(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の形状の筐体に流入口及び排出口を有して、前記流入口から流入した溶融はんだを前記排出口からプリント基板へ噴流させるノズル本体部からなる噴流ノズルであって、
前記溶融はんだの噴流をプリント基板に案内するために前記ノズル本体部の排出口に設けられ溶融はんだの噴流幅及び噴流高さを設定する案内部材を備え、
当該案内部材は、前記プリント基板の搬送方向に対してプリント基板が搬入される側を上流としたときの前記排出口の上流側を構成する第1の案内部及び前記プリント基板の搬送方向に対してプリント基板が搬出される側を下流としたときの当該排出口の下流側を構成する第2の案内部からなり、
前記第1の案内部が前記ノズルの幅方向と直交する水平方向に移動可能な第1調整機構及びこの第1調整機構に設けられた軸受部に軸支された第1案内板を有するとともに、
前記第2の案内部が前記ノズルの幅方向と直交する垂直方向に移動可能な第2調整機構及びこの第2調整機構に設けられた軸受部に軸支された第2案内板を有し、
前記各軸受部によって前記第1及び第2の案内板が前記ノズル本体部に回転自在に取り付けられるようにしたことを特徴とする噴流ノズル。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板の所定の面に電子部品をはんだ付け処理する場合、噴流はんだ付け装置が使用される場合が多い。噴流はんだ付け装置によれば、はんだ槽、ダクト、ノズル及びポンプを備え、はんだ槽からポンプによって取り込まれた溶融はんだがダクトを介してノズルに送出される。ノズルはポンプ出力に対応した液面高の溶融はんだを噴流する。これにより、ノズルから噴流される溶融はんだによってプリント基板に電子部品をはんだ付けできるようになる。
【0003】
また、噴流はんだ装置にノズルの回動角度を調整する回動角度調整部と、速度可変モーターにより駆動される噴流形成手段を備え、プリント基板に対応して搬送速度が変化した場合でも、ノズルの回動角度と噴流形成手段のモーターノズルの回転速度を調整してプリント基板と溶融はんだとの接触時間を一定にできるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
更に、はんだ槽内に、一次及び二次の2つの噴流装置が並べられ、一次噴流装置で溶融はんだの荒れた波をプリント基板に向けて噴流し、その後、二次噴流装置で溶融はんだの静かな波を噴流してプリント基板から余分な溶融はんだを除去する噴流はんだ付け装置が使用されている。
【0005】
一次噴流ノズルは、はんだの浸入しにくい隅部や、リード孔周辺(スルーホール)等にはんだを強制的に浸入させ、未はんだ部分を無くすために用いられる。一次噴流ノズルにおけるはんだ付けは、荒れた波で行うために、狭いはんだ付け部位の間に、はんだが跨って付着する、いわゆる、はんだブリッジが形成される場合があるが、二次噴流ノズルで、一次噴流ノズルで生じたはんだブリッジを修正することもできる。
【0006】
この種の二次噴流ノズルに関連して、ノズル排出口の前後にフロントフォーマー及びリアフォーマーを設け、当該フロントフォーマー及びリアフォーマーを可変できるようにして、二次噴流波の形状を調整できるようにしたものが知られている(特許文献2参照)。
【0007】
なお、
図13には複数のプリント基板を載置したパレットを搬送してはんだ付けを行なう形式の従来例に係るプリント基板1のパレット装着例を示している。
図13において、プリント基板1等には、それぞれコネクタのリード端子2、千鳥型のリード端子3、電子部品4(SOP:Small Outline Package)が実装されており、当該プリント基板1等がパレット5に載置されてはんだ付け処理される。パレット5は、はんだ付けを回避する部分をマスクし、はんだ付けをしたい目標領域を開口した板状の搬送補助具である。図中のdは開口部の深さであり、白抜き矢印はプリント基板1等を載置するパレット5の搬送方向である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、
i.特許文献1に見られるような回動角度を調整する回動角度調整部を有する噴流ノズルや、特許文献2に見られるようなノズル排出口の前後にフロントフォーマー及びリアフォーマーを配した噴流ノズルによれば、単に軸支箇所からの回動角度を変化させるだけあるから、プリント基板1等における電子部品4やコネクタのリード端子2等の配列及びその狭ピッチにより、はんだブリッジの発生をすべて回避できるわけではないという問題がある。
