特許第5659440号(P5659440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5659440
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】プリント回路板構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20150108BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   H05K1/14 H
   H05K1/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-513535(P2012-513535)
(86)(22)【出願日】2010年5月17日
(65)【公表番号】特表2012-529166(P2012-529166A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】EP2010056733
(87)【国際公開番号】WO2010139549
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年1月30日
(31)【優先権主張番号】838/09
(32)【優先日】2009年6月2日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】509005502
【氏名又は名称】フーバー + スーナー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー, マーチン
(72)【発明者】
【氏名】フックス, ヨセフ
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−047889(JP,A)
【文献】 実開昭50−125071(JP,U)
【文献】 特開2008−177164(JP,A)
【文献】 特開2000−323216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の導電性ベースプレート(53)に互いに並べて設置される少なくとも2つのプリント回路板(51、52)を有するプリント回路板構造(50)であって、
前記少なくとも2つのプリント回路板が、2つの互いに対向する縁を有し、かつ、超高周波伝送用に電気接続(60)によって互いに接続される、プリント回路板構造(50)において、
少なくとも1つの接触確立要素(60)を介して前記電気接続がそれぞれ確立され、前記プリント回路板が、前記導電性ベースプレート(53)に実装されるときに、前記少なくとも1つの接触確立要素(60)を介して互いに着脱可能な電気的接触を確立し、
前記2つのプリント回路板(51、52)間の前記電気接続が、前記プリント回路板(12’)間に相互圧力を加えること、および/または、前記プリント回路板(51、52)と前記導電性ベースプレート(53)との間の圧力によって確立され、かつ維持され、
前記圧力が、前記プリント回路板(51、52)の平面に直角に作用し、
少なくとも1つの接触確立要素(60)が、前記電気接続を確立するために設けられ、かつ、前記2つのプリント回路板(51、52)の下方にある前記導電性ベースプレート(53)の凹所(65)に配設され、かつ、下方から、前記2つのプリント回路板(51、52)と着脱可能に接触するとともにそれと互いに接続し、
前記接触確立要素(60)が、接触本体を受けるとともに支持するための絶縁支持本体(66)を備え、前記絶縁支持本体(66)によって受けられる接触本体(67)をさらに備え、前記接触本体(67)は、ベース本体(67a)を備え、前記ベース本体は、対向する端部で第1接触舌部(67b)及び第2接触舌部(67c)を有し、それぞれが、前記ベース本体(67a)に対して、上向きに後方に曲げられ、それにより、前記接触本体(67)は、前記絶縁支持本体(66)において、そのベース本体(67a)とともに配置されて保持され、前記接触舌部(67b、67c)は、前記絶縁支持本体(66)から上向きに突出すること、および前記接触舌部(67b、67c)が、前記導電性ベースプレート(53)に着座する前記プリント回路板(51、52)を下方から同時に押圧して接触を確立するように、前記絶縁支持本体(66)の前記構造が、前記導電性ベースプレート(53)にある前記関連付けられた凹所(65)に前記接触本体67とともに着座され、前記絶縁支持本体(66)がエラストマからなること、および前記絶縁支持本体(66)が前記凹所(65)に締め付けて保持されることを特徴とする、プリント回路板構造。
