(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献4の技術にあっては、付勢力を大きく設定したラッチバネを用いて扉の開閉時における施解錠操作を行う場合に、枠部材に間隙を形成するだけの消極的な静音構造ではラッチの衝撃音低減効果にも一定の限界があり、扉開閉操作フィーリングの維持向上を図る上で問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、扉開閉操作時において、反転しながら前進スライドする場合のラッチの反転速度(揺動速度)、および後退位置から前進スライドする場合のラッチの前進スライド速度といった移動速度を、ラッチバネの付勢力を減殺して減速するという積極的な移動速度減速手段により減速し、ラッチが扉側の化粧板やラッチガードに激突するのを緩和することで、衝撃音を効果的に低減できる扉の反転ラッチ錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、ラッチガード等の錠箱構成要素に両側を反転且つ進退スライド移動するように案内支持されるラッチ、および前記ラッチに設けられ、該ラッチにストライクへ向かって進出スライドさせる推力および反転力を惹起させるラッチバネを具備した扉の反転ラッチ錠において、前記ラッチの移動速度を減速する移動速度減速手段を、前記ラッチまたは前記錠箱構成要素に設けたことを特徴とする、扉の反転ラッチ錠である。なお、錠箱構成要素とは、反転ラッチ錠を収容するケーシングをいい、「ラッチガード等の錠箱構成要素」とは、ラッチガード、および実質的に該ラッチガードの機能を該ケーシング自体に一体成形により形成したケーシングも含む概念である。
【0007】
本発明によれば、ラッチまたはラッチガード等の錠箱構成要素に設けた移動速度減速手段により、扉開閉時にラッチバネの付勢力で首振りするように反転するラッチの反転速度(回転速度または揺動速度)、および後退位置からストライクへ向かって進出スライドする移動速度が減速される。このため、ラッチがストライクに入る際等におけるラッチのラッチガードおよび/または化粧板に対する衝撃力を緩和できる。したがって、通常の大きさを有する扉でも、また、ラッチバネのバネ力を大きく設定した大型の扉を製作する場合でも、確実な施解錠機能を確保しつつ、衝撃音を良好に低減でき、静粛性に優れた高級感豊かな扉の反転ラッチ錠を実現できるようになる。
【0008】
(2)本発明はまた、前記ラッチに設けられる前記移動速度減速手段は、前記ラッチに相対変位可能に受容され、前記ラッチバネの一端を支持するバネ受け部材と、該バネ受け部材に設けられ、前記錠箱構成要素に常時付勢力を付与して該錠箱構成要素との間で摩擦抵抗を惹起させる摩擦抵抗惹起機構とで構成されることを特徴とする、前記(1)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0009】
本発明によれば、バネ受け部材に設けた摩擦抵抗惹起機構により、ラッチの反転速度および前進スライドする移動速度を低減できる。これにより、ラッチがラッチガード等の錠箱構成要素および/または化粧板に激突する衝撃音(異音)が低減できるようになる。
【0010】
(3)本発明はまた、前記摩擦抵抗惹起機構は、前記バネ受け部材に前記スライドの方向とほぼ直交する方向に貫通して穿ったガイド穴と、該ガイド穴に縮設して収容される摩擦抵抗惹起バネと、該摩擦抵抗惹起バネ両端部に設けられ、前記錠箱構成要素に弾接する摩擦子とで形成されることを特徴とする前記(2)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0011】
本発明によれば、摩擦抵抗惹起機構を、摩擦抵抗惹起バネと、その両端部に設けた摩擦子とで構成し、これら摩擦子をラッチガードに弾接させるようにした。このため、ラッチが後退位置から前進スライドするときの移動速度、およびラッチが反転するときの反転速度は、摩擦子とラッチガード等の錠箱構成要素との間の摩擦抵抗により減速される。これにより、ラッチがラッチガード等の錠箱構成要素に衝突するときの衝撃力が低減され、衝撃音(異音)を小さくできるようになる。
【0012】
(4)本発明はまた、前記摩擦抵抗惹起機構は、前記バネ受け部材に前記スライド方向とほぼ直交する方向に両側から穿って直列配置した2個のガイド穴と、該両ガイド穴に縮設して収容される2個の摩擦抵抗惹起バネと、該両摩擦抵抗惹起バネ端部に設けられ、前記錠箱構成要素に弾接する摩擦子とで形成されることを特徴とする前記(2)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0013】