【0010】
ii.プリント基板1等において、コネクタの千鳥型のリード端子3と電子部品4が混在し、しかも、コネクタのリード端子2が縦・横配列の両方が混在する場合に、はんだブリッジが発生することが確認されている。この際のはんだブリッジの発生原因は、プリント基板1等を載置するパレット5の搬送方向において、ノズルの後方(リアフォーマー)への溶融はんだの流れが生ずるために、溶融はんだの切れが悪くなっているためと考えられている。
【0011】
従って、多様化するリード端子2,3や電子部品4等の配置といったプリント基板の設計仕様及び、開口位置や開口深さの異なる様々なパレット、噴流はんだ付け装置におけるプリント基板の搬送角度に対して、ノズル開口形状の異なった複数種類の噴流ノズルを揃えなくてはならないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明はこのような課題を解決したものであって、溶融はんだの噴流幅及び噴流高さを設定できるようにすると共に、単一の噴流ノズルによって多くの噴流形態を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の噴流ノズルは、所定の形状の筐体に流入口及び排出口を有して、前記流入口から流入した溶融はんだを前記排出口からプリント基板へ噴流させるノズル本体部からなる噴流ノズルであって、前記溶融はんだの噴流をプリント基板に案内するために前記ノズル本体部の排出口に設けられ
溶融はんだの噴流幅及び噴流高さを設定する案内部材を備え、
当該案内部材は、前記プリント基板の搬送方向に対して
プリント基板が搬入される側を上流としたときの前記排出口の上流側を構成する第1の案内部及び前記プリント基板の搬送方向に対して
プリント基板が搬出される側を下流としたときの当該排出口の下流側を構成する第2の案内部からな
り、前記第1の案内部が前記ノズルの幅方向と直交する水平方向に移動可能な第1調整機構
及びこの第1調整機構に設けられた軸受部に軸支された第1案内板を有
するとともに、前記第2の案内部が前記ノズルの幅方向と直交する垂直方向に移動可能な第2調整機構
及びこの第2調整機構に設けられた軸受部に軸支された第2案内板を有
し、前記各軸受部によって前記第1及び第2の案内板がノズル本体部に回転自在に取り付けられるようにしたものである。
【0014】
請求項1に係る噴流ノズルによれば、
プリント基板の搬送方向に対してプリント基板が搬入される側を上流としたときの前記排出口の上流側を構成する第1の案内部
及び前記プリント基板の搬送方向に対してプリント基板が搬出される側を下流としたときの当該排出口の下流側を構成する第2の案内部
からなる案内部材により、溶融はんだの噴流幅及び溶融はんだの噴流高さを設定できるようになる。
【0017】
請求項
2に記載の噴流装置は、溶融はんだを吸い込んで所定の方向に送出するポンプと、前記ポンプを収納したポンプハウジングと、前記ポンプハウジングに接続されて前記溶融はんだを導くダクトと、前記ダクトに接続されて前記溶融はんだを噴出する、請求項
1に記載の噴流ノズルとを備えるものである。
【0018】
請求項
3に記載の噴流装置は、請求項
2において、前記噴流ノズルが、溶融はんだによってはんだ付けされるプリント基板の搬送方向に対して当該溶融はんだを逆方向に噴流するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る噴流ノズルによれば、ノズル本体部の排出口に第1及び第2の案内部からなる案内部材を備え、第1の案内部がノズルの幅方向と直交する水平方向に移動可能な第1調整機構
及びこの第1調整機構に設けられた軸受部に軸支された第1案内板を有し、第2の案内部が前記ノズルの幅方向と直交する垂直方向に移動可能な第2調整機構
及びこの第2調整機構に設けられた軸受部に軸支された第2案内板を有
し、各軸受部によって前記第1及び第2の案内板がノズル本体部に回転自在に取り付けられるようにしたものである。
【0020】
この構成によって
、溶融はんだの噴流幅の変
更や溶融はんだの噴流高さの変更が容易に行なえるようになる
。これにより、単一ノズルによって多くの噴流形態を実現できるようになり、二次噴流ノズルに適用した場合には、溶融はんだが粗く被着されたプリント基板から余剰のはんだを除去する多機能型の二次噴流ノズルを提供できるようになる。
