(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも第1吸込口(11)と第2吸込口(12)とを有し、前記第1吸込口(11)及び前記第2吸込口(12)から吸い込んだ吸込空気をフィルタ(40)に通して空気清浄する空気調和機であって、
前記フィルタ(40)に担持され、活性化されることによって前記吸込空気に含まれる浮遊物を分解する触媒と、
前記触媒を活性化させる活性種を生成する活性種生成ユニット(63)と、
を備え
活性種生成ユニット(63)は、
前記活性種を生成する放電部(66)と、
前記フィルタ(40)を通過した空気の一部を前記放電部(66)に導く風路部(68)と、
を有し、
前記風路部(68)の一部は、内部に前記放電部(66)が設けられた状態で前記第1吸込口(11)及び前記第2吸込口(12)の長手方向に沿って配置され、
さらに前記風路部(68)の一部には、前記フィルタ(40)に向かう前記吸込空気に対して前記活性種を放出する複数の放出口(64)が、前記第1吸込口(11)及び前記第2吸込口(12)の両方に長手方向に沿って形成されている、
空気調和機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気清浄機では、活性種を発生させる部分を通過する空気は塵埃等の汚れ成分を含有したままであるので、活性種を発生させる放電電極の表面は汚れ成分が付着し、放電の発生が阻害され清浄機能が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、空気中の汚れ成分による清浄機能の低下が抑制される空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、少なくとも第1吸込口と第2吸込口とを有し、第1吸込口及び第2吸込口から吸い込んだ吸込空気をフィルタに通して空気清浄する空気調和機であって、触媒と活性種生成
ユニットとを備えている。触媒は、フィルタに担持され、活性化されることによって吸込空気に含まれる浮遊物を分解する。活性種生成
ユニットは、触媒を活性化させる活性種を生成する。
活性種生成ユニットは、放電部と風路部とを有している。放電部は、活性種を生成する。風路部は、フィルタを通過した空気の一部を
放電部に導く。また、
風路部の一部は、内部に放電部が設けられた状態で第1吸込口及び第2吸込口の長手方向に沿って配置される。さらに風路部の一部には、フィルタに向かう吸込空気に対して活性種を放出する複数の放出口が、第1吸込口および第2吸込口の両方に長手方向に沿って形成されている。
【0007】
この空気調和機では、複数の放出口が第1吸込口および第2吸込口の両方に長手方向に沿って形成されているので、吸込空気が通過する広範囲にわたって活性種が放出されるようになり、活性種がフィルタ全体に行き渡り、フィルタに担持された触媒が活性化され、清浄機能の低下が抑制される。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、吸込空気の流れを乱す乱流生成部が、放出口の近傍に設けられている。
【0009】
この空気調和機では、乱流生成部によって、活性種が放出口からフィルタに至るまでの間に吸込空気と混ざり合い易くなり、活性種がフィルタ全体に行き渡るようになる。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和機は、第2観点に係る空気調和機であって、乱流
生成部が、放出口の周縁を囲み、吸込空気の通路内に突出する筒である。
【0011】
この空気調和機では、乱流の発生ポイントに向けて活性種を放出することができるので、放出口から放出された活性種と効率よく混ざり合う。
【0012】
本発明の第4観点に係る空気調和機は、第2観点に係る空気調和機であって、乱流
生成部が、第1吸込口および第2吸込口からフィルタに至る吸込空気の通路内に突出する壁である。
【0013】
この空気調和機では、壁に当たった吸込空気は乱流となるので、放出口から放出された活性種と効率よく混ざり合う。
【0014】
本発明の第5観点に係る空気調和機は、第1観点または第2観点に係る空気調和機であって、第1吸込口および第2吸込口が、フィルタの長辺に沿って配置されている。
【0015】