本発明によれば、摩擦抵抗惹起機構を、2個のガイド穴と、各ガイド穴に縮設する2個の摩擦抵抗惹起バネと、該両バネの端部に設けた摩擦子とで構成し、両摩擦子をラッチガード等の錠箱構成要素に弾接させるようにした。ラッチが後退位置から前進スライドするときの移動速度、およびラッチが反転するときの反転速度(回転速度または揺動速度)は、摩擦子とラッチガード等の錠箱構成要素との間の摩擦抵抗により効率よく減速される。これにより、上記(4)の発明とほぼ同様に、ラッチがラッチガード等の錠箱構成要素に衝突するときの衝撃力が低減され、衝撃音(異音)を小さくできるようになる。
【0014】
(5)本発明はまた、前記摩擦抵抗惹起機構は、前記バネ受け部材に前記スライド方向とほぼ直交する方向に両側から穿って直列配置した2個のガイド穴と、該両ガイド穴に収容され、互いに反発して前記錠箱構成要素に摺接する2個の摩擦抵抗惹起磁石とで形成されることを特徴とする前記(2)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0015】
本発明によれば、上記(4)の発明における2個の摩擦抵抗惹起バネに替えて、2個の摩擦抵抗惹起磁石に置き換えて摩擦抵抗惹起機構を構成したので、磁性の反発力により各磁石を離反する方向に付勢してラッチガード等の錠箱構成要素に摺接させるようにした。そのため、ラッチが後退位置から前進スライドするときの移動速度、およびラッチが反転するときの反転速度は、上記磁石とラッチガード等の錠箱構成要素との間の摩擦抵抗により減速される。これにより、上記(4)や(6)の発明とほぼ同様に、ラッチがラッチガード等の錠箱構成要素に衝突するときの衝撃力が低減され、衝撃音(異音)を小さくできるようになる。
【0016】
(6)本発明はまた、前記ラッチに設けられる前記移動速度減速手段は、前記ラッチに相対変位可能に受容され、前記ラッチバネの一端を支持するバネ受け部材と、基部および該基部から相対向して後方に伸びる一対のくの字に屈曲した脚部を有するU字状の衝撃吸収用板バネと、前記基部を前記バネ受け部材に受容した前記板バネの両脚部を穴に常時弾接するように貫通させて支持するガイドプレートとを具備したことを特徴とする前記(1)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0017】
本発明によれば、くの字状に屈曲形成した板バネの脚部をガイドプレートの穴に常時摺接するように貫通しているので、板バネとガイドプレートとの間に生じる摩擦抵抗と、板バネ自体が惹起する弾性変形とにより、ラッチのスライド速度や反転移動速度を減速し、衝撃音を緩和することができるようになる。
【0018】
(7)本発明はまた、前記ラッチに設けられる前記移動速度減速手段は、前記ラッチに相対変位可能に設けたバネ受け部材、該バネ受け部材とガイドプレートとの間に縮設したコイル状の前記ラッチバネと、該ラッチバネ7の内部を通り一端がバネ受け部材6に結合され、他端を後方に伸ばして前記ガイドプレートを貫通するスプリングガイドと、該スプリングガイド自由端部と前記ガイドプレートとの間に介装した衝撃吸収部材とで形成されることを特徴とする前記(1)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0019】
本発明によれば、ラッチの後方スライド時に圧縮されているラッチバネに作用する外力が除荷されたとき、ラッチバネのバネ付勢力が瞬間的に開放される。このため、ラッチは前進スライドし、衝撃吸収部材はスプリングガイド自由端部により弾性圧縮変形を受ける。このとき、衝撃吸収部材が有する衝撃力吸収機能により、ラッチのスライド移動および反転運動の速度が減速される。これにより、ラッチが化粧板、ラッチガード等の錠箱構成要素に衝突するときの衝撃音(異音)を軽減できるようになる。
【0020】
(8)本発明はまた、前記錠箱構成要素に設けられる前記移動速度減速手段は、前記ラッチに相対変位可能に受容され、前記ラッチバネの一端を支持するバネ受け部材と、該バネ受け部材を進退スライド可能に設けたラッチガードと、該ラッチガードと前記錠箱との間に設けられ、常時前記ラッチガードを後退位置へ付勢するトーションスプリングとを具備し、通常時、前記ラッチガードは前記ラッチバネの付勢力に抗して前記トーションスプリングのバネ付勢力により強制的に後退位置へ付勢されるが、前記ラッチを後退スライドさせる強制力が除荷されたとき、前記ラッチバネで前進スライドする前記ラッチが前記ラッチガードに衝合した後、前記トーションスプリングのバネ付勢力に抗して前記ラッチガードと一体になって前進するように構成されたことを特徴とする前記(1)記載の扉の反転ラッチ錠である。
