(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来技術では、回転電機のステータのシングルスター結線された巻線構造において、同相内のコイル巻き順を工夫して、複数の各中間コイルのうちの2つの各中間コイルをステータの周方向に沿って各第1コイルの両側に隣接するように配置している。例えば、同相ではステータの周方向に沿って第1コイルの両側に第2コイルと第3コイルとを配置している。また、各相の巻線が第1コイルから第8コイルまでを有する場合に、異相間では第1コイルを他相の第4〜8コイルのいずれか2のコイルと、ステータの半径方向に隣接するように配置している。このような従来技術では、同相コイル間での電位差を低減できるが、隣接するコイル同士でのUV相間や、VW相間等の異相間コイルの間(以下、「相間コイル間」という。)の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させるとともに、接続作業の容易化を図る面から改良の余地がある。
【0006】
すなわち、本発明者の考察により、三相交流回転電機を駆動するためのインバータ内部のスイッチング素子がスイッチングした際には、例えばUV相間の電位差を考えた場合に、高周波共振現象によりサージ電圧が発生し、V相の第1コイルとU相の第4コイルとの間で最大電位差が発生することが分かった。このため、上記のように異相間で、第1コイルと他相の第4コイルとを隣接させている場合には、絶縁性能を向上する面から改良の余地がある。また、各相で第1コイルの両側に第2コイルと第3コイルとを配置しているため、同相コイル間での接続線を短くして接続作業の容易化を図る面からも改良の余地がある。
【0007】
また、上記の特許文献1に記載された従来技術では、隣接するコイル同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させるとともに、各相の入力端子である入力端を近くして、接続作業の容易化を図る面からも改良の余地がある。
【0008】
そこで、本発明
は、分布巻きかつ重ね巻きのステータを備える三相交流回転電機において、隣接するコイル同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させるとともに、接続作業の容易化を図ることを目的と
する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の三相交流回転電機
は、ステータと、ステータに半径方向に対向配置されたロータとを備え、ステータは、分布巻きかつ重ね巻きで巻装され
、各相で直列接続された複数のコイルを有する三相の巻線であって、各相の巻線同士が単一の中性点でY結線されている巻線を含む三相交流回転電機であって、各入力端に接続された各相の第1コイルと、中性点に接続された各相の最終コイルと、各相の第1コイルと各相の最終コイルとの間に直列に接続された各相の複数の中間コイルとを含み、各相の第1コイルは、他相の最終コイル、または、他相の第1コイル、または他相の最終コイルに接続される中間コイルに、ステータの半径方向に隣接するように配置されており、各相の巻線のステータに対する巻き付け方向は、ステータの半径方向に隣り合う相同士で反対方向になっていることを特徴とする三相交流回転電機である。
【0010】
本発明の三相交流回転電機において、好ましくは、相毎にステータの半径方向に重ねて配置される三相の巻線において、最外径側の相の第1コイルと最内径側の相の第1コイルとの巻き始め個所は、電気角で90°以内にずらして配置されている。
【0011】
また、本発明の三相交流回転電機において、好ましくは、各相の第1コイルは、他相の最終コイル及び他相の第1コイルに、ステータの半径方向に隣接するように配置されている。
【0012】
また、本発明の三相交流回転電機において、好ましくは、各相の第1コイルは、他相の最終コイルと、他相の最終コイルに接続される中間コイルとに、ステータの半径方向に隣接するように配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の三相交流回転電機
によれば、分布巻きかつ重ね巻ステータを備える構成において、隣接するコイル同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させるとともに、接続作業の容易化を
図れる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1〜
図5は、本発明の実施の形態を示している。
図1に示すように、本実施形態の三相交流回転電機に組み込まれているステータ10は、8極であり、円筒状で内径側にコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8が巻かれる、すなわち巻装される複数のスロット12が設けられたステータコア11と、ステータコア11に巻かれた三相の巻線である、U相巻線20、V相巻線30及びW相巻線40とを備えている。U相巻線20、V相巻線30及びW相巻線40は、分布巻きかつ重ね巻きでステータ10に巻装されている。このようなステータ10は、ステータ10に半径方向に対向配置された図示しないロータとともに、三相交流回転電機を構成する。なお、本実施の形態では、ステータ10は、極対数を8極とする場合に限定するものではなく、4極、16極等、他の極対数とすることもできる。
