(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのマイクロ波周波数送信器(2)と、少なくとも1つのマイクロ波周波数受信器(1)とを備える、個人(41)が携帯する少なくとも1つの物体を検出する装置であって、
前記送信器(2)および前記受信器(1)の周囲に配置されて、前記個人(41)から前記装置までの距離を特定するレーザ遠隔計測器(24)を備え、
前記受信器(1)が前記送信器(2)を中心として相対的な回転移動を行い、該送信器(2)が前記レーザ遠隔計測器(24)により特定された距離に基づいて前記個人(41)を含む平面に焦点合わせした信号を相対的な回転の円(40)上の前記受信器(1)のいくつかの位置(j)で前記個人(41)に向けて送信し、該信号が物体の点(k)で反射され、前記位置(j)において前記受信器(2)により受信された前記信号が、処理手段(23)に供給されて、レーダ画像(Im(x,y))が形成されることを特徴とする、装置。
前記受信器(1)が、回転する円盤(5)に、前記円盤(5)の中心から所与の距離に取り付けられ、前記送信器(2)が実質的に前記円盤の前記中心に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
前記受信器(1)が、実質的に円盤(5)の前記中心に配置され、前記送信器(2)が、前記円盤の前記中心から所与の距離に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明による装置を生成する原理を示す。この装置は、マイクロ波周波送信器2が配置された点を中心として回転するマイクロ波周波受信器1を備える。したがって、この装置は、送信ビーム4を中心として回転する受信ビーム3を生成する。
【0011】
受信器1および送信器2の位置は、逆にしてもよい。この場合、送信ビームが中心点を中心として回転する。いずれの場合でも、送信器が回転して円上を移動し、受信器が固定点にあるか、それとも受信器が回転して円上を移動し、送信器が固定点にあるかに関わらず、送信器は、受信器に対して相対的な回転移動を有する。
【0012】
受信器1は例えば、好ましくは低慣性モーメントを有する、回転移動するように構成された円盤5に取り付けられる。例えば、送信器2は、例えば自ら回転するように、円盤5の回転軸に取り付けられる。
【0013】
図2aおよび
図2bのそれぞれは、本発明による装置の特定の例示的な実施形態の断面図および正面図を示す。円盤5は例えば、低慣性モーメントを有利なことに有する種類であるDVDまたはレーザディスクの材料で作られる。その直径は例えば、20〜60cmのオーダであり得る。直径は特に、受信器1から中心までの距離に依存する。
【0014】
円盤5は従来通り、モータ20により回転する。このモータは例えば、ブラシレス同期モータである。これは円盤上に取り付けられる。回転速度は、毎秒数回転から毎秒数十回転までであり得る。回転速度は、例えば、ホール効果センサまたはレーザセンサを使用して円盤の角度位置を感知して、閉ループ制御により制御し得る。電力は、電力供給ユニット26によりモータ20に供給される。
【0015】
送信器2は例えば、パッチ型アンテナに結合されたガン型ダイオードを使用する。送信器2は例えば、W周波数帯内の2つの反転した円偏波に沿って送信する。受信器1は例えば、送信器2と同じ種類のアンテナを備える。
【0016】
円盤5の中心近くの送信器近傍には例えば、後述する送信回路・受信回路21が取り付けられる。これら回路は、受信信号をデジタル形式に変換するアナログ/デジタル変換器を備える。次に、デジタル形式に変換された受信信号は例えば、WiFi型の無線リンク28を介して中央ユニット23に送信され、中央ユニット23は、受信信号の処理および解析のために必要な手段が装着されたコンピュータであり得る。
【0017】
特定の実施形態では、この装置は、一方は例えば、円盤の周縁に配置され、他方はより中心近くに配置される、2つの受信器2を含み得る。これにより、特に、二次アンテナローブと一次ローブとの相関を失わせることにより、信号対雑音比を改良する効果を有するわずかに異なる観測角度が与えられる。スイッチが、2つの受信器のそれぞれの受信アンテナ間にリンクを提供して、一方または他方の受信器を使用できるようにする。
【0018】