【0021】
本発明によれば、ラッチバネよりもバネ定数の大きなバネ定数を有するトーションスプリングを、ラッチガードと錠箱との間に設けた。このため、扉開閉時に定位置(扉の完全開位置および/または完全閉位置)にあるラッチが化粧板から外へ突出する際、すなわち、前進スライドする途中で、ラッチはラッチガードと係合する。その後、ラッチはトーションスプリングのバネ付勢力に抗してラッチガードと一体に前進スライドする。これにより、トーションスプリングによりラッチの具有するスライド速度が減速され、運動エネルギーが減殺される。すなわち、ラッチの回転速度やスライドする移動速度が低減され、ラッチが化粧板、錠箱、ラッチガード等の錠箱構成要素に激突するのを緩和できるようになる。そして、ラッチが錠箱から突出しきった後は、ラッチガードはトーションスプリングのバネ付勢力により上記定位置へ自動復帰するようになる。
【0022】
本発明はまた、前記ラッチに設けられる前記移動速度減速手段は、前記ラッチに揺動するように軸支され、前記ストライクにカム接触可能に形成された揺動レバーと、該揺動レバーと前記ラッチとの間に設けた衝撃吸収バネとを具備し、前記揺動レバーが前記ストライクに衝合するとき、前記衝撃吸収バネを圧縮弾性変形させるように構成されたことを特徴とする扉の反転ラッチ錠である。
【0023】
本発明によれば、衝撃吸収バネを介して揺動レバーがラッチに軸支されることで移動速度減速手段が構成される。このため、扉閉時、ラッチがストライクにラッチに衝合するとき、揺動レバーは衝撃吸収バネを圧縮弾性変形させながら衝合するので、ラッチの移動速度および揺動速度を減速する。これにより、ラッチがストライクに衝突する際に発生する音を効果的に低減できるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、移動速度減速手段を設けることで、扉開閉操作時において、反転しながら前進スライド場合のラッチの反転速度(揺動速度または回転速度)、および後退位置から前進スライドする場合のラッチの前進スライド速度といった移動速度を、ラッチバネの付勢力を減殺して減速することで、扉側の化粧板やラッチガード等の錠箱構成要素に激突する衝撃力を低減し、衝撃音を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係り、(a)は扉の反転ラッチ錠の概要構成を示す側面図、(b)はその平面図である。
【
図2】おなじく、第1実施形態の反転ラッチ錠を分解して示した外観斜視図である。
【
図3】おなじく、第1実施形態のラッチに係り、(a)〜(d)はその4面図、(e)は(a)のA−A線における矢視断面図である。
【
図4】おなじく、ラッチの作用を平面図で示した説明図である。
【
図5】第2実施形態に係り、(a)は反転ラッチ錠の側面図、(b)はその平面図、(c)は反転ラッチ錠の組み立て分解を示す外観斜視図である。
【
図6】第3実施形態に係り、(a)は反転ラッチ錠の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)はバネ受け部材の三面図、(e)は磁石の二面図である。
【
図7】第4実施形態に係り、(a)は反転ラッチ錠の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(e)はガイドプレートの正面図、(f)はその側面図、(g)はバネ受け部材の4面図である。
【
図8】第5実施形態に係り、(a)は反転ラッチ錠の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図9】おなじく、(a)はラッチの側面図、(b)はその平面図、(c)はバネ受け部材の側面図、(d)はその平面図、(e)は正面図、(f)はガイドプレートの正面図、(g)はその側面図である。
【
図10】おなじく、反転ラッチ錠の作用説明図で、(a)はその側面図、(b)は平面図である。
【
図11】第6実施形態に係り、(a)は反転ラッチ錠の側面図、(b)はその側面図である。
【
図12】おなじく、(a)はラッチの側面図、(b)はその平面図、(c)はラッチガードの三面図、(d)はトーションスプリングの二面図である。
