(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャッピング層及び該キャッピング層の両側の基板に不純物を注入してソースドレイン不純物領域を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
前記シリコン層をエッチングするためのエッチング液は111面に対するエッチング率が他の面に比べて低い特性を有するエッチング液であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【背景技術】
【0002】
高集的化された半導体素子を製造するにあたって、パターン微細化は必須である。微細化技術の進歩によって、今は40nm以下のゲート長さを有する超微細超高速半導体装置が作られている。
【0003】
このような超高速トランジスタを含む超微細半導体素子ではゲート電極のすぐ下のチャネル領域の面積が従来の半導体装置と比べて非常に小さい。このため、チャネル領域を走行する電子、又はホールの移動度はこのようなチャネル領域に印加された応力によって大きい影響を受ける。それで、このようなチャネル領域に印加される応力を最適化し、半導体装置の動作速度を向上させようとする試みが多く行われている。
【0004】
一般的にシリコン基板をチャネルとする半導体装置においては電子の移動度よりホールの移動度の方が小さいため、ホールをキャリアとするpチャネルMOSトランジスタの動作速度を向上させることが、半導体集積回路装置の設計の際に重要な課題となっている。
【0005】
このようなpチャネルMOSトランジスタではチャネル領域に一軸性の圧縮応力を印加することによって、キャリアの移動度が向上することが知られており、チャネル領域に圧縮応力を印加する手段として、
図1に概略的な構成を示している。
【0006】
図1は、PMOSトランジスタを示す断面図である。
【0007】
図1を参照すると、シリコン基板1上には、チャネル領域に対応してゲート絶縁膜2及びゲート電極3が形成されている。ゲート電極3の両側のシリコン基板1にはチャネル領域を確定するようにp型拡散領域1a、1bが形成されている。また、ゲート電極3の側壁には側壁スペーサ3A、3Bが形成されている。
【0008】
拡散領域1a、1bはそれぞれMOSトランジスタのソース及びドレインエクステンション領域として作用し、ゲート電極3のすぐ下のチャネル領域を通じて輸送されるホールの流れがゲート電極3に印加されたゲート電圧によって制御される。
【0009】
図1の構成では、シリコン基板1のうち、側壁スペーサ3A、3Bのそれぞれの外側にSiGe混晶層1A、1Bが形成されている。SiGe混晶層1A、1Bにはそれぞれ拡散領域1a、1bと接触するp型のソース及びドレイン領域が形成されている。
【0010】
図1の構成のMOSトランジスタにおいては、SiGe混晶層1A、1Bがシリコン基板1に対して、より大きい格子定数を有するため、SiGe混晶層1A、1Bの中には矢印aで示す凝縮応力が形成され、その結果、SiGe混晶層1A、1Bは矢印bで表記されるシリコン基板1の表面にほぼ垂直の方向に曲がる力が発生する。
【0011】
SiGe混晶層1A、1Bはシリコン基板1からエピタキシャル成長工程を通じて形成されるため、このような矢印bで示すSiGe混晶層1A、1Bでの応力によって、シリコン基板中のチャネル領域に、矢印cで示すように垂直方向に曲がる力が発生する。また、このような曲がる力によって、チャネル領域には矢印dで示した通り一軸性の圧縮応力が発生する。
【0012】
図1のMOSトランジスタでは、チャネル領域にこのような一軸性の圧縮応力が印加された結果、チャネル領域を構成するシリコン結晶の対称性が局所的に変形する。また、このような対称性の変化に従って、重いホールの価電子帯(valence band)と軽いホールの価電子帯が解けるため、チャネル領域でのホールの移動度が増加し、トランジスタの動作速度が向上する。このようなチャネル領域に局所的に切り離された応力によるホール移動道の増大及びこれに伴うトランジスタの動作速度の向上は特にゲート長さが50nm以下の超微細化半導体装置で顕著に示される。
【0013】
上述した技術的な背景は韓国登録特許10−0657395 B1(2006年12月7日)5ページの1〜22行及び
図1(特許文献4)を参照すると、よく説明されている。
【0014】
図2は、他の構造のPMOSトランジスタを示す断面図である。
【0015】
図2は、SiGe混晶層35が消耗したり劣化したりすることを防ぐために、シリコンファセット(Si facet)が含まれたキャッピング層40を有するMOSトランジスタを示す。
【0016】
