(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表裏がN極面とS極面とから成る第1の環状永久磁石を持つ機械振動子と、この機械振動子を前記N極面と前記S極面とに亘る板厚方向へ懸架バネ手段を介して支持する固定部と、この固定部に支持されて前記第1の環状永久磁石の中央孔を貫通した磁性芯体と、この磁性芯体の外周面に嵌って前記中央孔の内周面に面した第1の筒状のコイルとを有し、前記第1の筒状のコイルに隣接し、前記磁性芯体の外周面に嵌って前記中央孔の内周面に面した第2の筒状のコイルを有し、前記機械振動子は前記N極面と前記S極面のうち少なくとも一方の磁極面に重ね合せられて内周縁が前記第1の筒状のコイルの外周面に臨む第1の環状ポールピースを備え、前記固定部は凹状ケースとこの開口側に固定した端板とを有し、前記第1の筒状のコイルを同径に積み上げた第2の筒状のコイルは印刷配線板上に搭載されており、前記端板は前記第1及び第2の筒状のコイルの通過可能な大きさの透孔を有することを特徴とする振動発生装置。
請求項1に記載の振動発生装置において、前記機械振動子は、前記第1の環状永久磁石の磁極面のうち前記第1の環状ポールピースとは反対の磁極面に重ね合わせられて内周縁が前記磁性芯体の外周面に臨む第2の環状ポールピースを備えて成ることを特徴とする振動発生装置。
請求項3又は請求項4に記載の振動発生装置において、前記第1の環状ポールピースは、前記第1の環状永久磁石のS極面に重なり、前記第2の環状ポールピースは前記第1の環状永久磁石のN極面に重なり、前記磁性芯体は、前記第1の筒状のコイルと前記第2の筒状のコイルとの内部に跨った中央鉄芯体と、前記第1の筒状のコイル内で前記中央鉄芯体の一端面にS極面を重ねた第1永久磁石芯体と、前記第2の筒状のコイル内で前記中央鉄芯体の他端面にN極面を重ねた第2永久磁石芯体とを有することを特徴とする振動発生装置。
請求項1に記載の振動発生装置において、前記機械振動子は、N極端面とS極端面とから成る第2の環状永久磁石を有し、前記第1の環状永久磁石と前記第2の環状永久磁石との同極の磁極面同士で前記第1の環状ポールピースを挟み込んで成ることを特徴とする振動発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の振動リニアアクチュエータ51においては、コイル52に流れる交番電流によって内ヨーク53の軸方向両端はS極とN極とに交互に切り換わるが、外ヨーク54の外周面が永久磁石55の内周面の磁極に対する逆磁極であり、外ヨーク54の外周面の磁極の方は永久磁石55の直線往復振動を抑制するように影響しているため、永久磁石55の内周面から外ヨーク54の外周面までの径方向距離を長くしてその影響を弱める必要がある。外ヨーク54の外径を大きく設定すればする程、振動リニアアクチュエータの小型化に逆行することは勿論、永久磁石55の磁気回路が開ループ化して漏洩磁束が多くなり、振動力が弱くなり、必要な振動力を得るには、コイル52のターン数増加による大型化や交番電流の増加による消費電力の増大を招く。
【0006】
そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題は、機械振動子に搭載の永久磁石の磁気回路を閉ループ化することにより、小型でありながら高振動力が得られる振動発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る振動発生装置は、表裏がN極面とS極面とから成る第1の環状永久磁石を持つ機械振動子と、この機械振動子をN極面とS極面とに亘る板厚方向へ懸架バネ手段を介して支持する固定部と、この固定部に支持されて第1の環状永久磁石の中央孔を貫通した磁性芯体と、この磁性芯体の外周面に嵌って中央孔の内周面に面した第1のトロイダルコイル
(筒状のコイル)とを有し、機械振動子はN極面とS極面のうち少なくとも一方の磁極面に重ね合せられて内周縁が第1のトロイダルコイルの外周面に臨む第1の環状ポールピースを備えていることを特徴とする。
【0008】
斯かる構造において、第1の環状永久磁石の磁化方向が磁性芯体と平行な軸方向であり、N極面からS極面への磁力線は、第1の環状ポールピースの内周縁と磁性芯体の外周面との間で第1のトロイダルコイルに流れる電流を横切って電磁力を発生させるための第1の集中磁束路と、環状ポールピースのない磁極面では磁性芯体の外周面に対する空隙磁路と、磁性芯体内の低磁気抵抗路とから成る磁気抵抗の低い短絡閉ループを形成することから、第1の集中磁束路において第1のトロイダルコイルへの給電の交番に伴い環状永久磁石に加わる電磁力が軸方向に対して正逆交替となるので、従前の磁気吸反発による駆動の場合に比し、高振動力で駆動できる。そして、N極面とS極面のうち第1の環状永久磁石の外周側部分の磁力線は環状永久磁石の厚み方向で短絡することになるため、第1の集中磁束路や空隙磁路に悪影響を及ぼさないので、装置の小型化を実現できる。
