(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記ジエン系ゴム100重量部に対し、変性ガムロジン樹脂、パラオクチルフェノール樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を0.5〜5.0重量部配合した請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  本発明の目的は、耐摩耗性及び低発熱性を高次に両立させると共に、引張り破断伸びを向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  上記目的を達成する本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、CTAB吸着比表面積が100〜170m
2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100gのハードカーボンブラック領域に属し、かつ下記式(1)〜(3)の関係を満たすカーボンブラックを30〜80重量部を配合したことを特徴とする。
    1.3<D75/D25<1.6                      (1)
    SF
≦−D50+
415                              (2)
    Dpa
≦0.2×DBP−0.2×CTAB+
115    (3)
(上記式中、D25,D50及びD75は、それぞれ遠心沈降法で測定したアグリゲートの25%頻度値、50%頻度値及び75%頻度値(単位:nm)、SFは透過型電子顕微鏡によるアグリゲートの二次元投影画像を画像解析し、個々のアグリゲートの周囲長Lと投影面積Aから計算される形状係数sf=L
2/A×(100/4π)の個数平均値(無次元数)、Dpaはアグリゲートの投影面積から算出される円相当径(単位:nm)、DBPはDBP吸収量(単位:ml/100g)、CTABはCTAB吸着比表面積(単位:m
2/g)である。)
【0007】
  前記ジエン系ゴムとしては、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムを50重量%以上含んだものがよい。また、前記ジエン系ゴム100重量部に対して、変性ガムロジン樹脂、パラオクチルフェノール樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から
選ばれる少なくとも1種の樹脂を0.5〜5.0重量部配合するようにしたものがよい。また、前記ジエン系ゴム100重量部に対して、上記カーボンブラックに加えて、シリカを2〜20重量部配合するとよく、かつこのときのシリカの分散性向上のためにシランカップリング剤を前記シリカの配合量に対し3〜15重量%配合するとよい。
 
【発明の効果】
【0008】
  本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、CTAB吸着比表面積が100〜170m
2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100gのハードカーボンブラック領域に属し、かつ前記式(1)〜(3)の関係を満たすカーボンブラックを30〜80重量部を配合するようにしたので、耐摩耗性及び低発熱性を高次に両立させると共に、引張り破断伸びを向上することができる。
【0009】
  このタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、耐摩耗性及び低発熱性を高次に両立させながら、耐チッピング性を向上することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0010】
  本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、タイヤトレッド用ゴム組成物に通常用いられる天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができ、なかでも天然ゴム及び/又はイソプレンゴムが好ましい。
 
【0011】
  ジエン系ゴムに天然ゴム及び/又はイソプレンゴムを使用するときは、ジエン系ゴム中に天然ゴム及び/又はイソプレンゴムを好ましくは50重量%以上、より好ましくは60〜100重量%含むようにする。天然ゴム及びイソプレンゴムの含有量が50重量%未満であると、引張り破断伸びが低下し、所望の効果が得られ難くなる。
 
【0012】
  本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、CTAB吸着比表面積が100〜170m
2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100gのハードカーボンブラック領域に属するカーボンブラックを使用する。カーボンブラックのCTAB吸着比表面積は100〜170m
2/gであり、好ましくは120〜150m
2/gである。CTAB吸着比表面積が100m
2/g未満であると、耐摩耗性が不足する。170m
2/gを超えるときは、ゴム組成物の発熱性が悪化する。CTAB吸着比表面積は、JIS  K6217−3に準拠して、測定するものとする。
 
【0013】
  また、カーボンブラックのDBP吸収量は、100〜150ml/100gであり、好ましくは110〜135ml/100gである。DBP吸収量が100ml/100g未満であると耐摩耗性が不足する。150ml/100gを超えるときは、ゴム組成物の発熱性が悪化する。DBP吸収量は、JIS  K6217−4吸油量A法に準拠して、測定するものとする。
 
