(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の用紙巻付き防止爪は、前記加熱ローラと前記押圧ローラの前記長手方向の前記両端部側からそれぞれ前記中央部まで、段差を持って3段階に分けて順次前記用紙把持部から離れる位置に配置される、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーを用いて電子写真方式でトナー像を像担持体上に形成し、このトナー像を用紙に直接または間接に転写し、この転写トナー像を定着装置で用紙に定着して画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置は、例えば、給紙ユニット、ベルトユニット、画像形成ユニット、定着ユニット等の複数の内部装置を備え、中には装置外側に開閉式の補助給紙トレイを備えたものなどもある。(例えば、特許文献1、2、3参照。)
【0004】
上記の特許文献1に記載の技術は「定着装置およびこれを用いた電子写真装置」に関する技術であり、定着装置における加熱ローラへの用紙の巻付き状態を、従来の用紙搬送センサで検出可能とした画像形成装置について記載されている。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術は「給紙装置、及びこれを備えた画像形成装置」に関する技術であり、押下げカムをなくして小型化することができる給紙装置及びこれを備えた画像形成装置について記載されている。
【0006】
また、特許文献3に記載の技術は「シート給送装置」に関する技術であり、圧板付勢手段で上方に付勢している可動圧板を給送ローラと連動して回転する規制プレートカムで上下方向に規制する構造で、可動圧板が急激に上昇して給送ローラに衝突することを防止できるシート給送装置について記載されている。
【0007】
ところで、特許文献1に記載されている定着装置の用紙ジャムは、単に検出するだけであって防止することを目的とはしていない。但し、定着装置の用紙ジャムを防止する方式は既に実用化されている。
【0008】
図11(a)は、従来のベルト式定着装置の用紙巻付き防止機構を示す正面図であり、同図(b) はその側面図、同図(c)は巻付き防止ユニットを示す図である。尚、同図(b)には、同図(a)では図の手前側に配置される部材であるため図示を省略した押圧ローラ1を破線で示し、また、同図(a)では図の向う側に配置される部材である発熱ローラ2とヒータ3も示している。
【0009】
図11(a),(b),(c)に示すように、用紙巻付き防止機構は、加熱ローラ4に熱伝導ベルト5を介して圧接する押圧ローラ1の用紙把持部6の近傍に、用紙が熱伝導ベルト5を介して加熱ローラ4側に巻き付くことを防止する複数の巻付き防止爪7が配置されている。
【0010】
巻付き防止爪7は、
図11(c)に示す例では6枚を1組として連結板8で連結されて爪ユニット9を構成している。そして5組の爪ユニット9が、
図11(a),(b)に示すように保持部材11に保持され、この保持部材11が不図示の定着装置フレームに固定されている。
【0011】
これにより、5組の爪ユニット9の各爪の爪先が、
図11(a)に矢印aで示す位置で、加熱ローラ4と熱伝導ベルト5に近接して横一直線に揃って配置される。尚、
図11(b)に示す押圧ローラ1は、特には図示しないが、軸の両端部を付勢部材によって加熱ローラ4方向に付勢されている。
【0012】
この付勢力により、押圧ローラ1は、熱伝導ベルト5を介して加熱ローラ4に圧接し、用紙把持部6を形成している。軸の両端部を付勢されているため、押圧ローラ1は両端部になるほど強く加熱ローラ4を押圧し、その押圧力は中央部になるほど弱くなる。
【0013】
図12(a)は
図11(a)のA−A´断面矢視図で且つB−B´断面矢視図であり、
図12(b)は
図11(a)のC−C´断面矢視図、
図12(c)は定着画像の不具合を示す図である。
【0014】
図12(a)に示すように、押圧ローラ1は軸の両端部に掛る付勢力により両端部では強く加熱ローラ4を押圧してやや加熱ローラ4側に食い込むため、紙面の画像12を定着されながら用紙把持部6を通過した記録媒体(以下、用紙という)13は、押圧ローラ1側に反る形状で用紙把持部6から送り出される。このため画像12が巻付き防止爪7の背に接触することはない。
【0015】
ところが、押圧ローラ1は中央部では上述したように押圧力が両端部よりも弱くなるため、
図12(b)に示すように、用紙把持部6を通過した用紙13は押圧ローラ1側に反ることなく、ほぼ真っ直ぐに用紙把持部6から送り出される。このため画像12が巻付き防止爪7の背に接触する。
【0016】
そのため、
図12(c)に示すように、画像12において(尚、
図12(c)では分かりやすくベタ画像で示している)、両端は巻付き防止爪7の接触した痕跡が無く、中央部になるほど巻付き防止爪7が接触した痕跡14が明確に現れて画像障害となりやすいという解決すべき課題がある。
【0017】
また、特許文献2又は3に記載されている給紙トレイからの給紙方式は、給紙ローラの径を大きく且つ画像形成装置本体側の駆動系の駆動源とは別の駆動源を用いて駆動しているため小型化したとはいっても実際には小型でない。すなわち、画像形成装置本体の側面等に取り付ける補助給紙トレイ等には適用できないという解決すべき課題がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1〜4に係る画像形成装置の内部構成を説明する中央断面図である。
