(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本実施形態に係る電力変換装置100の構成例を示す。
図1において、前述の
図10に示す電力変換装置100Aの構成要素と共通する要素には同一符号を付す。
【0022】
<概要>
図1に示す電力変換装置100の詳細な構成と動作について説明する前に、本発明の特徴部分である、バッテリ外れ時におけるピーク電圧の制御動作の概要について簡単に説明しておく。
本発明における電力変換装置100では、後述するように、出力電圧Voを、実効値電圧VR’(後述する出力電圧Voの検出値)とピーク電圧VPとの両方の電圧値を加味して制御する。すなわち、負荷に印加する出力電圧Voの実効値電圧VR’の制御に加えて、出力電圧Voのピーク電圧VPも制御できるようにする。そして、バッテリ外れ時にはピーク電圧VPが増大するので、このピーク電圧VPを抑制するように制御することにより、負荷に高電圧が印加されないようにする。
【0023】
具体的には、ピーク電圧の制御動作の説明図(後述する
図7)に示すように、発電機10から出力される交流電圧VAに対して、三角波電圧VBを、交流電圧VAと同位相でピーク値(ピーク電圧VBP)一定で生成する。また、出力電圧Vo(バッテリ外れが発生した場合の出力電圧Vo)において、直前のサイクルで出力されているピーク電圧VPを、現在のサイクルにおいてホールドする。すなわち、現在のサイクルのピーク電圧をホールドし、次のサイクルでピーク電圧VPを抑制する制御に用いる。
例えば、交流電圧VAの周期T1において生じているピーク電圧VP1をホールドし、次の周期T2の期間、ピーク電圧VPHとしてホールドしている。同じく、交流電圧VAの周期T2において生じているピーク電圧VP2をホールドし、次の周期T3の期間、ピーク電圧VPHとしてホールドしている。
【0024】
そして、ホールドされている直前の周期のピーク電圧VPHを、制御したいピーク目標電圧VPTと比較してピーク差分電圧VPD(=VBH−VPT)を生成する。また、ピーク差分電圧VPDを増幅したピーク差分電圧VPD’を生成する。
そして、ピーク差分電圧VPD’と三角波電圧VBとを交差させクロス点のタイミングを求める。このタイミングでサイリスタ101のゲートにパルス信号VSCRを送る。なお、パルス信号VSCRは、三角波電圧VBのレベルがピーク差分電圧VPD’よりも高い区間においてハイレベルとなり、それ以外の区間ではローレベルとなる。
上記手順により、ピーク電圧VPを目標とするピーク目標電圧VPTに近づけるように制御することができる。また、制御の精度は、ピーク差分電圧VPDを増幅してピーク差分電圧VPD’を生成する際の増幅度の調整により高めることができる。
【0025】
<電力変換装置の全体構成についての説明>
まず、
図1を参照して、本実施形態における電力変換装置100の全体構成の例について説明する。
図1に示すように、本電力変換装置100は、発電機のコイル11から出力された交流電圧VAを整流及び位相制御して直流の出力電圧Voに変換し、負荷(バッテリ200及び負荷RL)に電力に供給するものである。電力変換装置100は、サイリスタ101、ゲート制御部120、抵抗R1,R2から構成される。ここで、サイリスタ101は発電機10の出力部とバッテリ200との間に接続されている。具体的には、サイリスタ101のアノードは発電機10のコイル11の一端に接続され、そのカソードにはバッテリ200の正側および負荷RLの一端に接続されている。バッテリ200の負側及び負荷RLの他端はグランドGに接続されている。
【0026】
また、サイリスタ101を介してバッテリ200及び負荷RLに供給される出力電圧Voを検出するため、サイリスタ101のカソードとグランドGとの間には、抵抗R1および抵抗R2が直列に接続される。これら抵抗R1と披抗R2とが直列接続された接続間における接続点Pには、これら抵抗R1と披抗R2とによって出力電圧Voを分圧して得られる電圧VRが現れる。上記接続点Pにはゲート制御部120の入力部が接続され、このゲート制御部120の出力部はサイリスタ101のゲート電極に接続される。
上記構成において、この電力変換装置100は、バッテリ200が外れた場合に、ゲート制御部120の制御動作により、出力電圧Voのピーク電圧VPが、所定のピーク目標電圧VPTに近づくように制御される。
【0027】
<ゲート制御部120の構成の説明>
次に、
図2を用いてゲート制御部120の全体構成について説明する。
図2は、
図1におけるゲート制御部120の構成例を示す図である。
この図において、ゲート制御部120は、
図2に示すように、電圧変換回路121、基準電圧発生回路122、差動回路123、増幅回路124、三角波発生回路125、比較回路126、ピーク値ホールド回路131、ピーク値基準電圧発生回路132、ピーク値差動回路133、及び増幅回路134を含んで構成される。
【0028】
ここで、電圧変換回路121は、上記接続点Pに現れる電圧VRを、その実効値を表す実効値電圧VR’に変換するものであり、その入力部には上記接続点Pが接続されると共に、その出力部は差動回路123の一方の入力部に接続される。この実効値電圧VR’は、上記バッテリ200及び負荷RLに供給される出力電圧Voに対応しており、出力電圧Voの検出値(実効値)として取り扱われる。