【
図13】おなじく、第6実施形態に係る反転ラッチ錠の作用説明図である。
【
図14】第7実施形態に係り、(a)はその組み立て分解を示す外観斜視図、(b)および(c)はラッチの外観斜視図、(d)はストライクとラッチとの関係を示す作用説明図である。
【
図15】本発明の第8実施形態に係り、(a)は扉の反転ラッチ錠の概要構成を示す側面図、(b)はその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る扉の反転ラッチ錠について詳述する。
【0028】
図1〜
図4は第1実施形態に係り、
図1(a)は扉の反転ラッチ錠の概要構成を示す側面図、同図(b)はその平面図、
図2は反転ラッチ錠を分解して示した外観斜視図、
図3はラッチに係り、(a)〜(d)はその4面図、(e)は(a)のA−A線における矢視断面図、
図4はラッチの作用を平面図で示した説明図である。
【0030】
図1に示す扉の反転ラッチ錠1の概要構成を説明すると、不図示の扉端面に化粧板(フロント板)2が設けられ、不図示の扉開口縁に設けたストライクと対面するようになっている。化粧板2の内側(後方)には反転ラッチ錠1が錠箱3内に格納され、反転ラッチ錠1の主構成要素であるラッチ4がラッチガード5に沿ってストライクへ向かって反転しながら前進スライドし、また、これとは反対に後退スライドする、すなわち、ラッチ4が錠箱3の内外を出没変位することで、反転ラッチ錠1の施解錠が行われるようになっている。
【0031】
反転ラッチ錠1は
図2、
図3に示すように、平面視でほぼ平行四辺形状をなすラッチ4と、化粧板2に固着される一対のラッチガード5と、ラッチ4の凹部4aにラッチ4に相対変位可能に設けられるバネ受け部材6と、バネ受け部材6とラッチガード5との間に縮設されるコイルスプリング(以下、「ラッチバネ」という)7と、バネ受け部材6にラッチ4がスライドする方向にほぼ直交する方向に貫通して穿たれたガイド穴6aと、ガイド穴6aに縮設して収容されるコイル状の摩擦抵抗惹起バネ8と、ガイド穴6aに収容され、かつ、該バネ8の両端に設けた摩擦子としての2個のピン9との要素からなる。
【0033】
反転ラッチ錠1を構成する各要素をより具体的に説明する。ラッチ4は上記の特許文献記載のラッチと同様に、例えば不図示のプッシュプル式のハンドル操作を行うことで、ラッチ4の上下両面にハンドル操作に連動する不図示のリンクが係脱する。ハンドルが操作されない場合には、該リンクがラッチ4に係合し、ラッチ4の反転(揺動、回転)やスライド動作を拘束する。ハンドル操作がなされる場合には、上記のリンクがラッチ4から解脱してフリーな状態となり、
図4(b)に示す状態から同図(a)の状態への反転動作が許容され、これにより扉の開閉操作が可能となるように構成される。
【0034】
また、ラッチ4の上下両面には後述するラッチガード5との間でカム接触が可能な突起4bが形成され、この突起4bを揺動中心としてラッチ4が上記ラッチバネ7のバネ付勢力により反転動作がなされるようになっている。
【0036】
ラッチバネ7は
図1(a)に示すラッチ4およびバネ受け部材6の中心軸線L上に配置される。これにより、ラッチ4を常時ストライクの方向へ進出させる(押し出す)ことで、ラッチ4に推力と反転力が惹起される。したがって、扉の完全閉時または完全開時には、ラッチ4は
図1(a)、(b)および
図4(a)に示すように、突起4bがラッチガード5に形成したL字状のストッパ部5bに係合する位置まで前進スライドし、最大突出量が規定されるようになっている。
【0037】
図4(a)に示す扉の完全閉時において、扉を矢印A方向へ開くとき、ラッチ4は不図示のストライクから外力Fを受ける。これにより、ラッチ4は一旦、右方へ若干後退しながら突起4bを揺動中心として
図4(b)のように強制的に回転する。ラッチ4に外力Fが作用しなくなると、すぐさまラッチ4はラッチバネ7のバネ付勢力により、突起4bを揺動中心とし、突起4bの対角に存する曲面をなす作用部4cを作用点として回転モーメントを受ける。これにより、ラッチ4は
図4(a)に示す状態に自動復帰するようになっている。
【0038】
また、
図4(a)が扉の完全開時の状態にあるとすると、これを閉じる場合には、ラッチ4の傾斜面部4dはストライクから外力を受ける。そのため、ラッチ4は揺動することなく、そのまま右方へ最大後退量だけスライドして後退させられる。ストライクを乗り越えた後、外力が除荷されるので、ラッチ4はラッチバネ7のバネ付勢力により突起4bがストッパ部5bに衝合する位置まで、瞬時に進出スライドし、