【0009】
機械振動子としては、第1の環状永久磁石の磁極面のうち第1の環状ポールピースとは反対の磁極面に重ね合わせられて内周縁が磁性芯体の外周面に臨む第2の環状ポールピースを備えて成る場合、第2の環状ポールピースを設けたことによりもう一方の磁極面と磁性芯体の外周面との間も第2の集中磁束路となるため、磁気抵抗を更に下げることができ、振動力の増強に繋がる。
【0010】
そして、第1のトロイダルコイルに隣接し、磁性芯体の外周面に嵌って中央孔の内周面に面した第2のトロイダルコイル
(筒状のコイル)を有し、第2の環状ポールピースの内周縁が第2のトロイダルコイルの外周面に臨んでいることが望ましい。第2のトロイダルコイルへの給電方向によっては第2の集中磁束路においても第1の集中磁束路における電磁力と同じ方向の電磁力を発生させることができるため、振動力の倍増と装置の小型化に寄与する。
【0011】
第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルとは並列接続でも構わないが、給電端末の本数を減らすためには、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルとは捲線が互い逆巻で直列接続して成ることが望ましい。
【0012】
固定部は凹状ケースとこの開口側に固定した端板とを有し、第1のトロイダルコイルを同径に積み上げた第2のトロイダルコイルは印刷配線板上に搭載されており、端板は第1及び第2のトロイダルコイルの通過可能な大きさの透孔を有することを特徴とする。凹状ケースと端板との組み付け体を得てから、端板の透孔を介して機械振動子のダンパーとして機能するための磁性流体を環状永久磁石の内周面に簡単に注入塗布できるばかりか、この後、この透孔から第1及び第2のトロイダルコイルを差し入れて印刷配線板を端板の裏面に固定することができ、製造の容易化を図ることができる。
【0013】
振動発生装置からの電波ノイズ発生を防止するには、凹状ケースと端板から成る外囲器を接地シールドする必要があるが、端板に対する接地電位の給電構造として、端板は、印刷配線板の裏面に貼着した導電性ゴムに対して印刷配線板に形成した切欠きを介して接触する導通突起を有することが望ましい。端板と印刷配線板のパターンとの接続構造ではなく、端板の通電突起と導電性ゴムの直接接続構造であるため、端板のプレス成形の際に導通突起を得ることができ、低コスト化を実現できる。
【0014】
第1の環状ポールピースは環状永久磁石のS極面に重なり、第2の環状ポールピースは環状永久磁石のN極面に重なり、磁性芯体は、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルとの内部に跨った中央鉄芯体と、第1のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の一端面にS極面を重ねた第1永久磁石芯体と、第2のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の他端面にN極面を重ねた第2永久磁石芯体とを有することが望ましい。斯かる構成では、第2の環状ポールピースから第2のトロイダルコイルを貫いて磁性芯体に入る磁力線は、トロイダルコイルへの給電の交番があっても、第2永久磁石芯体の磁化方向から中央鉄芯体の磁化方向を介して第1永久磁石芯体の磁化方向を通って第1のトロイダルコイルを貫いて第1の環状ポールピースへ流れ込むため、磁性芯体内の磁気抵抗を更に低減でき、振動力の増強と装置小型化に寄与する。
【0015】
他方、第1の環状ポールピースは環状永久磁石のS極面に重なり、第2の環状ポールピースは環状永久磁石のN極面に重なり、磁性芯体は、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルとの内部に跨って磁化方向が環状永久磁石の磁化方向とは逆方向の中央永久磁石芯体と、第1のトロイダルコイル内で中央永久磁石芯体のN極面に重ねた第1鉄芯体と、第2のトロイダルコイル内で中央永久磁石芯体のS極面に重ねた第2鉄芯体とを有する構成も採用できる。斯かる構成でも、第2の環状ポールピースから第2のトロイダルコイルを貫いて磁性芯体に入る磁力線は、トロイダルコイルへの給電の交番があっても、第2鉄芯体の磁化方向から中央永久磁石芯体の磁化方向を介して第1鉄芯体の磁化方向を通って第1のトロイダルコイルを貫いて第1の環状ポールピースへ流れ込むため、磁性芯体内の磁気抵抗を更に低減でき、振動力の増強と装置小型化に寄与する。
【0016】
別の機械振動子の構成としては、第1の環状永久磁石と第1の環状ポールピースとの外、N極端面とS極端面とから成る第2の環状永久磁石を有し、第1の環状永久磁石と第2の環状永久磁石の同極の磁極面同士で第1の環状ポールピースを挟み込んで成る。斯かる構成では、第1の集中磁束路での磁束密度が略倍増するので、振動力の増強に寄与する。