【0021】
本発明に係る噴流装置によれば、本発明に係る噴流ノズルを備えるので、プリント基板の搬送方向の後方(下流側)への流れを無くし、前方(上流側)のみの流れを形成できるようになる。従って、多様化するプリント基板上の電子部品の配置において、はんだブリッジの発生を抑制できるようになる。
【0022】
しかも、溶融はんだのマスク機能及び搬送手段の補助機能を有した様々なパレット、プリント基板の設計仕様及びその搬送角度に対して単一ノズルで対処できるようになる。これにより、多機能型の噴流ノズルを備えた噴流はんだ付け装置等を提供できるようになる。従って、溶融はんだをプリント基板に向けて噴流する噴流はんだ付け装置等に適用して極めて好適である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態としての噴流ノズル及び噴流装置について説明する。
図1に示す噴流ノズル100は、溶融はんだをプリント基板(被着物)に向けて噴流して、はんだ付けを行なう噴流はんだ付け装置等に適用可能なものであり、所定の形状のガイド板11,21及びノズル本体部16を有している。
【0025】
以下は、本発明を二次噴流はんだ付け用の噴流ノズルに適用したものであり、かつ、プリント基板をパレットによって搬送する形式の噴流はんだ付け装置に適用した場合を例示するものである。もちろん、パレットを使用せず、プリント基板を直接搬送する形式の噴流はんだ付け装置にも適用できるものである。
【0026】
ノズル本体部16は例えば、略T字形の左右の側面板61,62と側面板61,62を接合する前後の壁面板63,64とを有した筺体となっている。ノズル本体部16の下部には流入口601が設けられ、その上部にはガイド板11およびガイド板21から構成される排出口602が設けられる。
【0027】
上述のノズル本体部16には第1調整機構10及び第2調整機構20の少なくともいずれか一方が備えられると共に、第1規制板13及び第2規制板23の少なくともいずれか一方が備えられる。この例では、いずれも備えられる場合について説明する。ノズル本体部16の排出口602の一方の側、
図1においては、その上流側に案内部材の一例を構成する第1のガイド板11(フロントフォーマー)が設けられる。ここに上流側とは噴流ノズル100の設置位置を基準にして、プリント基板が噴流ノズル100に搬入される側をいい、下流側とは、プリント基板が噴流ノズル100から搬出される側をいう。
図1においては、ガイド板11側が上流側となり、ガイド板21側が下流側となる。
【0028】
ガイド板11は、その長手方向に長尺状の軸部12を有している。軸部12はガイド板11に接合されている。第1規制板13は軸受部を構成し、ノズル本体部16の上面に取り付けられ、軸部12の両端付近を軸支すると共に、排出口602の開口幅を設定する。この例で、第1規制板13は壁面板63の上部に設けられ、壁面板63の上部で摺動自在に取り付けられている。ガイド板11は第1調整機構10を有している。第1調整機構10によってガイド板11の水平方向の位置が調整可能なものである。
【0029】
第1調整機構10はガイド板11の軸部12を軸支する第1の軸支板14a(
図2参照),14b(軸受部)を有している。軸支板14a,14bはノズル本体部16の左右の側面板61,62に摺動自在に取り付けられ、第1規制板13に軸支された軸部12の両端部を固定する。第1調整機構10は、溶融はんだが収容される容器の液面を基準面としたとき、当該基準面と平行する水平方向(第1の方向)に移動許容範囲(長孔部331〜333:
図2参照)を有している。
【0030】
ノズル本体部16の排出口602の下流側に案内部材の一例を構成する第2のガイド板21(リアフォーマー)が設けられる。ガイド板21は、その長手方向に長尺状の軸部22を有している。軸部22はガイド板21に接合されている。ガイド板21は軸受部を構成する第2規制板23に係合されている。第2規制板23は断面L形状を有しており、壁面板64の上部から下部に至り設けられ、壁面板64の側面に摺動自在に取り付けられる。第2規制板23は軸部22の両端付近を軸支すると共に、排出口602の開口幅を設定する。
【0031】
ガイド板21は第2調整機構20を有している。第2調整機構20により、ガイド板21の垂直方向の位置が調整可能なものである。第2調整機構20はガイド板21の軸部22を軸支する第2の軸支板24a(