【0014】
  本発明において、カーボンブラックは上述したコロイダル特性を有すると共に、下記式(1)〜(3)の関係を満たすものとする。
    1.3<D75/D25<1.6                      (1)
    SF
≦−D50+
415                              (2)
    Dpa
≦0.2×DBP−0.2×CTAB+
115    (3)
(上記式中、D25,D50及びD75は、それぞれ遠心沈降法で測定したアグリゲートの25%頻度値、50%頻度値及び75%頻度値(単位:nm)、SFは透過型電子顕微鏡によるアグリゲートの二次元投影画像を画像解析し、個々のアグリゲートの周囲長Lと投影面積Aから計算される形状係数sf=L
2/A×(100/4π)の個数平均値(無次元数)、Dpaはアグリゲートの投影面積から算出される円相当径(単位:nm)、DBPはDBP吸収量(単位:ml/100g)、CTABはCTAB吸着比表面積(単位:m
2/g)である。)
 
【0015】
  上記式(1)において、D25及びD75は、JIS  K6217−6に準拠した遠心沈降法で測定したアグリゲートのストークス相当径を小粒径のものから累積させたとき、それぞれ25%頻度値及び75%頻度値(単位:nm)である。D25及びD75の比D75/D25は、アグリゲートのストークス相当径の分布の広さに相当し、本発明で使用するカーボンブラックは、アグリゲートのストークス相当径の分布がシャープであることを意味する。
 
【0016】
  本発明では、D75/D25は、1.3より大きく1.6より小さい。好ましくは1.35〜1.5であるとよい。D75/D25が1.3以下の場合には、低発熱性が悪化し、所望の効果が得られない。またD75/D25が1.6以上の場合には、耐摩耗性が悪化し、所望の効果が得られない。
 
【0017】
  上記式(2)において、D50は、D25及びD75と同様に、JIS  K6217−6に準拠した遠心沈降法で測定したアグリゲートのストークス相当径を累積させたときの50%頻度値(単位:nm)である。また、SFはカーボンブラックを透過型電子顕微鏡で観察し、アグリゲートの二次元投影画像を画像解析したときの形状係数sfの個数平均値(無次元数)である。カーボンブラックは、以下の方法で観察した。先ず、乾燥させたカーボンブラック試料1mgを試験管に入れ、クロロホルム2mlを加え、超音波で3分間分散させた。分散させた試料をカーボンブラック支持膜に固定し、透過型電子顕微鏡(直接倍率60000倍)で撮影した。得られた二次元投影画像を画像解析装置(NIRECO社製LUZEX−F)にかけ、1000個以上のアグリゲートについて、周囲長Lと投影面積Aを測定した。得られた周囲長Lと投影面積Aから形状係数sf=L
2/A×(100/4π)を算出し、その個数平均値をSFとした。
 
【0018】
  本発明では、SF
は(−D50+415)の計算値以下であ
る。SFが(−D50+
415)の計算値
より大きいときは、低発熱性が十分に得られない。なおSFの下限は、好ましくは(−D50+350)
 
【0019】
  上記式(3)において、Dpaは、上述した条件でカーボンブラックの透過型電子顕微鏡観察を行い、二次元投影画像を画像解析したときのアグリゲートの投影面積Aの個数平均値から算出される円相当径(単位:nm)である。また、DBPはDBP吸収量(単位:ml/100g)、CTABはCTAB吸着比表面積(単位:m
2/g)である。
 
【0020】
  本発明において、Dpaは、(0.2×DBP−0.2×CTAB+
115)の計算値
以下にする。好ましくは(0.2×DBP−0.2×CTAB+90)の計算値以
上にする。Dpaが(0.2×DBP−0.2×CTAB+
115)の計算値
より大きいと、耐摩耗性が十分に得られない。
 
【0021】
  本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、カーボンブラックとして上述したコロイダル特性を有するハードカーボンブラック領域に属すると共に、上記式(1)〜(3)の関係を満たすカーボンブラックを配合するようにしたので、耐摩耗性及び低発熱性を高次に両立させながら、ゴム組成物の引張り破断伸びを向上することができる。
 
【0022】
  上述したコロイダル特性を有するカーボンブラックは、市販されているものの中から選
択し使用してもよいし、公知のカーボンブラックの製造装置を用いて、原料の供給位置、供給量、供給温度、燃料油の供給量、燃料霧化空気の供給量、燃焼用空気供給量、燃焼用空気の温度、反応滞留時間などの製造条件を調整し、適宜製造してもよい。
 
【0023】
  本発明のゴム組成物において、カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、30〜80重量部であり、好ましくは35〜60重量部にするとよい。カーボンブラックが30重量部未満の場合、耐摩耗性が不足する。カーボンブラックが80重量部を超えると発熱性が悪化する。
 