【0017】
そして、機械振動子は、第1の環状永久磁石及び第2の環状永久磁石の磁極面のうち第1の環状ポールピースとは反対の端面に重ね合わせられて内周縁が磁性芯体の外周面に臨む第2及び第3の環状ポールピースを備えて成ることが望ましい。第2の環状ポールピースの内周縁と磁性芯体の外周面との間が第2の集中磁束路となり、第3の環状ポールピースの内周縁と磁性芯体の外周面との間が第3の集中磁束路となるため、磁気抵抗を更に下げることができ、振動力の増強に繋がる。
【0018】
機械振動子が3つのトロイダルコイルを有する場合は、第1のトロイダルコイルを中央にして隣接し、磁性芯体の外周面に嵌って中央孔の内周面に面した第2及び第3のトロイダルコイル
(筒状のコイル)を有し、第2及び第3の環状ポールピースの内周縁が対応する第2及び第3のトロイダルコイルの外周面に臨んでいることが望ましい。第2及び第3のトロイダルコイルへの給電方向によっては第2及び第3の集中磁束路においても第1の集中磁束路における電磁力と同じ方向の電磁力を発生させることができるため、振動力の増強を実現できる。
【0019】
第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルと第3のトロイダルコイルは並列接続でも構わないが、給電端末の本数を減らすためには、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルとは捲線が互い逆巻で直列接続して成り、第1のトロイダルコイルと第3のトロイダルコイルとは捲線が互い逆巻で直列接続して成ることが望ましい。
【0020】
そして、第1の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のN極面に重なり、第2の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のS極面に重なり、第3の環状ポールピースは第2の環状永久磁石のS極面に重なり、磁性芯体は、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルと第3のトロイダルコイルとの内部で跨った中央鉄芯体と、第2のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の一端面にS極面を重ねた第1永久磁石芯体と、第3のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の他端面にS極面を重ねた第2永久磁石芯体とを有することが望ましい。
【0021】
斯かる構成では、第1の環状ポールピースから第1のトロイダルコイルを貫いて磁性芯体に入る磁力線は、トロイダルコイルへの給電の交番があっても、中央鉄芯体から第1永久磁石芯体の磁化方向を介して第2のトロイダルコイルを貫いて第2の環状ポールピースへ流れ込むと共に、中央鉄芯体から第2永久磁石芯体の磁化方向を介して第3のトロイダルコイルを貫いて第3の環状ポールピースへ流れ込むので、磁性芯体内の磁気抵抗を更に低減でき、振動力の増強と装置小型化に寄与する。
【0022】
また逆に、第1の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のS極面に重なり、第2の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のN極面に重なり、第3の環状ポールピースは第2の環状永久磁石のN極面に重なり、磁性芯体は、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイルと第3のトロイダルコイルとの内部で跨った中央鉄芯体と、第2のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の一端面にN極面を重ねた第1永久磁石芯体と、第3のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の他端面にN極面を重ねた第2永久磁石芯体とを有する構成を採用できる。
【0023】
他方、第1の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のN極面に重なり、第2の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のS極面に重なり、第3の環状ポールピースは第2の環状永久磁石のS極面に重なり、磁性芯体は、第1のトロイダルコイルの内部に収まる中央鉄芯体と、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の一端面にS極面を重ねた第1永久磁石芯体と、第1のトロイダルコイルと第3のトロイダルコイル内で中央磁性芯体の他端面にS極面を重ねた第2永久磁石芯体と、第2のトロイダルコイル内で第1永久磁石芯体のN極面に重ねた第1端部鉄芯体と、第3のトロイダルコイル内で第2永久磁石芯体のN極面に重ねた第2端部鉄芯体とを有する構成も採用できる。
