特許第5660032号(P5660032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5660032ガラス板のスクライブ方法及びスクライブ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5660032
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】ガラス板のスクライブ方法及びスクライブ装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/023 20060101AFI20150108BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20150108BHJP
   B28D 1/24 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   C03B33/023
   B28D5/00 Z
   B28D1/24
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-508076(P2011-508076)
(86)(22)【出願日】2009年4月10日
(86)【国際出願番号】JP2009001680
(87)【国際公開番号】WO2010116421
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2012年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−264656(JP,A)
【文献】 特開2003−292332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクライブ開始にあたって、先ずガラス板の一方の面のスクライブ開始点に水平軸の周りで回転自在なカッターホイールを圧接した状態で、カッターホイールをガラス板の一方の面に対して直交する垂直軸の周りで回動又は揺動させて、上記開始点にクボミを刻み形成し、クボミを形成した後、このクボミにおいてガラス板の一方の面にカッターホイールを圧接させた状態で、カッターホイールによるガラス板の一方の面に対するスクライブをスタートさせるガラス板のスクライブ方法。
【請求項2】
スクライブ開始にあたって、水平軸の周りで回転自在なカッターホイールとは別に設けたダイヤモンドスクライブスタイラスを先ず、ガラス板の一方の面のスクライブ開始点に圧接した状態でガラス板の一方の面に直交する垂直軸の周りで回動又は揺動させて、上記開始点にクボミを刻み形成し、クボミを形成した後、このクボミにおいてガラス板の一方の面にカッターホイールを圧接させ、この圧接後、カッタホイールによるガラス板の一方の面に対するスクライブをスタートさせるガラス板のスクライブ方法。
【請求項3】
ガラス板の一方の面に対して直交する垂直軸の周りで回動又は揺動自在なダイヤモンドスクライブスタイラスを備え、このダイヤモンドスクライブスタイラスをガラス板の一方の面に圧接して垂直軸の周りで回動又は揺動させて当該ガラス板の一方の面にクボミを刻み形成するダイヤモンドスタイラス装置と、水平軸の周りで回転自在なカッターホイールを備え、このカッターホイールをクボミにおいてガラス板の一方の面に圧接した状態で水平軸の周りで転動させてガラス板の一方の面にスクライブラインを刻み形成するスクライブヘッドとを備えたスクライブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板上にカッターホイールを圧力をかけて転動させて、ガラス板にスクライブラインを刻み形成するガラス板のスクライブ方法及びスクライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平9−188534号
【0003】
プラズマテレビのガラス板液晶ガラス基板などFPD用ガラス板は、ガラス板の表面硬度が高く、スクライブ(切線刻み形成)する際に、カッターホイールの上滑り(スリップ)が非常に起きやすい。現在、このスリップ防止技術として、特開平9−188534号が知られている。
【0004】