図1に示す画像形成装置(以下、プリンタともいう)15は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部16、中間転写ベルトユニット17、給紙部18、及び両面印刷用搬送ユニット19で構成されている。
【0026】
上記画像形成部16は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット21(21M、21C、21Y、21K)を多段式に並設した構成からなる。
【0027】
上記4個の画像形成ユニット21のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット21M、21C及び21Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット21Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0028】
上記の各画像形成ユニット21は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット21Kを例にしてその構成を説明する。
【0029】
画像形成ユニット21は、最下部に感光体ドラム22を備えている。この感光体ドラム22は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム22の周面近傍を取り巻いて、クリーナ23、帯電ローラ24、光書込ヘッド25、及び現像器26の現像ローラ27が配置されている。
【0030】
現像器26は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0031】
また、現像器26の下部には側面開口部に上述した現像ローラ27を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ27にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ27上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0032】
中間転写ベルトユニット17は、本体装置のほぼ中央で図の前後両側のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト28と、この転写ベルト28を掛け渡されて転写ベルト28を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ29と従動ローラ31を備えている。
【0033】
上記の転写ベルト28は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットといっている。
【0034】
この中間転写ベルトユニット17は、上記扁平なループ状の転写ベルト28のループ内にベルト位置制御機構32を備えている。ベルト位置制御機構32は、転写ベルト28を介して感光体ドラム22の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ33を備えている。
【0035】
ベルト位置制御機構32は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット21M、21C及び21Yに対応する3個の一次転写ローラ33を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0036】
そして、ベルト位置制御機構32は、ブラック(K)の画像形成ユニット21Kに対応する1個の一次転写ローラ33を上記3個の一次転写ローラ33の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト28を感光体ドラム22から離接させる。
【0037】
すなわち、ベルト位置制御機構32は、中間転写ベルトユニット17の転写ベルト28の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ33が転写ベルト28に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット21Kに対応する一次転写ローラ33のみが転写ベルト28に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ33が転写ベルト28から離れる)に切換える。
【0038】
上記の中間転写ベルトユニット17には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット21Mの更に上流側の上面部に、クリーニング部34及び取り込みローラ35が配置されている。
【0039】
クリーニング部34は、転写ベルト28の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ35はクリーニング部34が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込む。
【0040】