【0024】
斯かる構成でも、第1の環状ポールピースから第1のトロイダルコイルを貫いて磁性芯体に入る磁力線は、トロイダルコイルへの給電の交番があっても、中央鉄芯体から第1永久磁石芯体の磁化方向と第1端部鉄芯体の磁化方向を介して第2のトロイダルコイルを貫いて第2の環状ポールピースへ流れ込むと共に、中央鉄芯体から第2永久磁石芯体の磁化方向と第2端部鉄芯体の磁化方向を介して第3のトロイダルコイルを貫いて第3の環状ポールピースへ流れ込むので、磁性芯体内の磁気抵抗を更に低減でき、振動力の増強と装置小型化に寄与する。
【0025】
また逆に、第1の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のS極面に重なり、第2の環状ポールピースは第1の環状永久磁石のN極面に重なり、第3の環状ポールピースは第2の環状永久磁石のN極面に重なり、磁性芯体は、第1のトロイダルコイルの内部に収まる中央鉄芯体と、第1のトロイダルコイルと第2のトロイダルコイル内で中央鉄芯体の一端面にN極面を重ねた第1永久磁石芯体と、第1のトロイダルコイルと第3のトロイダルコイル内で中央磁性芯体の他端面にN極面を重ねた第2永久磁石芯体と、第3のトロイダルコイル内で第1永久磁石芯体のS極面に重ねた第1端部鉄芯体と、第2のトロイダルコイル内で第2永久磁石芯体のS極面に重ねた第2端部鉄芯体とを有する構成も採用できる。
【0026】
トロイダルコイルの外周面は保護筒体で被覆されていることが望ましい。落下衝撃等の発生時などにおいて環状永久磁石の内周面がトロイダルコイルの外周面に衝突するのを防止でき、コイル断線障碍から保護できる。
【0027】
そして、保護筒体の外周面と環状永久磁石の中央孔内周面との隙間に磁性流体が介在して成る場合、衝撃外力が加わっても、磁性流体が緩衝材となるので、環状永久磁石の保護筒体への激突を有効的に抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、環状永久磁石の磁化方向が磁性芯体と平行な軸方向であり、第1の環状ポールピースによる第1の集中磁束路において第1のトロイダルコイルへの給電の交番に伴い環状永久磁石に加わる電磁力が軸方向に対して正逆交替となるので、従前の磁気吸反発駆動の場合に比し、高振動力で駆動できる。環状永久磁石の外周側部分の磁力線は環状永久磁石の厚み方向で短絡することになるため、上記の第1の集中磁束路などへの悪影響がなく、振動発生装置の小型化を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0031】
本例の振動リニアアクチュエータ1は、円環状ウエイト2の中央孔Hに嵌まり上端面(S極面)3aと下端面(N極面)3bとに亘る厚さ方向に単極で着磁された円環状永久磁石3と、上端面3aに接着材で貼着された円環状の上部ポールピース板4と、下端面3bに接着材で貼着された円環状の下部ポールピース板5と、上部ポールピース板4に内周側吊り下げ部6aを例えばスポット溶接や接着等の手段で固定すると共に凹状ケース9の底面に外周側吊り下げ部6bを固定した上部板バネ6と、下部ポールピース板5に内周側吊り下げ部7aを固定すると共に凹状ケース9の開口側に固定した端板(エンドプレート)10に外周側吊り下げ部7bを固定した下部板バネ7と、円環状永久磁石3の中央孔hを貫通して凹状ケース9の底面に固定植設した磁性芯体である円柱状コア(鉄心)8と、端板10の裏面に貼着された印刷配線板11の上に起立して端板10の透孔10aから円柱状コア8に外嵌された円筒状のトロイダルコイルLと、印刷配線板11の上に起立してトロイダルコイルLに外嵌された樹脂製の保護筒体12と、円環状永久磁石3の内周面と保護筒体12の外周面との間で上部ポールピース板4と下部ポールピース板5とに挟まれた空隙に充填された磁性流体13と、印刷配線板11上に貼着されて下部板バネ7の内周側吊り下げ部7aの印刷配線板11への激突を緩衝するゴムダンパ14と、印刷配線板11の裏面に接続された竜巻状の一対のスプリング端子S
1,S
2と、印刷配線板11の裏面に切欠き11aを跨いで張り合わされており、切欠き11aを介して端板10の導通突起10bに接触する軟質製の半月状導電性ゴム15と、振動リニアアクチュエータ1自身の収容空間(図示せず)において密着的に収納するために印刷配線板11の裏面に張り合わされた硬質で略T字状のラバーシート16と、凹状ケース9に張り合わされた剥離紙17a付き両面テープ17とを備えている。
【0032】
トロイダルコイルLは、円筒状の下段トロイダルコイルL
2と、これに同軸で積み重ねた円筒状で逆巻き直列の上段トロイダルコイルL
