(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技盤上に特図始動入賞口と、この特図始動入賞口へ遊技媒体が入賞したことを示す情報を記憶する記憶装置と、V入賞口が設けられ規則性をもって回転動作することで前記V入賞口への入賞のし易さを周期的に変動させる回転体を備え開閉部材を開放することにより前記遊技媒体を導入して前記V入賞口に遊技媒体を入賞させるための遊技が可能となる役物と、前記役物とは異なる位置に配置された大入賞口とを有し、
前記特図始動入賞口に遊技球が入賞した場合には、特別図柄表示装置が所定時間作動を行って特別図柄を変動させ、特別図柄が特定の表示形態で表示を停止し、その停止確定後に前記役物の開閉部材が所定時間開放され、この開閉部材の開放により遊技媒体が前記役物内に導入され、かつV入賞口に入ると、前記大入賞口が、選択された回数開閉して大入賞口への入賞に基づく賞球を可能とする遊技機において、
前記役物内の遊技媒体の流動を制限する停留装置が設けられ、この停留装置が特別図柄の停止確定、若しくは役物の開閉部材の開放を契機として前記遊技媒体の停留を開始して、前記開閉部材の開放により役物内部に導入された遊技媒体を停留させた後、所定時間後に停留を解除し、また、大当たり遊技中に、前記回転体の位置を、前記遊技球が前記V入賞口に入賞し易い動作となる原位置に位置決めして停止させ、前記開閉部材の開閉動作の契機となる、前記特図始動入賞口への遊技球の入賞の記憶情報が0以外であることを条件として、大当たり遊技終了後に実行される所定期間の通常遊技において、当該回転体を前記原位置から規則性をもって回動動作を開始させ、前記停留装置に遊技媒体が停留している場合に、当該遊技媒体が回転体のV入賞口に入るように前記停留装置と前記回転体との作動を制御することにより、大当たり直後の遊技で次の大当たりを誘発し易くしたことを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(パチンコ機の構成)
図1及び
図2に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0014】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、ガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の裏面側には、矩形状の開口部が設けられ、交換可能とされた遊技盤ユニット18がセットされており、遊技盤ユニット18は、ガラス枠16を閉塞した状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0015】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の表示灯20が配置されており、上部には、遊技の効果音をステレオ出力するスピーカ22L、22Rが配設されている。
【0016】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。この一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するための発射ハンドル26が取り付けられている。
【0017】
(遊技盤の構成)
図3に示される遊技盤ユニット18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられて遊技領域19が形成されている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、遊技者が発射ハンドル26を調整することにより発射装置40(
図7参照)から発射されて戻り防止弁21を通過して遊技領域19に打ち込まれたパチンコ球PBが、遊技領域19内を後述する各種役物105,113,115,108,110等や複数の遊技釘117や風車(図示省略)と衝突し方向を変えながら自重落下により移動可能とされている。
【0018】
遊技盤ユニット18のほぼ中央には、役物(入賞装置)の1つであるセンター役物105が配置されている。
【0019】
上記センター役物105では、後に詳述するように、その一部(本実施の形態では、