【0029】
基準電圧発生回路122は、バッテリ200の充電(及び負荷RLへ給電)するための目標電圧VTを発生させるものであり、その出力部は差動回路123の他方の入力部に検続される。差動回路123は、実効値電圧VR’(実効値)と目標電圧VTとの差分電圧VD(=VR’−VT)を生成するものであり、その出力部は増幅回路124の入力部に接続される。
【0030】
増幅回路124は、上記差分電圧VDに倍率係数(増幅度)M(>0)を乗じて、差分電圧VDがM倍に増幅された差分電圧VD’を出力するものであり、その出力部は比較回路126の第2の入力部bに接続される。
三角波発生回路125は、上記発電機のコイル11から出力された交流電圧VAの各周期に対応した三角波電圧VBを生成し、生成した三角波電圧VBを比較回路126へ出力する。また、三角波発生回路126は、三角波電圧VBを出力する出力部が、比較回路126の第1の入力部aに接続されている。本実施形態では、三角波電圧VBは、
図3の三角波電圧VBに示すように、交流電圧VAの正相のサイクル期間に対応し、交流電圧VAが負電圧から正電圧に転じる時点を起点として0Vから一定の傾きで増加し、交流電圧VAが正電圧から負電圧に転じる時点でピーク電圧VBPとなり、ピーク電圧VBPとなった直後に0Vとなる波形を有する。各サイクル期間での三角波電圧VBのピーク電圧VBPは一定である。この三角波電圧VBの発生メカニズムについては後述する。
【0031】
ピーク値ホールド回路131は、交流電圧VAの各周期において、出力電圧Voのピーク電圧VPを保持する。例えば、
図7に示すように、交流電圧VAの周期T1において生じているピーク電圧VP1をホールドし、次の周期T2の期間、ピーク電圧VPHとしてホールドする。同じく、交流電圧VAの周期T2において生じているピーク電圧VP2をホールドし、次の周期T3の期間、ピーク電圧VPHとしてホールドする。
【0032】
ピーク値基準電圧発生回路132は、ピーク電圧VPの電圧値を制御するためのピーク目標電圧VPTを発生させ、発生させたピーク目標電圧VPTを、ピーク値差動回路133へ出力する。また、ピーク値基準電圧発生回路132は、発生させたピーク目標電圧VPTを出力する出力部がピーク値差動回路133の一方の入力部に接続されている。ピーク値差動回路133は、ピーク電圧VPHとピーク目標電圧VPTとの差分電圧VPD(=VPH−VPT)を生成し、生成した差分電圧VPDを増幅回路134へ出力する。また、ピーク値差動回路133は、生成した差分電圧VPDを出力する出力部が増幅回路134の入力部に接続されている。
【0033】
増幅回路134は、上記ピーク差分電圧VPDに対し、予め設定された倍率係数(増幅度)N(>0)を乗じて、ピーク差分電圧VPDがN倍に増幅されたピーク差分電圧VPD’を出力する。すなわち、増幅回路134は、後述する比較回路126において、差分電圧VD‘と比較できる電圧値とするため、予め設定された増幅度により、ピーク差分電圧VPDを増幅してピーク差分電圧VPD’を生成し比較回路126へ出力する。増幅回路134は、生成したピーク差分電圧VPD’を出力する出力部が比較回路126の第3の入力部cに接続されている。なお、増幅回路134を導入することの技術的意味については後述する。
【0034】
比較回路126は、増幅回路124から入力した差分電圧VD’の信号と、増幅回路134から入力したピーク差分電圧VPD’の信号とを比較し、この電圧VD’と電圧VPD’のうちの大きい方の電圧を選択し、この選択した電圧(電圧VD’または電圧VPD’)と三角波電圧VBの比較を行う。そして、比較回路126は、三角波電圧VBのレベル(電圧値)が選択した電圧(電圧VD’または電圧VPD’)よりも高い区間において、パルス信号VSCRをハイレベルとし、三角波電圧VBのレベルが選択した電圧(電圧VD’または電圧VPD’)未満の区間において、パルス信号VSCRをローレベルとする。
例えば、差分電圧VD’と三角波電圧VBを比較する際、比較回路126は、差分電圧VD’と三角波電圧VBとの一致点、すなわち差分電圧VD’と三角波電圧VBとが交差するクロス点のタイミングを検出する。このタイミングで、比較回路126は、サイリスタ101の導通タイミングを規定するパルス信号VSCRを生成し、このパルス信号VSCRをサイリスタ101のゲート電極に出力する。同様に、ピーク差分電圧VPD’と三角波電圧VBを比較する場合は、ピーク差分電圧VPD’と三角波電圧VBとの一致点、すなわち差分電圧VPD’と三角波電圧VBとが交差するクロス点のタイミングを検出する。このタイミングで、比較回路126は、サイリスタ101の導通タイミングを規定するパルス信号VSCRを生成し、このパルス信号VSCRをサイリスタ101のゲート電極に出力する。
【0035】