図2参照),24b(軸受部)を有しており、軸支板24a,24bがノズル本体部16の左右の側面板61,62に取り付けられる。軸支板24a,24bは第2規制板23に軸支された軸部22の両端部を固定する。第2調整機構20は水平方向と直交する垂直方向(第2の方向)に移動許容範囲(長孔部341〜343:
図2参照)を有している。
【0032】
上述のガイド板11,21の各々は、一辺が幅方向に比べて長さ方向に長い短冊形状を有している。軸部12,22は各々対応してガイド板11,21の長さ方向の略中心線に沿って配置され、電気溶接や、スポット溶接等によりガイド板11と軸部12とが接合され、ガイド板21と軸部22とが接合されている。
【0033】
ガイド板11は軸部12を基準にして断面「く」の字状に屈曲(屈曲角度:θo=135°程度)している(
図4参照)。このガイド板11を断面「く」の字状に折り曲げたのは、このガイド板11、ガイド板21を調整した際に、溶融はんだの流入側において、ガイド板11、ガイド板21が干渉し難いように離隔する方向に折り曲げたものである。この目的のために、断面「く」の字状に折り曲げる構造は、ガイド板11、ガイド板21のいずれか一方にも受けても良いし、両方に設けても良い。
【0034】
ガイド板11は、第3調整機構31を有しており、第1規制板13及び軸支板14に対して軸部12を回動して開度調整可能となされている。ガイド板21も、第3調整機構32を有しており、第2規制板23及び軸支板24a,24bに対して軸部22を回動して開度調整可能となされている(
図9〜
図12参照)。
【0035】
軸部12,22の各々の両端部には図示せずも雄ネジが設けられている。ガイド板11は、左右の側面板61,62に設けられた長孔部611,621を介して、両側面の軸支板14a,14bの孔部141,144にダブルナット等で、軸部12を回動して開度位置が設定された後に固定されている。従って、ガイド板11は、第1規制板13の長孔部331〜333、軸支板14a,14bは、長孔部142,143を介して左右の側面板61,62にネジ止めされる。
【0036】
ガイド板21は、左右の側面板61,62に設けられた長孔部612,622を介して、軸支板24a,24bに対して軸部22を回動して開度位置が設定された後に軸部22の両端の雄ネジを軸支板24a,24bに固定するようになされる。左右の側面板61,62に設けられた長孔部611,612,621,622は、軸部12及び軸部22を長孔に沿って移動可能とするためのものである。図中の15,25(
図1、
図8参照)は、ダクト41等への当該噴流ノズル100の取り付け板である。
【0037】
続いて、
図2及び
図3を参照して、噴流ノズル100の組立例(その1,2)について説明する。この例では、
図1に示した噴流ノズル100を組み立てる場合を前提とする。壁面板63の上部は外側にL状に折り曲げて、一方の規制板取付用のL状部位603が形成されている。壁面板64の上部は、内側にL状に折り曲げて、他方の本体部補強用のL状部位604が形成されている。
【0038】
軸支板14a,14bには、軸支板14a,14bの所定の位置であって、下方から順に孔部141,144、長孔部142,143,145,146がそれぞれ形成されている。孔部141,144は軸部12をダブルナット等で軸支板14a,14bに固定させるための孔である。長孔部142,143,145,146は、軸支板14a,14bに固定された軸部12を長孔部位にそって移動可能なようにするためのものである。
【0039】
また、軸支板24a,24bには、軸支板24a,24bの所定の位置であって、横方向に順に孔部241,244、長孔部242,243,245,246がそれぞれ形成されている。孔部241,244は軸部22がダブルナット等で軸支板24a,24bに固定させるための孔である。長孔部242,243,245,246は、軸支板24a、24bに固定された軸部22を長孔部位にそって移動可能なようにするためのものである。軸支板14a,14b、軸支板24a,24bは、軸部12、軸部22を移動可能とするために設けられた側面板61,62の長孔部611,621,621,622から溶融はんだが漏れないように長孔部611,621,621,622を覆う目的も有する。
【0040】
次に、第1規制板13は、ガイド板11を軸支するために、断面半円形状の軸支部336,337を有する。さらに、第1規制板13の所定の位置に移動許容範囲を規定する3個の長孔部331〜333が形成される。更に、第1規制板13による軸部12の軸支状態は、アングル17(
