(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5659301
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】ロック装置を製造するための方法および装置並びに車両シートの長手方向調整装置のロック装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/08 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
B60N2/08
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-535452(P2013-535452)
(86)(22)【出願日】2011年10月28日
(65)【公表番号】特表2013-541461(P2013-541461A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】EP2011068997
(87)【国際公開番号】WO2012072350
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2013年4月30日
(31)【優先権主張番号】102010053044.1
(32)【優先日】2010年12月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508018598
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ メタルズ アンド メカニズムス ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ホッペ、 ジェンス
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第01316465(EP,A1)
【文献】
特開2007−127282(JP,A)
【文献】
特開2010−065770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06− 2/08
F16C 33/02−33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートの長手方向調整装置のロック装置を製造するための方法であって、
少なくとも1つのガイド部品(22)および切り欠き付きストリップ(42)に互いに独立して係止され得ると共に一緒に係止解除され得る複数の円柱形のロックピン(20)を備えるロック装置を製造するステップであって、前記ガイド部品(22)がシートレール(26)に割り当てられるとともに前記ロックピン(20)のためのガイド孔を有し、前記切り欠き付きストリップ(42)がフロアレール(34)に割り当てられ、前記ロックピン(20)が上側作動端部(38)および前記切り欠き付きストリップ(42)と協働する下側係合部位(40)を有するステップと、
前記製造ステップ中に或いは前記製造ステップ後に前記ロックピン(20)にグリースを塗布するステップと
を備え、個々のロックピン(20)が前記グリースを塗布するステップ中におよび/または前記グリースを塗布するステップ後に回転駆動ユニット(44)によって回転駆動され、
前記回転駆動ユニット(44)が回転工具(46)を備え、前記回転工具(46)と協働する非円形部(48)が前記ロックピン(20)の前記作動端部(38)に設けられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記回転駆動ユニット(44)は、いずれの場合にも、少なくとも1回の前記ロックピン(20)の完全な回転を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転駆動ユニット(44)は、いずれの場合にも、少なくとも2回の前記ロックピン(20)の完全な回転を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回転駆動ユニット(44)は、いずれの場合にも、少なくとも3回の前記ロックピン(20)の完全な回転を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記グリースを塗布するステップが前記フロアレール(34)の組み付け前に行われることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記グリースを塗布するステップは、噴射装置(50)を用いてグリースを噴射することにより行われることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記回転駆動ユニット(44)による前記ロックピン(20)の回転に加えて、昇降駆動ユニット(52)による前記ロックピン(20)の軸方向移動も行われることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法を行うための装置であって、前記ロックピン(20)と接触して前記ロックピン(20)を回転状態へと設定する回転駆動ユニット(44)を備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記回転駆動ユニット(44)は、前記ロックピン(20)の前記作動端部(38)と接触することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記回転駆動ユニット(44)が回転工具(46)を備え、少なくとも1つのロックピン(20)が非円形部(48)を備え、前記回転工具(46)と前記非円形部(48)とがポジティブ式で協働することを特徴とする、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つのロックピン(20)を軸方向に移動させる昇降装置を更に備えることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