【請求項2】
前記凹所(65)が細長い穴の形のものであり、かつ前記絶縁支持本体(66)の縁輪郭が前記凹所(65)の前記縁輪郭に適合されることを特徴とする、請求項に記載のプリント回路板構造。
【請求項3】
前記接触本体(67)の前記接触舌部(67b、67c)によって接触を確立するために、前記2つのプリント回路板(51、52)の下面に、接触表面(56b)がそれぞれ設けられ、かつめっき貫通孔(56a)を介して前記プリント回路板(51、52)の上面にある導体トラック(55、56)に接続されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のプリント回路板構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最大、数GHzの動作周波数範囲の超高周波領域における電子回路の分野に関する。本発明は、特に、請求項1の前文に記載のプリント回路板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の通信技術および超高周波数を用いて動作する他の分野において、電気絶縁支持基板上に1つまたは複数の導体層を有するプリント回路板(PCB)上に電子回路が形成され、導電層は少なくとも複数箇所に構造化され、導体トラックまたは表面を形成し、導体トラックまたは表面は、支持基板に取り付けられ、かつ/または、はんだ付けされた電子コンポーネントを、互いにかつ/または外部に接続する。
【0003】
移動無線技術のベースステーションのような比較的大型の機器ユニットの場合、複数の別個のプリント回路板が、1つの機器に収容され、これらのプリント回路板を機器に設置した後または設置している間に互いに電気的に接続されなければならない。GHz範囲の高い動作周波数で1つのプリント回路板から別の回路基板へ確実に信号を流すことができるようにするために、要求される接続の多くは、この場合、RF対応のものでなければならない。原則的に、このような遡及的な接続は、はんだ付けされうるが、特に、このような接続が多数必要な場合、多大な労力を伴う。また、プラグコネクタを用いた短い配線によって接続することも可能であるが、これも同様に多大な労力を伴い、さらに、占める空間も小さくない。
【0004】
接続されるプリント回路板同士が上下に配設されるか、または少なくとも部分的に重なり合って配設されれば、米国特許第6,231,352号明細書、同第7,416,418号明細書、同第7,210,941号明細書、欧州特許出願公開第1289076号明細書、または国際公開第2007/009549号パンフレットに開示されているように、圧接、好ましくは、同軸RF接続が使用されうる。
【0005】
しかしながら、図1または図2に示すようなプリント回路板構造の場合、異なる状況がもたらされる。図1に示すプリント回路板構造10の場合、特に、熱放散用に用いられる、例えば、アルミニウムからなるものであってもよい比較的厚い共通のベースプレート13上に、2つの回路基板11および12が相並んで配設されている。2つのプリント回路板11および12は、2つの対向する縁を互いに並行にして整列され、分離されることで、これらのプリント回路板の間に中間間隙14を形成し、中間間隙14は、図1の両方向矢印で概略的に表されているRF対応の電気接続15によってブリッジ接続される必要がある。中間間隙14は、絶対に必要不可欠なものではなく、プリント回路板11および12の縁の代わりに、直接互いに接することもできうる。
【0006】
図2に示すプリント回路板構造20において、状況は似ているが、異なる点として、プリント回路板の1つ、具体的には、プリント回路板12’が、特に高出力回路用に設計されているため、コンポーネント(いわゆる「熱放散プレート」)に生成される熱がベースプレート13’に伝わる前に、コンポーネントに生成される熱を直接吸収し、かつ分散させる目的の放散プレート16が、プリント回路板12’の下面に追加して設けられている。一例として、放散プレート16は、焼結アルミニウムからなるものであってもよい。これにより、プリント回路板12’は、プリント回路板11より厚くなる。ベースプレート13’には、補償のために対応する厚さのステージが設けられる。
【0007】
