特許第5659414号(P5659414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5659414
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】自動変速機のバルブボディーカバー
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20150108BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   F16H57/04 J
   F16H61/00
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-185917(P2010-185917)
(22)【出願日】2010年8月23日
(65)【公開番号】特開2011-214716(P2011-214716A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2013年7月19日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0029200
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 承 勳
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−269683(JP,A)
【文献】 特開2004−218631(JP,A)
【文献】 実開昭54−023053(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディーを囲むように変速機ケースに取り付けられ、貫通孔を備えたカバープレートと、
取り付け状態で前記カバープレートの外側に位置するキャップ部と、前記キャップ部から前記貫通孔を貫通して挿入される挿入部とを備えたオイルレベルプラグと、
前記挿入部が前記貫通孔に挿入された状態で、前記オイルレベルプラグが前記カバープレートに対して相対回動することにより、前記キャップ部を前記カバープレート側に漸進的に移動させるように前記オイルレベルプラグと前記カバープレートに備えられた回動加圧手段と、
前記キャップ部が前記カバープレート側に移動することにより、前記キャップ部とカバープレートとの間で圧縮されることによって密封機能を行うシール部材と、
を含み、
前記回動加圧手段は、
前記挿入部に半径方向に突出して形成されたロック突起と、
前記ロック突起が特定位置においてのみ通過できるように前記カバープレートの前記貫通孔に拡張して形成された突起通過溝と、
前記突起通過溝を通過した前記ロック突起が前記カバープレートに対して回動することにより、前記カバープレートの内側に沿って移動できるように前記カバープレートの内側に螺旋状で突出して形成された螺旋突起部と、
を含んで構成されることを特徴とする自動変速機のバルブボディーカバー。
【請求項2】
前記ロック突起が前記螺旋突起部に沿って螺旋運動するように前記カバープレートに対して回動する前記オイルレベルプラグの回動範囲を一定範囲に制限する回動範囲制限手段が、前記オイルレベルプラグと前記カバープレートとの間にさらに備えられることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のバルブボディーカバー。
【請求項3】
前記回動範囲制限手段は、
前記キャップ部において前記カバープレートに向かって突出した制限突起と、
前記カバープレートに前記制限突起が挿入されて回動するように形成された円弧状制限溝と、
を含んで構成されることを特徴とする請求項2に記載の自動変速機のバルブボディーカバー。
【請求項4】
前記キャップ部は円盤形状に形成され、
前記制限突起は前記キャップ部の円盤形状の円周面外側に突出した状態で前記カバープレートに向かって突出し、
前記キャップ部の中央には工具を挿入して回転力を印加できる工具挿入溝がさらに備えられ、
前記シール部材は前記挿入部の外側に嵌められるリング形状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の自動変速機のバルブボディーカバー。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれか一項のバルブボディーカバーを備える自動変速機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動変速機のバルブボディーカバーに係り、より詳しくは、作業工数の短縮によって製造原価を下げ、重量を低減させ、耐久性を向上させた自動変速機のバルブボディーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機のバルブボディーは油圧を利用して自動変速機の作動を制御する装置であり、自動変速機の変速機ケース内に取り付けられ、その外側は変速機ケースに取り付けられるバルブボディーカバーに囲まれた状態で保護される。