図2を参照すると、SiGe混晶層35上にシリコンファセットを含むキャッピング層40を形成する場合、キャッピング層40の側壁傾斜を形成するためにシリコンをエピタキシャル成長させる時、HClを多量に供給しなければならない。しかし、HClを多量に供給する場合、シリコンファセットを含むキャッピング層にピット(pit)が発生する確率が高い。また、HClの供給によってエピタキシャル成長時のシリコンの成長速度が非常に低くなる。
【0017】
従って、膜の成長速度を高めるために工程温度を十分に高めなければならない。しかし、工程温度を高めた場合、熱的負担(thermal budget)によって不良が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ピッティング(pitting)不良が抑制され、簡単な工程を通じて形成することができる高性能のMOSトランジスタを含む半導体素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するためになされた本発明の一特徴による半導体素子の製造方法は、半導体基板にゲート電極を形成する段階と、前記ゲート電極に側壁スペーサを形成する段階と、前記側壁スペーサの両側の半導体基板を一部エッチングしてトレンチを形成する段階と、前記トレンチ内にSiGe混晶層を形成する段階と、前記SiGe混晶層上にシリコン層を形成する段階と、前記シリコン層の面の結晶方向に従って、エッチング率が異なるエッチング液を利用して前記シリコン層の一部をエッチングすることによって111傾斜面を有するシリコンファセット(Si facet)を含むキャッピング層を形成する段階と、を有する。
【0021】
本発明の一実施形態で、前記キャッピング層及び該キャッピング層の両側の基板に不純物を注入してソースドレイン不純物領域を形成することができる。
【0022】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層は形成しようとするキャッピング層より更に厚く形成することができる。
【0023】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層はエピタキシャル成長工程を通じて形成することができる。前記シリコン層は側壁が垂直傾斜を有するように結晶成長させることができる。
【0024】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層をエッチングするためのエッチング液は111面に対するエッチング率が他の面に対するエッチング率より低い特性を有するエッチング液であってもよい。
【0025】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層をエッチングするためのエッチング液は−OH基が含まれたエッチング液であってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態で、前記エッチング液はNH
4OH及びTMAHのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0028】
本発明の一実施形態で、前記キャッピング層上に金属シリサイド膜を形成することができる。
【0029】
本発明の一実施形態で、前記基板の上部面と
平行な平面とトレンチとの傾斜面との角度は40°〜90°
の範囲であってもよい。
【0030】
本発明の一実施形態で、前記SiGe混晶層は前記トレンチ内部を満たすように形成することができる。
【0031】
本発明の一実施形態で、前記側壁スペーサはシリコン酸化物で形成することができる。
【0032】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層を形成した後、前記シリコン層の側壁が露出するように前記側壁スペーサを除去する工程を遂行できる。
【0033】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の特徴による半導体素子の製造方法は、半導体基板にN型ゲート電極及びP型ゲート電極をそれぞれ形成する段階と、前記N型及びP型ゲート電極にそれぞれ第1及び第2側壁スペーサを形成する段階と、前記P型ゲート電極に形成された第2側壁スペーサの両側の半導体基板を一部エッチングしてトレンチを形成する段階と、前記トレンチ内にSiGe混晶層を形成する段階と、前記SiGe混晶層上にシリコン層を形成する段階と、前記シリコン層の面の結晶方向に従って、エッチング率が異なるエッチング液を利用して前記シリコン層の一部をエッチングすることによって111傾斜面を有するシリコンファセット(Si facet)を含むキャッピング層を形成する段階と、前記P型ゲート電極の両側の基板にP型不純物領域を形成する段階と、前記N型ゲート電極の両側の基板にN型不純物領域を形成する段階と、を有する。