サイリスタ101は、パルス信号VSCRがゲート電極に入力されており、このパルス信号VSCRがハイレベルになった時点でターンオンされる。このターンオンされた後、サイリスタ101は、パルス信号VSCRがローレベルになり、交流電圧VAが負電圧に移行すると、逆バイアス状態となりターンオフされる。すなわち、サイリスタ101は、三角波電圧VBが、差分電圧VD’及びピーク差分電圧VPD’のいずれよりも高い区間においてオン状態とされ、三角波電圧VBが、差分電圧VD’及びピーク差分電圧VPD’未満の区間においてオフ状態とされる。このように、比較回路126は、三角波発生回路125で発生された三角波電圧VBと、増幅回路124から出力された差分電圧VD’と、増幅回路134から出力されたピーク差分電圧VPD’と、に基づきサイリスタ101の導通状態を制御する。
【0036】
<バッテリ外れが発生していない場合の電力変換装置100の動作についての説明>
次に、
図3から
図6を参照して、本電力変換装置100の動作を説明する。なお、ここでは、電力変換装置100の動作についての理解と説明の容易さのために、比較回路126において、差分電圧VD’と三角波電圧VBのみを比較する場合について説明する。すなわち、バッテリ200のバッテリ外れが発生しておらず、出力電圧Voに高いピーク電圧が発生していない状態(通常動作時)における動作について説明する。なお、バッテリ外れが発生した場合の動作については後述する。
【0037】
図3は、電力変換装置100における各部の波形を示す図であり、横方向に時間の経過を示し、縦方向に、交流電圧VA、三角波電圧VB及び差分電圧VD’、パルス信号VSCRのそれぞれを並べて示したものである。
図3(A)は発電機の回転数が低い場合を示し、
図3(B)は発電機の回転数が高い場合を示すが、ここでは、初期状態で発電機の回転が停止した状態にあるものとし、この初期状態から順に説明する。
【0038】
発電機10の回転が停止状態にあれば、発電機のコイル11には電力が誘起されないので、交流電圧VAは0Vであり、本電力変換装置100は無給電状態とされる。このとき、負荷がバッテリでない場合(例えばランプを負荷とした場合)、接続点Pの電圧VRも0Vとなるから、差分電圧VDおよび差分電圧VD’は負の値をとる。従って、初期状態では、三角波電圧VBは差分電圧VD’より高い状態となり、比較回路126はパルス信号VSCRをハイレベルとしてサイリスタ101のゲートに送る。また、負荷がバッテリである場合には、交流電圧VAの正相が供給されないために接続点Pの電圧VRが低くなるので、同様に、三角波電圧VBは差分電圧VD’より高い状態となり、比較回路126はパルス信号VSCRをハイレレベルとしてサイリスタ101のゲートに送る。このパルス信号VSCRがハイレベルとして入力されると、サイリスタ101はターンオンされることになる。
【0039】
この初期状態から発電機10が発電を開始すると、オン状態にあるサイリスタ101を介して、発電機10から出力された交流電圧VAが出力電圧Voとしてバッテリ200及び負荷RLに供給され、バッテリ200の充電が開始される。また、発電機10から交流電圧VAが出力されると、三角波発生回路125は、交流電圧VAの各周期に対応した三角波電圧VBを発生する。その後、出力電圧Voの上昇に伴い、接続点Pの電圧VRも上昇する。この電圧VRの上昇に伴い、電圧変換回路121が出力する電圧VR’も上昇する。差動回路123は、基準電圧発生回路122で発生された目標電圧VTと、電圧変換回路121から出力された電圧VR’とを入力し、これらの差分電圧VDを生成して出力する。増幅回路124は差分電圧VDをM倍(予め設定された増幅度)に増幅して、比較回路126に電圧VD’(=M×VD)を供給する。
【0040】
ここで、差動回路123は、電圧VR’が目標電圧VTを超えると、出力する差分電圧VDを正の値として出力する。そして、差分電圧VDが正の値となることで、増幅回路124は、この差分電圧VDを出力した結果である出力電圧VD’を正の値として出力する。この増幅回路124により差分電圧VDをM倍に増幅することの意味については後述する。増幅回路124の出力電圧VD’が正の値に転じる結果、
図3(A)に示すように、差分電圧VD’の波形が三角波電圧VBの波形と交差するようになり、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い区間と、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも低い区間とが発生する。
【0041】
比較回路126は、ピーク差分電圧VPD‘より差分電圧VD’が大きいため、差分電圧VD’と三角波電圧VBとを比較し、この比較の結果に基づきサイリスタ101の導通タイミングを規定するパルス信号VSCRを生成する。そして、比較回路126は、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い区間でパルス信号VSCRをハイレベルとし、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも低い区間でパルス信号VSCRをローレベルとして、このパルス信号VSCRをサイリスタ101のゲート電極に供給する。すなわち、サイリスタ101は、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い区間においてオン状態とされ、それ以外の区間ではオフ状態とされる。このように、ゲート制御部120は、三角波発生回路125で発生された三角波電圧VBと、増幅回路124から出力された差分電圧VD’とに基づきサイリスタ101の導通状態を制御する。