1とから成り、下段トロイダルコイルL
2の端面からはみ出た第2巻線端末T
2は印刷配線板11上の第2コイル接続パターンP
2に半田付けされていると共に、上段トロイダルコイルL
1から下段トロイダルコイルL
2の内周側を通して下段トロイダルコイルL
2の端面からはみ出た第1巻線端末T
1も印刷配線板11上の第1コイル接続パターンP
1に半田付けされている。このトロイダルコイルLの製法は、第2巻線端末T
2側から一方向へ数層密巻きで巻回して下段トロイダルコイルL
2を形成した後、逆方向へ数層密巻きで巻回して上段トロイダルコイルL
1を形成し、下段トロイダルコイルL
2の内周面の母線方向を沿って渡り線G(
図6参照)を通しその端面から第1巻線端末T
1をはみ出させて得ることができる。なお、この渡り線Gは、トロイダルコイルLの外周面を引き回し、下段トロイダルコイルL
2の端面に持ってくることも可能である。
【0033】
本例においては、上部ポールピース板4の内周縁が円環状永久磁石3の内周面よりも上段トロイダルコイルL
1側へ若干張り出ていると共に、下部ポールピース板5の内周縁が円環状永久磁石3の内周面よりも下段トロイダルコイルL
2側へ若干張り出ている。
【0034】
上部板バネ6は円環状の内周側吊り下げ部6aの外周側縁の180°回転対称位置から約360°渦巻き状に延長して円環状の外周側吊り下げ部6bの内周側縁に連絡する渦巻き弾性蔓6c,6dを有し、また下部板バネ7も円環状の内周側吊り下げ部7aの外周側縁の180°回転対称位置から約360°渦巻き状に延長して円環状の外周側吊り下げ部7bの内周側縁に連絡する渦巻き弾性蔓7c,7dを有する。
【0035】
ステンレス製若しくはSPCC製の端板10は印刷配線板11を収納するために裏面側が凹状となっており、位置決め突片10cを有し、その反対側において裏面側へ膨出した導通突起10bがプレス成形されており、透孔10aは真円ではなく導通突起10bを形成する地を残すために弦を成す直縁Nを持っている。
【0036】
印刷配線板11は、その表面側においては、第1コイル接続パターンP
1及び第2コイル接続パターンP
2の外、トロイダルコイルLを載せる円環状のコイル受けパターンMと、このコイル受けパターンMを中心として3方で囲む扇状の補強パターンf
1〜f
3を備え、その裏面側においては、スルーホールで第1コイル接続パターンP
1及び第2コイル接続パターンP
2に導通してスプリング端子S
1,S
2の錐体底面側を半田付けするための第1端子接続パターンQ
1及び第2端子接続パターンQ
2と、切欠き11aを取り囲んで第1端子接続パターンQ
1と第2端子接続パターンQ
2の間に延在した補強パターンFとを備えている。
【0037】
本例においては、端板10に透孔10aを設けてあることにより、
図5〜
図7に示す如く、ケース側構造体20と裏蓋側構造体30を組み付けて振動リニアアクチュエータ1を得るようになっている。ケース側構造体20は、凹状ケース9、この凹状ケース9の底面に固定植設した円柱状コア8、円環状ウエイト2、円環状永久磁石3、上部ポールピース板4、下部ポールピース板5、上部板バネ6、下部板バネ7及び端板10を組み付けて後、端板10の透孔10aを介して円環状永久磁石3の内周面に磁性流体13を注入塗布して成る。一方、裏蓋側構造体30は、印刷配線板11の上にトロイダルコイルL,保護筒体12及びゴムダンパ14を搭載し、印刷配線板11の裏面側にスプリング端子S
1,S
2を接続してラバーシート16を貼り合わせたものであり、端板10の透孔10aを介してトロイダルコイルLの中空部にケース側構造体20の円柱状コア8を嵌め合わせ、印刷配線板11を端板10の裏面側の凹部に貼り合わす。この後、半月状導電性ゴム15が印刷配線板11の裏面に張り合わされ、両面テープ17が凹状ケース9に貼り合わされる。
【0038】
本例において、
図8(A)(B)に示す如く、下端面(N極面)3bから出た殆どの磁力線は下部ポールピース板5を介してその内周縁から下段トロイダルコイルL
2を通り抜け、円柱状コア8に入ってから軸方向へ通り、上段トロイダルコイルL
1を通り抜けて上部ポールピース板4の内周縁へ飛んでその中を介して上端面(S極面)3aへ戻る。このため、下部ポールピース板5の内周縁と円柱状コア8との間の集中磁束路と上部ポールピース板4の内周縁と円柱状コア8との間の集中磁束路とにおいて夫々電磁力が発生し、下段トロイダルコイルL
2と上段トロイダルコイルL
1に対する電流の方向が
図8(A)に示す状態では、その電磁力の反作用が矢印の向きに生じて円環状永久磁石3を振動させ、電流方向が交番した
図8(B)に示す状態では、反作用力が矢印の向きに生じて円環状永久磁石3を逆方向に振動させる。振動強度の向上又は低消費電力化に資する。
【0039】
また、
図8(A)の状態では、円柱状コア8の上段トロイダルコイルL
1側の端面がS極で、円柱状コア8の下段トロイダルコイルL