【0034】
本発明の一実施形態で、前記N型ゲート電極及びP型ゲート電極表面と基板表面を覆う保護膜を形成することができる。前記保護膜はシリコン窒化物で形成することができる。
【0035】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層は形成しようとするキャッピング層より更に厚く形成することができる。
【0036】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層をエッチングするためのエッチング液は111面に対するエッチング率が他の面に対するエッチング率に比べて低い特性を有するエッチング液であってもよい。
【0037】
本発明の一実施形態で、前記シリコン層をエッチングするためのエッチング液は−OH基が含まれたエッチング液であってもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、SiGe混晶層上に111面を有するシリコンファセットを含むキャッピング層が形成された半導体素子を形成することができる。本発明の半導体素子はSiGe混晶層及びキャッピング層によってホールの移動度が高く、キャッピング層は高温熱処理を遂行せずに形成でき、熱的負担が殆ど発生しない。また、キャッピング層内にピッティング不良が殆ど発生しない。従って、電気的な特性と性能が優秀な半導体素子を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の半導体素子の製造方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0041】
本明細書で開示する本発明の実施形態に対して、特定の構造的又は機能的説明は単に本発明の実施形態を説明するための目的で例示したものであり、本発明の実施形態は多様な形態で実施され、本明細書で説明した実施形態に限定されるものと解釈してはならない。
【0042】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示して本明細書で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物、或いは代替物を含むものとして理解せねばならない。
【0043】
図3〜
図8は、本発明の一実施形態によるMOSトランジスタの形成方法を示した断面図である。
【0044】
図3を参照すると、半導体基板100に素子分離膜105を形成して、基板を活性領域と非活性領域に区分する。
【0045】
素子分離膜105はSTI(shallow trench isolation)工程で形成することができる。具体的に、基板100の一部をエッチングして素子分離用トレンチを形成した後、素子分離用トレンチ表面に薄く熱酸化膜を形成する。この後、CVD(chemical vapor deposition)、又はHDP(high definition plasma)工程を通じて、シリコン酸化物を素子分離用トレンチ内部に満たして平坦化する。
【0046】
半導体基板100上にゲート誘電膜110を形成する。ゲート誘電膜110は、シリコン酸化膜SiO
2、ハフニウム酸化膜HFO
2、タンタリウム酸化膜TA
2O
5、及びONO(oxide/nitride/oxide)膜のうちの少なくとも一つの膜で形成することができる。ゲート誘電膜110上にゲート電極120を形成するための導電膜を形成する。導電膜はCVD又はALD(atomic layer deposition)工程を通じて形成することができる。導電膜をパターニングすることによって、ゲート電極120を形成する。
【0047】
ゲート電極120を成す物質は、窒化チタニウムTiN、チタニウム/窒化チタニウムTi/TiN、窒化タングステンWN、タングステン/窒化タングステンW/WN、窒化タンタルTaN、タンタリウム/窒化タンタルTa/TaN、窒化チタニウムシルリコンTiSiN、及び窒化タングステンシリコンWSiNのうちのいずれか一つであってもよい。
【0048】
ゲート電極120の側壁に酸化膜スペーサ125を形成する。
【0049】
図4を参照すると、ゲート電極120の側壁の酸化膜スペーサ125をエッチングマスクとして、半導体基板100をエッチングすることによってトレンチ130を形成する。後続工程で、トレンチ130内部にSiGe混晶層が形成される。従って、トレンチ130は形成しようとするSiGe混晶層と同じ形状で形成されなければならない。