図3の左上側端)の受入口205から開閉部材である羽根部材202の開放時にパチンコ球PBを受入れ可能となっており、パチンコ球PBが内部(役物内)に受け入れられることで、当該役物内においてパチンコ球PBの流動に準じた演出を実行する。なお、羽根部材202は、
図4に示される如く、遊技盤裏面側に設けられた羽根部材ソレノイド202Aへの通電(励磁)、非通電(非励磁)によるアーム202Bの動作で開閉する構造となっている。
【0020】
遊技盤ユニット18の遊技領域におけるセンター役物105の左右は、パチンコ球PBが当該センター役物105よりも下方に落下する通路となっており、本実施の形態では、センター役物105の
図3の左側通路に前記役物113,115が設けられ、さらにその下方に、遊技釘117が、所謂「袴」状に配列された下端部に特別図柄始動入賞口108が設けられている。
【0021】
前記役物113,115はそれぞれ入賞センサ113A、115A(
図7参照)を備えており、入賞することでそれぞれ予め定められた数の賞球が実行される。なお、本実施の形態の役物113,115は入賞口構造としたが、通過するのみの役物(所謂「スルーチャッカー」)であってもよい。
【0022】
また、前記特別図柄始動入賞口108へのパチンコ球PBの入賞は、遊技盤裏面に設けられた始動入賞センサ108Aにより検出する。
【0023】
本実施の形態では、特別図柄始動入賞口108にパチンコ球PBが入賞することで特別図柄抽選(特別図柄表示部120での約2.0秒程度の図柄変動)が行われる。
【0024】
ここで、図柄変動中に、新たなパチンコ球PBが特別図柄始動入賞口108へ入賞すると、その時点では抽選が実行できない。そこで、本実施の形態では、最大4個まで特別図柄始動入賞口108へのパチンコ球PBの入賞を抽選有効入賞として保留し、現在の図柄変動を待ってから実行するようにしている。この保留数は、後述する主制御部150(
図7参照)内のメモリに記憶されると共に、特別図柄表示部120の近傍(上部)に設けた4個の保留ランプ122A〜122Dの点灯状態によって遊技者に報知される。
【0025】
この特別図柄抽選に当選することにより、センター役物105の羽根部材202を所定時間(本実施の形態では、約0.5秒)開放するようにしている。
【0026】
なお、本実施の形態では、特別図柄抽選は、ほぼ100%当選する。言い換えれば、特別図柄始動入賞108への入賞が、羽根部材202の開放の条件ということができる。
【0027】
また、特別図柄始動入賞口108の開口部に電動チューリップが配設してもよい。この場合、前記役物113又は115への入賞(又は通過)を契機にこの電動チューリップを開放する抽選(前述の抽選を特別図柄抽選に対し、この抽選は普通図柄抽選という)を行い、普通図柄抽選に基づいて、開閉状態(開閉回数、開閉間隔時間、開放連続時間等)を決定し、この決定に応じて制御する。
【0028】
前記特別図柄始動入賞口108のさらに下部には大入賞口110が設けられ、その下部にアウト口115が設けられている。大入賞口110の開口には開閉扉112が設けられ、この開閉扉112は、大入賞口ソレノイド110Aへの励磁、非励磁により開閉する。また、大入賞口110に入賞したパチンコ球PBは大入賞センサ110Bによって検出される。
【0029】
(センター役物105)
図4乃至
図6には、本実施の形態に係るセンター役物105の概略構造が示されている。
【0030】
センター役物105は、全体として、側壁部204によって周囲が覆われており、その内外とが完全に仕切られている。従って、遊技盤ユニット18上の遊技領域19内を自重落下して移動するパチンコ球PBは、前述した羽根部材202の開放によって開口する受入口205以外から、センター役物105の内側の特定領域200に入り込むことはない。
【0031】
センター役物105の奥壁部104Aの前側には、回転体206が配置されている。回転体206は、円板形状であり、遊技盤裏面側に配置された回転体モータ206Mの駆動力で、
図5の時計回り方向に回転するようになっている。回転体206は、その周囲が円形のリブ207によって覆われている。
【0032】