バルブボディーカバーにはオイルレベルプラグが取り付けられ、変速機ケース内に適正量のオイルが存在するか否かを確認できるようになっている。
【0003】
従来のバルブボディーカバーは、金属製の場合は、オイルレベルプラグを取り付ける部分にナットを溶接し、プラスチック製の場合は、ナットを挿入し、ナットにボルトタイプのオイルレベルプラグを一定のトルクで取り付けるようにしている。
しかし、上記のような構造は、時間の経過に伴いナットがバルブボディーカバーから離脱し易くなり、またバルブボディーカバー製作時にナットの挿入または溶接等の作業工数増加が避けられないため、製作費用が増加し、金属製ナットによる重量増加などの問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−082644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ナットの挿入、溶接などの追加作業なしで、オイルレベルプラグの取付けを可能とすることにより作業工数短縮によって製造原価を下げ、重量を低減させ、耐久性を向上させた自動変速機のバルブボディーカバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明に係る自動変速機のバルブボディーカバーは、バルブボディーを囲むように変速機ケースに取り付けられ、貫通孔を備えたカバープレートと、取り付け状態で前記カバープレートの外側に位置するキャップ部と、前記キャップ部から前記貫通孔を貫通して挿入される挿入部とを備えたオイルレベルプラグと、前記挿入部が前記貫通孔に挿入された状態で、前記オイルレベルプラグが前記カバープレートに対して相対回動することにより、前記キャップ部を前記カバープレート側に漸進的に移動させるように前記オイルレベルプラグと前記カバープレートに備えられた回動加圧手段と、前記キャップ部が前記カバープレート側に移動することにより、前記キャップ部とカバープレートとの間で圧縮されることによって密封機能を行うシール部材と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0007】
前記回動加圧手段は、前記挿入部に半径方向に突出して形成されたロック突起と、前記ロック突起が特定位置においてのみ通過できるように前記カバープレートの前記貫通孔に拡張して形成された突起通過溝と、前記突起通過溝を通過した前記ロック突起が前記カバープレートに対して回動することにより、前記カバープレートの内側に沿って移動できるように前記カバープレートの内側に螺旋状で突出して形成された螺旋突起部と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0008】
前記ロック突起が前記螺旋突起部に沿って螺旋運動するように前記カバープレートに対して回動する前記オイルレベルプラグの回動範囲を一定範囲に制限する回動範囲制限手段が、前記オイルレベルプラグと前記カバープレートとの間にさらに備えられることを特徴とする。
【0009】
前記回動範囲制限手段は、前記キャップ部において前記カバープレートに向かって突出した制限突起と、前記カバープレートに前記制限突起が挿入されて回動するように形成された円弧状制限溝と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
前記キャップ部は円盤形状に形成され、前記制限突起は前記キャップ部の円盤形状の円周面外側に突出した状態で前記カバープレートに向かって突出し、前記キャップ部の中央には工具を挿入して回転力を印加できる工具挿入溝がさらに備えられ、前記シール部材は前記挿入部の外側に嵌められるリング形状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ナットを挿入、溶接により追加しなくても、バルブボディーカバーをなすカバープレートそのものにオイルレベルプラグを結合および解除できる構造を有するため、自動変速機バルブボディーカバーの工数短縮により製作原価を下げ、重量を低減させ、より確実で且つ安定した密閉作用で耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の自動変速機のバルブボディーカバーを示す図である。
図2図1の主要部を詳細に分解して示す図である。
図3図2のオイルレベルプラグを示す図である。
図4】カバープレートの貫通孔周辺の外側および内側を左右に順に比較して示す図である。
図5】オイルレベルプラグがカバープレートに取り付けられる作用を断面図で説明した図である。