米国特許第6,612,851号明細書に、相並んで配設されたプリント回路板の電気接続のために、圧力によって動作する接続装置がすでに提案されているが、これらはプリント回路板の上面および下面に作用するため、ベースプレート上に配設されたプリント回路板には適していない。
【0008】
さらに、米国特許第6,464,510号明細書には、圧接によって上面でプリント回路板の両方を接続するマイクロ波コネクタが開示されている。しかしながら、これらのコネクタは、遡及的に設置されなければならず、プリント回路板の一方または両方へのねじ留めが必要となり、この作業は退屈で欠陥を生じやすい。
【0009】
最後に、米国特許第3,591,834号明細書には、2つのプリント回路板の対向する側縁部を、側部からこの目的のために提供される装置内に導入して接触を確立する必要があるプラグ型コネクタシステムが開示されている。この接続技法もまた、ベースプレートに載置されるプリント回路板には不適切である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、プリント回路板がベースプレートに取り付けられる場合に、簡単かつ省スペースの方法によりプリント回路板間でRF対応の電気接続が確立され、さらなる追加のタスクまたは再加工が不要であり、この電気接続が最大数GHzの超高周波数範囲まで信号線としての使用に適している、最初に述べたタイプのプリント回路板構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本目的は、請求項1の特徴の全体によって達成される。本発明による解決策の1つの主要な要因は、少なくとも1つの接触確立(contact−making)要素を介して電気接続がそれぞれ確立され、この接触確立要素を介して、プリント回路板が、ベースプレートへ取り付けられる際に互いに着脱可能な電気的接触を確立することである。
【0012】
本発明による装置の1つの改良点は、プリント回路板間に相互圧力をかけることによって、および/または、プリント回路板とベースプレートとの間の圧力によって、2つのプリント回路板間の電気的接触が確立されるとともに維持されることを特徴とする。したがって、この場合、接触は締め付け方法ではなく、プリント回路板によって加えられる圧力によって確立される。
【0013】
したがって、圧力は、プリント回路板の平面に対して直角に作用しうる。これは、プリント回路板が、プリント回路板の下方に配設された接触要素を押圧する場合である。
【0014】
しかしながら、圧力はまた、プリント回路板の対向する縁に対して平行に作用しうる。これは、プリント回路板が、中間間隙において重なり合う接触装置を有する場合である。
【0015】
本発明のさらなる改良点によれば、少なくとも1つの接触確立要素が、電気接続を確立するために設けられ、2つのプリント回路板の下方のベースプレートにある凹所に配設され、下方から2つのプリント回路板と着脱可能に接触し、2つのプリント回路板を互いに接続する。
【0016】
本発明のこの改良点の1つの発展形は、接触確立要素が、絶縁支持本体に中央部分で配設され、保持され、かつ両端部で上向きに曲げられた接触舌部を有する支持本体から上向きに突出する、接触ロッカーを有する点、および、接触舌部が、ベースプレート上にあるプリント回路板を下方から同時に押圧して接触を確立するように、支持本体が、接触ロッカーとともにベースプレートと関連付けられた凹所に着座される点において、特徴づけられる。
【0017】
支持本体は、広くさまざまな絶縁材料からなるものであってもよい。しかしながら、支持本体は、好ましくは、エラストマからなり、凹所に締め付ける方法で保持され、接触ロッカーが、支持本体の上面にあるくぼみに締め付ける方法で保持される。
【0018】
この状況において、凹所が細長い穴の形状のものであり、支持本体の縁輪郭が、凹所の縁輪郭に適合することが分かる。
【0019】
本発明のさらなる改良点は、接触ロッカーの接触舌部によって接触が確立される両方のプリント回路板の下面にそれぞれ接触表面が設けられ、接触表面は、めっき貫通孔を介してプリント回路板の上面にある導体トラックに接続されることを特徴とする。
【0020】
別の改良点によれば、接触ロッカーの圧力に対して、接触舌部のエリアにおいてベースプレート上のプリント回路板の少なくとも1つを押し下げるための手段が提供される。
【0021】
本発明による装置のさらなる改良点は、2つのプリント回路板の間に中間間隙が空いたままである点と、接触ロッカーが、中間間隙のエリアにおいて、ベースプレートの上面の平面の下方に伸びる点、および2つのプリント回路板の上方の空間が、プリント回路板に関連付けられる2つの分離した遮蔽空間にさらに分割されるように、導電性ハウジング部の垂直分離壁が、中間間隙のエリアにおいてベースプレート上に配置されて接触を確立する点で特徴づけられる。