【0019】
ステータ10では、各相の巻線20,30,40はエナメルで絶縁被覆されたエナメル電線をステータコア11のスロット12に巻くことによって形成される。各相の巻線20,30,40は単一の中性点50でY結線されて、いわゆるシングルスター結線となっている。すなわち、ステータ10は、U,V,Wの各相の電力が入力される各相の入力端13,14,15と、各相の巻線20,30,40が一点に接続された中性点50とを有している。各巻線20,30,40の入力端13,14,15側の各端部と各入力端13,14,15との間は外面を樹脂などの絶縁体で被覆された各スリーブ線16,17,18で接続され、各相の巻線20,30,40の中性点50側の各端部と中性点50との間も各スリーブ線51,52,53で接続されている。なお、
図1において、各巻線20,30,40のコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8の両端の円で囲んだXマークと円の中に点を配置したマークはそれぞれワイヤの巻き方向が紙面の表面側から裏面側になっていること、及びワイヤの巻き方向が紙面の裏面側から表面側に向かっていることを示している。
【0020】
図1及び
図3に示すように、U相巻線20は入力端13にスリーブ線16によって接続されたU相第1コイルU1と、中性点50にスリーブ線51によって接続されたU相最終コイルU8と、U相第1コイルU1とU相最終コイルU8との間に電気的に直列に接続された6つの中間コイルである、U相第2コイルU2からU相第7コイルU7を含んでいる。また、U相第1コイルU1の中性点50側に接続されているU相第2コイルU2と、U相最終コイルU8とは、ステータ10の周方向に沿ってU相第1コイルU1の両側に隣接するように配置されている。すなわち、U相第1コイルU1は、U相最終コイルU8と、U相最終コイルU8及びU相第1コイルU1のうち、第1コイルU1側の中間コイルU2とに、ステータ10の周方向に隣接するように配置されている。そして、各U相コイルU1〜U8では、U相第1コイルU1から
図1の「時計方向」に、順にU相第2コイルU2、U相第3コイルU3、U相第4コイルU4、U相第5コイルU5、U相第6コイルU6、U相第7コイルU7、U相最終コイルU8が配置されている。
【0021】
同様に、
図1及び
図3に示すように、V相巻線30も、入力端14にスリーブ線17によって接続されたV相第1コイルV1と、中性点50にスリーブ線52によって接続されたV相最終コイルV8と、V相第1コイルV1とV相最終コイルV8との間に電気的に直列に接続された6つの中間コイルである、V相第2コイルV2からV相第7コイルV7を含んでいる。また、V相第1コイルV1の中性点50側に接続されているV相第2コイルV2と、V相最終コイルV8とは、ステータ10の周方向に沿ってV相第1コイルV1の両側に隣接するように配置されている。すなわち、V相第1コイルV1は、V相最終コイルV8と、V相最終コイルV8及びV相第1コイルV1のうち、第1コイルV1側の中間コイルV2とに、ステータ10の周方向に隣接するように配置されている。そして、各V相コイルV1〜V8では、V相第1コイルV1から
図1の「反時計方向」に、順にV相第2コイルV2、V相第3コイルV3、V相第4コイルV4、V相第5コイルV5、V相第6コイルV6、V相第7コイルV7、V相最終コイルV8が配置されている。
【0022】
同様に、
図1及び
図3に示すように、W相巻線40も、入力端15にスリーブ線18によって接続されたW相第1コイルW1と、中性点50にスリーブ線53によって接続されたW相最終コイルW8と、W相第1コイルW1とW相最終コイルW8との間に電気的に直列に接続された6つの中間コイルである、W相第2コイルW2からW相第7コイルW7を含んでいる。また、W相第1コイルW1の中性点50側に接続されているW相第2コイルW2と、W相最終コイルW8とは、ステータ10の周方向に沿ってW相第1コイルW1の両側に隣接するように配置されている。すなわち、W相第1コイルW1は、W相最終コイルW8と、W相最終コイルW8及びW相第1コイルW1のうち、第1コイルW1側の中間コイルW2とに、ステータ10の周方向に隣接するように配置されている。そして、各W相コイルW1〜W8では、W相第1コイルW1から
図1の「時計方向」に、順にW相第2コイルW2、W相第3コイルW3、W相第4コイルW4、W相第5コイルW5、W相第6コイルW6、W相第7コイルW7、W相最終コイルW8が配置されている。
【0023】
したがって、U相巻線20、V相巻線30及びW相巻線40のステータ10に対する巻き付け方向は、ステータ10の半径方向に隣り合う相同士で反対方向になっている。
【0024】