【0042】
ここで、サイリスタ101のオン状態の区間、すなわち三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い期間は差分電圧VD’のレベルに依存し、この差分電圧VD’のレベルは、目標電圧VTに対する出力電圧Vo(実効値)のレベルに依存する。従って、出力電圧Vo(実効値)が高ければ、電圧VD’のレベルも高くなり、三角波電圧VBが差分電圧VD’より高くなる期間が減少し、サイリスタ101がオン状態となる期間が減少する。この結果、出力電圧Vo(実効値)が目標電圧VTに向けて低下する。
【0043】
逆に、出力電圧Voが低ければ、差分電圧VD’のレベルも低くなり、この結果、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い期間が増加し、サイリスタ101がオン状態となる期間が増加する。この結果、出力電圧Vo(実効値)が目標電圧VTに向けて上昇する。このように、発電機の交流電圧VAの各周期において、出力電圧Vo(実効値)が目標電圧VTに安定するようにサイリスタ101の導通期間が制御される。
【0044】
以上により発電磯10の回転数が低い場合を説明したが、発電機10の回転数が高い場合には、
図3(B)に示すように、発電機10が出力する交流電圧VAの振幅が大きくなると共に、その周波数も高くなるので、三角波VBの上昇レートが大きくなるが、その他の点では、上述の
図3(A)に示す発電機10の回転数が低い場合と同様であり、出力電圧Voの実効値が目標電圧VTに安定するようにサイリスタ101のゲート制御が実施される。
【0045】
次に、
図4及び
図5を参照して、三角波発生回路125における三角波電圧VBの発生メカニズムを説明する。
一般には発電機10が出力する交流電圧の周波数は急激に変化しないので、1サイクル前の波形と現在のサイクルの波形はほとんど同じと考えることができる。例えば、
図4において、波形2が現在のサイクルの波形だとすれば、波形2の半周期T2と、その1サイクル前の波形1の半周期T1とはほとんど同じである。
【0046】
上述の特性を利用して、次の手順により三角波電圧VBを生成する。
(手順1)
図4に示すように、波形1のサイクルにおいて、発電機が出力する交流電圧VAから方形波Sを生成する。この波形1に対応する方形波Sの半周期は、波形1のサイクルにおける交流電圧VAの半周期T1と一致する。
(手順2)続いて、方形波Sの半周期T1の時間をカウントする。
(手順3)続いて、半周期T1の時間のカウント数を所定の分解能nで除算して、時間t1(=T1/n)を得る。ここで、分解能nは、三角波電圧VBのスロープの滑らかさを規定する量であり、分解能nが高い程、三角波電圧VBのスロープが滑らかになる。
(手順4)続いて、三角波電圧VBのピーク電圧VBPを所定の分解能nで除算して、電圧v1(=VBP/n)を得る。
(手順5)続いて、
図5(B)に示すように、次のサイクルの波形2の立ち上がりタイミング(T2をカウントし始めるタイミング)で、上記電圧v1だけ三角波電圧VBを上昇させ、この三角波電圧VBを上記時間t1の間だけ維持する。
【0047】
(手順6)同じ波形2のサイクルにおいて、上記時間t1が経過したタイミングで上記電圧v1だけ三角波電圧VBを更に上昇させ、これを全都でn回繰り返すと、
図5(B)に示すような階段状の波形が得られ、波形2のサイクルに対応する三角波電圧のスロープ部分に相当する階段状の波形が得られる。分解能nの値を大きくすれば、階段状の波形が滑らかになり、一層良好な三角波を得ることができる。
以上の手順により、1サイクル前の交流電圧VAの波形を用いて、交流電圧VAの各周期に対応した三角波電圧であって、ピーク電圧VBPが一定の電圧波形を生成する。
【0048】
上述の三角波電圧の発生メカニズムを利用した三角波発生回路125は、本電力変換装置においてサイリスタ101の導通タイミングを制御するための三角波電圧VBを生成するものであって、例えば、カウンタ部と、除算部と、波形生成部とから構成することができる。ここで、カウンタ部は、発電機が出力する第1サイクルの交流電圧波形の半周期の時間(
図4の例えば波形1のサイクルにおける時間T1)をカウントするものである。除算部は、上記カウンタ部によるカウント数を所定の分解能n(所定値)で除算するものである。波形生成部は、第1サイクル後の第2サイクル(
図4の例えば波形2のサイクル)において上記第1サイクルでの除算部の除算結果で示される時間t1の経過ごとに所定電圧v1だけ上昇する階段状の電圧波形を生成するものである。この階段状の電圧波形は上記三角波電圧VBの波形として出力される。
【0049】
<増幅回路124を導入することの技術的意味>
次に、
図6を参照して、増幅回路124を導入することの技術的意味を説明する。
図6(A)は、増幅回路124の増幅度である倍率係数Mを「1」とした場合の三角波電圧VBと差分電圧VD’(=VD)との相対的な開係を示している。
図6(A)において、区間W1は、三角波電圧VBが差分電圧VD’を上回る期間、すなわちサイリスタ101がオン状態に制御される期間を示す。また、
図6(B)は、倍率係数Mを「2」に設定した場合の三角波電圧VBと差分電圧VD’(=2×VD)との相対的な関係を示している。