この空気調和機では、複数の放出口がフィルタの長辺に沿って配置されることになるので、活性種がフィルタの両側から且つ長い範囲で放出され、フィルタ全体に行き渡るようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、活性種がフィルタ全体に行き渡り、フィルタに担持された触媒が活性化され、清浄機能の低下が抑制される。
【0017】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、乱流生成部によって、活性種が放出口からフィルタに至るまでの間に吸込空気と混ざり合い易くなり、活性種がフィルタ全体に行き渡るようになる。
【0018】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、乱流の発生ポイントに向けて活性種を放出することができるので、放出口から放出された活性種と効率よく混ざり合う。
【0019】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、壁に当たった吸込空気は乱流となるので、放出口から放出された活性種と効率よく混ざり合う。
【0020】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、複数の放出口がフィルタの長辺に沿って配置されることになるので、活性種がフィルタの両側から且つ長い範囲で放出され、フィルタ全体に行き渡るようになる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
(1)空気調和機の構成
(1−1)外観
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和機の背面に向かって左上方から見たときの当該空気調和機の外観斜視図である。
図1において、空気調和機10は空気清浄機であって、室内空気を取り込む第1吸込口11および第2吸込口12が左右両側面の前方に設けられている。
【0024】
(1−2)空気の流れ
図2は、空気清浄機能における塵埃の除去および分解の概念を説明するための概念図である。
図2において、シロッコファン16によって第1吸込口11及び第2吸込口12から吹出口51に至る空気の流れ13が発生する。第1吸込口11及び第2吸込口12から吸込まれた室内空気は、フィルタ部40で塵埃や臭い成分などが取り除かれ、シロッコファン16から清浄な空気が吹き出される。
【0025】
(2)詳細構成
(2−1)フィルタ部40
フィルタ部40は、プレフィルタ41、イオン化部42、第1吸着フィルタ43、第2吸着フィルタ44で構成されている。
【0026】
(2−1―1)プレフィルタ41
プレフィルタ41は、ポリプロピレン製の糸状の樹脂網からなるネットと、ネットを保持するフレームとから構成されており、正面パネル21の後方に位置し、比較的大きなホコリや塵を除去する。プレフィルタ41のネットを構成する繊維には、可視光線型の光触媒とカテキンとが空気側に露出するように担持されている。可視光線型の光触媒は、可視光線により光触媒作用が活性化される酸化チタン等を含んでおり、繊維に付着する塵埃などに含まれるカビ菌や細菌などの菌やウィルスを除去する。また、カテキンは、ポリフェノールの一種であって、繊維に付着する塵埃などに含まれるカビ菌や細菌などの菌の繁殖を抑制したりウィルスを不活化したりする。
【0027】
(2−1−2)イオン化部42
イオン化部42は、プレフィルタ41の後方に設けられ、プレフィルタ41を通過した空気の中に浮遊している比較的小さな塵埃を帯電させる。イオン化部42は、一対の対向電極とその対向電極の間に配置されるイオン化線との間で放電を発生させることによって、塵埃を帯電させる。
【0028】
(2−1−3)第1吸着フィルタ43
第1吸着フィルタ43は、プリーツ状に形成されており、静電フィルタおよび触媒担持フィルタを張り合わせて形成されている。静電フィルタは、イオン化部42を通過する際に帯電させられた塵埃などを吸着する。触媒担持フィルタは、静電フィルタを通過した塵埃などを吸着する。触媒担持フィルタは、チタンアパタイトを担持させたPPの繊維から形成されている。なお、チタンアパタイトとは、カルシウムヒドロキシアパタイトの一部のカルシウム原子がイオン交換などの手法によってチタン原子に置換されたアパタイトであり、塵埃などに含まれるウィルスやカビ菌、細菌などを特異的に吸着する性質を有する。また、チタンアパタイトは、活性種により触媒機能が活性化され、ウィルスやカビ菌、細菌などを不活化または死滅させる。