図4(a)に示す状態で扉を施錠するようになっている。
【0040】
各ラッチガード5にはスライド方向に伸びる2本のガイドスリット5aが形成されている。ガイドスリット5aには後述するバネ受け部材6に形成したスライダ部6bが摺動できるように係合する。
【0042】
バネ受け部材6の両側面には2個のスライダ部6bが突設され、ガイドスリット5aに摺動可能に係合されるように組み込まれる。バネ受け部材6は左方側を尖らせた変形六角形の縦断面形状を有し、ラッチバネ7のバネ付勢力が効率よくラッチ4へ伝達されるようにしている。こうして、ラッチ4およびバネ受け部材6の両側をラッチガード5で狭持させることで、バネ受け部材6がガイドスリット5aで案内されてスライドする。これにより、ラッチ4がバネ受け部材6と一体にスライドできるようになっている。
【0043】
<ラッチに設けられる移動速度減速手段>
【0044】
この「ラッチに設けられる移動速度減速手段」は、バネ受け部材6と、後述する摩擦抵抗惹起機構とで形成される。したがって、バネ受け部材6に設けた摩擦抵抗惹起機構により、ラッチ4の反転運動やスライド運動時に、摩擦抵抗惹起機構に起因する摩擦抵抗により、ラッチ4に作用するラッチバネ7のバネ付勢力が減殺され、ラッチ4の運動速度(移動速度)が減速できる。
【0046】
また、バネ受け部材6のガイド穴6aに収容される2個のピン9は、それぞれラッチガード5内面に摩擦抵抗惹起バネ8により常時弾接し、ラッチ4のスライド時等に摩擦抵抗が惹起するようになっている。こうして、ガイド穴6aと、摩擦抵抗惹起バネ8と、ピン9とで摩擦抵抗惹起機構が形成されることとなる。
【0047】
こうして、上記の各要素を組み立てることで、
図1に示す第1実施形態の扉の反転ラッチ錠が構成されることとなる。
【0048】
本第1実施形態によれば、
図4(a)に示すように、閉じた状態の扉を開く場合には、ラッチ4はストライクから外力Fを受けて、突起4bを揺動中心にして
図4(b)のように後退スライドしながら揺動する。ストライクを乗り越えた後、ラッチ4から外力Fが除荷され、ラッチ4はラッチバネ7により同図(a)の状態に反転して自動復帰する。このとき、突起4bはストッパ部5bに、傾斜面部4eは継承板2に衝突するが、移動速度減速手段、すなわち、摩擦抵抗惹起機構を形成するピン8と、ラッチガード5との間における摩擦抵抗によりラッチ4の反転速度および後退位置からストライクへ向かって進出スライドする移動速度が減速される。このため、ラッチがストライクに入る際等におけるラッチ4のラッチガード5に対する衝撃力が緩和され、衝撃音(異音)の発生を抑制できる。
【0050】
図5(a)は第2実施形態における扉の反転ラッチ錠の側面図、同図(b)はその平面図、同図(c)はラッチ4とバネ受け部材6との組み立てを分解して示す外観斜視図である。
【0051】
本第2実施形態が上記の第1実施形態と構成上相違する点は、第1実施形態ではバネ受け部材6に1個のガイド穴6aを形成し、そこに1個の摩擦抵抗惹起バネ8を設けたが、本第2実施形態ではスライド方向とほぼ直交する方向に両側から穿って直列配置した2個のガイド穴6cと、各ガイド穴6cに対応して収容される2個の摩擦抵抗惹起バネ8aを設けた点でのみ相違し、その他の構成は両者実質的に同じである。
【0052】
本第2実施形態によれば、摩擦抵抗惹起機構を、ほぼ四角形の縦断面形状を有するバネ受け部材6に穿った2個のガイド穴6cと、各ガイド穴6cに縮設する2個の摩擦抵抗惹起バネ8aと、該両バネ8aの端部に設けた摩擦子としてのピン9とで構成し、両ピン9をラッチガード5に常時弾接させるようにした。
【0053】
このため、ピン9とラッチガード5との間に生じる摩擦抵抗により、ラッチ4の移動速度および反転移動速度を低減でき、第1実施形態とほぼ同様に、ラッチ4がラッチガード5あるいは化粧板2等に衝突する際、その衝撃力が低減され、衝撃音(異音)を小さくできる。
【0055】
図6は第3実施形態の三面図に係り、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)はバネ受け部材6の三面図、(e)は摩擦抵抗惹起磁石(以下、「磁石」という)10の断面図である。なお、
図6ではラッチバネ7の図示は割愛している。
【0056】