【0022】
しかしながら、接触確立要素が、さらなるプリント回路板を有することも実現可能であり、接触ポストがこのさらなるプリント回路板上に、プリント回路板のエリアに配設され、さらなるプリント回路板を介して互いに導電接続され、接触ポストが、ベースプレートに載置しているプリント回路板を同時に下方から押圧して接触を確立するように、さらなるプリント回路板が、ベースプレートにある関連付けられた凹所に、接触ポストとともに着座される。例えば、米国特許第6,231,352号明細書から知られているような接触ポストが、この目的のために使用されうる。
【0023】
ベースプレートへの関与を必要としない改良点は、中間間隙が、2つのプリント回路板の間に空けられたままであること、および2つの接触確立要素が両側から中間間隙内に突出し、着脱可能な接触を確立し、2つのプリント回路板を互いに接続するように、2つの接触確立要素が、電気接続を確立するためにそれぞれ設けられ、かつ2つのプリント回路板の上面に配設されることを特徴とする。
【0024】
2つの接触確立要素は同じものであることが好ましく、各接触確立要素は、はんだ付け可能な打ち抜き加工された曲げ部品の形状のものであり、ばね式接触アームが側部で突出するU字状の本体を有し、自由端に接触セクションが設けられ、2つの接触確立要素の接触セクションは、中間間隙において重なり合い、ばね式に互いに押圧する。
【0025】
特に、上記のような接触確立要素は、本体に一体形成されたはんだ支持部をそれぞれ有すること、斜め方向外向きに曲げられた傾斜要素が、接触セクションの上部でそれぞれ一体形成されること、直角に外向きに曲げられた導体要素が、接触セクションの下部でそれぞれ一体形成されること、および接触セクションが上方から中間間隙に入ることを特徴とする。
【0026】
本発明によるプリント回路板構造の別の改良点は、接触確立要素が、ベース本体とともに絶縁支持本体に配設および保持される接触本体を有し、それぞれの両端部で、上向き後方に曲げられた接触舌部を有し、支持本体から上向きに突出すること、および、接触舌部が、ベースプレートに載置しているプリント回路板を下方から同時に押圧して接触を確立するように、支持本体がベースプレートで関連付けられた凹所に、接触本体とともに着座されることを特徴とする。
【0027】
具体的には、支持本体はエラストマからなり、凹所に締め付けて保持される。
【0028】
凹所は、好ましくは、細長い穴の形状のものであり、支持本体の縁輪郭は凹所の縁輪郭に適合される。
【0029】
有利なことには、接触本体の接触舌部によって接触を確立するために、接触表面が、2つのプリント回路板の下面にそれぞれ設けられ、めっき貫通孔を介してプリント回路板の上面にある導体トラックに接続される。
【0030】
本発明について、以下の記載において、例示的な実施形態を参照しながら、図面とともにより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明が基づく第1の形態において、共通のベースプレートに載置された2つのプリント回路板のRF接続の概略図を示す。
図2】本発明が基づく第2の形態において、共通のベースプレートに載置された2つのプリント回路板のRF接続の概略図を示す。
図3】本発明の第1の例示的な実施形態による、ベースプレートに挿入された接触確立要素を介してRF接続された、2つのプリント回路板を有するプリント回路板構造の断面図を示す。
図4図3に示すベースプレートに挿入可能な接触確立要素の斜視図を示す。
図5】対応する凹所が設けられたベースプレートの上方に、図4からの接触確立要素の分解図を示す。
図6】見やすいようにプリント回路板の支持材料を省いた状態の図3に示す構成の電気接続経路の上方からの斜視図を示す。
図7】本発明の第2の例示的な実施形態によるプリント回路板構造のはんだ付けされた接触確立要素を有するプリント回路板を示す。
図8】本発明の第2の例示的な実施形態による、図7に示すような接触確立要素を介してRF接続された2つのプリント回路板を有するプリント回路板構造の、図3と比較可能な断面図を示す。
図9図8に示すようなプリント回路板構造の上方からの斜視図を示す。
図10】それ自体知られている接触ポストが用いられる、図3と比較可能な本発明の第3の例示的な実施形態を示す。