【0029】
(2−1−4)第2吸着フィルタ44
第2吸着フィルタ44は、シロッコファン16と第1吸着フィルタ43との間に配置されている。第2吸着フィルタ44には、アナターゼ型の二酸化チタンが担持されており、第1吸着フィルタ43に吸着されなかった空気中のウィルスや菌などを吸着する。第2吸着フィルタ44では、吸着された菌やウィルスなどが活性種により活性化された二酸化チタンによって死滅あるいは不活化される。
【0030】
(2−2)ストリーマ放電ユニット
シロッコファン16から吹き出される空気のうちの一部が、支流13aとしてストリーマ放電ユニット63に送られる。この支流13aがストリーマ放電ユニット63を通過するときに、ストリーマ放電によって活性種が供給される。活性種の供給された支流13aは、複数の分流13bとなって放出口64からプレフィルタ41の前に吹き出される。
【0031】
複数の分流13bは、プレフィルタ41から吸い込まれる室内空気に合流して第1吸着フィルタ43及び第2吸着フィルタ44にまで到達する。
【0032】
(2−2−1)放電部66
図3は、ストリーマ放電ユニットの放電部の斜視図である。
図2及び
図3において、放電部66は、ストリーマ放電ユニット63(
図2)の内部に設置されている。放電部66は、ストリーマ放電を生じさせることによって、第1吸着フィルタ43及び第2吸着フィルタ44に供給する活性種を生成する。
【0033】
放電部66は、放電電極70とアース板73とを有している。放電電極70は、2つの絶縁支柱71に螺着されている。2つの絶縁支柱71のうちの一方には放電電極70に電気的に接続される接触子が設けられており、この接触子を介して放電電極70に高電圧が印可されることによってアース板73との間にストリーマ放電が生じる。
【0034】
アース板73は放電電極70よりも大きな略長方形の金属部材であり、放電電極70に対して平行に近接するように配置されている。アース板73は、2つの絶縁支柱81に螺着されている。2つの絶縁支柱81のうちの一方には、アース板73と電気的に接続される接触子が設けられている。
【0035】
(2−2−2)風路部68
図4は、
図1の仮想水平面P1における空気調和装置断面の概略図である。
図2、
図3及び
図4において、ストリーマ放電ユニット63は、
図2に示す吹き出し空気の支流13aが導入され通過する風路部68と、
図3に示す放電部66とによって構成される。
【0036】
図2に示すように、風路部68は2つの鉛直風路681,682と1つの水平風路683とがコの字状に連結されており、一方の鉛直風路681に導入された吹き出し空気の支流13aは、水平風路683を経て他方の鉛直風路682に至る。
【0037】
空気調和機10の第1吸込口11及び第2吸込口12は鉛直方向に長い開口であり、2つの鉛直風路681,682は第1吸込口11及び第2吸込口12に沿って配置されている。以後、説明の便宜上、第1吸込口11に沿って配置されている鉛直風路を第1鉛直風路681とよび、第2吸込口12に沿って配置されている鉛直風路を第2鉛直風路682とよぶ。
【0038】
また、本実施形態に係る空気調和機10では、吹き出し空気の支流13aが第1鉛直風路681に導入されるので、放電部66は第1鉛直風路681内に配置される。
【0039】
また、第1鉛直風路681には、複数の放出口64が第1吸込口11の長手方向に沿うように形成されている。同様に、第2鉛直風路682にも、複数の放出口64が第2吸込口12の長手方向に沿うように形成されている。
【0040】
図5は、一つの放出口およびその周辺の斜視図である。放出口64は、放電部66のストリーマ放電によって生成した活性種を放出するための開口であるので、単純な孔でもよいが、
図5に示すような放出口64の周縁を囲み吸込空気に向かって突出する筒部65を設けることが好ましい。なぜなら、筒部65の壁に当たった吸込空気は乱流となり、さらに、その乱流の発生ポイントに向けて筒部65から活性種を放出することができるからである。それゆえ、放出された活性種は、フィルタ部40に至るまでの間に吸込空気とよく混ざり合い、活性種がフィルタ部40全体に行き渡るようになる。