本第3実施形態における摩擦抵抗惹起機構は、バネ受け部材6にスライド方向とほぼ直交する方向に両側から穿って直列配置した2個のガイド穴6aと、両ガイド穴6aに収容され、互いに反発してラッチガードに向かって摺接する2個の磁石10とで形成される点を特徴とする。その他の構成は第1実施形態と実質的に同一である。
【0057】
すなわち、第3実施形態では、上記第2実施形態における2個の摩擦抵抗惹起バネ8aの代わりに、2個の磁石10で置き換え、かつ、磁性の反発力を利用し、各磁石10が互いに磁力で離反する態様で直列配置した。このため、磁石10がラッチガード等の錠箱構成要素3に摺接され、ラッチが後退位置から前進スライドするときの移動速度、およびラッチが反転するときの反転速度を減速することができる。これにより、ラッチ4がラッチガード等の錠箱構成要素3に衝突するときの衝撃力が低減され、衝撃音(異音)を小さくできる。なお、ラッチガード等の錠箱構成要素3を金属などで構成し、磁石10と錠箱構成要素3が互いに引き合う力を利用することによって、ラッチが後退位置から前進スライドするときの移動速度、およびラッチが反転するときの反転速度を減速してもよい。
【0059】
図7(a)〜(c)は第4実施形態の三面に係り、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は衝撃吸収用板バネの三面図、(e)はガイドプレートの正面図、(f)はその側面図、(g)はスプリングガイドの4面図である。なお、
図7(a)〜(c)には、ラッチバネ7の図示は割愛することとした。
【0060】
本第4実施形態は、「ラッチに設けられる前記移動速度減速手段」を、ラッチ4に受容され不図示のラッチバネの一端を支持するバネ受け部材6と、基部11aおよび該基部11aから相対向して後方に伸びる一対のくの字に屈曲形成した脚部11bを有するU字状の衝撃吸収用板バネ(以下、「板バネ」という)11と、基部11aをバネ受け部材6に受容した板バネ11の両脚部11bを穴12aに常時摺接するように貫通させて支持するガイドプレート12とを具備したことを特徴とする。その他の構成は第1実施形態と実質的に同一である。
【0061】
本第4実施形態によれば、バネ受け部材6に板バネ11の基部11bを嵌め込む。くの字状に屈曲形成した板バネ11の脚部11bは、ガイドプレート12の穴12aに常時摺接するように貫通される。このため、板バネ11とガイドプレート12との間に生じる摩擦抵抗により、ラッチのスライド速度や反転運動の速度を減速し、衝撃音を緩和することができる。
【0063】
図8〜
図10に示す第5実施形態を説明する。第5実施形態は、「ラッチに設けられる前記移動速度減速手段」の一要素としてゴムクッション14bを利用した点のみにおいて、上記各実施形態と構成を異にし、その他の構成は共通する。
【0064】
すなわち、第5実施形態におけるラッチ4に設けられる移動速度減速手段は、ラッチ4に相対変位可能に設けたバネ受け部材6と、該バネ受け部材6とガイドプレート13との間に縮設したコイル状のラッチバネ7と、該ラッチバネ7の内部を通り一端がバネ受け部材6に結合され、他端を後方に伸ばしてガイドプレート13を貫通する棒状のスプリングガイド14と、該スプリングガイド14自由端部とガイドプレート13との間に介装した衝撃吸収部材15とで形成される。
【0065】
より具体的には、バネ受け部材6に植設されるスプリングガイド14はガイドプレート13の穴部13aを貫通すると共に、その自由端にストッパ部14aが形成される。ストッパ部14aとガイドプレート13との間に、衝撃吸収部材としてのゴムクッション14bが介装される。ラッチバネ7はバネ受け部材6とガイドプレート13との間に縮設され、ガイドプレート13はラッチガード5に沿ってスライド可能に案内支持される。その結果、ラッチ4はラッチバネ7のバネ付勢力により、常時不図示のストライク方向へバネ付勢されるようになっている。
【0066】
こうして、ラッチ4に外力が作用しないとき、すなわち、扉が完全開時のとき、または完全閉時のときは、ラッチ4は
図8(b)、(c)に示す最大前進位置にスライドする状態にある。扉を開閉操作すると、ラッチ4にストライク側から外力が作用し、
図10(a)、(b)に示すように、ラッチバネ7を圧縮弾性変形させながら、ラッチ4は錠箱3,すなわち、ガイドプレート13の奥へ強制的にスライドさせられ、スプリングガイド14はガイドプレート13を右方へストロークして伸張する。
【0067】
したがって、本第5実施形態によれば、
図10に示すようにガイドプレート13へ押し込められたラッチ4が、