この特許文献1は、カッターホイールのスリップを防止するため、カッターホイールの外周に突起が形成されており、カッターホイールの転動時に、上記突起をガラス板に食込ませてスリップの防止を図ったものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術は、ガラス板表面への食込みを改善しようとしているものであるが、いかなる方法であっても、スクライブ開始点から有効な垂直クラックを得るスクライブラインの刻み形成は困難である。スクライブラインに沿って曲げ応力を加えて折割すると、スクライブ開始点及びその近傍において、垂直クラックの途切れからソゲ等の発生がし易いものである。
【0006】
そこで、本発明はスクライブ開始点から有効な垂直クラックが連続して発生するようにしたガラス板のスクライブ方法及びスクライブ装置を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スクライブ開始にあたって、開始点に先ず、クボミを刻み形成し、このクボミ内からスクライブをスタートするようにしたガラス板のスクライブ方法である。
【0008】
本発明は、スクライブ開始にあたって、先ず、スクライブ開始点にカッターホイールをガラス板に圧接した状態で、カッターホイールを微小回動また微小揺動させて、上記開始点にクボミを刻み形成した後、このクボミ内よりスクライブをスタートするようにしたガラス板のスクライブ方法である。
【0009】
更に、本発明は、スクライブ開始にあたって、カッターホイールとは別に設けたダイヤモンスタイラスを開始点に伸長、圧接してクボミを形成し、次にカッターホイールをこのクボミに降下させ、このクボミ内よりスクライブをスタートさせるようにしたガラス板のスクライブ方法である。
【0010】
更にまた、本発明は、カッターホイールを備え、このカッターホイールのガラス板に圧接した状態で転動させてスクライブラインを刻み形成するようにしたスクライブヘッドと、ダイヤモンドスクライブスタイラスを備え、このダイヤモンドスクライブスタイラスをガラス板に圧接してクボミを刻み形成するダイヤモンドスタイラス装置とを備えたスクライブ装置である。
【0011】
尚、上記クボミの大きさ(径)はスクライブラインの太さに等しいか、または小さく形成されるのが好ましいが、スクライブラインの太さよりも大きくしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
スクライブ開始にあたって、先ずガラス板の一方の面のスクライブ開始点にクボミを刻み形成し、次に、このクボミにおいてカッターホイールによるガラス板の一方の面に対するスクライブスタートさせるため、スクライブ開始点から有効な垂直クラック連続して発生させることができ、このため、スクライブ開始点を含めたスクライブライン全体に渡って良質な折割が得られる。
【0013】
また、カッターホイールがクボミにおいてスタートするため、クボミのセンターとスクライブラインとを一致させることができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るスクライブ方法の一例を実施中の一例のスクライブ装置の概略正面図である。
図2図1に示したスクライブ装置において本発明に係るスクライブ方法を実施中の説明図である。
図3】本発明のスクライブ方法に係るスクライブラインの一例を平面をもって説明した説明図である。
図4】本発明に係るスクライブ方法によるスクライブ要部の断面説明図である。
図5】本発明に係るスクライブ方法の他の例を実施中の他の例のスクライブ装置の概略正面図である。
図6図5に示す本発明のスクライブ方法を実施中のスクライブ装置のスクライブヘッド及びダイヤモンドスタイラス装置の正面図である。
図7】本発明に係る更に他の例のスクライブ方法を実施中の更に他の例のスクライブ装置の概略正面図である。
図8】スクライブ装置でもあるガラス板の切断装置において、本発明に係るスクライブ方法の他の例を実施中のガラス板の切断装置の概略平面図である。
図9図8に示す本発明のスクライブ方法を実施中のカッターヘッドの正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。もちろん、本発明のスクライブ方法はスクライブヘッド及びスクライブ装置において、実施されるものであるため、スクライブ装置についての実施形態をもって本発明のスクライブ方法を説明する。
【0016】
第一実施形態