また、相毎にステータ10の半径方向に重ねて配置される三相の巻線20,30,40において、最外径側のU相巻線20を構成するU相第1コイルU1と、最内径側のW相巻線40を構成するW相第1コイルW1との巻き始め個所は、電気角で90°ずらして配置している。なお、図示は省略するが、別の実施形態として、最外径側のU相巻線20を構成するU相第1コイルU1と、最内径側のW相巻線40を構成するW相第1コイルW1との巻き始め個所を、電気角で90°未満の範囲でずらして配置することもできる。
【0025】
また、U相第1コイルU1とW相第1コイルW1とのそれぞれに、V相最終コイルV8とV相第1コイルV1とがステータ10の径方向に隣接するように配置されている。また、V相第1コイルV1には、ステータ10の径方向外側にU相第1コイルU1とU相最終コイルU8とがステータ10の径方向に隣接するように配置されている。また、V相第1コイルV1には、ステータ10の径方向内側にW相第1コイルW1とW相最終コイルW8とが隣接するように配置されている。したがって、各相の第1コイルU1、V1、W1は、他相の最終コイルU8、V8、W8とステータ10の半径方向に隣接するように配置されている。しかも、各相の第1コイルU1、V1、W1は、他相の第1コイルU1、V1、W1とステータ10の半径方向に隣接するように配置されている。
【0026】
図2に示すように、ステータコア11の軸方向の両端面から外側には、各スロット12(
図1)間の渡りのワイヤが盛り上がったコイルエンド71が形成されている。そして、コイルエンド71のワイヤはステータ10の内径側から外径側に向かって、W相巻線40、V相巻線30、U相巻線20の順に配置されている。コイルエンド71において、各巻線20,30,40の間には、図示しない絶縁紙を挟み込んで、各巻線20,30,40の間を絶縁するよう構成することもできる。
【0027】
図3は、本実施形態の三相交流回転電機のステータ10の等価回路を示している。
図3に示すように、U相巻線20、V相巻線30、W相巻線40を構成する各コイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8はそれぞれコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8とステータコア11(
図1)との間の浮遊容量62を介して大地と接続されている。
【0028】
図4は、本実施形態の三相交流回転電機のステータ10とインバータ80とを示す回路図である。インバータ80は、U相、V相、W相の各アームAu、Av、Awを含み、各アームAu、Av、Awに2のスイッチング素子Swが直列接続されている。各スイッチング素子Swは、トランジスタ、IGBT等により構成されることができる。また、各スイッチング素子Swに逆並列にダイオードDiが接続されている。各アームAu、Av、Awの中点に、ステータ10の対応する相の入力端13,14,15が接続されている。インバータ80の正極側端子と負極側端子とには、それぞれ直流電源であるバッテリBaの正極及び負極が接続されている。また、インバータ80とバッテリBaとの間にコンデンサCが接続されている。このように三相交流回転電機は、インバータ80に接続されて使用される。
【0029】
インバータ80のスイッチング素子Swは、図示しない制御部の制御信号によりスイッチングのオンオフが制御される。スイッチングのオンオフによりバッテリBaの直流電力が三相の交流電力に変換されて、三相交流回転電機に供給され、三相交流回転電機がモータとして駆動する。なお、三相交流回転電機は、車両の車輪駆動用として使用される場合に、車輪の制動時に三相交流回転電機の動力を交流電力として取り出し、その交流電力をインバータ80で直流電力に変換し、バッテリBaに供給する、すなわちバッテリBaを充電することもできる。
【0030】
このような三相交流回転電機によれば、分布巻きかつ重ね巻きのステータを備える構成において、隣接するコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させるとともに、接続作業の容易化を図れる。次に、本実施の形態により、隣接する相間コイル間の最大電位差が低減される理由を説明する。まず、三相交流回転電機を駆動するためのインバータ80内部のスイッチング素子Swをスイッチングした際に、最大電位差となる相間のコイル間個所について説明する。
【0031】
例えば、
図4に示すように、V相アームAv及びW相アームAwの負極側である下側スイッチング素子Swがオンした状態から、U相アームAuの正極側である上側スイッチング素子Swがオンした瞬間におけるU相−V相間の電位差を考える。この場合、本発明者が検討した結果、
図3のV相第1コイルV1とU相第4コイルU4との間が最大電位差となることが分かった。一方、U相−V相間、すなわちU相入力端13とV相入力端14との間に定常的に直流電圧(DC電圧)がかかっている場合には、U相第1コイルU1とV相第1コイルV1との間が最大電位差となることが考えられる。ただし、インバータ80では高周波でスイッチング素子Swがスイッチングしているため、高周波共振現象によりサージ電圧が発生し、上記の場合で、V相第1コイルV1とU相第4コイルU4との間が最大電位差となることを、本発明者は新規に発見した。
【0032】