溜め込まれた廃トナーは、搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送され、落下筒を介して、転写ベルト28の下面部に沿い付けるように着脱自在に配置されている平らで薄型の廃トナー回収容器36に送り込まれる。
【0041】
また、上記のクリーニング部34を適度の圧力で転写ベルト28に圧接させるために、中間転写ベルトユニット17側には、下方から転写ベルト28をクリーニング部34に向けて押圧する押圧ローラ37が設けられている。
【0042】
給紙部18は、上下2段に配置された2個の給紙カセット38を備え、2個の給紙カセット38の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ39、給送ローラ41、捌きローラ42、待機搬送ローラ対43が配置されている。
【0043】
待機搬送ローラ対43の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト28を介して従動ローラ31に圧接する二次転写ローラ44が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0044】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置(以下、単に定着装置という)45が配置されている。定着装置45は、加熱ローラ46、押圧ローラ47、熱源48、発熱ローラ49、熱伝導ベルト51、用紙巻付き防止爪52を備えている。
【0045】
熱源48は発熱ローラ49の内部に配置されて発熱ローラ49に熱を供給する。熱伝導ベルト51は発熱ローラ49と加熱ローラ46に掛け渡されて発熱ローラ49の熱を加熱ローラ46に伝達する。押圧ローラ47は熱伝導ベルト51を介して加熱ローラ46に圧接し、用紙把持部53を形成する。
【0046】
定着装置45の更に下流側には、定着後の用紙を定着装置45から搬出する搬出ローラ対54、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレイ55に排紙する排紙ローラ対56が配設されている。
【0047】
両面印刷用搬送ユニット19は、上記搬出ローラ対54と排紙ローラ対56との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した返送開始路57a、それから下方に曲がる返送中間路57b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路57c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対58a、58b、58c、58dを備えている。
【0048】
上記返送終端路57cの出口は、給紙部18の下方の給紙カセット38に対応する待機搬送ローラ対43への搬送路に連絡している。
【0049】
次に、上記の構成におけるプリンタ15の基本動作を説明する。なお、以下の基本動作の説明では、カラー印字の状態における動作について説明する。
【0050】
先ず、電源が投入され、使用する用紙の枚数、印字モード、その他の指定がキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号として入力されると印字(印刷)が開始される。
【0051】
すなわち、駆動ローラ29が
図1の反時計回り方向に回転して、転写ベルト28の循環移動を開始させる。各画像形成ユニット21が順次駆動され感光体ドラム22が図の時計回り方向に回転する。
【0052】
帯電ローラ24が感光体ドラム22周面に一様な高マイナス電荷を付与して初期化し、光書込ヘッド25は、感光体ドラム22周面に画像信号に応じた露光を行って初期化による高マイナス電位部と上記露光による低マイナス電位部からなる静電潜像を形成する。
【0053】
現像ローラ27は、静電潜像の低電位部に現像器26内のトナーを転移させて感光体ドラム22周面上にトナー像を形成(反転現像)する。用紙搬送方向最上流の画像形成ユニット21Mの感光体ドラム22の周面上に形成されたマゼンタのトナー像が転写ベルト28との対向面へと回転搬送される。
【0054】
一次転写ローラ33は、不図示の転写バイアス電源から出力される転写電流を転写ベルト28に印加する。これにより、感光体ドラム22上のマゼンタのトナー像が転写ベルト28に一次転写される。
【0055】
転写ベルト28に一次転写されたトナー像に重ねて、この後、画像形成ユニット21Cの感光体ドラム22の周面上に形成されたシアンのトナー像が画像形成ユニット21C直下の一次転写ローラ33によって転写される。
【0056】
更に、画像形成ユニット21Yの感光体ドラム22の周面上に形成されたイエローのトナー像が画像形成ユニット21Y直下の一次転写ローラ33によって重ね転写され、そして最後に、画像形成ユニット21Kの感光体ドラム22の周面上に形成されたブラックのトナー像が画像形成ユニット21K直下の一次転写ローラ33によって重ね転写される。
【0057】
このように、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色のトナー像が順次重ねて一次転写されてフルカラーの画像が転写ベルト28上に完成する。
【0058】