固定レーザ遠隔計測器24が例えば、回転する円盤5の周囲に配置される。少なくとも3つのこれら遠隔計測器24は従来通り、三角測量法により、送信器2および受信器1が配置された平面25に対する、検出対象の物体を携帯し得る個人の距離の距離を計算できるようにする。この距離情報が分かると、送信器2および受信器1を備えたレーダ検出手段は、この距離に検出の焦点を合わせることができる。換言すれば、個人が配置された平面が特定され、次に、装置がこの平面に検出の焦点を合わせる。
【0019】
個人が配置されたこの平面は、1m〜数mの距離にあり得る。得られる精度は、1cm未満であり得る。遠隔計測器により得られる測定は例えば、無線リンク29を介して処理手段23に送信される。この距離は従来通り、三角測量法により得られる。
【0020】
図3は、ガンダイオードに基づく送信器2の例示的な実施形態を示す。より詳細には、
図3は、ガンダイオード31により形成されるマイクロ波周波源を示す。ガンダイオードは、金属化パッチ32上に実装され、電源に同時に繋がり、マイクロ波周波を伝搬する。したがって、トラックは、電源回路に接続されるように設計されたアーム33と、マイクロ波周波出力信号を受信器に供給するアーム34とを備える。トラックは、電源アーム上に、ダイオードにより生成されるマイクロ波周波が電源に伝搬しないようにする四分の一波アダプタをさらに備える。トラック31は、円盤5上に実装される誘電基板30に取り付けられる。
【0021】
ガンダイオード31は、電源アーム33に接続された電気回路により供給される。この回路は例えば、導電性回転シールを介して電源ユニット26に電気的に接続される。ガンダイオードに生成される電圧および電流はそれぞれ、例えば、1〜2ボルトおよび200ミリアンペアのオーダである。
【0022】
パッチ型の送信アンテナは偏波に沿って送信する。送信アンテナは、円盤5の、ガンダイオードを支持する基板30の近傍に取り付けられる。45°に向けられた線形偏波の連続ワイヤの3つのグリッドからなる偏波回転子が、この線形偏波を円偏波に変換する。受信アンテナの場合、パッチは、両偏波に沿って受信する。同じロータが、左旋円偏波であるか、それとも右旋円偏波であるかに応じて、2つの偏波のうちの一方に沿って入射円偏波を変換する。
【0023】
図4は、本発明による検出装置に面した個人41を示す。レーダ検出手段1、2が装備された円盤5は、正面がレードーム42により閉じられ、電磁波を透過させるケース40内に配置される。レーザ遠隔測定器24は正面に設置される。ケースは平坦な正方形を有し、円盤5に必要な寸法に応じて、その厚さは5cmのオーダであり得、その辺は25〜50cmのオーダであり得る。
【0024】
図5は、レーダ検出手段の相対位置を示す。送信器2はパッチアンテナ52により表され、受信器1はパッチアンテナ51により表される。各アンテナは、2つの偏波チャネル53、54を有する。2つのアンテナ51、52は同様の形状であり、同じ方向を向いた偏波チャネル53、54を有する。アンテナ51、52は、送信回路・受信回路21に接続される。
【0025】
図5の例では、右旋円偏波55が、送信アンテナによりターゲットに送信され、次に、反射波が、左旋円偏波56で受信アンテナにより受信される。反射表面の性質に応じて、偏波は反転してもよく、または反転しなくてもよい。本発明は、有利なことに、これを適宜利用する。特に、波が2面角により反射された場合、偏波は反転しないが、平面により生成される反射の場合には反転する。
【0026】
図6aは、2面角により反射される右旋円偏波55の送信を示し、受信反射波は右旋円偏波55を保持する。この場合、受信アンテナは、右旋円偏波チャネル53で反射信号を受信する。
【0027】
図6bは、平面62により反射される右旋円偏波55の送信を示し、反射波は、反転した左旋円偏波57を有する。この場合、受信アンテナは、円偏波チャネル54で反射信号を受信する。したがって、一方または他方のチャネルでの受信により、反射面の性質を検出することが可能である。
【0028】
図7は、本発明による装置に使用可能な送受信モジュール21の特定の実施形態を示す。
【0029】
このモジュール21は、例えば、77GHzの周波数を供給する局所発振器71を備える。受信モードでは、局所発振器は、第1のスイッチ73を介してミキサ72に接続される。この場合、受信信号は第2のスイッチ74を介してミキサに向けられる。ミキサの出力は低雑音増幅器75の入力に接続され、次に、この増幅器の出力信号は、デジタル変換後、中央ユニット23に送信される。ビーム選択回路76が送信アンテナ52および受信アンテナ52に接続される。モジュールは、特に、上記構成要素の制御、受信信号のアナログ/デジタル変換、および無線リンク28を介しての中央ユニット23へのデジタルデータの送信を実行する電子ユニットを備える。