【0050】
半導体基板100の上部面とトレンチ130の傾斜面との角のθ値が40°〜90°の角度で形成し、望ましくは40°〜80°の角度を有する。最も望ましくはθ値が56°の場合、曲げ系を構成するにあたって最も効率的である。また、図示していないが、半導体基板100の上部面とトレンチ130の傾斜面が一つの角を有するのではなく、多数の傾斜角を有するようにトレンチを形成することができる。この場合、トレンチ内部にSiGe混晶層を充填して曲げ系を構成することによって、チャネル領域に圧縮応力が印加されるようにすることができる。
【0051】
このように、圧縮応力が印加されるようにしてチャネル領域を構成するシリコン結晶の対称性を局所的に変形させることによって、重いホールの価電子帯(valence band)と軽いホールの価電子帯が解けるため、チャネル領域でホールの移動度が増加して、これに伴い、トランジスタの動作速度が向上する。
【0052】
本実施形態ではn型及びp型MOSトランジスタの全ての領域にトレンチ130を形成する。図示していないが、トレンチ130はN型及びP型MOSトランジスタのうちのいずれか一つが形成される領域にだけ形成することもできる。
【0053】
図5を参照すると、トレンチ130内に、SiGe成長核を利用したエピタキシャル成長工程を遂行してSiGe混晶層135を形成する。SiGe混晶層135を形成すると、半導体基板100との格子定数の差に起因する一軸性の圧縮応力が素子領域ゲート電極の下のチャネル領域に印加される。この時、ゲート電極の下のチャネル領域には大きい凝縮応力が作用して電子及びホールの移動度を高め、特にホールの移動度が非常に高くなる。
【0054】
SiGe混晶層135を形成する時、SiGeソースガス及び塩化水素HClガスを共に供給して成長速度を調節することができる。SiGe混晶層135はトレンチ130内部を完全に満たすように形成する。
【0055】
SiGe混晶層135はソース/ドレインとならなければならない部分であるため、エピタキシャル成長工程の際、インシチュ(in situ)でp型又はn型不純物を添加することもできる。これとは違い、SiGe混晶層135を形成した後、SiGe混晶層135にp型又はn型不純物をドーピングすることができる。このように形成されたSiGe混晶層135はソース/ドレイン不純物領域となる。
【0056】
図6を参照すると、SiGe混晶層135の形成以後、SiGe混晶層135上にSi成長核を利用したエピタキシャル成長工程を遂行してエピタキシャルシリコン層140を形成する。
【0057】
エピタキシャルシリコン層140は側壁が傾斜を有するように形成することができる。即ち、エピタキシャルシリコン層140は半導体基板100の上部面とシリコン層140との側壁が一定の角度を有することによって、シリコンファセットが形成されるように成長させなくてもよい。従って、シリコンファセットを有するようにするための別途の工程条件が要求されない。
【0058】
従って、エピタキシャルシリコン層140を形成する工程において、側壁傾斜が生成されるようにするためにエピタキシャル成長工程速度を調節する塩化水素を使わなくてもよい。エピタキシャル成長工程において、塩化水素を使う場合、エピタキシャルシリコン層140の成長速度が非常に遅くなる。しかし、本実施形態の場合、塩化水素を使わないので、エピタキシャルシリコン層140をより速い速度で成長させることができる。このように、エピタキシャルシリコン層140を十分に速い速度で成長させることができるので、成長速度を向上させるために高温工程を遂行しなくてもよい。そのため、エピタキシャルシリコン層140を低温で容易に成長させることができる。
【0059】
従って、一般的にエピタキシャルシリコン層140を形成する工程において塩化水素の使い過ぎにより、エピタキシャルシリコン層140に発生するピッティング不良現象を抑制することができる。また、本実施形態の場合にはエピタキシャルシリコン層140を低温で成長させるので、高温で工程が進行する時に発生する熱的な問題点を解決することができる。
【0060】
エピタキシャルシリコン層140は後続の湿式工程を通じてシリコンファセットを有するシリコンキャッピング層で加工されなければならない。従って、エピタキシャルシリコン層140は最終的に形成しようとするシリコンキャッピング層より更に厚く形成しなければならない。一例として、エピタキシャルシリコン層140は500Åから1000Å程度成長させる。
【0061】