図6(B)に示すように倍率係数Mを「2」に設定して差分電圧VDを2倍に増幅すると、
図6(A)に示す区間W1と比較して、サイリスタ101のオン状態に対応する区間W2の変動量(VD’の変動量)が2倍になり、これにより、出力電圧Voの変動量に対してパルス信号VSCRの応答量(感度)が2倍になる。
【0050】
このことは、
図6(C)に示すように、倍率係数Mが「1」のときの差分電圧VD’(=VD)に対して三角波電圧のピーク電圧が相対的に半分(VB/2)になることと等価であり、出力電圧Voの制御幅VW(後述)が半分になることを意味している。従って、増幅回路124を導入して、差分電圧VDをM倍に増幅することにより、出力電圧Voの制御幅が相対的にM分の1に小さくなるため、出力電圧Voを精度よく目標電圧VTに制御できるようになる。
【0051】
ここで、三角波電圧VBの高さH(=ピーク電圧VP)と、倍率係数Mと、目標電圧VTと、出力電圧Voの制御幅VWとの間には、出力電圧Voの制御幅VWが、VTからVT+(H/M)の範囲の値となる関係が存在する。従って、本電力変換装置を実施する場合、所望の制御幅VWと目標電圧VTとに応じて、上記開係を満足するように三角波電圧VBの高さHと倍率係数Mとを適切に設定すればよい。
【0052】
<バッテリ外れが発生した場合の電力変換装置の動作についての説明>
次に、電力変換装置100とバッテリ200との接続が開放された場合、すなわちバッテリ外れが発生した場合において行われるピーク電圧の制御動作について説明する。
図7は、ピーク電圧の制御動作について説明するための図である。以下、
図7を参照して、出力電圧Voのピーク電圧(ピーク値)の制御動作について説明する。
【0053】
まず、発電機10から出力される交流電圧VAに対して、三角波電圧VBを、交流電圧VAと同位相でピーク値(ピーク電圧VBP)一定で生成する。そして、ピーク値ホールド回路131では、出力電圧Vo(ピーク電圧VP1,VP2、・・・を有するパルス状の波形)において、1つ前のサイクルで出力されたピーク電圧VPを検出して保持し、すなわち、この1つ前のサイクルにおけるピーク電圧VPをピーク電圧VPHとして、現在のサイクルにおいて、ピーク値ホールド回路131にホールドしている。例えば、ピーク値ホールド回路131は、交流電圧VAの周期T1において、時刻t1に生じているピーク電圧VP1を検出し、この検出したピーク電圧VP1の信号を、次の周期T2の期間(時刻t2〜t5)の間、ピーク電圧VPHとしてホールドしている。同じく、ピーク値ホールド回路131は、交流電圧VAの周期T2の時刻t3において生じているピーク電圧VP2を、次の周期T3の期間(図示せず)の間、ピーク電圧VPHとしてホールドしている。
【0054】
ピーク値ホールド回路131は、ホールドしているピーク電圧VPHの信号を、ピーク値差動回路133に対して供給する。ピーク値差動回路133は、ピーク値ホールド回路131から供給されたピーク電圧VPHと、ピーク値基準電圧発生回路132から供給されたピーク目標電圧VPTとの差分をとり、ピーク差分電圧VPD(=VPH−VPT)の信号を生成する。ピーク値差動回路133は、ピーク差分電圧VPD(=VPH−VPT)の信号(データ)を増幅回路134に出力する。増幅回路134は、供給されたピーク差分電圧VPDに対し倍率係数(増幅度)N(>0)を乗じて、ピーク差分電圧VPDをN倍に増幅したピーク差分電圧VPD’を比較回路126に出力する。増幅回路134は、このピーク差分電圧VPD’の信号(データ)を、比較回路126の第3の入力部cに対して出力する。
【0055】
比較回路126では、差分電圧VD’とピーク差分電圧VPD’とを比較し、差分電圧VD’とピーク差分電圧VPD’とにおける信号レベルが大きい方の電圧値を、三角波電圧VBと比較する電圧値として選択する。ここで、バッテリ200が外れるバッテリ外れが発生している状態では、出力電圧Voには高いピーク電圧VPが発生する。一方、バッテリ200が外れるバッテリ外れが発生することにより、出力電圧Voの実効値が減少(差分電圧VD’が低下)する。この結果、ピーク差分電圧VPD’の方が差分電圧VD’よりも電圧レベル(電圧値)が高くなる。このため、比較回路126は、差分電圧VD’に比較して電圧値の大きいピーク差分電圧VPD’を選択して、このピーク差分電圧VPD’と三角波電圧VBとの比較を行う。そして、ピーク差分電圧VPD’と三角波電圧VBとが交差するクロス点のタイミングを求め、このタイミングでサイリスタ101のゲートにパルス信号VSCRを送る。このパルス信号VSCRは、三角波電圧VBがのレベルがピーク差分電圧VPD’よりも高い区間(時刻t3〜時刻t4)においてハイレベルとなり、それ以外の区間ではローレベルとなる。
上記手順により、ピーク電圧VPを目標とするピーク目標電圧VPTに近づけるように制御することができる。また、制御の精度は、ピーク差分電圧VPDを増幅してピーク差分電圧VPD’を生成する際の増幅度により高めることができる。
【0056】
<増幅回路134を導入することの技術的意味についての説明>
なお、ここで、
図8を参照して、増幅回路134を導入することの技術的意味を説明する。