4色のトナー像を重ねて一次転写された転写ベルト28は、そのまま循環移動を続けて4色のトナー像を、従動ローラ31と二次転写ローラ44とが対向する二次転写位置へと搬送する。
【0059】
他方、用紙への印字タイミングよりやや早めに、用紙取出ローラ39が回転して給紙カセット38に収容されている用紙を取り出す。この給紙カセット38から取り出された用紙の最上部の一枚のみを送り出すべく下方の用紙の連れ送りを禁止するために捌きローラ42が逆方向に回転する。給送ローラ41は、順方向に回転して用紙を待機搬送ローラ対43へ給送する。
【0060】
待機搬送ローラ対43は、回転を一時停止して用紙の進行を制止し、用紙の斜行等の搬送姿勢を補正して、搬送タイミングを待機し、用紙の印字開始位置が、転写ベルト28により二次転写位置へ搬送されてくる4色のトナー像の先端と一致するタイミングに合わせて、用紙の搬送を再開し、用紙を二次転写位置へ給送する。
【0061】
二次転写位置において、二次転写ローラ44は、不図示のバイアス電源から供給されるバイアス電圧を用紙に印加する。これにより、転写ベルト28上の4色のトナー像が用紙に二次転写される。
【0062】
4色のトナー像を転写された用紙は、そのまま定着装置45に搬入される。着装置45は、加熱ローラ46と押圧ローラ47により適宜の圧接力で熱伝導ベルト51を介して用紙を押圧挟持し、用紙に熱と圧力を加えて4色のトナー像を紙面に定着させ、用紙巻付き防止爪52にて用紙の巻付きを防止しながら用紙を上方へ排出する。
【0063】
定着装置45から排出された用紙は、搬出ローラ対54により挟持されて搬送を引き継がれ、排紙ローラ対56によって排紙トレイ55上に、4色のトナー像による画像形成面を下にして排出される。
【0064】
なお、両面印刷用搬送ユニット19のメンテナンスは、プリンタ15の側面に設けられた不図示の蓋を開放することによって、両面印刷用搬送ユニット19を着脱できる構成であり、用紙のジャム等の不具合は容易に除去出来るようになっている。
【0065】
上記はカラー印字について述べたが、モノクロ印字については、転写ベルト28が、画像形成ユニット21Kの感光体ドラム22のみに接触し、他の感光体ドラム22から離れる位置に移動する点と、画像形成ユニット21Kのみが稼動される点を除けば、他の動作は上述したカラー印字の場合とほぼ同一である。
【0066】
このように動作する中間転写方式のタンデム型のプリンタ15において、定着装置45から排出される用紙は、その画像形成面を用紙巻付き防止爪52側に向けた状態で排出される。
【0067】
本例においても、定着装置45の押圧ローラ47は、
図10(a)で説明した場合と同様に、回転支持軸の両端を付勢部材で加熱ローラ46方向に付勢されている。しかし、本例では、
図12(c)に示した巻付き防止爪接触痕跡14のような不具合は発現しない。その理由を以下に説明する。
【0068】
図2(a)は本例の定着装置45の用紙巻付き防止機構を示す正面図であり、
図2(b)は
図2(a)のD−D´断面矢視図で且つE−E´断面矢視図、
図2(c)は
図2(a)のF−F´断面矢視図、
図2(d)は定着装置45から排出された用紙の定着画像を示す図である。尚、
図2(a)では図の手前になる押圧ローラ47の図示を省略している。
【0069】
また、
図2(a),(b),(c)には、
図1に示した構成と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。また、本例の用紙巻付き防止機構においても、
図2(a)に示すように、
図11(c)に示した爪ユニット9と同一構成の、
図1に示した用紙巻付き防止爪52を有する5個の爪ユニット59(59a、59b、59c、59d、59e)を備えている。
【0070】
本例の用紙巻付き防止機構においては、
図2(b)に示すように、用紙巻付き防止爪52は、加熱ローラ46と押圧ローラ47との用紙把持部53に対して、加熱ローラ46と押圧ローラ47の長手方向の両端部側では用紙把持部53に近接して配置されている。この配置で用紙巻付き防止爪52の先端は
図2(a)の矢印bで示す位置に配置されている。尚、
図2(a)には、用紙把持部53をその中心線で示している。
【0071】
上記の配置に対して、加熱ローラ46と押圧ローラ47の長手方向の中央部側では、用紙巻付き防止爪52は、
図2(c)に示すように、破線52´で示す両端部側の場合よりも用紙把持部53から加熱ローラ46側に離れる位置に配置されている。
【0072】
この配置では、用紙巻付き防止爪52は、加熱ローラ46と押圧ローラ47の長手方向の両端部側からそれぞれ中央部まで、爪ユニット59毎に、段差を持って
図2(a)の矢印b、c、dに示すように3段階に分けて順次用紙把持部53から加熱ローラ46側に離れる位置に配置されている。
【0073】
このように3段階に分けて順次用紙把持部53から加熱ローラ46側に離れる位置に配置するためには、
図2(c)に示すように、爪ユニット保持部材61に対して、爪ユニット59を矢印eで示すように上方向にずらして固定すると容易に実現する。
【0074】
このように加熱ローラ46と押圧ローラ47の長手方向の中央側の爪ユニット59を、両端側の爪ユニット59よりも加熱ローラ46側に離して配置する本例の用紙巻付き防止機構の構成により、長手方向中央部側において、用紙把持部53を押圧ローラ47側に反ることなくほぼ真っ直ぐに通過した用紙13の場合でも、画像12を印刷した面が巻付き防止爪52の背に接触することなく定着装置から排出される。