図3参照)によって保持される。そのために、第1規制板13の所定の位置にアングル取り付け用の2個の孔部(雌ネジ穿設用の孔部であってもよい)が形成される。
【0041】
第2規制板23は、ガイド板21を軸支するために、断面半円形状の軸支部346,347を有する。更に、第2規制板23の垂直部位の所定の位置に移動許容範囲を規定する3個の長孔部341〜343を形成する。更に、第2規制板23の軸支状態は、アングル27(
図3参照)によって保持される。そのために、第2規制板23の所定の位置にアングル取り付け用の2個の孔部が形成される。
【0042】
第1規制板13は、長孔部331,332,333を介してL状部位603に対して摺動自在に取り付けられる。次に、第2規制板23は、長孔部341,342,343を介して壁面板64の垂直壁部位に対して摺動自在に取り付けられる。これらにより、
図1に示した噴流ノズル100が完成する。
【0043】
続いて、
図4を参照して、噴流ノズル100の機能例について説明する。この例では、説明の都合上、
図4に示すようにガイド板11,21が時計の針で12時を指している状態を基準とする。
図4において、p1は、ガイド板11の右寄せ最大の位置であり、p2はガイド板11の左寄せ最大の位置である。aはガイド板11の水平方向の移動許容範囲であり、a=p2−p1である。
【0044】
q1はガイド板21の最下部の位置であり、q2はガイド板21の最上部の位置である。bはガイド板21の垂直方向の移動許容範囲であり、b=q2−q1である。wは、当該噴流ノズル100の開口幅であり、右寄せ最大の位置p1にあるガイド板11と、最下部の位置q1にあるガイド板21との間を成す幅をいう。なお、θoはガイド板11の屈曲角度であり、θo=135°程度に設定されている。
【0045】
この例で、開口幅wを調整する場合は、第1調整機構10の第1規制板13がL状部位603に対してフリーとなるようにネジを調整することにより、ガイド板11を第1規制板13とともに水平方向に移動して開口幅wを調整できるようになる。なお、ガイド板11,21の開度調整を伴わない場合の開口幅wは最大でwmax=(p2−p1)+w(
図4参照)である。ガイド板11,21の開度調整を伴う場合は、開口幅wはwmaxよりも更に広く設定できるようになる(
図10参照)。
【0046】
また、ガイド板21の高さを調整する場合は、第2調整機構20の第2規制板23が壁面板64に対してフリーとなるようにネジを調整することにより、ガイド板21を第2規制板23とともに垂直方向に移動して当該ガイド板21の高さを調整できるようになる(
図4、
図10,
図11参照)。
【0047】
更に、ガイド板11の開度を調整する場合は、第3調整機構31,31のダブルナットを緩めて、両側面の軸支板14a,14bに対してガイド板11の軸部12をフリーな状態とする。その後、第1規制板13及び軸支板14に対して軸部12を回動してガイド板11の開度を調整するようになされる。開度調整後は、各々のダブルナットを固定するようになされる(
図2参照)。
【0048】
また、ガイド板21の開度を調整する場合は、第3調整機構32,32のダブルナットを緩めて、両側面の軸支板24a,24bに対してガイド板21の軸部22をフリーな状態とする。その後、第2規制板23及び軸支板24に対して軸部22を回動してガイド板21の開度を調整するようになされる。開度調整後は、各々のダブルナットを固定するようになされる(
図2参照)。
【0049】
このように実施形態としての噴流ノズル100によれば、ノズル本体部16にガイド板11の固定位置を調整する第1調整機構10及びガイド板21の固定位置を調整する第2調整機構20のいずれも設けられている。この第1調整機構10において、水平方向に第1規制板13を移動してガイド板11の横方向の固定位置を調整できるので、溶融はんだ7の噴流幅の変更が容易に行なえるようになる。
【0050】
また、第2調整機構20において、垂直方向に第2規制板23を移動してガイド板21の縦方向の固定位置を調整できるので、溶融はんだの噴流高さ変更が容易に行なえるようになる。これにより、単一ノズルによって多くの噴流形態を実現できるようになる。
【0051】
続いて、
図5及び
図6を参照して、実施形態としての噴流はんだ付け装置200の構成例について説明する。