図7を参照すると、酸化膜スペーサ125を除去してエピタキシャルシリコン層140の側壁が露出するようにする。この後、エピタキシャルシリコン層140を面の結晶方向に従って、エッチング率が異なるエッチング液を利用して湿式エッチング工程を遂行する。具体的に、エッチング対象膜で111面のエッチング率が他の面に比べて低い特性を有するエッチング液を用いて湿式エッチング工程を遂行する。これで、111面のシリコンファセット(Si facet)を有するシリコンキャッピング層145を形成することができる。
【0062】
湿式エッチング溶液は−OH基が含まれたエッチング液であってもよい。湿式エッチング溶液の具体的な例としては、水酸化アンモニウムNH
4OH、TMAH(tetramethylammonium hydroxide)などが挙げられる。湿式エッチング溶液を用いてエピタキシャルシリコン層140をエッチングすると、エピタキシャルシリコン層140の111面はゆっくりとエッチングされ、100面は早くエッチングされる。従って、エピタキシャルシリコン層140の側壁が傾斜を有するようにエッチングされることによって、図面のように111面を有するシリコンファセットを含むシリコンキャッピング層145が形成される。
【0063】
エッチング工程において、エピタキシャルシリコン層140の111面がエッチングされながら、半導体基板100と接しているエピタキシャルシリコン層140がエッチングされる時、エッチング工程を中断することができる。
【0064】
上述した工程を遂行すると、ピッティングや熱的な問題点を発生することなく111面を有するシリコンキャッピング層145を形成することができる。また、下部のSiGe混晶層135が磨耗することを抑制でき、ソース/ドレインを正常に形成することができる。また、シリコンキャッピング層145が111面を有することによって、後のLDD(lightly doped drain)構造の形成のための不純物注入、又はハロー(halo)不純物注入工程の際に、正確な角度で不純物を注入させることができる。これに加え、ソースドレインの抵抗を減らすためにソースドレイン上に金属シリサイド膜を形成する場合、金属シリサイド膜を容易に形成することができる。
【0065】
図8を参照すると、シリコンキャッピング層145の上部面を一部エッチングしてキャッピング膜パターン150を形成する。この後、キャッピング膜パターン150のシリコンファセットの傾斜角を利用して不純物を注入することによって、低濃度ソースドレイン不純物領域160及び高濃度ソースドレイン不純物領域を形成する。低濃度ソースドレイン不純物領域160はSiGe混晶層135の側面と隣接する半導体基板100に形成される。また、高濃度ソースドレイン不純物領域はSiGe混晶層135及びキャッピング膜パターン150に形成される。この工程によって、低濃度ソースドレイン不純物領域160と高濃度ソースドレイン不純物領域を含むLDD構造のソースドレインが完成する。
【0066】
また、デバイスの要求に応じて、シリコンファセットの傾斜角を用いて、ハロー不純物を基板、キャッピング膜パターン150、及びSiGe混晶層135内に注入することもできる。
【0067】
上記製造方法の説明通り、シリコンファセットを含むキャッピング膜パターン150を形成する工程において、塩化水素を過量入れずに工程を進行したり、高い温度で工程を進行したりしなくてもよい。これによって、塩化水素によるピット(pit)性不良や熱的なダメージを最小化することができる。
【0068】
図9〜
図18は、本発明の一実施形態による高性能のMOSトランジスタを含む半導体デバイスの製造方法を説明するための工程断面図である。
【0069】
図9を参照すると、半導体基板200に素子分離膜205を形成して、基板を活性領域と非活性領域に区分する。半導体基板200は、nMOSトランジスタが形成される領域はAに、pMOSトランジスタが形成される領域はBに区分される。
【0070】
MOSトランジスタにおいてチャネル層の両側でSiGe混晶層が形成される場合、ホールの移動度が向上する。従って、nMOSトランジスタよりはpMOSトランジスタの性能が一層向上する。従って、本実施形態は発明の思想を最も効率的に遂行するためにpMOS領域にだけSiGe混晶層及びシリコンファセットを有するキャッピング膜を含んだ半導体デバイスを形成しようとする。
【0071】
素子分離膜205はSTI(shallow trench isolation)工程を用いて形成する。具体的に、基板200の一部をエッチングして素子分離用トレンチを形成した後、素子分離用トレンチ表面に薄く熱酸化膜を形成する。この後、CVD(chemical vapor deposition)、又はHDP(high density plasma)工程を通じてシリコン酸化物を素子分離用トレンチ内部に満たして平坦化する。
【0072】