また、回転体206の周縁には、円周方向に均等に12分割されて、12個の収容溝206Aが形成されている。収容溝206Aは略U字型の溝形状であり、パチンコ球PBを受け入れ可能とされ、その内の1個が他の11個よりも深底構造となっている。この深底構造の収容溝206Aが、Vゾーンとされている(以下必要に応じて、深底の収容溝206Aを「Vゾーン206AV」、それ以外の11個の収容溝206Aを「外れゾーン206A」という)。
【0033】
回転体206の裏面側には、外れゾーンルート208と、Vゾーンルート210とが設けられている。
【0034】
外れゾーンルート208には、外れゾーンセンサ208Aが設けられ、Vゾーンルート210には、Vゾーンセンサ210Aが設けられている。
【0035】
外れゾーンルート208の一端は、外れゾーン206Aに収容されているパチンコ球PBが回収可能な外れ開口部が設けられている。この外れ開口部は、回転体206の2時の位置に設けられ、この2時の位置で外れゾーン206Aに収容されているパチンコ球PBが回収される。
【0036】
一方、外れ開口部は、Vゾーン206AVの底部とは相対位置がずれており、Vゾーン206AVの底部に位置するパチンコ球PBはこの外れ開口部に案内されることなく、回転が継続される。
【0037】
一方、Vゾーンルート210の一端は、Vゾーン206AVに収容されているパチンコ球PBを回収可能な当たり開口部が設けられている。この当たり開口部は、回転体206の5時の位置に設けられ、この5時の位置でVゾーン206AVに収容されているパチンコ球PBが回収される。
【0038】
前記回転体206は、前記回転体モータ206Mの駆動力で、通常は3秒/1回転で等速回転されるようになっている。また、回転体206の裏面側には、突起部206Bが形成され、この突起部206Bの通過軌跡の何れかには非接触型の回転位置検出センサ206Sが配置されている。
【0039】
回転位置検出センサ206Sは、投光部と受光部とが互いに所定の空間部をもって対向しており、この空間部が前記突起部206Bの通過軌跡となっている。これにより、回転位置検出センサ206Sでは、回転体206の1周毎に、投光部と受光部との間が突起部206Bによって遮られ、回転体206の位置を認識することができる。
【0040】
ここで、所定の条件が成立した場合に、予め定められた原位置で停止するように制御される。この所定の条件成立時の原位置での停止制御については後述する。
【0041】
なお、このセンター役物105の奥壁部104AにLCDを嵌め込んで、映像による演出効果をもたらすようにしてもよい。
【0042】
円形のリブ207を正面から見て左方向(9時の方向)には、切欠部207Aが形成され、パチンコ球PBが流動する樋部212の一端開口が対向している。
【0043】
この樋部212は、前記一端開口側から左側の側壁部204に向けて左肩上がりの傾斜で延設され(傾斜樋部212A)、当該側壁部204の手前で、上方向に略直角に屈曲された(垂直樋部212B)、略L字型の構造となっている。
【0044】
上方向に延設された樋部212の他端は開口され、前記羽根部材202に対向している。羽根部材202は前記羽根部材ソレノイド202Aへの通電(励磁)、非通電(非励磁)によって開閉動作がなされる。
【0045】
羽根部材202の開放状態では、受入口205からパチンコ球PBがセンター役物105内の樋部212に上端開口から受け入れ可能であり、その際、羽根部材202がガイド板の役目を果たすようになっている。
【0046】
受入口205から樋部212に受け入れられたパチンコ球PBは、樋部212に案内されながら流動して、前記回転体206の9時の方向へと到達する。
【0047】
このとき、パチンコ球PBが前記垂直樋部212Bを通過するとき、受入センサ212Sによって検出されるようになっている。この受入センサ212Sによりパチンコ球の入賞が検知されると、その入賞毎に所定数の賞球がなされる。
【0048】
また、このパチンコ球PBは前記傾斜桶部212Aの終端へ到達するが、この到達直前位置には、停留弁214が配設されている。
【0049】