図8(A)は、増幅回路134の増幅度である倍率係数Nを「1」とした場合の三角波電圧VBと差分電圧VPD’(=PD)との相対的な開係を示している。
図8(A)において、区間W1は、三角波電圧VBがピーク差分電圧VPD’を上回る期間、すなわちサイリスタ101がオン状態に制御される期間を示す。また、
図8(B)は、倍率係数Nを「2」に設定した場合の三角波電圧VBと差分電圧VPD’(=2×VPD)との相対的な関係を示している。
図8(B)に示すように倍率係数Nを「2」に設定して差分電圧VPDを2倍に増幅すると、
図8(A)に示す区間W1と比較して、サイリスタ101のオン状態に対応する区間W2の変動量(ピーク差分電圧VPD’のレベル)が2倍になり、これにより、ピーク電圧VPの変動量に対してパルス信号VSCRの応答量(感度)が2倍になる。
【0057】
このことは、
図8(C)に示すように、倍率係数Nが「1」のときのピーク差分電圧VPD’(=VD)に対して三角波電圧のピーク電圧が相対的に半分(VB/2)になることと等価であり、制御幅が半分になることを意味している。従って、増幅回路134を導入して、ピーク差分電圧VPDをN倍に増幅することにより、出力電圧Voのピーク電圧制御幅が相対的にN分の1に小さくなるため、出力電圧Voを精度よくピーク目標電圧VPTに近づくように制御できるようになる。なお、この倍率計数Nは、実際の製品の仕様に応じて、また増幅回路124において設定した倍率係数Mを勘案して設定する。
【0058】
また、
図9は、通常時の制御動作とバッテリ外れ時の制御動作について説明するための波形図であり、通常動作時の波形とバッテリ外れ動作時の波形とを比較のために並べて示し、上述した電力変換装置100おける制御動作を整理して説明するための図である。
図9(A)は、バッテリ外れが発生していない場合の波形、
図9(B)は、バッテリ外れが発生している場合の波形をしており、横軸に時間の経過を示し、縦方向に、交流電圧VA、出力電圧Vo、三角波電圧VB、差分電圧VD’、ピーク差分電圧VPD’、パルス信号VSCRのそれぞれを模式的に示したものである。
【0059】
図9(A)に示すバッテリ外れが発生していない状態では、前述したように、出力電圧Voはバッテリ200の影響により高いピーク電圧が発生せず、ピーク差分電圧VPD’よりも差分電圧VD’の方が電圧レベルが高くなる。このため、三角波電圧VBと差分電圧VD’とが比較され、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い区間においてパルス信号がハイレベルとなり、サイリスタ101がオン状態とされ、それ以外の区間ではオフ状態とされる。
【0060】
ここで、サイリスタ101のオン状態の区間、すなわち三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い期間は差分電圧VD’のレベルに依存し、この差分電圧VD’のレベルは、目標電圧VTに対する出力電圧Vo(実効値)のレベルに依存する。従って、出力電圧Voが高ければ、電圧VD’のレベルも高くなり、三角波電圧VBが差分電圧VD’より高くなる期間が減少し、サイリスタ101がオン状態となる期間が減少する。この結果、出力電圧Voが目標電圧VTに向けて低下する。
【0061】
逆に、出力電圧Vo(実効値)が低ければ、差分電圧VD’のレベルも低くなり、この結果、三角波電圧VBが差分電圧VD’よりも高い期間が増加し、サイリスタ101がオン状態となる期間が増加する。この結果、出力電圧Voが目標電圧VTに向けて上昇する。このように、発電機の交流電圧VAの各周期において、出力電圧Voが目標電圧VTに安定するようにサイリスタ101の導通期間が制御される。
【0062】
また、
図9(B)に示すバッテリ外れが発生している状態では、出力電圧Voには高いピーク電圧VPが発生する。一方、バッテリ200が外れることにより、出力電圧Voの実効値が減少(差分電圧VD’が低下)するため、ピーク差分電圧VPD’の方が差分電圧VD’よりも電圧レベルが高くなる。このため、比較回路126では、ピーク差分電圧VPD’を選択して三角波電圧VBと比較する。そして、三角波電圧VBが、ピーク差分電圧VPD’よりも高い区間においてパルス信号VSCRがハイレベルとなり、サイリスタ101がオン状態とされ、それ以外の区間ではオフ状態とされる。
【0063】
ここで、サイリスタ101のオン状態の区間、すなわち三角波電圧VBがピーク差分電圧VPD’よりも高い期間はピーク差分電圧VPD’のレベルに依存し、このピーク差分電圧VPD’のレベルは、ピーク目標電圧VPTに対するピーク電圧VPのレベルに依存する。従って、出力電圧Voのピーク電圧VPが高ければ、ピーク差分電圧VPD’のレベルも高くなり、三角波電圧VBがピーク差分電圧VPD’より高くなる期間が減少し、サイリスタ101がオン状態となる期間が減少する。この結果、出力電圧Voのピーク電圧VPがピーク目標電圧VPTに向けて低下する。
【0064】
逆に、出力電圧Voのピーク電圧VPが低ければ、ピーク差分電圧VPD’のレベルも低くなり、この結果、三角波電圧VBがピーク差分電圧VPD’よりも高い期間が増加し、サイリスタ101がオン状態となる期間が増加する。この結果、出力電圧Voのピーク電圧がピーク目標電圧VPTに向けて上昇する。このように、発電機の交流電圧VAの各周期において、出力電圧Voのピーク電圧VPがピーク目標電圧VPTに近づくようにサイリスタ101の導通期間が制御される。