平坦化された半導体基板200にゲート誘電膜210を形成する。ゲート誘電膜210は、シリコン酸化膜SiO
2、ハフニウム酸化膜HfO
2、タンタリウム酸化膜Ta
2O
5、及びONO(oxide/nitride/oxide)膜のうちの少なくとも一つの膜を含んで形成できる。ゲート誘電膜210上にゲート電極215になる導電膜を形成する。導電膜はCVD又はALD工程を通じて形成できる。
【0073】
ゲート電極215になる導電物質は、窒化チタニウムTiN、チタニウム/窒化チタニウムTi/TiN、窒化タングステンWN、タングステン/窒化タングステンW/WN、窒化タンタルTaN、タンタリウム/窒化タンタルTa/TaN、窒化チタニウムシルリコンTiSiN、及び窒化タングステンシリコンWSiNのうちの少なくともいずれか一つであってもよい。必要によって、ゲート電極215上にハードマスク220を形成する。以後、ハードマスク220をエッチングマスクとして使い、導電膜をパターニングすることによって、ゲート電極構造(ゲート電極215、ハードマスク220)を形成する。即ち、nMOS領域にはnMOSトランジスタ用ゲート電極構造が形成され、pMOS領域にはpMOSトランジスタ用ゲート電極構造が形成される。
【0074】
図10を参照すると、半導体基板200とゲート電極構造(215、220)を覆う保護膜225を形成する。保護膜225はシリコン窒化物で形成することができる。この後、保護膜225上にシリコン酸化膜をデポ(deposit)した後、シリコン酸化膜を異方性エッチングすることによって、側壁スペーサ230を形成する。側壁スペーサ230を形成した後、nMOS領域にだけソースドレイン不純物領域233を形成する。
【0075】
図示していないが、nMOS領域に形成されるソースドレイン不純物領域はSiGe混晶層形成以後の段階で形成することもできる。即ち、nMOS領域のソースドレイン不純物領域を形成するための工程の順序は変更することができる。例えば、SiGe混晶層形成時の温度によって、nMOSソースドレイン不純物領域233に悪影響が加えられる場合には、SiGe混晶層を形成した後に、nMOSソースドレイン不純物領域233を形成する。
【0076】
図11を参照すると、pMOS領域の基板だけが露出するようにnMOS領域を覆う感光膜235を形成する。
【0077】
pMOS領域の領域Bの半導体基板200に形成されたゲート電極215の側壁スペーサ230をエッチングマスクとして使い、半導体基板200をエッチングすることによって、トレンチ240を形成する。トレンチ240は半導体基板200の上部面とトレンチ240の傾斜面の角のθ値が40°〜90°になるように形成し、望ましくは40°〜80°になるように形成する。最も望ましくはθ値が56°の場合が曲げ系を構成するにあたって最も効率的である。また、半導体基板200の上部面とトレンチ240の傾斜面が成す角が一つの角でなく、図示していないが、多数の傾斜角を有するようにトレンチを形成することもできる。この場合、トレンチ内部にSiGe混晶層を充填して曲げ系を構成することによって、チャネル領域に圧縮応力が印加されるようにすることができる。
【0078】
図12を参照すると、pMOS領域の半導体基板200に形成されたトレンチ240内にSiGe成長核を利用したエピタキシャル成長工程を遂行してSiGe混晶層245を形成する。SiGe混晶層245を形成すると、半導体基板200との格子定数の差に起因する一軸性の圧縮応力がpMOS領域のゲート電極215の下のチャネル領域に印加される。この時、ゲート電極215の下のチャネル領域には大きい凝縮応力が作用してホールの移動度が高まる。本実施形態の場合、pMOS領域にSiGe混晶層245を形成するので、完成したpMOSトランジスタのホールの移動度が高まり、デバイス特性が画期的に良くなる。
【0079】
即ち、SiGe混晶層245の形成によって生成された圧縮応力がチャネル領域を構成するシリコン結晶の対称性を局所的に変形させる。従って、重いホールの価電子帯(valence band)と軽いホールの価電子帯が解けるため、チャネル領域でホールの移動度が増加し、トランジスタの動作速度が向上する。
【0080】
SiGe混晶層245の形成時、SiGeソースガス及び塩化水素ガスを共に供給して成長速度を調節することができる。また、工程温度を変化させることによって、成長速度を調節することができる。従って、二つの工程変数を適切に調節して成長速度を決めることができる。SiGe混晶層245はトレンチ240内部を完全に満たすように形成する。
【0081】
SiGe混晶層245の形成工程は、400℃〜550℃の間で、シランSiH
4ガスのSi気相原料とゲルマンGeH