停留弁214は、傾斜樋部212Aに対して出没するように移動可能となっている。遊技盤裏面側には、停留弁ソレノイド214Aが設けられている。この停留弁ソレノイド214Aへの通電(励磁)、非通電(非励磁)により、停留弁214を傾斜樋部212Aに配置する停留位置と、遊技盤裏面へ引き込ませる待避位置との何れかに位置決めするようになっている。
この到達時にパチンコ球PBは、前記回転体206における9時の位置にある収容溝(外れゾーン206A又はVゾーン206AV)に入ることになる。言い換えれば、1/12の確率で、パチンコ球PBはVゾーン206AVへ入る可能性があるということができる。
【0050】
(制御系の構成)
次に、
図7を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0051】
図7に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0052】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータへ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0053】
さらに、主制御部150には、演出制御部152と、払出制御部154とがそれぞれ接続されており、これらの制御部は、主制御部150からのコマンド送信により制御される。
【0054】
また、主制御部150には、役物113,115への入賞球を検出する入賞センサ113A、115A、特別図柄始動入賞口108への入賞球を検出する始動入賞センサ108A、特別遊技状態の際に開放する大入賞口110への入賞球を検出する大入賞センサ110B、前記回転体206の回転位置を検出する回転位置センサ206S、外れゾーンセンサ208A、Vゾーンセンサ210Aがそれぞれ接続されており、これらの各センサは、入賞球の検出時にその検出信号を主制御部150へ出力する。なお、必要に応じて、大入賞口110内には、大当たり処理のラウンドを継続するきっかけとなる継続ゾーンが設けられている場合があり、このよう場合には、この継続ゾーンを通過したことを検出するセンサ(図示省略)が配設される。
【0055】
さらに、主制御部150には、羽根部材202を開閉させる羽根部材ソレノイド202A、大入賞口の110の開閉扉112を開放/閉塞させる大入賞口ソレノイド110A、回転体206を回転させるための回転体モータ206M、停留弁214を出没させるための停留弁ソレノイド214Aがそれぞれ接続されている。
【0056】
ここで、遊技球PBが特別図柄始動入賞口108に入賞し、これを始動入賞センサ108Aで検出すると、特別図柄抽選が主制御部150にて実行され、この特別図柄抽選は、特図変動表示部120を用いて報知する。
【0057】
特別図柄抽選が当選の場合は、開閉部材202が所定時間(本実施の形態では、約0.5秒)開放されるようになっている。この開閉部材202の開放により、パチンコ球PBがセンター役物105内へ導入される可能性があり、最終的に前記Vゾーン206AVへ入ることで、大当たりとなり、制御部150では、通常遊技状態から特別遊技状態へ遊技状態を移行させる。
【0058】
特別遊技状態とは、前記大入賞口110の開閉扉114が所定時間(一般には30秒)開放し、その後閉止する動作を1ラウンドとした場合に、複数回のラウンド(一般には15〜16ラウンド)繰り返される遊技状態を言い、この結果、多くのパチンコ球PBが大入賞口112へ入賞し、多くの入賞が期待できる。なお、通常は、1ラウンド中の最大入賞数が10個と制限されている。
【0059】
演出制御部152には、ガラス枠16に設けられた表示灯20の点灯、消灯、及び点滅を制御し、さらに、ガラス枠16前面に設けられたスピーカ22L、22Rを作動させて効果音等の出力を制御する。
【0060】
また、演出制御部152には、保留ランプ122A〜122Dが取付けられた保留ランプユニット122が接続され、主制御部150のメモリに記憶された保留数に基づいて、保留ランプユニット122に設けられた各保留ランプ122〜122Dの点灯、消灯を制御する。
【0061】
また、払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置40が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者による発射ハンドル26(