図6】オイルレベルプラグがカバープレートに取り付けられる過程を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図4に示す通り、本発明のバルブボディーカバーは、バルブボディーを囲むように変速機ケースに取り付けられ、貫通孔1を備えたカバープレート3と、取り付け状態でカバープレート3の外側に位置するキャップ部5と、キャップ部5と貫通孔1を貫通して挿入される挿入部7とを備えたオイルレベルプラグ9と、挿入部7が貫通孔1に挿入された状態で、オイルレベルプラグ9がカバープレート3に対して相対回動することにより、キャップ部5をカバープレート3側に漸進的に移動させるようにオイルレベルプラグ9とカバープレート3に備えられた回動加圧手段と、キャップ部5がカバープレート3側に移動することにより、キャップ部5とカバープレート3との間で圧縮されることによって密封機能を行うシール部材11とを含んで構成される。
【0014】
これにより、従来、別ナットで構成された部分をカバープレート3に一体構成し、オイルレベルプラグ9も従来のようなボルトタイプから多少変形して、カバープレート3に対して最大限でも1回転以内の回動操作でオイルレベルプラグ9の組み立ておよび解体が可能になるようにした。
勿論、カバープレート3は貫通孔1付近の多少複雑な形状を一度に射出して成形できるプラスチック製が好ましく、ここに組み立てられるオイルレベルプラグ9も類似材質のプラスチック製とすることができる。
【0015】
本実施形態において、回動加圧手段は、挿入部7に半径方向に突出して形成されたロック突起13と、ロック突起13が特定位置においてのみ通過できるようにカバープレート3の貫通孔1に拡張して形成された突起通過溝15と、突起通過溝15を通過したロック突起13がカバープレート3に対して回動することにより、カバープレート3の内側に沿って移動できるようにカバープレート3の内側に螺旋状に突出して形成された螺旋突起部17とを含んで構成される。
【0016】
したがって、ロック突起13が突起通過溝15を通過できる状態で挿入部7を貫通孔1を通じて挿入された状態において、キャップ部5を回動させれば、図5に示すようにロック突起13が螺旋突起部17に沿って螺旋運動をすることにより、キャップ部5はカバープレート3側に移動する。
この時、シール部材11は、キャップ部5とカバープレート3との間においてキャップ部5の移動によって加圧され、キャップ部5とカバープレート3との間の空間を密封してカバープレート3内部のオイルが外部に漏れることを防止する。
【0017】
本実施形態において、シール部材11は、図2に示すように、挿入部7の外側に嵌められるリング形状に形成されることにより、オイルレベルプラグ9の挿入部7の全円周方向においてカバープレート3との間に隙間が発生しないように密閉する作用をする。
シール部材11の材質としては、ゴムや、ウレタンなどのような従来の一般的な密閉機能を担当する部品と同様の材料を用いることができる。
一方、本実施形態では、ロック突起13が螺旋突起部17に沿って螺旋運動するようにカバープレート3に対して回動するオイルレベルプラグ9の回動範囲を一定範囲に制限する回動範囲制限手段が、オイルレベルプラグ9とカバープレート3との間に備えられている。
【0018】
回動範囲制限手段は、キャップ部5においてカバープレート3に向かって突出した制限突起19と、カバープレート3に制限突起19が挿入されて回動するように形成された円弧状制限溝21とを含んで構成される。
キャップ部5は円盤形状に形成され、制限突起19はキャップ部5の円盤形状の円周面外側に突出した状態でカバープレート3に向かって突出し、キャップ部5の中央には工具を挿入して回転力を印加できる工具挿入溝23がさらに備えられた構造である。
【0019】
したがって、ロック突起13が突起通過溝15に合わせられた状態で、挿入部7が貫通孔1に挿入されれば、図6の上側のような状態となり、この状態で、工具挿入溝23に適切な工具を挿入して回動させれば、下側に示すように制限突起19が円弧状制限溝21が許容する範囲内のみで回動し止められる。勿論、このような回動によってキャップ部5とカバープレート3との間のシール部材11は十分に加圧され、目的とする密封機能を十分に遂行できる状態となる。
一方、キャップ部5の工具挿入溝23は、図示したような矩形溝の他にも、通常の六角レンチ溝や、ドライバーを挿入できる溝などに変形できることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1 ・・・貫通孔
3 ・・・カバープレート
5 ・・・キャップ部
7 ・・・挿入部
9 ・・・オイルレベルプラグ
11 ・・・シール部材
13 ・・・ロック突起
15 ・・・突起通過溝
17 ・・・螺旋突起部
19 ・・・制限突起
21 ・・・円弧状制限溝
23 ・・・工具挿入溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6