2側の端面もS極であるため、円環状永久磁石3との磁気吸引反発力が前述の反作用力と同方向に作用する。
図8(B)の状態では、円柱状コア8の上段トロイダルコイルL
1側の端面がN極で、円柱状コア8の下段トロイダルコイルL
2側の端面もN極であるため、円環状永久磁石3との磁気吸引反発力が前述の反作用力と同方向に作用する。このような磁気吸引反発力が電磁力に重畳するため、なおさら振動強度の向上又は低消費電力化に資する。ただ、磁力線が円柱状コア8内を短絡磁路で通るため、磁気抵抗を下げることができるが、
図8(A)の状態では、円柱状コア8内の中心部がN極となるので、下段トロイダルコイルL
2側からこの中心部へ向う経路は磁化方向で磁気抵抗が非常に低く、中心部から上段トロイダルコイルL
1側へ向う経路は反磁化方向で磁気抵抗が高い。
図8(B)の状態では、円柱状コア8内の中心部がS極となるので、下段トロイダルコイルL
2側からこの中心部へ向う経路は反磁化方向で磁気抵抗が高く、中心部から上段トロイダルコイルL
1側へ向う経路は磁化方向で磁気抵抗が非常に低い。
【0040】
円環状永久磁石3の着磁方向がトロイダルコイルL内の円柱状コア8の方向と実質上平行で、円環状永久磁石3の第1端面3a又は第2端面3bから出た磁束のうち内周側へ回り込む磁束は円柱状コア8の外周面へのギャップを飛んで円柱状コア8内を経由することになるため、保護筒体12の外周面と環状永久磁石3の内周面との隙間に介在する磁性流体13は上記ギャップを飛ぶ磁束で封止状態となり、往復振動発生器の姿勢如何に拘わらず、磁性流体13の漏れを防ぐことができる。そして、この緩衝層としての磁性流体13によって衝撃外力が加わっても往復振動子のトロイダルコイルLへの激突を有効的に抑制でき、トロイダルコイルLの損傷を防ぐことができる。磁性流体13を用いずにトロイダルコイルLに保護筒体12を被覆した場合、往復振動子の激突からトロイダルコイルLの損傷を防止できる。保護筒体12があるため、環状永久磁石3とのギャップを僅少化でき、往復振動発生器の小型化に寄与する。また、僅少なギャップとなるから、低温特性に遜色のある高粘度の磁性流体13を使用せず、低温特性の良好な低粘度でしかも廉価の磁性流体13の使用で済む。なお、この保護筒体12は滑性のある材料が好ましく、金属材や樹脂材は勿論のこと、熱収縮チューブでも構わない。
【0041】
円環状永久磁石3の上端面3aに上部ポールピース板4が重ね合わせてあり、環状永久磁石3の下端面3bに下部ポールピース板5が重ね合わせてあるため、上端面3a側の磁束を捕捉した上部ポールピース板4の内周面及び下端面3b側の磁束を捕捉した下部ポールピース板5の内周面が円柱状コア8の外周面に近接して磁気抵抗が低減し、またこのギャップを飛ぶ磁束密度が高くなるため、振動強度の向上又は低消費電力化を一層図ることができると共に、振動の急激減衰化を実現できる。しかも、磁性流体13の封止性が向上する。
【0042】
特に、本例では上部ポールピース板4及び下部ポールピース板5の内周面が環状永久磁石3の内周面よりも保護筒体12側へ張り出ているため、ポールピース板4,5の内周面と円柱状コア8の外周面とのギャップを飛ぶ磁束密度も高くなるため、磁性流体13の閉じ込め性を高めている。
【0043】
また、トロイダルコイルLの外周面は熱収縮性チューブなどの保護筒体12で被覆されていることから、落下衝撃等の発生時などにおいて円環状永久磁石3の内周面がトロイダルコイルLの外周面に衝突するのを防止でき、コイル断線障碍から保護できる。
【0044】
保護筒体12の外周面と円環状永久磁石3の内周面との隙間に磁性流体13が介在しているため、衝撃外力が加わっても、磁性流体13が緩衝材となるので、円環状永久磁石3の保護筒体12への激突を有効的に抑制できる。なお、保護筒体12の無い場合でも、トロイダルコイルLの外周面と環状永久磁石3の内周面との隙間に磁性流体13が介在することになるため、円環状永久磁石3の内周面がトロイダルコイルLの外周面に衝突するのを抑制できる。
【0045】
振動リニアアクチュエータ1の組み付け構造においては、端板10はトロイダルコイルLの通過可能な大きさの透孔10aを有することから、この透孔10aを介して磁性流体13を円環状永久磁石3の内周面に簡単に注入塗布できるばかりか、この後、この透孔10aからトロイダルコイルLを差し入れて印刷配線板11を端板10の裏面に固定することができ、製造の容易化を図ることができる。
【0046】
振動リニアアクチュエータ1からの電波ノイズ発生を防止するには、凹状ケース9と端板10から成る外囲器を接地シールドする必要があるが、端板10に対する接地電位の給電構造として、端板10は、印刷配線板11の裏面に貼着した導電性ゴム15に対して印刷配線板11に形成した切欠き11aを介して接触する導通突起10bを有する。端板10と印刷配線板11のパターンとの接続構造ではなく、端板10の通電突起10bと導電性ゴム15の直接接続構造であるため、端板10のプレス成形の際に導通突起10bを得ることができ、低コスト化を実現できる。