図1参照)の操作により発射装置40を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、発射ハンドル39の操作量に応じた発射力を制御する。
【0062】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータへ送信するようになっている。
【0063】
ここで、本実施の形態では、所定条件として保留メモリが少なくとも1つ存在することを条件として、上記で説明した特別遊技が終了して通常遊技に以降するまでに、以下に示す特典前処理を実行し、特別遊技の終了直後からこの特典前処理に基づく遊技仕様を実行する。なお、この特典前処理に基づく遊技仕様の位置付けとしては、通常遊技や特別遊技とは別の「特典遊技」と認識してもよいし、特別遊技の延長、或いは通常遊技の一部として認識してもよい。なお、以下では、特典前処理に基づく遊技仕様による遊技を「特典遊技」とする。
【0064】
(特典前処理に基づく遊技仕様)
主制御部150のメモリに、特別図柄始動入賞口108へ抽選の権利を持つ入賞があり保留となっている情報がある、あるいは発生した場合に、大当たりによる特別遊技制御中に、回転体206を予め定めた原位置まで回転させる。この原位置は、Vゾーン206AVが所定の時間後に樋部212と対向する9時の位置に到達する位置であり、本実施の形態では、Vゾーン206AVが3時の位置にあるときを原位置としている。
【0065】
すなわち、回転体206が回転を再開すると、Vゾーン206AVが4.5秒後に9時の位置に到達するように制御される(回転体206が1周半する(540°回転する))。
【0066】
4.5秒後にVゾーン206AVを9時の位置とする設定は、以下に基づく。
【0067】
(1) 特別図柄始動入賞口108に入賞した後の特別図柄抽選(変動)時間(2.0秒)
(2) 当選確定までのインタバル(0.6秒)
(3) 開閉部材202の開放(開閉時間は、約0.5秒)時に突出位置へ移動されていた停留弁214が待避位置へ移動されるまでの時間(1.9秒)
これらを加算すると、2.0+0.6+1.9=4.5秒となり、特別遊技終了直後に保留分の抽選が開始され、開閉部材202が開放して、センター役物105の樋部212に流入するパチンコ球PBは、停留弁214で堰き止められ、約4.5秒に回転体206へ到達する。なお、停留弁214と回転体までの距離を流動するパチンコ球PBの流動時間(α)を考慮し、このα分を変動時間(2.0秒)から差し引くことが好ましい(2.0−α)。結果として、4.5秒−αとなるが、このα分は誤差の範囲として処理してもよいし、このα時間分で回転する角度を予め考慮して、回転体206の原位置の角度を補正してもよい(補正値=120(deg/sec)×α(sec))。
【0068】
上記前処理に基づく遊技仕様を実行すると、羽根部材202の開放中にパチンコ球PBがセンター役物105内の樋部212に流入すれば、特別遊技終了直後に再度V入賞し易くなる(所謂「連チャン」)ため、遊技者に対して趣向性を向上させることになる。
【0069】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0070】
(パチンコ機10の遊技の流れ(通常時))
センター役物105内の回転体206は、3秒周期で一定方向(時計回り方向)に回転し続けている。
【0071】
なお、この回転体206の回転周期は必ずしも上記実施の形態のように一定周期かつ一定方向である必要はなく、遊技状態に応じて回転周期や回転方向の内いずれか、あるいは、回転周期及び回転方向のいずれも変化させる仕様であってもよい。遊技状態に応じて回転周期や回転方向を変化させることにより、より変化に富んだ遊技仕様を持つ遊技機を提供することができる。
【0072】
また、停留弁214は常時、待避位置とされており、樋部212を流動するパチンコ球PBを妨げるものはない。このため、羽根部材202の開放時に受入口205から受け入れたパチンコ球PBがこの受入口205から回転体206に到達するまで(樋部212を流動する)時間は、約1.0秒となる(
図8参照)。
【0073】
