特許第5659782号(P5659782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5659782
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式熱源機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20150108BHJP
   F24H 9/06 20060101ALI20150108BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   F24H1/00 611F
   F24H9/06 301B
   F24F1/02 411A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-288606(P2010-288606)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2012-137213(P2012-137213A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】若竹 孝史
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−185250(JP,A)
【文献】 米国特許第03540229(US,A)
【文献】 特開2007−232236(JP,A)
【文献】 特開2009−156477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24F 13/20
F24H 9/06
F25B 30/02
F25B 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、送風機と、これらを収納する外装ケースとを備えたヒートポンプ式熱源機において、
前記外装ケースの底板部は、前記圧縮機と蒸発器と送風機とを搭載する為の第1板部材と、この第1板部材とは分断状の別部材に構成され且つ前記凝縮器を搭載する為の第2板部材を有し、
前記第1,第2板部材の下面に夫々支持脚が設けられ、前記ヒートポンプ式熱源機を据え付けた状態では、前記第1,第2板部材が非接触状態に配置されたことを特徴とするヒートポンプ式熱源機。
【請求項2】
圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、送風機と、これらを収納する外装ケースとを備えたヒートポンプ式熱源機において、
前記外装ケースの底板部は、前記圧縮機と蒸発器と送風機とを搭載する為の第1板部材と、この第1板部材とは分断状の別部材に構成され且つ前記凝縮器を搭載する為の第2板部材を有し、
前記第1板部材は下端開放状の凹入部が形成された箱形部を有し、前記凹入部に前記凝縮器を収容し、前記第2板部材は前記凹入部の下端の開口部の大部分を塞ぐように配置されることを特徴とするヒートポンプ式熱源機。
【請求項3】
前記ヒートポンプ式熱源機の据え付け前には、前記第2板部材を第1板部材に仮固定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプ式熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式熱源機に関し、特に、圧縮機と蒸発器と凝縮器と送風機とを搭載する外装ケースの底板部の構造を改良したものである。
【背景技術】
【0002】
近年、貯湯式給湯装置として、貯湯式のヒートポンプ式給湯装置が実用に供されている。この給湯装置は、温水を貯留する大容量の貯湯タンクと、ヒートポンプ回路を有するヒートポンプ式熱源機を備え、夜間割引の安価な電力を利用して、ヒートポンプ式熱源機で水道水を温水に加熱して、その温水を貯湯タンクに貯留しておき、蛇口や風呂などの所望の給湯先に給湯するものである。ヒートポンプ式熱源機は、大気に含まれる熱エネルギーを利用して水道水を加熱しているので、燃焼式熱源機や電気ヒータ式熱源機よりもエネルギー効率が良く、給湯コストの低減を図ることができる。
【0003】
ところで、図6に示すように、従来のヒートポンプ式熱源機100は、圧縮機101と、蒸発器102と、凝縮器としての温水加熱用熱交換器103と、送風機106と、これらを収納する外装ケース104などを備えている。圧縮機101と、蒸発器102と、温水加熱用熱交換器103と、送風機106は、外装ケース104の底板部107の上面に載置されている。
【0004】