図5に示す噴流はんだ付け装置200は、プリント基板1に電子部品をはんだ付け処理するものである。プリント基板1は、電子部品の高密度実装の要求によって、溶融はんだ7のマスク機能を有した様々なパレット5と呼ばれる搬送補助具(
図13参照)に載置して、はんだ付け処理する場合を例に挙げる。なお、図中、xはノズル幅方向であり、yはプリント基板1の搬送方向であり、zは溶融はんだ7の噴流方向である。
【0052】
噴流はんだ付け装置200は、上面開放の筺体を有したはんだ槽51を備えており、はんだ槽51には、溶融はんだ7が収容されている。当該はんだ槽51には、図示しないヒーターが設けられ、溶融はんだ7を一定の温度に保持する。はんだ槽51には、本発明に係る噴流装置40が備えられる。噴流装置40は、ダクト41、噴流ノズル42、ポンプ50及びモーター60を有している。
【0053】
噴流装置40はノズル部分及びモーター60を除く部位が、はんだ槽51の溶融はんだ7に浸す形態で実装される。噴流装置40は
図6に示すように、噴流ノズル42の他にダクト41及び断面凹状の取り付け部材44,45(
図8参照)を有している。噴流ノズル42には本発明に係る噴流ノズル100が使用され、噴流ノズル42は、ダクト41に接続されて溶融はんだ7を噴流する。
【0054】
ダクト41は
図6に示す細長い筺体の本体部401を有しており、本体部401の所定の位置にポンプハウジング402、傾斜部403、入口部404(
図7参照)、終端部405及び出口部406が設けられている。本体部401の上部は、天板部408で蓋閉する形態で覆われている。
【0055】
ダクト41の一方の側の下方にはポンプハウジング402が取り付けられ、このポンプハウジング402内にはポンプ50が収納されている。ポンプ50は回転軸50a及びスクリュー50bを有しており、スクリュー50bは回転軸50aを介してポンプハウジング402の所定の位置に回転自在に取り付けられ、溶融はんだ7を吸い込んで所定の方向に送出する。ポンプ50の回転軸50aの一端にはプーリー52(
図5参照)が取り付けられている。ポンプ50にはスクリュー式のポンプの他にインペラ式のポンプを使用してもよい。
【0056】
上述の本体部401とポンプハウジング402の上部とを接続する部分には傾斜部403が配設されている。傾斜部403の一端はポンプハウジング402の上部に接続され、その他端はダクト41の入口部404(
図7参照)となされ、ポンプ50によって押し込まれる溶融はんだ7をダクト41内に取り入れる部分である。ダクト41は、ポンプハウジング402に接続されて溶融はんだ7を導く。
【0057】
はんだ槽51の外部の所定位置には
図5に示すように、モーター60が配設され、その軸部にはプーリー53が取り付けられる。上述のポンプ50のプーリー52とモーター60のプーリー53との間には、ベルト54が巻回され、モーター60が所定の方向へ回転すると、ベルト54が掛け回され、ポンプ50が回転する。ポンプ50は、傾斜部403及び入口部404を介して溶融はんだ7を本体部401内に送出する。これにより、はんだ槽51から吸い込んだ溶融はんだ7をダクト41内に送出することができる。
【0058】
上述の噴流ノズル100の上方であって、本体部401の上部を覆う天板部408には出口部406が開口(配設)されている。出口部406(
図7参照)には噴流ノズル42が接続される。噴流ノズル42はその下部に流入口601を有して溶融はんだ7を取り込み、その上部に排出口602を有して溶融はんだ7を噴出する。これらにより、噴流はんだ付け装置200を構成する。
【0059】
続いて、
図7及び
図8を参照して、噴流装置40の組立例(その1,2)について説明する。まず、
図7に示すダクト41を準備して、当該ダクト41にスクリュー式のポンプ50を取り付ける。ダクト41には、細長い筺体の本体部401及び天板部408を有したものを準備する。例えば、本体部401とポンプハウジング402とを接続する部分の下流側に傾斜部403を有したダクト41を使用する。本体部401の一方の側には終端部405が設けられ、他方の側にはポンプハウジング402が設けられている。
【0060】
また、天板部408の一方の側には出口部406が開口され、他方の側にはポンプ50の回転軸50aを回転自在に支持する軸支部(図示せず)が設けられている。出口部406の外周部には、所定の高さの回り縁部407が設けられている。回り縁部407は、ダクト41及び噴流ノズル42の当接部分で、これらの外側へ漏らさないようにするために設けられる。
【0061】