4ガスのGeの気相原料を下にして、塩化水素を触媒ガスとして使い、エピタキシャル成長させることによって遂行する。
【0082】
このようなSiGe混晶層245をエピタキシャル成長させる時、トレンチの底面又は側壁面に、Siの100面又は111面が露出していると、結晶欠陥が殆どないSiGe混晶層245を形成することができる。従って、トレンチ240が傾いた側壁面を有している時、特にSiGe混晶層245の形成が有利である。
【0083】
トレンチの内部に満たされたSiGe混晶層245は半導体基板200との格子定数の差に起因する一軸性の圧縮応力をpMOS領域のゲート誘電膜210の下のチャネル領域に印加する役割をする。従って、チャネル領域に応力を集中させることができる構造でトレンチを形成することが望ましい。
【0084】
また、SiGe混晶層245は後続工程を通じてソースドレインになる部分であるため、エピタキシャル成長工程を遂行する時、インシチュでp型不純物を添加してソースドレイン不純物領域になるようにすることができる。これとは違い、SiGe混晶層245を形成した後、SiGe混晶層245にp型不純物をドーピングすることができる。
【0085】
図13を参照すると、Si成長核を利用してエピタキシャル工程を遂行してエピタキシャルシリコン層250を形成する。
【0086】
エピタキシャルシリコン層250は側壁が垂直の傾斜を有するように形成することができる。即ち、エピタキシャルシリコン層250は基板及び側壁が垂直以下の一定の角度を有することによって、シリコンファセットが形成されるように成長させなくてもよい。従って、シリコンファセットを有するようにするための別途の工程条件が要求されない。
【0087】
従って、エピタキシャルシリコン層250を形成する工程において、側壁傾斜が生成されるようにするためにエピタキシャル成長工程速度を調節する塩化水素を使わなくてもよい。このように、エピタキシャル成長工程速度を大きく減少させる塩化水素が使われないので、エピタキシャルシリコン層250をより速い速度で成長させることができる。また、エピタキシャルシリコン層250を十分に速い速度で成長させることできるので、成長速度を向上させるために高温工程を遂行しなくてもよい。そのため、エピタキシャルシリコン層250を低温で簡単に成長させることができる。
【0088】
エピタキシャルシリコン層250を形成する工程において塩化水素を使う場合、エピタキシャルシリコン層250にピッティング不良が発生することがある。しかし、本実施形態の場合、エピタキシャルシリコン層250を形成する時、塩化水素を使わないため、ピッティング不良を抑制することができる。これに加え、本実施形態の場合にはエピタキシャルシリコン層250を低温で成長させることが可能なので、高温で工程が進行する時に発生する熱的な問題点を解決することができる。
【0089】
エピタキシャルシリコン層250は、後続の湿式エッチング工程を通じて、シリコンファセットを有するシリコンキャッピング層で加工されなければならない。従って、エピタキシャルシリコン層250は最終的に形成しようとするシリコンキャッピング層より更に厚く形成しなければならない。エピタキシャルシリコン層250は約500Åから約1000Å程度の厚さに成長させる。
【0090】
エピタキシャルシリコン層250はSiGe混晶層245の上部面から結晶成長する。
【0091】
図14を参照すると、ゲート電極215の側壁に形成された側壁スペーサ230を除去する。これで、エピタキシャルシリコン層250の側壁が外部に露出する。
【0092】
この後、エピタキシャルシリコン層250を湿式エッチングして111面のシリコンファセットを含むシリコンキャッピング層255を形成する。湿式エッチングはエピタキシャルシリコン層250の面の結晶方向によって、エッチング率が異なるエッチング液を使い遂行する。即ち、エピタキシャルシリコン層250の111面では他の面よりエッチング率が低いエッチング液を使う。
【0093】
具体的に、湿式エッチング溶液としては、−OH基が含まれたエッチング液を使うことができる。湿式エッチング溶液の具体的な例としては、NH
4OH、TMAHなどが挙げられる。湿式エッチング溶液を使うと、エピタキシャルシリコン層250の側壁が傾斜を有するようにエッチングされることによって、図面のように111面を有するシリコンファセットを含むシリコンキャッピング層255が形成される。
【0094】
シリコンキャッピング層255を形成するためのエッチング工程において、エピタキシャルシリコン層250の111面がエッチングされながら、半導体基板200と接しているエピタキシャルシリコン層250がエッチングされる時、エッチング工程を中断することができる。
【0095】