外装ケース104内において、温水加熱用熱交換器103は、発泡断熱材(図示略)で覆われ、発泡断熱材の周囲が保護カバー105で覆われている。保護カバー105の側壁部の下端部分には、保護カバー105内に連通した開口部が形成され、温水加熱用熱交換器103の接続配管108が開口部から延びて圧縮機101と接続する冷媒循環用配管に接続されている。尚、特許文献1のヒートポンプ式熱源装置も、凝縮器が保護カバーで覆われ、保護カバーの側壁部分の開口部から凝縮器の接続配管が延びて圧縮機と接続する冷媒循環用配管に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3931878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のヒートポンプ式熱源機においては、外装ケースにおいて各種機器が底板部に配置され、凝縮器や圧縮機の運転時における振動が、底板部や複数の冷媒循環用配管に伝播するため、振動や騒音が増大し、共振により振動や騒音が著しく悪化する場合もある。特許文献1のヒートポンプ式熱源機においても同様の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、凝縮器や圧縮機の運転時における外装ケースの底板部の振動や騒音を抑制でき、共振も防止可能なヒートポンプ式熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のヒートポンプ式熱源機は、圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、送風機と、これらを収納する外装ケースとを備えたヒートポンプ式熱源機において、前記外装ケースの底板部は、前記圧縮機と蒸発器と送風機とを搭載する為の第1板部材と、この第1板部材とは分断状の別部材に構成され且つ前記凝縮器を搭載する為の第2板部材を有し、前記第1,第2板部材の下面に夫々支持脚が設けられ、前記ヒートポンプ式熱源機を据え付けた状態では、前記第1,第2板部材が非接触状態に配置されたことを特徴としている。
【0009】
請求項2のヒートポンプ式熱源機は、圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、送風機と、これらを収納する外装ケースとを備えたヒートポンプ式熱源機において、前記外装ケースの底板部は、前記圧縮機と蒸発器と送風機とを搭載する為の第1板部材と、この第1板部材とは分断状の別部材に構成され且つ前記凝縮器を搭載する為の第2板部材を有し、前記第1板部材は下端開放状の凹入部が形成された箱形部を有し、前記凹入部に前記凝縮器を収容し、前記第2板部材は前記凹入部の下端の開口部の大部分を塞ぐように配置されることを特徴としている。
【0010】
【0011】
請求項のヒートポンプ式熱源機は、請求項1又は2の発明において、前記ヒートポンプ式熱源機の据え付け前には、前記第2板部材を第1板部材に仮固定可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、外装ケースの底板部は、圧縮機と蒸発器と送風機とを搭載する為の第1板部材と、この第1板部材とは分断状の別部材に構成され且つ前記凝縮器を搭載する為の第2板部材を有するので、底板部の第1,第2板部材が分断されているため、運転時に圧縮機や凝縮器で発生する振動が第1板部材から第2板部材へまたは第2板部材から第1板部材へ伝播して、振動や騒音が増大するのを防止し、共振現象が発生するのを確実に防止することができる。
【0013】
そして、第1,第2板部材の下面に夫々支持脚が設けられたので、第1,第2板部材を安定した状態で据え付け面に載置することができる。また、ヒートポンプ式熱源機を据え付けた状態では、第1,第2板部材が非接触状態に配置されたので、圧縮器で発生した振動が第1板部材から第2板部材へ伝播するのを防止でき、凝縮器で発生した振動が第2板部材から第1板部材へ伝播するのを防止でき、第1,第2板部材の振動が共振により悪化するのを確実に防止することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、前記段落[0012]に記載した効果と同様の効果が得られる上、第1板部材は下端開放状の凹入部が形成された箱形部を有し、その凹入部に凝縮器を収容し、第2板部材は凹入部の開口部の大部分を塞ぐように配置されるので、凝縮器で発生した振動音が外部へ漏れるのを抑制できる。
【0015】
請求項の発明によれば、ヒートポンプ式熱源機の据え付け前には、第2板部材を第1板部材に仮固定可能であるので、第1,第2板部材を別々に搬送する必要がないため、ヒートポンプ式熱源機の搬送作業をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】貯湯式給湯装置の概略構成図である。
図2】ヒートポンプ式熱源機の各種機器の配置を示した斜視図である。
図3】凝縮器の収納構造を示す分解斜視図である。
図4】凝縮器の収納構造を示す断面図である。