図1はスクライブ装置の一例を示すと共に本発明スクライブ方法の一部を示す概略正面図。
【0017】
図2から図4は、本発明スクライブ方法の説明図である。
【0018】
スクライブ装置1は、図において左右方向をX軸方法、紙面に真交する方向をY軸方向とする。
【0019】
このスクライブ装置1は、ガラス板2を載置し、真空吸着固定する水平のテーブル3と、このテーブル3をY軸方向に水平移動するようにガイドして支持する平行な一対のガイドレール4、4と、このガイドレール4、4に沿ってテーブルをスクライブ数値制御移動させる送りネジ5及びY軸制御モータ6と、X軸方向に沿ってテーブル3の上方に架設されたガイドレール装置体7と、このガイドレール装置体7へX軸方向にガイドされて移動するように取付けられたキャリッジ8と、このキャリッジ8をX軸方向に数値制御移動させる送りネジ及びX軸制御モータ9と、キャリッジ8の前面に装置されたスクライブヘッド10とを備える。
【0020】
スクライブヘッド10は、下端にカッターホイールホルダ11を備えたスプライン軸12と、このスプライン軸12を上下動自在にして、回転もされるように中心に保持するロータリスプライン装置13とスプライン軸12の上端にフリー回転継手14を介して連結したエーアシリンダ装置15とを備える。
【0021】
もちろんエーアシリンダ装置15の本体はキャリッジ8に取付けられ、ピストンロッド16が上記スプライン軸12に上記フリー回転継手14を介してスプライン軸12に連結されている。
【0022】
上記カッターホイールホルダ11には、カッターホイール17を備える。もちろん、カッターホイール17の軸芯は上記スプライン軸12の軸芯に対して偏心(進向に対して後方に)して設けられている。
【0023】
ロータリスプライン装置13に保持されたスプライン軸12はエーアシリンダ装置15によってロータリスプライン装置13内をZ軸方向(ガラス板2面に対して垂直方向)に上下動される。かつ、スクライブ時には、カッターホイール17に対してガラス板2面と直角方向にエーア圧力が与えられる。また、
【0024】
スプライン軸12はロータリスプライン装置13により回転駆動される。
【0025】
ロータリスプライン装置13の側方に角度制御モータ19が設けられている。
【0026】
ロータリスプライン装置13には、上記スプライン軸12を回転する駆動ギア20を備え、この駆動ギア20が角度制御モータ19に取付けたギア21とかみ合せ連結されて、この角度制御モータ19によりスプライン軸12、至いてはカッターホイール17が角度制御回転される。即ち、カッターホイール17の刃面がスクライブ方向に向くように角度制御される。
【0027】
本スクライブ装置1によって実施される本発明のスクライブ方法第1実施形態を以下に説明する。
【0028】
カッターホイール17にエーア圧力を加えながら転動させてスクライブラインを刻み形成する動作に入る直前度毎に、ガラス板2の一方の面のスクライブ開始点Aに、先ず水平軸の周りで回転自在なカッターホイール17を降下し、圧接し、この圧接させた状態でカッターホイール17をガラス板2の一方の面に対して直交する垂直軸の周りで微小に回動又は揺動させて、この開始点AにクボミBを刻み形成する。図1から図4に示すように、このクボミBにおいてガラス板2の一方の面にカッターホイール17を圧接させた状態でスクライブスタートさせて、クボミBから発した連続したスクライブラインCを刻み形成する
【0029】
スクライブラインCを形成する度毎に、その開始点AにクボミBを刻み形成し、このクボミBからスクライブをスタートさせる方法である。
【0030】
尚、上記クボミBの大きさ(径)は、スクライブラインCの太さに等しいか、または小さくする。図3には、説明のためクボミを大きく描いてある。
【0031】
このように、開始点Aに刻み形成したクボミB内からスクライブを行うことにより、開始点Aからのカッターホイールの上滑り(スリップ)が発生せず、クボミ(開始点A)から連続した垂直クラックを発生させることができ、良質な折割が得られる。
【0032】
また、カッターホイール17がクボミBからスタートするため、クボミBのセンターとスクライブラインCが一致する。
【0033】
第2実施形態
図5は、本第2実施形態を実施するスクライブ装置の一例を示す概略正面図。
【0034】
図6はスクライブ装置22のスクライブヘッド23を示し、スクライブ方法の一部を示す正面図である。