図11】遮蔽されたRFアセンブリの一部分として、図3に示すようなプリント回路板構造を示す。
図12】(a)〜(c)は複数の図を使用して、本発明のさらなる例示的な実施形態の図を示し、(a)は側面斜視図、(b)は上方からの平面図、(c)は長手断面図を示す。
図13】(a)は図12に示すプリント回路板構造の分解図、(b)は図12に示すプリント回路板構造の拡大詳細図を示す。
図14図12に示すプリント回路板の1つの斜め上方からの斜視図を示す。
図15図14に示すプリント回路板の斜め下方からの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図3は、本発明の第1の例示的な実施形態による、ベースプレートに挿入された接触確立要素を介してRF接続された2つのプリント回路板を有するプリント回路板構造の断面図を示す。図2に示す原理に基づいて段階的な厚さのベースプレート13’を有するプリント回路板構造20は、異なる厚さの2つのプリント回路板11および12’を含み、より厚みのあるプリント回路板12’が、すでに前述したように、下面にある熱放散プレート16によって、より高い熱負荷に対する設計がなされている。中間間隙14が、空いた状態のままであり、2つのプリント回路板11および12’を電気的に接続するために、各信号線に対して接触確立要素21によってブリッジ接続されるように、2つのプリント回路板11および12’が、互いの間が分離して、下方に配設されたベースプレート13’に載置される。
【0033】
図3に示す例示的な実施形態の接触確立要素21は、2つのプリント回路板11および12’の下方に配設され、ベースプレート13’に一体化される。この目的のために、中間間隙13の下方において貫通し、垂直の側壁を有する細長い穴の形状である凹所25がベースプレート13’に設けられ、細長い穴は、例えば、ベースプレート13’に機械加工され、または鋳造により組み込まれる(図5も参照)。凹所25は、接触確立要素21を収容し、接触確立要素21を締め付けて確実に保持する。接触確立要素21は、上面に、水平方向の中央部分31(図5)を有する導電性のばね式接触ロッカー22を含み、中央部分31は、両側で、上向きに曲げられた接触舌部23および24に合体する。
【0034】
熱放散プレート16が取り外されまたは省かれたエリア(図3)において、接触舌部23がプリント回路板11の下面を押圧して接触確立し、かつ接触舌部24が、プリント回路板12’の下面を押圧して接触確立するために、接触確立要素21が、挿入状態で、接触ロッカー22の接触舌部23および24とともに、凹所25から上向きに離れて、突出するように、接触確立要素21が設計され、かつ、凹所25に適合される。接触ロッカー22は、電気絶縁支持本体26の上面にあるくぼみ27に実装される。支持本体26は、電気絶縁材料、好ましくは、エラストマからなり、接触ロッカー22によって生成される信号線(内部導体)と、ベースプレート13’によって形成されるアース面(外部導体)との間に誘電体を形成する。
【0035】
支持本体26は、(例えば、装着ロボットによって)凹所25内に上方からより簡単に挿入可能なようにするために、円錐方向下向きにわずかにテーパ状になっている。支持本体26は、弾性特性により、凹所25に締め付け方法で保持される。この場合、支持本体26の下面に長手方向に伸びる2つの溝状の切欠き29および30は、支持効果を有する。接触ロッカー22は、打ち抜かれた曲げ部品であり、ばね用青銅から製造されることが好ましく、例えば、銀コーティングの表面仕上げを有する。
【0036】
支持本体26の上面にあるくぼみ27は、接触ロッカー22の縁輪郭に適合される。くぼみ27内に押し付けられる接触ロッカー22が、中央部分31の側縁部とともに、側部で支持本体26内に押し付けられ、したがって、支持本体26に確実に保持されるように、接触ロッカー22の幅広中央部分31のエリアにあるくぼみ27が設計される。中央部分31と支持本体26との間のかみ合いは、支持本体26の幅広エリア28によって支援され、この幅広エリア28は、側部に取り付けられ、凹所25内に挿入時、内向きにさらなる圧力を生成する。
【0037】
接触ロッカー22との接触を確立するために、プリント回路板11および12’の下面に接触表面18(接触パッド)が配設され、めっき貫通孔17(ビア)を介して、プリント回路板11および12’の上面の導体トラック19(図6も参照)に電気的に接続される。このようにして、導体トラック19、めっき貫通孔17、接触表面18および接触ロッカー22は、RF対応信号線の内部導体を形成し、2つのプリント回路板11および12’は、設置後、内部導体を介して互いに接続される。