【0024】
  本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物では、変性ガムロジン樹脂、パラオクチルフェノール樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を配合することが好ましく、耐チッピング性を一層高くすることができる。変性ガムロジン樹脂、パラオクチルフェノール樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは0.5〜5.0重量部、より好ましくは1.0〜4.0重量部にするとよい。これら樹脂の配合量が、0.5重量部未満であると、耐チッピング性を一層高くする効果が得られない。また、これら樹脂の配合量が、5.0重量部を超えると、耐摩耗性及び低発熱性が悪化し、所望の効果が得られない。
 
【0025】
  本発明において、変性ガムロジン樹脂とは、生松油をろ過精製したものから水蒸気蒸留によりテレピン油を除いた数種の樹脂酸の混合物を変性した樹脂である。例えばマレイン酸で変性したガムロジン樹脂として、ハリマ化成社製ハリタックAQ−90Aなどを例示することができる。パラオクチルフェノール樹脂とは、イソブチレンを原料としたアルキルフェノール樹脂であり、例えば日立化成工業社製ヒタノール1502Zなどを例示することができる。
 
【0026】
  また、1,3−ペンタジエン樹脂とは、C5留分から抽出された高純度の1,3−ブタジエンを主原料にした石油樹脂であり、例えば日本ゼオン社製クイントンA100などを例示することができる。ジシクロペンタジエン樹脂とは、C5留分から抽出された高純度のジシクロペンタジエンを主原料にした石油樹脂であり、例えば日本ゼオン社製クイントン1100などを例示することができる。
 
【0027】
  本発明のゴム組成物において、シリカを配合することが好ましく、発熱性を一層小さくすることができる。特にカーボンブラックの一部をシリカに置き換えることにより、耐チッピング性をより高くすると共に、発熱性を一層小さくすることができる。シリカの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは2〜20重量部、より、好ましくは4〜15重量部にするとよい。シリカの配合量が2重量部未満であると、発熱性を一層小さくする効果が十分に得られない。また、シリカの配合量が20重量部を超えると、耐摩耗性が悪化し、所望の効果が得られない。シリカの種類は特に制限されるものではなく、通常タイヤトレッド用ゴム組成物に使用されるものであればよい。
 
【0028】
  また、シリカを配合するときは、同時にシランカップリング剤を配合することが好ましく、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を改良することができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量に対し、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%にするとよい。シランカップリング剤の配合量が3重量%未満であると、シリカの分散性を十分に改良することができない。また、シランカップリング剤の配合量が15重量%を超えると、シランカップリング剤同士が凝集・縮合してしまい、所望の効果を得ることができなくなる。
 
【0029】
  シランカップリング剤の種類としては、特に制限されるものではないが、硫黄含有シラ
ンカップリング剤が好ましい。硫黄含有シランカップリング剤としては、例えばビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。
 
【0030】
  タイヤトレッド用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、各種無機充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
 
【0031】
  本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、耐摩耗性及び低発熱性を高次に両立させながら、耐チッピング性を向上することができる。このため、悪路(未舗装路)を走行することが多い重荷重用空気入りタイヤとして好適である。しかし、本発明の空気入りタイヤは、重荷重用に限定されるものではなく、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に使用することができる。乗用車用の空気入りタイヤとして使用した場合にも、耐摩耗性を優れたものにし、かつ発熱性を低くして燃費性能を向上させながら、タイヤ耐久性を向上することができる。
 