このように、電力変換装置100では、バッテリ200にバッテリ外れが発生した場合は、ピーク電圧VPを目標とするピーク目標電圧VPTに近づけるように制御することにより、出力電圧Voに生じるピーク電圧VPの大きさを制限することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここで、本発明と上記実施形態の対応関係について補足して説明しておく。
上記実施形態において、本発明における電力変換装置は、電力変換装置100が対応し、本発明における発電機は、発電機10が対応し、本発明におけるスイッチ部及びスイッチ回路は、サイリスタ101が対応する。また、本発明における制御部は、ゲート制御部120が対応する。また、本発明における電圧変換回路は、電圧変換回路121が対応し、本発明における基準電圧発生回路は、基準電圧発生回路122が対応し、本発明における差動増幅回路は、差動回路123と増幅回路124とが対応し、本発明における三角波発生回路は三角波発生回路125が対応する。また、本発明における比較回路は、比較回路126が対応し、本発明におけるピーク値保持回路は、ピーク値ホールド回路131が対応し、本発明におけるピーク値基準電圧発生回路は、ピーク値基準電圧発生回路132が対応し、本発明におけるピーク値差動増幅回路は、ピーク値差動回路133と増幅回路134とが対応する。
【0066】
(1)そして、上記実施形態において、電力変換装置100は、発電機から出力された交流電圧を入力とし、該交流電圧VAを整流及び位相制御してバッテリを含む負荷(バッテリ200及び負荷RL)に出力電圧Voを供給する電力変換装置100であって、発電機10の出力部と負荷との間に接続されるサイリスタ101と、交流電圧VAの各周期ごとに、負荷に印加される出力電圧Voのピーク電圧VPを検出すると共に、出力電圧Voの実効値電圧VR’を検出し、所定の制御則により、ピーク電圧VPまたは実効値電圧VR’のいずれか一方の信号を選択し、この選択した信号に基づきサイリスタ101の導通状態を制御するゲート制御部120と、を備える。
【0067】
このような構成の電力変換装置100では、交流電圧VAの各周期ごとに、出力電圧Voのピーク値VPと実効値電圧VR’の両方を検出し、所定の制御則(例えば、大小関係)に基づき、いずれか一方の信号を選択し、選択した信号によりサイリスタ101の導通状態を制御する。例えば、バッテリ外れが発生した場合は、バッテリ200による出力電圧Voの平滑作用が失われ、負荷RLに印加される出力電圧Voのピーク電圧VPが増大するので、このピーク電圧VPの信号を選択し、このピーク電圧VPの信号を基にサイリスタ101の導通状態を制御する。
これにより、電力変換装置100においてバッテリ外れが発生した場合に、電力変換装置100から出力される出力電圧Voのピーク電圧VP(ピーク値)を制御(制限)することができる。このため、定格電源電圧が制約されている電子機器等の負荷に高電圧が印加されることを抑制することができる。
【0068】
(2)また、上記実施形態において、電力変換装置100は、発電機10の出力部と負荷(バッテリ200及び負荷RL)との間に接続され、交流電圧VAを整流及び位相制御して負荷(バッテリ200及び負荷RL)に直流電圧(出力電圧Vo)を供給するサイリスタ101と、発電機10から出力された交流電圧VAの各周期に対応したピーク電圧一定の三角波電圧VBを発生する三角波発生回路125と、上記負荷に印加される出力電圧Voの実効値電圧VR’の信号を生成する電圧変換回路121と、上記負荷に印加される実効値電圧VR’と所定の目標電圧VTとの差分電圧VDに基づき、サイリスタ101の導通状態を制御するための第1の電圧信号(差分電圧VD’)を生成する差動増幅回路(差動回路123と増幅回路124)と、上記負荷に印加される電圧のピーク電圧VPを検出しこのピーク電圧VPの信号を保持するピーク値ホールド回路131と、ピーク電圧VPH(VPのホールド信号)と所定のピーク目標電圧VPTとの差分電圧VPDに基づき、サイリスタ101の導通状態を制御するための第2の電圧信号(ピーク差分電圧VPD’)を生成するピーク値差動増幅回路(ピーク値差動回路133及び増幅回路134)と、上記第1の電圧信号VD’と第2の電圧信号VPD’とを比較し、信号レベルの大小関係に基づきいずれか一方の電圧信号を選択するとともに、この選択した電圧信号と三角波電圧VBとを比較し、サイリスタ101の導通状態を制御する比較回路126と、を備える。
【0069】
このような構成の電力変換装置100では、
図7に示すように、三角波発生回路125により、三角波電圧VBを交流電圧VAと同位相でピーク値一定で生成する。また、電圧変換回路121により、出力電圧Voの実効値電圧VR’の信号を生成し、差動回路123及び増幅回路124により、実効値電圧VR’と目標電圧VTとの差分電圧VD’の信号を、第1の電圧信号(差分電圧VD’)として生成する。