車両シートの長手方向調整装置のロック装置であって、ガイド部品(22)および切り欠き付きストリップ(42)に互いに独立して係止され得ると共に一緒に係止解除され得る複数の円柱形のロックピン(20)を備え、前記ガイド部品(22)がシートレール(26)に割り当てられるとともに前記ロックピン(20)のための複数のガイド孔を有し、前記切り欠き付きストリップ(42)がフロアレール(34)に割り当てられ、前記ロックピンが上側作動端部(38)および前記切り欠き付きストリップ(42)と協働する下側係合部位(40)を有するロック装置において、
各ロックピン(20)が回転駆動ユニット(44)の回転工具(46)と協働する非円形部(48)を備え、前記非円形部(48)が、前記ロックピン(20)の前記作動端部(38)に設けられることを特徴とするロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シートの長手方向調整装置のロック装置を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、a)少なくとも1つのガイド部品および切り欠き付きストリップに互いに独立して係止され得ると共にそこから一緒に係止解除され得る複数の円柱形のロックピンを備えるロック装置を製造するステップであって、ガイド部品がシートレールに割り当てられるとともにロックピンのためのガイド孔を有し、切り欠き付きストリップがフロアレールに割り当てられ、ロックピンが上側作動端部と切り欠き付きストリップと協働する下側係合部位とを有するステップと、b)製造ステップ中に或いは製造ステップ後にロックピンにグリースを塗布するステップとを備える方法、並びに、この方法を行うための装置、および、この方法を適用できるロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロック装置は、例えば欧州特許出願公開第1316465号明細書から知られるように、この方法にしたがって製造される。他のロック装置が、米国特許第4,189,957号明細書、独国実用新案第29700866号明細書、独国実用新案第29910720号明細書、独国特許出願公開第4242895号明細書、および、英国特許出願公開第2355399号明細書から公知である。シートレールとフロアレールとから成る関連するレール対がそれぞれこれらの明細書のうちの幾つかから公知である。そのようなレール対に関しては、米国特許第5,941,495号明細書および米国特許第6,059,248号明細書を更に参照されたい。レールは既知の態様で互いに対して移動することができ、これらのレールは適した案内手段によって互いに当接する。この長手方向移動は、通常、ロック装置によって阻止されるとともに、ロック装置の作動時に阻止が解除される。
【0003】
従来技術によれば、そのようなロック装置は、以下のようにレールと共に製造される。第1に、個々の部品が製造される。その後、ロック装置の一部がシートレールに装着される。この目的を達成するために、ガイド部品がシートレールに接続される。この場合、ロックピンがガイド部品に位置される。シートレールは、しばしば、ガイド部品のガイド孔と位置合わせされる開口を有する。個々のロックピンがこれらの開口およびガイド孔に位置される。ガイド部品の組み付け後、ロックピンが捕捉され、そのため、ロックピンをもはや個別に取り外すことができない。各ロックピンは、ロックピンをラッチ位置へと付勢するそれ自体のスプリングを有する。組み付けのこの状態まで、フロアレールはシートレールに接続されない。ロックピンには依然としてアクセスできる。フロアレールがシートレールに接続されると、ロックピンへのアクセスが非常に限られる。したがって、フロアレールの取り付け前に、また、可能であれば、ガイド孔および開口にロックピンを設置する前に、ロックピンおよび/または開口およびガイド孔にグリースが塗布される。
【0004】
関連する開口および関連するガイド孔への挿入前にロックピンにグリースが塗布される場合、このグリースを常に実際に必要とされる部位へ送ることができるとは限らない。既にロックピンが挿入された状態でグリース塗布プロセスが行われる場合には、ロックピンの全ての表面へのアクセスが制限されて常に可能とは限らない。グリース塗布は必要である。これは、移動が困難なロックピンがユーザによる誤った操作を引き起こす場合があるからであり、また、ノイズが生成される場合があるとともに、車両シートの長手方向調整装置の2つのロック装置のための作動力が他の車両シートの長手方向調整装置と比べても異なる場合があるからである。所定の限界内にある作動力および可能な限り低く所定の閾値内にあるノイズレベルが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここからは本発明が記載される。本発明は、複数のロックピンおよびそれらのガイド部品にグリースを塗布するプロセスを改善して、グリース塗布を更に均一に行い、これにより、作動力およびノイズに関してロックピンの作動特性を改善する、特に最小限にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。装置に関して、この目的は、請求項7の特徴に係る装置によって達成される。最後に、この目的は、請求項10の特徴を有するロック装置によって達成される。