【0047】
なお、本例では直列接続の下段トロイダルコイルL
2と上段トロイダルコイルL
1について説明したが、抵抗損失を低減するなどにおいては、両コイルの並列接続構造を採用しても構わない。また、機械振動子としては、円環状ウエイト2を除き、大きな円環状永久磁石3だけを用いても構わない。
【実施例2】
【0048】
図9に示す実施例2の振動リニアアクチュエータの実施例1の振動リニアアクチュエータと異なる点は、円柱状コア18の構成にある。円柱状コア18は、下段トロイダルコイルL
2と上段トロイダルコイルL
1との内部に跨って嵌った中央コア(中央鉄芯体)18aと、下段トロイダルコイルL
2内で中央コア18aの一端面にN極面を重ねた下部永久磁石(永久磁石芯体)18cと、上部トロイダルコイルL
1内で中央コア18aの他端面にS極面を重ねた上部永久磁石18bとを有する。なお、その他の構成は実施例1と同様である。
【0049】
このような円柱状コア18の構成では、トロイダルコイルL
1,L
2への給電の交番があっても、中央コア18aの磁化方向が下部永久磁石18c及び上部永久磁石18bの磁化で決めるため、下部ポールピース板5から下段トロイダルコイルL
2を貫いて円柱状コア18に入る磁力線は、下部永久磁石18cの磁化方向から中央コア18aの磁化方向を介して上部永久磁石18bの磁化方向を通って上部トロイダルコイルL
1を貫いて上部ポールピース板4へ流れ込むので、円柱状コア18内の磁気抵抗を更に低減でき、振動力の増強と装置小型化に寄与する。
【実施例3】
【0050】
図10に示す実施例3の振動リニアアクチュエータの円柱状コア28は、実施例2の円柱状コア18の構成とは逆に、下段トロイダルコイルL
2と上段トロイダルコイルL
1との内部に跨って嵌り磁化方向が環状永久磁石3の磁化方向とは逆方向の中央永久磁石28aと、下段トロイダルコイルL
2内で中央永久磁石28aのS極面に重ねた下部コア(鉄芯体)28cと、上段トロイダルコイルL
1内で中央永久磁石28aのN極面に重ねた上部コア28bとを有する。下部コア28c及び上部コア28bの磁化方向は中央永久磁石28aの磁化方向に揃うため、下部ポールピース板5から下段トロイダルコイルL
2を貫いて円柱状コア28に入る磁力線は、下部コア28cの磁化方向を介して上部コア28bの磁化方向を通って上部トロイダルコイルL
1を貫いて上部ポールピース板4へ流れ込む。このため、円柱状コア28内の磁気抵抗を更に低減でき、振動力の増強と装置小型化に寄与する。
【実施例4】
【0051】
図11に示す実施例4の振動リニアアクチュエータは
図8に示す実施例1の振動リニアアクチュエータを簡略化した構成となっており、環状永久磁石3の代わりに薄い上部環状永久磁石23を有し、そのN極面に唯一の環状のポールピース板25が重ねてあり、また円柱状コア8に唯一の中央トロイダルコイルL
0が嵌っている。
【0052】
N極面23bからS極面23aへの磁力線は、ポールピース板25の内周縁と円柱状コア8の外周面との間で中央トロイダルコイルL
0に流れる電流を横切って電磁力を発生させるための集中磁束路W
0と、ポールピース板のないS極面23aでは円柱状コア8の外周面に対する空隙磁路W
1と、円柱状コア8内の低磁気抵抗路とから成る磁気抵抗の低い短絡閉ループとなる。このため、上部環状永久磁石23に電磁力の反作用力が交番的に発生する。
【0053】
そして、N極面23bとS極面23aのうち上部環状永久磁石23の外周側部分の磁力線は上部環状永久磁石23の厚み方向で短絡することになるため、上記の集中磁束路W
0や空隙磁路W
1に悪影響を及ぼさないので、装置の小型化を実現できる。
【実施例5】
【0054】
図12に示す実施例5の振動リニアアクチュエータは、
図11に示す実施例4の振動リニアアクチュエータに下部環状永久磁石24を追加した構成となっている。環状のポールピース板25は上部環状永久磁石23のN極面と下部環状永久磁石24のN極面に挟まれている。環状のポールピース板25の内周縁から出た磁力線は集中磁束路W
0を介して中央トロイダルコイルL
0を通って二手に分岐し、一方が円柱状コア8内を上方に通って空隙磁路W
1を介して上部環状永久磁石23のS極面へ飛び、他方は円柱状コア8内を下方に通って空隙磁路W
2を介して下部環状永久磁石24のS極面へ飛ぶ。斯かる構成でも、ポールピース板25の内周縁からの集中磁束路W
0で電磁力が発生し、円柱状コア8内では磁気抵抗が低いので、高振動力で駆動できる。また、上部環状永久磁石23及び下部環状永久磁石24の外周側部分の磁力線はその厚み方向で短絡することになるため、集中磁束路W
0や空隙磁路W
1,W
2に悪影響を及ぼさないので、装置の小型化を実現できる。
【実施例6】
【0055】