この状態で、遊技者が発射ハンドル26を操作すると、一球づつ発射装置によって上方へ発射される。発射されたパチンコ球PBは、外レール102に沿って遊技盤ユニット18の遊技領域19に打ち込まれ、センター役物105の上面や、遊技釘117、風車等に当たり、方向を変えながら遊技領域内を自重により落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至ったパチンコ球PBはアウト口112からパチンコ機10内に回収される。
【0074】
図10のフローチャートに従い、通常遊技手順を説明する。
【0075】
ステップ300で、停留弁214を待避位置に配置しておいた状態で遊技が進行され、パチンコ球PBが遊技領域内に設けた特別始動入賞口108に入賞すると(ステップ302の肯定判定)、ステップ304へ移行して特別図柄抽選処理が実行され(約2.0秒間の特別図柄変動表示の実行)、この特別図柄抽選に当選すると(ステップ306で肯定判定)、羽根部材202が所定時間(約0.5秒間)開放する(ステップ308)。
【0076】
なお、本実施の形態では、特別図柄抽選の羽根部材202を所定時間開放する権利を得る確率はほぼ100%であるため、ステップ306は不要であるが、例えば、これを小当たり当選とし、大入賞口110を所定回数、所定時間開放する大当たり当選、完全な外れである落選を所定の率で含ませてもよい。抽選の際に取得する乱数(0〜65000の数値を繰り返す乱数カウンタ)で言えば、約0〜65000までの数値の内、「0」が大当たり、「65000」が落選、それ以外が小当たりとすることも可能であるのでステップ304を鎖線で示した。
【0077】
(センター役物105内のパチンコ球の流動)
図8及び
図9に従い、通常遊技状態におけるセンター役物105内のパチンコ球の流れを説明する。
【0078】
羽根部材202が開放されているときパチンコ球PBがセンター役物105内に受け入れられると、まず、受入センサ212S(
図4参照)でこれを検出し、受け入れとしての賞球を受け、その後、樋部212に案内されて、パチンコ球PBは回転体206の9時の方向へ流動する。
【0079】
このパチンコ球PBが回転体206に到達したとき、パチンコ球PBは、回転体206に設けられた12個の内の何れかの収容溝206Aに収容される。
【0080】
ここで、特別図柄始動入賞口108(
図3参照)へのパチンコ球PBの入賞を起点として時間を計測すると、
図9に示される如く、特別図柄(特図)変動時間の2.0秒、その後の待機時間(0.6秒)、並びに羽根部材202の開放の間(約0.5秒)にパチンコ球PBが樋部212を流動する時間が1.0秒である。羽根部材202が開放した直後から閉止する直前まではパチンコ球PBは受け入れられる可能性がある。
【0081】
結果として、特別図柄始動入賞口108に入賞時点から3.6秒〜4.1秒の間に回転体206のVゾーン206AVが
図8の9時の方向(樋部212の傾斜樋部212Aの右端に対向する位置)にあれば、パチンコ球PBは回転体206のVゾーン206AVに導入される可能性があるということができる。
【0082】
回転体206の収容溝206Aは、1個のVゾーン206AVと11個の外れの収容溝206Aから構成されており、外れの収容溝206Aに収容されたパチンコ球PBは(
図10のステップ310の否定判定)、外れゾーンルート208を通って(外れゾーンルート208を通過したことを外れゾーンセンサ208Aで検出)、パチンコ機10に回収される。
【0083】
一方、Vゾーン206AVに収容(入賞)したパチンコ球PBは(
図10のステップ310の肯定判定)、Vゾーンルート210を通って(Vゾーンルート210を通過したことをVゾーンセンサ210Aで検出)、パチンコ機10に回収される。
【0084】
Vゾーンセンサ210Aによりパチンコ球PBを検出すると、大当たりとなり、特別遊技を実行する(
図10のステップ312)。
【0085】
(特別遊技)
特別遊技では、大入賞口110の開閉扉114が所定時間(一般には30秒)開放し、その間に所定個数のパチンコ球PBが大入賞口110に入賞することにより閉止する動作を1ラウンドとした場合に、複数回のラウンド(一般には15〜16ラウンド)繰り返される。この結果、多くのパチンコ球PBが大入賞口112へ入賞し、多くの入賞とその入賞に伴う賞球の払出しが期待できる。なお、通常は、1ラウンド中の最大入賞数は9個及び10個に制限されている。