【0007】
本発明によれば、ロックピンは、グリース塗布中および/またはグリース塗布後に回転される。ロックピンは、長手方向軸を中心に回転される。ロックピンは円柱形であるため、ロックピンをガイド孔内および場合により設けられる開口内で回転させることができる。ロックピンがグリース塗布中に回転される場合には、これは、ロックピンにグリースを全周にわたって塗布できるという点において有益である。ロックピンがグリース塗布後に回転される場合には、これは、ガイド部内で、すなわち、ガイド孔内および適用可能であれば開口内で、グリースが良好に広がることができるという点において有益である。
【0008】
回転動作は、ロックピンの上側作動端部に導入されるのが好ましい。一部のロック装置、例えば独国特許出願公開第4242895号明細書に係るロック装置では、ロックピンの上側作動端部がシートレールを越えて上方へ突出し、この上側作動端部を摩擦的に或いはポジティブ式で把持することができる。回転動作はポジティブ式で導入されるのが好ましい。好ましい実施形態では、この目的のために、上側作動端部が非円形部を有する。非円形部は、例えば、ネジにおいて知られるような六角形ソケット等の形態を成す非円形切り抜き部であってもよい。しかしながら、非円形部は、六角ネジ頭部において知られるような外側非円形部であってもよい。関連する回転駆動ユニットは回転工具を備え、この回転工具は、その形状に関して、非円形部の形状に対して相補的な態様で適合される。六角形ソケットの場合、回転工具は、例えば、六角形断面を有するピンである。
【0009】
作動端部への軸方向経路が妨げられるように取り付けられるロック装置およびロックピンの場合には、作動端部をギアとして形成することができる。その場合、回転駆動ユニットの回転工具もこれに対応して構成されるギアであり、このギアを介して回転が側方から導入される。
【0010】
本発明は、一方では、ロック装置の作動力をかなり減らすことができ、他方では、個々のロック装置間での作動力の広がりを極めて小さく維持できるという点において有益である。ノイズレベルには好ましい影響が及ぼされる。特に組み付け直後に、特に新品の車両において生じるノイズは、かなり減少される。
【0011】
グリース塗布中にロック装置のロックピンが全て同じ位置にあれば有益である。例えば、ロックピンが完全に引き上げられた位置にあってもよい。グリース塗布プロセスが行われるときには、ロック装置のロックピンの全てを一緒にロック解除できるロック解除蓋が未だ取り付けられていないことが好ましい。全てのロックピンを解放位置へと引く或いは押す、すなわち、作動されるロック解除蓋と同じ機能を有する補助工具を使用できる。しかしながら、全てのピンをそれらの最下位置にとどまらせて、この状態でこれらのピンにグリースを塗布することもできる。全てのピンは、切り欠き付きストリップが未だ装着されていない限りは最下位置をとることができる。グリース塗布プロセスはフロアレールの組み付け前に行われるのが好ましく、また、フロアレールが切り欠き付きストリップに接続されるため、付属品なしでこの状態に達することができる。
【0012】
好ましい発展においては、グリース塗布プロセス中および/またはグリース塗布プロセス後にロックピンを軸方向に更に移動させることが提案される。この目的のため、回転駆動ユニットに加えて昇降駆動ユニットも設けられる。この昇降駆動ユニットは、回転駆動ユニットと組み合わせることができ、作動端部に作用し得る。
【0013】
回転駆動ユニットおよび/または昇降駆動ユニットは係合部位にも作用し得る。昇降駆動ユニットは、上述の付属品の役割を引き継ぐことができる。ロックピンは、それらの全長にわたって、少なくともアクセスできる部分的な長さ領域にわたってグリースが塗布されるのが好ましい。これは、切り欠き付きストリップと接触するテーパ状の下端部も含む。切り欠き付きストリップ自体にはグリースが塗布されないことが好ましい。
【0014】
使用されるグリースは、可能な限り良好な粘着特性を有する材料である。粘着性グリースが使用されている。ロックピンの材料並びにガイド孔および開口に可能な限り良好に付着することが想定される。付着は、紙で使用されるいわゆる感圧接着剤において今日与えられる範囲内にあるはずである。感圧接着剤および接触接着剤がグリースへの添加剤として使用される。ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリアクリルエーテル、および、天然ゴムまたは合成ゴムが想定され得る。この場合、潤滑特性は十分なはずであり、少なくとも、潤滑特性は、可能な限り良好なはずであり、好ましくは、これまで従来技術にしたがって使用された潤滑剤よりも良好なはずである。
【0015】