ダクト41が準備できたら、次に、当該ダクト41の一方の側に配されたポンプハウジング402の内部にポンプ50を設置する。ポンプ50にはスクリュー50bに回転軸50aを有したものを使用する。スクリュー50bは回転軸50aを上部にしてポンプハウジング402の下部から上部へ挿入する形態で取り付ける。
【0062】
次に、
図8に示すダクト41に噴流ノズル42を取り付ける。噴流ノズル42には本発明に係る噴流ノズル100を使用する。なお、噴流ノズル100の組立例については、
図2及び
図3で説明しているので、その説明を省略する。
【0063】
噴流ノズル42は例えば、取り付け部材44,45を使用してダクト41に取り付ける。例えば、取り付け部材44,45の一方を天板部408に図示しない雄ネジを介して取り付ける。その後、ダクト41の流入口601と天板部408の回り縁部407とを整合するように位置を合わせる。そして、取り付け部材44,45の他方と、噴流ノズル42の取り付け板15,25とを図示しない雄ネジ及び雌ネジを介して取り付ける。これにより、噴流装置40を組み立てることができ、この噴流装置40をはんだ槽51に実装する。
【0064】
その後、回転軸50aの上部にプーリー52を取り付け、はんだ槽51の外部の所定位置にモーター60を配設し、その軸部にプーリー53を取り付ける。そして、上述のポンプ50のプーリー52とモーター60のプーリー53との間に、ベルト54を巻回する。これにより、
図5に示した噴流はんだ付け装置200を組み立てることができる。
【0065】
続いて、
図9〜
図12を参照して、噴流装置40の動作例(その1〜4)について説明する。
図9に示す噴流装置40の動作例(その1)によれば、第1調整機構10を調整してガイド板11の水平方向を位置決めした後に固定し、第2調整機構20を調整して、ガイド板21の高さ方向を位置決めした後に固定する。ここで、ガイド板11の開度をθ1とし、ガイド板21の開度をθ2とし、時計方向回りの角度を正(+)、反時計方向回りの角度を負(−)として、第3調整機構31,32により角度θ1,θ2を調整する。なお、図中、θ3は搬送角度であり、パレット5(プリント基板1)と基準となる溶融はんだ7の液面との間を成す角度である。なお、第1の調整機構、第2の調整機構、及び、第3の調整機構の調製順序は、適宜、変更可能である。
【0066】
そして、
図5に示したモーター60を所定の方向へ回転させると、ベルト54が掛け回され、ポンプ50が回転する。ポンプ50は、
図7に示した傾斜部403及び入口部404を介して溶融はんだ7を本体部401内に送出する。これにより、はんだ槽51から吸い込んだ溶融はんだ7をダクト41内に送出するようになる。
【0067】
ノズル本体部16では流入口601から取り込んだ溶融はんだ7が排出口602に導かれる。図中の白抜き矢印(
図9〜12図参照)は、溶融はんだ7の噴流方向を示している。これにより、
図5に示したはんだ槽51の溶融はんだ7の液面を基準にして、噴流波の高さをH1に設定できるようになる。プリント基板1を取り付けたパレット5は、搬送角度θ3で、噴流装置40上に搬送される。このようにガイド板11,21を調整すると、プリント基板1の搬送方向yの後方への噴流波の流れを無くし、前方のみの流れを形成できるようになる。
【0068】
この噴流形態によって、プリント基板1におけるはんだの噴流は、プリント基板1の搬送方向に対して溶融はんだ7を逆方向のみに噴流させたり、逆方向及び搬送方向ともに噴流させたり、搬送方向のみに噴流させたりすることができるようになる。プリント基板1における溶融はんだ7の噴流は、プリント基板1の搬送方向に対して溶融はんだ7を逆方向のみに噴流させたりプリント基板の搬送方向の後方(下流側)への流れを無くし、前方(上流側)のみの流れを形成でき、溶融はんだ7の切れが良くなるので、従って、はんだブリッジの発生を抑制できるようになる。
【0069】
図10に示す噴流装置40の動作例(その2)によれば、第1調整機構10を調整してガイド板11を位置p1と位置p2の中間部位px(p2<px<p1)で固定し、第2調整機構20を調整して、ガイド板21の高さを位置q2で固定する。更に第3調整機構31によりθ1を−50°に調整し、第3調整機構32によりθ2を−20°に調整する。
【0070】
その後、
図5に示したモーター60を駆動して、はんだ槽51から吸い込んだ溶融はんだ7をダクト41内に送出する。ノズル本体部16では流入口601から取り込んだ溶融はんだ7が排出口602に導かれる。ガイド板11は溶融はんだ7の上流側の噴出方向を案内すると共に、ガイド板21が溶融はんだの下流側の噴出方向を案内する。