図8に示すように外方へ突出して前進スライドする場合には、ゴムクッション14bがガイドプレート13とストッパ部14aとの間で圧縮弾性変形を受ける。これにより、ゴムクッション14bがその衝撃吸収機能により、ラッチ4がスライドする移動速度および反転運動する揺動速度を円滑に減速できる。その結果、ラッチが錠箱構成要素に衝突するときの衝撃音(異音)を軽減できる。
【0069】
図11〜
図13に示す第6実施形態を説明する。第6実施形態は「ラッチに設けられる移動速度減速手段」を特徴とする上記第1〜第5実施形態に対して、ラッチガード(錠箱構成要素の一要素)に移動速度減速手段を設けた点で大きく構成を相違する。すなわち、ラッチガード15を錠箱構成要素であるガイドプレート16に対して進退スライドできるようにし、且つ、該ガイドプレート16と錠箱構成要素である錠箱ケーシングとの間にラッチバネ7よりもバネ定数が大きなトーションスプリング17が設けられる。係る「錠箱構成要素に設けられる移動速度減速手段」により、ラッチ4の移動速度をトーションスプリング17で減速するようにした点を特徴とする。以下、具体的に説明する。
【0070】
ラッチ4は
図12(a)、(b)に示すように上記の各実施形態のそれをほぼ同じ構造である。ラッチ4の凹部4aには
図13に示すバネ受け部材6が相対変位可能に受容される。バネ受け部材6と錠箱2との間にラッチバネ7が縮設される。
【0072】
ラッチガード15には
図12(c)に示すようにスリット15aが形成され、ラッチ4の両側に配され、上下対象にして挟むように設けられる。ラッチ4はスリット15aに沿って進退スライドできるように組み込まれ、バネ受け部材6を進退スライドするようになっている。また、ラッチガード15にはトーションスプリング17の一端を係止させる係止部15bと、ガイドプレート16に形成した不図示のスリットに沿ってスライドするスライダ部15cと、ラッチ4および化粧板2に係合する角状のストッパ部15dとが設けられる。
【0074】
トーションスプリング17はその一端を係止部15bに、他端を錠箱3にそれぞれ係止される。ラッチガード15はトーションスプリング17のバネ付勢力により常時後方へスライドするように付勢する。
【0076】
図12(c)、
図13(a)に示すように、錠箱3内に設けたガイドプレート16に形成した不図示のスリットに、ラッチガード15のスライダ部15cが摺接し、ラッチガード15がガイドプレート16に対して進退スライドできるようになっている。
【0077】
こうして、
図12に示す各構成要素をガイドプレート16に組み込むと、
図11に示すように、トーションスプリング17を利用した態様の「「移動速度減速手段」を有する第6実施形態が得られる。
【0078】
本第6実施形態によれば、ラッチバネ67よりもバネ定数の大きなバネ定数を有するトーションスプリング17を、ラッチガード15と錠箱3との間に設けた。このため、扉が扉の完全開位置または完全閉位置にある定位置においては、ラッチ4とラッチガード15との相対位置関係は
図13(a)に示す状態にある。ラッチ4にストライクからの外力が作用して押し込められると、ラッチ4はバネ受け部材6と共にラッチガード15に沿ってラッチバネ7のバネ付勢力に抗して同図(b)のように後退スライドする。ラッチ4に作用する外力が除荷されると、同図(c)のようにラッチ4はラッチバネ7のバネ付勢力によりラッチガード15に沿って前進スライドし、その途中から、ラッチ4はラッチガード15とストッパ部15dに係合する。係合した後、ラッチ4はラッチガード15と一体になってトーションスプリング17のバネ付勢力に抗して前進スライドし、ラッチガード15の先端が化粧板2より突出し、化粧板に衝合して停止する。ラッチ4が突出しきった後は、ラッチ4はトーションスプリング17のバネ付勢力により
図13(d)に示す状態、すなわち定位置に復帰する。
【0079】
このように、ラッチ4がラッチガード15と一体になった状態で化粧板2に衝合するまでの間、ラッチバネ7に起因するラッチ4のスライド速度および反転速度がトーションスプリング17のバネ付勢力により減速される。これにより、ラッチが化粧板、ラッチガード等に衝突する際の衝撃力を激突するのが緩和される。したがって、扉開閉時におけるラッチ4による衝撃音を円滑に低減できる。
【0081】
図14に示す本第7実施形態は、ラッチ4自体に、衝撃吸収バネとしてのコイルスプリング18によりバネ反力をかけた揺動レバー19を設けた構成を特徴とする。
【0082】