図5】搬送時における第2板部材を第1板部材に仮固定した状態を示す断面図である。
図6】従来のヒートポンプ式熱源機の各種機器の配置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
図1に示すように、貯湯式ヒートポンプ式給湯装置1は、貯湯タンクユニット2と、ヒートポンプ式熱源機3と、配管類6,7,8,9a,9b,10と、主制御部11などを有する。
【0019】
図1図2に示すように、貯湯タンクユニット2は、縦長筒状の外周面を有する貯湯タンク12と、この貯湯タンク12の外面側を覆う保温材13と、貯湯タンク12と保温材13を収容可能な外装ケース14とを備えている。貯湯タンク12は、ヒートポンプ式熱源機3で加熱された高温の温水を貯留するものであり、耐腐食性に優れたステンレス製の板材で構成され、半球状に形成された上下1対のタンク上部及びタンク下部と、縦長の円筒状のタンク胴部とが溶接により一体化されている。
【0020】
タンク12の下端部には、水道管などの給水管7と温水循環用配管9aに接続される下部配管8が接続されている。給水管7には、貯湯タンク12へ水道水を補充する為の開閉弁15が設けられており、開閉弁15が開いて水道水を貯湯タンク12内に補充するようになっている。その貯湯タンク12から液送ポンプ16を介して温水(貯留水)が下部配管8、温水循環用配管9aを通りヒートポンプ式熱源機3に送られる。ヒートポンプ式熱源機3で加熱された温水は温水循環用配管9bへ流れる。
【0021】
タンク12の上端部には、温水循環用配管9bと出湯用配管6に接続される上部配管10が接続されている。上部配管10には開閉弁17が設けられている。開閉弁15,17を開くと、貯湯タンク12内に貯留された高温の温水(例えば、80〜90℃)を上部配管10に供給することができる。
【0022】
保温材13は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成され、貯湯タンク12の外面側を覆って貯湯タンク12に貯留された温水の温度低下を防ぐ断熱機能を有する。
【0023】
保温材13には、タンク軸心方向に複数の収容凹部が所定間隔おきに形成されている。これら複数の収容凹部には、複数の温度センサ31〜34が高さ方向所定間隔おきの位置に配置されている。温度センサ31〜34は主制御部11に接続されており、温度センサ31〜34の温度検出信号が主制御部11に供給される。
【0024】
外装ケース14は、薄鋼板製で貯湯タンク12の軸心方向に所定の長さを有する断面矩形の直方体の箱状に形成され、4つの側板部(つまり、左右の側板部、前後の側板部)と、上面板(天板)と、下面板とから構成されている。
【0025】
ヒートポンプ式熱源機3は、炭化水素系などの冷媒の循環流通経路上に、蒸発器としての空気熱交換器18と、送風モータ19aで駆動される送風機19と、圧縮機20と、凝縮器としての温水加熱用熱交換器21と、高圧の冷媒を急膨張させて圧力を下げる膨張弁22とが順次接続されたヒートポンプ回路23と、主制御部11に接続された補助制御部24と、これらを収納する外装ケース25とを備えている。
【0026】
ヒートポンプ式熱源機3において、圧縮機20を駆動することにより高圧まで圧縮された加熱状態の冷媒は、温水加熱用熱交換器21に送られ、液送ポンプ16の駆動によりタンク12の下端部から下部配管8を経て温水循環用配管9aに流入した温水又は水と熱交換してその温水又は水を暖め、加熱された温水が温水循環用配管9b、上部配管10を通って貯湯タンクユニット2の貯湯タンク12に貯留され、ヒートポンプ式熱源機3を経由する加熱動作を繰り返すことで貯湯タンク12に高温の温水が貯留される。
【0027】
補助制御部24は、主制御部11との間でデータ通信可能であり、主制御部11からの指令に従ってヒートポンプ回路23の各種機器(送風モータ19a、圧縮機20など)の動作制御を実行する。温水加熱用熱交換器21の出口側部分において、温水循環用配管9bには、温水温度を検知するための温度センサ26が設けられ、その検出信号が主制御部11に供給されている。補助制御部24は、温水の加熱温度が主制御部11から指示された温度となるまで、ヒートポンプ式熱源機3を作動させる。
【0028】
ユーザによる給湯操作が行われると、貯湯タンク12に貯留された温水が出湯用配管6に流れ、その温水と給水管7から供給される水道水とが混合弁27で混合され、所定の温度となって蛇口などの給湯栓4に給湯される。混合弁27の上流部、下流部、給水管7の途中部には、夫々、温水温度又は入水温度を検知するための温度センサ28〜30が設けられ、これら温度センサ28〜30の検出信号が主制御部11に供給されている。主制御部11は、これら温度センサ28〜30で検知された温度検知データに基づいて、混合弁27を制御して温水と水の混合比を調節することで給湯する温水の温度を調整する。