【0086】
(特別遊技終了後の特典遊技)
一般的に、前記特別遊技状態が終了すると、通常遊技に戻るが、本実施の形態では、所定の条件を課して、この所定の条件が成立している場合に特典前処理を施し、この特典前処理に基づく遊技仕様を実行する(特典遊技)。
【0087】
所定の条件とは、本実施の形態では、保留メモリが0以外の場合を言う。特別遊技中において、特別図柄始動入賞口108へ入賞する確率は非常に高く、結果として、特別遊技終了後は、ほぼ100%条件成立となり得る。
【0088】
従って、この所定条件を基本的に存在しなくてもよいが、特典前処理に基づく遊技仕様を通常遊技仕様に準じるようにするためには、保留メモリがあることを所定の条件とした方がよい。
【0089】
以下、
図11のフローチャートに従い、前述した特別遊技中に実行される特典前処理、並びにこの特典前処理に基づく遊技仕様の実行手順を説明する。
【0090】
まず、ステップ352で回転体206を原位置へ移動させ停止させると共に、ステップ354で停留弁を傾斜樋部212Aのパチンコ球PBの流動領域に配置(突出位置)し、これを維持した状態でステップ356の処理により回転体206の回転を停止させる。
【0091】
なお、ステップ352からステップ356までの処理は、この特別遊技の終了直後に行われる特典遊技のための準備であるため、必ずしもこの特別遊技開始直後に行われる必要はなく、後述するように、例えば保留球が発生した時点等、この特別遊技中のいずれかの時点、または、特別遊技終了後の特典遊技開始までの間のいずれかの段階で行われ、特定遊技に対処できればよい。
【0092】
また、ステップ356における回転体206の回転中止の処理も必ずしもこの特別遊技開始直後に実行される必要はなく、上記いずれかの段階で上述のステップ352はステップ354の処理が行われて特典遊技のための準備ができるまで、回転体206は特別遊技中回転し続けている仕様であってもよい。
【0093】
次のステップ358では、特別遊技のラウンドカウント数Rをリセット(0)し、次いでステップ360で、このラウンドカウント数をインクリメントし、次いでステップ362で大入賞口110へのパチンコ球PBの入賞カウント数Cをリセット(0)して、ステップ364へ移行する。ステップ364では、タイマTをリセット(0)してステップ366へ移行する。
【0094】
ステップ368、370、372、374では、大入賞口110の開閉扉114を開放し、この大入賞口110に入賞する毎に、入賞カウント数Cをインクリメントし、この入賞カウント数Cが10になるか、あるいはタイマTが30秒になった時点で、ステップ376へ移行する。
【0095】
ステップ376では、一旦,大入賞口110の開閉扉114を閉じ、ステップ378へ移行して、ラウンドカウント数Rが16ラウンドか否かを判断し、否定判定されると、ステップ362へ戻り上記工程を繰り返す。
【0096】
また、ステップ378で肯定判定されると、特別遊技は終了したと判断し、ステップ380へ移行する。
【0097】
ステップ380では、再度、回転体206を原位置へ移動させ停止させて原点位置が維持されていることを確認し、次いでステップ384で停留弁を傾斜樋部212Aのパチンコ球PBの流動領域に配置(突出位置)し、これを維持しておく。
【0098】
このように、特別遊技の開始直後と、特別遊技の終了直前に回転体の原位置を調整することで、回転体206や停留弁214における特典遊技開始時の原位置の確保を早期に確実に行うことができる。
【0099】
なお、上記回転体206の原位置調整は、特別遊技終了時点において保留球が存在する場合に、当該特別遊技の終了直後、次の遊技の開始と共に保留球消化に伴う羽根部材202の開放に合わせて遊技者が狙いをつけて受入口205からパチンコ球PBを入賞させることによりV入賞を狙い易くするという目的のためであり、この目的が達成できる限り、原位置調整は、必ずしもこの特別遊技の開始直後に行われる必要はなく、例えば、保留球が発生した時点等、この特別遊技中のいずれかの時点、または、特別遊技終了後の特典遊技開始までの間のいずれかの段階で行われ、特典遊技に対処できればよい。また、原位置調整も必ずしも2回行われる必要はなく、少なくとも特典遊技開始までに1回行われればよい。