【0032】
  以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
 
【実施例】
【0033】
      カーボンブラックの製造及び性状
  炉の軸方向に装着した燃料バーナーの周囲から燃焼用空気を供給する空気導入口を有する燃焼室(内径900mm、長さ2100mm)に引き続き、半角15°のテーパ角を有する縮小テーパ部、円筒直管部(内径530mm、長さ400mm)、炉軸に対して直角方向に原料が供給できる原料供給口を供えた第1原料供給部(内径370mm、長さ3700mm)、第2原料供給部(内径254mm、長さ500mm)、半角15°のテーパ角を有する拡大テーパ第3原料供給部(長さ900mm)及び複数の冷却水スプレー装置を備えた反応停止部(内径420mm)からなるファーネス炉を用いた。なお、原料供給口は、第1原料供給部に4箇所(FNo.1〜FNo.4)、第2原料供給部に1箇所(FNo.5)、拡大テーパ第3原料供給部に3箇所(FNo.6〜FNo.8)設置されている。また、上述したいずれかの原料供給口から原料を供給し、所定の反応停止箇所で冷却水をスプレーすることにより反応滞留時間を調整した。
【0034】
  原料に比重1.05(100/4℃)、BMCI  150、エングラー粘度(70/20℃)1.32、トルエン不溶分0.02%の石炭系原料油を、燃料に比重0.96(15/4℃)、灰分0.001%、エングラー粘度(40/20℃)1.11、トルエン不溶分0.007%の炭化水素油を用いて、原料供給箇所、原料供給量、燃料油供給量、燃料霧化空気供給量、燃焼用空気供給量、燃焼用空気温度、反応滞留時間を、表1に示すように設定してCB1〜CB7の7種類のカーボンブラックを製造した。また、得られたカーボンブラックのコロイダル特性及び性状を前述した方法により測定して表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
  また、市販のカーボンブラックであるCB8(N220、新日化カーボン社製ニテロン#300)及びCB9(N234、新日化カーボン社製ニテロン#300IH)のコロイダル特性及び性状を前述した方法により測定して表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
      タイヤトレッド用ゴム組成物の調製及び評価
  表1,2に示す9種類のカーボンブラック(CB1〜CB9)を用いて、表3〜6に示す配合からなる22種類のゴム組成物(実施例1〜12、比較例1〜10)を調製するに当たり、それぞれ硫黄及び加硫促進剤を除く成分を秤量し、1.6Lの密閉式バンバリーミキサーで4分間混練し、温度140〜160℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを1.6L密閉式バンバリーミキサーに供し、硫黄及び加硫促進剤を加え、混練しタイヤトレッド用ゴム組成物を得た。得られた22種類のゴム組成物(実施例1〜12、比較例1〜10)を、それぞれ所定形状の金型中で、150℃、30分間加硫して試験片を作製し、下記に示す方法により引張り破断伸び、耐摩耗性及び発熱性の評価を行った。
【0039】
      引張り破断伸び
  得られた試験片から、JIS  K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、500mm/分の引張り速度で引張り破断伸びを測定した。得られた結果は、表3,4では比較例1の値を100、表5では比較例7の値を100、表6では比較例9の値を100とする指数として表3〜6に示した。この指数が大きいほど引張り破断伸びが大きく、空気入りタイヤにしたとき耐チッピング性が優れることを意味する。
【0040】
      耐摩耗性
  得られた試験片をJIS  K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を使用して、試験温度23℃、荷重15N、スリップ率50%、時間25分の条件で摩耗試験を行って摩耗量を測定した。得られた結果は、表3,4では比較例1の値の逆数を100、表5では比較例7の値の逆数を100、表6では比較例9の値の逆数を100とする指数として表3〜6に示した。この指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを意味する。
【0041】
      発熱性(tanδ)
  動的粘弾性tanδを指標とした。得られた試験片をJIS  K6394に準拠して、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で、温度20℃におけるtanδを測定した。得られた結果は、表3,4では比較例1の値を100、表5では比較例7の値を100、表6では比較例9の値を100とする指数として表3〜6に示した。この指数が小さいほど発熱性が小さく優れることを意味する。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
  なお、表3〜6において使用した原材料の種類を下記に示す。
NR:天然ゴム、RSS#3
BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL  BR1200
CB1〜CB7:上述した製造で得られた表1に示す試作カーボンブラック
CB8:カーボンブラック、N220、新日化カーボン社製ニテロン#300
CB9:カーボンブラック、N234、新日化カーボン社製ニテロン#300IH
シリカ:デグッサ社製ULTRASIL  VN3GR
シランカップリング剤:デグッサ社製Si69
変性ガムロジン樹脂:ハリマ化成社製ハリタックAQ−90A
パラオクチルフェノール樹脂:日立化成工業社製ヒタノール1502Z
1,3−ペンタジエン樹脂:日本ゼオン社製クイントンA100
ジシクロペンタジエン樹脂:日本ゼオン社製クイントン1100
亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
老化防止剤:住友化学社製アンチゲン6C
硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーNS−P