【0041】
(3)空気清浄動作
ここでは、空気調和機10による空気清浄作用について説明する。
図1,
図2において、第1吸込口11及び第2吸込口12から吸い込まれた空気は、プレフィルタ41を通り、その際、比較的大きなホコリや塵が空気中から除去される。また、プレフィルタ41に含まれる光触媒とカテキンとの作用により、プレフィルタ41の繊維に付着した塵埃などに含まれるカビ菌や細菌などの菌やウィルスの繁殖が抑制されるとともに、ウィルスが不活化される。
【0042】
プレフィルタ41を通過した空気は、イオン化部42を通り、その際、空気に含まれる塵埃等がプラス電荷に帯電する。帯電した塵埃等は、第1吸着フィルタ43及び第2吸着フィルタ44に吸着される。
【0043】
フィルタ部40を通過して清浄された空気は、吹出口51から室内へと吹き出される。また、清浄された空気の一部は、室内へと吹き出されることなく支流13aなって、ストリーマ放電ユニット63の風路部68の第1鉛直風路681に導入される。
【0044】
第1鉛直風路681には、放電部66が設けられている。放電部66において、放電電極70とアース板73との間に直流、交流、またはパルスの放電電圧が印加され、放電電極70とアース板73との間にストリーマ放電が生じる。
【0045】
ストリーマ放電が生じたとき、放電場に低温プラズマが生成され、第1鉛直風路681内に活性種が生起する。活性種を含む支流13aは、第1鉛直風路681及び第2鉛直風路682に形成された複数の放出口64から放出され、吸込空気と混ざり合ってフィルタ部40内に吸い込まれる。
【0046】
これらの活性種を含んだ空気は、第1吸着フィルタ43に担持されているチタンアパタイト触媒、及び第2吸着フィルタ44に担持されている二酸化チタン触媒も機能を活性化し、ウィルスやカビ菌、細菌などを不活化または死滅させる。
【0047】
(4)特徴
(4−1)
空気調和機10では、ストリーマ放電ユニットに、活性種を放出するための複数の放出口64が第1吸込口11及び第2吸込口12の長手方向に沿って形成されている。それゆえ、吸込空気が通過する広範囲にわたって活性種が放出されるようになり、活性種がフィルタ部40全体に行き渡り、フィルタ部40に担持された触媒が活性化され、清浄機能の低下が抑制される。
【0048】
(4−2)
また、放出口64を囲むように筒部65が設けられているので、筒部65の壁によって吸込空気の流れが乱流となり、その乱流の発生ポイントに向けて活性種が放出される。それゆえ、放出口から放出された活性種と効率よく混ざり合う。
【0049】
(4−3)
第1吸込口11及び第2吸込口12が、フィルタ部40の長辺に沿って配置されているので、複数の放出口64がフィルタ部40の長辺に沿って配置されることになる。そうなると、活性種がフィルタ部40の両側から且つ長い範囲で放出されるので、フィルタ部40全体に行き渡るようになる。
【0050】
(5)変形例
(5−1)第1変形例
上記実施形態では、放出口64を筒部65で囲むことによって、吸込空気の流れに乱流を発生させ、その乱流の発生ポイントに向けて活性種が放出される形態であるが、この形態に限定される必要はない。
【0051】
例えば、
図6は、
図4に示す空気調和装置の変形例の断面の概略図である。また、
図7は、変形例に係る一つの放出口およびその周辺の斜視図である。
図6及び
図7において、放出口64の下流側に空気の流れを阻害するような壁165が設けられている。壁165に当たった吸込空気は乱流となり、さらに、その乱流の発生ポイントに向けて放出口64から活性種が放出される。それゆえ、放出された活性種は、フィルタ部40に至るまでの間に吸込空気とよく混ざり合い、活性種がフィルタ部40全体に行き渡るようになる。
【0052】
(5−2)第2変形例
また、上記実施形態では、放出口64が水平風路683に形成されていなかったが、これは、水平風路683の近傍に吸込口がないためである。仮に、水平風路683の近傍にも水平風路683と平行に吸込口が設けられているならば、
図8(風路部の斜視図)に示すように、第1鉛直風路681、第2鉛直風路682、及ぶ水平風路683それぞれに複数の放出口64が設けられることが好ましい。