【0038】
プリント回路板11および12’が、長期にわたり接触ロッカー22によって下方から加えられた圧力に耐えられず、変形した状況において、接触確立エリア上にわたって横断方向に延伸する機械的に堅牢な保持プレート39が、プリント回路板11または12’のそれぞれの上面に、図6に示すように設けられ、ベースプレート13’まで貫通する取り付け穴40を介してベースプレート13’にねじ留めされる。これは、接触確立要素21のエリアにおいて安定化放散プレート16がないことが、残りの層構造の堅牢性が低くなることを意味するために、特に、プリント回路板12’に必要でありうる。
【0039】
プリント回路板11および12’の下方のベースプレート13’に一体化される接触確立要素21により、図11に示すように、有利なことには、導電性ハウジング部品41の垂直分離壁42を中間間隙14、および、ベースプレート13’の全面的エリア上にわたって直接配置することができ、したがって、プリント回路板11の回路が、プリント回路板12’の回路からRF隔離され、2つのプリント回路板11および12’が、接触確立要素21によってのみ互いに接続されるように、プリント回路板構造20の上方の空間を2つの遮蔽空間43および44にさらに分割する。
【0040】
ハウジング部品41がなくても接触ロッカーを完全に電磁遮蔽するために、ベースプレート13は、凹所25の上側縁にさらなるくぼみを含んでもよく、このくぼみが遮蔽本体48を保持する。この遮蔽本体48、好ましくは、遮蔽プレートが、プリント回路板11および12のそれぞれの正面縁の下で突出するように設計され、したがって、プリント回路板上の金属被覆に一貫した導電接続を生成する。この目的のために、ベースプレート13の構造ならびにプリント回路板11および12の配置は、遮蔽本体48(層を有する遮蔽本体48が、図1の破線で例示的に示されている)でのステップを回避するために、水平面になるように選択されうることが好ましい。図3図6および図11に示すプリント回路板構造は、以下の特有の性質および利点により特徴づけられる。
【0041】
プリント回路板間の接続は、非常に良好なRF特性を有する。
【0042】
ベースプレートと直接接触させることで、個々のプリント回路板を最適に遮蔽することができる(図11)。
【0043】
高密度に取り付けられたプリント回路板から側部で突出する接触アームがない。
【0044】
接触力がボード面(x−y平面)上でのプリント回路板の動きの影響を受けず、接触ロッカーおよび支持本体が、弾性特性により、接触力の強化に寄与しているため、接続の位置耐性が高い。
【0045】
接触ロッカーおよび支持本体は、プリント回路板の高さ公差をある程度補償することができる。
【0046】
プリント回路板の回路設計の制約を受けずに、標準的な基準が適用可能であり、特に、RF特性が最適化可能である。
【0047】
複数のビアを接触確立要素21の各側部に使用することで、接触確立要素21を介して直接電流を送る能力を高めることができる。
【0048】
ねじ留めした保持プレート39によって、PTFEプリント回路板の機械的な堅牢性を高めることができる。
【0049】
さまざまな長さの接続を実装することができる。
【0050】
接続によって直接電流を送る能力を、事実上制約を受けずに選択することができる。
【0051】
接続が、最大同軸周波数制限(例えば、4GHz)まで、RF帯域制限なしに、事実上、理想的な50オーム環境に相当する。
【0052】
接続が、取り付け中のプリント回路板の位置の変化の影響を受けにくく、したがって、ガイドピンが不要であるため、接触パッド18を適切に設計することによって公差に容易に対処することができる。
【0053】
構成が機械的に堅牢である。
【0054】
接触ロッカーが、単純な打ち抜き加工された曲げ部品である。
【0055】
自己締め付けにより、ベースプレートに接触確立要素21を取り付けることが容易である。
【0056】
取り付け前、接触確立要素21は、カバーキャップで簡単に保護可能である。
【0057】
プリント回路板は、例えば、適所へ配置し、確実にねじ留めする際に、特に容易に取り扱いおよび取り付けが可能である。
【0058】
プリント回路板の組み立て中、特別な配置順序が不要である。
【0059】
モジュールの修理および取り替えが容易かつ迅速に可能である。
【0060】