【0029】
主制御部11は、ユーザが操作可能な操作リモコン35との間でデータ通信可能であり、ユーザによる操作リモコン35のスイッチ操作により目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度データが操作リモコン35から主制御部11に送信される。主制御部11は、給湯動作時には、目標給湯温度データ及び温度センサ31〜34からの温度検知データに基づいて、ヒートポンプ式熱源機3で温水を加熱する加熱温度を決定し、補助制御部24にその加熱温度を指示する。
【0030】
次に、本願特有の外装ケース25の構造について説明する。
外装ケース25は、薄鋼板製で縦長の断面矩形の直方体の箱状に形成され、左右1対の側板部36と、前側板部37と、後側板部38と、上板部(天板部)40と、底板部41とで構成されている。
【0031】
図2図5に示すように、底板部41は、空気熱交換器18と、送風機19と、圧縮機20を搭載する為の第1板部材42と、この第1板部材42とは分断状の別部材に構成され且つ温水加熱用熱交換器21を搭載する為の第2板部材43を有する。
【0032】
第1板部材42は、下端開放状の凹入部44が形成された平面視横長矩形の箱形部45と、この箱形部45の下端部の外周側に形成された底壁部46とを備え、これら箱形部45と底壁部46とがプレス成形により一体品に構成されている。箱形部45は、上壁部47と、上壁部47の前後両端から略直角に下方に屈曲され所定長さ延びる前壁部48及び後壁部(図示略)と、上壁部47の左右両端から略直角に下方に屈曲され所定長さ延びる左右1対の側壁部49とを備えている。
【0033】
底壁部46は、箱形部45の壁部48,49の下端に連なり、凹入部44の下端の開口部44aの外周側にフランジ状に形成されている。尚、上壁部47と4つの壁部48,49とをプレス成形にて一体成形したものを底壁部46の上面に溶接して形成してもよい。
【0034】
第1板部材42において、凹入部44は、横長矩形状の開口部44aから上方へ向かって所定の深さを有し、この凹入部44には、温水加熱用熱交換器21と、温水加熱用熱交換器21を覆う保温材50とが収容されている。
【0035】
保温材50は、上下に2分割された1対の分割体50a,50bで構成され、それらの内部には、温水加熱用熱交換器21を収容する収容凹部が形成されている。保温材50は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成されている。
【0036】
上壁部47には、前記凹入部44に連通した開口部47aが設けられている。温水加熱用熱交換器21の複数の接続配管21aは、前記の開口部47aから上方へ延びて、圧縮機20と接続する冷媒循環用配管23aに接続されている。第1板部材42の底壁部46の右端側部分の上には、圧縮機20等が搭載されている。
【0037】
第1板部材42の箱形部45の上壁部47には、送風機19を支持する支持板51を固定する為の固定部材52がビスで固定されている。支持板51は、上下方向に所定の長さを有する本体板部51aと、本体板部51aの上端部から直角に後方に屈曲された上板部51bと、本体板部51aの下端部から直角に前方に屈曲された底板部51cとを備えている。
【0038】
送風機19は、送風モータ19aを介して支持板51の本体板部51aの中段部分に取り付けられ、上板部51bが外装ケース25の後側板部38の上端部に固定され、底板部51cが前記の固定部材52に固定されている。送風機19の背面と左側面に亙る平面視にてL形の空気熱交換器18が第1板部材42の底壁部46の上に装備されている。
【0039】
底壁部46の下面の左右両端部分には、前後方向に所定の長さを有する左右1対の金属製の支持脚53a,53bがビスで固定されている。これら1対の支持脚53a,53bを所定のコンクリート製の設置台54の据え付け面54aに設置することにより、第1板部材42が1対の支持脚53a,53bを介して設置台54の据え付け面54aに据え付けられる。
【0040】
第1板部材42の凹入部44の下端には、開口部44aの大部分を塞ぐように第2板部材43が配置されている。第2板部材43は、横長矩形の平板状に形成されている。第2板部材43の左右方向の長さは、開口部44aの左右長よりも小さく設定されている。第2板部材43の前後方向の長さは、開口部44aの前後長よりも小さく設定されている。
【0041】
第2板部材43の下面の左右両端寄り部分には、前後方向に所定の長さを有する左右1対の支持脚55a,55bがビスで固定されている。これら1対の支持脚55a,55bは、前記の支持脚53a,53bと同様のものである。これら1対の支持脚55a,55bを前記の設置台54の据え付け面54aに据え付けることにより、第2板部材43が第1板部材42とは別個独立に1対の支持脚55a,55bを介して設置台54の据え付け面54aに据え付けられる。温水加熱用熱交換器21は、保温材50を介して第2板部材43の上に載置されている。