図13に示す実施例6の振動リニアアクチュエータは、
図12に示す実施例5の振動リニアアクチュエータに環状の上部ポールピース板4及び下部ポールピース板5を追加した構成となっている。この上部ポールピース板4及び下部ポールピース板5の追加で、
図12における空隙磁路W
1,W
2を上部ポールピース板4及び下部ポールピース板5の内周縁と円柱状コア8と間の集中磁束路W
1′,W
2′とでき、磁気抵抗を下げることができ、高振動力で駆動できる。
【実施例7】
【0056】
図14に示す実施例7の振動リニアアクチュエータは、
図13に示す実施例6の振動リニアアクチュエータに下段トロイダルコイルL
2と上段トロイダルコイルL
1を追加した構成となっている。中央トロイダルコイルL
0と下段トロイダルコイルL
2とは逆巻き直列接続で、中央トロイダルコイルL
0と上段トロイダルコイルL
1とは逆巻き直列接続となっている。環状のポールピース板25の内周縁から出た磁力線は集中磁束路W
0を介して中央トロイダルコイルL
0を通って二手に分岐し、一方が円柱状コア8内を上方に通って集中磁束W
1′を介して上部ポールピース板4の内周縁へ飛び、他方は円柱状コア8内を下方に通って集中磁束W
2′を介して下部ポールピース板5の内周縁へ飛ぶ。このため、集中磁束路W
1′,W
2′でも電磁力が発生するため、駆動力が増強する。更に、
図14(A)の通電状態においては、円柱状コア8の上端面がS極面で上部ポールピース板4がS極面であるので両者が磁気反発となると共に、円柱状コア8の下端面がN極面で下部ポールピース板5がS極面であるので両者が磁気吸引となり、磁気吸引反発の点からも駆動力が加わっており、また
図14(B)の通電状態においては、円柱状コア8の上端面がN極面で上部ポールピース板4がS極面であるので両者が磁気吸引となると共に、円柱状コア8の下端面がS極面で下部ポールピース板5がS極面であるので両者が磁気反発となり、磁気吸引反発の点からも駆動力が加わっている。
【0057】
ただ、
図14(A)の通電状態において円柱状コア8内を下方に通る磁束は、電磁石の磁化方向とは逆方向であるため磁気抵抗が高い。また、
図14(B)の通電状態において円柱状コア8内を上方に通る磁束は、電磁石の磁化方向とは逆方向であるため磁気抵抗が高い。
【実施例8】
【0058】
図15に示す実施例8の振動リニアアクチュエータは、
図14に示す実施例7の振動リニアアクチュエータの改良であり、
図14の円柱状コア8に代え、円柱状コア29は、中央トロイダルコイルL
0内を中心にして下段トロイダルコイルL
2と上段トロイダルコイルL
1との内部に跨った中央コア29aと、下段トロイダルコイルL
2内で中央コア29aの下端面にS極面を重ねた下部永久磁石29cと、上段トロイダルコイルL
1内で中央コア29aの上端面にS極面を重ねた上部永久磁石29bとから成っている。
【0059】
環状のポールピース板25の内周縁から出た磁力線は集中磁束路W
0を介して中央トロイダルコイルL
0を通って二手に分岐し、下方に分岐した磁束は、殆ど無磁化状態の中央コア29a内を介して下部永久磁石29cの磁化方向を通って下段トロイダルコイルL
2へ向い、上方に分岐した磁束は、殆ど無磁化状態の中央コア29a内を介して上部永久磁石29bの磁化方向を通って上段トロイダルコイルL
1へ向うため、
図14の実施例7の場合に比し、磁気抵抗が低くなるので駆動力が増強し、また、
図15(A)と
図15(B)のいずれの通電状態においても、集中磁束路W
1′,W
2′で発生する電磁力が平等化する。
【0060】
ただ、
図15(A)及び
図15(B)の通電状態においても、上部永久磁石29bのN極面と上部ポールピース板4とが磁気吸引し、下部永久磁石29cのN極面と下部ポールピース板5とが磁気吸引するので、磁気吸引反発の点からの駆動力の追加は期待できない。
【実施例9】
【0061】
図16に示す実施例9の振動リニアアクチュエータは、
図15に示す実施例8の振動リニアアクチュエータの別構造であり、円柱状コア31は、中央トロイダルコイルL
0内に収まる中央コア31aと、この中央トロイダルコイルL
0と下段トロイダルコイルL
2内で中央コア31aの下端面にS極面を重ねた下部永久磁石31cと、中央トロイダルコイルL
0と上段トロイダルコイルL
1内で中央コア31aにS極面を重ねた上部永久磁石31bと、下段トロイダルコイルL
2内で下部永久磁石31cのN極面に重ねた下端部コア31eと、上段トロイダルコイルL
1内で上部永久磁石31bのN極面に重ねた上端部コア31dを有する。
【0062】
この実施例9の振動リニアアクチュエータでは実施例8の振動リニアアクチュエータと同様に磁気抵抗の低減が図られている。
【0063】
なお、
図3〜
図16の永久磁石3,18b,18c,28a,23,24,29b,29c,31b,31cの図示極性は逆にしても組み付けても構わない。