ベースプレートおよび放散プレートに必要な凹所を設けるのに必要な労力が少ない。
【0061】
ベースプレート13または13’の上方のアース線により、接続をテストするための遮蔽カバーが不要である(図11のハウジング部品41)。
【0062】
しかしながら、図10に例示的に示すように、接触確立要素21’が、接触ロッカー22が装備された接触確立要素21の代わりに、ベースプレート13(または13’)に接触確立要素21’が一体化されてもよく、この接触確立要素21’は、例えば、最初に引用した米国特許第6,231,352号明細書に記載されているような、ならびに市販されているような接触確立ポスト45および46を使用する。2つの接触確立ポスト45および46は、ストリップの形のものであるさらなるプリント回路板47にはんだ面によってはんだ付けされ、したがって、互いに電気的に接続される。プリント回路板47ならびに接触確立ポスト45および46を備えるユニットは、接触確立ポスト45および46の圧力接触が、プリント回路板11および12がベースプレート13に配置されるときに、プリント回路板11および12に対して下方から押圧され、接触を確立するように、凹所25内に挿入される。
【0063】
図7図9に、本発明によるプリント回路板構造の別の実施形態が例示されている。この場合、2つの同一の接触確立要素32すなわち32aおよび32bが使用され、これらの接触確立要素は、プリント回路板11および12’の上面にある対応する導体トラックに、それぞれ180°回転させてはんだ付けされ、さらに、ボード平面に押し込められ、互いに重なり合うそれぞれの接触アーム35すなわち35aおよび35bとともに、中間間隙14(図8図9)内に突出する。接触確立要素32は、好ましくは、打ち抜き加工された曲げ部品の形状であり、ばね用青銅製であり、U字状の本体33すなわち33aおよび33bを有し、この本体の突出部にはんだ支持部が一体形成される。接触アーム35は、本体33から始まり、十分な長さのアームを得られるようにするために、まず後方に延伸し、180°曲げられ、本体33の内部を通って前方に押し出される。斜め外向き(30°〜45°)に曲げられた傾斜要素36が上部に接続され、直角に外向きに曲げられた導体要素37が下部に接続されたほぼ正方形の接触表面を含む接触アーム35の自由端で、接触セクション34が形成される。
【0064】
1つの接続の2つの接触確立要素32aおよび32bの接触アーム35aおよび35bは、拡張によりプリント回路板11および12’の位置誤差の公差を許容する正方形の接触表面を有し、中間間隙14において、ボード縁部に平行に加えられる圧力によって互いに重なり合い接触を確立する。傾斜要素36により、プリント回路板11および12’の取り付け中に2つの接触確立要素32aおよび32bを互いに簡単に挿入することができる。導体要素37により、ベースプレート13’上にわたって通る、外部導体とつながる接続の電気特性が高まる。接触アーム32aおよび32bの中間間隙のエリアにある凹所も同じ目的で使用される。他のコンポーネントと同じように、接触確立要素32aおよび32bは、従来の表面実装デバイスはんだ技術を使用してプリント回路板11および12’上に実装され、適切な自動デバイス用のベルト上に提供されうる。接触確立要素32aおよび32bは、最大4GHzの周波数まで信号を送信するために使用されうる。構成の機械強度を高めるために、保持ピンを設けてもよく、プリント回路板上の対応する穴にプラグ接続される。これらの保持ボルトは、RF特性を高めるために、打ち抜き加工された曲げ本体に直接一体化されるか、または周囲の絶縁本体に一体化されうる。この絶縁本体は、プラスチック射出成形挿入技術を用いて設計されうることが好ましい。
【0065】
この実施形態の特徴的性質および利点は以下の通りである。
【0066】
接触確立要素は非常に小型であり、あまり空間を占めない。
【0067】
接触確立要素は対称的であり、両方のプリント回路板に対して同じである。
【0068】
接触確立要素は、単純な打ち抜き加工された曲げ部品である。
【0069】
接触確立要素は部分的にめっきされうる。
【0070】
接触確立要素は、ベースプレートまたは放散プレートの変化を要求しない。
【0071】
それぞれのベースプレート13または13’の上方に設けられるアース線により、(図11のハウジング部品41に類似した)接続をテストするための遮蔽カバーが不要である。
【0072】