【0035】
スクライブ装置22は、図において、左右方向をX軸方向、紙面に直交する方向がY軸方向である。
【0036】
このスクライブ装置22は、スクライブヘッド23を取付けたキャリッジ24の前面に、このスクライブヘッド23と並んでダイヤモンドスタイラス装置25を備える。
【0037】
このダイヤモンドスタイラス装置25は、スクライブ開始に際して、ガラス板2へのクボミBの刻み形成を専用にするものである。さて、本実施形態におけるスクライブ装置22は、載置されたガラス板2を真空吸着して固定し、水平回転するテーブル26と、このテーブル26をY軸方向に水平移動するようにガイド支持する平行な一対のガイドレール27、27と、このガイドレール27、27に沿ってテーブル26を数値制御移動させる送りネジ28及びY軸制御モータ29と、X軸方向に沿ってテーブル26の上方に架設されたガイドレール装置体30と、このガイドレール装置体30へX軸方向にガイドされて移動するように取付けられたキャリッジ24と、このキャリッジ24をX軸方向に数値制御移動させる送りネジ及びX軸制御モータ31と、キャリッジ24の前面に装置されたスクライブヘッド23と、同じくキャリッジ24の前面においてスクライブヘッド23の側方に並んで設けられた上記ダイヤモンドスタイラス装置25とを備える。スクライブ装置22では、上記スクライブヘッド23には、カッターホイール32をガラス板2に垂直な軸の回わりに回転させる角度制御装置は備えていない。ガイドレール装置体30に沿ったX軸方向のスクライブを行う。
【0038】
もちろん、このスクライブヘッド23もまた、カッターホイール32をガラス板2にエーア圧力をもって圧接した状態で転動させ、スクライブラインを刻み形成する。即ち、スクライブヘッド23は、キャリッジ24前面に取付けたスライドブッシュ体33と、このスライドブッシュ体33により上下動自在に保持された上下動体34と、この上下動体34の下端に備えたカッターホイールホルダ35と、上記上下動体34の上端に連結されたエーアシリンダ装置36とを備える。
【0039】
そして、上記カッターホイールホルダ35にはカッターホイール32を備える。もちろん、上下動体34の上端はエーアシリンダ装置36のピストンロッド37に連結されている。
【0040】
上下動体34はエーアシリンダ装置36によって上下動され、スクライブ時に、カッターホイール32は上下動体34を介してエーアシリンダ装置36から圧力を受けてガラス板2に圧接され、キャリッジ24の移動と共に転動してスクライブが行われる。
【0041】
一方、ダイヤモンドスタイラス装置25は、キャリッジ24の前面に取付けた中空シャフトを備えたDDモータ38と中空シャフト内にスライド自在に保持され、回転駆動を受けるスプライン軸39と、このスプライン軸39の下端に設けられたダイヤモンドスクライブスタイラス40と、このスプライン軸39の上端にフリー回転継手41を介して連結したエーアシリンダ装置42とからなり、エーアシリンダ装置42はそのピストンドロッド43が上記スプライン軸39に連結されている。
【0042】
上記ダイヤモンドスタイラス装置25の動作は、エーアシリンダ装置42によってスプライン軸39がガラス板2に向って伸長し、先端のダイヤモンドスクライブスタイラス40をガラス板2に圧接すると共に、DDモータ28を駆動させて先端のダイヤモンドスクライブスタイラス40を微小に回転させることによりクボミBを形成する。
【0043】
尚、上記エーアシリンダ装置42による上下動の代りに、ダイヤモンドスクライブスタイラス40をまたはダイヤモンドスタイラス装置25全体をリニアモータ又はサボモータで上下動させてもよい。
【0044】
本スクライブ装置22によって実施されるスクライブ方法を以下に説明する。
【0045】
ガラス板2へのスクライブラインの刻み形成の度毎において、そのスクライブ開始に際して、先ず、ダイヤモンドスタイラス装置25をガラス板2の一方の面のスクライブ開始点Aに位置合せさせ、このダイヤモンドスタイラス装置25を動作させる。スプライン軸39を伸長させて、先端のダイヤモンドスクライブスタイラス40をスクライブ開始点Aに圧接させて、このダイヤモンドスクライブスタイラス40をガラス板2の一方の面に直交する垂直軸の周りで微小回転、また揺動させることにより、スクライブ開始点AにクボミBを刻み形成する。
【0046】