【0100】
前記回転体206の原位置は、Vゾーン206AVが所定の時間(以下に詳述)後に樋部212の傾斜樋部212Aの右端開口と対向する9時の位置に到達する位置であり、本実施の形態では、回転体206が回転を再開したときにVゾーン206AVが4.5秒後に9時の位置に到達するように、3時の位置を原位置とした(回転体206が1周半する(540°回転する)。
【0101】
4.5秒後にVゾーン206AVを9時の位置とする設定は、以下に基づく。
【0102】
(1) 特別図柄始動入賞口108に入賞した後の特別図柄抽選(変動)時間(2.0秒)
(2) 当選確定までのインタバル(0.6秒)
(3) 開閉部材202の開放(開閉時間は、約0.5秒)時に突出位置へ移動されていた停留弁214が待避位置へ移動されるまでの時間(1.9秒)
これらを加算すると、2.0+0.6+1.9=4.5秒となる。
【0103】
なお、上記
図11のフローチャートにおいて、ステップ352,354,356並びにステップ380,382,384を特別遊技の制御フローの一部としたが、特別遊技中に別ルーチンで常に保留の有無を判断し、回転体206を原位置へ移動したり、停留弁214を突出位置へ移動させるようにしてもよい。
【0104】
以下、
図12のフローチャート及び
図13のタイミングチャート及びに基づいて、特典遊技の手順を説明する。
【0105】
特別遊技が終了すると、まず、ステップ400で回転体206の回転を再開する。
【0106】
次に、ステップ402へ移行して、保留分の抽選処理を開始し、ステップ404で抽選の結果が当選と判断されると、ステップ406へ移行して開閉部材202を所定時間(0.5秒)開放させる。これにより、パチンコ球PBがセンター役物105の樋部212に流入する可能性がある。なお、ステップ404の当選判断は、当選が100%以外のときのみ必要となる(前述)。流入したパチンコ球PBは、停留弁214で堰き止められる。
【0107】
次のステップ408にでは、停留弁214の移動時期(羽根部材202の開放から1.9秒)か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ410へ移行して、停留弁214を待避位置へ移動させる。
【0108】
この停留弁214が待避位置に移動すると、堰き止められていたパチンコ球PBが回転体206へと移動し、結果として特別図柄始動入賞から約4.5秒(4.5−α)に回転体206へ到達する(αは、停留弁214から回転体206までの距離を流動するパチンコ球PBの流動時間である)。
【0109】
図13に示される如く、始動入賞時の回転体206のVゾーン206AVの位置を3時にしておく、パチンコ球PBは4.5秒後に回転体206に当接する。この回転は、1周半に相当するため、回転体206のVゾーン206AVを3時の方向としておけば、ちょうど4.5秒後にVゾーン206AVを9時の方向とすることができる。
【0110】
上記特典前処理に基づく遊技仕様を実行すると、羽根部材202の開放中にパチンコ球PBがセンター役物105内の樋部212に流入すれば、特別遊技終了直後に再度V入賞し易くなる(所謂「連チャン」)ため、遊技者に対して趣向性を向上させることになる。
【0111】
ステップ412では、Vゾーンセンサ210Aでパチンコ球PBを検出したか否かが判断され、肯定判定されると、大当たりとなり、特別遊技を実行する(ステップ414)。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態では、特典遊技として、特別図柄始動入賞口108へのパチンコ球PBの入賞時期、羽根部材202の開放時間、樋部212でのパチンコ球PBの流動時間、停留弁214による停留時間等を考慮した原位置に回転体206を配置して遊技を進行させることで、大当たり処理である特別遊技終了直後の通常遊技において、Vゾーンへ入賞し易いようにした。これにより、遊技者に対して有利となり得る、所謂「連チャン」遊技を提供することができる。