ロックピンは、少なくとも完全に1回、好ましくは僅かにそれ以上に回転される。昇降装置は、ロックピンのその後の作動ストロークに対応するストロークを有することが好ましい。回転駆動ユニットとして共通のモータ、例えば減速ギアユニットやドリル等を有する電気モータを使用できるが、液圧回転駆動ユニットも使用できる。非円形部を伴わないロックピンの場合には、ロックピンの作動端部上または係合部位上にわたって達する回転駆動ユニットの回転工具が推奨される。例えば、回転工具は、鉢またはコーンの形状を有する。回転工具は、弾性材料、例えば硬質ゴムから形成することができる。
【0016】
グリースは、ロックピン上および他の構成部品上へ噴射されるのが好ましい。この目的のため、可能であれば塗布が行われるべき部位へのみ方向付けられる噴射装置が設けられる。表面上にわたる塗布を可能にする他の手段を噴射装置の代わりに使用することもできる。したがって、スポンジ、雑巾、ブラシ、或いは、同様のものによって潤滑剤を塗布することもできる。均一な、薄い、表面全体の塗布が目標である。
【0017】
請求項10に係るロック装置は、ロックピンが非円形部を備え且つロックピンの回転が軸方向に或いは側方から適用されて回転動作をポジティブ式で伝える回転工具を介して導入されるという事実に起因して、本発明に係る方法に特に適している。別の手段として、作動端部以外のロックピンの領域に非円形部を設けることもできる。例えば、係合部位の最下端に非円形部を形成することもできる。
【0018】
本発明の他の利点および特徴は、他の請求項から、および、本発明の実施形態についての以下の説明から明らかになる。実施形態は、限定すると理解されるべきではなく且つ図面を参照して以下で詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】3つのロックピン、シートレール、および、ガイド部品を伴い、ロック解除蓋を伴わず、切り欠き付きストリップを伴わず、フロアレールを伴わないロックユニットの断面図である。
【
図2】
図1と同様であるが第2の実施形態におけるロックユニットの図である。
【
図3】3つのロックピン、シートレール、切り欠き付きストリップを含むフロアレール、ガイド部品、および、ロック解除蓋を伴うロックユニットの断面図である。
【
図4】シートレールを上側から見た
図3に係るレールを含むロックユニットの斜視図である。
【
図5】作動端部を斜め上から見たロックピンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は第1の実施形態を示しており、以下では、この実施形態を参照して、方法について説明し、装置について説明し、および、ロック装置自体についても説明する。その後、他の実施形態、すなわち、
図2に係る第2の実施形態、
図3および
図4に係る第3の実施形態、および、
図5に係る第4の実施形態について説明し、これらの実施形態については、第1の実施形態とは異なる範囲内でのみ詳しく説明する。
【0021】
出願人は、明細書本文から、明細書本文中の部分的な文章の個々の文から、および、特許請求の範囲からの任意の特徴と下位特徴とを任意の方法で互いに組み合わせる権利を有するとともに、下位特徴と部分特徴とを任意の方法で互いに組み合わせる権利も有する。
【0022】
図1は不完全なロック装置を示しており、このロック装置は、3つのロックピン20と、ガイド孔を伴うガイド部品22であって、1つのガイド孔が各ロックピン20ごとに設けられるガイド部品22と、同様に各ロックピン20ごとに別個のスプリング24が設けられる複数のスプリング24とを有する。このような前記ロック装置はシートレール26に接続される。具体的には、ガイド部品22は、
図1から明らかなシートレール26の側方フランジに対して例えば突き合せ溶接によって接続される。シートレール26のうち、上側フランジ28も示されており、組み付け状態では上側フランジが水平に延びる。上側フランジには3つの開口30が位置され、この場合も、各ロックピン20ごとに1つの開口30が設けられる。ロックピンはカラー32を有し、このカラーを用いて、ロックピンは、
図1に描かれた断面図では、ガイド部品22の表面上に載置する。ロックピンは、スプリング24によってこの位置へと付勢される。各スプリング24は、上側フランジ28とロックピン20のカラー32との間で支持される。スプリングは、圧力に備えて設計された螺旋スプリングである。
【0023】
レール対が使用されるのが好ましく、この場合、シートレール26およびフロアレール34(
図3参照)が細長いチャネル36を画定する。これについては、例えば、上述の米国特許第5,941,495号明細書および米国特許第6,059,248号明細書を参照されたい。ガイド部品22およびスプリング24はこのチャネル36内に位置され、また、ロックピン20の主要部分がチャネル36内に位置される。選択的に使用されるレール対において、各レール26,34は、実質的には、1つの長い側方フランジのみを有し、他の側方フランジは長い側方フランジよりもかなり短い。これについては
図4を参照されたい。レール26,34間に配置される案内手段、例えばボールが、レール対の対角線上で互いに対向する。したがって、
図1〜
図3に示されるように、ロックピン20には側方からアクセスできる。フロアレール34だけがこのアクセスをカバーする。
【0024】
ロックピン20は独国特許出願公開第102010043025号明細書の教示内容にしたがって形成される。その特許出願に含まれる情報および開示内容の全てが本出願にも適用される。ロックピン20は円柱形である。したがって、ロックピンは、異なる結果を伴うことなくガイド孔内で回転され得る。ロックピン20は、図示の実施形態ではシートレール26の上端から突出する上側作動端部38と、下側係合部位40とを有する。下側係合部位では、ロックピン20が下端へ向けて先細る。係合部位は切り欠き付きストリップ42と接触し、切り欠き付きストリップは