クボミBの形成と同時に、そのダイヤモンドスクライブスタイラス40を引込める。次に、クボミB形成された位置(スクライブ開始点A)に代って、カッターホイール32を移動させ、位置合せさせ、そのカッターホイール32を伸長させて、カッターホイール32をクボミB内に圧接させる。この圧接させた状態、クボミBにおいてカッターホイール32によるガラス板2の一方の面に対するスクライブをスタートして、クボミBから連続してスクライブラインCを刻み形成する。
【0047】
尚また、上記クボミBの大きさ(径)は、通常スクライブラインCの太さに等しいか、または小さくするが、大きくしてもよい。
【0048】
第3実施形態
図7は、本第3実施形態を実施するスクライブ装置45の一例を示す概略正面図である。
【0049】
本実施例のスクライブ装置45は、水平軸の周りで回転自在なカッターホイール46を備え、このカッターホイール46をガラス板2の一方の面に圧接した状態で水平軸の周りで転動させてガラス板の一方の面にスクライブラインCを刻み形成するスクライブヘッド47と、ガラス板2にクボミBの刻み形成を専用に行うダイヤモンドスタイラス装置48とを互いに独立させ、それぞれ別々のキャリッジ49、50に取付けたものである。
【0050】
それぞれのキャリッジ49、50はテーブル51の上方に架設のガイドレール装置体52に独立して取付けられ、互いに相手に対して独立して移動するようになっている。即ち、スクライブヘッド47とダイヤモンドスタイラス装置48とは、互いに相手に対して独立して移動する。
【0051】
また、スクライブヘッド47とダイヤモンドスタイラス装置48とのそれぞれの構造及び動作は、前記第2実施形態に示したスクライブ装置22のスクライブヘッド23、ダイヤモンドスタイラス装置25の構造動作と同じものでもよい。
【0052】
スクライブ装置45は、また第2実施形態のものと同じように、載置されたガラス板2を真空吸着して固定し、水平回転するテーブル51と、このテーブル51をY軸方向に水平移動するようにガイド支持する平行な一対のガイドレール53、53と、このガイドレール53、53に沿ってテーブル51を数値制御移動させる送りネジ58及びY軸制御モータ54と、X軸方向に沿ってテーブル51の上方に架設されたガイドレール装置体52と、このガイドレール装置体52へX軸方向にガイドされて移動するように取付けられたZ基のキャリッジ49、50と、一方のキャリッジ49をX軸方向に数値制御移動させる送りネジ及び一方のX軸制御モータ55と、他方のキャリッジ50を同じくX軸方向に数値制御移動させる送りネジ及び他方のX軸制御モータ56と、一方のキャリッジ49の前面に装置された前記スクライブヘッド47と、他方のキャリッジ50の前面に装置された前記ダイヤモンドスタイラス装置48とを備える。
【0053】
もちろん、ダイヤモンドスタイラス装置48は第2実施形態におけるダイヤモンドスタイラス装置25と同じように、先端にダイヤモンドスクライブスタイラス57を備え、このダイヤモンドスクライブスタイラス57がガラス板2に向って伸長し、圧接して、微小回転、また微小揺動してクボミBを刻み形成するようになっている。
【0054】
本スクライブ装置45によって実施されるスクライブ方法を以下に説明する。
【0055】
ガラス板2の一方の面へのスクライブラインの刻み形成の度毎において、そのスクライブ開始に際して、先ず、ダイヤモンドスタイラス装置48がガラス板2の一方の面のスクライブ開始点Aへ移動し、位置合せし、直にこのダイヤモンドスタイラス装置48が動作し、ガラス板2の一方の面のスクライブ開始点AにクボミBを刻み形成する。クボミBが形成されると直ちに、ダイヤモンドスタイラス装置48は元の位置に復帰する。次に代わって、スクライブヘッド47がこのクボミB(スクライブ開始点A)形成位置に移動、位置合せし、そのカッターホイール46を伸長させてクボミB内に圧接させる。この圧接させた状態、クボミBにおいてカッターホイール46によるガラス板2の一方の面に対するスクライブを
スタートさせ、クボミBから連続したスクライブラインCを刻み形成する。
【0056】
もちろん、上記クボミBの大きさ(径)は、スクライブラインCの太さに等しいか、または小さくするが、スクライブラインより大きくてしてもよい。
【0057】
第4実施形態
図8図9には、本発明の第4実施形態を実施するガラス板のスクライブ装置でもあるNC制御の切断装置60が示されている。