図3では、高周波的に見た等価回路を示しているが、高周波的には、各コイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8は、コイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8とステータコア11(
図1)との間の浮遊容量62を介して対地接続される。そしてインバータ80が上記のようにスイッチングした瞬間には、コイルインダクタンスと、各コイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8とステータコア11との間の浮遊容量62との間で共振現象が生じる。この共振状態では、模式的に
図3に矢印αで示すような電流分布が生じる。すなわち、U相第4コイルU4とU相第5コイルU5との間を境に対称的な電流分布が生じることを本発明者は発見した。また、これにより、
図5にU相で代表して示すように、各U相コイルU1〜U8で高周波共振時の電圧の振幅に差が生じることが分かった。
【0033】
図5は、本実施形態の三相交流回転電機を構成するステータの共振時の各U相コイル間電圧の振幅を示す図である。なお、以下の説明では、
図1から
図4に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。
図5に示すように、U相の各中間コイルのうち、U相入力端13と中性点50との両方から大きく離れるU相入力端13側の第4コイルU4までは、U相入力端13と各U相コイルU1〜U4間との間の電位差が増加する。そして、U相第4コイルU4とU相第5コイルU5との間を境に、U相入力端13と中性点50側の各U相コイルU5〜U8間との間の電位差が低下するという特徴がある。このため、インバータ80がスイッチングしたときには、U相第1コイル1UとV相第1コイル1Vとの間が最大電位差とならず、ある1相の端子側コイル(例えばV相第1コイルV1)と、共振時の電圧の振幅が大となる他相の中間コイル(例えばU相第4コイルU4)との間が異相間で考えた場合の最大電位差発生個所となる。
【0034】
これに対して、
図1に示す本実施の形態の三相交流回転電機のステータ10では、各相の第1コイルU1、V1,W1と、共振時の電圧の振幅が最小となる他相の最終コイルU8,V8,W8とを、ステータ10の半径方向に隣接するように配置している。このため、隣接するコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させることができる。このように本実施形態の三相交流回転電機は、本発明者が、各相のコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8配置を工夫することで、隣接する相間コイル間の高周波共振現象による電位差を低減できることを考え付き、その着目に基づいて発明したものである。
【0035】
図6は、本実施の形態と、本発明から外れる特許文献1に記載された従来例の三相交流回転電機との最大電位差発生個所における、インバータでのスイッチング時の相間コイル間の電位差波形のシミュレーション結果を示す図である。
図5で「実施例」で示す曲線は本実施の形態の場合の波形であり、「従来」で示す曲線は従来例の場合の波形である。また、
図7は、このシミュレーションで用いた従来例の三相交流回転電機を構成するステータ100を示している。
【0036】
図7の従来例のステータ100は、各入力端13,14,15に接続された各相の第1コイルU1,V1、W1と、中性点50に接続された各相の最終コイルU8、V8、W8と、各相の複数の中間コイルU2〜U7、V2〜V7、W2〜W7とを含む。また、各相の巻線20,30,40が、相毎にステータ10の半径方向に重ねて配置されている。また、各相で複数の各中間コイルU2〜U7、V2〜V7、W2〜W7のうちの2つの各中間コイルU2、U3、V2、V3、W2、W3がステータ10の周方向に沿って各第1コイルU1,V1、W1の両側に隣接するように配置されている。また、各相の第1コイルU1,V1、W1が、隣接する2つの同相の中間コイルU2、U3、V2、V3、W2、W3よりも電気的に中性点50側に接続されている他相の中間コイルである第7コイルU7,V7,W7及び他相の最終コイルU8,V8,W8と、ステータ10の半径方向に隣接するように配置されている。また、同相コイル間が複数の接続線90により接続されている。
図7において、従来例のその他の構成要素で、
図1に示す本実施の形態のステータ10の構成要素と同一の要素には同一の符号を付している。
【0037】
このような従来例と本実施の形態とを用いて行った、
図6に示すシミュレーション結果から、本実施の形態の巻線配置とすることで、隣接する相間コイル間の最大電位差発生個所の電位差を、従来例に対して電源電圧を基準として例えば18%と大きく低減できることを確認できた。なお、最大電位差発生発生個所は、従来例では、U相第4コイルU4とV相第1コイルV1(
図7)との間であり、本実施の形態では、U相第6コイルU6とV相第3コイルV3(
図1)との間となった。
【0038】