図12図15に、本発明のさらなる例示的な実施形態が示される。この例示的な実施形態におけるプリント回路板構造50は、矩形のベースプレート53を基にしたものであり、ベースプレート53の上面に、2つのプリント回路板51および52が着脱可能に実装される(ねじ留め)。2つのプリント回路板51および52は、同じタイプのものであるように設計されるが、互いに対して鏡像にベースプレート53上に実装される。2つのプリント回路板51および52は、互いに境を接して中間間隙54を形成する側部で、ベースプレート53の凹所に配設される接触確立要素60によってRF目的のために互いに接続される。2つのプリント回路板51および52は、図14および図15に示すように設計される。外部アクセス可能な接続ソケット57および58が、プリント回路板51および52のそれぞれの外側の狭い面に配設され、対応する線がこれらの接続ソケット57および58に接続されうる。長手方向に伸びる中央導体トラック55および56は、プリント回路板51および52の上面にある接続ソケット57および58からプリント回路板の他方の狭い面まで至り、狭い面上では、めっき貫通孔(図14および図15の56a)によって、プリント回路板の下面に設けられた接触表面(パッド)56bへ導電的に接続される。プリント回路板51および52の下方に配設された接触確立要素60は、2つのプリント回路板51および52の接触表面56bと接触して、2つのプリント回路板51と回路板52の間に導電接続をもたらす。
【0073】
接触確立要素60は、図13(b)に示すように設計される。プリント回路板51および52上の2つのパッド(56b)との接触および導電接続を確立するための接触確立要素60内に接触本体67が設けられ、接触本体67は、打ち抜き加工された曲げ部品の形のものであり、ベース本体67aを有し、上向き後方に曲げられた2つの接触舌部67bおよび67cが、ベース本体67aから反対側に鏡像形態で延伸する。接触本体67は、電気的に絶縁された形態で実装され、トラフ形状の支持本体66に(揺れなしで)固定され、ベースプレート53の対応する凹所65内に挿入される。
【0074】
2つのプリント回路板51および52には、ベースプレート53にあるねじ穴64に対応する穴63が、分配の仕方で、それぞれ設けられる。プリント回路板51および52は、複数のねじ59によってベースプレート53に実装され、複数のねじ59は、プリント回路板51および52の穴63を通過して、ねじ穴64内にねじ留めされる。プリント回路板51および52から下向きに突出する接続ソケット57および58用の空間を作るために、ベースプレート53に適切な凹所61および62が設けられる。
【0075】
プリント回路板構造50の幾何学的形状は、ベースプレート53に実装されるプリント回路板51および52の下面に設けられた接触表面56bが、接触確立要素60の接触舌部67bおよび67cをねじ式に下向きに押圧し、かくして、2つのプリント回路板51および52、正確には、2つの導体トラック55および56の間で接触本体67を介して確実かつ耐久性のある電気接触を生じるように選択される。
【符号の説明】
【0076】
10、20 プリント回路板構造
11、12、12’ プリント回路板
13、13’ ベースプレート
14 中間間隙
15 電気接続(RF対応)
16 放散プレート(熱的)
17 めっき貫通孔(ビア)
18 接触表面(パッド)
19 導体トラック
21、21’ 接触確立要素
22 接触ロッカー
23、24 接触舌部
25 凹所
26 支持本体(誘電体)
27 くぼみ
28 幅広エリア
29、30 切欠き(溝状)
31 中央部分
32、32a、32b 接触確立要素
33、33a、33b 本体(U字状)
34 接触セクション
35、35a、35b 接触アーム
36 傾斜要素
37 導体要素
38 はんだ支持部
39 保持プレート
40 取り付け穴
41 ハウジング部品
42 分離壁
43、44 遮蔽空間
45、46 接触ポスト
47 プリント回路板
48 遮蔽本体(遮蔽プレート)
50 プリント回路板構造
51、52 プリント回路板
53 ベースプレート
54 中間間隙
55、56 導体トラック
56a めっき貫通孔
56b 接触表面
57、58 接続ソケット
59 ねじ
60 接触確立要素
61、62 凹所
63 穴
64 ねじ穴
65 凹所
66 支持本体
67 接触本体
67a ベース本体
67b、67c 接触舌部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a)】
図12b)】
図12c)】
図13a)】
図13b)】
図14
図15