【0058】
このガラス板の切断装置60は、カッターホイール61を備えたキャリッジ62が平面座標系をNC制御されて移動する。従ってカッターホイール61は、直交座標系においてNC制御されて移動する。
【0059】
図8に示されるように、基台63上にX軸に沿ってガイドレール64、64が設けられ、このガイドレール64、64によって移動台65がX軸方向に移動され、更に、この移動台65にはY軸に沿ったガイドレール66、66が設けられ、このガイドレール66、66によって上記キャリッジ62がY軸方向に移動自在である。移動台65はX軸制御モータ67及びかみ合いラック装置また送りネジによってX軸方向に数値制御されて移動される。
【0060】
移動台65上のキャリッジ62はY軸制御モータ68及びかみ合いラック装置また送りネジにより、Y軸方向へ数値制御移動される。
【0061】
従って、キャリッジ62は、X軸方向及びY軸方向に位置制御され、キャリッジ62に取付けられたカッターホイール61は予め記憶された運動軌跡を移動する。以下、図9に示すように、キャリッジ62の前面には、スクライブヘッドでもあるカッターヘッド69が装置されている。
【0062】
カッターヘッド69は下端にカッターホイールホルダ70を備えたスプライン軸71と、このスプライン軸71を上下動自在にして、回転もされるように中心に保持するロータリスプライン装置72とスプライン軸71の上端にフリー回転継手73を介して連結したエーアシリンダ装置とを備える。もちろん、エーアシリンダ装置74の本体はキャリッジ62に取付けられ、ピストンロッド75が上記スプライン軸71に上記フリー回転継手73を介してスプライン軸71に連結されている。
【0063】
上記カッターホイールホルダ70にはカッターホイール61を備える。もちろん、カッターホイール61の軸芯は上記スプライン軸71の軸芯に対して偏心(進向に対して後方)して設けられている。
【0064】
ロータリスプライン装置72に保持されたスプライン軸71はエーアシリンダ装置74によってロータリスプライン装置72内をZ軸方向(ガラス板2面に対して垂直方向)に上下動される。
【0065】
かつ、スクライブ時には、カッターホイール61に対してガラス板2面と直角方向にエーア圧力が与えられる。また、スプライン軸71はロータリスプライン装置72により回転駆動される。ロータリスプライン装置72の側方に角度制御モータ76が設けられている。
【0066】
ロータリスプライン装置72には、上記スプライン軸71を回転する駆動ギア77を備え、この駆動ギア77が角度制御モータ76に取付けたギア78とかみ合せ連結されて、この角度制御モータ76によりスプライン軸71至いてはカッターホイール61が角度制御回転される。
【0067】
即ち、カッターホイール61の刃面がスクライブ方向に向くように角度制御される。ガラス板2は基台63に設けられたテーブル79に載置され、かつ、必要に応じて吸着固定される。
【0068】
本切断装置1によって実施される本発明のスクライブ方法を以下に説明する。
【0069】
カッターホイール61にエーア圧力を加えながら転動させてスクライブラインを刻み形成する動作に入る直前度毎に、ガラス板2の一方の面のスクライブ開始点Aに、先ずカッターホイール61を降下し、圧接し、この圧接させた状態でカッターホイール61をガラス板2の一方の面に対して直交する垂直軸の周りで微小に回動又は揺動させ、この開始点AにクボミBを刻み形成する。次に、このクボミBにおいてカッターホイール61を圧接させた状態で、カッターホイール61によるガラス板の一方の面に対するスクライブスタートさせて、クボミBから発した連続したスクライブラインCを刻み形成する。
【0070】
スクライブラインCを形成する度毎に、その開始点AにクボミBを刻み形成し、このクボミBからスクライブをスタートさせる方法である。
【0071】
このように、開始点Aに刻み形成したクボミB内からスクライブを行うことにより、開始点Aからのカッターホイールの上滑り(スリップ)が発生せず、クボミ(開始点A)から連続した垂直クラックを発生させることができ、良質な折割が得られる。
【0072】
また、カッターホイール61がクボミBからスタートするため、クボミBのセンターとスクライブラインCが一致する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9