【0030】
図8は、検出される物体の形状を検出する、本発明による装置の動作を示す。提示は、受信器1が回転する場合で行われる。得られる結果は、送信器が回転する場合の結果と同じである。したがって、
図8は、直径D=2Rの円40上を回転する受信器1を示す。円40上の受信器1の2つの連続した位置間に角度ピッチΔαを定義する規則的な時間間隔Δtで、信号が送信器2により送信される。
【0031】
次に、円40に沿って配置された1セットの受信器が、特にSAR型の適用例でのように時間的に再構成され、それにより、単純な形状の検出が可能になる。特に、検出された明点に基づいて、信号再構成が実行されて、特に小さな2面角を検出が可能になる。検出された2面角を構成する物の全体形状を常に再構成可能なわけではない場合であっても、本発明の実際の適用には問題ではない。特に、1つまたは複数の反射2面角の検出は、例えば、その2面角を携帯している個人のより徹底的な探索を開始する疑いを深刻に示すものとしてみなすことができる。
【0032】
明点は、この場合、電磁波を反射する点または基本表面である。
【0033】
図8は、送信信号の反射により、次に、円40上の位置jにおいて受信器1により受信されることによる明点kの検出を示す。明点kは、送信源から距離r
1にあり、受信器から距離r
2にある。この点で送信された信号s
eは、振幅Aおよび位相φにより定義され、したがって、s
eは以下の式により与えることができる。
S
e=Ae
jφ (1)
【0034】
受信器2により受信される反射信号は、以下の位相シフトΔφを受ける。
【数1】
式中、K=2π/λであり、λは送信波の長さであり、f
dは回転している送信器のドップラー効果に対応し、tは時間である。f
dは、(2πRN/λ)cosθ(r
1)に等しく、Nは毎秒の回転数であり、θ(r
1)は、明点と受信点での円への接線との角度である。
【0035】
受信信号の位相および振幅は、円40の各受信点jで測定される。この測定は特に、送信の利得、送信信号の振幅A、および受信器の利得の関数である。
【0036】
上述したように、円偏波の使用により、点kでレーダ等位面SER
j,kにより反射される2つの偏波の解析が可能である。この解析は、例えば、ユニット23に装着された処理手段により実行され、平坦な反射表面の2面角または3面体等の他の形状の区別を可能にする。2面角または不連続性は、特に物体の境界を区切るため、物体の識別を可能にする要素である。
【0037】
検出は、送信源2が受信1と同じ場所に配置されていないため、バイスタティックである。点kに配置された物体要素は、ディスタティック(distatic)レーダ等位面SER
j,kを有する。この表面は偏波に依存する。その解析により、それが2面角であるか否かを定義することが可能である。検出は、表面SER
j,kの後方散乱
図81が受信器1が移動する円40を覆う場合、より効率的である。
【0038】
解析されるレーダ等位面SER
j,kは、数平方センチメートルから数十平方センチメートルのオーダである。レーダ等位面SER
j,kは、検出対象である物体の寸法を反映する。
【0039】
したがって、検出されるこれら物体の寸法と同等である送信/受信システムの横分解能および被写界深度を得るために、本発明による装置の物理的な大きさを構成する必要がある。
【0040】
図9aは横分解能δを示す。この所要横分解能δに関して、横分解能δにより、上記円40の直径Dが決まり、これは、回転する受信器1に結合された送信器2により形成される円スキャナ91の焦点レンズの直径Dでもある。この分解能δは、以下の式により与えられ、直径Dの定義に寄与する。
【数2】
Fは焦点距離である。
【0041】
図9bは、検出信号92、および明点が検出される場合に得られる、「クラッタ」の信号比とも呼ばれる信号対雑音比93を示す。信号対雑音比は以下の式により定義される。
【数3】
式中、A
dはドップラーアフィン(Doppler affine)である。
【0042】
被写界深度δ
pの定義は、焦点レンズの寸法定義Dおよび検出可能な物体の最小厚e