上述した工程を遂行すると、ピッティング不良や熱的負担なしに111面を有するシリコンキャッピング層255を形成することができる。また、下部のSiGe混晶層245が磨耗することを抑制でき、PMOSトランジスタのソース/ドレインを正常に形成することができる。また、シリコンキャッピング層255が111面を有することによって、後のLDD構造の形成のための不純物注入、又はハロー不純物注入工程の際に、正確な角度で不純物を注入させることができる。
【0096】
感光膜(図示せず)を用いてnMOS領域を覆う。そして、シリコンファセットの傾斜角を利用してpMOS領域にP型不純物を注入することによって、低濃度ソースドレイン不純物領域265及び高濃度ソースドレイン不純物領域を形成する。低濃度ソースドレイン不純物領域265はSiGe混晶層245の側面と隣接するpMOS領域の半導体基板200に形成される。また、高濃度ソースドレイン不純物領域はSiGe混晶層245及びシリコンキャッピング層255に形成される。従って、低濃度ソースドレインと高濃度ソースドレインを含むLDD構造のソースドレインが完成する。
【0097】
この後、感光膜(図示せず)を用いてpMOS領域を覆い、nMOS領域にN型不純物を注入させてLDD構造のN型ソースドレイン不純物領域268を形成する。
【0098】
また、デバイスの要求によっては、キャッピング膜パターンに含まれたシリコンファセットの傾斜角を利用して、ハロー不純物を注入することもできる。
【0099】
これで、pMOS領域にはSiGe混晶層245を含み、ホールの移動度が高いPMOSトランジスタが完成する。また、pMOSトランジスタはLDD構造のソースドレインを含む。また、nMOS領域にはSiGe混晶層が含まれないNMOSトランジスタが完成する。
【0100】
図15を参照すると、不純物注入後、湿式エッチング工程を遂行して保護膜225を除去する。すると、ゲート電極215の側壁には相対的に高い誘電率を有する保護膜225が除去されるため、ゲート電極215と低濃度ソースドレイン不純物領域265との間で生成される寄生キャパシタンスが減少する。従って、電気的な特性が優秀なデバイスを作ることができるようになる。
【0101】
保護膜225の除去後、シリコンキャッピング層の上部面をエッチングして、キャッピング膜パターン260を形成する。キャッピング膜パターン260が形成されることによって、後続工程でソースドレインの金属シリサイド膜を容易に形成することができる。そして、キャッピング膜パターン260は、膜内の結晶欠陥や不純物が殆どなく、シリコン成分が豊富で金属シリサイド膜の形成時、これとの結合力がよい。従って、キャッピング膜パターン260との接着力が優秀で、低抵抗を有する金属シリサイド膜を形成できるようになる。
【0102】
図16を参照すると、金属シリサイド工程を通じてソースドレイン上に金属シリサイド膜270を形成する。この時、pMOS領域はシリコンファセットを含むキャッピング膜パターン260の上部面に金属シリサイド膜270が形成される。また、nMOS領域には、不純物領域が形成された基板200上に金属シリサイド膜270が形成される。金属シリサイド膜270の形成物質としては、ニッケルシリサイド、コバルトシリサイドなどを使うことができる。
【0103】
図17を参照すると、半導体基板200及びゲート電極215を覆う第1層間絶縁膜275を形成する。第1層間絶縁膜275上にエッチング防止膜280を形成する。この後、コンタクト形成工程やダマシン工程を利用して第1層間絶縁膜275に第1金属配線285を形成する。第1金属配線には、銅、タングステンなどのように抵抗が少ない物質を使う。
【0104】
図18を参照すると、エッチング防止膜280上に第2層間絶縁膜290を形成する。第2層間絶縁膜290にコンタクト形成工程やダマシン工程を利用して第2金属配線295を形成する。第2金属配線は、銅、タングステンなどのような物質を使い形成する。第2金属配線295の形成後、上部保護膜300を形成する。
【0105】
上記製造方法の説明通り、塩化水素を過量入れて工程を進行したり、高い温度で工程を進行したりせずに、シリコンファセットを含むキャッピング膜パターン260を形成することができる。これに伴い、塩化水素によるピッティング(pit)性不良や熱的なダメージを最小化することができる。
【0106】
そして、上記方法によりキャッピング膜パターン260を形成することによって、SiGe混晶層245の摩耗を防ぎ、良質の金属シリサイド膜を形成でき、電気的な特性が優秀な半導体デバイスを作ることができる。
【0107】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。