞰画像(俯瞰画像、3D画像)により地図画像を示す場合においても応用することができる。鳥瞰画像を用いた地図画像に重畳表示されるPOIアイコンは、例えば、本実施の形態に示したような平面的なアイコン(
図3(a)、
図3(b)参照)であってもよく、また、鳥瞰画像に対応するように立体的に示されたアイコンであってもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態に示したPOIアイコンでは、道路のどちら側に店舗が位置しているかを、POIアイコンに附されたシャドー部Sの位置で示す場合について説明したが、店舗の立地位置が道路のどちら側であるかが、視覚により容易に判断できる図柄であるならば、どのような図柄を用いてもよい。例えば、シャドー部Sの代わりに、ドットや星印をPOIアイコンの端部に表示させるものであってもよく、さらに、これらを点滅表示させるものであってもよい。
【0056】
さらに、
図3(a)に示したPOIアイコンでは、シャドー部Sの位置に応じて8パターンのPOIアイコンが示されているが、POIアイコンは8パターンには限定されず、上下左右の4箇所にだけシャドー部Sを附した4パターンのPOIアイコンを用いるものであってもよく、さらに、8パターン以上、5〜7パターン、2〜3パターンのPOIアイコンを用いるものであってもよい。
【0057】
また、本発明に係るPOI情報表示装置は、必ずしもカーナビゲーションに用いられる地図情報の表示処理にだけ用いられるものではなく、例えば、ブラウザ上に表示される地図画像にPOIアイコンを表示させる場合のように、地図画像にPOIアイコンを重畳表示させる表示形態が用いられる状況であれば、どのような場合であっても、本発明の技術的構成を適用することができ、本発明の効果を奏することが可能となる。