minの定義にも寄与する。この被写界深度は以下の式により与えられる。
【数4】
【0043】
被写界深度δ
pおよび個人、この場合、歩行者の速度はさらに、受信器1の回転速度vの決定に寄与する。
【0044】
毎秒回転数単位の回転速度N
Rは、以下の式により与えられる。
【数5】
【0045】
受信器2の位置jにおいて受信信号S
jで測定された位相A
jおよび振幅Φ
jは、回転によるドップラー効果による影響を受ける送信器1により送信される信号を反映する点kからの受信信号に寄与する。
図8では、単一の点kが示される。この信号S
jは、すべての点kに関して、以下の式により与えられる。
【数6】
式中、
−expは指数関数であり、
−G_transmission
kは、点kに送信された信号の送信利得であり、
−G_reception
jは、位置jでの受信利得であり、
−r
j,kは、送信波が移動し、次に、点kで反射されて受信器の位置jに届くまでの総距離であり、
図8の例では、r
j,k=r
1+r
2であり、
−K=2π/λは上述した通りであり、
−点kでのSER
j,kは、上述したように受信器から見たディスタティックレーダ等位面であり、
−
【数7】
は、解析円上の到来方向に対するベクトルと受信点の接線との間に形成される角度である。
【0046】
所与の偏波、例えば、送信された右旋円偏波の信号S
jが計算される。点kでの表面の性質に応じて、S
jは、右旋または左旋の円偏波を含む。
【0047】
2つの円偏波上の受信信号の解析により、SERが平面に対応するか、それとも2面角に対応するかを判断することが可能である。平面または2面角という判断に基づいて、処理手段23は、物体形状または形状の始まりを何とか再構成することができる。得られた形状情報は、いずれの場合であっても、例えば、物体の携帯者のより徹底した探索を示唆するのに十分なものである。2面角または不連続性の検出により、有利なことに、特に、危険物を検出することが可能である。特に、
−2面角および不連続性は、上述したように物体の境界を定義し、
−検出は、反転偏波により、クラッタの外部で実行され、
−逆行性は2面角の全部または部分である。
【0048】
2〜4波長のオーダの検出2面角の寸法が、77GHzの送信周波数によく適する。
【0049】
処理手段における画像形成は、送信された信号のレプリカの統合により実行される。したがって、画像Im(x,y)は以下の関係に従って得られる。
【数8】
xおよびyは、瞬間tでの焦点面内の点kの座標を表し、Nは回転数である。
【0050】
S
j(t)は、式(7)により計算されている。統合は、円のすべての位置jについて実行され、各成分S
j(t)は、受信されたすべての信号のレプリカで乗算され、「replica(x,y,t)」項がこれらすべての信号の総合を形成する。信号のレプリカ、絶対値で同じであるが、逆になった位相を含む信号。cosθで表される時間が、明点の位置に依存し、「空間色分け」に寄与し、それにより、よりよい分解能に寄与することに留意されたい。この空間分解能は、ドップラー信号をいくつかの分解能N
1に統合することにより極めて顕著に改良される。
【0051】
受信信号の位相は事前に未知である。こうして定義されたレプリカで乗算することにより、
図9bに示すように検出信号をハイライトすることが可能である。
【0052】
特にSAR型レーザでのような再構成画像Im(x,y)は、検出された物体の全体図または部分図を与える。表示される形状に応じて、例えば、コンピュータ23の画面に応じて、ユーザは、この物体を携帯している個人の調査を決定してもよく、決定しなくてもよい。
【0053】
図10は、上述したような本発明によるいくつかの装置を備えた検出システムを示す。このシステムは、例えば、保護エアロック内に装着される。このエアロックは、例えば、空港等のいくつかの種類の公共場所への入場を篩い分けるために設置することができる。このシステムは、例えば、ケース30により表される3つの検出装置を備える。この装置は円内に、例えば均一に分配される。次に、検出がこれらケース間で実行され、個人に対する広範囲の検出が可能である。
【0054】
個人41は、速度vが上手く決定された、装置30の間を通過するコンベアベルト101で運ぶことができる。有利なことに、本発明による検出では、個人が装置30のところで停止または静止する必要がない。これにより、例えば、航空機の乗客といった連続した人の流れを監視することができる。