【0075】
これにより、
図2(d)に示すように、用紙13にベタで印刷した画像12においても、
図12(c)に示したような巻付き防止爪接触痕跡14は発現せず、高画質の画像12が得られる。
【実施例2】
【0076】
図3は、実施例2に係るプリンタ15の外観斜視図である。
図3に示すように、プリンタ1には、前方には前扉62が備えられ、前扉62の下方には
図1に示した2個の給紙カセット38が着脱自在に配置され、本体装置上面には、これも
図1に示した排紙トレイ55が形成されている。
【0077】
また、本体装置右上面には
図1では示さなかった操作パネル63を備え、本体装置右側面には開閉自在な補助給紙トレイ64を備えた補助給紙ユニット65を備えている。補助給紙トレイ64は、両側部のほぼ中央を、補助給紙ユニット65のフレームに保持された棒状回動部材66の先端に保持されている。
【0078】
補助給紙トレイ64の下部には回転軸67の中央に固定された給紙ローラ68が配設されている。補助給紙トレイ65は、図では定かに見えないが、下部の給紙口端部を給紙ローラ68に当接するように付勢部材により付勢されている。補助給紙トレイ65は、下部の給紙口端部を付勢部材により保持される状態で、棒状回動部材66の回動により開閉する。
【0079】
図4(a)は、補助給紙トレイ64と給紙ローラ68と回転軸67、及び回転軸67と補助給紙トレイ64との係合部のみを取り出して、非給紙動作時の状態を示す図であり、
図4(b)は
図4(a)の破線丸fで示す回転軸67と補助給紙トレイ64との係合部を拡大し、やや展開した形状で示す図である。
【0080】
図5(a)は、
図4(a)の構成で給紙動作時において給紙ローラ68の回転軸67が半回転したときの状態を示す図であり、
図5(b)は
図5(a)の破線丸gで示す回転軸67と補助給紙トレイ64との係合部を拡大し、やや展開した形状で示す図である。
【0081】
図6(a)は、
図5(a)の給紙動作時の状態で給紙ローラ68の回転軸67が初動時から1回転したときの状態を示す図であり、
図6(b)は
図6(a)の破線丸hで示す回転軸67と補助給紙トレイ64との係合部を拡大し、やや展開した形状で示す図である。
【0082】
図7は、
図6(a),(b)の状態から給紙ローラ68の回転軸67が更に半回転、つまり初動時から1回転半したときの状態を示す図である。尚、
図4(a)、
図5(a)、
図6(a)ともに、回転軸67の右端と左端は中央に対して面対称に形成されている。
【0083】
図4(a)に示すように、給紙ローラ68は補助給紙トレイ64の給紙口端部69に対向配置されている。給紙ローラ68の回転軸67には、その両端部に、
図4(a),(b)に示すように、回転カム71を有するカム筒72が嵌合している。
【0084】
回転カム71は、
図4(a),(b)に示す給紙ローラ68の非給紙動作時には、補助給紙トレイ64の両端からそれぞれ給紙ローラ68の回転軸67の下方に延び出して形成された昇降係合部細板73に当接している。
【0085】
この回転カム71と昇降係合部細板73との当接により、昇降係合部細板73と共に補助給紙トレイ64の下端部が押し下げられ、給紙ローラ68と補助給紙トレイ64の給紙口端部69との対向部に間隙74形成されている。
【0086】
また、カム筒72には、回転カム71より軸中央側にカム筒72の周面を一周して途中一箇所で交差する(
図5(b)参照)二本の摺動用溝75が形成されている。摺動用溝75には、補助給紙トレイユニット65のフレームに固設されて突出する棒カム76の先端が嵌入している。
【0087】
また、カム筒73には、更に二本の摺動用溝75より軸中央側に、軸方向に平行して対向する二箇所に、それぞれ切り欠き溝孔77が形成されている。切り欠き溝孔77には、給紙ローラ68の回転軸67に固定されて突出するピン78がそれぞれ嵌入している。
【0088】
これにより、カム筒73は給紙ローラ68の回転軸67の周面に沿って回転することを禁止され、回転軸67の回転に伴われて回転する。
【0089】
給紙ローラ68は、小型であるので直径が小さい。このため給紙ローラ68は、補助給紙トレイ64に載置された用紙を2回転の給紙動作で用紙先端の搬送を、
図1に示した返送終端路57cに配置されている返送ローラ対58dに引き継ぐように構成されている。
【0090】
給紙ローラ68が回転して給紙動作を開始すると、つまり給紙ローラ68の回転軸67が
図4(a)の矢印jで示すように回転を開始すると、その回転軸67の回転に伴われてカム筒73が回転を開始し、カム筒73に固定されている回転カム71も回転を開始する。
【0091】
回転カム71が回転を開始すると、直後に昇降係合部細板73の先端が回転カム71との当接から外れて、昇降係合部細板73は回転カム71の押し下げ力から解除される。そして、昇降係合部細板73を介して下方に押し下げられていた補助給紙トレイ64の下端部すなわち給紙口端部69が、付勢部材の付勢力により押し上げられる。
【0092】
これにより、給紙ローラ68との対向部の間隙74が閉じ、補助給紙トレイ64に載置されている最上部の用紙の先端が給紙ローラ68に圧接し、回転を開始している給紙ローラ68により搬送を開始される。