【0071】
これにより、溶融はんだ7の液面を基準にして、二次噴流波の高さをH2に設定できるようになる。このガイド板11,21の調整によれば、プリント基板1におけるはんだブリッジを解消できるばかりか、特に、スルーホールへ十分な溶融はんだ7を供給することができる。
【0072】
図11に示す噴流装置40の動作例(その3)によれば、
図10に示したガイド板11,21の位置を変えずにそのままの状態とし、第3調整機構31によりθ1を調整し、第3調整機構32によりθ2を調整する。その後、
図5に示したモーター60を駆動して、はんだ槽51から吸い込んだ溶融はんだ7をダクト41内に送出する。ノズル本体部16では流入口601から取り込んだ溶融はんだ7が排出口602に導かれる。ガイド板11は溶融はんだ7の上流側の噴出方向を案内すると共に、ガイド板21が溶融はんだの下流側の噴出方向を案内する。これにより、溶融はんだ7の液面を基準にして、二次噴流波の高さをH3に設定できるようになる。
【0073】
図12に示す噴流装置40の動作例(その4)によれば、
図10に示したガイド板11の位置を変えずにそのままの状態とし、第3調整機構31によりθ1を+5°に調整する。また、ガイド板21の高さを位置q1に戻して固定する。更に第3調整機構31によりθ1を+20°に調整する。その後、
図5に示したモーター60を駆動して、はんだ槽51から吸い込んだ溶融はんだ7をダクト41内に送出する。ノズル本体部16では流入口601から取り込んだ溶融はんだ7が排出口602に導かれる。ガイド板11は溶融はんだ7の上流側の噴出方向を案内すると共に、ガイド板21が溶融はんだの下流側の噴出方向を案内する。これにより、溶融はんだ7の液面を基準にして、二次噴流波の高さをH4に設定できるようになる。
【0074】
このように、実施形態としての噴流装置40によれば、本発明に係る噴流ノズル100を備えるので、プリント基板1の搬送方向の後方への二次噴流波の流れを無くし、前方のみの流れを形成できるようになる。従って、多様化するプリント基板1上の電子部品の配置において、上述の二次噴流波の形態により、はんだブリッジの発生を抑制できるようになる。しかも、溶融はんだ7のマスク機能及び搬送手段の補助機能を有した様々なパレット5(
図13参照)、プリント基板1の設計仕様及びその搬送角度θ3に対して単一ノズルで対処できるようになる。
【0075】
噴流装置40によれば、第2調整機構20を有したガイド板21を固定し、第1調整機構10を有したガイド板11を水平方向に移動して位置を調整することで、一方のガイド板21に対する他方のガイド板11の間の開口幅を可変できるようになるので、溶融はんだ7の噴流方向の変更が容易に行なえるようになる。
【0076】
また、第1調整機構10を有したガイド板11を固定し、第2調整機構20を有したガイド板21を垂直方向に移動して位置を調整することで、一方のガイド板11に対する他方のガイド板21の間の段差を可変できるようになるので、溶融はんだ7の噴流高さの変更が容易に行なえるようになる。
【0077】
噴流装置40によれば、ガイド板11の軸部12を軸支する軸支板14や、ガイド板21の軸部22を軸支する軸支板24等がノズル本体部16に摺動自在に取り付けられるので、一方のガイド板21に対する他方のガイド板11の間の開口幅を可変したり、一方のガイド板11に対する他方のガイド板21の間の段差を可変したりできるようになる。
【0078】
噴流装置40によれば、ガイド板11の第3調整機構31や、ガイド板21の第3調整機構32等によって、軸支板14に対してガイド板11を回動して開度位置を調整したり、軸支板24に対してガイド板21を回動して開度位置を調整できるので、溶融はんだ7の噴出方向の変更が容易に行なえるようになる。
【0079】
噴流装置40によれば、一方の側のガイド板11が軸部12を基準にして断面「く」の字状に屈曲しているので、第3調整機構32において、ガイド板11の固定位置に支障無く、ガイド板21の時計方向回りに開度+θ2を調整できるようになる。
【0080】
噴流装置40によれば、ガイド板11,21の長手方向の端部がR状に加工されているので、溶融はんだ噴流時、溶融はんだ7がガイド板11,21の端部を円滑に越流するようになる。これらにより、多機能型の噴流ノズル42を備えた噴流はんだ付け装置200等を提供できるようになる。