また、本実施の形態によれば、U相巻線20、V相巻線30及びW相巻線40のステータ10に対する巻き付け方向が、ステータ10の半径方向に隣り合う相同士で反対方向になっているので、各相での入力端13,14,15を近くでき、入力端13,14,15に対する接続作業の容易化を図れる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、各相の第1コイルU1,V1,W1と、共振時の振幅が最小となる他相の第1コイルU1,V1,W1とを、ステータ10の半径方向に隣接するように配置しているため、これによっても、隣接するコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させることができる。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、各相第1コイルU1は、各相最終コイルU8と、各相最終コイルU8及び各相第1コイルU1のうち、第1コイルU1側の中間コイルU2とに、ステータ10の周方向に隣接するように配置されている。このため、上記の
図7に示した従来例の場合と異なり、各相で複数のコイル間の接続を短くでき、同相コイル間での接続線を短くでき、接続作業の容易化を図れる。
【0041】
図8は、本発明の他の実施形態の三相交流回転電機を構成するステータと巻線との配置を示す図である。
図8に示す実施形態を構成するステータ10aでは、
図1に示した実施形態を構成するステータ10に対して、各相の第1コイルU1,V1、W1の巻き始め個所の関係が異なっている。すなわち、本実施形態のステータ10aでは、U相第1コイルU1の巻き始め個所に対して、V相第1コイルV1の巻き始め個所を
図8の反時計方向に1スロット分ずらして配置し、その位置に対応するコイルをV相第1コイルV1とし、V相第2コイルV2からV相第8コイルV8を、
図8の反時計方向に順に、ステータコア11に巻き付けている。また、その他のU相、W相の各コイルU1〜U8、W1〜W8の配置関係は、上記の
図1の実施形態と同様である。
【0042】
このようにステータ10に各コイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8を配置することで、U相第1コイルU1は、V相最終コイルV8と、V相最終コイルV8に接続される中間コイルであるV相第7コイルV7とに、ステータ10の半径方向に隣接するように配置される。また、V相第1コイルV1は、U相最終コイルU8と、U相最終コイルU8に接続される中間コイルであるU相第7コイルU7とに、ステータ10の半径方向に隣接するように配置される。また、V相第1コイルV1は、W相最終コイルW8と、W相最終コイルW8に接続される中間コイルであるW相第7コイルW7とに、ステータ10の半径方向に隣接するように配置される。
【0043】
さらに、W相第1コイルW1は、V相最終コイルV8と、V相最終コイルV8に接続される中間コイルであるV相第7コイルV7とに、ステータ10の半径方向に隣接するように配置される。このため、上記の
図1に示した実施形態と同様に、分布巻きかつ重ね巻のステータ10aを備える三相交流回転電機において、隣接するコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させるとともに、接続作業の容易化を図れる。
【0044】
すなわち、本実施形態では、各相の第1コイルU1,V1,W1は、他相の最終コイルU8、V8,W8と、他相の中間コイルである第7コイルU7、V7,W7とに、ステータ10の半径方向に隣接するように配置される構成を備える。この場合、インバータ80のスイッチング素子Sw(
図4参照)がスイッチングしたときに、最終コイルU8、V8,W8では共振時の電圧の振幅が最小となり、第7コイルU7、V7,W7も、最終コイルU8、V8,W8には劣るが電圧の振幅を十分に小さくできる。このため、上記のように各相の第1コイルU1,V1,W1は、他相の最終コイルU8、V8,W8と他相の第7コイルU7、V7,W7とに、ステータ10の半径方向に隣接するように配置することで、隣接するコイルU1〜U8、V1〜V8、W1〜W8同士での相間コイル間の最大電位差を小さくして絶縁性能を向上させることができる。その他の構成及び作用は、上記の
図1〜
図5に示した実施形態と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0045】
なお、上記の各実施形態と同様に、各相第1コイルは、各相最終コイルと、各相最終コイル及び各相第1コイルのうち、第1コイル側の中間コイルとに、ステータの周方向に隣接するように配置される構成を備えるのであれば、上記の各実施形態とは別の実施形態として、各相の第1コイルは、他相の最終コイル、または、他相の第1コイル、または他相の最終コイルに接続される中間コイルに、ステータの半径方向に隣接するように配置されている構成、または、各相の巻線のステータに対する巻き付け方向は、ステータの半径方向に隣り合う相同士で反対方向になっている構成を備えない構成を採用することもできる。この場合でも、上記の各実施形態と同様に、各相で複数のコイル間の接続線を短くでき、接続作業の容易化を図れる効果を得られる。