【0093】
給紙ローラ68が
図4(a),(b)の始動時から
図5(a),(b)に示すように半回転すると、二本の摺動用溝75の外側の溝75aに係合していた棒カム76が、二本の摺動用溝75の交差点の曲がり開始部分の曲がり角に到達する。
【0094】
棒カム76は停止している部材であるが、相対的にみると、二本の摺動用溝75の交差点の開始部分の曲がり角に到達した棒カム76は、曲がり角から交差点方向へ、曲がり角からの溝の傾斜にそって、矢印kで示すように移動する。
【0095】
換言すれば、停止している棒カム76に対してカム筒72は矢印mで示すように回転軸67の外側方向に移動する。給紙ローラ68、すなわちカム筒72とその二本の摺動用溝75は、急速に回転しているので、カム筒72には矢印m方向への移動に強い慣性が生じる。
【0096】
これにより、カム76と外側の溝75aとの係合が、交差点を経由して内側の溝75bとの係合に入れ替わる。
図6(a),(b)は、
図5(a),(b)の状態から更に給紙ローラ68が、つまりその回転軸67が半回転、すなわち始動から1回転したときの状態を示している。
【0097】
カム筒72は、二本の摺動用溝75の内側の溝75bが棒カム76と係合しているので、回転軸67の外側方向に移動したまま回転を続ける。これにより、カム筒72の回転カム71は、補助給紙トレイ64の昇降係合部細板73から外れて、その外側を回転しながら通過する。
【0098】
図7は、
図6(a),(b)の状態から給紙ローラ68が、つまりその回転軸67が更に半回転、つまり給紙ローラ68の回転軸67が初動時から1回転半したときの状態を示している。
【0099】
給紙ローラ68が
図6(a),(b)の状態から
図7に示すように更に半回転すると、二本の摺動用溝75の内側の溝75bに係合していた棒カム76が、二本の摺動用溝75の交差点の内側の曲がり開始部分の曲がり角に到達する。
【0100】
この場合も棒カム76と二本の摺動用溝75との位置関係を相対的にみると、二本の摺動用溝75の交差点の開始部分の曲がり角に到達した棒カム76は、曲がり角から交差点方向へ、曲がり角からの溝の傾斜にそって、矢印nで示すように移動する。
【0101】
換言すれば、停止している棒カム76に対してカム筒72は矢印pで示すように回転軸67の内側方向に移動する。給紙ローラ68、すなわちカム筒72とその二本の摺動用溝75は、急速に回転しているので、カム筒72には矢印p方向への移動に強い慣性が生じる。
【0102】
これにより、カム76と外側の溝75aとの係合が、交差点を経由して外側の溝75aとの係合に入れ替わる。この後、半回転で、つまり初動時から2回転で、カム筒72は
図4(a)に示した初動時の待機状態に戻る。
【0103】
すなわち、カム筒72が初動時の待機状態に戻ったことにより、回転カム71も昇降係合部細板73に当接する位置に戻り、昇降係合部細板73を押し下げる。これにより、
図4(a)に示したように間隙71が開く。
【0104】
このように、給紙ローラ68と補助給紙トレイ64の給紙口端部69との対向部に形成されている間隙71は、給紙ローラ68の2回転の給紙動作時には補助給紙トレイ64の給紙口端部69が給紙ローラ68に圧接しているため閉じている。
【0105】
そして給紙ローラ68の2回転の給紙動作が完了すると間隙71が開き、返送ローラ対58dに搬送を引き継がれた用紙が、補助給紙トレイ64と給紙ローラ68との押圧から解放されて、プリンタ本体の用紙搬送路に搬入される。
【0106】
このように、本例によれば、給紙ローラと給紙トレイの給紙口端部を昇降させるカムを同軸に設けた簡単な構成で、給紙ローラによる給紙動作を2回転で行わせることができ、これにより、給紙ローラの径を小さくして補助給紙トレイユニットを小型化することができるという効果を奏する。
【0107】
また、給紙ローラの給紙動作を駆動する駆動系と、給紙トレイの給紙口端部を昇降させる駆動系を1つで構成することができるので、この点でも補助給紙トレイユニットを小型化することができると共に、製造コストの低減に貢献することがきる。
【実施例3】
【0108】
図8(a)は、実施例3に係るプリンタの補助給紙トレイに使用される給紙アダプタの平面図、(b)はその使用形態を給紙ローラ68や補助給紙トレイ64と共に示す断面図である。
図8(a)に示すように、給紙アダプタ79は、給紙側先端の中央部にベロ状の突設部81を備えている。また、両脇と中央の間にそれぞれ横規制板82を備えている。
【0109】
図8(b)は、補助給紙トレイ64の給紙口端部の形状を示している。給紙口端部にはパッド保持部84に保持された分離パッド85が配設されている。通常の事務用書類として使用される普通用紙の場合は給紙アダプタ79が無くても補助給紙トレイ64上の用紙は最後の一枚まで給紙口端部を通過して給紙される。
【0110】
しかし、例えば光沢厚手耐水紙83のような場合は、用紙が最後の一枚になると、給紙ローラ68と用紙との静摩擦係数μ2が、用紙と分離パッド85との静摩擦係数μ1を下回るため、すなわち「μ1>μ2」となって、用紙の裏面が分離パッド85に吸着されるような状態となって給紙ローラ68が空回りし、最後の1枚の用紙が給紙口端部を通過できなくなり、給紙不能となってしまう。
【0111】