また、ピーク値ホールド回路131により、出力電圧Voにおいて、1つ前のサイクルで出力しているピーク電圧VPをホールド(保持)する。例えば、交流電圧VAの周期T1において生じているピーク電圧VP1を、次の周期T2の期間、ピーク電圧VPHとしてホールドする。同じく、交流電圧VAの周期T2において生じているピーク電圧VP2を、次の周期T3の期間、ピーク電圧VPHとしてホールドする。また、ピーク値差動回路133及び増幅回路134により、ホールドしたピーク電圧VPHと、ピーク目標電圧VPTとのピーク差分電圧VPD’の信号を、第2の電圧信号(ピーク差分電圧VPD’)として生成する。
【0070】
そして、比較回路126では、第1の電圧信号VD’と第2の電圧信号VPD’とを比較し、信号レベルの大小関係に基づきいずれか一方の電圧信号を選択する。例えば、信号レベルの大きい方の信号を選択する。そして、この選択した電圧信号よりも三角波電圧VBが大きい区間で、パルス信号VSCRをハイレベル(サイリスタ101を導通)とする。それ以外の区間ではローレベルとする。そして、バッテリ外れが発生した場合は、バッテリ200による出力電圧Voの平滑作用が失われ、出力電圧Voのピーク値が増大し、第2の電圧信号VPD’の方が第1の電圧信号VD’よりも大きくなる。このため、比較回路126では第2の電圧信号VPD’を選択し、この第2の電圧信号VPD’と三角波電圧VBとを比較し、この選択した電圧信号VPD’よりも三角波電圧VBが大きい区間で、パルス信号VSCRをハイレベル(サイリスタ101を導通)とする。それ以外の区間ではローレベルとする。このように、バッテリ外れが発生した場合は、第2の電圧信号VPD’を基にサイリスタ101の導通状態を制御することにより、出力電圧Voのピーク値がピーク目標電圧VPTに近づくように制御する。
これにより、電力変換装置100においてバッテリ外れが発生した場合に、電力変換装置100から出力される出力電圧Voのピーク電圧VP(ピーク値)をピーク目標電圧VPTになるように制御(制限)することができる。このため、定格電源電圧が制約されている電子機器等の負荷に高電圧が印加されることを抑制することができる。
【0071】
(3)また、上記実施形態において、比較回路126は第1の電圧信号(差分電圧VD’)と第2の電圧信号(ピーク差分電圧VPD’)の信号レベルを比較し、信号レベルの大きい方の電圧信号を選択し、この選択した電圧信号と三角波電圧VBとを比較して交差するタイミングを求め、このタイミングに基づいてサイリスタ101の導通状態を制御する信号VSCRを生成する。
このような構成の電力変換装置100では、実効値電圧VR’と目標電圧VTとを基に第1の電圧信号(差分電圧VD’)を生成する。また、ピーク電圧VPとピーク目標電圧VPTとを基に第2の電圧信号(ピーク差分電圧VPD’)を生成する。そして、通常動作時においては、バッテリ200の影響によりピーク電圧VPは低く、第1の電圧信号VD’の方が第2の電圧信号VPD’よりも大きくなるため、第1の電圧信号VD’を選択し、この第1の電圧信号VD’と三角波電圧VBとを比較して、出力電圧Voの実効値電圧VR’を制御する。一方、バッテリ外れ時には、バッテリ200の影響がなくなりピーク電圧VPが増大し、第2の電圧信号VPD’の方が第1の電圧信号VD’よりも大きくなるため、第2の電圧信号VPD’を選択し、この第2の電圧信号VPD’と三角波電圧VBとを比較して、出力電圧Voのピーク電圧VPを制御する。
これにより、電力変換装置100においてバッテリ外れが発生した場合に、電力変換装置100から出力される出力電圧Voのピーク電圧VPをピーク目標電圧VPTに近づくように制御(制限)することができる。このため、定格電源電圧が制約されている電子機器等の負荷に高電圧が印加されることを抑制することができる。
【0072】
(4)また、上記実施形態において、交流電圧VAは単相交流電圧であり、交流電圧VAの正相または負相の半波のいずれか一方をサイリスタ101により整流及び位相制御して負荷(バッテリ200及び負荷RL)に直流電圧を印加する。
これにより、車両(例えば、2輪車)に搭載された単相交流の発電機から出力される交流電圧VAをサイリスタ101を用いて直流電圧に変換する電力変換装置100において、バッテリ外れが発生した場合に、電力変換装置100から出力される出力電圧Voのピーク電圧VPをピーク目標電圧VPTに近づくように制御(制限)することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形可能である。
【0074】
例えば、
図1に示す実施形態では、発電機10から出力される交流電力の正相成分についてのみサイリスタ101を介して負荷に電力を供給するものとし、発電機10の出力を半波整流する場合を説明したが、これに限定されることなく、発電機10から出力された交流電力の負相成分について同様に半波整流することにより、全波整流するように構成することもできる。また、
図1に示した実施形態では、単相の交流電力を変換するものとしたが、多相の交流電力に対しても適用することができる。
【0075】
また、例えば、
図1に示す実施形態では、出力電圧Voの実効値VR’を求める例について説明したが、本発明は、出力電圧Voの平均値を算出する場合にも同様に適用できるものである。出力電圧Voの平均値を生成するための構成としては公知技術を利用できる。