図3から明らかである。ロックピン20は自身の軸を中心に回転する。
【0025】
図1は
回転駆動ユニット44を示しており、この
回転駆動ユニットは中央のロックピン20の上側に位置される。同様の
回転駆動ユニットが他のロックピン20においても設けられる。
回転駆動ユニット44は、周方向に延びる矢印の方向で回転駆動される回転工具46または回転ビットを備える。回転工具は六角形状を有する。非円形部48が作動端部38に形成される。非円形部は六角形ソケットネジのように構成される。その形状に関して、非円形部48は回転工具46と嵌合する。回転工具46が非円形部48内に挿入されれば、ロックピン20が駆動され得る。非円形部は、任意の形状、例えば、スロット、十字形凹部、六角形ソケット、外側六角形、多角形ソケット、外側多角形等を有することができる。
【0026】
2つの噴射装置50が左側ロックピン20に割り当てられる。それらの噴射装置から、グリースがロックピン20の対向表面上へ塗布される。
回転駆動ユニット44がこの塗布中に作動され、ロックピン20が少なくとも1回回転される。したがって、ロックピン20の対向表面全体にグリース層または潤滑剤層が供給される。
図1から分かるように、係合部位40もこのように処理される。噴射装置50は、いずれの場合にも処理されるべきロックピン20の表面だけに到達するように配置され、また、随意的にそれらの噴射作用がスクリーンによって制限される。少なくとも1つの噴射装置50が各ロックピン20ごとに設けられるのが好ましい。
【0027】
一改良においては、グリース塗布の前述したプロセスステップの後に以下のステップが行われる。すなわち、適切な昇降駆動52により、ロックピン20が、
図1に示される位置から、ガイド部品22によって既に覆われたロックピン20の一部分の領域が目に見えるようになる程度まで持ち上げられる。その後、ロックピン20を少なくとも1回転させて噴射プロセスが再び行われる。このとき、スプリング24も変位されて、スプリング24により既に覆われた部位が湿潤される。
【0028】
グリース塗布の少なくとも1つのステップが行われた後、組み付けを続けることができる。ここで、
図3から明らかなように、ロック解除蓋54が取り付けられる。また、フロアレール34が取り付けられ、それにより、このとき、チャネル36が側方から閉じられる。フロアレール34は、従来技術にしたがって形成される切り欠き付きストリップ42を備える。
【0029】
図2に係る第2の実施形態において、
回転駆動ユニット44は、ポジティブ式ではなく、むしろ摩擦的に、ロックピン20に作用する。先と同様に、回転動作が同軸的に導入される。このとき、係合部位40と接触するカップ形状部またはV形状部が回転工具46として使用される。
図2に係る実施形態では、
回転駆動ユニット44が同時に昇降駆動ユニット52として構成される。これについては両方向矢印を参照されたい。
図2により示される状態では、昇降装置が左側ロックピン20をスプリング24に対して既に僅かに持ち上げており、これは、ガイド部品22からのカラー32の距離から分かる。先と同様に、露出表面にグリースを噴射する2つの噴射装置50が使用されている。この場合も、少なくとも1回の完全な回転が行われる。昇降駆動ユニット52の他の軸方向位置でもう1回の回転を行うことができる。昇降駆動ユニットおよび
回転駆動ユニット44を一緒に同時に作動させることもでき、それにより、グリースがやや螺旋状に塗布される。
【0030】
図3は完成したロック装置を示すが、簡潔にするためにスプリング24が示されていない。ロックユニットにおいてそれが一般的であるため、ラッチ状態が示されている。2つの外側のロックピン20はそれぞれ切り欠き付きストリップ42の切り欠きに当接し、一方、中央のロックピン20は切り欠きの上に載置されてパッシブ状態である。ロック解除蓋54は、中央のロックピン20も少なくとも僅かに持ち上げられて切り欠き付きストリップ42から自由にされる程度まで上方へ移動され得る。
【0031】
図4では、ロック解除蓋54が省かれている。
【0032】
図5は、使用されるロックピン20の斜視図である。これらのロックピンは溝状部位58を有し、この溝状部位は、切り欠き付きストリップ42とガイド孔の部位で係合するロックピン20により位置付けられるとともに、ガイド孔の下端を越えて下方へ突出することが好ましい。
図5に係る実施形態では、非円形部48が、もはや六角形ではなく、むしろ星形状を成す。非円形部48の任意の形状が想定され得る。非円形部48は、内側形状としてだけではなく、外側形状として、例えば外側六角形としても形成することができる。また、ロックピン20の他の領域を非円形部48として形成することもできる。例えば、カラー32が通常のギアのような外側ギアを有することができる。回転駆動ユニットが
回転駆動ユニット44を介してこの外側ギアに作用することができ、
回転駆動ユニットはカラー32と噛み合う適切なギアを有する。この場合、2つのギア付きカラー32は、回転駆動ユニットの単一のギアによって駆動され得る。
【0033】
また、昇降駆動ユニット52は、機械的な工具として、例えばその突起がガイド部品22とカラー32との間に達するとともに、未だ取り付けられていないロック解除蓋54と同様に作用するフォークの形態で構成することもできる。