そこで、本例では、厚さ0.25mmのPET(Polyethylene Terephthalate)材で出来た給紙アダプタ79を設置し、その先端のベロ形状の突設部81の約1/3を給紙ローラ68と分離パッド85との間に噛み込ませるように差し込んで配置する。
【0112】
これにより、分離パッド85の摩擦力を軽減し、給紙ローラ68の給紙力を向上させ、光沢厚手耐水紙83を給紙不能や重送することなく、補助給紙トレイ64上の用紙を最後の1枚まで給紙させることができる。
【実施例4】
【0113】
ところで、本例のように用紙を上方に搬送する構成を採用したプリンタにおいて、ジャムした用紙をユーザが除去する場合、ジャムした部分の上流側の搬送途中であった用紙の部分に手を掛けて取り除くが、この搬送路上流側の用紙部分には撓みが無い場合が多い。
【0114】
手を掛けるべき用紙部分に撓みが無いため用紙を取り除くことが難しく、用紙を破損させて分解しなくては除去出来なくなる場合が多々ある。本例では、3箇所に設けたセンサの用紙検出結果によってジャム位置を認識し、ジャム部の用紙を適宜に逆送りして強制的に用紙に撓みを形成する。
【0115】
図9(a)は給送ローラ41から待機搬送ローラ対43までの間でジャムが発生した状態を示す図であり、
図9(b)は給送ローラ41、待機搬送ローラ対43、二次転写ローラ44及び加熱ローラ46までの間でジャムが発生した状態を示す図、
図9(c)は待機搬送ローラ対43、二次転写ローラ44、加熱ローラ46、搬出ローラ対54、及び排紙ローラ対56までの間でジャムが発生した状態を示す図である。
【0116】
図10(a)は用紙後端がセンサA86を通過しているがジャムの状態が
図9(c)と同様な状態を示す図であり、
図10(b)は定着終了直後に搬出ローラ対54と排紙ローラ対56までの間でジャムが発生した状態を示す図、
図10(c)は3個のセンサが示すジャム用紙の位置と回転駆動部の駆動制御との関係を示す図表である。
【0117】
図9(a),(b),(c)及び
図10(a),(b)に示すように、センサA86は、給送ローラ41と待機搬送ローラ対43の間に配置され、センサA87は、二次転写ローラ44と加熱ローラ46の間に配置され、センサA88は、搬出ローラ対54と排紙ローラ対56の間に配置されている。
【0118】
なお、センサは他に、センサD58dが返送終端路57cの中の返送ローラ対58dの手前に配置されている。両面印刷用搬送ユニット19で発生するジャムについては、センサD58dにより所定時間経過後に返送用紙の先端が検知されない場合にジャム発生と認識される。
【0119】
この場合は、前述したように、ユーザによって、プリンタ15の側面に設けられた蓋を開放することによって、両面印刷用搬送ユニット19を脱着でき、ジャム用紙の除去を容易に出来るようになっている。
【0120】
したがって、以下、3個のセンサA87、B88、C89による用紙検知結果に基づいてジャム位置の認識と、回転駆動部の駆動制御との関係についてのみ説明する。
【0121】
なお、本例においては、少なくとも定着前の搬送ローラを兼ねる二次転写ローラ44と、定着装置45の加熱ローラ46、及び定着後の搬出ローラ対54は、駆動系を別々としている。また、駆動系を駆動させるモータは正逆回転可能及び過負荷時モータ停止機能を持っている。
【0122】
本例では、以下に説明するように、ジャムした場所に応じてジャム直後に用紙を撓ませるために、ジャム箇所の用紙搬送用のローラ系をユーザが用紙を取り易い程度に正逆回転させる。
【0123】
図9(a)において、給送ローラ41から給送された用紙13がセンサA86を通過してから所定の時間後に、待機搬送ローラ対43が回転して用紙13を下流側へ搬送するように設定されている。
【0124】
このとき、センサA86は、所定の時間までに用紙13が到達しない場合は、給送ローラ41と待機搬送ローラ対43との間でジャムが発生したことを制御系に通知する。制御系は駆動系を停止させる。
【0125】
図9(b)は、二次転写ローラ44は転写ベルト28に一次転写されているトナー画像を用紙13に二次転写する。トナー画像を転写された用紙13は、定着装置45に搬入され、熱伝導ベルト51を介して圧接する加熱ローラ46と押圧ローラ47とにより、熱と圧力を加えられ、トナー画像を紙面に定着される。
【0126】
このとき、センサB87は、所定の時間までに用紙13が到達しない場合は、給送ローラ41、待機搬送ローラ対43、二次転写ローラ44及び加熱ローラ46までの間のいずれかで、ジャムが発生したことを制御系に通知する。制御系は駆動系を停止させる。
【0127】
上記のジャムが発生しない場合は、
図9(c)に示すように、トナー画像を紙面に定着された用紙13は、搬出ローラ対54により排紙ローラ対56に向けて更に下流へと搬送される。
【0128】
このとき、センサC88は、所定の時間までに用紙13の後端が通過しないときは、待機搬送ローラ対43、二次転写ローラ44、加熱ローラ46、搬出ローラ対54、及び排紙ローラ対56までの間のいずれかで、ジャムが発生したことを制御系に通知する。制御系は駆動系を停止させる。
【0129】
図10(a)は、上記同様のジャムが発生した場合を示している。ただし、
図9(c)の場合は用紙後端がセンサA86を通過していない場合、
図10(a)は、用紙後端がセンサA86を通過した場合を示している。
【0130】
また、