すなわち、本第7実施形態における「ラッチに設けられる前記移動速度減速手段」は、ストライク20に衝合可能な揺動アーム19がピン部19aを介してラッチ4に枢着される。揺動アーム19は傾斜面部4dのほぼ中央に形成した溝4hに出入りできるように配置される。ラッチ4に形成した窪み4fと揺動アーム19との間にコイルスプリング18が設けられる。これにより、揺動アーム19はピン部19aを揺動中心として揺動(回転)する。このとき、揺動アーム19は
図14(d)に示すように、角度θの範囲で揺動できる。こうして、
図14(a)に示すように、ラッチ4にラッチケース4gが被着され、
図14(b)、(c)に示す外観を有するラッチ4が構成される。なお、本第7実施形態は上記の第1〜6実施形態のラッチ4に応用することも可能である。
【0083】
本第7実施形態によれば、扉閉時、ラッチ4がストライク20に衝合するとき、揺動アーム19はコイルスプリング18を圧縮弾性変形させながら衝合する。これにより、ラッチ4の移動速度および反転速度をコイルスプリング18が圧縮弾性変形をすることでストライク20に対する衝撃を緩和できる。その結果、ラッチ4がストライク20に衝突する際に発生する音を効果的に低減できるようになる。
【0085】
次に、
図15に示す第8実施形態について説明する。なお、同図は、本発明の第8実施形態に係り、(a)は扉の反転ラッチ錠の概要構成を示す側面図、(b)は(a)に示す矢印方向の断面図である。
【0086】
この第8実施形態に係る反転ラッチ錠は、上述の第1実施形態に係る反転ラッチ錠の移動速度減速手段に代えて、ギア付きバネ受け部材26と、後述する摩擦抵抗惹起機構とで構成される移動速度減速手段を備える。
【0087】
ギア付きバネ受け部材26の基本的な構造は、上記バネ受け部材6とほぼ同じであるが、ギヤ付きバネ受け部材26の上面には、長手方向に沿ってギア26aが形成されている点が異なっている。
【0088】
摩擦抵抗惹起機構は、錠箱3の底面に固定された箱状の第1ガイド部28および第2ガイド部30と、第1ガイド部28の内側に形成された円筒状凹部に回転可能に収容・支持される第1ピン32と、一端が第1ピン32に対して長手方向にスライド可能に嵌合されるとともに他端が第2ガイド部30の内側に形成された円筒状凹部に回転可能に収容・支持される第2ピン34と、第1ピン32と第2ピン34との間に縮設されて第1ピン32と第2ピン34を互いに離反する方向に付勢するバネ部材36と、を有して構成されている。
【0089】
また、第2ピン34の外周面には、ギア付きバネ受け部材26に形成されたギヤ26aと噛合可能なギヤ34aが全周に亘って形成されている。なお、図示はしないが、第1ガイド部28と第1ピン32との摺動部と、第2ガイド部30と第2ピン34との摺動部には、グリスが塗布されている。
【0090】
第8実施形態に係る反転ラッチ錠では、ラッチ4が同図(b)に示す復帰状態になった場合、ギヤ付きバネ受け部材26が摩擦抵抗惹起機構の方向(図の右方向)に向かってスライドする。ギヤ付きバネ受け部材26がスライドすると、ギヤ付きバネ受け部材26のギヤ26aおよび第2ピン34のギヤ34aを介して、第2ピン34が回転駆動されるとともに、この第2ピン34に嵌合された第1ピン32も第2ピン34とともに回転駆動される。この際、第1ピン32と第2ピン34はバネ36によって互いに離反する方向に付勢されるため、第1ピン32は、第1ガイド部28の内面に常時押圧された状態で第1ガイド部28によって回転が規制され、第2ピン34は、第2ガイド部30の内面に常時押圧された状態で第2ガイド部30によって回転が規制される。このように、第2ピン34の回転が規制されることによって、バネ受け部材26のスライドの速度が緩和され、ラッチ4の移動速度および反転移動速度を低減でき、第1実施形態とほぼ同様に、ラッチ4がラッチガード5あるいは化粧板2等に衝突する際、その衝撃力が低減され、衝撃音(異音)を小さくすることができる。
【0091】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0092】
例えば、上記の各実施形態ではラッチバネ7をバネ受け部材6とラッチガード5,15との間に縮設する態様で説明したが、ラッチガードの代わりに、錠箱を形成する要素であればこれに限定されることはなく、錠箱構成要素であればなんでもよい。
【0093】
また、バネ受け部材6を第1実施形態のように変形六角形に形成したが、これを第2実施形態のように四角形の形態であってもよく、逆に、第2実施形態等に四角形のバネ受け部材6を変形六角形の形態にしてもよい。