【0042】
図4に示すように、ヒートポンプ式熱源機3を設置台54の据え付け面54aに据え付けた状態において、第2板部材43の前後両端部及び左右両端部と凹入部44の開口部44aの周縁部との間に隙間56が形成され、第1板部材42と第2板部材43とが非接触状態に配置されている。
【0043】
図5に示すように、ヒートポンプ式熱源機3を設置場所まで搬送するまでの据え付け前の状態では、第2板部材43の左右両端部が第1板部材42の下面に取り付けた1対の支持脚53a,53bのフランジ部の上に載置され、フランジ部に形成された複数のビス孔に複数のビスで仮固定されている。ヒートポンプ式熱源機3を設置台54に据え付けるときには、前記ビスを取り外して第1,第2板部材42, 43の固定状態を解除する。
【0044】
以上説明したヒートポンプ式熱源機3の作用、効果について説明する。
貯湯式ヒートポンプ式給湯装置1においては、夜間割引の安価な電力を利用して、ヒートポンプ式熱源機3の各種機器(送風モータ19a、圧縮機20など)を駆動して、ヒートポンプ式熱源機3で一日に必要な量の温水を作り、その蓄熱した高温の温水を貯湯タンク12に貯留しておき、出湯する際、高温の温水と水道水とを混合して、ユーザの欲する所望の温度にして、蛇口や風呂などの給湯先に給湯する。
【0045】
外装ケース25の底板部41は、空気熱交換器18と送風機19と圧縮機20を搭載する為の第1板部材42と、この第1板部材42とは分断状の別部材に構成され且つ温水加熱用熱交換器21を搭載する為の第2板部材43を有する。このように、底板部41の第1,第2板部材42,43が分断されているため、送風機19と圧縮機20で発生した振動が第1板部材42から第2板部材43へ伝播して振動や騒音が増大するのを防止し、共振現象が発生するのを確実に防止することができる。同様に、温水加熱用熱交換器21で発生した振動が第2板部材43から第1板部材42へ伝播して、振動や騒音が増大するのを防止し、共振現象が発生するのを確実に防止することができる。
【0046】
第1板部材42の下面に1対の支持脚53a,53bを設け、第2板部材43の下面に1対の支持脚55a,55bを設けたので、第1,第2板部材42,43を安定した状態で据え付け面54aに載置することができる。
【0047】
また、ヒートポンプ式熱源機3を据え付けた状態では、第1,第2板部材42,43が非接触状態に配置されたので、圧縮器20で発生した振動が第1板部材42から第2板部材43へ伝播するのを防止でき、温水加熱用熱交換器21で発生した振動が第2板部材43から第1板部材42へ伝播するのを防止でき、第1,第2板部材42, 43の振動が共振により悪化するのを確実に防止することができる。
【0048】
第1板部材42は下端開放状の凹入部44が形成された箱形部45を有し、その凹入部44に温水加熱用熱交換器21と保温材50を収容し、第2板部材43は凹入部44の開口部44aの大部分を塞ぐように配置されるので、温水加熱用熱交換器21で発生した振動音が外部へ漏れるのを抑制できる。
【0049】
ヒートポンプ式熱源機3の据え付け前には、第2板部材43を第1板部材42に仮固定可能であるので、第1,第2板部材42,43を別々に搬送する必要がないため、ヒートポンプ式熱源機3の搬送作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
尚、前記実施例を次のように部分的に変更してもよい。
(1)前記底板部41における、箱形部45と底壁部46を一体的にプレス成形する代わりに、前記の箱形部45と底壁部46を一体的な樹脂成形品で構成してもよい。
(2)第2板部材43の下面に1対の支持脚55a,55bを設ける代わりに、第2板部材43の長手方向向きに1又は複数の支持脚を設けてもよい。
【0051】
(3)振動により第1,第2板部材42,43の水平方向の相対的な位置関係がずれるのを防止する為に、第1板部材42に形成した凹入部44の下端の開口部44aの内周面と、第2板部材43の外周面との間に、複数のゴム製のスペーサを設けてもよい。
(4)その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記の実施例に種々の変更を付加して実施可能である。
【符号の説明】
【0052】
3 ヒートポンプ式熱源機
18 空気熱交換器(蒸発器)
19 送風機
20 圧縮機
21 温水加熱用熱交換器(凝縮器)
25 外装ケース
41 底板部
42 第1板部材
43 第2板部材
44 凹入部
44a 開口部
45 箱形部
53a,53b,55a,55b 支持脚
図1
図2
図3
図4
図5
図6