図10(b)は、上記のように所定の時間までに用紙13の後端がセンサC88を通過しないときであるが、用紙後端がセンサA86及びセンサB87を通過しているので、この場合は制御系は、加熱ローラ46、搬出ローラ対54、及び排紙ローラ対56までの間のいずれかでジャムが発生したと判断して、駆動系を停止させる。
【0131】
図10(c)の図表に示すように、上記のようにジャムがいずれかの位置で検出された場合でも、待機搬送ローラ対43と二次転写ローラ44は無条件で直ちに停止する。なお、図表には示していないが用紙取出ローラ39、給送ローラ41、捌きローラ42も停止する。以下、定着装置45の加熱ローラ46、搬出ローラ対54、排紙ローラ対56の動作について説明する。
【0132】
用紙13がセンサA86の位置にあり、他の2個のセンサの位置にないときは、
図9(a)の示す状態で発生したジャムであり、定着装置45の加熱ローラ46、搬出ローラ対54、排紙ローラ対56は停止する。ジャムした用紙13は
図9(a)に示すように給送ローラ41と待機搬送ローラ対43の間にあるので容易に取り除くことができる。
【0133】
用紙13がセンサA86とセンサB87の両方の位置にあり、センサC88の位置にないときは、
図9(b)に示す状態であり、定着装置45の加熱ローラ46のみを10mm程度逆方向に搬送するように逆回転させる。これで二次転写ローラ44と加熱ローラ46との間の用紙に撓みが生じて用紙を取り除くことが容易となる。
【0134】
用紙13が3個のセンサ全ての位置にあるときは、
図9(c)に示す状態であり、定着装置45の加熱ローラ46と搬出ローラ対54のみを10mm程度逆方向に搬送するように逆回転させる。これで二次転写ローラ44と加熱ローラ46との間の用紙に撓みが生じて用紙を取り除くことが容易となる。
【0135】
用紙13がセンサA86の位置に無く、他の2個のセンサの位置に在るときは、
図10(a)に示す状態で発生したジャムであり、この場合は、搬出ローラ対54と排紙ローラ対56のみを10mm程度逆方向に搬送するように逆回転させる。これで搬出ローラ54と加熱ローラ46との間の用紙に撓みが生じて用紙を取り除くことが容易となる。
【0136】
用紙13がセンサC88の位置にあり、他の2個のセンサの位置にないときは、
図10(b)に示す状態で発生したジャムであり、この場合も搬出ローラ対54と排紙ローラ対56のみを10mm程度逆方向に搬送するように逆回転させる。これで搬出ローラ54と加熱ローラ46との間の用紙に撓みが生じて用紙を取り除くことが容易となる。
【0137】
このように、本例によれば、ジャム処理が簡単になりユーザの操作性が向上する。また、無理してジャム処理をして機械を破損するようなこともなくなる。また、ジャム位置検出装置が安価で簡単な構成のハード的な用紙検出装置であるのでコストの上昇を招くことが無い。
【0138】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0139】
定着装置に複数の用紙巻付き防止爪を有する画像形成装置において、
前記複数の用紙巻付き防止爪は、それぞれ加熱ローラと押圧ローラとの用紙把持部に対し設けられ、加熱ローラと押圧ローラの長手方向の両端部側に設けられる用紙巻付き防止爪では前記用紙把持部に近接し、前記加熱ローラと前記押圧ローラの前記長手方向の中央部側に設けられる用紙巻付き防止爪では前記両端部側よりも前記用紙把持部から離れる位置に配置される、
ことを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0140】
前記複数の用紙巻付き防止爪は、前記加熱ローラと前記押圧ローラの前記長手方向の前記両端部側からそれぞれ前記中央部まで、段差を持って3段階に分けて順次前記用紙把持部から離れる位置に配置される、ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記3]
【0141】
本体装置側面に下部のヒンジを支点に開閉する補助給紙トレイと、
該補助給紙トレイに載置された用紙を2回転で前記補助給紙トレイから前記本体装置内部の搬送ローラに給送する給紙ローラと、
該給紙ローラの回転軸に設けられ前記補助給紙トレイを昇降させる昇降用カムと
を更に有し、
前記昇降用カムは、
前記回転軸に対し回転を禁止され前記回転軸の軸方向に沿って係合位置と非係合位置に摺動可能な状態で前記回転軸に嵌合した摺動筒に設けられ、
非給紙時には前記補助給紙トレイの昇降用摺接係合部に当接して前記補助給紙トレイを下降させ、
給紙時には前記給紙ローラの1回転目の回転で前記補助給紙トレイの前記昇降用摺接係合部との当接を解除しながら前記摺動筒の前記非係合位置への移動に伴われて前記昇降用摺接係合部との当接位置から外れた位置で前記昇降用摺接係合部とすれ違って通過し、
前記給紙ローラの2回転目の回転で前記昇降用摺接係合部との当接を解除した状態で前記摺動筒の前記係合位置への移動に伴われて前記昇降用摺接係合部との当接可能な位置に復帰し、続いて前記補助給紙トレイの前記昇降用摺接係合部に当接して前記補助給紙トレイを降下させる、
ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記4]
【0142】
前記昇降用カムは、前記回転軸の両端にそれぞれ設けられる、
ことを特徴とする付記3記載の画像形成装置。